グローバル教育への関心が高まるなか、英国の全寮制学校「ボーディングスクール」が、子どもを留学させたい親の注目を集めています。海外大学への進学を早くから見据えて、高額な費用を工面し、小学生のうちから英国に送り出す例や、名門私立小より海外留学を選ぶ家庭も。注目の理由を探りました。

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 11月4日、東京・丸の内のステーションコンファレンス東京で開かれた「ブリティッシュ・ボーディングスクール・フェア・ジャパン」には、国内各地から約200組の親子が集まった。

 このイベントは、英国の全寮制学校に留学を検討している日本人のための相談会。450年の歴史と伝統を誇る「ラグビー・スクール」や、オックスブリッジ(オックスフォード大学とケンブリッジ大学)への進学率が高い女子校「チェルトナム・レディース・カレッジ」など、名門15校の関係者が来日。各校のブースはどこも来場者が途切れることなくにぎわった。

 小中学生の親子の姿がとりわけ目立ったのは、文武両道の名門「ミルフィールド・スクール」のブースだ。学校説明を日本語で手助けしていたのは、同校出身・町野有夏さん(20)の母・教子さん。有夏さんはミルフィールド校で学び、2年連続で国際数学オリンピック金メダルに輝き、現在は米マサッチューセッツ工科大学で学ぶ。

「札幌の公立小学校に通っていた娘は、夫の仕事の関係で10歳のときに転校しました。最初は1年だけ留学するはずが、充実した環境だったので結局、高校卒業まで水泳と数学、ピアノに打ち込みました」(教子さん)

 フェアを主催した、留学をサポートする企業「ピッパズ・ガーディアンズ」代表のベン・ヒューズさんは、「近年日本で英国式教育への関心が急速に高まっている」と語る。

「英国のボーディングスクール側も多様性を受け入れる意識が高く、生徒の国籍を隔てないように、勤勉で協調性のある日本人の子どもを入学させたいと考えています」

 英国の全寮制学校には、香港約5600人、中国約4700人、ロシア約1000人の留学生が親元から離れて通うが、日本からは477人。ここ数年は10%ずつ増え右肩上がりの傾向にあるものの、まだまだマイノリティーの立場にあるという(2023年1月ISC CENSUS AND ANNUAL REPORT調べ)。

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曽根牧子
編集者/ライター 曽根牧子

朝日新聞出版アエラムックチームの編集・ライター。『AERA English』『英語に強くなる小学校選び』などで教育、英語学習、小学校受験に関する記事を執筆。

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