
「J復帰」ありそうなのは? “冷遇”される元日本代表も「日本で見たい」海外組は
日本代表でも活躍した原口元気
今冬、Jリーグのストーブリーグは例年以上に選手の出入りが激しく活性化している。特に主力級の選手たちの移籍が目立つが、その中で注目したいのがMF遠藤渓太(ウニオン・ベルリン→FC東京)、MF鈴木冬一(ローザンヌ・スポルト→京都サンガ)といった海外リーグからの国内復帰組だ。GK谷晃生(デンデル)の町田ゼルビア、DF小林友希(セルティック)の横浜FM入りも一部で報道(1月10日時点)されているが、彼ら以外にも現在置かれている状況を考慮した上で「Jリーグ復帰」を求めたい選手は多くいる。
まず、サポーターから古巣復帰を“熱望”されているのが、現在32歳の原口元気(シュツットガルト)だ。浦和レッズユース黄金世代の一人で、2009年のトップ昇格1年目から主力として活躍し、日本代表として2018年ロシアW杯のベルギー戦で鮮烈なゴールを決めたアタッカー。2014年6月からドイツでの生活を続け、今年1月に自身ブンデス5クラブ目となるシュツットガルトに移籍するも、監督交代後に出番を減らし、今季はリーグ戦16試合を終えて出場時間は1試合で20分間のみ。現契約は2024年6月30日まで。海外で多くの経験を積んで万能性も高めた男は、レッズ復権計画の“最終兵器”になれるはずだ。
今年3月に41歳となる元日本代表GK川島永嗣(無所属)の去就も注目される一人だ。国内3クラブでプレーした後、2010年7月にベルギーに渡ると、スコットランドを挟んで2018年8月からフランスでの生活を続けている。日本代表としてW杯4大会でメンバー入りした経験は随一。現在、半年間にわたって無所属状態が続いているが、まだ働ける力はあるはずだ。コロンビア人ハーフの愛妻と渡欧後に誕生した3人の子どもたちの存在が川島本人にとって今後の大きな判断材料になるが、すでにジュビロ磐田が獲得に動いているとの一部報道があったように、この元日本代表GKを欲する国内クラブはある。「無所属」であるならば、Jリーグでの勇姿を見たい。
元日本代表選手としては、現在37歳のFW岡崎慎司(シントトロイデン)のJリーグ復帰も求めたい。滝川第二高校から入団した清水エスバルスで6年間プレーした後、ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーと渡り歩き、今季で欧州14シーズン目。2015-16シーズンの“ミラクルレスター”の一員であり、日本代表通算119試合出場でマークした50得点は歴代3位の数字を誇る。その中でシントトロイデン1年目の昨季はリーグ戦30試合に出場したが、今季は故障離脱の時期も多く、リーグ戦出場5試合で計54分間の出場のみ。年齢を考えるとJリーグに復帰してもレギュラーとしてフル稼働するのは難しいかもしれないが、途中出場で試合の流れを変える力は依然として持っているはずだ。
岡崎の現在の同僚の一人であるDF小川諒也(シントトロイデン)はどうか。流通経済大柏高校から入団したFC東京で7年半プレーした後、2022年7月にポルトガルのヴィトーリア、そして今季はベルギーのシントトロイデンに期限付き移籍で加入。高い身体能力と左足の高精度のクロスを武器に日本代表に招集された経験もある大型左サイドバックだが、ヴィトーリアではリーグ戦出場6試合のみに終わり、シントトロイデンでも途中出場1試合のみで出場時間3分のみ。現在27歳。レンタル期間は2024年6月まで。このまま欧州内でステップアップするのは難しく、レンタル延長よりは再びJリーグで“再挑戦”すべきだ。
左右は逆だが同じサイドバックの室屋成(ハノーファー)もJリーグ復帰を求めたい選手だ。青森山田高校、明治大学を経て入団したFC東京で抱負な運動量を武器に4年半プレーして日本代表にも選出された後、2020年8月にハノーファーに加入した。初の海外リーグも苦にせず、すぐにレギュラーとして活躍を続けてきたが、ハノーファーはブンデス2部で日本での注目度は低い。さらに今季はベンチスタートが増え、チームも現在18チーム中8位で1部昇格は難しい状況だ。今年4月に30歳となる中、このままドイツでキャリアを続けるよりもJリーグの舞台でサイドを疾走する姿を見たい。
32歳のゲームメーカー、森岡亮太(シャルルロワ)も再びJリーグでプレーしてもらいたい選手だ。ヴィッセル神戸で6年間プレーした後、2016年1月に欧州に渡り、ポーランド、ベルギーでプレーして今季で9年目を迎える。長くシャルルロワの攻撃の中心として活躍したが、昨季は徐々に出番を減らし、今季もここまでリーグ戦20試合中16試合に出場しているが、スタメンは8試合のみ。現契約は2024年6月までで、その後の移籍先が取り沙汰されている。本人の欧州滞在の意欲は強いようだが、高い技術とインテリジェンスを持つ男を欲するJクラブは多くあるはずで、活躍できるはずだ。
23歳のドリブラー、本間至恩(クラブ・ブルージュ)も自身のキャリアを考え直した方が良い。アルビレックス新潟の下部組織育ちで2019年にトップ昇格。小柄ながら切れ味鋭いドリブルでチャンスを作り出し、10番を背負ってサポーターから愛された。そして2022年7月にベルギーのクラブ・ブルージュに移籍。1年目は主にセカンドチームでプレーした中、プレーオフで1得点1アシストの活躍を披露して2年目の飛躍が期待されたが、迎えた今季もセカンドチームでのプレーが続き、クラブ・ブルージュではリーグ戦全試合ベンチ外と冷遇されている。まずは欧州他クラブへの移籍を目指すだろうが、昨季J1舞台で存在感を見せた古巣へ復帰しても良いはずだ。
近年、日本人選手の海外移籍がさらに活発化する中、昨季リーグ優勝を果たしたヴィッセル神戸で大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳、山口蛍の海外経験者たちが輝きを放った。その他にも家長昭博、香川真司、柴崎岳、長友佑都らの30歳オーバーのベテランだけでなく、鈴木優磨、西村拓真、植田直通、井手口陽介、原大智ら20歳代の“元海外組”も存在感を見せた。今後、Jリーグが秋春制になればさらに日本と海外の境目はなくなり、海外に“行ったきり”ではなく“行ったり来たり”ができるはず。短い現役生活、冷遇されているならば他クラブへの移籍は真っ当な解決方法。その移籍先が日本であれば、Jリーグはさらに盛り上がるはずだ。(文・三和直樹)