唐澤俊介
スザンヌ「34歳の高校生」で思ったこと 17歳下の同級生から“無視”されるも「すごくかわいい」
高校の制服姿のスザンヌさん(画像=インスタグラムより)
2007年ごろに「おバカタレント」として大ブレークしたスザンヌさん(37)。現在は故郷の熊本で小学4年生の息子と2人で暮らしている。21年には中退していた母校の高校に再入学し、昨年無事に卒業。さらに大学に進学し、今年は会社を起業した。タレント活動以外に、シングルマザーをしながら学び直し、起業までするバイタリティーは一体どこからくるのか。その刺激的な日々の暮らしぶりを話してくれた。
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「コロナ禍で家に閉じこもっていたとき、息子にどうやって勉強の仕方を教えていいかわからなかったんです」
スザンヌさんは、中退していた母校、第一薬科大学付属高校(福岡市。当時は第一経済大学付属高校)に一昨年再入学をしたきっかけをそう語る。
2020年、小学校に入学した長男は新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校が続き、自宅にいる時間が長くなっていた。
「休校になったときに宿題がたくさん出されて、息子から『どうやって勉強すればいいの?』と聞かれたんです。でも、私自身これまで真剣に勉強をしたことがなくて、息子の疑問に答えることができませんでした。それで、『じゃあ息子と一緒に勉強してみるか』と思ったのが再入学の大きな理由ですね」
息子との食事風景(画像=インスタグラムより)
これまでにも何度か、高校に再入学しようと考えたこともあったという。しかし、週1回の登校が壁になっていた。
「通信制の高校だったんですけど、毎週日曜日には学校に行って授業に出る必要があったんです。仕事もあるし、週末は子どもと過ごせる貴重な時間だったので、日曜日の登校を2年続けるのは難しいと感じ、断念していました。でも、コロナを機に授業をオンラインで受けることができるようになったんです」
高校の体育の授業の様子(画像=インスタグラムより)
朝4時半に起きる生活
そんな折、母校の先生から、再入学を勧める連絡があったのだという。きっかけは、スザンヌさんがゲスト出演した「地元検証バラエティ 福岡くん。」(福岡放送)の「福岡女子高生カワイイ制服ランキング」という企画だった。
「番組内で『私、この高校(第一薬科大学付属高校)に行ってたんです。卒業してないんですけどね』っていう話をしたら、それを見た高校時代の学年主任の先生から『卒業してみないか』って連絡が来たんです。実は、それまでも同じ先生から何度かお話をいただいていました。その先生は、過去の私の学業に関する資料を引き継いでくださっていたり、中退するまでに取得していた単位を残してくださっていたりして、いつかは行きたいなという気持ちがずっとありました」
すでに退職してしまったというその教員との思い出を聞くと、「怖い先生でしたね」と懐かしみ、笑みを浮かべた。
「結構バイオレンスな先生だったけど、高校を辞めて芸能の仕事を始めてからも、『頑張ってるな』って時々連絡をくれたりして、ずっと気にかけてくれていました。厳しいけれど愛のある先生でしたね」
再入学を果たした母校では、どのような高校生活を送っていたのだろうか。
「朝は4時半~5時くらいに起きて、勉強したり、レポート書いたりしていました。そのあとは、7時くらいに子どもが起きてくるので、朝ごはんを食べさせて、学校に行かせて、また勉強に戻るという感じで過ごしてました。定期的に、学校に行って体育の授業とかもあったり、ホームルームに参加したりもしていました。私は入学当時34歳だったんですが、自分の半分の年齢の17歳とか18歳の子どもたちは、もうなんかキラキラしていて。思春期だからか話しかけても無視されたりとか(笑)。でも、それもすごいかわいいなって。小学生の息子もこうなっていくのかあって想像がふくらみましたね」
母・キャサリンさんと(画像=インスタグラムより)
母親に言われた「一言」
2度目の高校生活を経験したことで、人生で初めて、勉強の楽しさを味わったという。
「マーケティングの授業が印象に残っています。例えば、コンビニの陳列棚の配列をどのようにすれば購買意欲がかきたてられるとか。確かに、自分もレジ横に置いてある商品を思わず買ってしまうなと思ったり。身近なものをテーマに学ぶことができてすごく楽しかったですね」
22年、無事高校を卒業したスザンヌさん。なんと成績優秀者として表彰されている。その際、母・キャサリンさんからはこんな言葉をもらったという。
「母には実際の高校生のときに途中で辞めてしまった過去があるので、すごく嫌みっぽく、『高すぎる授業料だったわ』って言われて(笑)。ホントすみませんって感じでした。でも、そんな私が自分で高校への再入学を決めて、卒業したことは『誇りだわ』って言ってくれました。それだけでも入り直してよかったなって思いましたね」
同年、スザンヌさんは、大学に進学する。だが進学するかどうかは相当悩んだという。
「高校は1年間だったから耐えられたんですけど、大学は4年間あるじゃないですか。それを乗り越えることができるのかなって」
進学の決め手になったのが、息子の小学校卒業のタイミングだったという。
「このタイミングで大学に入ると、卒業の時期が小学生の息子と一緒になるんです。それで、息子と一緒に卒業することを一つの目標にしようと思いました」
大学の入学式での一枚(画像=インスタグラムより)
経営学を学んで起業を決意
もう一つ、スザンヌさんには考えていることがあった。それは「起業」だ。
「5~6年前くらいから漠然とですが考えていて。というのも、これまで、私と子どもの2人暮らしで過ごしてきて、息子もだんだん大きくなって、思春期を迎えてっていうなかで、やっぱり私も子離れをしないといけないし、むこうも離れていっちゃうしって思ったんです。なので、私も何か新しいことにチャレンジして、今まで子どもに使っていた時間やエネルギーを向ける先をつくる必要があるなって思ったんです。それって何なんだろう、と考えたときに思い至ったのが起業でした。でも、大学進学にあたっては、起業に限らず、エネルギーの発散先をつくるための4年間にしたいなと思っていました」
現在、大学2年生のスザンヌさん。起業は卒業後にする予定だったが、予定を早め、今年11月に株式会社yamaの設立と、ファッションブランド「Style Reborn」の立ち上げを発表した。
「経営学や経済学を勉強して、先生方の話を聞くうちに、今やれるのにやらないのはもったいないなって思うようになったんです。どうせいつやっても大変なことには変わりはないから、だったら体力的にもこのままやったほうがいいかなと思って起業しました」
早速、第1弾の古着をリメイクしたニットを販売し、先日開始した第2弾もすぐさま完売した。
「みなさんに大事にされるようなブランドにしていきたいです。『yama』に関しては、今やっているのはアパレルだけですけど、せっかく熊本にいるので、熊本在住の方とのコラボや、熊本の果物など、おいしい食べ物をみなさんに知ってもらえるような事業をしていきたいと思っています」
(AERA dot.編集部・唐澤俊介)
※【後編】<熊本でシングルマザー「スザンヌ」が明かす理想の再婚相手 「3年に1回しか会えない距離感の人がいい」>に続く
●スザンヌ/1986年、熊本県生まれ。2008年、同県宣伝部長に就任。テレビ番組「クイズ!ヘキサゴンII」(フジテレビ系)で「おバカタレント」としてブレーク。14年、第1子を出産。翌年、故郷である熊本県に息子とともに移住する。21年、中退していた母校・第一薬科大学付属高校(元・第一経済大学付属高校)の通信課程に入学、翌22年、卒業した。同年、日本経済大学に進学。今年、株式会社yamaを設立し、ファッションブランド「Style Reborn」を立ち上げた。
dot.
2023/12/23 11:00