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にわかに浮上「プラチナNISA」は分配金に紛れる「タコ配」に要注意 毎月分配型投信の落とし穴
にわかに浮上「プラチナNISA」は分配金に紛れる「タコ配」に要注意 毎月分配型投信の落とし穴 写真はイメージ(写真映像部 佐藤創紀)    にわかに浮上した高齢者を対象とした「プラチナNISA」構想。毎月分配型の投資信託を選べるのが特徴だが、中には「タコ配」と呼ばれる投資信託もあり、専門家が注意を呼びかけている。 * * *  自民党の資産運用立国議員連盟が「資産運用立国2.0に向けた提言」を石破茂首相に提出したのを機に、にわかに浮上した「プラチナNISA」という新制度の創設構想。65歳以上の日本在住者を対象とし、公的年金だけでは足りない分を運用資産から少しずつ取り崩していきたいというニーズに応えるべく、現行のNISAでは除外されている毎月分配型の投資信託も選択肢に加える方針だという。  岸田文雄前首相が会長を務める資産運用立国議連は2026年度の税制改正にこの新制度の創設を盛り込むことを金融庁に要求。金融庁も検討に入ったと報じられている。毎月分配型は運用益を分配金として毎月受け取る仕組みだが、運用益を再投資に回して利益が新たな利益をもたらす“複利効果”が得られない。そればかりか、相対的に手数料も高めで、これまで金融庁はNISAの選択肢として相応しくないとの見解を示してきた。    他にも毎月分配型には注意すべきポイントが存在しており、NISAの活用法に詳しいファイナンシャルプランナーの菱田雅生さんはこう述べる。 「年率換算で5%台などといった高い分配実績を残してきた毎月分配型は、配当利回りの高い株式や、低格付け(信用力が低い)の半面として高利率になっている債券、あるいは国内外のリート(不動産投資信託)を投資対象としているケースが多いです。つまり、高格付けの債券で運用している投資信託などと比べてリスクが高く、そういったものをシニア層に推奨することには疑問を感じます」 「タコ配」も紛れている毎月分配型  相対的にリスクの高い投資対象であっても、これまで安定的に高い利回りの分配金を支払い続けてきた毎月分配型も存在している。しかしながら、あくまで過去の実績で今後もそれが約束されたものではないうえ、必ずしも好調な運用が維持されてきたから分配金が安定していたわけではない。実際には運用に浮き沈みがあっても、「タコ配」によって同額の分配金を維持しているケースも紛れているのだ。   「投資対象のリスクがさほど高くないにもかかわらず、身の丈に合わない高い分配金を支払っている毎月分配型も、『タコ配』になっている可能性が高いと言えます」(菱田さん) 「タコ配」とは、運用益でなく投資元本の一部を分配金の支払いに充てることを意味する。餌にありつけないタコが自らの足を食べて飢えを凌ぐという説になぞらえた表現で、「タコ配」を繰り返せば投資元本は減っていくばかりで、まさにジリ貧の状況だ。  上の図は「タコ配」のカラクリについて説明したもの。運用益が得られていないどころか、損失が発生している状況でそれまでと同額の分配金を維持しようとすれば、投資元本には「損失分+タコ配」の目減りが発生してしまう。 「タコ配」によって支払われた分配金は、運用益から支払われた通常の分配金(普通分配金)と区別し、特別分配金(元本払戻金)と呼ばれている。もともと特別分配金は毎月分配型がNISAの対象外であっても非課税扱いとなってきたが、利益ではなく投資元本を払い戻している行為なのだから、それは当然のことだ。  こうしたことから、資産運用立国議連の提言をほぼ全面的に反映した内容の「プラチナNISA」が誕生したとしても、安直に毎月分配型を選ぶのは避けたほうが賢明だろう。少なくとも、特別分配金を連発しているようなものに手を出すのは禁物だ。 「シニア層でも、現役世代と同様に手数料が低い投資信託を選ぶのが基本です。リスクは承知で高めのインカムゲイン(利子や配当金による収入)を求めるなら、配当利回りの高い個別株に投資するのも一考です」(菱田さん) スイッチングはほぼ全面的に解禁すべき  一方、資産運用立国議連は「プラチナNISA」において、それまで投資対象に選んできたものから別の投資信託へ乗り換える「スイッチング」を解禁することも提案している。NISAには非課税措置の対象となる年間の投資上限額が定められている(つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円)。上限までフルに投資していた場合、同じ年の途中で一部を換金しても、その分だけ非課税枠が復活することはない。  短期で利益を確定させる行為を防ぎ、長期的な視点での資産運用を定着させようというのがその狙いである。その点、シニア層の間では年金生活への移行を機に運用に対するスタンスにも変化が生じうるため、スイッチングを解禁すべきとの結論に至ったようだ。  だが、現実にはシニア層以外でも投資対象の見直しが必要になるケースは出てくる。新NISAのスタートを機に初めて投資に取り組んだものの、運用先を熟慮せず選んで後悔しているという人は少なくないはずだ。別の投資信託に乗り換えたうえで長期投資を続けるという意向であっても、換金した分の非課税枠が翌年にならないと復活しない現行の制度では売ってから買うまでのタイムラグが発生してしまう。  つまり、シニア層専用の「プラチナNISA」に限らず、現行のNISAについてもスイッチングの可否について検討すべき余地があるのだ。短期売買に走らせないための規制は最低限必要だろうが、必要に応じて軌道修正を行える制度が求められているのが実情だと言えよう。  ここまでは「プラチナNISA」構想について述べてきたが、続報ではもう一つの目玉である「こども支援NISA」にスポットを当てることにする。 (金融ジャーナリスト 大西洋平)
母は7階から身を投げ、父はDV  女性が「地獄」を抜け出すきっかけは「東日本大震災」だった
母は7階から身を投げ、父はDV  女性が「地獄」を抜け出すきっかけは「東日本大震災」だった 女性は壮絶な半生を語ってくれた(撮影/インベカヲリ)  現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。 *   *   *    駅前で待っていると、杏さん(30代前半/仮名)は軽やかな表情でやってきた。腰まで伸びた艶やかな黒髪に、透き通るような白い肌。穏やかで牧歌的な雰囲気から、幸せな家庭で育った印象を受ける。  そんな杏さんから、まさか過酷な半生を聞くことになるとは思いもしなかった。 「連載を読むと、悩みを話されている方が多いじゃないですか。私は何だろうって考えると、やっぱりあるんですよ」  喫茶店で落ち着くと、杏さんは深刻そうな顔でそう言った。 本当は誰かに聞いてほしかった 「誰にも話したことがないし、普段は隠している部分なんです。でも、本当は誰かに聞いてほしかったんですよね。だから今、すごく震えています……」  テーブルの上にホットココアが運ばれてくると、杏さんはそれに手をつけないまま、まずは家族の話から始めた。   「これが両親の若いころの写真です。父は呉服屋さんの店長で、母は宝石店の店長をしていたらしいです」  スマホの画像を見せてもらうと、そこにはバブル期真っただ中といった雰囲気の、角刈りにひげを生やしたスーツ姿の男性と、赤い口紅でモード系のキリッとした女性が映っていた。ほんわかした見た目の杏さんからは、想像がつかないほどいかつい2人だ。 「ひどい言い方をすると、サルとサルが出会って、サルコミュニティーを作ったぐらいなものです。だから私もサルなんだと思って生きています」 罵倒し合う両親  杏さんは宮城県出身で、上京して14年になる。幼いころは、両親の壮絶な喧嘩を目の当たりにして育った。 「私が生まれたら、父は勝手に仕事を辞めて、母から私を取り上げるようにして子育てを始めたらしいです。手を出すと怒鳴られるから、母は私に近づけなかったみたい」  娘が可愛いとはいえ、父親としては珍しいタイプだろう。働かない父の代わりに、母はいくつもアルバイトを掛け持ちしていたという。 「両親は、お互い罵倒しあっていて、喧嘩のたびに『子どもが見てるだろ』『怖がってるだろ』って私を引き合いに出すんです。私は家族のためにできることはやろうと思って、期待に応えるようにしてウェ~ンって泣いていました。当時は、『お父さんお母さん、喧嘩やめて!』って言う私と、『バカだな』って冷静に見ている私と、2人の自分がいましたね。早くこんな世界から抜け出して、まともなところに行きたいって思っていました」 自身の半生について丁寧に語ってくれた杏さん(撮影/インベカヲリ☆) 母は7階から身を投げた  母は、そんな父との生活が限界だったらしい。杏さんが幼稚園生のころ、建物の7階から身を投げてしまう。命はとりとめたものの、全身骨折の重傷を負った。そのような状態の母を見ても、父は何も思わない様子だったという。 「父には、家庭を作る気持ちなんてゼロだったんだと思います。感情的になると話が通じないし、DVをしている自覚もない」  小学校4年生のとき、両親は離婚。母親は東京へ行き、杏さんと父親の2人暮らしが始まった。父は相変わらず仕事をせず、料理、洗濯、掃除などの家事をしており、杏さんが手伝うことも嫌がった。 「雪が降って寒い日は、布団に湯たんぽを入れてくれたり、私を先に寝かせてくれたりして、優しいところもあったんです。それを思い出すと私もウルッとくるんですよ」 父は日に3時間怒鳴ってダメ出し  だが、その愛情はひどく歪んでいたようだ。 「毎日3時間ぐらい、がっちり怒鳴られていたんです。小学生のころから高校卒業まで、毎日。理由は、帰ってくるときに連絡がないとか、髪の毛が一本落ちているとか、本当にどうでもいいこと」  長い説教が終わると、入浴してすぐに就寝となる。杏さんは勉強をする時間も与えられなかった。 「たぶん、父はそのために生きていたんだと思います。毎日、ダメ出しする材料を探していました。仕事をしないから暇だし、身近に弱い者がいて、上に立つには私はちょうどいい存在だったんでしょうね。私は、父の言葉をまともに受けると気が狂ってしまいそうだったから、頭に入れないようにしていました」 裸で姿勢の指導  さらに、父親から性的な視線も感じ取っていたという。 「直接何かされたことはないんですけど、裸で姿勢の指導をされたり、触られたりとかはあったので。私は女性として見られないように、女の子が必要な下着とかも極力必要ないフリをしたり、胸を目立たなくするために猫背にしたりして、何とか耐えしのいでいました。父から怒られないことと、被害に遭わないことばかり考えて生活していたんです」    高校卒業後の進路は、父から逃げるようにして東京の専門学校への進学を決めた。ところが、上京1カ月前に東日本大震災が発生する。住まいは内陸だったため津波の被害はなかったが、揺れは激しく、停電は1週間続いた。    もっとも、このときの杏さんの心境は、意外なものだった。 ヤバい、変わる、変わる 「全部が壊れてなくなって、私はこの世界から抜け出せるっていう予感があったんです。今の苦しみから解き放たれる、何かが変わるって」  地獄のような生活を送ってきた杏さんにとって、世界がひっくり返るような出来事は、転機を感じるものだったのだ。 「上京することは決まっていたけど、直前で父に阻止されるんじゃないかっていう不安があったんです。でも、震災が起きて、『絶対に大丈夫』っていう確信に変わった。私は暗闇で毛布にくるまりながら、『ヤバい、変わる、変わる』って、高ぶる気持ちを抑えていました。もちろん、近所には津波の被害で避難してきた人もいましたし、そんなふうに思っているなんて絶対に表には出せなかったですけどね」 学費の支払いがストップ  こうして無事に上京した杏さんは、専門学校へ入学し、学生寮で暮らし始める。しかし、この学校生活は、父親が原因で1年も経たずに終わってしまう。 「父と母が、学費を半分ずつ払ってくれていたんですけど、父がパソコンを買ったという理由で支払いがストップしたんです。学校から電話がかかってきて、『2学期から難しいです』と言われたとき、私はパニックになって『辞めます』って言ってしまったんですね」  憔悴しきった杏さんの元に、今度は父のきょうだいから「18年間の生活費を返してほしい」と電話がかかってくる。杏さんは、このとき初めて、自分たちの生活費の出所を知った。 「専門学校を辞めた日に、叔母から言われたんですよ。『月2万円でいいから返して』って。そういうことを言えてしまう大人にも驚いたし、私は心が壊れそうでした」 〉〉【続きはコチラ】アルコール依存症の母に包丁で刺されそうに…30代女性「私はコメディとホラーの中間を生きている」 (構成/ライター・インベカヲリ☆)
ESR レッドドット賞受賞:ユーザー視点の革新と卓越したデザインの産物
ESR レッドドット賞受賞:ユーザー視点の革新と卓越したデザインの産物 世界的なデザイン賞を複数受賞――ESRのデザイン力と技術力 - Waymeet (Hong Kong) Co., Ltd 2025年4月30日、デラウェア州ウィルミントン - ESRは過去数年にわたり、国際的なデザイン賞であるレッドドット・デザイン賞を複数回受賞するなど、常に世界のデザイン舞台で頭角を現してきました。 マグネット式モバイルバッテリーから多機能タブレットケース、充電ステーションに至るまで、ESRの受賞製品は、革新性、機能性、そして卓越した審美性を追求しています。 これらの賞はトロフィー以上の価値をもたらしています。ユーザーのニーズを深く理解し、現実世界の技術的課題に対して、緻密なデザインで解決を提供し続けるESRの姿勢が認められた証でもあります。 レッド・ドット賞を受賞した各製品には、ESRの核となる信念と使命――「Tech Made Easier」、すなわちテクノロジーをよりスマートに、より直感的に、そして日常生活へ自然に溶け込ませるという思いが込められています。 受け継がれるデザインの卓越性1955年にドイツで創設されたレッドドット・デザイン賞は、卓越したデザインの証として、世界で最も権威あるアワードのひとつとして知られています。国際的な専門家による審査を経て、革新性、機能性、人間工学、環境への配慮など、多角的な評価基準に基づき、優れた製品デザインやデザインコンセプトを称えます。 ESRはこれまで、形状・機能・ユーザー体験の可能性を広げながら、常にデザインの限界に挑戦し続けてきました。今回の受賞により、ESRは「デザイン主導のテック・イノベーター」としての地位をさらに強固にすることが出来ました。 テクノロジーに囲まれた毎日を再定義する数々の受賞製品1. 2025年-ESR CryoBoost(R) 折りたたみ式 3-in-1 マグネット充電ステーションQi2.2認証および「Made for Apple Watch」認証を取得予定の本製品は、ワイヤレス充電の速度低下や過熱といった課題に革新的にアプローチする、次世代の充電ソリューションです。ESR独自の特許技術「CryoBoost(R)アクティブ冷却テクノロジー」により、他のQi2.2対応ステーションに比べて(iPhone 16 Proの場合)最大30分早く充電可能です。加えて、動作音はほとんど気にならない静音設計です。折りたたみ可能な3-in-1デザインで、iPhone・AirPods・Apple Watchを同時に充電でき、さらにGaN搭載のUSB-Cポートは、ノートパソコン向けの最大50W急速充電にも対応しています。 以前、一部のユーザーから、内蔵されているCryoBoost(R)ファンの音が夜間に少し気になるという意見がありました。このフィードバックをもとに、改良版では独立したファンコントロールボタンを新たに搭載しました。これにより、充電性能を損なうことなく、必要に応じてファンのオン/オフを切り替えることが可能となりました。全体のデザインも使いやすさを重視し、折りたたみ可能なマルチアングルスタンドを採用することで、さらに高い利便性を実現しています。また、ベース部分の上部にはApple Watchを「掛けるように」設置できる専用モジュールを配置、さらに、AirPods用にはベースに微細な凹みを設け、コンパクトでスマートな収納が可能です。洗練されたエッジデザインと超スリムな折りたたみ式構造が特徴の本製品は、美しさと機能性を兼ね備え、外出先での充電にも最適な一台に仕上がっています。 2. 2024年-ESR Geo マグネットウォレット(Grip)2024年、レッドドット・デザイン賞およびiFデザイン賞をダブル受賞したこの多機能ウォレットスタンドは、洗練されたデザインに加え、Appleの「探す(Find My)」機能を通じたリアルタイム位置追跡も可能で、デザインとテクノロジーが融合した次世代のスマートアクセサリーです。2021年にAirTagが登場して以来、「探す(Find My)」を初めてマグネット式ウォレットスタンドに搭載し、「テックでスマートに紛失防止が出来る」新たなスタンダードを確立しました。角度調節が可能なキックスタンド、快適なグリップストラップ、最大3枚のカードが収納できるスペースを備え、スタイルと実用性を兼ね備えた製品に仕上がっています。カラーは、ブラック、ブラック・カーボンファイバー、ブラウン、デザート・チタニウム、ダークブルーの全5色から、お好みに合わせてお選びいただけます。現在はブラックおよびデザート・チタニウムが発売中で、その他カラーは5月中旬に順次登場予定です。 3. 2023年-MagSlim マグネットモバイルバッテリー(10,000mAh、キックスタンド)2023年、レッドドット・デザイン賞およびiFデザイン賞のダブル受賞を果たした「MagSlim マグネットモバイルバッテリー」は、洗練されたコンパクトボディにQi2認証の15Wワイヤレス充電を搭載したデザインとテクノロジーを両立させた次世代のモバイルバッテリーです。 27Wの有線急速充電に加え、リアルタイムで確認できるLEDディスプレイや、角度調整可能なキックスタンドなど、機能性と利便性を備えています。さらに、強力なマグネット吸着により、スマートで安定した位置合わせを実現します。また、効率的な低発熱充電システムにより、より安全で安心な充電体験をお届けします。ブラック、ラベンダー、スカイブルー、チタニウム、ホワイトの5つのスタイリッシュなカラーバリエーションから、あなたのスタイルにぴったりの一台をお選びいただけます。 4. 2023年-ESR Shift マグネットケース革新的かつ多用途な「Shift マグネットケース」は、2023年のデビュー以来、業界初となる6つの使用モードを提供します。昇降可能な水平ビューイング、角度調節が可能な縦向きブラウジング、ローアングルでのライティングや描画、安定したタイピングに適した固定水平モード、ゲームに最適なマグネット着脱式の背面ケースによるハンズフリー使用、さらにはマグネットで冷蔵庫などに取り付けられるモードまで、あらゆるシーンに対応します。究極の安定性を追求して設計された高強度スタンドにより、膝の上でも、ソファでも、ベッドでも、どこでも快適かつ安定したiPad体験を可能にします。最高の視聴体験を可能にする6つのハイアングルと、創作作業にぴったりな3つのローアングル。合計9通りの角度調整が可能なShift マグネットケースは、日常のあらゆるニーズに柔軟に応えます。 未来のデザインに向けたESRの挑戦複数のレッド・ドット・デザイン賞を受賞したESRは、フォルム・機能性・革新性を融合させたハイテク製品のデザインで、業界をリードしていきます。これらの受賞は、世界中のユーザーのデジタルライフをよりシンプルに、そして豊かにするというESRの使命を体現するものであり、「Tech Made Easier」というブランド理念を強調するものとなりました。 発売予定製品:2025年10月-ESR CryoBoost(R) 折りたたみ式 3-in-1 マグネット充電ステーション About ESR: 16年の信頼と実績2009年に設立されたESRは、これまでに世界中で1億2300万人以上のユーザーにご愛用いただいている、テクノロジーアクセサリーを展開するグローバルブランドです。保護に加え、他機能を持つケースから、MagSafeの可能性を再考するワイヤレス充電器まで、私たちはハイテクをより使いやすくすることを使命としています。ESRの詳細については、以下をご覧ください。 ESRに関する最新ニュースや製品発表については、www.esrtech.comをご覧ください。またはX、Instagram、TikTokにてESRのソーシャルメディアをご覧ください。
ドジャースのロバーツ監督が驚愕!大谷翔平が“子どもの憧れNo.1”に「良いロールモデル」/大谷・山本由伸・佐々木朗希への“接し方”を大公開「朗希へは慎重に。彼を守りたいから」/「ABEMA」無料配信中
ドジャースのロバーツ監督が驚愕!大谷翔平が“子どもの憧れNo.1”に「良いロールモデル」/大谷・山本由伸・佐々木朗希への“接し方”を大公開「朗希へは慎重に。彼を守りたいから」/「ABEMA」無料配信中 「ABEMA」独占!ドジャース監督・デーブ・ロバーツ氏へのインタビュー企画『おはようロバーツ』 - 株式会社AbemaTV 新しい未来のテレビ「ABEMA(アベマ)」は、大谷翔平、ベッツ、フリーマンをはじめ、多くのスター選手が所属するロサンゼルス・ドジャースを率いて昨シーズンのワールドチャンピオンに導いた名将、デーブ・ロバーツ氏への「ABEMA」独占のインタビュー企画『おはようロバーツ』を、2025年5月5日(月・祝)朝8時より放送いたしました。(https://abema.tv/video/episode/239-209_s30_p5) ■ドジャースのロバーツ監督が驚愕!大谷翔平が“子どもの憧れNo.1”に「良いロールモデル」 先週に引き続き、シカゴに遠征中のロバーツ監督が滞在するホテルに潜入し、「ABEMA」でしか聞けない様々なトークをお届けしました。 放送日の「こどもの日」にちなみ、ロバーツ監督に「こいのぼり」をプレゼントすると、「素晴らしいね!」とニッコリ。日本にルーツを持つロバーツ監督に「子どもの頃の日本での思い出」について尋ねると、「おじいさんの軽トラで仕事についていったこと。あとは日本のいとこと野球をした思い出もある。芝なんてなくて、全部土のグラウンドだった。ボールも軟球で柔らかくて、アメリカの野球とは違った」と振り返りました。 また、日本の子どもたちに「憧れの人は?」と聞いた調査結果を紹介。お父さん、お母さんを抑えて1位に輝いたのは、なんと大谷翔平選手。この結果を聞いたロバーツ監督は「ワオ!」と驚きながらも、「翔平はとても素晴らしい人。世界で最も偉大な選手なのに、とても謙虚。努力家だし、みんなに対しても本当に親切。彼はとても良いロールモデルだから、ランキングの上位なのはいいことですね」と語り、ランクインを喜びました。 さらにロバーツ監督から日本の子どもたちへメッセージも。「やっていて楽しいこと、夢中になれることを頑張ってください。君たちの成功と喜びを心から祈っています」とエールを送りました。 ■大谷・山本由伸・佐々木朗希への“接し方”を大公開「朗希へは慎重に。彼を守りたいから」  チームの雰囲気が良い理由はロバーツ流の改革にあり?「これをやっているのはドジャースだけ」 また、新生活開始から1か月経ち、職場でのコミュニケーションに悩む人へ、ロバーツ監督流のコミュニケーション術を伝授してもらいました。 ロバーツ監督は大谷選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手の日本人3選手へそれぞれコミュニケーション方法が異なることを明かした上で、大谷選手へは「翔平にやる気を起こさせる必要なんてない。やりたいようにさせている。『調子はどう?』とは聞くが、彼は自分に厳しいから大丈夫」、山本投手へは「由伸は快適に過ごせているか尋ねるだけ。引き続き素晴らしい結果が出るように励ます。彼はいま自信を持っていて、それが重要なんです」、佐々木投手へは「朗希はうまくやれているかを確認する。彼にとっては初めての年ですし、自信をつけてほしい。朗希と接するときはとても慎重。私は彼を守ろうとしています」と言及。 さらに佐々木投手が3月30日(日本時間)のタイガース戦で2回途中で降板した際に、ロバーツ監督が気にかけていた印象的な場面について深掘りすると、「彼の自信が揺らいだと思ったんです。だから、励まして彼を支えないといけないと思った」と回顧。そして、「誰でも成功するには苦労するから、『完璧じゃなくていい』と伝えました。制球力を高めてもっとストライクを入れてほしかったり、もっと変化球を使えるようになってほしかったり、直球を信じられるようになってほしかったりすることも言ったが、最後に『私もコーチもチームメイトも、みんな信じている』と伝えました」と打ち明けました。 ほかにも、選手同士がコミュニケーションを深めるために、ロバーツ監督が“改革”したことを大公開。遠征時、ドジャースは選手用とコーチやスタッフ、チームに同行する人用にチャーター機を2台用意。1台のチャーター機に選手だけが搭乗しているのは「野球界でドジャースだけ」と明かした上で、「選手たちが一緒の時間を過ごして欲しいんです。移動中に関係性を築いてほしい」と狙いを語りました。 ■視聴者からの質問を直撃!もしも野球の仕事をしていなかったら…? さらには、ABEMA MLB公式X(https://x.com/MLB_ABEMA)にて視聴者から募集した質問に答えていただきました。 まずは「注目して欲しい選手は誰?」との問いに、ロバーツ監督はフレディ・フリーマン選手とトミー・エドマン選手の名前を挙げ、「フリーマンは打席や投球の度に毎回戦っています。まさに一球入魂。トミー・エドマンはプレーが大好き。ホームランも打てるし、盗塁もできる。なんでもこなせます。今年のオールスターに出場するでしょうね」と見どころを語りました。 また、「もし野球の仕事をしていなかったら何の仕事をしてる?」に対しては、「何らかのリーダーシップにかかわる仕事、コーチングのようなことですかね」と回答。そして、「不動産が好きですが、物件を売りたいかどうかは分からない。野球の監督ができて感謝しています」と笑みをこぼしました。ロバーツ監督への質問は、引き続き募集しています。 ■5月9日(金)から始まるダイヤモンドバックス戦へ向けて戦闘態勢「常に厳しい試合になる」 また、日本時間で5月9日(金)から始まるダイヤモンドバックスとの対戦について、ロバーツ監督は「いまは調子がそこそこですが、ダイヤモンドバックスはいいチームで常に厳しい試合になる。守備がいいし、投手陣もいい、パワーヒッターもいる」と評し、先ほどまでの柔らかい表情から一転して引き締まった表情を浮かべました。 なお、このダイヤモンドバックス戦の5月9日(金)の模様を、「ABEMA」にて無料生中継します。あわせてお楽しみください。 ■ABEMA『おはようロバーツ』概要 配信日時:毎週月曜朝8時~ #4配信日時:5月5日(月)朝8時~ #4視聴ページ: https://abema.tv/video/episode/239-209_s30_p5 ■ABEMA『MLB2025』 概要「ABEMA」では、日本時間平日(※1)に行われるMLB公式戦のうち、ドジャース戦全試合(※2)、カブス、パドレス、レッドソックス、オリオールズ、エンゼルス、タイガース、メッツなどを中心とした厳選485試合(※3)を生中継しております。 (※1)日本時間の祝日を含む月曜日から金曜日、(※2)平日開催のドジャース戦全106試合の中継を予定、(※3)中継予定は変更の可能性があります 番組ページ:https://abema.tv/video/title/239-209 PR映像:https://abema.tv/video/episode/239-209_s40_p999 ※画像をご使用の際は、【(C)AbemaTV,Inc.】のクレジット表記をお願いいたします
証券会社の口座「乗っ取り」被害が増加中 補償が難しいネット証券 2段階認証など「自衛策」を 横川楓
証券会社の口座「乗っ取り」被害が増加中 補償が難しいネット証券 2段階認証など「自衛策」を 横川楓   横川楓さん    株式投資をめぐって「困っている」という話題が続いています。ひとつは、アメリカの「トランプ関税」の影響で持っていた銘柄が下落し、利益がマイナスになってしまったというもの。もう一つが、投資に使っている証券口座の「乗っ取り」です。 *   *   *  私の周りで投資をしている人の間で最近、話題にあがっているのが、証券口座の乗っ取り被害について。投資に使っている証券口座を何者かに乗っ取られてしまい、持っていた銘柄を勝手に売られてしまったり、買われてしまったりして損をしてしまった……なんていう話が、SNSなどでも増えてきています。   「証券口座『乗っ取り』急増、2カ月半で1454件 金融庁が注意喚起」(4月18日配信、朝日新聞デジタル) 証券口座を乗っ取られ、勝手に中国企業株などを購入される被害が急増している。不正取引は2月~4月中旬で1454件に上り、金融庁が注意を呼びかけている。    記事によると、楽天、SBI、野村、SMBC日興、マネックス、松井の証券6社から、被害の報告が金融庁にあったそうです。  被害の内容としては、何者かが盗んだパスワードを使って他人の証券口座にログインし、保有していた投資商品を勝手に売却したり、ほかの株式など買い付けたりすることで、大きな損失を与えているというもの。  通常であれば、利益が出るタイミングを考えて株式などを売却するわけですが、それを無視して売られてしまうので、せっかく手に入れた銘柄で利益を得ることができなくなります。  また、まったく買う気のなかった銘柄を買われてしまえば、それが大して価値のないものであれば、二重に損をしてしまうわけです。   証券会社の対応は  ネットバンキングであれば通常、不正利用された被害者に過失がないならば、銀行側が原則、被害額を全額補償することになっています。      被害者に過失があった場合などでは補償の範囲が変わり、取り戻せる金額が減ってしまう可能性はありますが、とはいえ被害にあったときの補償があるのはありがたいことですよね。  一方で、ネットの証券業界は原則、補償はありません。会社側に過失がない場合は個人に対しての責任を負わないとされています(利用規約にそのように明記されている場合もあります)。  多くの人がネット証券で投資をしていると思いますが、何かがあった時の補償がないというのは怖いところです。    そして、この「乗っ取り」の被害の広がりを受けて、証券各社では被害を補償する動きがあると伝えられています。 「証券口座乗っ取り、顧客へ被害補償を検討 日証協が証券各社と調整」(5月1日配信、朝日新聞) 証券口座が不正アクセスで乗っ取られ、勝手に株式などの売買が行われている問題で、証券各社が顧客に被害を補償する方向で検討していることがわかった。日本証券業協会は、業界として一定の補償基準を示すため、各社と意見調整を進めている。基準づくりでは、顧客の過失の有無や程度に応じた補償の範囲などが焦点になる。  利用者の過失の有無や程度に応じて、補償の範囲がどうなるか……今後の動きが注目されます。   個人でどんな対策をすれば  証券口座にログインするには、パスワードが必要です。まずは、パスワードをわかりにくいものにすること。たとえば、名前などから連想できるものではなく、アルファベットや数字、記号を無意味に並べたものなどです。  そして、パソコンでログインするときに別のスマホに表示させたアクセスコードを必須にするといった2段階認証です。  万が一、パスワードを盗まれたとしても、簡単にはログインさせないことが重要です。      また、取引をしたときに自分にメールが届くように通知設定をしておけば、自分の知らないうちに取引が行われたとしても、その通知で「乗っ取り」に気づくことができるかもしれません。    最近では、メールなどから本物のウェブサイトとそっくりな偽サイトに誘導して、IDやパスワードを盗まれるケースが多くなっています。偽サイトは本当に見た目が似ていて、ぱっと見ではなかなか見分けがつかないほど巧妙です。  メールで案内が届いたら、メールに載っているリンクをそのままクリックせず、本当に正しいURLかどうか確かめるようにしましょう。    証券会社の対策や被害の補償についての動きも気になりますが。まずは自分にできる対策を講じておきしょう。 (横川楓)   横川楓(よこかわ・かえで)/1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融・経済アナリスト」として活動。一般社団法人日本金融教育推進協会代表理事。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓発、金融教育の普及に取り組んでいる。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)、『お金の不安と真剣に向き合ったら人生のモヤモヤがはれました!』(オーバーラップ)。   【こちらも話題】 身をもって体験した、「お金」と「知識」と「推し」で変わる生活 私が「お金の専門家」になった理由 横川楓 https://dot.asahi.com/articles/-/216230          
「いつかゴキブリを食べてみたい」 ゴキブリへの興味をどんどん広げる小6娘と、戸惑う母に話を聞いた
「いつかゴキブリを食べてみたい」 ゴキブリへの興味をどんどん広げる小6娘と、戸惑う母に話を聞いた ゴキブリ愛が止まらない娘の瑠香さん(小6)と、サポートする母・ルミ子さん  ある日、小学生の娘から「ゴキブリを飼いたい」といわれ、大いに戸惑いながらもサポートするのは、認定NPO法人REALs(リアルズ)理事長の瀬谷ルミ子さん。念願の飼育をスタートし、ますますゴキブリ愛を深める娘の瑠香さんは、最近では「ゴキブリを食べること」にも関心を持ち始めています。今回は芽生えた「好き」をどのように広げていったのかについて、瀬谷さんと瑠香さんに話を聞きました。※前編<ある日、子どもに「ゴキブリ飼いたい!」と言われたら? ゴキブリ嫌いの母が娘の興味に寄り添い、飼育をサポートするまで>から続く スマホの待ち受け画面も、やっぱりアレ 「先日娘と一緒に出かけたときに、娘がスマホを落としてしまって、ちょっと大変だったんです」と瀬谷さん。どうやら、拾われたスマホを受け取るときに少し困ったことが起こったようです。 「本人確認で『待ち受け画面は何ですか?』って聞かれたんです。もちろん娘のスマホの待ち受けは、“例のアレ”なので、つい答えるのをためらってしまって(笑)。そうしたら『本当に本人なのか?』と少し怪しまれてしまいました……」と苦笑いで振り返ります。  ちなみに瑠香さんの例のアレとは、一番の推しである「クロゴキブリ」。画面いっぱいに拡大されたその画像はインパクト抜群です。  学校でも、瑠香さんはゴキブリ好きを公言しています。英語の授業で、憧れの人や友達になってみたい人を紹介する課題が出たときも、その相手はなんと「cockroach(ゴキブリ)」。先生やクラスメイトはそんな瑠香さんの個性を温かく見守っているとのことです。  図工でも、クラス会の飾りつけも、もちろんモチーフはゴキブリ。ビーズなどを使い可愛らしく仕上げた作品もあります。5年生の自由研究ではゴキブリについて調べ、標本まで作成しました。毎週の自主学習ノートは、手描きでゴキブリ図鑑やゴキブリの体のしくみ、ゴキブリのルーツや天敵などを説明しています。 学校で制作したゴキブリをモチーフとした作品の数々 最近の自主学習ノート。先生からは「リアルすぎませんか」「すごい‼」などのコメントも  「同級生にとっては私がゴキブリ好きだということは常識で、『どうせまたゴキブリのことだろう』って思われてます。でも反応は気にならない」と瑠香さん。人と違うことを気にせず、自分の「好き」を貫く姿は、堂々としていて眩しく映ります。  瀬谷さんも「私自身が、人と同じことをするのもいいけど、人と違うことをするのにも大きな価値があると考えていて、普段から『人と違っていいんだよ』という話はよくしています。その影響もあるのかもしれません」と語ってくれました。 新たなゴキブリの飼育にも挑戦!  初めて育てたヒメマルゴキブリから時を経て、現在は2種類のゴキブリを育てているという瑠香さん。今回はどんな種類を選んだのでしょうか。 「今飼っているのは、ルリゴキブリとオオゴキブリです。オオゴキブリは飛ぶのも壁を登るのも得意ではないので、脱走の心配が少ないんです。」と瑠香さん。  ルリゴキブリは、瑠香さんの“師匠“でもあるゴキブリ研究者・柳澤静磨さんらが発見した新種「アカボシルリゴキブリ」などの仲間です。羽が自分の名前の由来でもある瑠璃色に輝く美しい姿をしていて、瑠香さんは以前から気になっていた種類だったそうです。  飼育ケースには腐葉土やミズゴケ、朽ち木を砕いたマットなどを混ぜ合わせ、それぞれのゴキブリに適した環境を作り、熱心に世話をしている瑠香さん。 現在、飼育中のオオゴキブリ(左)とルリゴキブリ(右) どんどん広がる興味「ゴキブリを食べてみたい」  瑠香さんは、最近では昆虫食にも関心を持っています。 「孫世代まで自分で繁殖すれば、人間にとって有害なものがあっても消えていると思うので、孫世代の数が増えたら、食べてみようと思っています」と語ってくれました。  実際、ゴキブリは食べられるのでしょうか。  ゴキブリ研究者の柳澤さんによれば、脚などを取り除いて素揚げにすれば食べることは可能なのだそう。ただし、柳澤さん自身が過去に調理して食べた際には、アレルギー反応によって体調を崩してしまった経験もあるそうです。  柳澤さんは、「日常的に虫を食べることをすすめているわけではありませんが、味を知ることで、その生き物に対する理解が深まることもあります。見た目が似ていても、種によってまったく味が違うこともあるようです。そういった気づきが探究心の入り口になるかもしれませんね」と言います。  以前、瑠香さんが柳澤さんに「ゴキブリを食べてみたい」と相談したところ、「ゴキブリアレルギーが出てからだと食べられなくなるから、食べるなら早いうちがいいよ」とアドバイスされたといいます。  「私は『食べるのはやめといたほうがいい』という話になるのかなと思ったのですが、いつ食べるかの話になっていて、娘も『善は急げということだ』となっていました」と瀬谷さん。 「さすがに、家のキッチンでゴキブリの素揚げをしてもらいたくないので、もし本当にやるとなったら、処分予定の古いフライパンを使って、カセットコンロを使ってもらうつもりです」と、苦笑い。 「食べてみたい半面、自分で命を奪うことには葛藤があるようです。自分で答えを見つけてもらいたいですね」 親の価値観を押し付けすぎないように  瀬谷さんは娘の進路や将来について、どのように考えているのでしょうか。 「私自身は田舎育ちで、親から進路について言われることもなく、自分で考え判断することが当たり前な育ち方をして、専門家がほとんどいない紛争解決の仕事をするようになりました。親の関わり方の影響って、思っている以上に大きいと思うんです。だからこそ、自分の価値観や意見を押しつけすぎないように日ごろから気を付けるようにしています。  たとえば私が海外の紛争地で働いているからといって、子どもたちに無理にその分野に興味を持たせようとしたり、影響を与えすぎたりはしないように心がけています。もちろん、自然に家族の会話や日常生活で仕事に関係することは出てくるし、その中で自然に興味を持つのならいいし、娘が実際におこづかいで私の団体に寄付をしてくれたこともあります。でも、他の分野や進路含めて『これが正しい』『こうあってほしい』とレールを敷くようなことはなるべくしないようにしています」。 「ゴキブリは必要な生きもの」多くの人に知ってほしい  ところで、瑠香さんがこれからやってみたいことは何でしょうか。  「南米などの海外に行って、オーロラゴキブリやミドリバナナゴキブリを採集してみたいです」と明るい表情で語ります。    一方、ゴキブリを駆除することについての考えも尋ねてみました。 「飲食店で出たら損害になってしまうし、駆除されるのは悲しいけれど仕方ない部分もあるとは思います。でもゴキブリは落ち葉や動物のフンを分解する働きもあって、森林や環境には必要な生きものです。家に出る種類だけじゃなくて、もっと様々な見た目や役割をしているゴキブリもいるんだって知ってもらえたら嬉しいです」と語ってくれました。  日ごろからニュースを見たり本や新聞を読んだりするのも好きで、世界や日本の動きにも関心があるという瑠香さん。最近は経済やお金にも興味を持ち、子どもでも100円からできる「ミニ株」にも挑戦。お気に入りのファミリーレストランの株を購入し、動きを見ているそうです。  ゴキブリから経済まで、幅広い興味を持つ瑠香さん、これからどのような道を進んでいくのか、とても楽しみです。 自由研究では、飼育しているゴキブリの様子や、毎日小学生新聞に掲載された瑠香さんのレポート原稿などをまとめた 本が大好きな瑠香さん。大人向けの子育て本、経済に関する本なども好んで読んでいる (取材・文/柳澤聖子) 〇瀬谷ルミ子(せや・るみこ) 認定NPO法人REALs(リアルズ:Rearch Alternatives)理事長。現在は、ガザ、シリア、アフガニスタン、南スーダンなどで争い予防や紛争解決、緊急支援に携わる。国連PKOや外務省で武装解除を担当。2022年The New York Times「世界に足跡を残す10人の女性」に選出。著書に『職業は武装解除』(朝日新聞出版)がある。現在、シリアの平和構築のためのクラウドファンディングを実施中。 ⇒ https://readyfor.jp/projects/reals2025  
なぜ運動会で組体操「ピラミッド」はつぶれたのか… 「順位」「勝ち負け」のない運動会に7割が「反対」【読者アンケート結果発表】 
なぜ運動会で組体操「ピラミッド」はつぶれたのか… 「順位」「勝ち負け」のない運動会に7割が「反対」【読者アンケート結果発表】    親世代からイメージが変わってきている運動会(写真はイメージ=GettyImges)    運動会と言えば「秋」の風物詩でしたが、最近は5月の開催も珍しくないようです。秋晴れの青空と万国旗の下、紅組と白組に分かれて子どもたちが競い合い、足の速い子がヒーローとなり、お昼は家族と一緒に弁当を囲み……最近はそんなイメージから大きく様変わりしているようです。AERA編集部が、最近の運動会の印象についてアンケートを実施したところ、順位や勝敗を決めない種目が増えていることについては「非常に反対」「やや反対」が7割超を占めました。 *   *   *  今回の読者アンケートのテーマは「小学校の運動会」。4月23日から30日にかけて実施し、694人から回答がありました。    まず、秋ではなく5月に運動会が実施されることについての意見を聞きました。 「非常に賛成」「おおむね賛成」はあわせて40.6%、逆に「非常に反対」「やや反対」は計30.5%。そして「どちらでもない」が29.0%で、意見がおおまか三分される形となりました。  賛成する理由として多かったのが「秋よりも熱中症のリスクが低い」こと。反対の理由として目立ったのは「新学期になって、子供がまだ学校、学級に慣れていない」ことでした。   「運動会はクラス学年、学校の土台が定まり、子どもたち落ち着いてから行うべき大きな行事です。練習時にはどうしても時間に追われ、廊下を走ったり、教師も手不足で目が行き届かなくなったりします。1年生などは学校の仕組みも分からないままに振り回されます。百害あって一利なしと感じます」(60代、女性) 「練習時間が少ないので、演技の完成度が下がる。クラス替えをして間も無くなので、子供の結束力が弱い」(40代、女性) 「団体競技のダンスなどの練習期間が短すぎて完成度が低く残念でした」(30代、女性)          子ども同士の「慣れ」や「一体感」については逆に、「学級が始まって間もないが、これを機にクラスが一体化できるという考え方もある」(50代、女性)との意見もありました。  また、熱中症のリスクについては地域性もあると思われ、九州の方からは「5月も熱中症のリスクが高い」という意見もありました。   運動会に「勝敗」がなければ…  そんな小学校の運動会では近年、順位や勝ち負けがつく種目を減らしたり、なくしたりする学校もあるようです。みなさんに意見を聞くと、「非常に反対」「やや反対」が71.9%と優勢。「賛成」「おおむね賛成」は12.6%にとどまりました。  反対の理由としては「勝ち負けがつく経験は必要だ」が突出して多く、続いて多かったのが「競争がないと盛り上がらない」。賛成の理由としては、「運動会は競争ではない」が最多でした。  この設問には、長文のコメントが多く集まりました。いくつか紹介します。 「全校みんなでダンスというのがあったが、見ていて特に何も感じず、つまらなかった。リレーで団の代表者をみんなで応援することは、一致団結の気持ちを体感できてよいのではないかと思う。オリンピックや世界選手権も同じです。自分ができないことを代表者に託し、まわりは一生懸命応援するというのも意義があると思います」(40代、女性) 「順位をつけないなら運動会である必要がない。楽しめるようにというのであれば、運動が苦手とか嫌いとかっていう児童のために運動だけではないお楽しみ会にして、自由参加にすれば良い。現実的にはそれは難しいということは解ると思うし、本来学校行事は社会性を身に着ける手段の1つと考えれば、順位や勝敗の必要性も教えるべきことで、その上で敗者に対するフォローやリスペクトの気持ちを教える場にすれば良いと思う」(50代、男性)     「どの子も輝ける場とするなら、運動の得意な子が輝ける場を保証するという意味でも勝ち負けはあった方がいいと思う。ただ、勝つためにはどうやったら勝てるか?など仲間と相談したり協力し合ったりする過程が大切なのであって、勝敗そのものが大事なわけではないので、そこを指導者がおさえて指導、啓発していけばよいと思うから」(50代、女性) 「運動が苦手な児童には憂鬱なイベントになるかもしれませんが、苦手なものをずっと排除はできないので、苦手な中でも楽しめることや自分でも得意なものを見つけること等、前向きになることも必要ではないでしょうか。走るのが苦手でもダンスを覚えるのは早いとか、競技リーダーや応援団で誰よりもチームを統率する力を培うとか。また、勝ち負けがつくからこそ喜びも悔しさも学べます。悔しさや挫折を知らないから、直ぐに心が折れたり、逃げたり、ゲームをリセットするように全てを投げ出してしまう人が増えているのではないかと思います。」(50代、女性)   運動会に順位は必要なのか?  逆に順位や勝敗をつけない運動会に、賛成の声も集まりました。 「勝ちと負けの勝敗の差が明らかに離れすぎると、『もう追いつけないよ』『頑張るの無駄じゃね」と最後までやり遂げる行為ができなくなる。運動をすることを目的とした行事が勝敗を決めることを目的とした行事に変わってしまう」(20代、女性) 「運動会は競争ではなく、楽しめる場(楽しむ場)であって欲しいと思います。私(50歳です)の時と比べても、小学生は既にたくさんの『競争』に晒されているので、学校生活くらいは楽しみ、クラスの仲間や友達と過ごす学ぶ場であって欲しいと個人的には感じています」(50代、男性)     「大した練習もせず身体能力の個人差が大きい子供時代に勝敗をつける意味を感じないから。授業のテスト(能力)でも順位をつけないのと同じで、体力だけ順位をつける(得意な人を目立たせる)ことに教育上有意義な意味があるとは思えない」(40代、女性) 「勝ち負けの結果がでることは悪いことではない。むしろいろいろなタイプの人間が存在するので、児童を含め多様な基準設定のアイデアを校内で募って、様々な基準で勝敗を付けるのも良いと思う」(60代、男性)     運動会の「大技」は復活してほしい?  ほかにも小学校の運動会は、学校によって様々なところで変わっているようです。回答者自身の小学生時代と比べて、どんなところが「変わった」と感じたのか、複数回答で聞きました。  最も多かったのが「午前中に終わる」の71.6%でした。そして、「家族といっしょに昼食が食べない」(63.6%)のほか、「保護者と一緒に参加する種目がない」(34.0%)、「平日に実施する」(23.3%)など。  そのほか、「朝に花火が上がらなくなった」(22.9%)や「露店がなくなった」(16.9%)などは地域性もありそうです。  そして、順位を競う種目のほかに騎馬戦や、子どもが上に乗っていく「ピラミッド」などの組体操などは、子どもが怪我をするリスクが高いとして、すっかり運動会で見なくなりました。  そんな変わりゆく運動会のなかで、「実施してほしい」と思う種目は何でしょうか。一番人気だったのは、子どもたちも応援席も盛り上がりそうな「チーム(学級など)対抗リレー」で、最多の64.6%。そして「徒競走」が48.3%でした。      さらに「綱引き」が48.1%、「玉入れ競争」の39.3%、「騎馬戦」の38.6%と続き、組体操(ピラミッド、タワーなどの大技)は30.5%などとなりました。  運動会の「大技」をめぐる思い出も、コメントに寄せられました。 「組体操はやらなくなり残念。組体操のピラミッドの1番上に立った経験があり、とても良い思い出だった。ただ練習で上から何度も落ちて危険は感じていたので、今はもうさせてもらえないのに納得している…」(30代、女性) 「組体操は危ないと思う。私(50代)自身、背が高いのでピラミッドの1番下でつぶれる練習で怪我していました。その当時は、裸足でやっていたので膝を怪我したり、当たり前でやってました。それもブルマーで。今なら膝パットとかハーフパンツ。当時からなんで?最後につぶれなくちゃいけないのか疑問でした。  騎馬戦も背が高いので下の中央で支える役目で重くて…それも我慢して、やってました。支えきれなくて先生には怒られたり…。組体操と騎馬戦はいらないと思います」(50代、女性) (AERA編集部)       【こちらも話題】 大阪・関西万博で「大阪方面の旅行はやめた」「GWは京都には近寄らない」 物価高や円安が旅行計画に影響【読者アンケート結果発表】 https://dot.asahi.com/articles/-/255207  
母の日ギフト、早くも夏対策需要!熱中症・紫外線UV対策ギフトの「母の日ギフト 売れ筋ランキング 夏の暑さ対策編 TOP10」を発表。2025年は、日傘や帽子などのUV対策ギフトが母の日のトレンドに。
母の日ギフト、早くも夏対策需要!熱中症・紫外線UV対策ギフトの「母の日ギフト 売れ筋ランキング 夏の暑さ対策編 TOP10」を発表。2025年は、日傘や帽子などのUV対策ギフトが母の日のトレンドに。 母の日に特化したメディアサイト「母の日.me」調べ。 - Groov株式会社  母の日ギフト専門情報メディア「母の日.me」(https://hahanohi.me/)は、2025年のゴールデンウィーク及び母の日に向け、全国的な高温予想を受け、注目が高まる「熱中症・紫外線UV対策」となる「母の日ギフト 売れ筋ランキング 夏の暑さ対策編 TOP10」を発表いたします。  なお、本ランキングは、「母の日.me」におけるアフィリエイト成果報酬実績と検索キーワード流入数に基づき集計したものです。 情報公開URL:https://hahanohi.me/uv-protection_rank/ 母の日ギフトでUV対策アイテムの人気が高まる背景  近年、気候変動に伴い、春先から夏季並みの高温や強い紫外線が観測される傾向にあります。このような状況を受け、母の日ギフトにおいても「紫外線対策」や「熱中症予防」といった実用的なニーズが高まっています。  特に日傘や帽子は、取り扱いが安易でUVカットと熱中症予防の効果が期待できる上、ファッションアイテムとしての多様性も兼ね備えているため、幅広い世代から支持を得ています。  また、UVカット加工や接触冷感素材などの高機能素材を採用した日傘や帽子の増加も、ギフトとしての魅力を高める要因の一つです。贈ったその日から活用できる実用性と、健康を気遣う思いやりが伝わる点が、多くの支持を集めています。 母の日ギフトに「UV対策アイテム」が人気の理由 夏対策の需要期と母の日の需要期が一致するため  2025年の母の日は5月11日(日)です。例年、5月は気温が上昇し始め、紫外線量も増加する時期であり、夏に向けた対策への関心が高まります。特に、気象庁の発表でも全国的に夏日となる日が予測されていることから、熱中症対策や紫外線対策への意識は例年以上に高まると考えられます。 このように、母の日ギフトの需要期と、夏の暑さや紫外線への対策が必要となる時期が重なるため、実用的な「熱中症・紫外線UV対策」アイテムは、お母さんの健康を気遣うギフトとして非常に合理的な選択肢となります。贈る側としても、感謝の気持ちを伝えつつ、これからの季節に役立つ実用品を贈れるというメリットがあります。 体を守りたいという気遣うギフトとして最適なため  春から夏にかけての季節は、紫外線量が急激に増加し、肌ダメージや熱中症リスクが高まります。 帽子や日傘といったUV対策アイテムは、日差しをダイレクトに遮り、体への負担を軽減する実用的なアイテム。「元気でいてほしい」「無理せず外出を楽しんでほしい」という想いをカタチにできる、思いやりが伝わるギフトとして最適です。 おしゃれと実用性を兼ね備えているため  最近のUV対策は、単なる“日よけ”にとどまらず、素材・形・デザインにこだわったおしゃれなものが多数登場。普段のコーディネートにも自然になじむアイテムが揃っています。「健康」と「ファッション」を両立できるのが、今の日傘や帽子ギフトの魅力です。 サイズ選びの心配が少ないため  母の日ギフトの場合、お母さんのサイズ選びに苦慮することがありますが、洋服のようにサイズ感を気にせずに贈れるのも、日傘や帽子のメリットです。「せっかく贈ったのにサイズが合わない」という心配が少ないため、ギフト初心者にも選びやすい安心アイテムです。 すぐに使えて長く愛用できるため  日差しが強くなる春~夏はもちろん、初秋まで長く活躍。お出かけ・散歩・ガーデニング・旅行など、様々なシーンで使えるため、「すぐに実感できるギフト」として満足度も高め。 大げさすぎず、でも日々の暮らしに寄り添う贈り物として、まさに母の日にぴったりです。 熱中症・紫外線UV対策になる母の日ギフトの売れ筋ランキングTOP10  「母の日.me」では、これからの季節に活躍するUV対策アイテムを中心に、実用性とデザイン性を兼ね備えた母の日ギフトの売れ筋ランキングTOP10を集計しました。お母さんへの思いやりを形にするギフト選びの参考に、ぜひご覧ください。 1位 SYUU春夏秋冬:母の日ハット UVブリムHAT 母の日ラッピング仕様 強い日差しからしっかり守るUVカット率99%以上、さらに完全遮光生地を使用した、紫外線・熱中症対策に最適な日傘がランキングで1位を獲得!晴雨兼用だから、晴れの日も急な雨もこれ一本で安心。コンパクトにたためて持ち運びやすく、軽量設計なのも嬉しいポイント。カラーバリエーションは11色!エレガントなデザインで、毎日の外出をおしゃれに演出してくれます。  健康を気遣う気持ちと、ちょっとした贅沢感を同時に届けられる、今注目の母の日ギフトです。 価格:ギフトラッピング付きは3,500円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank1 2位 おいもや:エレガントな美シルエットにうっとり つば広キャペリンEden 人気ショップ「おいもや」のつば広帽子が2位にランクイン。顔まわりをしっかり覆って紫外線カット率99%以上を実現。さらに、通気性抜群の素材を使用しているため、暑い日でもムレにくく快適なかぶり心地が続きます。つば部分にはしっかりとハリがあり、型崩れしにくいので、きれいなシルエットをキープ。コンパクトに折りたためるので、外出時にもバッグにすっきり収納可能。  おしゃれと機能性を兼ね備えたこの帽子は、熱中症・紫外線対策を考えた、今注目の母の日ギフトにぴったりです。さらに、香りが癒されるシャボンブーケと自慢のお芋スイーツの満足セットです。 価格:6,380円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank2 3位 便利生活とタオル いつものみせ:水の気化熱で温度を下げる今治タオルマフラー 水の気化熱で温度を下げる冷感タオルが母の日ギフトランキングで3位に輝きました!水に濡らして絞るだけでひんやり感が快適な、これからの季節に大活躍のアイテムですUVカットの効果もあり、暑さと紫外線対策が同時に可能。タオルマフラーとしても年中使えます。軽量・コンパクトなので持ち運びも簡単、外出時やガーデニング、ウォーキングにも大活躍します。  暑い夏を快適に過ごしてほしいという気持ちを込めて、お母さんに贈る“実用性抜群の母の日ギフト”におすすめです。 価格:3,300円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank3 4位 山田養蜂場:植物から生まれたミツバチUVミルク 日焼け止め特別セット 植物のチカラだけで紫外線をカットする、まるで美容液のような日焼け止めです!お米の力で紫外線をカットしながらスキンケアをしてくれます。SPF・PA値が高く、紫外線からしっかりガードできる優秀アイテム。UV対策はもちろん、軽いテクスチャーで毎日心地よく使えるので、これからの暑い季節に大活躍間違いなしです。熱中症対策にも繋がる、賢いスキンケアアイテムとして人気急上昇中。5つの天然由来成分配合でしっとり、ふっくら、柔らかな肌に導いてくれます。母の日限セットはマヌカ蜂蜜と刺繍ポーチが付いてきます!肌を守りながら、おしゃれも楽しんでほしい。そんな想いを込めて、今年の母の日は、紫外線対策をスマートにサポートする実用的なプレゼントを選んでみませんか? 価格:4,730円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank4 5位 コーズィルーム:超軽量折りたたみ式レディース日傘 シリーズ累計2500万販売を誇る人気ブランドCOZY ROOMの折りたたみ傘。1つ1つ職人の手作りで安全で信頼性の高く、安心してお母さんにプレゼントできる商品。日傘は紫外線から守るだけでなく、夏の暑さ対策としても効果的で、日傘を利用するとマイナス10℃の効果が得られるため、外出機会の多いお母さんなどにピッタリ。重さも120gと超軽量でいつでも持ち運びできて携帯に便利です。 価格:2,480円~(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank5 6位 クイーンヘッド:紐付き麻ポリブリムハット 紐付きの麻ポリブリムハット「UVブリムHAT」が母の日ギフトランキングで1位を獲得!この帽子は、シンプルで洗練されたデザインと実用性が人気の商品。広いつばが首の後ろまで紫外線からしっかり保護し、どんな装いにも合わせやすいのが特徴。母の日限定の特別ラッピングも魅力の一つ。メッセージカードやカーネーションの造花が同梱され、感謝の気持ちを美しく表現点も支持される理由の1つ。「UVブリムHAT」で、お母さんに感謝を形にしてプレゼントしてみては如何でしょうか。 価格:4,800円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank6 7位 帽子屋 Loo&c:遮光100%UVカットレディースハット つばが長いタイプと通常のタイプが選べる遮光100%のUVカット対策のレディースハットがランクイン。脱着可能なあご紐や、3サイズ15カラーと豊富な選択肢から選べるのも人気のポイント。楽天市場で年間1位の実績もある人気売れ筋商品です 価格:3,960円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank7 8位 グローブデポ【手袋と靴下専門店】:冷感レースアームカバーUV最大99%カットで高機能なアームカバー。接触冷感で猛暑でもひんやりとした触り心地で気持ち良いさわやかさが持続。エレガントなレースが特徴で程よい立体感とさわやかな手触りが特徴。それぞれ柄違いのレースで5種類のデザインから選べます。 価格:2,500円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank8 9位 ストール・傘専門店 macocca:選べる19色!UV対策大判無地ストール 生地の生産から自社でオリジナルで生産を行うこだわりのメーカーmacoccaの大判ストールがランクイン。すべすべの肌触りと柔らかさが特徴で肌の弱い方にも刺激が少なく年中着用できるのが便利です。シーズンごとの流行色を取り入れて反映されている19色から選べて、さわに無地のためどんな服にも合わせやすい人気ストールをお母さんにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。 価格:1,980円~(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank9 10位 芦屋ロサブラン:紫外線対策用の高機能レディースサングラス 肌だけでなく“目から入る紫外線”までしっかりガードする、メラニンレンズ採用の高機能サングラス。日差しが強くなるこれからの季節、シミや日焼けを本気で防ぎたいお母さんにぴったりのアイテムです。ブルーライトもカットするので視界もクリア。普段使いしやすいデザインも魅力です。 価格:6,380円(税込み) https://hahanohi.me/uv-protection_rank/#rank10 2025年の母の日においては、健康意識の高まりと気候変動の影響を受け、“紫外線対策&暑さ対策”をテーマとしたギフトが新たな注目トレンドとなっています。 UVカット帽子、日焼け止め、冷感アイテムといった、実用性と快適性を兼ね備えたギフトは、お母様の健康を気遣うとともに、おしゃれ心も満たす贈り物として支持を集めています。本年の母の日には、日差しや暑さからお母様を守り、より快適な毎日を応援する“夏を守るギフト”をご検討ください。 ■母の日ギフト売れ筋ランキング 熱中症・紫外線対策編 TOP10 詳細URL https://hahanohi.me/uv-protection_rank/  母の日ギフト専門情報メディア「母の日.me」(https://hahanohi.me/)は、2025年の母の日に向け、ギフト選びの参考となる最新情報とランキングを提供し、皆様のギフト選びをサポートいたします。この度発表いたしました「母の日ギフト売れ筋ランキング」が、お母さんにお喜びいただける素敵なプレゼント選びの一助となれば幸いです。  今年の母の日が、日本中で感謝が溢れる日になりますように。  皆さまの母の日が素晴らしい思い出として末永く残るよう、お祈り申し上げます。 ■関連プレスリリース 2025年5月2日配信 【速報】母の日ギフト2025年トレンド予測発表!2025年のトレンドは「節約志向vs高級志向」「予算の壁、引き下げ」「花より実用性」「美ギフト人気」「ソーシャルギフト元年」「体験ギフトから共感ギフト」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000098805.html ■母の日.me PV及び成果件数 調査概要 調査主体:母の日.me( https://hahanohi.me/ ) 調査方法:Google Analytics アクセス数、及び楽天アフィリエイト成果報酬件数 調査対象:有効アクセス数 53,015件、成果報酬成約件数 1,101件 調査期間:2025年4月1日~4月30日 ※楽天アフィリエイト成果報酬件数は、未確定・保留も含みます。また、父の日.jp等、Groov(株)の他メディアサイトの合算での実績値のため、一部「母の日」に関連しない数値も含みます。 ※母の日.me内での露出や広告掲載により、ランキングに影響を与えている可能性があります。それらの可能性を排除しない「実績値」でのランキング集計となります。 ※Google Analytics、及び楽天アフィリエイトレポートを参照しています 母の日.meについて ■母の日.me メディア概要 2025年の母の日は、5月11日(日)。 母の日についての様々な情報を発信している、母の日に特化した情報メディアサイト「母の日.me」では、毎年の母の日はいつ?を解決してくれるコンテンツをはじめ、今人気の母の日ギフト・プレゼントがわかる300以上のギフトランキングなど、プレゼント選びでお悩みの方に役立つ情報を発信しています。 また、ギフトの予算、どこで購入しているか、選ぶ時に重視するポイントなど、みなさんの気になる「世間のギフト事情」も定期的に調査していますので、これから贈り物を選ぶ方は、ぜひアンケートを参考にしてみてください。 URL:https://hahanohi.me/ X:https://x.com/hahanohi_me Facebook:https://www.facebook.com/hahanohi.me/ 運営会社:グルーヴ株式会社 (千葉県柏市) ゴールデンウィーク期間中の営業時間外、もしくはお急ぎの場合は、担当者直通の携帯電話までご連絡ください。 :070-9119-3007 ・関連メディア 父の日.jp:https://chichinohi.jp/ 父の日についての様々な情報を発信している、父の日に特化した情報メディアサイト。 敬老の日.jp:https://keirounohi.jp/ 敬老の日についての様々な情報を発信している、敬老の日に特化した情報メディアサイト。 グルーヴ株式会社について グルーヴ株式会社は、母の日.meや父の日.jpなど、ギフト特化型WEBメディアサイトの運営と、EC×DX化の企画・支援事業やECでのソムリエの機械化を推進し、ユーザーが求める商品を提案する診断提案型ECシステムの構築を支援する事業を中心とした会社です。 グルーヴ株式会社 : https://www.groov.co.jp/
富士山噴火で東京に「火山灰」4.9億㎥の戦慄 2時間で都市機能はマヒ、必要な備蓄は「大地震」以上と識者
富士山噴火で東京に「火山灰」4.9億㎥の戦慄 2時間で都市機能はマヒ、必要な備蓄は「大地震」以上と識者   雄大な富士山は日本人の心象風景のひとつでもある。富士山噴火に備える動きが進んでいる(撮影/米倉昭仁)  富士山が噴火すると、各地の被害はどれほどか。被害を最小限にするためにはどうすればよいのか。今年3月、内閣府は富士山噴火の「降灰」に関するガイドラインを公表した。首都圏に暮らす人も内容を知り、備えておくことが肝要だ。 *   *   * 富士山噴火で「火山灰警報」  富士山で大規模な噴火が発生すると、いったい何が起こるのか。  気象庁の有識者検討会は4月25日、3月に公表された「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」に基づき、「火山灰警報」の導入を提言した。  富士山が噴火しても、首都圏ならばそこまでの影響はないだろう。そう考えているかもしれない層に、同検討会座長で、内閣府の「首都圏における広域降灰対策検討会」の座長も務めた藤井敏嗣東京大学名誉教授はこう警鐘を鳴らす。 「確かに溶岩流や火砕流は、東京には到達しないと予想されています。けれども、安心できるわけではまったくありません」 噴火後1、2時間で東京の空は暗くなる  藤井名誉教授によると、富士山が爆発的に噴火して上空8000メートル以上に達した噴煙は、ジェット気流によって非常に速い速度で東へ移動するという。 「噴火後、わずか1、2時間で東京の空は夕方のように暗くなり、火山灰が降り注ぐでしょう。都市機能はまひします」(藤井名誉教授)  藤井名誉教授が強調するのは、「火山灰」の恐ろしさだ。  火山灰が降り積もると、首都圏でも甚大な被害が出ると予想される。 鉄道は停止、道路も渋滞  まず、影響が出るのは市民の足である鉄道だ。 「0.5ミリ程度積もっただけで地上路線の運行は停止せざるを得ないでしょう」(同)  火山灰がレールを伝わる電気信号を遮断し、信号機や踏切を制御する装置に誤作動を起こす恐れがあるためだ。  火山灰が降っている間は見通しがきかず、車の運転も困難になる。たとえ、降灰が止まっても道路に火山灰が1ミリ以上積もった場合、車が出せる速度は30キロ程度。視界不良やスリップの危険性から渋滞が発生する。  車の運転も困難になる。道路に火山灰が1ミリ以上積もった場合、車が出せる速度は30キロ程度。視界不良やスリップの危険性から渋滞が発生する。 帰宅困難者が大量に  電車が止まり、バスもタクシーも使えなくなれば、日中であれば、都心は帰宅困難者であふれるだろう。  再開までの道のりも、遠そうだ。 「鉄道の運行を再開するにはレールに積もった灰を人海戦術で除去するほかない。しかし、公共交通機関が止まった状態で首都圏の鉄道網を維持できる人員を集められるのか、疑問です」(同)  さらに心配されるのが、帰宅困難者たちの状況だ。 インバウンド客にも大人気の富士山(撮影/米倉昭仁) マスクやゴーグルが必須  交通の手段がなくなり、徒歩で帰宅しようとする人々は、降り注ぐ火山灰にまみれることになる。火山灰は鼻やのど、気管支、肺などを刺激し、呼吸がしづらくなる。特にぜんそくなどの呼吸器疾患を持つ人は、発作を起こす恐れがある。  火山灰には「火山ガラス」の破片が多く含まれており、目に入れば、角膜を傷つける恐れがある。鹿児島出身で降灰を経験したことのある男性は、「目がチクチク痛かった。ゴーグルで目を覆わないと防げない」と話す。 「マスクは必須ですし、コンタクトレンズを入れているなら、外したほうがいい。目を守るためのゴーグルは事前に準備しておかないと、対応は難しいですし、マスクは品切れになってしまうことも予想されます」(藤井名誉教授、以下同) 断水に水道局も対策、広域停電のリスク  降灰地域では、「断水」の恐れもある。火山灰にはフッ化水素、塩化水素、二酸化硫黄などの「火山ガス」成分が付着している。浄水場に降り注げば水質は悪化する。浄水場の処理能力を超えれば、飲用が難しくなる。東京都水道局では、浄水場のプールのような施設に「ふた」をする対策を進めているという。  ライフラインを維持するうえで、藤井名誉教授が最も心配するのは「広域停電」だ。  送電線には電線から鉄塔や電柱に電気が流れないようにするため、「がいし」と呼ばれる陶磁器製の絶縁器具が使われている。がいしに火山灰が付着して雨に濡れると、絶縁性能が低下し、停電してしまう。 「東京湾岸には火力発電所が集中していますが、その吸気フィルターが火山灰で目詰まりしてしまう。フィルターの交換が追いつかない場合も停電する恐れがある」 停電すれば病院機能の停止も  停電すれば、鉄道や携帯電話の基地局、水やガスを送り出すポンプも止まる。病院の医療機器も使えなくなる。非常用電源があっても、通常は3日が限度だ。 「高齢者や病人など、火山灰の間接的な被害で命の危険にさらされる人もいます。電気の確保は重要な課題です」  たとえば病院の機能が停止すれば、患者は医療を受けられる地域に避難しなければならない。スムーズな移動を実現するうえで、カギになるのが道路の確保だ。 「緊急輸送路」は噴火から4日目の朝  3月の「ガイドライン」は、噴火から4日目の朝に「緊急輸送道路」の火山灰の除去が終了する、とした。しかし、この想定には人員や資機材の確保・配置、燃料の補給体制、事故・放置車両の撤去などが考慮されていないため、実際の除去作業にはさらに時間がかかるだろう。 まずは「自宅で避難生活」が基本  そんな火山灰まみれの首都圏から遠方に避難したいと考える人も多いかもしれない。しかし、人口が密集する首都圏から一斉に避難するのは、交通の点からも避難所確保の点からも現実的ではない。火山灰の重みによって木造家屋が倒壊する恐れのある地域以外は、「できる限り自宅などで生活を継続することが基本」になる。 「首都直下地震対策では1週間分の水や食料などの備蓄が推奨されていますが、降灰対策ではそれ以上の備蓄が望ましい。噴火が長引く可能性もあるためです」  水や食料、防塵マスクや防塵ゴーグルのほか、スコップなど清掃用具もあったほうがよいという。 東日本大震災「災害廃棄物」の10倍の火山灰  富士山の大規模噴火で予想される火山灰の量は驚異的だ。  たとえば、2021年8月、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」は、国内で戦後最大級となる噴火を起こした。大量の火山灰のほか、軽石を噴出し、南西諸島に漂着した。  だが、富士山の大規模噴火となると、この規模をはるかに上回る。「ガイドライン」が想定したのは、江戸時代の「宝永噴火」(1707年)と同規模の噴火だが、桁が違うのだ。 「21年の福徳岡ノ場の噴火の噴出量はせいぜい1億立方メートルだと推測しますが、富士山の宝永噴火はその20倍近い、17億立方メートルです」  最悪の場合、噴火発生から約2週間後に神奈川県などで30センチ以上、都心でも10センチ程度、火山灰が積もると予測されている。  処分が必要と想定される火山灰の量は約4.9億立方メートルで、東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍にあたるという。 噴火の数時間から数日前に兆候  いまのところ、富士山に噴火の兆候はない。Xデーはいつ来るのか。  藤井名誉教授は言う。 「噴火の数時間から数日前には何らかの兆候がまず間違いなくとらえられると思います」  だが、それ以前は「普段と違うことが起こっても、それが噴火につながるのかはわからない」という。  さらに、最悪のケースについても知っておきたい。宝永噴火を超える、超大噴火の可能性だ。有史以前には宝永噴火より大きな噴火が何回も起こった。 「噴火はいつ起こるかわかりませんが、噴火すれば、その影響は広い地域ですぐに表れる。平時からの備えが重要です」 (AERA編集部・米倉昭仁)
ChatGPTよりずっとすごい…孫正義氏が「10年以内に生活がガラッと変わる」と言い切った"次にくるAI"の正体
ChatGPTよりずっとすごい…孫正義氏が「10年以内に生活がガラッと変わる」と言い切った"次にくるAI"の正体 ※写真はイメージです(gettyimages)    AIはこれからどう進化していくのか。サイエンス作家の竹内薫さんは「人間の喜怒哀楽を自ら学習して理解する汎用人工知能AGIが注目されている。ソフトバンクの孫正義さんは『AGIは10年以内に実現する』と予言している」という――。 ※本稿は、竹内薫『スーパーAIが人間を超える日 汎用人工知能AGI時代の生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 人間の感情を理解するスーパーAI  近年、AI(人工知能)はこれまでにはない急激なスピードで進化し、私たちの暮らしやビジネスにおいて身近なものになりました。  さらなる進化が期待されるAIの中でも、いま特に注目を集めているのが「AGI(汎用人工知能)」です。  AGIとは「Artificial General Intelligence」の略称で、人間のような高度で幅広い知能を持つ、極めて汎用性の高いAIです。  AGIが従来のAIと大きく異なるのは、まるで人間のように思考し、なおかつ人間の感情を理解する能力を持っていること。本来人間が持つ「喜怒哀楽」といった特有の感情を学習しながら自ら進化できる。まさに、万能型の「スーパーAI」とでもいうべき存在がAGIなのです。  例えば、仕事をしているあなたの顔色や声のトーンから疲労度を察知してコーヒーを淹れてくれたり、肩が凝ったなという表情や動作を察知してマッサージをしてくれたりするヒューマノイド型AIを想像したら、何だかワクワクしてきませんか。  あるいは、今日は子どもの誕生日だから残業せずに早く家に帰りたいといったときに、  「今日はお子さんの誕生日ですね。あとの仕事はお任せください」とその日のうちに片づけなければならないタスクをAIが引き受けてくれたら、「なんて気配りができるAIだ!」と、最高のビジネスパートナーとして迎え入れるのではないでしょうか。  AGIはある特定のタスクをこなす従来の特化型AIとは異なり、ありとあらゆる知的活動をこなすことができるため、その応用範囲は計り知れないといわれています。このような能力をビジネスや日々の生活に応用すれば、AGIは私たちが生きるこの世界に大きな革命をもたらす可能性があるのです。 AGIで私たちの未来はどう変わるのか?  「コーヒーを淹れてくれるだけのAIなら、あまり役に立たないのでは?」  そんな声も聞こえてきそうですね。では、AGIがいったいどのようにビジネスで役立つのかについて、もう少し深く切り込んでみましょう。  人間のような高度で幅広い知能を持ちながら感情を理解する能力を持っているAIと聞いて、まず思いつくのがコミュニケーションの領域です。AGIが実現すると、より人間に近いコミュニケーションが可能となります。  AIによるコミュニケーションと聞いて、皆さんが真っ先に頭に浮かべるのは、「ChatGPT」ではないでしょうか。  もはや説明は不要かもしれませんが、ChatGPTはアメリカのオープンAI(OpenAI)が開発・提供している対話型のAIサービスです。2025年2月時点で全世界のユーザー数はおよそ4億人を超えたと推計されています。  皆さんのなかにも、「ChatGPTを使ったことがある」という方も多いと思いますが、ChatGPTはあくまでも人間からの質問に対して答えを導き出しているAIに過ぎません。いわゆる「生成AI」というものです。  一方で、AGIは人間と変わらない対話が可能になると期待されています。  わかりやすい例でいえば、カスタマーサポートやコールセンターです。従来のAIでは、顧客のクレームなどに対して極めてマニュアル的な対応しかできず、ときに火に油を注いでしまうケースも少なくありませんでした。  ところが、AGIは顧客のクレームに対して顧客の感情を読み取るので、最適なソリューションを提供することが可能になります。顧客の気持ちを瞬時に酌み取ることができる、いわば「忖度できる」AIがAGIなのです。 高度な意思決定も可能に  AGIのビジネス活用はまだまだあります。  そのひとつが意思決定です。AGIは、自主的で高度な意思決定も可能となります。例えば、あなたがビジネスにおける重要な意思決定に迫られたとしましょう。  あなたが何かしらの意思決定を行うとき、これまで蓄積してきた知識や過去の経験、あるいは直感を頼りにするでしょう。  でも、ひとりの人間が一生のうちに蓄積できる知識量や経験数には限界があり、直感を頼りにしても時に誤った意思決定をしてしまうこともあるはずです。  そんな時、AGIを活用することで、膨大な学習データから導き出した最適な意思決定のサポートをしてくれるのです。  さらには、クリエイティブな領域にもAGIは強力なサポートを発揮してくれます。これまで、「クリエイティブな分野は人間ならではの仕事」と考えられていましたが、AGIの登場によって、斬新なアイデアを生み出すのが容易になることは間違いありません。  AGIは膨大な学習データを持っているだけではなく、人間の持つ欲望や満足感といった感情を考慮したアイデアを生み出すことができるため、人間には到底思いつかないようなアイデアを創造できるようになるのです。それによって文学から音楽、イラストや映像の生成といったクリエイティブな活動に大きな革新をもたらすでしょう。  詳しくは後述していきますが、ほかにもAGIがビジネスにどれほどの恩恵をもたらすのか、実にさまざまな仮説を立てることができます。AGIの登場により、新たなビジネスモデルやサービスが生まれ、新たな市場が形成されることは想像に難くありません。  もちろん、ビジネスの分野だけではなく、教育や医療、科学技術などあらゆる分野でAGIは大きな可能性を秘めているのです。 AGIは、いつごろ実現するのか  では、万能型AIと呼ばれるこのAGIは、いつごろ実現するのでしょうか。実は、近年驚くべき発展を遂げているAI分野においても、AGIは未だ実現していないのが実情です。  現在、世界のありとあらゆる企業や研究機関がAGIの研究と開発に積極的に取り組んでいます。世界最先端のAGI研究開発に取り組んでいるのが「ChatGPT」を世に送り出したOpenAI、さらにはGoogleやMicrosoftなどが、AGIの実現に向けて日夜研究開発に勤しんでいるのです。  2025年の3月末時点でのAGIに向けた進展を眺めてみましょう。  24年9月にはOpenAIが、ChatGPTのモデルo1(オーワン)において、数学オリンピックの予選問題の正答率が8割に達したと発表しました。これは私にとってはかなりの衝撃でした。なぜなら、ChatGPTが初めて公表された際には、「100かける100かける100はいくつ?」という問いかけに対して、「100万」と答える一方で、「もう一度聞くよ? 100かける100かける100はいくつ?」と再考を促すと「10億」などと頓珍漢な答えが返ってきていたからです。  仕方ないので、かなり長い間、私はChatGPTが苦手な数学関連の話題を扱うときは、数学に特化したWolfram GPTを使っていました。それが、いまや、ChatGPT単体で、数学が得意になってしまったのです。  ええ? これって、生成AIがより万能になった……つまり、汎用AIに大きく一歩近づいた、ということなのでしょうか。  この本(『スーパーAIが人間を超える日』)を書き始めた時から1年も経っていないのに、こうやって、「はじめに」で最新の状況を追記しないといけないほど、AIの進化速度は驚異的です。 AIが自分を開発した人間よりも上になった  ところが、この状況は、24年の12月にさらに変化しました。モデルo3(オースリー)が発表され、数学オリンピック予選の問題の正答率は9割をはるかに超え、さらには「ChatGPTを開発しているオープンAI社のプログラマーのうち、プログラミング技能においてo3に勝てるのは二人しかいない」という驚くべき状況になったのです。これはつまり、自分を開発してくれた人間たちよりも、生成AIの方がプログラミング技能において互角もしくは上になった、ということです!  たとえば将棋や囲碁において、かつて起きたことを振り返ってみれば、最初は「プロに初めてAIが勝ちました」という状況から始まり、あっという間に、「もう人間のプロはAIに勝てなくなりました」となったのです。プログラミング技能においても、おそらく、将棋や囲碁と同じパターンで、近い将来、「人間のプログラマーは完全にAIに勝てなくなりました」という結果になるのでしょう。  よくテクノロジーの世界で「日進月歩」という言葉が使われますが、AIの進化は、ますます加速しているような気がします。AIはどんどん常識を塗り替えていきます。  しかし残念ながら、人間の側は、そんなにすぐにはこれまでの生活習慣を変えることができません。AIが数カ月で大幅に進歩したからと言って、人間が仕事のやり方をガラリと変えて、AIをうまく取り入れるのは難しいのです。となると、「バージョンアップが来た!」という瞬間から動き始めても、とうてい間に合いません。  日頃から、AI関連の最新ニュースに注目し、少しでも進化の予兆を掴むようにして、いざ大きな革新が来たときには、職場の配置転換を行ったり、AIで一気に業務効率を上げたりしていかないと、取り残されてしまいます。  AI先進国というと、すぐにアメリカの名が頭に浮かびますが、24年度のノーベル物理学賞がカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントンさんらに与えられたことからもわかるように、アメリカの隣国カナダも捨てたもんじゃありません。北米は世界のAI開発の中心です。 「AGIの世界が10年以内にやってくる」  でも、ここにきて、北米から遠く離れた中国発のディープシーク(DeepSeek)が彗星のごとく現れ、開発期間が短期で開発費用も安価だったのに非常に高性能であることがわかり、世界中に衝撃が走っています。  すると、「DeepSeekは、ChatGPTを先生役として開発された疑いがある(いわゆる「蒸留」と呼ばれ、使用規約に違反)」「国家情報法により、DeepSeekに登録した個人情報は中国政府が収集する可能性がある」「DeepSeekは、特定の政治的な事件について答えない問題がある」などという指摘がアメリカを中心に噴出し、なにやら、北米V.S.中国のAI戦争の様相を呈してきました。  当然ですが、今後、中国企業はAGI開発に注力するでしょうから、どの国や企業が、AGIの主戦場で勝利を収めるのか、先が読めない状況になっているのです。  AGI実現の可能性については、専門家によっても意見が分かれています。  ソフトバンクの孫正義さんは、2023年10月4日に開催された「SoftBank World2023」の特別講演で、AGIについて以下のような見解を述べ、大きな反響を呼びました。  冒頭、「AGIが何か知っていますか」と会場に問いかけたところ、ほとんど手が上がらない状況を見た孫さんは「まず、ヤバイということを知ってください」と警鐘を鳴らし、続けてこう力説したのです。  「AGIは、人類叡智総和の10倍です。(中略)AIがほぼすべての分野で人間の叡智を追い抜いてしまう、これがAGIのコンセプトです。このAGIの世界が今後10年以内にやってきます。そして、AGIの世界では全ての産業が変わります。教育も変わる、人生観も変わる、生きざまも変わる、社会のあり方、人間関係も変わるんです」  いかがでしょうか。AI技術における日本のキーパーソンともいえる孫さんがこうおっしゃるということは、AGIの実現も夢物語から現実へと着々と進んでいると考えて間違いないでしょう。  ただ、その一方で、AGIの実現は単にAIの恩恵を受けるだけでなく、深刻な社会的、経済的、倫理的な問題などを引き起こすリスクについても考えてみなければなりません。私たちがAGIの実現に向けてやるべきこととは何か、そのことを今から考えておく必要があります。  今後AGIが実現すれば、私たちの働き方や生き方さえも大きく変化するでしょう。その変化にしっかり対応していくためにも、AGIについて少しでも学んでおくことが肝要です。AGIについて理解を深めておき、実現したときにはすぐさま活用できるように準備しておく。今まさにそのような時期に差し掛かっているといっても過言ではありません。 (サイエンスライター:竹内 薫)
夫と二人でゆっくり過ごすために片づけたら毎月のカードの支払いが半分になった
夫と二人でゆっくり過ごすために片づけたら毎月のカードの支払いが半分になった 広さはあるのにモノでごちゃごちゃしているキッチン/ビフォー    5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。 case.94 片づけも仕事も大切なのは「今すぐやること」  夫と二人暮らし/エクステリア関連  家が散らかる原因の一つに「家が狭くて収納スペースがない」ということを挙げる人がいます。たしかに、たくさんモノがある家の場合、収納スペースが少ないとあふれてしまいます。  でも、「家が広くてモノを置ける場所がいくらでもある」というのも、家が散らかる原因になります。モノの置き場所をちゃんと決めず、とりあえず目についたスペースに置くのでごちゃごちゃしてしまうのです。  今回ご紹介するみさとさんは、後者でした。 「私が住んでいるエリアは広い家が多くて、モノを置く場所はいくらでもあるんです。荷物とか買ったモノとか、ついそこらへんに置いてしまって……」  みさとさんは、夫と二人暮らし。子どもたちは独り立ちをして、家を出ています。もともと家族で住んでいた家のほかにもう一つ家があり、みさとさんはそちらで主に暮らしています。夫が住む元の家には週の半分くらい行くという、近所ながら2拠点生活。 「今、夫が住んでいる家では義父母と一緒に住んでいたんです。古くなってきたし、私が住んでいるこの家に引っ越す予定だったんですが、仕事や介護などの都合で延期になりました。そうこうしているうちに、この家の中がどんどん散らかっていき、夫を迎え入れる状態でもなくなってしまいました」  在宅の仕事が増えてからはみさとさんの仕事場にもなり、プライベートと仕事の区別がつきにくくなってダイニングに書類などが散乱。介護も重なると二つの家を行き来する時間もかかり、片づける時間もあまり取れません。  介護が終わってからは、多趣味のみさとさんの荷物がどんどん増えていきました。 スッキリと使いやすくなって料理の時間も短縮できるようになりました/アフター   「私、小さな頃からアウトドアが好きなんです。海もあって自然豊かな場所なので、今でもジェットスキーとかスノーボードをやるんですよ。でも、キャンプにハマったら大きな道具が必要になって、一気に家の中のモノが増えました」  散らかっていると家にいるだけで疲れてしまい、ますます逃げるように外に出かけることが多くなりました。  ある日、みさとさんはふと考えました。 「年上の夫と、あと何年一緒に過ごせるだろう。早く二人で暮らせるように、家を片づけなきゃ」  そのタイミングで家庭力アッププロジェクト®の存在を知ると、すぐに参加を決めました。片づけ始めて改めて思い知らされたのは、やはりモノの多さ。 「特に多かったのは、洋服。流行に左右されないデザインなど、いつでも着られると思っていたモノがなかなか手放せなかったです。でも、実際に着てみるとシルエットが変わっていたりして、結局大量に処分しました」  そして、片づけていくうちに書類をためこむクセがあることにも気づきました。クレジットカードの明細書などを確認してから処分しようと思いつつ、後回しにしてずっと放置していました。 「書類がどんどん山積みになっていくのも嫌なので、今ではレシート関係はできる限りデータにするようにして、紙を家に入れないようにしています」  これまでみさとさんは着ない洋服や使わないモノを収納スペースに入れていて、今使っているモノや必要なモノを目につきやすい空きスペースに置いていました。不要なモノを減らして必要なモノの定位置を収納スペースの中に作り、すぐに戻すようにするといつもきれいな家をキープできるように。  片づけが終わると、モノの多さに懲りた経験から、買い物をするときには慎重になりました。 「買う前に、『本当に必要?』『どこに置ける?』と考えるようになりましたね。クレジットカードの決済金額が、片づけ前の半分くらいになったんですよ! 今までは気に入ったモノはあまり考えずに買っていたんですね。夫もモノを買わなくなった私にビックリしていました」 洗濯した洋服や布団などをズラリとかけていた廊下/ビフォー    プロジェクトが終わってからも、非常時の備蓄品を見えない収納スペースに移動したり、好きな観葉植物を飾ったり、家の中のブラッシュアップを続けています。 「今は、家が散らかっていたストレスから解放されました! 仕事関係の人たちを気軽に家に呼べるようになったし、バーベキューをしたりとコミュニケーションもよくなっていますね」  みさとさんは、「今やらなきゃ、ずっとしない!」と自分に言い聞かせ、出したモノはすぐに戻す癖をつけました。さらに、片づけ以外でも気づいたことにすぐに対応するようにしたら、仕事も効率的に進められるようになったと言います。 お気に入りの大きなモンステラを置いて空間を演出/アフター   「私、なんでもずっと後回しにしてきたんですよね。そうすると、やることがたまって『あれもこれもやらなきゃ』というストレスもすごい。そう思いながらも、面倒に感じてやらない自分も嫌いになってしまって……。すぐに動くことの大切さを、今回の片づけから学びました」  かつては散らかった家よりも外で過ごすことが多かったみさとさん。今では、家でゆっくりとリラックスできるようになったと笑顔で話してくれました。きれいな家で、夫とゆっくり過ごしたいというみさとさんの未来も、確実に近づいてきていますね。 人生が変わる片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター 商品価格¥1,650 詳細はこちら ※価格などの情報は、原稿執筆時点のものになるため、最新価格や在庫情報等は、Amazonサイト上でご確認ください。
杉村太蔵、人生の最大のラッキーは「外資系証券会社に勤められたこと」 “人脈は金脈”と語る理由
杉村太蔵、人生の最大のラッキーは「外資系証券会社に勤められたこと」 “人脈は金脈”と語る理由 撮影/岡田晃奈    著名人に「お金」に対する思いや考え方を聞く不定期シリーズ「私とお金」。第2回は杉村太蔵さん(45)。2005年、26歳で当時史上最年少の国会議員に。議員になる前は、時給800円のビルの清掃バイト中にスカウトされた外資系証券会社に入社し、金融の知識を身につけたという異色のキャリアも持つ。現在は地方の商店街活性化にも取り組んでいるそうです。明るく前向きな杉村さんに、【後編】では、地方創生事業、投資に必要なことなどについて、ずばり聞きました。 【前編】節約のプロを自認する「杉村太蔵」 なぜ「専用冷凍庫」を勧めるのか 「投資と資産形成は全然違う」から続く * * * ――現在取り組んでいる地方創生事業とはどのようなものでしょうか。  新規事業の立ち上げを中心に商店街の活性化に取り組んでいます。今は北海道旭川市と山口県下関市の2カ所の商店街で行っています。今はまだ2カ所だけですが、可能性にあふれる日本の地方都市を底上げしていきたいと思っています。地方の魅力をもっと広め、人々の雇用を増やしたい。 ろくな投資家がいなかった  商店街の出店には、敷金も礼金も保証金も一切不要で、厨房機器も標準装備。いつやめても違約金がかかりません。出店のハードルを下げて意欲ある出店者を募っています。最初の半年間は売上金に対して20%の施設使用料だけ頂くことにしています。こういう条件であれば「思い切ってやってみよう」という気持ちになると思います。こんなチャンスを地方にたくさんつくるというのが投資家の役割だと僕は考えたんです。社会をよくするためにお金を使うということです。だから私は胸を張って投資家だと言えるわけです。本来投資家はそうあるべきで、日本がなぜにこの30年間成長しなかったかというと、日本にろくな投資家がいなかったからなんです。みんな自分のリスク回避と自分の利益ばかりを考えて投資をしてきた。だから失われた30年だったんです。 旭川平和通商店街振興組合理事長とともに(ここはれて提供)     ――お金が貯まりにくい人とはどのような人でしょうか。  私が強く申し上げたいのは、もっともお金が貯まりにくい人の典型は「東京で賃貸物件で一人暮らしの人」です。とにかく家賃が高い。これからもどんどん厳しくなるでしょう。40代で年収400万円未満で、もし田舎にご実家がある方であれば、東京で高い家賃を払ってお暮らしになるより、ふるさとに帰って生活するほうがいいと思います。地方だと家賃も食材コストも安く抑えられ豊かな生活ができると思います。  体力もある20代の若いうちは都市部で挑戦してもいいと思います。東京には優秀な人がいっぱいいます。体力もあり頭も良くて、性格もいい。そんな人はごろごろいて、そういう人に仕事が集まっていきます。東京で勝負をしたい、生き残っていきたいと思ったら専門性を身につけて磨いていくことです。自分の強みを見つけて、自分にしかできないことを伸ばしていくことです。40歳を過ぎたら、自分の得意とする1つの分野で90分間話せること、またはそのテーマで3万6千文字の論文を書けなかったら東京で暮らすのは厳しいですよ。自分に武器がないということですから。 「教えていただける」 ――資産形成や投資に必要なこととは?  僕はとにかく恵まれていたと思います。いまだに小泉純一郎さんや武部勤さんから声をかけていただいたり、かわいがってもらったり。分からないことがあったら、教えてもらえる人が近くにいて、気軽に相談できる人もいます。「教えていただける」というのは、資産形成においても投資においても非常に大切なこと。「お前には話したくない」なんて思われるような生き方をしている人はどんどん人脈が減っていきます。そういう人は金脈が細っていると思います。人脈は金脈ですから。  僕はただただ自分を助けてくださる全ての方に感謝をしながら敬意を示して生きてきました。僕の人生の最大のラッキーは、清掃員時代にスカウトされて、そのビルの中にある外資系証券会社に勤められたことです。 撮影/岡田晃奈        僕の土台になっているものは、すべてあの会社で叩き込まれました。清掃の仕事からいきなり外資系証券会社に就職ですから、もちろん任されたのは底辺中の底辺のような仕事。アナリストの下にいるジュニアアナリストのアシスタント業務です。でも僕は嬉しかった。その部署の全員の雑用を日々こなしていたおかげで、ほぼすべてのアナリストと繋がることができました。みなさんにすごくかわいがっていただいたし、知識もいっぱいつけることができました。  あれから20年ほど経った今でも彼らとの交流は続き、今やっている地方創生事業も彼らと考えて事業化しました。彼らの存在は僕の財産です。巡りあわせに本当に感謝しかありません。 ――明るく素直なキャラクターが生きているのかもしれません。  妻は結婚する時に「この人と結婚したら食いっぱぐれることはない」と思ったそう(笑)。確かに僕は前向きだし、意欲的だと思います。人にも恵まれ、人を大事にしています。資産形成に重要な「心の健康」をキープするために人間ドックと並行して、定期的に心療内科で医師に診てもらって、心の健康もチェックをしています。自覚はなくても見えないところで心にストレスがかかる仕事です。どんな時も笑顔で元気で生活できるように心がけています。 (構成/ 編集部・大崎百紀) 杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)/1979年8月13日、北海道旭川市生まれ。2005年9月、第44回衆議院議員総選挙で最年少当選(当時)を果たし国会議員に。労働問題を専門に、特にニート・フリーター問題など若年者雇用の環境改善に尽力する。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程所定単位取得退学。TBS系「サンデージャポン」の準レギュラーコメンテーター、フジテレビ系「サン!シャイン」木曜日のスペシャルキャスター。テレビ出演などメディアで活躍するかたわら、(株)ここはれての代表取締役社長として新規創業支援を中心とした新しいまちづくりを提唱し、2022年7月には北海道旭川市に「旭川はれて屋台村」を、2024年1月には山口県下関市に「唐戸はれて横丁」を開業した。趣味はテニスと釣り。3児の父。  
節約のプロを自認する「杉村太蔵」 なぜ「専用冷凍庫」を勧めるのか 「投資と資産形成は全然違う」
節約のプロを自認する「杉村太蔵」 なぜ「専用冷凍庫」を勧めるのか 「投資と資産形成は全然違う」 撮影/岡田晃奈    著名人に「お金」に対する思いや考え方を聞く不定期シリーズ「私とお金」。第2回は杉村太蔵さん(45)。2005年、26歳で当時史上最年少の国会議員に。議員になる前は、時給800円のビルの清掃バイト中にスカウトされた外資系証券会社に入社し、金融の知識を身につけたという異色のキャリアも持つ。現在は地方の商店街活性化にも取り組んでいるそうです。明るく前向きな杉村さんに、【前編】では、お金に対する意識、投資の経緯などについて、ずばり聞きました。 * * * ――現在に至るまで、お金に対する意識はどのように変わられましたか。  実はめちゃくちゃ節約のプロなんです(笑)。いつもどうやったらお金を使わないで生活できるかということを意識しています。現金をほとんど使わず、スマホ決済が中心。買い物は必要な分をまとめて大量に買います。IC決済だと履歴管理もできるし、ポイントも貯まる。節約あってこその資産形成です。 面倒がらずに一度やってみる  みなさんにお勧めしたいのは専用冷凍庫を買うこと。初期コストは2万~3万円ぐらいかかると思いますが、今後10年間を考えると強烈な設備投資になると思います。食費が高い今だからこそ、こういう投資は大事です。食材は安い時に大量に買ってストックする。浮いたお金を新NISAのつみたて投資枠や成長投資枠にまわせばいい。1カ月30万円消費していた人が3万円削ることができたら、年間36万円ですよ。これは大きい。  まずは家庭内の支出の見直しをすることです。たぶん10%は削れるはず。1つの項目で削るのではなく、通信費や娯楽費などすべての項目からまんべんなくカットする。無駄な有料アプリを使っていないか、電気代の契約プランはこれでいいのか……。面倒がらずに一度やってみることをお勧めします。 撮影/岡田晃奈 ――小さなことに向き合うことが、大きな成果を生むんですね。  エンゲル係数ってありますよね。消費支出のうち食費の占める割合のことです。清掃バイトをしていた時は、おそらく40%ぐらい。それぐらい食べるために生きていた。あの頃の生活があるから、今の僕がある。今の我が家のエンゲル係数は5%以下ぐらい。生活にも心にも余裕が生まれたから、社会にどう貢献するかということも考えられるようになりました。 ――生活が苦しいからと投資をする人もいます。  将来の生活資金を備えるために株式投資をするというのは本質的に間違っていると思います。結果的に、投資で潤ったお金を生活資金にまわすことができたということはあるかもしれません。だけど、本来投資は社会のため、資産形成は自分のために行うものです。投資と資産形成は全然違うということを、みなさんに正しく認識していただきたいです。資産形成の基本は「節約」と「貯金」なんです。日々の出費を見直すことが大切なんです。 万博に行きましょう!  自分の買った銘柄の株価が少なくとも5倍、いや10倍にならないと投資とは言えません。時価総額50億円だった会社が500億円に、100億円だった会社が1000億円に。こういうポテンシャルの高い会社を早期に見つけて大きくなるまで見守ることに意義がある。お金を投じるだけでなく、株主総会にも出席して、会社の発展や成長のために提言する。S&P500やオルカン(全世界株式)の動きだけを見て「うわぁ、トランプ関税でこんなに下がった!」と騒いでいる人は投資家ではなく、投資信託で資産形成をしているだけに過ぎない。今後成長していく企業や、自分が応援したい企業は、東証グロース市場から探す方法もありますが、今月開幕した大阪・関西万博に足を運ぶのもいいと思います。世の中の変化のヒントやニーズは万博にあるはず。投資家のみなさん、万博に行きましょう! ――投資を始めるまでのいきさつを教えてください。  議員落選後は本当にひもじい生活をしていました。時々テレビに出させていただき、節約しながら貯金をしていました。2012年に野田佳彦さんと安倍晋三さんの党首討論で野田さんが異例の解散表明をした。僕はそこで「これから株価が一気に上がる」と考え、家中のお金をかき集めて、時価総額の大きな3~4銘柄に数百万円投資しました。それが始まりです。そこから大きく株価が上昇し、その後、数千万円の利益が出ました。  このまま株を持ち続けてももちろん上がり続けるという確信がありましたが、一方で不動産も上がるなと思った。どちらが自分にとっていいか考えた時に、住宅ローン減税もあり、住み続けるだけで資産価値が上がる可能性がある不動産投資のほうがいいと思った。それでマンションを購入したんです。その物件を売却した時は億単位のお金が入りました。そして今、そのお金で自分の事業をやっていこうと、地方創生事業に投資しています。 (構成/編集部・大崎百紀) 【後編】杉村太蔵、人生の最大のラッキーは「外資系証券会社に勤められたこと」 “人脈は金脈”と語る理由 に続く 杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)/1979年8月13日、北海道旭川市生まれ。2005年9月、第44回衆議院議員総選挙で最年少当選(当時)を果たし国会議員に。労働問題を専門に、特にニート・フリーター問題など若年者雇用の環境改善に尽力する。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程所定単位取得退学。TBS系「サンデージャポン」の準レギュラーコメンテーター、フジテレビ系「サン!シャイン」木曜日のスペシャルキャスター。テレビ出演などメディアで活躍するかたわら、(株)ここはれての代表取締役社長として新規創業支援を中心とした新しいまちづくりを提唱し、2022年7月には北海道旭川市に「旭川はれて屋台村」を、2024年1月には山口県下関市に「唐戸はれて横丁」を開業した。趣味はテニスと釣り。3児の父。
「1株1円で会社を売却」からフジ・メディア・ホールディングスの大株主へ レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・藤野英人
「1株1円で会社を売却」からフジ・メディア・ホールディングスの大株主へ レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・藤野英人 創業前から構想していた未上場株投資のコンセプトを絵に。感性に訴えるコミュニケーションを大切にしてきた(撮影:松永卓也)    レオス・キャピタルワークス代表取締役社長、藤野英人。2月にフジ・メディア・ホールディングスの大株主となり、大きな注目を集めているレオス・キャピタルワークス。その創業者であり社長が藤野英人だ。藤野は数字よりも、社会をどうしたいかをずっと追ってきた。リーマンショックでは、1株1円で会社を売却。そこから再び立ち上がり、プロセスを大事に、うるおいのある世界を目指す。 *  *  * 「土の香りがする投資家」──。ある人は、そんな表現で彼を語った。  資産運用会社レオス・キャピタルワークスの社長兼シニア・ファンドマネジャーとして、投資の最前線に立つ藤野英人(ふじのひでと・58)。創業以来22年、一貫して長期積み立て投資の有用性を前面に打ち出し、現役世代の個人投資家の支持を集めてきた。  現在の総運用額は1兆円を超え、2月には経営危機に揺れ動くフジ・メディア・ホールディングスの大株主になったことでも注目を集めた。12年前に出版した『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)は32刷11万部のベストセラーに。近年は、将棋の叡王戦の特別協賛企業となり、またYouTubeの自社チャンネルでの発信も強化するなど存在感を強めている。 「投資家」に対して、株価を追いかけ売却益を貪欲に求めるギラギラとしたイメージがあるとしたら、会った瞬間に裏切られるだろう。藤野は自分を語るとき、数字の話はほとんどしない。「最近、こんな面白い人がいて」「不思議な出来事があったんですよ」と情味たっぷりにエピソードを語る。本人によればそれは「正統な専門教育を受けた“純正の投資家”ではないから」だという。  生まれは富山のサラリーマン家庭。厳格で教育熱心な父と下着販売員として働く母のもとに育った。小学校を卒業するまでに国内外の文学全集を数度完読し、文章を書くのも好きだったことから小説家や編集者に憧れたが、成績優秀だった藤野少年に親族は別の期待を寄せた。「満州の高等裁判官だった祖父の才を継いで、法曹界に進みなさい」と言い聞かされ、早稲田大学法学部へ。卒業後は、司法試験に合格するまでの“つなぎ”として野村投資顧問に入社。時代はバブル期で「効率的に稼げる業界」という認識で入ったに過ぎなかったが、ここでの出会いが藤野の人生をガラリと変えた。 叡王戦に特別協賛をする縁で、将棋会館で収録が行われたYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」。写真右が叡王の伊藤匠。中央はレオスのコミュニケーション・センター部長の水野宏樹(撮影:松永卓也)   日本の将来を明るくする 理想的な投資信託をつくる  配属された日本中小型株運用部門で、先輩に並んで商談の席に座った藤野に衝撃を与えたのは、ベンチャー経営者たちであった。「スタートアップ」や「IT」といったスマートな表現はまだなかった頃の「地方の零細企業の社長」というほうが正しい。水道の栓やペットボトルのラベルなど、それまで気にも留めなかった製品について「うちの技術がどれほど素晴らしく、世の中を変える力があるか」と口角泡を飛ばして熱く語る姿にはじめは戸惑い、しかし徐々に引き込まれていった。 銅メダルを受賞したショパンコンクール in ASIAで弾いたのは「マズルカ ハ短調作品56-3」。指導する木米真理恵(右)は、ポーランドの国立ショパン音楽大学院を首席で卒業し、第一線で活躍する(撮影:松永卓也)   「世の中がカラフルに見えるようになったんです。身の回りにあるモノのすべてに、誰かの思いが乗っているのだと。そして夢中になって働く人の姿は輝いて見えた。いつしか、自分も“向こう側”に行ってみたいと憧れが芽生えてしまった」  その後、外資系投資顧問に移籍し、ファンドマネジャーとして頭角を現す中、突如、藤野は大きな選択を迫られることになる。世界市場がITに沸いていた2000年、著名なベンチャーキャピタリスト、ジョージ・コズメツキーから内弟子の誘いを受けたのだ。  YESと答えていれば、後にGAFAMと呼ばれる巨大企業の初期投資に携わり、数年で億万長者になっていたかもしれない。しかし、藤野は丁重に断る決断をした。運用会社で働きながら年々募らせていた思い──「日本の将来を明るくする、理想的な国民的な投資信託をつくりたい」を、夢ではなく現実にすると心を決めたからだ。  従来の運用会社の販売手数料で稼ぐビジネスモデルでは、将来の成長を見込める優良企業を長期で応援することは不可能だと、限界を感じていた。「ある所からない所へお金を動かし、パワーの流れを変えるのが金融の本質」。3年後、藤野は思いを共にする3人で独立系資産運用会社、レオス・キャピタルワークスを立ち上げた。レオスとはギリシャ語で「流れ」という意味だ。  藤野が選んだ道は険しいものだった。NISAの追い風で市民権を得た今と違って、長期運用を前提にして月1万円などの小口で参加できる「積み立て投資」はマイナーだった時代だ。08年に満を持して「ひふみ投信」をリリースするも、大手の販売会社は軒並み渋い反応だった。  渋る理由は明快で、シニア層をターゲットにまとまった退職金を一括で預かるほうが、一度に高額の手数料が入るからだ。また、長期運用で利益を出したとて、異動のある職場では評価につながりにくいので販売の動機にならない。そんな構造的問題を突破するために、藤野はまず個人投資家に直販する営業スタイルで挑んだ。それも現役の勤労世代をターゲットにした。 「投資は過去にはできない。未来にしかできないのが投資なんです。投資の定義を聞かれたら、『未来を信じる力』なのだと答えています」  自分や家族の人生、そして社会を明るくするエネルギーとしてお金を使う。「未来はあるが、まとまったお金はない」若い世代と積み立て投資は相性がいい。シニア層を狙う大手が顧客獲得のために「資産運用セミナー」を開く平日昼間には運用業務に集中し、現役世代が仕事帰りに参加できる夜間や週末にセミナーを開催する、というスタイルは今も変わらない。だから大手と競合せず、生き延びたとも言える。「僕たちはずっと“業界のヘリ”で営業をしてきたんですよ」 顧客向けセミナー「ひふみアカデミー」が始まる前、軽食を取りながらのミーティング風景。藤野(右から2人目)の左にいるのは創業メンバーで副社長の湯浅光裕。日ごろから、社員の私生活や家族の健康状態についても聞くコミュニケーションを大切にしている(撮影:松永卓也)    志を共にしたコモンズ投信会長・渋澤健とセゾン投信社長(当時)・中野晴啓と「草食投資隊」を結成して始めたのが、長期投資の魅力を伝えるキャラバン。2年かけて47都道府県を回った。初見で職業を当てる評判の人物から「あなたたち、NPOの人たちでしょう」と言われ、「投資家なのに金の匂いがしないのか」と笑い合ったときはまだ多少の余裕があった。短期の売買益を目的とした“肉食系投資”と対照的な、じっくりと育てる長期投資の価値はきっと多くの人々に響くと信じていたが、反応はあまりにも厳しいものだった。 リーマンショック直撃 1株1円で全株式を売却  地元紙で3度広告まで打って3人の講師で臨んだ愛媛の会場に来たのはたった4人。その次の名古屋でのセミナーに集まったのもわずか4人だった。数カ月後に広島で開催した際には30人ほど集まり、「いい話を聞けた。すぐに問い合わせて口座を開きたい」と握手を求められ喜ぶも、結果は資料請求すらゼロ。何度も心が折れかけた。 「あんなに盛り上がったはずなのになぜ」と思い詰めた藤野を救ったのは、保険業界に風穴を開けたライフネット生命の創業者、出口治明の「5度塗り、6度塗りなんですわ」という言葉だった。 「人は日常に忙しい。新たな行動を起こしてもらうには、繰り返し接点をつくる必要がある。諦めずに伝え続けよという教えに奮起しました」  地道に発信を続けていった結果、口座開設の数は徐々に伸びた。決定的だったのは藤野のバラエティ番組出演だったが、セミナーで訪れた地域の申し込みが多かったことからも、「5度塗り」の効果は明らかだった。今では平日夜のセミナーにオンラインを含め数百人を集める。「一人ひとり、一つひとつを大切に、コツコツ続ける」という藤野の仕事哲学はこのときに確立したのだろう。そして、その姿勢は長期投資そのものとも重なる。  現在の飛躍につながる地道な5度塗りの物語には、壮大な前章がある。 「ひふみ投信」を世に出したのは08年。その翌年、不運にもリーマンショックの直撃を受けた。業績は悪化し、創業7年目にして藤野は全株式を1株1円で売却せざるを得ない状況へと追い込まれた。 「銀行窓口で売却金を受け取った後、オフィスに戻る気にもなれず、ふらふらと品川の水族館に寄ったんです。イルカショーを観ながら、『あんなふうに無邪気に跳ぶイルカになれたら楽なのに』とぼんやり思ったりして。周りの観客席を見渡したら、暗い顔をしたおじさんが数人座っている。ああ、お仲間だなと虚しさが募りましたね」  誘いの声はいくつかあり、会社を去るという選択もちらついた。失意の藤野を踏み止まらせたのは、準創業メンバーである白水美樹の訴えだった。「藤野さんが目指した『理想の投資信託』はできたんですか? 本当に最後までやり切ったと言えるんですか?」。頬を伝う一筋の涙にハッとした。  仲間と共に一平社員として、売却後の新たなオフィスで出直した。全国行脚を始めたのはこの頃だ。営業担当として藤野と辛苦を分け合ってきた五十嵐毅(62)は「私の向かいの席に座っていたあの頃の彼の、覚悟を決めたような表情は忘れられない」とふり返る。トランプ政権下にマーケットが乱高下する中でも「泰然自若の人」という印象を与える藤野だが、それは荒波を乗り越えた上の凪なのだ。(文中敬称略) (文・宮本恵理子) 1株1円、計3240円で会社を売却したときに手にした現金をそのまま額に入れて、「初心を忘れないために」社長室に保管している。疲弊していた当時と比べて「ずいぶん若返った」と周りからよく言われる(撮影:松永卓也)   ※記事の続きはAERA 2025年4月28日号でご覧いただけます
「クマ出没」どころではない…野生のゾウ・トラが出るインドの「ポツンと一軒家」で暮らす日本人女性の来歴
「クマ出没」どころではない…野生のゾウ・トラが出るインドの「ポツンと一軒家」で暮らす日本人女性の来歴 サヒヤンデ劇場の3階にて(写真提供=鶴留さん)    インド南西部ケーララ州の山奥で暮らす日本人女性がいる。演劇制作者の鶴留聡子さんは、インド人の演出家である夫と自宅兼劇場を造り、暮らしている。日本語も英語も通じない。文字を持たない先住民族もいる。野生のゾウやトラが出没する。そんな場所で、なぜ鶴留さんは暮らすようになったのか。フリーライター・ざこうじるいさんが、鶴留さんの素顔に迫る――。 日本人女性が暮らす「ポツンと一軒家」  1月末、インド南部の空港で私は冷や汗をかいていた。入国審査で「なぜ日本人がこんな場所に来る必要があるのか」としつこく怪しまれたのだ。「サトコという日本人に会いに行く」と伝えると、ようやく入国が許可され、ほっと胸を撫でおろした。  空港から都市部を通り過ぎてくねくねとした山道を進むこと3時間。道中のレストランでもお店でも、確かに日本人は他に見当たらない。  広大なバナナ畑を通り過ぎて車から降り、急斜面の山道を登っていくと、鬱蒼とした森の中に突如としてガラス張りの現代的な建物が現れる。扇型のユニークなつくりをしたこの建物は、民間劇場「サヒヤンデ劇場」だ。  ここに10年ほど前から暮らしている日本人女性が「サトコ」こと、鶴留聡子さん(45)である。夫で演出家のシャンカル・ヴェンカテーシュワランさんとともにこの劇場をつくった人物だ。  ふたりが住むのは、インド南西部、ケーララ州の山奥、アタパディ。日本人はおろか、外国人は他に見当たらず、英語も通じない。野生のゾウやトラ、オオカミも出没するという。  「ゾウが出るのは夜だけなんですけどね。ちょうど先週も、劇場に続く橋のあたりにゾウの家族がいてシャンカルが帰ってこれない、ということがありました。時期や場所にもよるけど、うちには年に4、5回来るかなあ。フルーツがなる季節になると降りてくるようです」  ゾウは草食動物ではあるが、人間に出くわすと警戒して攻撃的になることもあるという。東京動物園協会によると、通常インドゾウの重さは3トンから5トン。サトコさんは、自家用車をゾウにつぶされたこともあるそうだ。 家畜や飼い犬がトラに次々に襲われる  サトコさんらが飼っていた犬のブラウニーは、5年ほど前、トラに襲われて亡くなった。  「夜中に『キャイン』って声がして、見に来たときにはもういなくなっていて……一瞬でした。トラの姿は見ていないんですけど、地元の人に聞くと『それはトラだ』っていうんです。オオカミもだけど、トラは犬が大好物なんだそうです」  ブラウニーがいなくなった数日後、ブラウニーの子どものパシュが裏山から獣に食べられた後の頭蓋骨を持って帰ってきたという。よく見ると頭蓋骨の欠けている前歯は、確かにブラウニーのものだった。  それから2カ月もたたないうちに、今度はパシュのきょうだい犬も同じようにトラに襲われて亡くなった。  それ以来、サトコさんはパシュを夜外に出さないようにしてきた。それでも数年前、一瞬の隙をついて同じように襲われたことがある。  「キャイン」という声がしたと同時にサトコさんは一目散に駆けつけ、パシュは九死に一生を得た。その時の記憶があるのだろう、パシュは今でも警戒心が強く、野生動物の気配に敏感だ。  「つい先日も、近所の人が飼っているヤギが40匹くらい、一晩で全滅しちゃったんです。有刺鉄線も張ってたんですけど、停電した少しのタイミングを狙って襲われたみたいです」  トラは人間の前に姿を現さず、まさに“虎視眈々”と状況を伺い、獲物を襲う機会を狙っている。人間も夜出歩くときは2人以上で歩くのが地元の常識だ。  日本では考えられない危険が潜むが、サトコさんは淡々と語る。 ジャングルの中に忽然と現れる扇形の現代的な建物がサヒヤンデ劇場だ(撮影=Roshan P. Joseph) 薪を運び、川で洗濯をする村  アタパディには、入植者と呼ばれる外から移住した人たちと、3つの異なる先住民族、合わせて7万人ほどが暮らし、共同体ごとにそれぞれ独自の言語をもつ。人口の半分ほどが、文字を読み書きしない先住民族だ。  選挙の宣伝は紙で配られ、災害時の避難連絡など行政からの知らせは、拡声器を持った職員が村を練り歩く。  劇場の近くではスプリンクラーが完備された広大なバナナ畑や、ヤギや牛を引いて歩く人々をあちこちで見かけた。私が出会った村の女性たちは、昼間は薪を集める仕事をしていた。夕方になると川で洗濯をし、ついでに自分の髪や体も洗う。  ウーバーなどの配車サービスはなく、山のふもとのエリアまではバスが通るが、他に公共交通機関はない。サトコさんが買い物をするときは、車で10分ほど山を下った先にある小さな商店に出かける。  「野菜、米、塩、砂糖、必要なものはだいたいそこで手に入ります。買い物は週に1、2回かな。牛乳は、地元の人が絞った牛乳を集める生協みたいな場所があって、そこにボトルをもっていくと、1日に朝夕2回、決まった時間に直接牛乳を買うことができます」 村人が慕う「サトコ」  日常的に買い物をするという商店の近くで、オートリキシャーと呼ばれる3輪自動車の運転手にサトコさんとシャンカルさんの名前を伝えると、詳しい説明をしなくても山の上のサヒヤンデ劇場まで連れて行ってくれた。  さらに、私が滞在したホテルで支払いコードをうまく読み込めずに困り果てていたときのことだ。サトコさんが手配してくれた運転手のお兄さんが、見かねて自分のスマホで支払いを済ませてくれた。もちろん彼にとって私はその日出会ったばかりの赤の他人だ。  ありがたいけれど、どうしたものだろう……持ち合わせの現金がなく、言葉も通じないため私がオロオロしていると、彼は笑顔で「サトコ」と伝えてきた。どうやら「後で『サトコ』からお金を受け取るから、日本人のあなたは『サトコ』に支払いをすればいいよ」ということのようだ。運転手の彼にとって「サトコ」はそれだけ信頼できる人物なのだということが伝わってくる。  サトコさんは、この場所の人々といったいどんな関係を築いてきたのだろう。 パートナーを追いかけてインドへ  東京生まれのサトコさんがアタパディに住み始めたのはおよそ10年前。それ以前は、同じインド国内でも都市部で演劇活動をしていた。  とはいえもともと演劇を専門に勉強したわけではない。ごく一般的な家庭に生まれ育ち、英語が得意だった母親の影響で外国語に興味を持った。  「日本語で日本人と会話すると、近すぎると感じることがあります。別の言語を使うことによって、ワンクッション置かれるというか。コミュニケーションに余白が生まれる気がするんです。それが私には心地がいいなって感じました」  教科書で読んだマザーテレサをきっかけに、東京外国語大学でヒンディー語を専攻したことが、サトコさんに運命の出会いをもたらす。  2001年2月、大学3年生の終わりに、インドからくる劇団の楽屋裏バイトを2週間ほど経験した。その劇団こそ、後にサトコさんのパートナーとなるシャンカルさんが所属する学生劇団だったのだ。  当時カリカット大学の演劇学部に在籍していたシャンカルさんは、サトコさんと同い年。授業の一環で作品づくり全般に関わり、舞台上ではミュージシャンとして南インドの太鼓を演奏していた。  いつも楽しそうに前を向いている印象のシャンカルさんとコミュニケーションをとるうちに「今この瞬間をこの人と共にしたい」と直感したサトコさん。4年生になると休学し、その直感を追いかけるように、当時シャンカルさんが住んでいたケーララ州のトリシュールに向かった。 先住民族の人たちの手を借りて作ったバンブーツリーハウス(写真提供=鶴留さん)   消費される芸術への違和感  それからビザが切れるまでの6カ月間、既に人生をかけて演劇をやっていくことを明確に決めていたシャンカルさんの近くで過ごし、日本に帰国する。  「この先ふたりで演劇をして生きていくことを思い描いた時、インドやシャンカルの前に、まず自分がどう演劇と関わっていきたいのか、糸口をみつけてからにしようと考えました」  大学卒業後は赤坂の国際交流基金アジアセンターで舞台芸術専門員のアシスタントとして働きながら、舞踏カンパニー『山海塾』のプロデューサーの元で制作も学んだ。  2年後、今度は国際交流基金ニューデリー事務所の専門員として採用され、ニューデリーに移り住む。  一方シャンカルさんは、大学卒業後に留学したシンガポールの演劇学校を終えて、2006年にサトコさんのいるニューデリーで演出家としてスタートを切った。  2007年、ふたりは「劇団シアター・ルーツ&ウィングス」を立ち上げる。劇団で最初に作った作品は、断片的な51の場面から構成され、解釈が観客それぞれに委ねられるというもの。この実験的な演出が「これまでのインド現代演劇にはなかった」と評判になり、シャンカルさんは注目の若手演出家としてメディアに取り上げられた。  しかし次第に、ニューデリーで一部の限られた人に消費される芸術のあり方に違和感が募った――。  「私たちは一体誰のために演劇をやっているのだろう……」 暮らしに根付いた演劇ができる場所へ  「もっと別の演劇のあり方を探りたい」と考えたふたりは、2008年、ケーララ州トリシュールに拠点を移す。ケーララ州では演劇作品が政治を動かした歴史があり、階層を問わず幅広い層が演劇を楽しむ文化が醸成されていた。  そこで制作した2つの舞台作品『山脈の子:エレファント・プロジェクト』と、日本の劇作家・太田省吾の沈黙劇『水の駅』は、どこで公演をしてもチケットが完売し、追加公演を組むほど話題になった。インド各地を巡回した「劇団シアター・ルーツ&ウィングス」はインドの演劇界で全国的に名前を知られるようになる。  ところが今度は、30万人以上が住むトリシュールの喧騒やスピード感と、演劇の創作活動が「噛み合わない」と感じるようになっていく。  「暮らしと結びつく場所で作品を作っていくための基盤を持ちたい」と考えたふたりが選んだ地が、同じケーララ州でも人里離れた山間地域であるアタパディだ。『山脈の子』の創作のため野生のゾウのリサーチで2008年にアタパディを訪れ、すぐにこの場所が気に入った。  「一番いいなと思ったのは、自然の中で暮らす人たちとの顔の見える関係性でした。この場所なら、自然やコミュニティと共にある、暮らしに根付いた演劇ができるのではないかと感じました」 ヤギ小屋と間違えられるツリーハウスで暮らす  2010年、土地を購入し、俳優でもある建築家の友人に劇場兼自宅のデザイン設計を依頼した。ガラス張りのデザインは、自然あふれる情景を活かした空間にしたかったことはもちろん、地域の人たちに開かれた劇場にするためでもある。  120キロ離れたトリシュールの自宅からアタパディに通いながら、ふたりは公演や演出の仕事で収入が入るたびに、生活費を除いた分を工事費に充てた。コスト削減のため、建築資材の手配も業者に依頼せずに自分たちでおこなう。  仕事の依頼はそれまでに築いた実績を元に、各地から声がかかった。一つひとつ時間をかけて取り組む新作の創作は、多くても年に1、2本が限度だ。その他に、過去につくった作品の再演を各地でおこなう。報酬はプロジェクトごとにさまざまだが、やりたいと思えるかどうかや縁を大切にしているという。  気長に工事を進めていた2015年、青天の霹靂が――。  トリシュールの借家の大家から「庭の手入れを怠った」という理由で突如退去を命じられたのだ。しかたなく、ふたりはアタパディでの暮らしを前倒ししてスタート。とはいえ劇場兼自宅の工事はいまだ基礎工事すら終わっていなかった。  そこで、地元の先住民族に手伝ってもらいながら、ココナッツの葉を屋根にしたバンブーツリーハウスを敷地内に建てて住み始めた。  バンブーツリーハウスは、かつて先住民族が住居としてつくっていたもので、現在ではヤギ小屋として利用している人が多い。サトコさんたちが住み始めると「ヤギがいるのかと思って近づいたら人間が住んでいた」と地元の人たちに珍しがられたという。  幸い電気は通っていたけれど水道はなく、敷地の裏にある小川から水を汲んで使う毎日。まともな道もなかった。 劇場でいただいた豆カレーはさらっとしていてたくさん食べられる(写真:ざこうじ るい)   読み書きしない先住民族に受け入れられる  ある日ツリーハウスで昼寝をしていると、血みどろのネズミを絞めつけた巨大なパイソン(ニシキヘビ)が布団の上に落ちてきた。  「これは……」とさすがに言葉を失ったサトコさん。この頃には、ツリーハウスの「ツリー」が伸びて「ハウス」の部分が歪んでしまっていたという事情も重なり、工事中の劇場に住まいを移すことに決めた。  まだ壁はなかったものの屋根はあったので、ツリーハウスより幾分かマシだった。地元の人たちの助けを借りて小川の水を引き、道も整備した。  実際に暮らし始めてみると、先住民族が入植者に搾取され、飲料水を得ることすらできない現状を知った。そこでふたりは、先住民族の人々も飲料水が手に入るように動き出す。  「なんでもそうだと思うんですけど、演劇も含めて文化は人間の暮らしの一部でもあるから、政治的な事も無視することはできないんです」 「よそ者」だからこそできたこと  「いったいどうやって?」という問いの答えは、驚くほど簡単だ。  「言葉を持つっていうのはすごく力のあることなんですよ。言葉を読み書きしない先住民族の人たちは今の社会制度の中ではどうしても立場が弱い。私たちは言葉をつかって行政と交渉しただけなんです」  サトコさんによると、ケーララ州では無償で学校教育が保証されているが、先住民族の人たちは家庭で読み書きをする慣習がないため、学んでも定着しない人が多いという。  ふたりは“演劇をやりにきたよそ者”という、利害関係のないフラットな立場を利用して交渉に臨み、先住民族の飲料水を獲得した。  地元のどんな立場の人たちとも良い関係を築くことは、サトコさんらが劇場を運営していく上で最も大切にしているポイントだ。飲料水プロジェクトを経て、徐々に民族や立場を超えた人々から信頼されるようになっていった。 たくさんの人に助けられて完成した自宅兼劇場  ほとんど屋外のような状態で住み始め、少しずつ劇場をつくりながら10年。  デザインを形にするための建築エンジニアは、バイク事故で重症を負ったシャンカルさんを病院まで運んでくれた命の恩人だ。窓やドアをつくるのは、近所の人にも手伝ってもらった。  劇場の照明機材は、公演に行くたびに「使わなくなった中古の照明機材を譲ってほしい」とよびかけて集めた。その結果、ドイツやノルウェー、京都など、世界各地からさまざまな機材が集まっている。  8年ほど前、災害級の大雨が降り続き、建物スレスレの場所で土砂崩れが起こったこともある。「ゴゴゴゴ……」というものすごい音に「逃げるしかない」と観念して山を下り、3日間ほど降り続いた雨がやんでから戻ると、劇場の中は大量の泥であふれていた。この時も、知り合いや近所の人の手を借りて泥をかきだし、生活を持ち直したという。  「ご縁があってたくさんの人に助けられて実現したとしか言いようがないんです。この劇場が一つの作品だな、と思います」  サトコさんはしみじみと語る。 演劇を無料で上演しつづける  アタパディには、料金を払って演劇を見に来る文化はない。1年に数回不定期で地域に向けて上演する演劇は、すべて無料だ。自分たちで企画制作をおこなうこともあれば、アーティストを呼んで上演することもある。  文化事業の助成金などを受けながら、劇場の維持管理費や設備費は、滞在制作に訪れるアーティストや劇団に貸し出したレンタル料で賄う。  「10ルピー(≒17円)でもお金をとることで地元の人が見に来なくなってしまうんだったら、お金は取りたくないと思っています。そもそも私たちは、日々の暮らしのなかで地元の人とのいろんなやり取りを通じて生活が成り立っています。苗や収穫物を分けてもらったり、家に蛇が出た時には捕獲を助けてもらったり、お金ではないものをたくさん受け取っているんです。それを私たちは演劇というかたちでお返ししたいと考えています」  このためサヒヤンデ劇場には、特権階級の人もそうでない人も、同じように観劇にやってくる。  インドの身分制度「カースト」は、1950年にそれに基づく差別が禁止されたものの、その影響は根強く、階級が違う者同士が空間を共にする機会は普通、ほとんどない。まして先住民族の人たちはカーストの中にすらカウントされない、いわば周縁の人だ。  身分や宗教を超えて多様な人々が共に観劇するサヒヤンデ劇場の光景は、とてもめずらしい。 「ここで演劇をやって良かったと思うのが、考えや階級が違う他者同士が一同に集まり、肩を並べて時間と場所を共有することを可能にする、ということです。その体験が、対話や発見を生み出すきかっけになり得ると感じています」 「誰に頼まれたわけでもなく、住みたくて住んでいる」  それでもサトコさんは「そんなきれいごとでいいのかな」と自問する。  「何か新しい流れを生み出すきっかけがあるといいな、ぐらいで、大層なことはしていないんです。誰かに頼まれたわけではなく、自分が住みたくて住んでいるわけだし、暮らしがあっての演劇なので、この場所で居心地のいい生活を送るっていうこともとても大事なんですよ」  毎朝起きると、サトコさんはまず2時間ほどヨガと瞑想をしてからオートミールとナッツの朝ご飯を食べる。午前中はできるだけ野良仕事をしたり掃除をしたりと体を動かし、午後は仕事のメールをしたり本を読んだり。敷地内でスパイスを栽培し、コロナ禍以降は、養蜂も始めた。 自分のペースで暮らせる幸せ  シャンカルさんはベジタリアンのため、食事は基本豆カレーだ。飽きることはないのだろうか。 「豆の種類もいろいろあるし、例えばマンゴーの季節にはマンゴーのカレーをつくったり、収穫したココナッツでココナッツベースにしたり。もともと魚が好きなので、たまに魚が食べたくなると、山を下って食堂から魚料理を買ってきて食べたりもします」  アタパディは年間を通して25~30度前後と暖かい場所だ。敷地内にはコーヒーの木が実をつけ、野生のいちじくやジャックフルーツがたわわに実っていた。日本に帰国するときに、蕎麦の乾麺やめんつゆを買ってきて、時々食べることもあるのだという。  「小さいころから自分のペースで理解したり考えたりしたい気持ちが強かったんです。この場所にいると、それが許される感じがありますよね」  もちろん、公演や演劇制作の仕事が入ると、生活は一変する。アーティストの宿泊を受け入れ、チームを調整したり、衣装を準備したりと大忙しだ。  シャンカルさんは演出家、サトコさんは制作者として仕事をして生活費を稼ぎながら、ゆくゆくはスパイスの栽培や養蜂が継続的な劇場運営につながれば、という構想もある。 屋外劇場にあつまった観客(撮影=AJ Joji)   観る人が一つになれる舞台を目指す  2月はじめ、日本の地方劇場である「犀の角」と共同制作した舞台『羽衣』がサヒヤンデ劇場で上演された。ないと天に帰れないという羽衣を地上に忘れた天女。その天女を好きになってしまった漁師が、羽衣を隠してしまう――という日本の『羽衣伝説』をもとにした舞台である。  日印の劇場は、両者と関わりのあるダンサーの山田せつ子さんを通じて2020年に出会い、観客が一体となれる舞台を目指してきた。  上演の日に劇場を訪れると、開始時刻が近づくにつれて地元の人が集まり、庭で振る舞われるチャイを片手にそれぞれ談笑していた。真っ赤なドレスを着た女の子、ポマードで髪をなでつけて誇らしげにする男の子。インドの伝統衣装・サリーを美しく着こなす母娘や、ドーティと呼ばれるスカートをはいた先住民族らしい男性もいた。  ポイン、ポインポイン……。  舞台が始まると、イダッキャというインドの打楽器のユーモラスな音が聞こえてきた。漁師役のインド人俳優・カピラ・ヴェヌさんはケーララの古典舞踊の踊り手でもある。天女に扮した日本人俳優・美加理さんの動きは、歌舞伎や相撲を思わせた。インド人の歌い手・ビンドゥマリニさんの透き通る歌声は伸びやかに響き渡り、遠くで獣の声と混じり合った。 「わからなさ」があるから、わかり合おうとする  上演した3日間で訪れた観客はおよそ230人。8割は地元の人だ。インド人同士でもそれぞれ異なる言語を母語とする創作メンバーと、日本人。小さな子どもからお年寄りまで、私を含めたさまざまな背景の制作陣と観客が、文化的、政治的な差異を超えて、目の前の舞台に釘付けになった。  公演が終わって数日後のことだ。早朝に物音がして起きると、台所に先住民族の男性が突っ立っていたという。サトコさんが驚いていると、男性は「(公演が)最高だったよ」とおみやげを手渡してくれたそうだ。 「先住民族の人の言葉がわかるんですか?」と尋ねると、「込み入った話はわからないんですけどね」と前置きして続ける。  「言葉がわからないところにずっと身を置いていると、なんとなく分かるようになるんです。お互いにどうにか分かり合おうとしてるところもあると思います」  わからなさが前提にあることで、わかり合おうと努力する。距離があるからこそ生まれるその姿勢に、サトコさんは魅力を感じているのだろう。 自分と異なる存在に助けられて生きている  日本でシャンカルさんに出会ってからおよそ25年。中年にさしかかった今、サトコさんはシャンカルさんとの距離感についても見つめ直しているという。  「シャンカルと共に歩んできた演劇人生について考えると、これは『誰の』夢なんだろう、とドキッとすることがあります。でも劇場を拠点とする暮らしの中で、シャンカルという存在をきっかけとして、自分の生き方を模索してきたのだと考えられるようになりました」  他者との関係性をはかることで、サトコさんは自分の存在を確かめているのかもしれない。眼の前で起こることを誰のフィルターでもなく、自分のフィルターを通して見たいのだ。  インタビューの最後に、幼い頃、「いい風がふいたらそれを逃さないように」と母に言われたことを教えてくれた。その言葉どおり、サトコさんは縁や出会いを大切にして、インドの山奥にたどりついた。  「生まれ育ったところではない土地で暮らす経験や、自分と違う人たちとの関係性が、自分自身を開き、柔軟にしてくれます。自分と異なる存在から持ち込まれるあらゆることに助けられているんです」  その生きざまはまるで、鶴留聡子という演劇作品をつくっているかのようだ。 (フリーライター:ざこうじ るい)    
“お金さえあれば”だけでは通用しない時代に? ヒト・モノ・カネで経済活動において最優先にすべきは 田内学
“お金さえあれば”だけでは通用しない時代に? ヒト・モノ・カネで経済活動において最優先にすべきは 田内学 AERA 2025年4月28日号より    物価高や為替、金利など、刻々と変わる私たちの経済環境。この連載では、お金に縛られすぎず、日々の暮らしの“味方”になれるような、経済の新たな“見方”を示します。 AERA 2025年4月28日号より。 *  *  *  霜降り肉の脂が胃にもたれる。40歳を過ぎた頃から、赤身肉ばかり好んで食べるようになった。振り返れば学生時代も霜降り肉をほとんど食べなかったが、それはお金に余裕がなかったからだ。当時はお金の制約によって食べられず、今は健康の制約によって食べられない。同じ「食べられない」でも、理由は大きく異なっている。  私たちが日常生活や経済活動を営むうえでは、常に何かしらの制約が存在する。経済活動に必要な要素として、ヒト・モノ・カネの三つがよく挙げられる。日本が戦後復興を果たして以降、長い間「ヒト」と「モノ」は比較的潤沢だった。高度成長期やバブル期などの好況時や、災害時などには、一時的にヒトやモノが足りなくなるときもあったが、基本的に「お金さえあればなんとかなる」という状況だった。  経済を考える上でも、「いかに資金を調達するか」「どのようにお金を循環させるか」が主な議論になるように、大事なのは「カネ」だった。  ところが最近、状況が明らかに変化している。東京商工リサーチによると、2024年度の全国の企業倒産件数は1万件を超え、11年ぶりの高水準となったという。特に中小・零細企業の倒産が多い。興味深いのはその内訳で、「求人難」や「人件費の高騰」といった人手不足による倒産が前年度比で6割以上も増加し、過去最多を記録している。今や企業経営の最大の制約は「カネ」ではなく「ヒト」になってしまったのだ。 たうち・まなぶ◆1978年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て社会的金融教育家として講演や執筆活動を行う。著書に『きみのお金は誰のため』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など    2年ほど前の年越しテレビの討論番組で、「人手が足りなくなることが問題だから、少子化対策を何より優先的に解決しないといけない」と発言したところ、財務省出身の学者たちからは「そんなことよりも財源の問題が重要だ」と反論された。当時は、財源問題を強調する見方が主流だったように思える。その時の僕は、お金の制約を重視する考え方に対し違和感を覚え、将来への懸念を抱いていた。  しかし、その財務省が今年4月に発表した財政総論では、冒頭から人口減少による労働力不足の深刻さを指摘していた。財務省自身も、「ヒト」の制約が経済活動に与える影響の大きさを強く認識し、ようやく政策に反映させようとしているのだろうか。  人口予測は将来予測の中でも最も正確性が高いものの一つと言われている。20年前には、現在の20歳の人口はほぼ正確に予測できるからだ。つまり、私たちの生きている人手不足の現状は、かなり昔から確実に予測されていた将来だったはずだ。にもかかわらず、財源不足を理由に、子育て支援や少子化対策は長年後回しにされてきた。  財務省の役割を考えれば、彼らが「カネ」の制約を最重要視するのは自然なことだ。しかし、政府としては、「カネ」以外の制約条件である「ヒト」や「モノ」の不足をしっかりと考慮し、政策を優先順位づけする必要がある。  若い頃は「お金さえあれば」という考えで生きていけるが、年齢を重ねるにつれて健康や時間など他の制約に気づき、配慮するようになる。それと同じように、社会の高齢化が進む中で、経済活動においても優先すべき制約条件が変わっている。私たちはいつまでもお金の制約だけを重視するのではなく、新しい時代に合った視点で経済を考えなければならないだろう。 ※AERA 2025年4月28日号
42歳・独身・ヴィーガン…「ソニン」が「あんぱん」で女性教師役を熱演 再びドラマの世界に戻ってきたワケは?
42歳・独身・ヴィーガン…「ソニン」が「あんぱん」で女性教師役を熱演 再びドラマの世界に戻ってきたワケは?    現在放送中のNHK連続テレビ小説「あんぱん」にて、朝ドラ初出演を果たした女優で歌手のソニン(42)。本作は「アンパンマン」の作者として知られるやなせたかし氏と妻の暢(のぶ)さん夫妻をモデルにした物語だが、ソニンは4月14日放送の第11話より、ヒロインが通う高等女学校の教師役として登場した。その和服姿のりりしいたたずまいに、SNS上では「女学校の先生ピッタリ」「担任の先生、ソニンさんだったんだ!」など称賛の声が上がった。 *  *  *  ソニンといえば、2000年にダンスボーカルグループ「EE JUMP」のメインボーカルとしてデビューし、その名がお茶の間に浸透した。グループ解散後、ソロデビューし02年にリリースされた「カレーライスの女」のCDジャケットにおいて裸エプロン姿を披露し、話題になったこともある。その後、04年に上演された「8 人の女たち」で初舞台を踏むと、以降は舞台を中心に活躍し、16年には「菊田一夫演劇賞」を受賞した。  舞台女優として女優のキャリアを積んでいたソニンだが、近年は「あんぱん」だけでなく、昨年も3本のドラマに出演するなど、ドラマで存在感を放ち始めている。 「一時期はドラマでほぼ見かけなかったソニンさんですが、22年放送のドラマ『となりのチカラ』が10年ぶりの地上波連ドラレギュラー出演となりました。同作品では主人公と同じマンションに住むベトナム人女性役を演じたのですが、違和感もなくいい演技でした。また、23年放送のドラマ『大病院占拠』では、現場を指揮する警察幹部役という物語のキーパーソンを演じ、反響を呼びました。昨年放送のドラマ『放課後カルテ』でも、難病を抱える息子を持つ母親役を重厚感たっぷりに熱演していました。そんな幅広い役を演じられるところも、ドラマで需要が増えた一因でしょう」(テレビ情報誌の編集者)  もっとも、元来から仕事に対しては相当ストイックな一面を持っている。 「MANSION+」(24年4月23日配信)では喉のケアについて、寝室だけで加湿器を2台回し、寝るときは必ず湿ったフィルターがセットされているマスクをつけ、ネックウォーマーを首に巻いていると告白。本当にケアしたいときは、口呼吸をしないことで喉へのダメージを減らすマウステープも使うという。   自然と肉が食べられなくなった  また、動物性食品を一切口にしないヴィーガンとしても知られるソニン。「朝日新聞GLOBE+」(2021年11月9日配信)ではヴィーガンになったキッカケについて、役作りに向けた減量でマクロビオティックを実践したところ、その後、自然と肉が食べられなくなったという。一方、自身はミュージカル俳優の中ではタフなほうだと告白。ロングランの公演で毎回、同じパフォーマンスをするために栄養管理を大切にしており、玄米のおにぎりを冷蔵庫に作り置きし、栄養重視でプロテインや炭水化物を摂っていると話した。また、普段は納豆、湯葉、フムスなど、大豆からタンパク質を摂っているという。  そうしたストイックな姿勢だからこそ、常に良いパフォーマンスを発揮でき、現在の評価につながっているのだろう。 「私生活では独身を貫いていますが、自身の結婚観について、結婚したくないというわけではないとインタビューで明かしています。とはいえ、周りの同世代の中には『結婚ってする必要ある?』という人もいて、今の時代はその考え方もアリなので、妥協はしたくないと思っているそうです。また、焦って自分を見失ってしまう判断をしたくないとも。それゆえ、確信が持てるパートナーに出会ったら結婚しようと考えているそうです。そんな芯の強さもあるからこそ、凛とした雰囲気の役柄もハマるのかもしれません」(同)    芸能評論家の三杉武氏はソニンについてこう評価する。 「ソニンさんはEE JUMPのメンバー時代から、プロ意識の高い優等生のイメージがありました。03年に出演したドラマ『高校教師』では、ホストにのめり込む高校生を好演しました。その後は徐々に舞台に活動の主軸に置くようになりましたが、12年には芸能活動を休止し、演技の勉強のために米ニューヨークに1年間の留学を果たし、帰国後はミュージカル、ストレートプレイを問わず多数の舞台作品に出演しています。演技力には定評のあるソニンさんだけにドラマや映画などの映像作品でのさらなる活躍にも期待したいところです」  舞台で鍛えられた本格派女優としての風格も感じさせるようになったソニン。40代になり、ドラマでどんな役を演じていくのか楽しみだ。 (丸山ひろし)
40代女性「自分で壊したんです」 “いい妻にならなきゃ”が強すぎて…「結婚生活」が破綻したワケ
40代女性「自分で壊したんです」 “いい妻にならなきゃ”が強すぎて…「結婚生活」が破綻したワケ   自身の半生を語ってくれた(撮影/インベカヲリ☆)   現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。 *   *   *    インタビュー場所のファミレスに着くと、石月かなでさん(40代前半)は目の前の高層ビルを見て、驚いたように言った。 「あっ! ここ、昔働いていた場所」  偶然にも、その日入ったファミレスは、約20年前に働いていたオフィスのすぐそばにあり、当時よく来ていたという。 「パンケーキ懐かしい。一時期ハマったんですよね。やっぱりOLの友達が多かったから」  注文したパンケーキが運ばれてくると、かなでさんは弾むような声を上げた。小柄な体形も相まって、天真爛漫な雰囲気が漂う。  彼女は現在、俳優として活動している。といっても、出演しているのは、インディーズ映画や地方コンテンツだ。  岩手県から大学進学で上京し、新卒で総合職をしていたらしい。もっとも、その期間は2年半と短い。 「就職活動で朝の満員電車に乗ったとき、みんなの死んだような顔を見てショックを受けたんです。松葉杖の人が乗ってきても無視で、そういう状況も悲しかった。でも、1年後には自分もそうなっていて、これが一生続くのかと思っちゃったんですよねぇ」  元々、芝居に興味があったこともあり、退職後は働きながら俳優を目指して活動した。31歳のとき、大学時代から11年間交際していた男性と結婚している。 「彼とは同じ大学のテニスサークルで知り合いました。4歳上ですね」  11年間順調だった彼との関係は、結婚したとたん上手くいかなくなったという。 「今振り返ると、私が『いい妻にならなきゃ』という気持ちが強すぎてダメになったんだと思います。元々そんなに家事とか得意じゃないのに、彼を支えなきゃみたいに思っちゃって。でも、そうすると不自由を感じるんですよね」  夫は一流企業に勤めており、妻を養うのは当然と思っているタイプだった。金銭的にも余裕があり、生活に困ることはなかったという。 自身の半生を語る石月かなでさん(撮影/インベカヲリ☆) 「主婦をやりつつ、俳優をすることも認めてくれていたんです。私はまわりから『結婚したら好きなことはできないから、今のうちにやりなさい』って言われて育ったので、結婚した後も好きなことをしている自分にすごく罪悪感があったんです。俳優として芽も出ていないのに、活動させてもらっている劣等感もあった。彼はこんなに稼いでいるのに、私は……って。彼の稼ぎに見合うだけの家事ができていないって、勝手に自分を責めていたんです」  自ら劣等感を強め、肩身を狭くしてしまったらしい。 「お金を出しているほうが権力を持つみたいな結婚観が、無意識のうちにあったんでしょうね。だから、自分で壊したんですよ、結婚生活は」  婚姻届けを出したのは、東日本大震災が起きる3日前だった。その半年後、10年間会えなかった父親が亡くなった。情緒不安定になる要因が、結婚後すぐに重なった。 「両親は、私が大学生のときに離婚したんです。父が精神的な病になって、離婚したいと言ったからだと聞いたけど、実は私が3歳のころから発病していたみたい。私にとっては普通のお父さんだったし、今も本当のところはわからない。だから、死んだときはすごく後悔した。3.11があって死の恐怖も感じたし。結婚したとたん、いろんなことがドーンと押し寄せたんですね」  30代でホルモンバランスがおかしくなり、アレルギー症状も出るようになっていたという。 「化学薬品や添加物がダメになって、当時はコーヒーも飲めなかった。私が薄味でしか食べられないから、味付けなしの野菜炒めにご飯と味噌汁みたいな食事を出すようになったら、夫から『こんなもの食べられるか!』って言われて。怒らせるばかりになっていました」  気づけば、うつ病になり、パニック障害になり、電車に乗ることさえ苦しくなっていた。  心が不安定になると、夫の態度もまた、付き合っていたころとはまるで変わってしまったという。 「『なんでこんなこともできないんだ!』って責められるようになって。でも、それも結局、私が言わせているんですよね。私自身が『自分は何もできない人間だ』と思っているから、鏡として彼がそれを言ってくる。夫の態度を私が誘発させていたんだと今は思います」  そんなある日、かなでさんは舞台の稽古中に、転んで足を骨折してしまう。 「芝居を楽しんでいるときに骨折したから、『ああ、やっぱり私は役者をやっちゃダメなんだ』って、勝手に結び付けてしまったんです。どんどん墓穴を掘っていくんですよね」  こうして悪循環は続き、35歳で離婚に至った。 「今だから笑って話せますけど、時間は必要だったなと思います」  そう言うと、何でもないことのように、ハハハと笑った。  本題はここからだった。かなでさんは、パンケーキを食べる手を止め、唐突にこう言うのだった。 「結婚生活が上手くいかなくなって、父が死んだことも受け入れられなかったし、そのころ、高熱を出したりもして、ちょっと肉体を離れていたんじゃないかなっていう時期があったんですよ…」
「非日常体験」を楽しみながら稼ぐセカンドライフ シニアのリゾートバイトは「リスキリング不要」増加の背景に物価高騰も
「非日常体験」を楽しみながら稼ぐセカンドライフ シニアのリゾートバイトは「リスキリング不要」増加の背景に物価高騰も   リゾートバイト先の宿泊施設で調理をするシニア男性は元百貨店勤務だという(photo ダイブ提供) 50歳以上が12年で58倍に 「リゾートバイトの担い手といえば若者」というかつての常識が覆りつつある。観光地などで働く50~60代が急増しているのだ。シニアらを引き寄せる魅力は何なのか、人材派遣やマッチングを行う企業経営者に実態を聞いた。  リゾートバイトに特化した人材派遣事業などを行う「ダイブ」(東京都新宿区)の庄子潔社長は昨年、ある変化に気づき息をのんだ。  同社のサービスを通じてホテルや旅館などで働いたことのある50歳以上の就業者数は、2022年の199人から24年の759人へと3年間で約4倍に急増。12年の13人を起点にした場合、なんと58倍に膨らんでいたのだ。  リゾートバイトは全国各地のリゾートホテルや旅館、テーマパークやスキー場などに数カ月~半年間移住し、住み込みで働くスタイル。その担い手といえば、時間と体力のある学生などの若者というイメージが強かった。同社もコアの利用者は25~44歳で全体の6割を占める。50歳以上は利用者全体の1割にすぎないが、その急増ぶりに庄子さんは目をみはった。 「02年の創業時からコア・ターゲットは一貫して20~40代でした。にもかかわらず、マーケティング調査すらしてこなかった50~60代の方たちの利用が、オーガニック(自然流入)な形で急増していることに驚きました」  未開拓だったシニア層に、ビジネスチャンスの予兆が突如浮かんだ。とはいえ、シニアらが何を求めているのかは想像の範囲外だった。 「50~60代といえば、『失われた30年』を生きてきたど真ん中の世代。『派遣』という言葉にもネガティブなイメージを持つ人が多いはずです。なのになぜ、派遣社員のリゾートバイトを選ぶのか理解が追い付きませんでした」(庄子さん)  同社は昨年9月、ニーズや志向を探るため、50~65歳のリゾートバイト経験者を対象にアンケートを実施。リゾートバイトを始めた理由(複数回答)については、「新しい環境で経験やチャレンジをしたかった」(53.6%)が最も多かった。具体的な夢や目標を尋ねたところ、「リゾート地でのセカンドライフの充実」や「リゾートバイトで全国を回る」、「リゾートバイト先での移住」といった回答が目立った。 ダイブの庄子潔社長 しょうじ・きよし/1979年、宮城県生まれ。高校卒業後、音楽を学ぶためにアメリカの短大に留学。帰国後、派遣社員として工場勤務などを経て、2003年に観光地に特化した人材会社(現・株式会社ダイブ)の設立に参画。12年に代表取締役就任 (photo本人提供) 新たなライフスタイルを求める意欲あるシニアは、継続した収入を得ることにも同等の価値を置いているという(photo gettyimages) 生活に困ってはいないが   一方、リゾートバイトの目的については「収入を得るため」(47.7%)が最も多かった。とはいえ、生活に困っている人が多いわけではなく、正社員として長年勤務してきた人や、子育てを終えたばかりの人が目立つという。年金や退職金があっても日常的な生活費を補う必要があるほか、将来の医療費や予期せぬ出費に備えるために収入を確保したいというニーズが背景にある、と庄子さんは捉えている。 「価値観の多様化を背景に、新たなライフスタイルを主体的に築きたいという意欲のあるシニアは新しい経験を求める一方、継続的に収入を得ることにも価値の比重を置いています。リゾートバイトは人生100年時代における新たな働き方の選択肢であるとともに、セカンドライフを充実させる手段やステップとしての役割を果たしているようです」  同社の50~60代の利用者に人気の職場は若い世代と同様、冬は北海道のニセコなどのスキー場、春~夏は沖縄の離島の宿泊施設だという。前出のアンケートでは、シニアらがリゾートバイトを始めたきっかけは「旅行が好きで旅行しながら働けると思ったから」が約4割で最多だった。この結果について庄子さんはこう指摘する。 「リゾートバイトの魅力が非日常体験であることはシニアも若手も同じです。しかし長年、満員電車に乗って通勤し、都会のビルの中で働いてきた50~60代には一層、新鮮味と価値のある機会と映るのではないでしょうか」 リスキリングが一切不要なシニアは優位  庄子さんは、リゾートバイトで働く50~60代の優位性について「リスキリングが一切不要」な点を挙げる。 「長年の社会人経験を通じて培ったマナーやコミュニケーション能力は、飲食業などの接客の場でそのまま生かせるスキルだからです。対面のコミュニケーションが苦手な若者世代よりも心強いと感じられる場面も少なくないようです」 「おてつたび」の調査から作成 働きながら旅をしてみたい   シニア層の進出は有名リゾート地や知名度の高い観光スポットに限らない。 「日本のいろんな地域を知りたいというニーズは50~60代に根強いと感じています」 こう話すのは「おてつたび」(東京都渋谷区)の永岡里菜社長だ。同社は地域の事業者が募集する、農園での収穫作業や飲食店の調理補助といった仕事(数日~数週間の短期アルバイト)と、働きながら旅を楽しみたい人をつなぐマッチングサービス事業を展開。観光需要の面から注目が集まりにくいエリアを含む地域の人手不足解消と地域経済の活性化、関係人口創出に貢献している。  同社のサービス利用者の約半数は10~20代。一方、同社でも増加が目立つのがシニア層だ。50歳以上は21年に8%だったのが、25年には27%と急増している。同社が昨年8月に50歳以上のサービス利用経験者を対象に行ったアンケートで参加動機を尋ねたところ、「日本各地、いろんな地域に行ってみたい」が最も多かった。永岡さんは言う。 「コロナ禍以降、テレワークの普及やワーケーションの利用で居住先の自由度が増すとともに地方移住への関心が高まったことや、経済的自由を得て早期リタイアする『FIRE』への関心が高まったことも、50~60代の参加を後押ししていると考えています」  同社の常連のサービス利用者には、50代前半でリタイアし、キャンピングカーで全国を巡る夫婦もいるという。 「おてつたび」の永岡里菜社長   ながおか・りな/1990年、三重県生まれ。千葉大学を卒業後、PR・プロモーションイベント企画制作会社勤務、農林水産省との和食推進事業の立ち上げを経て、独立。2018年、地域に人が来る仕組みをつくるべく、株式会社おてつたびを創業 (photo 本人提供) 「旅先で稼ぐ」 背景に物価高騰も  永岡さんはまた、「物価高騰」も要因の一つに挙げる。 「物価高騰で旅費の負担が増し、よりコストを抑えて旅行を楽しみたいと考える人が増えています。旅行も楽しみたいけれど老後を見越して散財はできないというシニアらにとって、旅先で小遣い稼ぎもできる『おてつたび』のサービスがマッチしているのかもしれません」  同社はシニア層も応募しやすいよう、3年前から募集項目に「年齢不問」のタグ付けをしている。永岡さんは「働き手の価値を年齢でラベリングするのは時代錯誤」だと主張する。 「幸福の定義がそれぞれ異なるように、50~60代が培ってきた人生経験や知見、大事にしたいことも千差万別です。それぞれの強みを生かしてシニアらが活躍できるフィールドは地域にたくさんあります。ぜひ多くの人にチャレンジしていただきたい」 (AERA編集部・渡辺 豪)
「ヘンリー王子をそろそろ王室に戻してやって」の声 メーガンさんには届かず
「ヘンリー王子をそろそろ王室に戻してやって」の声 メーガンさんには届かず 2025年2月9日、カナダ・バンクーバーで開催されたインビクタス・ゲームズに姿を見せたヘンリー王子とメーガンさん。車椅子バスケットボールの試合を観戦した(photo ロイター/アフロ) 「王子をそろそろ王室に戻してやって」 「最近の王子の苦しみを見ていられない。そろそろ王室に戻してやっても良いのでは」。ヘンリー王子(40)を子どもの時から身近で見てきた英王室専属カメラマンが先日、王子の王室復帰を進めるように訴えて波紋を呼んでいる。  これは、ヘンリー王子が慈善団体「サンタバリー」のパトロン職を辞任したことを受けたのだろう。ヘンリー王子は、理事長のソフィ―・チャンダウカ博士から「王子から人種差別、女性差別などを受けた」と糾弾され、すっかり落ち込んだといわれる。  そんなヘンリー王子は、4月8日と9日にロンドンの控訴院に出廷した。イギリス滞在中の警備レベルが下がったことを不服として裁判を起こし、その申し立てが退けられたことに対して控訴。審理が続いているためだ。  ヘンリー王子は、イギリスでの警備について、「父こそ、この悪夢に終止符を打つことができる唯一の人物だ」と強調している。チャールズ国王が手を打てば、警備問題は簡単に解決するとの考えだ。だが、英王室側は「王室が司法手続きに仲介することは不適切」と答えているだけだ。 2025年4月9日、ロンドンの控訴院に出廷したヘンリー王子。手を振って笑顔を見せるシーンもあった(photo ロイター/アフロ) 兄ウィリアム皇太子の自宅近くに宿泊  控訴院に出廷するためにイギリスに滞在したヘンリー王子だが、このとき注目されたのは、ヘンリー王子の宿泊地だ。王子が選んだのはバークシャー州にあるコーワース・パーク・ホテル。五つ星の名門だが、場所はウィリアム皇太子一家が住むアデレード・コテージから車ですぐの距離だ。宿泊日時は、王子の警備会社を通じて皇太子(42)に知らされたという。  わざわざ皇太子の自宅の至近距離にホテルを取るのは、和解の申し出であると見なされた。ヘンリー王子は兄に「僕はすぐそばにいる。問題解決のために2人で努力をするのはどうだろうか」と呼びかけたのだ、と王子の友人らは口をそろえる。さらに友人らは、王子が「王室生活の中で感じた自分の暗い部分を著書などで浄化したのは、正しかった」と話していると証言している。  ヘンリー王子の言動ににじむ王室への想い。先日、ウクライナを訪問して、戦争で負傷した兵士らを見舞ったのも現役の王室メンバーであることを装ったわけで、それは「王族に戻りたい」という強いアピ―ルに違いない。 2025年3月15日、ウェールズ・ラグビー慈善信託の支援を受ける負傷選手たちと面会したウィリアム皇太子とキャサリン妃(photo ロイター/アフロ) 「結婚してから兄は変わった」  一方、兄のウィリアム皇太子は和解に応じる姿勢は全くない。そうした兄について王子は業を煮やしており、「結婚してから兄は変わった」と嘆く。ウィリアム皇太子とヘンリー王子は両親の不安定な結婚生活の中で育ったが、キャサリン妃(43)の実家ミドルトン家はとても家族仲が良く支え合っている。ウィリアム皇太子は、温かいミドルトン家を理想の家庭として尊敬してきた。「皇太子にとって、ミドルトン家と出会ったことは最高に幸運だった」と評する王室関係者もいる。だが、いまヘンリー王子は「ミドルトン家の義理の両親への兄の執着は理解できない」と話し、自分の疎外感を訴えているという。  ヘンリ―王子は現在アメリカに親しい友人はなく、インビクタスゲーム関連以外にはこれといってすることもない。前述の英王室専属カメラマンは、「離脱から5年が過ぎて、王子はいま父に思い切り抱きしめてほしいのだ。国王は彼に救いの手を差し延べるべき」と主張する。 メーガンさんはビジネスに邁進中  悩みが深くなるばかりのヘンリー王子だが、妻のメーガンさん(43)が王子を慰めているかというと、そうでもないらしい。彼女はとにかく忙しくて「アズ・エバー」の立ち上げにあたって、「何日も眠れない夜を過ごした」「一か月前は梱包や箱のことばかり考えていた」と自分の努力をアピールしている。にも関わらず、目玉商品である「ラズベリー・スプレッド(ジャム)がぬるぬるして、ベビーフードのよう」などの酷評を受けてしまった。それでもメーガンさんは、「高級感がありながら、より手に取りやすい価格です。すべて完売しました」と胸を張っている。  そんなメーガンさんは最近「女性創業者の告白」がテーマのポッドキャストも開始した。だが、第一話が「胃が痛くなるほどひどい」と評判が悪いことから、現在暮らしているモンテシートの隣人で女優のジェニファー・アニストン(56)に出演を依頼。アニストンは、かつてアメリカの雑誌で嘲笑されたメーガンさんに「多大な共感を持つ」と同情を寄せたことがあった。 2013年2月27日、レソトのレツィエ国王の弟であるセーイソ王子(右)と、現地の学校を訪問したヘンリー王子。セーイソ王子と共同で設立した団体「センテバレ」と連携するカナネロ聴覚障害者センターの生徒たちと交流。様々な活動を続けてきたが、最近になってパトロン職を辞任した(photo AFP/アフロ)  エクスプレス(オンライン)によると、ポッドキャスト番組には有名なゲストが必要だとメーガンさんは考えている。「アニンストンに続き、オプラ・ウィンフリーやケビン・コスナーなどを呼びたい」とし、彼らが出演さえすれば、視聴率の大幅アップは間違いないと固く信じている。  メーガンさんは以前ネットフリックスのテーマとしてキャサリン妃が熱心に進める「子どもたちのための初等教育推進活動」を取り上げたいと考え、キャサリン妃に申し出たことがあった。「必ずあなたのためになる」と強調したそうだ。キャサリン妃からは何の返答もなかったが、今回のセレブへの声掛けも空振りに終わるだろうか。 (ジャーナリスト 多賀幹子)

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