
アキラ100%が語る4歳娘の子育て「お盆芸はまだ見せたことがない。だけど気づくのは時間の問題です」
着衣のアキラ100%さん(提供)
4歳の女の子のパパであり社会科の教員免許の資格も持つピン芸人のアキラ100%さん。「物事の良し悪しの判断が自分でできる子に育ってもらいたい」と、たくさんの経験を積ませているそうです。そんな自身の子育て評価は100%ではなく70%!?「娘の前ではまだお盆芸を披露したことはない」という心配も。ご自身の“子育て論”を語ってもらいました。※前編〈ピン芸人・アキラ100%は45歳でパパになって健康的に!娘のたかいたかーいは「最高の筋トレです」〉から続く
「これが好き」という認識は大人が教えてあげるものではない
――芸人としてのスキルや社会科教員の資格を子育てに生かしていることはありますか。
まだ4歳なので勉強というよりも子どもが遊びたいように遊ばせて、僕はその世界観に乗ってあげることを大事にしています。子どもが変わったことをやったら、「そうじゃないよ」と言うのではなく、「お!それいいね」「そんなことできるの?」と返す。芸人がどんどんボケを引き出す感覚に近いかもしれません。
例えばおもちゃを買うと、おもちゃそのものより箱に興味を持つことってありますよね。箱を何かに見立てたり大きな段ボールを車にしたり。子どもの想像力ってすごいです。そういう時は「こっちのおもちゃで遊びな」と言うのではなく、その遊びに乗ってあげます。「これは空飛ぶ車だよ」と言われたら、箱ごと持ち上げて空飛ぶじゅうたんのように飛ばしてあげます。かなりの筋力と体力が必要なんですが(笑)。
――休みの日はいろいろなところへお出かけするそうですね。
行ける時には車で遠出します。動物と触れ合える場所に行ったり魚釣りをしたり。娘は物怖じせず平気で動物に近づきますし、魚も好きで20センチくらいのマスもぎゅっとつかんじゃう子なんです。水たまりがあればダイブします。実家(埼玉県秩父市)の庭の畑で収穫を手伝うこともあります。どろんこになっても服が汚れても問題なし! 専用石鹸で洗えばきれいになりますからね。
ベビーカーでお散歩!(本人提供)
子育てって、こうした子どものときのさまざまな経験がとても大事だと思っています。自分の好き嫌いは、いろんなものに触れれば触れるほど自分で分かってくるものだと思います。自分はこれが好き、これが得意だという認識は、大人が教えてあげるものではない。そういう意味でいろいろな機会を与えてあげたいなと思っています。
――そう考えるようになったきっかけはありましたか。
自分が芸人としてひょんなことで売れたので(笑)。僕はずっとあの芸をやっていたわけではなく、たまたま宴会芸縛りのオーディションがあって、お盆の芸をしたらブレイクしました。人生何が当たるか分かりません。いろんな芸人さんを見ていても感じますが、世の中的にはちょっとダメなことでも、そのダメなところがフューチャーされてブレイクするということが本当にあります。
自分もそうやって世に出させてもらったので、何がいいか悪いかの価値判断は変わっていくものだと感じています。もちろん危ないことはダメと言いますけど、それ以外のことは子ども自身で良し悪しを判断できる人間になってほしいです。だから遊びに関しても子どもの自由な想像力に任せて、僕はそばで驚きながら楽しんでいます。といっても、心配性なのでつい「危ない危ない」って言っちゃいますけどね(笑)。
娘には見せたことがないお盆芸…今から心配なことも
――お子さんにお盆芸を披露したことはありますか。
実は娘には見せたことがなくて。娘の前でいざやるとなったら緊張するでしょうね。でも最近、パパの仕事に気づき始めているんです。丸いものを持ってきて「パパこれお仕事で使うでしょ」って言ってくるんですよ(笑)。もう時間の問題です。
でも仕事を隠しているわけでもないんです。家族でネタ番組を一緒に見て「パパだー」って言っていることもあるので。僕がスマホで自分のお盆芸のSNS動画を確認していると、娘が横から覗いて「なにやってるのパパ〜」「隠してるじゃ〜ん」って言ってくるんですよ。
お盆芸姿のアキラ100%さん(提供)
子どもってこういうネタが面白くなってくるじゃないですか。役者の仕事もしているので、「パパはテレビの中で仕事をしている」っていうのはなんとなく分かっているようです。自然な流れの中で知っていく感じですかね。
――お子さんが成長してやがて思春期を迎えます。芸風について今から悩んでいることはありますか。
こういうネタって子どものころはめちゃくちゃ楽しく思えて、男女共に思春期になると「うっ」となる時期があると思うんです。思春期を越えちゃえばまた面白くなってくるんですけどね。10代後半から20代前半の特に女子が「うーん」となるかもしれないですね。
今は大丈夫ですけど、学校へ行くようになったら、友だちから何か言われないかが心配です。そういうときは、逆に僕をネタにして、子ども同士が仲良くなれるツールの一つになれればいいなと思っています。チャンスがあったら、小学校でも中学校でも、僕に何かできることがあったらぜひやらせてもらいたいと思っています。娘が許可してくれたらですけど(笑)。
パパとしては「アキラ70%」…小道具の断捨離をがんばりたい
――看護師の奥さまにとって、アキラ100%さんの芸は癒やしになっているそうですね。
そうですね。僕は仕事で失敗しても失敗すら笑いにできる仕事です。でも医療の仕事に失敗は許されません。僕とは全く違う職業ですごく緊張感のある仕事ですから、僕の芸を見てバカバカしいなって笑ってくれるんでしょうね。妻は元々お笑いが好きなので応援してくれています。新しいネタを考えていたときは、見えるか見えないかのチェックもしてくれました。テレビに出始めたときはめちゃくちゃ喜んでくれましたね。
――2024年で50歳という節目を迎えられますが、どんな目標がありますか。
仕事では海外に行くチャンスがあれば挑戦してみたいです。何度か仕事で海外へ行きましたけど、海外の方もだいたい笑ってくれるんです。お盆芸に言葉はいらないですが、見てくださった方が何を言っているのか分からないのが惜しいので、英会話は勉強したいなと考えています。
プライベートなことでは、家族でいろいろなところへ行きたいです。ロケ番組をしていると、日本にも知らないところがまだまだたくさんあって、いいものがいっぱいあるなと気づかされることがすごく多い。現地へ行って触れて、子どもが面白いと思えるものを一つでも増やしてあげたいです。
――パパとしては、アキラ何%でしょう。
いやぁどうでしょう! 自分ではやっているつもりなんですが、この“つもり”が怖いですからね。希望としては「アキラ70%」はいっていてほしいですね。あとの足りない30%は圧倒的に片付けです。妻は仕事柄きれい好きできちっとしています。冷蔵庫も洗濯物もピシッと整っている。でも僕はゆるいんですよ。お盆1枚から始まった小道具もどんどん増えてきちゃって。子どもの遊びスペースを広げるためにも断捨離をがんばりたいです。
(取材・文/大楽眞衣子)
〇アキラ100%/1974年、埼玉県秩父市生まれ。2010年からピン芸人として活動し、17年にはR-1ぐらんぷり優勝。俳優としてもドラマ、映画などで活躍。主な出演作に、「アキラとあきら」(22)、「翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜」(23)、日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」(TBS)、「らんまん」(NHK)。1女の父。