ジェーン・スー
ジェーン・スー「50歳の節目に『講演会』というワクワク 集合知を循環させる大役を担う気持ち」
50歳の節目に「講演会」というワクワク(イラスト:サヲリブラウン)
作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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福島県へ行ってきました!会津若松市や福島市には訪れたことがありますが、今回はお初の二本松市。福島県男女共生センターのイベントにお呼ばれしての講演会でした。「講演会」ってほど役に立つ話はできないので、ほかの呼び方はないかなと、いつも考えあぐねてしまうのですが。
2018年あたりから依頼があれば受けてはいた講演会、2022年の後半から、地方自治体からの男女共同参画にまつわる依頼は、スケジュールが許す限り受けています。京都府宇治市、兵庫県明石市、富山県富山市、三重県津市、鳥取県倉吉市にも伺いましたし、東京なら中野区や千代田区でお話をさせていただきました。おかげさまで、来年の春まで予定が決まっています。
ありがたいことにどこも盛況で、今回の福島は約400名の方が集まってくださいました。始まる前から熱気がムンムン、講演会が行われたセンターの館長がたじろぐほど。福島のみなさんは非常にリアクションがよく、まるでライブを観に来てくださっているようでした。私もできるだけわかりやすく、エネルギッシュに話すようにしているので、とてもやりやすかった!
イラスト:サヲリブラウン
講演会では、社会的な男女の役割が、如何に私たちの無自覚なところで刷り込まれてきたかという話をメインにしています。一人でも多くの女性、そして少人数ながら参加してくれている男性に、「これは自分のせいではなく、刷り込まれたことによる思い込みなのだ」と気づいて、自由になってほしいからです。私も過去に、それでずいぶん悩んだことがあったから。
様々な会場で手を替え品を替え話をし、参加者の反応で内容をどんどん更新していきます。「ここは伝わりづらいな」とか「ここは時間をかけて話をしよう」とか「ここは順番を変えよう」、といった具合です。やりがいがあるし、うまく伝わると、大きな達成感が得られます。
たとえばA市での反省を活かしたB市での講演が好評だったとしたら、それはA市の講演会にご来場してくださった方のおかげ。そうやって内容をアップデートし続け、またいつかA市に戻りたい。集合知を循環させる大役を、自分が担っているような気持ちになります。
体力が必要な仕事ではありますが、50歳の節目に新しいワクワクに出会えて、私はとても幸せ。ぜひ、読者のみなさんもご参加ください!
○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中
※AERA 2023年9月18日号
AERA
2023/09/14 19:00