里親になって苦しんだ母の姿が原点に 里親支援の仕組みを作ったNPO法人キーアセット代表・渡邊守 NPO法人キーアセット代表、渡邊守。親元で暮らせない子どもを里親とつなぎ、里親の研修や支援活動をしているキーアセット。渡邊守が代表をつとめる。渡邊の母は里親として命を削るように子どもを育てた。渡邊自身もまた、里親になった。実感したのは、里親の孤独だった。孤立する里親を支援し、もっと里親を増やしたいと、持てる力を尽くす。 現代の肖像 3/28
50代になった「百獣の王」武井壮が演技にこだわるのはなぜか 語った「亡き兄」への思い 「百獣の王」・俳優、武井壮。「百獣の王」として芸能界に乗り込んだのは、39歳と遅咲きだった。芸人らが深夜に集うバーに通い詰め、お笑いの話術を学んで磨き上げた芸が爆発的にウケた。陸上の十種競技で日本王者の経歴を持つアスリートでもある。テレビの人気者は50代に入り、世界に羽ばたく俳優の道を歩み始めている。演技へのこだわりを、源流からたどる。 現代の肖像武井壮 3/21
作家・小川糸はなぜ「再生の物語」を描き続けるのか 作家、小川糸。食べることは、生きること──。深い眼差しで「生」を見つめる小川糸が辿り着いたのは、標高1600メートルの森。自身を苦しめてきた母を看取り、20年以上連れ添った夫と別れ、一時は作品を書けないほどのスランプにも陥った。見つけた安住の地で、森に癒やされながら、小川もまた再生の道を歩み始めた。命の愛しさを物語に昇華させる。 現代の肖像 3/14
枝元なほみさんが台所から見つめた「未来」 フードロスや貧困課題…料理研究家の枠に留まらなかった人生 料理研究家の枝元なほみさんが亡くなった。69歳だった。売れ残ったパンを集め、ビッグイシューの販売員が販売する「夜のパン屋さん」を始めるなど、フードロスや農業、貧困などの社会問題にも向き合い続けた生涯だった。AERA 2022年11月14日号に掲載した「現代の肖像」全文を期間限定で掲載する。(記事中の年齢・肩書などは当時)。 枝元なほみ現代の肖像 3/12
「ボタンフラワーで人と人、国と国をつなぎたい」 アーティスト SHUN SUDO アーティスト、SHUN SUDO。37歳のときNYで個展を開き、アーティストとしてデビュー。SHUN SUDOの描く世界は高く評価されている。中でも、花とボタンを組み合わせた鮮やかな色合いの「ボタンフラワー」は多くの人を魅了する。世界は時に怒りや悲しみに満ちる。ボタンフラワーの存在が人と人、国と国とをつないでいけたらと願いを込める。 現代の肖像 3/7
突きつけられた「謎」を変えていくために「知る」を届けたい 認定NPO法人D-SHiPS32理事長・上原大祐 認定NPO法人D-SHiPS32船団長(理事長)、上原大祐。二分脊椎で生まれつき歩けない上原大祐は、いつ会っても見事な車いす捌きで颯爽と動き回り、車いすだというのを忘れてしまう。小さいころから、やりたいことがたくさんあった。母はそれに対して「できない」と言わず、上原はやりたいことは全てやってきた。だが世間は「障害者」というだけで、「できない」を突き付ける。もっと自分たちのことを知ってほしいと、上原は日本中を動き回る。 現代の肖像 2/28
千葉望 NHK大河「光る君へ」題字の書家・根本知 30歳までバイト生活「暑い盛りのごみ収集はつらかった」 書家、根本知。NHK大河ドラマ「光る君へ」の題字を覚えている人も多いだろう。題字に加え、俳優たちへ書道指導をしたのが根本知だった。根本は、「仮名」を小筆で流れるように書く仮名書家。書道と言えば大きな筆で書く印象も強く、仮名書道は認知度がまだ低い。30歳で“本流”からはずれた。そこから得た知見で、書家としての深みが増した。日本の伝統文化に愚直に向き合う。 現代の肖像 2/21
裏金問題に兵庫県知事選…上脇博之が「政治とカネ」問題に心血を注ぎ告発を続ける理由 神戸学院大学法学部教授、上脇博之。2000年に「政治とカネ」で議員を告発してから、上脇博之がこれまでに送った告発状は200本ほどになる。コツコツと地道な告発は、「安倍一強」だった自民党政権を揺るがした。昨年は「裏金問題」が流行語大賞も受賞。政府は政治や行政について説明する義務がある。嘘をつくことは許されない。告発は、私たちの「知る権利」の行使である。 現代の肖像 2/14
「幻のもなか」の空也5代目・山口彦之が創業以来初のセカンドブランド立ち上げやコラボに挑戦する理由 「空也」5代目、山口彦之。「空也」のもなかは、「幻のもなか」といわれる。一日8千個ほど作るが、すぐに売り切れ。予約をしないとなかなか手に入らない。山口彦之は、この「空也」の5代目。1884年創業の老舗ののれんを守りながらも、新たに「空いろ」を立ち上げた。和菓子だけでなく、お菓子をもっと広めたい。そんな思いを胸に、時代に流されることなく、変化は恐れない。 現代の肖像 2/7
大越裕 大阪、名古屋、神戸で急成長中のスーパー「八百鮮」 市原敬久社長が日本一かっこいい八百屋を目指した理由 八百鮮代表取締役、市原敬久。関西で急成長しているスーパー「八百鮮」。生鮮商品に特化しており、新鮮な野菜が安く手に入る。店内には活気がある。人生を賭けた仕事をしたいと、市原敬久がたどり着いたのが八百屋だった。働く楽しみを仲間と分かち合いたい。障害のある人も積極的に採用し、人を大事にした経営を心掛ける。金儲けが目的ではなく、真のかっこよさを追求している。 現代の肖像 1/31
途上国が元来持つ素材の力で世界に通用することを証明したい マザーハウスCEO・デザイナー・山口絵理子 マザーハウスCEO・デザイナー、山口絵理子。2006年に創業したマザーハウス。途上国の素材を生かすこと、現地で生産することにこだわり続けている。途上国という一見弱い存在でも、その技術や素材が世界に通用することを証明するために、山口絵理子はずっと闘ってきた。一人の思いから始まったマザーハウスは、今、国内外に53店舗、900人のスタッフを抱えるまでになっている。 現代の肖像 1/24
パリ・コレのオートクチュール部門に日本人として唯一出展するファッションデザイナー・中里唯馬 ファッションデザイナー・アーティスト、中里唯馬。パリ・コレのオートクチュール部門に、日本人として唯一出展しているのが中里唯馬。世界からも熱い視線が注がれる。欧米がモードの本場とされる中で、アジア人であるだけで不利になる。さらにファッション産業は、世界2位の汚染産業でもある。それでもなぜ作り続けるのか。ファッションとは何なのか。自分の感性を信じ、持てる時間のすべてを創作に費やす。 現代の肖像 1/17
デジタルで「歩く文化」を根付かせ都市と自然をつなげたい ヤマップ代表取締役・春山慶彦 ヤマップ代表取締役、春山慶彦。470万ダウンロードを数える登山アプリの雄、ヤマップの創業者、春山慶彦は、土に親しむことを愛し、携帯電話を持つのも嫌がるような、時代のツールを軽蔑する男だった。冒険家を夢見て旅し山に登り、そして写真を撮り文章を綴る。そんな彼が一転して最新のテクノロジーの世界に向かったのには、3・11があった。 現代の肖像 1/10
中村千晶 誰も見たことのない「生き物」を生み出す 世界的にも注目される特殊メイクアーティスト・快歩 特殊メイクアーティスト、快歩が創る作品は、カラフルでポップで、ちょっと妖しい生き物たち。その世界観が今、世界でも注目されようとしている。意に沿わない仕事はしないと決めた。けれども自分の表現のためには、手間も暇もお金も惜しまない。CGやAIが台頭してきた現在、特殊メイクは岐路に立つ。でもバーチャルには出せない世界を、快歩は見せつける。 現代の肖像 1/3
内視鏡AIでがんの見逃しをゼロに 世界の患者を救う使命感 AIメディカルサービス代表取締役CEO・多田智裕 AIメディカルサービス代表取締役CEOで医師の多田智裕は、参加した勉強会で、AIで胃がんを検出するというアイデアを思いつく。見逃しを防ぎ、早期発見の可能性を高めるのではないか。起業し、内視鏡画像診断支援AIの開発に走り出した。気の遠くなるような機械学習作業や、社員の確保、薬事承認など苦労の連続。それでも挑戦した原動力は何だったのか。 現代の肖像 12/20
ルールや社会を“ゆるめる”ことで生きやすい社会に 世界ゆるスポーツ協会代表理事・澤田智洋 世界ゆるスポーツ協会代表理事、澤田智洋。もしもハンドボールが、手にハンドソープをつけ、つるつると滑るボールを操るスポーツだったらと想像してほしい。運動の苦手な人がむしろ得意になるかもしれない。こうした「ゆるスポーツ」を作り、広めているのが澤田智洋。きっかけは息子の障害だった。社会がゆるくなれば、みんながもっと生きやすくなると、もみほぐしていく。 現代の肖像 12/13
「まじめなことを話しても引かれない場所を」 Social Book Cafe ハチドリ舎店主・安彦恵里香 「Social Book Cafe ハチドリ舎」店主、安彦恵里香。広島市の平和記念公園から徒歩3分。古い雑居ビルの2階の窓には毎夜遅くまで明かりがともる。核問題、差別と人権、ジェンダー不平等……多様な社会課題を扱うイベントを月に30本続けるソーシャルブックカフェ「ハチドリ舎」。店主の安彦恵里香はマイクを手に、いつものフレーズでイベントの始まりを告げる──。 現代の肖像 12/6
八嶋智人 いつもご機嫌で共演者とも打ち解け、携帯の連絡先は4千件 楽しむことを徹底する理由 この人が出ていたら絶対に面白いと思わせる俳優、それが八嶋智人ではないか。ドラマや映画、そして、バラエティー番組までも。どんな現場でもご機嫌で、共演者ともすぐに打ち解け仲良くなる。仲間と立ち上げた「カムカムミニキーナ」の場は、特に大事に思う。12月5日からはカムカムの新作「鶴人」が上演される。自ら裏方仕事もやりながら、いい芝居のために努力を惜しまない。 現代の肖像八嶋智人 11/29
大越裕 地方からベストセラー本を連発するライツ社 「世の中を揺り動かす本だけを作る」徹底的なこだわり 本は売れないと言われて久しい。それなのに、兵庫県明石市の出版社「ライツ社」は、ベストセラーを次々生み出す。編集長の大塚啓志郎は一冊ずつ、丁寧にこだわり抜いて作る。その本を、営業責任者の髙野翔がベストセラーにするべく営業をかける。きちんと作って売れば、出版はまだ儲かる。何よりも本を大事に思う2人が、どうやってヒットを生むのかを追った。 現代の肖像ライツ社髙野翔大塚啓志郎 11/25