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【マクアケ開始2日で応援総額3400万円を突破!】ハンディタイプ高圧洗浄機にて歴代ランキング1位を獲得!
【マクアケ開始2日で応援総額3400万円を突破!】ハンディタイプ高圧洗浄機にて歴代ランキング1位を獲得! 【完全ワイヤレス×圧倒的洗浄力】で史上最小かつ強力な「THE HYDRO CLEANER HANDY POWER」 - 谷村実業株式会社 谷村実業株式会社(本社:京都府福知山市、代表取締役社長:谷村 建一郎)が展開する「暮らしを革新する、プロフェッショナル基準。」をブランドコンセプトに掲げた「T-PROFESSIONAL(ティープロフェッショナル)」は、家庭でも外出先でも、電源・水道不要で本格洗浄を実現する「THE HYDRO CLEANER」シリーズから完全ワイヤレスの最新モデル「 HANDY POWER」を2025年7月19日(土)よりMakuakeにて先行販売開始しました。おかげさまで、プロジェクト2日にして3400万円の応援購入をいただき、Makuake高圧洗浄機ランキング1位を獲得したことをお知らせいたします。 一般販売価格は15,000円(税込)のところ、Makuakeでは35%OFFの9,750円でご提供しております。お得なリターンは数に限りがございますので、ご関心持っていただけた方は、お早めにご確認ください。 Makuakeプロジェクトページはこちら 【THE HYDRO CLEANER HANDY POWERとは】高圧洗浄機の概念を覆した、Makuake高圧洗浄機ランキング歴代1位の人気シリーズから登場!圧倒的洗浄力はそのままに、完全ワイヤレスで史上最小コンパクトサイズ T-PROFESSIONALの中でも「HYDRO CLEANER」シリーズは、従来の高圧洗浄機の課題とされてきた「重い・大きい・コードが邪魔・水道接続が必要・収納に困る」などの問題を解決!洗浄力はプロ級を叶えつつも、軽量化、電源・水道接続不要、収納コンパクトまで叶えた人気シリーズです。 そんな「HYDRO CLEANER」シリーズからプロ級の洗浄力はそのままに完全ワイヤレスで史上最小コンパクト「HANDY POWER」が登場しました。ワイヤレスなので、これまで洗浄しずらかった高所や、狭いスペースでも楽々使用でき、さらに携帯可能のためキャンプ、公園などのアウトドアでの使用や、災害時など水道が使えなくなってしまった時などにも活躍します。 機能面でも、泡洗浄機能や多様な噴射モードを搭載し、ただの小型洗浄機ではないプロフェッショナル品質に仕上げています。 【まさに次世代モデル「THE HYDRO CLEANER HANDY POWER」 製品特長】・「コードレス」だけでなく「完全ワイヤレス」設計で圧倒的な操作性 電源も水道も不要。コードやホースに縛られないため、これまで使用しずらかった狭い場所やキッチン、お風呂場、玄関などの家の中でも外でもどこでも自在に使えます。 ・強力洗浄&5つの水流パターン+泡洗浄 用途に合わせて選べる5パターンの噴射+泡洗浄で、車、バイク、ベランダ、玄関タイルなど多用途に対応。 最大2.5MPaの水圧が可能です。 ・外出先でも、水道が近くになくてもOK。災害時にも活躍 アウトドアや車中泊の際、家に持ち帰る前に洗浄が可能です。災害などで急に水道が使えなくなった際にも使える次世代モデル ・付属のホースをつければ長時間使用も可能に! ワイヤレスで使用したい時はペットボトルで気軽に、長時間使用したい時は付属のホースと折りたたみ式バケツに簡単変更が可能です。 【製品概要】・セット内容:本体の他に、泡洗浄のバブルボトル、折りたたみバケツ、ホース、ノズルがついてきます ・一般販売予定:2025年秋ごろを予定 ・Makuake特別価格:9,750(税込、35%OFF) ・一般販売価格:15,000(税込) ・MakuakeプロジェクトURL:https://www.makuake.com/project/t-professional5/ 「暮らしを革新する、プロフェッショナル基準。」をブランドコンセプトに掲げるT-PROFESSIONALとは?T-PROFESSIONALは、プロフェッショナルの知見とユーザーの声をもとに、プロ品質を日常に取り入れ、暮らしをより快適で便利に進化させることを目指し、高い信頼性、洗練されたデザイン、そして使いやすさを追求し、日々の生活に「HAPPY & SURPRISE」をお届けします。 ・T-PROFESSIONALブランドサイト シリーズ累計1億6000万円※以上の応援購入総額を達成し、多くのユーザーから高評価をいただいた「THE HYDRO CLEANER」とは?従来の高圧洗浄機の課題とされてきた「重い・大きい・コードが邪魔・水道接続が必要・収納に困る」などの問題を解決!洗浄力はプロ級を叶えつつも、軽量化、電源・水道接続不要、収納コンパクトまで叶え、シリーズ累計総額1億6000万円を超えた人気シリーズです。※2024年3月、2025年2月のプロジェクトの応援総額合算 ・第1弾 Makuakeプロジェクトページ ・第2弾 Makuakeプロジェクトページ 【谷村実業株式会社とは】1896年創業、129年を超える歴史を持つ総合商社です。鉄鋼、金属製品をメインに取り扱う総合商社として、鉄鋼建材本部、産業機器本部、生活産業本部の3つの事業本部を軸に展開しています。 【会社概要】 会社名:谷村実業株式会社 代表者:代表取締役社長 谷村 建一郎 所在地:〒620-0856 京都府福知山市土師宮町1丁目84番地 設立:創業 明治29年(1896年)12月15日、会社設立 昭和28年(1953年)1月6日 主要取扱商品: 鉄鋼製品、生活用品、建設資材、産業機器、ビル用建材、住宅用建材、機械工具、物流機器 情報機器、冷暖房機器、生活日用品、エクステリア、農業資材、通信販売支援システム、メタル商品 会社HP:http://www.tasscom.net/ 谷村実業株式会社 谷村実業株式会社 東京支店 担当:広報部 TEL:03-3479-3151 FAX:03-3479-1351 MAIL:seikatsu@tasscom.net
「韓国がつくり、世界が選んだアプリ31選」に選出!- 今、日本人が注目する“神ライフスタイルアプリ”とは?
「韓国がつくり、世界が選んだアプリ31選」に選出!- 今、日本人が注目する“神ライフスタイルアプリ”とは? - Minding. co., Ltd. 韓国ドラマ、K-ビューティー、K-POPに続き、最近では“韓国発アプリ(K-アプリ)”への関心が日本でも20~40代を中心に急速に広がっています。 特に「韓国で先に人気を得たアプリであること」は、実用性と信頼性を重視する日本のユーザーにとっても重要な選択基準の一つとなっています。 その中で、今もっとも注目されているのが「マイルーティン」です。 大きな目標ではなく、「毎日少しずつ積み重ねること」にフォーカスした韓国式ライフスタイルをそのまま反映したこのアプリは、 「無理なくタスクをこなし、日常を整えたい」と考える日本のユーザーにとって、まさに“今もっとも必要なツール”として支持を集めています。 「マイルーティン」は、韓国のApp Store「仕事効率化」カテゴリにおいて長期間上位を維持してきた代表的なアプリであり、 最近ではAppleが公式に選出した「韓国がつくり、世界が楽しむアプリ31選」にも選ばれ、K-アプリの代表格として注目を集めています。 また、アプリ内のすべての機能が日本語にも完全対応しており、言語の壁なくスムーズに使い始められる点も、日本ユーザーの利用ハードルを大きく下げています。 こうした要素が重なり、日本国内でもユーザー数が急速に増加しており、K-アプリの新たなトレンドを牽引する存在となっています。 Kアプリだから? それだけではありません。人気の理由は、“几帳面で計画的な韓国式セルフマネジメント文化”への共感と信頼。 マイルーティンが日本で注目されている背景には、単なる一時的なトレンドを超えた“K-ルーティン文化”への信頼感があります。 「決まった時間に運動する」「毎日スケジュールを記録する」「一日を落ち着いて振り返る」-- そんな“整った日常の光景”は、韓国ドラマやSNS、YouTubeなどを通じて日本でも自然と馴染み深いものとなっています。 そしてこの文化に影響を受け、 「毎日きちんと過ごしたいと思うだけで終わっていたけれど、今回は本気で始めたくなりました」 「タスクはいつも後回しにしてしまっていたけど、少しずつでも続けてみようという気持ちになれました」 といった声が、日本でも増えてきています。 マイルーティンは、こうした“きちんと始めたい気持ち”をサポートするための設計がされています。 タスクをルーティンとして整理し、実行後にチェックして振り返るという流れを、アプリ1つで自然に行えるように設計されており、 複数のアプリを使い分ける必要がない点も高い評価を得ている理由の一つです。 実際に、YouTubeの生産性インフルエンサーやセルフマネジメント系VlogでもMyRoutineを使用している様子がたびたび登場しており、そこからアプリを知ったというユーザーも少なくありません。 意志ではなく、仕組みにフォーカスした「本物の習慣アプリ」マイルーティンは、ただの習慣アプリではありません。 「完璧じゃなくても、自然と続けられる習慣化」を目指して設計されたこのアプリは、 失敗へのプレッシャーを減らし、少しでもできたことを達成感へとつなげる仕組みを持っています。 画面上には一日のタスクが順番に表示され、「今日は何をすべきか」が一目でわかります。 この構造によって「今日やることは全部ここにある」という安心感が生まれ、 頭の中がごちゃついてルーティンがすぐ崩れてしまう…という状況も少なくなります。 また、このアプリは習慣を特定の時刻に縛る必要もありません。 「シャワーの後」「食後30分」など、状況に合わせて実行タイミングを設定できる“いつやる?”形式のおかげで、 時間に追われることなく、日常の流れに自然と溶け込むような実行が可能になります。 こうした“時間ではなく文脈”に基づいた習慣設計ができる点は、一般的なカレンダーアプリやToDoリストとは一線を画しています。 MyRoutineが大切にしているのは「どれだけ達成したか」ではなく、「どれだけ自分のリズムを続けられたか」。 たとえば、ルーティンを60%こなしただけでも“達成”として表示される「マイルーティン信号」機能などにより、 「自分は十分できている」という実感を与え、小さな成功体験を繰り返すことでモチベーションを保ちやすくなっています。 あるユーザーはこう語ります: 「チェックした瞬間、“今日もちゃんと生きた”って感じられるんです。 単なるチェックじゃなくて、自分の一日がこのアプリに記録されてる感覚です。」 ただの機能ではなく、心理的な設計にまでこだわったこのアプリは、 三日坊主になりがちな人でも気軽に始めて、しっかり続けられるようにサポートしてくれます。 まさにMyRoutineは、“生活に根ざしたリアルな習慣アプリ”といえるでしょう。 ユーザーが語る「最高の自己管理アプリ」 ユーザーレビューからもわかるように、MyRoutineは単なるスケジュール管理を超え、 “自分自身を見つめる”ためのアプリとして、日々の生活に欠かせない存在になっています。 “自分を整える”新しい選択肢-Kライフスタイルで変わる日常習慣管理も、セルフマネジメントも、今はK-アプリ「マイルーティン」で。 マイルーティンが成功を収めている理由は、「韓国製である」ということだけではありません。 K-POP、Kドラマ、Kビューティーに続き、「韓国のやり方で生活を整えたい」というニーズが多くの人の中に芽生え、 共感と「私もやってみたい」という実践の意欲につながっています。 マイルーティンは、そんなニーズにもっとも応えるアプリとして評価されています。 複雑なToDoリストよりも、小さな習慣を積み重ねて一日を充実させる構造 完璧でなくても続けられるよう工夫された心理設計 習慣とToDoを一括管理できる統合型UI 日本のユーザーにとって、MyRoutineは単なるアプリを超えて、 “K-ルーティンライフ”を体験できる新たなパートナーとして定着しつつあります。 韓国コンテンツはもはや「見るもの」ではなく、日常を変えるメソッドへと進化しています。 その中心にあるKアプリ、マイルーティンは、ライフスタイル全体を変える「小さなスタート地点」として、今まさに日本で最も注目されているK-アプリです。 “K-ルーティン”を、今日からあなたの日常に。 毎日を少しずつ整えるだけで、生活は確実に変わっていきます。 MyRoutineは現在、日本のユーザー向けに1週間の無料体験を提供中。 iOS・Androidの両方で利用可能で、App StoreまたはGoogle Playからすぐにダウンロードできます。 韓国で生まれ、日本でも共感と実践が広がる“K-ルーティン”という新しい選択肢。 あなたも今日から、その一歩を踏み出してみませんか? 【アプリ情報】 アプリ名:マイルーティン(MyRoutine) 会社名:株式会社Minding カテゴリ:ライフスタイル / 習慣管理 / 生産性向上 対応OS:iOS / Android 公式サイト:https://myroutine.today/ja 【お問い合わせ】 会社名:株式会社Minding 担当者:ハン・ユナ メール:yn.han@minding.today
ワンコインでバランスの良い食事を提供と経費削減を同時に実現する新サービ「GENKI-NAROu」発表
ワンコインでバランスの良い食事を提供と経費削減を同時に実現する新サービ「GENKI-NAROu」発表 ~健康的な食事・健康状態の可視化・経費削減をワンパッケージで提供~ - 株式会社フローウィング     会社にも従業員も健康いなる仕組みです。 株式会社フローウィング(本社:兵庫県、代表取締役:田中勝久)が提供する、企業向けの新しい福利厚生/健康経営支援サービス「GENKI-NAROu(ゲンキナロウ)」を伊藤忠オリコ保険サービス株式会社およびロート製薬株式会社と連携し、2025年9月より提供開始いたします。 「GENKI-NAROu」の提供するサービスは3つのサービスを提供しています。 1.ワンコインで利用でいる簡易食堂  ・栄養バランスの取れた食事の提供(NARO Style PLUS/ON Balance R)、   「ワンコインで利用できる簡易食堂」は、企業のコストパフォーマンスにも過ぎれ、バランスの取れた食事をベースにお惣菜やデザートを提供しています。 2.従業員の体調変化を可視化する健康モニタリングいきいき健康チェック、 3.福利厚生にかかる経費の削減支援 【社会背景】GENKI-NAROuが提供される背景には、以下の2つの社会的課題があります: ■物価高騰と福利厚生の強化ニーズ ・ 中小企業においては給与面での大幅な対応が難しい現状があり、「第二の賃上げ」として食事をはじめとする福利厚生の充実が注目されています。 健康経営の推進 ・「新型栄養失調」や「軽度不調」への関心が高まる中、従業員の健康状態の可視化と改善は企業の責務として重要視されています。栄養バランスの取れた食事は、労働生産性の向上にも寄与するとの報告もあります。 ■健康経営の認定項目に対応 GENKI-NAROuの食といきいき健康チェックを利用する事で、健康経営の認定項目に対応することが可能になります。                    <例> ○従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討(2項目) 1.定期健康診断率(100%) 2.受験診断の取組 4. 健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画) ○健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント(1項目) 6.適切な働き方実現に向けた取り組み 7. コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み ○従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策(3項目) 1. 9.食生活の改善に向けた取り組み    10.運動機会の増進に向けた取り組み  2. 12.従業員の感染症予防に向けた取り組み 13.長時間労働者への対応に関する取組み 【サービス概要:「GENKI-NAROu」の3本柱】1. バランスの良い食事の提供 労働生産性に影響すると言われています ・NARO StylePLUS:農研機構の登録商標「NARO Style(R)」を冠した商品で、機能性表示食品のもち麦を利用したご飯、「べにふうき茶」をセットした健康食 ・ON Balance R:ロート製薬が開発した「Vision R」をセットにしたお弁当 これらはお弁当形式で提供され、必要栄養素をバランスよく摂取可能です。  ・従業員の生活ニーズに合わせた、単品お惣菜、デザートも提供             企業に提供する価格に自信あり! お惣菜1個100円 お弁当500円 バランスの取れた食事は労働生産性にも寄与します。 2. いきいき健康チェック 当食事を4~8週間1日に1度、継続摂取し、睡眠、気分、体脂肪率などの変化を測定。従業員一人ひとりの体調変化を可視化し、健康行動への変容を促します。 従業員間での健康に対する意識が変わります。 3. 経費削減サービス 22000アイテムがすべてサプライヤーから卸価格で提供 企業ごとの専用注文サイトを通じて日用品・消耗品等をサプライヤーから直接仕入れることで、福利厚生にかかるコストの削減が可能になります。 会社も従業員も元気になります! 【サービス提供会社会社概要】 株式会社フローウィング 所在地:兵庫県姫路市香寺町野田27-1 代表者:田中勝久 設立:2017年 事業内容:健康関連サービス、流通プラットフォーム事業 等 URL:https://www.flow-net.jp 伊藤忠オリコ保険サービス株式会社 所在地:東京都港区北青山2丁目5番1号 伊藤忠ビル3階 URL:https://www.itochuiis.co.jp/ ロート製薬株式会社 所在地:大阪市生野区巽西1-8-1 URL:https://www.rohto.co.jp 【本件に関するお問い合わせ先】 株式会社フローウィング 広報担当:瀬戸、田中 TEL:079-232-6399 E-mail:uketuke@flow-net.jp
伊之助が柱稽古で叫んだ「天ぷら」が示唆する、“ある老女への想い”とは?(『鬼滅の刃』 無限城編考察)
伊之助が柱稽古で叫んだ「天ぷら」が示唆する、“ある老女への想い”とは?(『鬼滅の刃』 無限城編考察) 猪の面をかぶった伊之助の姿(画像は「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 』第一章 猗窩座再来』」公式HP「人物紹介」より https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/)  『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開され、連休中に大きな盛り上がりを見せている。同作においては、炭治郎の同期・嘴平伊之助も人気キャラの一人。野性的で破天荒な性格だが、山中で孤独に生きてきた過去を持ち、心の奥にトラウマを抱えている。  新刊『鬼滅月想譚 ――『鬼滅の刃』無限城戦の宿命論』を著した植朗子氏は、伊之助の心を癒した「ある老女の存在」について言及している。同書から一部を抜粋変更してお届けする。 【※ネタバレへの注意】以下の内容には、既刊のコミックスと劇場版のネタバレが含まれます。 *  *  * ■嘴平伊之助の幼少期  嘴平伊之助はある事情で乳幼児期に親に“捨てられ”、山中でイノシシに育てられました。そして、その“母イノシシ”の死後は、さらに孤独に満ちた生活を余儀なくされています。自分の育った山近くの民家で、親切な老人(たかはるの祖父、と呼ばれている。10巻番外編参照)にお菓子をもらい、言葉を教えてもらうなどの経験はありましたが、人と一緒に暮らしたことがない伊之助は、“家族愛”を知らないまま成長していきます。  伊之助は炭治郎と善逸との最初の出会いでは、同じ鬼殺隊だというのに“戦い”を挑んでいます。当時の伊之助にとって、“戦い”は遊びの一種だったからです。彼は他者との正しい交わり方を知りません。 ■伊之助の変化  ある日、任務中に怪我をした伊之助は「藤の花の家紋」の一族の屋敷で、身体を休ませてもらうことになりました。  この一族は“鬼狩り様”に救われた家門の者たちで、そのため彼らは“鬼狩り”である鬼殺隊隊士に尽くします。この屋敷には「ひさ」という名前の老女がおり、食事や布団の世話、医者の手配など、面倒をみてくれました。これまでひとりで孤独に生きていた伊之助は、「自分のために誰かが温かいごはんを作ってくれる」という経験をここで初めてします。 天ぷら 天ぷら 猪突ゥ猛進!! (嘴平伊之助/16巻・第135話「悲鳴嶼行冥」)  これは鬼殺隊柱たちが隊士に特別訓練をしてくれた「柱稽古」の時の伊之助のかけ声です。「反復動作」と呼ばれるパワーを高めるための動作には、自分の“強い感情”と結びつく出来事を頭に思い浮かべる必要があるのですが、伊之助がこの時に口にした「天ぷら」という言葉は、老女・ひさが作ってくれた美味しいごはんのことでした。  一見すると食いしん坊のようなコミカルなセリフですが、たとえば炭治郎の場合は「反復動作」の時に亡き家族と煉獄さんのことを思い出していますから、伊之助にとってひさの優しさがどれだけ重要な機縁となっていたのか、この言葉からわかります。 ■伊之助や隊士たちを見守る人々  穏やかに語りかけるひさの何気ないひとことが、伊之助の寂しさを癒していきました。伊之助はひさから「平和な日常」「見守られる日々の穏やかさ」を教えられました。そして、ひさもまた伊之助たちに特別な思いを持っています。彼女はいつも物静かで、感情を強く表現することはなかったのですが、心の中でいつも彼らを心配していました。 どのような時でも 誇り高く生きて下さいませ ご武運を… (藤の花の家紋の老女・ひさ/4巻・第28話「緊急の呼び出し」)  かつて鬼狩りに救われたという老女・ひさ。鬼との遭遇という壮絶な体験の後に、彼女は傷ついた鬼殺隊の世話をし、隊士たちの無事を願うようになります。生きて帰ってきてほしい、死なないでほしい、傷つかないでほしい、そんな言葉をたくさん飲み込んで、隊士たちの後ろ姿を見送ります。  ひさの思いは伊之助を強く、優しく変えていきました。平和な夜明けを願って、ひさたちは朝が来るまで祈り続けることでしょう。 《新刊『鬼滅月想譚 ――「鬼滅の刃」無限城戦の宿命論』では、伊之助の成長がさらに詳述されている。伊之助が「強く」「優しく」なる機縁となった、炭治郎たちと胡蝶しのぶとの出会い。上弦の鬼・童磨との戦闘、栗花落カナヲとの共闘についての分析も収録されている。》 鬼滅月想譚 『鬼滅の刃』無限城戦の宿命論 商品価格¥1,650 詳細はこちら ※価格などの情報は、原稿執筆時点のものになるため、最新価格や在庫情報等は、Amazonサイト上でご確認ください。
参政党が女性を取り込んだ「オーガニック右翼」という“戦略” オーガニック(自然食)×パワースポット(神社)という絶妙なかけ合わせ
参政党が女性を取り込んだ「オーガニック右翼」という“戦略” オーガニック(自然食)×パワースポット(神社)という絶妙なかけ合わせ 参政党の神谷宗幣代表    7月20日に投開票された参院選で躍進を果たした参政党。「日本人ファースト」を掲げ、選択的夫婦別姓反対、反ワクチン、外国人の受け入れ規制などの主張は物議をかもすことも多いが、女性の支持者も多いとされる。その背景には「オーガニック信仰」に「保守思想」が後付けされた異形の政治的スタンスがある。(この記事は、朝日新聞取材班『「言った者勝ち」社会 ポピュリズムとSNS民意に政治はどう向き合うか』(朝日新書)の一部を再編集したものです) *  *  *  参政党支持の広がりを支えているのが、ある政党の幹部経験者が語った、参政党とオーガニックとのつながりなのかもしれない。幹部経験者の妻はオーガニックに関心が深く、インスタで関連のページを見ていると、アルゴリズムで「参政党」をたびたび目にすることは先述した。そして、この幹部経験者は、参政党は、オーガニックに関心を持つ一定のボリューム層に食い込んでいると感じている。このことは、これまで見てきた「反米保守」という参政党のイデオロギー的特徴とは無関係だ。  ネット右翼や保守勢力に詳しい作家・評論家の古谷経衡(つねひら)氏の論考が理解の助けになる。古谷氏は参政党が政党要件を獲得した2022年参院選の直後に、ヤフーニュースに記事を寄せた。古谷氏は記事の最後で「参政党は単なる『ネット保守』政党ではない。全体としてみれば、オーガニック信仰を基調として、そこに保守的要素が『後付け』された異形の『オーガニック右翼(保守・右派)』と呼ぶべき右派政党」と位置づけた。古谷氏の参政党論の概要は以下のようなものだ。 「天皇を中心とした国家」をうたうなど、かつての石原慎太郎氏や平沼赳夫氏らの「太陽の党」や「次世代の党」に近い政策を持つ。同じ「ネット保守政党」に見えるが、両党のように雑誌の「正論」や「WiLL」など保守論壇中央と呼ばれる岩盤層からは支持は得ておらず、支持構造は大きく異なっている。  参政党の最も大きな集票構造は「強烈な『オーガニック信仰』」だ。三つある参政党の重点政策の二番目は「食と健康、環境保全」であり、神谷氏は2022年参院選での千葉での街頭演説で「子供にいいモノを食べさせたら、子供の病が減ります。荒れなくなります。学力が上がります。絶対そうなりますから。はい。そしたらそこで医療費が下がるんですよ。子供の医療費無償化をするんだったら、学校給食にお金をかけてください」と訴えた。これは典型的なオーガニック信仰の一種で、オーガニック信仰は戦後の大量消費社会の亢進(こうしん)に疑問を示した先進国に住む、意識の高い比較的富裕な消費者層から始まる。  熱心な参政党支持者の人々は、驚くほど政治的に無色であり、参政党を支持する以前は、政治そのものに関心がほとんどないため、政治的免疫がない人が多い。こうして、ヨガ教室に熱心に通い、自然食品を愛好し、個人経営の自然派喫茶店が行きつけである、とフェイスブックに書いていたような人が、ある日突然、参政党のユーチューブに感化されシェア・投稿し出す……。 政治的無関心層が支持者に  古谷氏はこれとは別のインタビューで参政党の支持者像について、「自分の生活が第一で、社会のことをあまり気にしないで生きてきた、選挙にもずっと行ったことがないような方々」と指摘。参政党が街頭演説で太平洋戦争について「大東亜戦争は侵略戦争でなかった」と訴えても、そもそも政治に全く関心がなかった人には響かないと言い、「私が見たり会ったりした人たちが、参政党の保守的な部分で一番強く共感していたのは、神社の崇拝です。『神社に行って霊的なパワーをもらい、明日からもがんばれる』というような人が多い」と語る(朝日新聞2022年9月25日配信)。 「自分の生活が第一」だった政治的無関心層が、オーガニックにこだわってネットを見ていたら、そこに参政党関連の情報がアルゴリズムによって流れ、同党の保守的イデオロギーや政策とは無関係に、支持者になっていく。政治的無関心層だったからこそ、「政治的免疫」がなく、熱心な支持者になり、他党より高い党費を払ったり、個人寄付を寄せたりするという構図があるのだろう。  政治に無関心だった層がSNSを通じて関心を持つようになり、政治参加する。先に詳述したように、東京都知事選や兵庫県知事選で見てきた構図と同じだ。政治への「初恋」で分別を失ってしまえば、陰謀論的な言説すら受け入れてしまいかねない。政治に関心を持つ人が増えて、投票率が高まることは民主主義の基盤を強くするために不可欠なことだが、偽情報や誤情報、陰謀論など正確性を欠く言説の上で政治的行動を起こすことが増えてしまっては、かえって民主主義は不健全になってしまいかねない。  参政党が、現代表である神谷氏を初当選させ、国政政党になったのは2022年の参院選だった。政党交付金が交付される国政政党と認められるには、①国会議員5人以上を有する政治団体②国会議員が1人以上いて、かつ、国政選挙の選挙区もしくは比例区の選挙で2%以上の得票率を得た政治団体……のいずれかが必要となる。参政党は2022年の参院選で、神谷氏が当選し、かつ比例区で2%以上の得票率を得て②をクリアした。  参院選の比例区は、小政党が政党要件を得やすい選挙制度だ。全国を一つの選挙区とした上、個人名でも政党名でも投票できる。比例の投票用紙には、その政党の比例名簿に並んだ候補者名を書いてもいいし、政党名を書いてもいい。圧倒的な知名度を誇る人気者を候補者に担ぎ出し、その人気者が圧倒的な得票数をたたき出せば、その得票はそのまま政党の票になるため、比例区での得票率2%以上という政党要件にもグッと近づく。2025年参院選でれいわ新選組や参政党、日本保守党といった小政党がどれほど議席を伸ばすのか。立花孝志氏が率いる政治団体「NHKから国民を守る党」や石丸伸二氏の政治団体、AIエンジニアの安野貴博氏の団体の行方も無視できない。細分化された民意が、そのまま反映されやすい参院選の比例区の特性で、こうした小政党が議席を伸ばすことになれば、2025年は「多党元年」と言われる可能性がある。
まさか還暦での仕事探しにまで関係するとは… 回答者の約半数が“重要”と考える「学歴」 でも、一緒に働く相手に求めるものは【AERAアンケート結果発表】
まさか還暦での仕事探しにまで関係するとは… 回答者の約半数が“重要”と考える「学歴」 でも、一緒に働く相手に求めるものは【AERAアンケート結果発表】   (写真はイメージ=GettyImages)    学生の就職活動で、そして会社に入ってから、さらに転職するにあたって採否の判断基準となるのが個人の人柄や実務経験、スキル、そして学歴などです。なかでも学歴は古い価値観とされることがありますが、AERA編集部の実施したアンケートでは、働くうえで「重要」と考える方が約半数にのぼりました。学歴は不要とする意見も多い一方、その人の学びの姿勢や人となりを読み取る材料になるとの声も。そして、一緒に仕事をする相手に求めたいものとして、最も多かったのが「性格・人柄」でした。 *   *   *  今回の読者アンケートのテーマは「学歴」。7月2日~9日にインターネット上で実施し、回答者は352人でした。  働くうえで「学歴」が重要かどうかについて、「とてもそう思う」の11.1%、「まあまあそう思う」の41.8%を合わせて52.9%に。「あまりそうは思わない」(19.9%)、「まったくそう思わない」(7.7%)の計27.6%を上回りました。  では、どんなときに学歴は必要になるのでしょうか。最も多かったのが「大学を卒業して就職しようとするとき」の63.6%、続いては「転職しようとするとき」の39.8%でした。      昨年まで個人事業主だったという60代の女性は、仕事探しにあたって学歴が有利に働いたことをアンケートに寄せました。 「入りたい企業を調べたら、4年生大学以上、そして、ある程度の偏差値のある大学が有利だと知りました。私は該当していたので、申し込んでテストを受けたら合格でした。学歴が還暦過ぎてまで関係するとは思いませんでした」       「学歴」から読み取ろうとすること  仕事をするにあたって、学歴がなぜ重要になるのか。複数回答で聞いたところ、「学歴で判断する企業は多い」が最多の58.8%。「学歴で判断する上司、同僚、部下(職場内でのつながり)は多い」も36.6%でした。そのほか、「専門知識があると見られる」が30.1%、「社会的なステータスになる」は29.5%、「自分に対する信用度が高まる」は27.8%でした。    多くの候補者のなかから誰を選ぶのにあたって、どんな学歴かが重要になってくるという指摘は、数多くの方からありました。 「大きなパイから人をふるいにかける際には効率的な手段にはなると思います。しかし、仕事となると、学歴とは全く関係ないことばかりなので、会社に入るまでのものが必要になるのかな、と」(40代、自由業・フリーランスの女性) 「最も重視するわけではなく、これだけの学校に入るために努力をしてきたことを評価したくて『学歴』を考慮に入れると言っている同僚がいました」(40代、会社員の男性) 「例えば、高校はさほど偏差値が高くなくとも、国立の偏差値が高い大学を出ていれば、高校から大学までの期間、学業に勤しんだことが推測される。勉強ができる、できないではなく、その人の頑張り具合(熱意、計画性、努力など多岐観点)を読み取ることができ、さらにその人の言動を観察したり、コミュニケーションをとったりして複合的な判断ができる。『学歴』が何よりも大事であるわけではないが、その人のヒストリーを物語ると捉えている。そのため、学歴は『自分自身である』と考えている。ただし、この観点は『フツーの人』(多くの人)の場合に限る。天才や何かに秀でている人間国宝級の人は『学歴』では判断できない」(40代、女性)   一緒に働く人に求めるものは  では、学歴が実際に役に立ったことはあるのでしょうか。「かなり役に立った」「やや役に立った」は計42.9%。逆に「あまり役に立たない」「まったく役に立たない」は計30.7%でした。  なお、回答者のなかで、自身の学歴が「とても高い」「まあまあ高い」という方は計37.2%でした。        そして、学歴以外で役に立った、重要だったものについて複数回答でたずねたところ、「性格・人柄」(69.6%)、「実務経験」(66.2)がほぼ同数。さらに「スキル(資格・免許)」も次いで多い60.8%でした。「やはり学歴が最も重要」は3.1%にとどまりました。 「多くの企業では、その大学に入れるという頭脳が大切なのであって、何を専攻したかはあまり重要視されていないように思う。自分の場合は、専門性を活かせるところに特化して仕事を探したので、大学の専攻が役に立ったと思う」(60代、公務員の女性)    また、一緒に働く相手を選ぶ際に重視したいこと(複数回答可)として、90.9%と突出して多かったのが「性格・人柄」。続いて「実務経験」は62.8%、「スキル(資格・免許)」ふぁ47.4%だったのに対し、「学歴」は9.1%でした。 「学歴だけで人を判断することはしないが、ただ同じ立教というだけで、同じキャンパスに通ったという共通の思い出をシェアできて、仲間意識が生まれ、さらに、職場で温かい気持ちになれる。身内がいるみたいな気分になる時も。学歴で「判断」ではなく、学歴で「繋がる」というふうに、学歴を利用すれば(味方にすれば)いいと思う」(50代、自由業・フリーランスの女性) 「仕事を頼む際も、この人は○○大学だから……ということは都度考える暇はないし、大学がどこだからこの仕事をと振ることも全くなく、この人の能力をもっと伸ばしてあげたい、この仕事をチャレンジしてもらいたいという『人となり』や『意欲』で判断するので、学歴は全く関係ない」(40代、自営業の女性)   「採用する仕事をしたことがあった」という50代の女性は、こうつづります。 「学歴は頑張って高校までお勉強してきたことの一つではあるが、それがゴールでもない。何をその後してきたのかが重要。人を理解するというのは時間がかかる。また見る側の能力も問われる。だからこそ誰でも分かる単純な測定値として、学歴というもので判断する事はなくならないのかもしれない」 (AERA編集部)     【こちらも話題】 穏やかな生活をしたい…地方移住に「関心あり」は7割 アドバイスは「郷に行ったら郷に従え」「2拠点生活から」【AERAアンケート結果発表】 https://dot.asahi.com/articles/-/260061      
「ベジファースト」はウソ?ホント? 半チャンラーメンに「一番ダメ」と専門医が警鐘を鳴らすワケ
「ベジファースト」はウソ?ホント? 半チャンラーメンに「一番ダメ」と専門医が警鐘を鳴らすワケ 「ベジファースト」、やっていますか?(写真はイメージ/gettyimages)    食事の際、野菜から先に食べると食後血糖値の上昇が緩やかになるとされる食事法「ベジタブル・ファースト」について、一部で「無意味だった」「その常識はもう古い」などの懐疑的な意見が飛び交っている。実際、続けることに意味はあるのか、ないのか。糖尿病の専門医に見解を聞いた。 *   *   * 「血糖値の上昇が緩やかに」 「ベジタブル・ファースト」(以後ベジファースト)は食事の際、食物繊維を含む野菜から食べることで、血糖値の上昇が緩やかにするいたって簡単な食事法。急激な血糖値上昇を防ぎ、肥満や動脈硬化、糖尿病のリスク低減が期待できるとされ、健康志向の高まりとともに定着した。  厚生労働省も2020年版の「日本人の食事摂取基準」の中で、ベジファーストについて取り上げ、 《食後血糖の上昇を抑制し、HbAlc(ヘモグロビン・エー・ワン・シー。糖尿病の診断として使われる指標の1つ)を低下させ、体重も減少させることができることが報告されている》、 と記していた。 ベジファーストに関する記述が消えた!  だが、界隈がざわつき始めたのは昨年末ごろ。その「日本人の食事摂取基準」の2025年版から、ベジファーストに関する記述が一切なくなることが発覚したことがきっかけだった。  国の“お墨付き”が突然なくなったという印象を与えたようだ。  厚労省の担当者は、「『日本人の食事摂取基準』は、必要な栄養素やエネルギーの基準を示すことが目的で、本来の趣旨と合わないため記載をやめました。そもそも『そうした報告があります』ということを紹介はしましたが、推奨してはおりません」と、特別な意図はないことを冷静に説明する。  だが、「無意味だったから消した」「嘘だったのか」「もう古い」などと、ベジファーストの効果について懐疑的な声がネットで飛び交うようになった。 専門家に話を聞くと…  実際はどうなのか。国立循環器病研究センター糖尿病・脂質代謝内科の槇野久士医長に話を聞いた。 ――ベジファーストの効果は、実際どうなのですか? 槇野「基本的には効果があると考えていいです。食事の最後に炭水化物を食べる『カーボラスト』は、血糖値の上昇が緩やかになるという研究結果が得られています。野菜も、先に食べると理論的には食物繊維によって糖質の吸収が穏やかになるので、より効果的になると考えられます。また、繊維の多い野菜をよく噛むことで満腹中枢が刺激されて、食事の総量が減る可能性もあります」 野菜ジュースには「意味なし」 ――続けた方がいいのですね。 槇野「ただし、効果が期待できるやり方と効果の低いやり方があります。糖質が少なく食物繊維が多い葉物類、キノコ、海藻を先に食べることはお勧めできますが、野菜の中では糖質が多いジャガイモなどのイモ類やカボチャ。トマトでも果物と同じくらい糖度の高いものだと、効果が低くなってしまいます」 ――野菜ジュースでもいい? 槇野「野菜ジュースでは意味がありません。おいしくするために糖度の高い甘い野菜を使ったり、果物が入っていることもあります。噛まないため、満腹中枢への刺激も小さいです」 劇的な効果はなく、免罪符にはならない ――ベジファーストの「効果」については、どの程度と捉えたらいいですか。 槇野「劇的な効果ではないことは知っておいてください。いわゆる『大食い』でカロリー過多の人や糖質過多の人が、同じ食生活を続けていい『免罪符』になるものでは決してありません」 ――ここ最近、油を先に摂取することにより血糖値の上昇が緩やかになる「オイルファースト」が、新たなおすすめの食習慣として雑誌などで取り上げられています。 槇野「油を使ったおかずを先に食べることで、血糖値の上昇を抑える可能性はあるのかもしれません。ただ、油はもっとも高カロリーの食品です。今の食事に油を加える形になると、カロリーの総量が増えてしまいますから、結果、太るだけの可能性があります。特に炭水化物も油も好きな人にとっては、たくさん食べていい『免罪符』のようになってしまうリスクがあると思います」 ――われわれ消費者が、情報に踊らされ過ぎなのでしょうか。 「食事法」に安易に飛びつかない 槇野「キャッチーなうたい文句や、わかりやすいダイエット法、食事法には飛びつかない方がいいと思います。例えば『朝バナナダイエット』なんて過去に流行りましたが、バナナに特別な効果があったのではなく、効果があった人は朝食をバナナに置き換えることによって、それまで自身がしていた朝食より糖質やカロリーが抑制されたので痩せただけの可能性が高いです。また、ブームに乗っかり極端な低糖質ダイエットをした方が、逆に脂質をとりすぎて『高コレステロール血症』になったケースもあります」 糖質過剰を避けるには ――どんな食事をすればいいのでしょうか。 槇野「昔から言われる『一汁三菜』の食事をしていれば、糖質過剰にはなりません。外食でそれが難しい場合、簡単なアドバイスとしては麺類だけやチャーハンなど炭水化物ばかりの『一品もの』は控えた方がいいです。ラーメン+半チャーハンなんて一番ダメです」 ――半チャンラーメン、美味しいんですよねえ。 槇野「どうしても『免罪符』を求めてしまいがちですよね。甘いものがやめられない人で、『人工甘味料を使っていればいくら食べても問題ない』と考えてしまう方がいますが、味覚が変わらないので、結局は元の食生活に戻るだけなんです。ベジファーストも、取り組む意味はありますが、効果への期待が独り歩きした側面もあるかもしれません。食生活を改善しないまま、これだけをやればいい、などという『甘い話』は存在しないことを知っておいてほしいと思います」 (ライター・國府田英之)
【きょうプロ転向4年目】羽生結弦は「自分の人生を主人公として生きている」 フォトグラファーが目撃した表現者の素顔
【きょうプロ転向4年目】羽生結弦は「自分の人生を主人公として生きている」 フォトグラファーが目撃した表現者の素顔 羽生結弦/はにゅう・ゆづる。1994年12月7日仙台市生まれ。4歳からスケートを始め、14歳でジュニアグランプリファイナル優勝。2014年、ソチ五輪フィギュア男子でアジア勢初の金メダル、18年平昌五輪フィギュア男子で2回目の金メダル。22年に北京五輪出場、7月にプロ転向 Ⓒ矢口亨  2022年7月19日に記者会見を開き、競技生活に区切りをつけ、プロフィギュアスケーターとして歩むことを表明した羽生結弦さん。あの日からちょうど3年。「表現者・羽生結弦」はどう変化し、どう深化してきたのだろうか。羽生さんを長年にわたって撮り続けてきた写真家・矢口亨氏に話を聞いた。 *   *   * ――羽生さんのプロ転向から3年が経ちました。矢口さんはプロ転向前から競技やアイスショー、そしてスタジオと様々なシチュエーションで羽生さんを撮影しています。その間を振り返って、羽生さんのフィギュアスケートへの向き合い方に変化は感じていますか。  物理的な観点でお話しすると、競技には「審判員による点数」が評価基準の一つにあります。羽生選手自身のなかにも、「プログラムのなかにあるエレメンツを一つずつクリアしながら全体を滑りきる」という意識が強かったのではないかなと思います。具体的に言うと、競技のときはやはり得点の比重が大きいジャンプにこだわりや熱量、集中力を割いていたような印象がありました。  プロになってからは、その軸が少し変化したように感じています。一つは、彼自身が見せたいと思うものへの納得度。それにプラスして、スケートを見に来てくださる方がどう感じるのか、どうすれば一人でも多くの人に伝わる表現ができるのか、です。ジャンプも含め、一つひとつのスケーティング技術であったり、スピンの美しさであったり、もっと根本的なことを言えば、姿勢や佇まい、動作一つひとつの美しさをすごく大切にしているのかなと感じます。 ――そうした変化を見るなかで、撮影者として視点や心持ちが変わったりはしますか。  撮る側としては、なんと言えばいいんでしょうか。前は、撮るときにある種の息苦しさみたいなものがありました。競技ということもあり、会場そのものが緊張感で包まれていて、ショートの約3分、フリーの約4分がそれぞれすごく長く感じたことを覚えています。 ――プログラムの3分、4分が長く感じたというのは、プレッシャーのようなものなのでしょうか。  撮影することへのプレッシャーももちろんありますが、それは今もあまり変わっていません。フォトグラファーとして撮影していると、被写体に対して応援する気持ちがどうしても入ってきます。競技で言えば、「どうかうまくいってほしい」「3分間、完璧に滑っているところを見たい」という気持ちが出てくるんです。その意味で時間が長く感じたのかもしれません。  今は、演技を見ながら自分自身も楽しんでいるからこそ、一つひとつの動作を細かく見られるようになったような気がします。 “優しさ”感じた「Danny Boy」 ――印象的だったプログラムはありますか。  羽生選手にも一度伝えたことがあるんですけど、2024年の「ファンタジー・オン・アイス」の「Danny Boy」に僕はすごく感動したんです。どう表現していいかわからないんですけど、すごく美しくて、何より「ずっとこれを見ていたい」と思ったんですよね。この感覚は競技を撮影していたときにはあまり感じたことがなかったかもしれないです。 Ⓒ矢口亨 ――感想を伝えたとき、羽生さんご本人はどういうリアクションをされたんですか。  羽生選手の返事を聞いて思ったのは、「届けることを強く意識しているんだな」ということです。表現というのは、土台に自分がいて、それを誰にどう伝えたいかということを逆算して形成されると思うんです。いろんな人に優しさや希望を届けたいと思ったからこそ生まれる身体の美しさや柔らかさが伝わってきました。だから僕は心地よさを感じて、ずっと見ていたいと思ったのかもしれません。  このとき見た「Danny Boy」は、自分自身が表現したいという気持ちももちろんあるけれど、その表現がもっといろんな人に向いていたのかなという感じがしました。一つひとつの動きに優しさを感じたのは、羽生選手自身のそうした気持ちが演技にも乗っていたからだと思うんです。 ――24年の「ファンタジー・オン・アイス」というと、プロに転向してから少し時間が経った時期です。その間に羽生さんは「プロローグ」(22年)、「GIFT」(23年)、「RE_PRAY」(23~24年)と単独アイスショーを重ねてきました。そのなかで感じた変化はありますか。 「プロローグ」は、ショーの構成も含め、競技時代の感覚を踏襲していたと思います。これまで羽生選手が歩んできた足跡になぞっていましたよね。「GIFT」はDisney+の配信でしか見られていないのですが、競技時代から応援してくれたファンの方たちに対するものでもあったのかな、とも思っています。そういう面で言うと、「春よ、来い」も「Danny Boy」と同じくずっと見ていたいと思うプログラムでした。 ――「春よ、来い」は22年の北京オリンピックのエキシビションも印象的でした。  僕個人の感想になりますが、北京のときは優しさや人を癒やすといった要素の一方で、羽生選手自身に向けられている比重も大きかったのかなと思っています。具体的には、羽生結弦という人生や北京での悔しさ、そこに挑戦した自分自身、などです。あのときの「春よ、来い」もすごくきれいで、とても優しかったんですけれど、同時に苦しさみたいなものを感じる瞬間もありました。 ――プロ転向後も、いろいろな場面で「春よ、来い」を演じています。  最近でいえば、「The First Skate」(7月5日、ゼビオアリーナ仙台)で見ましたが、やっぱり柔らかさみたいなものを強く感じました。「春よ、来い」は激しい表情や動きをする場面もありますが、そのなかにも、滑らかさや優しい柔らかい感じが加わっているように思います。 Ⓒ矢口亨 濁りのない、圧倒的な清潔感 ――これまで撮影を重ねてきたなかで感じる羽生さんの凄みや深みを教えてください。  うまく言語化するのが難しいんですけど、清潔感が圧倒的だと思います。濁りがないと言えばいいんでしょうか。彼がリンクに立つと、そこがすごく神聖な場所に感じられるんです。その尊さを言い表すとすれば、清潔感なのかな、と。 ――その清潔感は、どういうところからにじむものですか。  羽生選手の姿を見ていると、普段の生活や練習のときから自分を律して、いろんなものを制限したり、規則正しい生活を続けたりしていることが伝わってくるんです。誰も見ていない場所であっても一人でしっかり練習をこなしていく。ショーを見てくださる方や届けたい人たちのために何が必要かを常に考えているからこそ、成し得ることだと思います。  毎日の丁寧な積み重ねが体形や振る舞い、外見に出てくると思うのですが、羽生選手からはその凄みを圧倒的に感じるんです。だから羽生選手の演技は美しくて、質の良いものだけがまとう特別な雰囲気を持っているのかなと思います。  それはアイスショーのショーアップされた会場でも、それ以外の場所でも変わりません。昨年9月に羽生選手が出演した能登半島復興支援チャリティー演技会でより強く感じました。 ――能登の演技会には、オフィシャルカメラマンとして練習の様子から密着されていたんですよね。  改めて振り返ると、あの演技会はあらゆる面で普段と異なる環境でもありました。ライトはアイスリンクの照明をそのまま使いましたし、輪島の若手和太鼓チームとの共演も初めての試みです。限られた準備期間のなかで、羽生選手をはじめ参加した一人ひとりが精いっぱい取り組んでいることが伝わってきました。  オープニングの和太鼓との共演もフィナーレの「ケセラセラ」も、集まった4人のスケーターが話し合いながら作り上げていく姿を見ていました。本番前日の練習では、夜が近づいて各自練習を終えて引き揚げていくなかで、羽生選手が一人残っていたことを覚えています。 ――ギリギリまで練習を続けていたんですね。  太鼓のリズムに自分のスケートを合わせるのが難しいようで、ずっと残って練習していました。正直、僕らにはわからないズレなんです。僕なんかは、見た感じ「すごい」と思うんですけど、すごく細かい、本人だからこそわかるものがあるようでした。  この演技会は、石川県内のアイスリンクを使うこともあって、現地での観覧は石川、富山、福井の各県に住む地元の小学生たちに限っていました。だから、ほとんどの人は配信を通して視聴することになります。そうしたなかで演技を通して伝えることがいかに難しいかを、誰よりも羽生選手自身がわかっていたからこそギリギリまで練習を続けていたんだと思います。 「伝える」ということには、とても大きなコストがかかります。その努力を怠らないからこそ、羽生選手の演技には気高さや清潔感、ピュアさが生まれて、いろんな人の心に深く入るのかもしれません。 Ⓒ矢口亨 「素材じゃない」表現で生まれたもの ――矢口さんはスケートだけでなく、スタジオでも羽生さんを撮影されています。プロになられてから表現の幅や引き出しがより増えている印象がありますが、フォトグラファーの視点にはどう映っていますか。  個人的には、柔らかくて優しい表情が増えたように感じています。最初にスタジオで撮ったのは23年12月。報知新聞社から出版した『写真集 羽生結弦』のために、ポートレート撮影の時間を20分いただきました。  そのときの写真が僕はすごく好きで。羽生選手の表情が鋭くて強いんですよ。羽生選手自身の気持ちだったり、人間性みたいなものが出ていたなと感じています。 ――撮影時はどういう気持ちで向き合っていたんですか。  撮影の前に羽生選手から「どういう写真がいいの?」と聞かれたんです。確かそのときは、「素材じゃない羽生くんをお願いします」って返したと思います。 ――素材じゃないとは。  当時インタビューか何かで、羽生選手が自分のことを素材というふうに表現していたんです。だから僕は素材じゃない羽生くんを撮ってみたいなと思って、そう伝えました。 ――「素材じゃない」表現で生まれたのが写真集にも収録されているカットなんですね。  羽生選手から「じゃあ素を見せればいいの?」って返ってきて、そのあとに出てきた表情なんです。羽生選手を撮影していると、ちっちゃい虎と対峙してるみたいな感覚になるんですよ。  スタジオの方からも、「矢口さんと羽生さんの現場は格闘技みたいですね」と言われたことがあります。羽生選手も自由に動くし、「撮れるでしょ」と挑まれている感じもあって、確かに戦っているような気持ちがありました。  でも、今はちょっと違いますね。今年4月にも撮影させていただきましたが、スタイリストさんと会話したり、自然に笑ったり。彼自身も撮影の現場を楽しんでくれているのかな、と感じる瞬間が増えました。 ――羽生さん自身もスタジオでの撮影の感覚をつかんできたということでしょうか。  たぶん、一緒に仕事をしている仲間だっていう意識がより強くなっているんだと思います。撮影だけでなく、アイスショーなどでもいろんなクリエーターの方と関わると思うので、そのなかで生まれた変化なのかもしれません。  でも、僕が接していなかっただけで、そうした意識や興味というのはもともと羽生選手自身が持っていたものだとも思います。 Ⓒ矢口亨 「主人公っぽいな」 ――改めて、羽生結弦さんとはどんな被写体ですか。 「自分の人生を主人公として生きている人」だと感じています。先ほどの清潔感というのもそうで、自分が主人公だと思っていたら、主人公的な行動や発言をしますよね。もちろん全員がそうする必要はありませんが、日々の振る舞いがあるからこそ、羽生選手のまとう雰囲気や表現につながっていると思います。  撮影現場でも彼が入ってくると空気が一変するし、衣装に着替えたときのギャップを目の当たりにするたびに、「主人公っぽいな」と感じます。そして彼自身もそれを引き受けたうえで、カメラの前でそう振る舞っていると思うんです。 ――撮影を重ねるなかで、関係性に変化はありましたか。  僕自身は今も昔も「気を使いすぎないこと」を心がけています。羽生選手のすごさはいつも感じているし、尊敬するところもたくさんあります。でも、僕自身はできるだけフラットでいたいんです。  今年4月には屋外でも撮影させていただいたのですが、今までにない感じだと思いました。素の表情というか、肩の力がすっと抜けた感じというか。それが彼自身の変化なのか、フォトグラファーとの関係性によって生まれたものなのかは、まだわからないところではあります。  羽生選手自身が僕の撮影をどう感じているか直接聞いたことはありませんが、最近は撮影の際に提案をくれることもあり、真摯に向き合ってくれているんだなと感じます。だからこそ僕も羽生選手に甘えず、もっと準備しなければいけないという気持ちがより強くなりました。 ■矢口亨/やぐち・とおる。山形県上山市出身。報知新聞社のフォトグラファーとして2010年サッカー南アW杯、12年ロンドン五輪や21年東京五輪などを取材。プロ野球、フィギュアスケートは19~20年シーズンから担当。23年2月に報知新聞社を退社し独立。フリーランスのフォトグラファーとして活躍。『ジャイアンツ小林誠司 Photo Book』、写真集『羽生結弦2019-2020』『羽生結弦2021-2022』などを手がける。Instagram:toru.yaguchi   (構成/AERA編集部・福井しほ)   【特集:羽生結弦さん プロ転向4年目】 #01  羽生結弦の飽くなき表現への欲求 「自分の実力のなさみたいなことはずっと感じています」 #02 羽生結弦が発し続けた「忘れないで」というメッセージ 他者を思い、心を寄せてきた姿勢と行動 #03 羽生結弦は「自分の人生を主人公として生きている」 フォトグラファーが目撃した表現者の素顔
群馬発、食の多様性に対応した新モデル店舗が太田に誕生!
群馬発、食の多様性に対応した新モデル店舗が太田に誕生! グルテンフリーやアレルゲン配慮にも対応。植物性ミルクのバターが広げる、やさしくておいしい食の可能性。 - エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社 ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER 太田店 外観 エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社(代表:保屋松 靖人)がサポートしている、「ケアリングフード」の第一人者・藤春幸治シェフ。その藤春シェフが開発した、特許製法による植物性バター「FUJIHARU BUTTER(フジハルバター)」を量り売りで提供する専門ブランド「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER」(アトリエエピキュールフジハルバター)が、2025年7月19日(土)、群馬県太田市にフランチャイズ1号店をオープンします。 本店を構える群馬県・邑楽町での展開を経て誕生するこの太田店では、バターやスイーツの販売に加え、カフェも併設。より多くの人に“誰もが安心しておいしく食べられる”食体験を届けるための、新たな地域拠点として始動します。 食の多様性に応える、“植物性バター”という新提案「FUJIHARU BUTTER」は、豆乳などの植物性素材から生まれた日本初・特許製法のバター※です。動物性原料を使用せず、アレルゲンや体質に配慮しながらも、驚くほど軽やかな口あたりと香り高い濃厚な味わいが特長。 「誰もが同じテーブルを囲める未来をつくりたい」という想いから、藤春幸治シェフが開発しました。 ※製法特許 第7103630号 本店「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER -ŌRA-」の世界観を受け継ぐFC1号店 本ブランドの本店にあたるのが、群馬県邑楽町にある「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER -ŌRA-(オウラ)」です。 ここでは、特許製法でつくられた植物性バター「FUJIHARU BUTTER」の量り売りに加え、カフェ営業も行っており、こだわりのスイーツやドリンクとともに、“バターの新しい楽しみ方”を提案しています。なかでも人気を集めているのが、「バターサンド」。植物性バターを使った豊富なフレーバーを、グルテンフリーのこだわりクッキー生地でサンドしたスイーツは、ヘルシーで贅沢な味わいが好評を博しています。 今回オープンする太田店は、そうした本店の想いを受け継ぐフランチャイズ第1号店として誕生。地域の方々に寄り添う“食のアトリエ”として、やさしくておいしいスイーツとカフェ体験をお届けします。 太田店のこだわり:“素材のやさしさ”と“心に残るおいしさ”を両立させた、新しいスタイルのカフェです。 バターチキンカレー(写真は盛り付け例です)米粉のベーグルのランチプレート(写真は盛り付け例です) 群馬・太田に誕生した「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER 太田店」では、独自の製法で植物性バター「FUJIHARU BUTTER」を開発した藤春幸治シェフが、その魅力を最大限に活かすメニューまで一貫してプロデュース。 味・香り・食感のすべてにこだわり、食事にこだわりを持つ人にも、毎日をおいしく楽しみたい人にも。「やさしさ」と「満足感」の両立を目指した、新しい食の体験をお届けします。 注目のバターサンドは、植物性バターの軽やかな口どけと、グルテンフリーのクッキー生地が織りなす“サクほろ感”が特長。 そのほかにも、 ・ 国産米粉でつくる、もっちり食感のグルテンフリーのベーグル ・ 28品目アレルゲンフリーの“藍入り米粉麺”を使ったカフェパスタ など、驚きと満足感を届けるラインナップをご用意。 “あっさりしているのに、物足りなさを感じない”。そんな、新しい“おいしさの基準”がここにはあります。 一部カフェメニューはテイクアウトも可能。 シンプルだけど贅沢。やさしいのに、忘れられない。新しい食の感動を、ぜひ太田で体験してください。 ■FC1号店の詳細 店舗名:ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER 太田店 住所:〒370-0303 群馬県太田市新田小金井町1719-8 電話番号:0276-60-4165 営業時間:10:00~18:00 定休日:月曜定休(祝日の場合は営業、翌火曜代休) 駐車場:13台 ■商品ラインナップ(一部) ・鶏とごろごろ野菜のナポリタン ・海老 アボカド 桃 と大葉のガスパチョ冷製パスタ ・米粉のキッシュ~ほうれん草とジャガイモ~ ・バターチキンカレー ・米粉のベーグル ・バターサンド(植物性バター) ・豆乳アイスクリーム ※ラインナップは季節・店舗により異なります。 ■本店:「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER -ŌRA-」のコンセプト 1つのテーブルをみんなで笑顔で囲めるように…FUJIHARU BUTTER はその想いから生まれました。乳製品アレルギーやヴィーガンの方々でも、そうでない方も。誰もがおいしく召し上がれる、豆乳からつくられた「FUJIHARU BUTTER」を通じて、新しい食の可能性を広げ、この邑楽から世界に沢山の笑顔をお届けいたします。 ※一部の商品は、オンラインショップ(https://fujiharubutter-onlinestore.com/)でのご購入も可能です。 【FUJIHARU BUTTER について】 藤春シェフが開発した、おいしいの一つ先にある“食の多様性”に対応した特許製法のバター。アレルギーなどの健康上の理由や、ベジタリアン・ヴィーガンなど思想的な理由により、一般的なバターが食べられない方にも、おいしいお食事を楽しんでもらいたい。世界中の様々な人に笑顔を届けたいという藤春シェフの想いから、試行錯誤の末に開発されました。 FUJIHARU BUTTER は、豆乳などの植物性原料だけで、バターの旨味とコクを感じることができる特許製法の植物性バターです。動物性バターやマーガリン、ファットスプレッドとは異なる、まろやかでやさしいくちどけをお楽しみいただけます。 ◆ 藤春幸治(読み:ふじはるこうじ)プロフィール 東京・元麻布のレストラン「EPICURE」オーナーシェフ。流行りに敏感なグルメの方はもちろんのこと、アレルギーや闘病中、ダイエットや調整中のアスリートなど、様々な食事制限がある方や、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラールなどの食事理念をおもちの方達が同じテーブルを囲み、美食を楽しめる未来型(理想型)のレストランとして人気を集めている。有名外資系ホテルなどで料理人として の研鑽を積んだのち、新しい食文化「ケアリングフード」を創案するため、からだの仕組みや栄養学をふまえ、現代の栄養過多な食生活を改善するバランスの取れた食事を独自に研究。トップアスリートのほか糖尿病やがんの患者まで様々な人への食事をサポート。主な医学会でのお弁当監修実績は、第 88 回日本内分泌学会学術総会、第 16 回日本抗加齢医学会総会、第 24 回 日本乳癌学会学術総会、第 34 回日本肥満症治療学会学術集会。「ガイアの夜明け(テレビ東京)」での「命をつなぐ食」が大きな反響を呼び、テレビ東京「2030 年の食卓 ~ニッポン発“美味しい”を世界へ~」では“世界が驚く感動バター”として FUJIHARU BUTTER の開発者として紹介されるなど、いま日本で一番注目されているシェフの 1 人です。 ・CARING FOOD 公式サイト:http://caring-food.com/ ・書籍:講談社『あなたのからだが 21 日で変わる「ケアリングフード」レシピ』 ◆「EPICURE」 概要 (「ATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER -ŌRA-」姉妹店) 店名: EPICURE 住所: 〒106-0046 東京都港区元麻布 2-1-17 モダンフォルム 1F ランチタイム: 11 時 30 分~最終入店 12:30(Close14 時 30 分) ディナータイム:18 時~最終入店 19 時 30 分営業日:月曜日 HP:https://epicure-low.com/ <完全予約制>ご予約は専用サイト(https://res-reserve.com/ja/restaurants/epicure)より承っております。 ◆ ケアリングフードとは? 「すべての人の笑顔のために」をコンセプトにした、どんな理念や思想・制限がある人でも美味しく食べられてカラダに優しい食の考え方やスタイルのこと。 アレルギーや病気などで食事の制限が必要な人にも、ヴィーガンなどの理念や思想を大事にされている人に も。人々の悩みに「食」という観点から寄り添いたい。「食」を通じて人と地球をケアしたい。そんな想いから、“ケアリングフード”は誕生しました。カラダに優しいだけではなく、味も大満足。カラダと地球をいたわりながら、毎日でも続けられる最高の美食それが“ケアリングフード”です。 「誰もがストレスなく、笑顔や喜びを感じてもらえること」を目指しながら、サスティナビリティ(持続可能性)や SDG’s にも貢献していきたい。“ケアリングフード”は「食」が持っている可能性で人と地球を HAPPY にしていきます。
自分に負荷をかけ、本物に近づきたい 女優としての初主演作品も大好評 フリーアナウンサー・堀井美香
自分に負荷をかけ、本物に近づきたい 女優としての初主演作品も大好評 フリーアナウンサー・堀井美香 東京・赤坂のTBSラジオでポッドキャスト番組「OVER THE SUN」収録。それまでターゲットとされていなかったミドルエイジの女性を中心に、圧倒的な支持を獲得している(写真/篠塚ようこ)    フリーアナウンサー、堀井美香。アナウンサーとして、誰もが認める“読み”のプロフェッショナルでありながら、「本物に近づきたい」と自分に負荷をかけ続ける。50歳で会社組織を出て、役者としての歩みも始めた、「一過性の、身投げのような感覚を楽しめる人」。こんな未来は想像していなかったであろう現在に立ちつつ、沖へ、もっと沖へ、舟を漕ぎ続ける。 *  *  *  2025年6月29日、東京・表参道。演劇「フェードラ―炎の中で―」千穐楽(せんしゅうらく)公演の幕が開いた。主人公は、アテナイの王・テーセウスの美しき妻・フェードラ。主演女優は堀井美香(ほりいみか・53)。フリーアナウンサーとして活躍の場を広げる彼女にとって、初めての主演作品となった。演出家・深作健太率いる「深作組」の〈ドイツ・ヒロイン三部作〉の完結篇と銘打たれている。  冒頭、明かりに照らされ舞台に立った彼女は、思いつめた表情を浮かべ、語り始める。 「もう、ウンザリ。あなたと話す事(こと)なんて何もない、私自身を取り戻そう。これは女の〈権利〉なんだ」  目まぐるしい心情の変化を、堀井は全身で、憑依するように演じていく。その声、表情の変貌たるや。幕が下りた後、頬を紅潮させながらも、口調はいつもの柔らかさに戻り、彼女は語った。 「祭りが終わった! 準備は苦しかったけれど、深作さんにアドバイスをいただき、新陳代謝している感じでした。毎日毎日『ああ、生きている』って!」  この日、堀井のフェードラを見守った観客たちは、新たな「憑依系女優」の「爆誕」を目撃したのだった。  5月末、稽古場の初日を訪れた。本読み稽古では台詞ひとこと、動作一つの意味合いについて深作が問いただしていく。初日からずっと彼の質問は、堀井に集中した。ダイレクトな言葉が飛び交い、その応酬を経てこそ、作品が練り上げられていく。秋田で生まれ育ち、大学卒業後、アナウンサーの道へ。若くして結婚、子育てをしながら仕事をつづけた。27年間勤めたTBSのアナウンサー生活では、部長職まで上り詰め、いつしか他人からミスを指摘される機会も減った。そんななか、敢えて険しい崖を登ろうとする面が堀井にはある。 「フェードラ」東京公演千穐楽。生まれ故郷を武力で占領され、侵略国の王の妻となった女。その喪失感や諦念、怒り、憎しみ、そして息子の許嫁ペルセア(佐竹桃華)への愛に溺れていくさまを熱演した(写真/篠塚ようこ)   「案ずるより産んじゃう性格。とりあえず一歩、リサーチもせず進んで、やり始めてから考える。今回もそれでした。年齢を重ね、ストレスから遠ざかりたい一方で、抵抗に対して向かっていく力が、わたしには必要だと思っています」(堀井) 『泥流地帯』や『羆嵐』 何よりも、選ぶ演目が過激  堀井が深作と初めて出会ったのは、コロナ禍の2020年秋にさかのぼる。それ以降、堀井自身が読み手となる朗読劇の公演で、深作とタッグを組むことになった。深作はその理由を語る。 「まず何よりも、選ぶ演目が過激で、びっくりした。嬉しくもありました」  最初に堀井が選んだのが『母』。小林多喜二の母・セキを語り手とした三浦綾子の小説だ。秋田の小作農家に生まれ、多喜二を生み、非業の死を遂げた彼を誇りに思い、信仰に救いを求める。深作は続ける。 「その後も『泥流地帯』(十勝岳爆発泥流災害を題材にした三浦綾子の小説)や、いま年末の上演に向け取り組んでいる『羆嵐』(史上最悪の獣害事件を基にした吉村昭の小説)などとつながるのですが、なんで社会的な難しい作品ばかり、敢えて選ぶのか、と」  たしかに、堀井が「一人朗読会」で取り組んだ作品もそうだった。芥川龍之介『羅生門』、太宰治『燈籠』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』……。重厚かつ、堀井曰く「暗闇の中の明かり」の風景があるものばかりだ。堀井は語る。 「作品選びに関しては、わたしが決め、著作権の許諾申請を行うのですが、最初は女性が強く生きる話を探しました。『母』に出合ったのは、親友から『三浦綾子も面白いよ』と薦められ、図書館で『塩狩峠』『銃口』と読み進め1週間経ったころ出合ったんです。34歳まで秋田で暮らした多喜二の母・セキさんの言葉は、故郷秋田の母や祖母の語りかたそのものでした」 12月上演予定の朗読劇「羆嵐」ビジュアル撮影光景。史上最悪の獣害事件を基にした吉村昭の小説を読む。共演の永島敏行は「そもそも人間が熊の領域をおかした。想像力を湧かせる朗読を共にできたら」(写真/篠塚ようこ)    とはいえ、クリスチャンでもなく信仰の意味もわからない自分が、三浦綾子の作品を朗読するのは──。その矢先、堀井のもとに1通のメールが届いた。それは三浦の『泥流地帯』の舞台となった、北海道上富良野町からだった。「三浦綾子読書会」と縁があり、この町で朗読をやってもらえないか、とのメール。なんというタイミング!  堀井の印象について、深作はこう語る。 「彼女が一過性の、始まったら戻れない、身投げのような感覚を楽しめる人であるのは、もう見てきてわかっています。今までも、稽古と本番ではまったく別人で『ズルじゃん! できるじゃん!』って瞬間を見せつけられた。演劇というアートは、朗読と異なり、ひとりではできません。今回、勇気を持って変わってくださった」 「朗読の勉強やってみたら」 負荷かけ本物に近づきたい  これまでにも堀井は、あちこちの場面で、「あれもやりたい、これもやりたい」と語っている。 「羨ましいです。50代でやりたいことにこれほど意欲的でいられるって、かっこ良すぎませんか?」  そう語るのは、田中みな実。元TBSアナウンサーとして、堀井の14年後輩にあたる。新人研修の講師が堀井の担当だった時には、安堵感を覚えたのを思い返すという。初めての共演は、土曜の番組「みのもんたのサタデーずばッと」だった。田中は振り返る。 「物腰の柔らかい、ご自身のまとう雰囲気は変わらないのですが、ニュース原稿やナレーションを読む時、急にパッと空気感が変わる。お声のトーンも原稿に合わせて瞬時に変わる。声をつくっているわけではなく、自然と入っていくような。『うわあ、かっこいい!』と、隣で息を呑みました」 (文中敬称略)(文・加賀直樹) ※記事の続きはAERA 2025年7月21日号でご覧いただけます。
7月18日(金)「イオン三原店」リニューアルオープン
7月18日(金)「イオン三原店」リニューアルオープン 地元食材満載の食品売場や、美と健康の売場を拡大展開するなど3世代で楽しめるお店に生まれ変わります! - イオン株式会社 イオン三原店(以下:当店)は、2025年7月18日(金)、1階食品売場、美と健康の売場を全面的に見直し、リニューアルオープンします。 当店は、1989年7月に「ジャスコ三原店」としてオープンし、その後2011年3月「イオン三原店」に改称し、おかげさまで36年もの長きにわたり地域の皆さまに支えられてきました。 このたび、地域のお客さまのライフスタイルの変化に対応するため、さらにお客さまにご満足いただける売場の展開やサービスをご提供し、3世代が楽しめるお店に生まれ変わります。  当店が立地する店舗周辺は、約3.9万世帯、約8.2万人が居住し、60代~70代構成が高い一方で、2人以上のファミリー世帯が広島県の平均より多く、中心市街地は人口増加地域です。  当店では、こういった地域特性に合わせて、当社最新の売場や商品、買物体験をご提供することで、さらに地域と共生し、より便利で豊かな暮らしをサポートしてまいります。 <「イオン三原店」リニューアルのトピックス> ・地元尾三地区、瀬戸内の食材満載の食品売場! Ø 「JAひろしま」地元産直コーナー「やっさふれあい市場イオン三原店」を新設するほか、カットフルーツ売場を2倍に拡大し、地元果実を使用したカットフルーツを取り揃えます。 Ø 近海の漁港より、旬の地場鮮魚を中心に、対面接客販売で毎日ご提供するほか、地場鮮魚を焼き魚や煮魚などにしてご提供する魚惣菜「魚魚炎(ととえん)」を新規で展開します。 Ø 子育て世帯や共働き世帯のニーズにお応えし、味付肉や大容量パックの売場を拡大します。 Ø エリア最大級!冷凍食品の売場を拡大! Ø 対面方式でご提供する惣菜SHOP「リワードキッチン」を新設! Ø こだわりのコーヒー豆と世界の食品専門店「カフェランテ」を新設! ・毎日の美と健康をサポートするドラッグストア Ø 毎日の健康をサポートする「イオン薬局三原店」を移設拡大! Ø お客さまご自身で体の状態を測定できる「源気サポートSTATION」を新規で導入! ・1階フードコートを刷新しました! ・お買物をもっと便利に! 食品・化粧品・日用雑貨は営業時間を拡大し、23時まで営業します! ※調剤薬局、自転車売場、専門店は営業時間が異なります。 <地元産直コーナー「やっさふれあい市場イオン三原店」を新設するほか、カットフルーツ売場を2倍に拡大し、地元果実を使用したカットフルーツを取り揃えます。>  野菜・果物売場では、産直コーナー「甲山いきいき村(世羅町)」に加え、新規に「JAひろしま 三原地域」の野菜・果物を取り揃え、「やっさふれあい市場イオン三原店」として展開します。  カットフルーツコーナーでは、売場を拡大し、「ぶどう」など、季節に応じて旬の地元果実を使用したカットフルーツを取り揃えます。(9月~) <地元三原や尾道など、地場鮮魚を中心に、対面接客販売で毎日ご提供します。>  お魚売場では、地元三原や尾道など、地場鮮魚を中心に対面で毎日ご提供します。魚惣菜では、地元の鮮魚を店内で加工して焼き魚や煮魚などにしてご提供する「魚魚炎(ととえん)」を新規で展開します。また、レンジで簡単に調理できる時短商品、骨取りの食べやすい商品(サーモン・白身魚等)を取り揃えるほか、子育て世帯の即食・簡便ニーズにもお応えします。 <子育て世帯や共働き世帯のニーズにお応えし、味付肉の売場を拡大します。>  お肉売場では、子育て世帯や共働き世帯のニーズにお応えし、味付肉・大容量パックの売場を拡大します。味付肉コーナーでは、豚肉、鶏肉を中心にフレーバーと品揃えを増やすとともに「瀬戸内レモンフレーバー」を使用した豚肉ステーキ用を新規で品揃えします。 大容量コーナーは「豚小間切れ」「豚ばらうす切り」「鶏もも肉」など普段の生活に欠かせない商品をちょっとお得にまとめてお求めいただるコーナーとして展開します。 また、「タスマニアビーフ」、広島県産の「純輝鶏」に加え、原料の一部にお米を使用した「ナチュラルポーク」を大幅に増やし、「トップバリュグリーンアイナチュラル」の商品を拡大展開します。 <エリア最大級!冷凍食品の売場を拡大!>  短時間で手間がかからない調理で食べられると需要が拡大している冷凍食品では、取り扱い品目を約1.4倍拡大し、約900品目以上取り揃えます。地元うまいものコーナーでは、「とろけるくりーむパン」など、地元三原「八天堂」のコーナーを新規展開するほか、「みっちゃんお好み焼き」など、お好み焼きのコーナーを新規で取り揃えます。 <対面方式でご提供する惣菜SHOP「リワードキッチン」を新設!>  対面方式で提供する惣菜SHOP「リワードキッチン」では、「がんばった自分へのご褒美に、ちょっぴり贅沢なご馳走をお手軽に」をコンセプトに、約30種類の惣菜を取り揃えます。尾三地区で親しまれているたこを使用した「タコのバジル風オニオンサラダ」などのお惣菜を新規で展開します。 <店内製造のピッツア「「ピッツァソリデラ」> 店内製造のピッツア「ピッツァソリデラ」では、もちもち食感の生地にこだわり、一枚ずつ丁寧に伸ばし高温短時間で焼き上げます。4種類の味が楽しめる「クワトロ・グラッツィエ」や、人気の「てりやきチキンピッツァ」を取り揃えるほか、看板商品である「マルゲリータ」は、こだわり生地に調和するトマトソース、イタリア産モッツアレラチーズ、パルミジャーノ、爽やかなフレッシュバジルを使用し、本格的な味わいをご提供します。 <地元尾道のクラフトビールや広島の地酒、世界各国からの直輸入ワインを品揃え> お酒売場では、世界各国の輸入ワイン、洋酒や日本酒、焼酎など幅広く取り揃えます。中でも、人気のチューハイ売場は冷蔵・常温コーナーともに売場を拡大、品揃えも充実いたしました。 地元クラフトビールでは、尾道の「しまなみブルワリー」や「尾道あづみ麦酒」、廿日市市「宮島ブルワリー」などを新規で取り揃えます。日本酒では、地元三原市「酔心山根本店」や西条の地酒を中心に、広島地酒を取り揃えます。 <こだわりのコーヒー豆と世界の食品専門店「カフェランテ」を新設!> カフェランテは、日本を含む世界約60カ国から約2,500種類の食品を集めた“食のセレクトショップ”です。オリジナルの挽き売りコーヒー豆のコーナーでは、ブレンドコーヒーに加え、キリマンジャロなどのストレートや、エチオピア ゲレザゲイシャなどのシングルオリジンを約30種類取り揃えます。また、今回のリニューアルで、レトルト、ドレッシングコーナーを新規で導入するほか、コーヒー関連商品、韓国商品、ドライフルーツナッツの品揃えを拡大しました。 <地元三原市「旬果瞬菓 共楽堂」を展開するなど、新規で8ブランド導入!>  銘店コーナーでは、地元三原市「旬果瞬菓 共楽堂」、「八天堂」くりーむパンを新たに展開するほか、乳化剤や膨張剤を使わずに素材の力と職人の技術で焼き上げた「バウムクーヘン」などをご提供する「ユーハイム」など、合計8ブランドを新たに導入し、全30ブランドで展開します。 <毎日の美と健康をサポートするドラッグストア> ◆【調剤薬局】イオン薬局三原店を移設・拡大 「イオン薬局三原店」では、全国の医療機関の処方せんを受け付け、年中無休で営業します。ご来店時に、処方せんをお渡しいただくと、お薬の出来上がりを待つ間にお買物や食事を楽しむなど、時間を有効にお使いいただけます。 <「イオン薬局三原店」その他のサービス> 当店では、売場内にお客さまご自身で体の状態を測定できる「源気サポートSTATION」を設置します。「体組成計」「血圧計」「血管年齢計」で、気軽に健康状態をチェックできます。 電子版お薬手帳のアプリ「ポケットファーマシー」は、お薬が準備できたら、お客さまのスマホに連絡するサービスです。今回新たに「ポケットファーマシー」で、健康維持に必要な習慣や行動に“健康ポイント”を付与するサービスを行います。1日の歩数結果とサルーステーションでの血圧測定で健康ポイントを付与します。貯まった健康ポイントは100ポイントから値引きクーポンとして、健康食品や衛生用品などの購入時に利用できます。 ◆MZ世代向けにアジアンコスメやプチプラコスメを拡大展開、  ビューティのコーナーでは、Z世代向けに、「TIRTIR(ティルティル)」や「ロムアンド」などのアジアンコスメを展開するほか、「かわいい!に出会える」メイクアップブランド「CANMAKE(キャンメイク))」のほか、プチプラフレグランスや、ちょっと大人なブランドフレグランスを展開します。セルフメイクのコーナーでは、つけまつげ、ネイルなどと集合展開し、さらに売場に隣接させて、伸長している「Sokko(ソッコー) beauty」などのフェイスマスクを中心に、スキンケアコーナーを拡大展開します。 <便利に、快適に、楽しく、生活スタイルに合わせたサービスをご提供> ◆めちゃ便利!お得!揃う!「イオンネットスーパー」  スマホやパソコンから注文した商品を店舗から自宅にお届けする「イオンネットスーパー」では、食品から日用品まで幅広く品揃えします。 また、ネットスーパーで注文した商品を店頭にて受け取れる「ピックアップ!」では、車で受け取れる「ドライブピックアップ!」、店内のカウンターで受け取れる「カウンターピックアップ!」を導入しています。さらに店舗でご購入いただいた商品をお買い上げ当日に店舗からご自宅に配送するサービス「イオンの即日便」を実施いたします。「調剤おくすり即日便」では、オンライン服薬指導と組み合わせることで、店頭に行かずにご自宅で薬を受け取ることができます。 ◆最新のレジ構成でさまざまなお支払いスタイルに対応  携帯端末を使ってお客さま自身が購入商品をスキャンしながら買い回り、精算機ではお支払いだけで済む「レジゴー」や、快適・スピーディーに会計できる「キャッシュレスセルフレジ」、現金にも対応する「セルフレジ」など、用途やスタイルにあわせて使い分けできるレジのスマートモデルを展開します。 ◆2階キッズコーナーに「子どもの遊び場」を新設します。子どもの想像力をかき立てるワクワクする空間です。また、ベビーカーでもゆったり利用いただける「赤ちゃん休憩室」をリニューアルし、プライバシーに配慮した授乳個室を3室ご用意いたします。 ◆お子さまを連れた方や、車の乗り降りが困難な方にも、ゆったりと安心してご利用いただける、広いスペースを確保した「ゆとりの駐車場」を新設します。 <1階フードコートを刷新!> ◆当店では、暮らしの利便性をさらに高めるため、1階フードコートの環境を全面的に見直しました。座席数を30席増やし、210席設置するほか、こあがり席を新設し、家族や近所の仲間と気軽に立ち寄れる場所をご提供し、生活をより楽しく、心地よく過ごせる空間を実現します。共楽堂では、フードコート移転リニューアルを機に広島チョコラをトッピングしたジェラートを取り扱います。 【「イオン三原店」概要】 名称:イオン三原店 所在地:広島県三原市城町2-13-1 責任者:店長 鈴鹿 恵一(すずか けいいち) 開店日:1989年7月28日 リニューアル日:2025年7月18日(金) 敷地面積:約28,684平方メートル   総 売場面積:約21,922,平方メートル        駐車台数:1200台 営業時間:1階 食品売場  8:00~23:00 1階 美と健康の売場   8:00~23:00 ※調剤薬局 9:00~20:00 1階 衣料品売場       9:00~22:00 2階 キッズ・暮らしの品売場 9:00~21:00 ※専門店は営業時間が異なります。 交通アクセス:JR三原駅より徒歩8分
崖っぷちの「公明党」が結党61年目の夏に迎えた《大転機》の深層
崖っぷちの「公明党」が結党61年目の夏に迎えた《大転機》の深層 ※写真はイメージです(gettyimages)    政権交代の可否が問われる、今回の参議院選挙。報道各社の全国情勢調査では、与党の自民・公明両党の苦戦が際立ち、「過半数は微妙」との厳しい予測が並ぶ。これを受けて、与野党各党の党首・最高幹部たちは「参院選後の政局激動」を念頭に、それぞれが生き残りを懸けた対応を模索し始めている。  そうした中で、多くの政界関係者が注目しているのが、公明党の動向だ。巨大宗教法人である創価学会を支持母体とし、1964年に国政政党としてスタートした同党。結党61年目に迎えた今回の参院選では、ここ数年の党勢低迷によって大幅な議席減が必至とされ、政界で「連立組み替え論」が浮上していることも相まって、重大な岐路に差しかかっている。 参院選後の政局のカギを握る?  そもそも、今回の参院選で自公が過半数割れとなれば、8月1日に召集予定の臨時国会における首相指名選挙の結果次第では、政権交代が現実となる。その場合、自公両党は2009年9月の旧民主党政権誕生以来の野党転落となり、「トランプ関税」をめぐる日米交渉も「宙に浮くという非常事態」(官邸筋)に陥る。  こうした状況について、野党内からは「今回は国益優先で、現政権による日米交渉継続」(閣僚経験者)を求める声も漏れてくる。その背景には「首相指名での『野党共闘』は困難」(日本維新の会幹部)との現実的な判断があるからだ。  ただ、自公の過半数割れで石破茂首相が退陣を表明すれば、自民党は「短期決戦」の総裁選を実施する構え。「誰が後継者になるかで、首相指名選挙の展開も変わる」(政治ジャーナリスト)ことも否定できない。だからこそ、政界関係者の間では「衆参で40前後の議席を持つ公明党が、参院選後の政権づくりのカギを握る」との指摘が相次ぐ。  しかし選挙結果次第では、同党の斉藤鉄夫代表が選挙敗北の責任をとって辞任を表明することも想定される。そのため、「『参院選後』は公明党も含めて、各党が出たとこ勝負の遭遇戦を繰り広げる」(前出の政治ジャーナリスト)可能性もある。  そもそも、昨秋の衆院選後の斉藤氏の代表就任は「本人も想定していなかった事態」(側近)だった。  8期15年も代表を務めた山口那津男参院議員が昨年9月の代表戦に立候補しなかったことを受けて、後継代表には石井啓一・元国土交通相が就任した。しかし、その後の衆院選で石井氏は落選して代表辞任を余儀なくされ、72歳の山口氏より年上で、「任期中に69歳を超える」という同党の内規による「議員定年」を大きく超える73歳の斉藤氏が“当座のつなぎ役”として代表となったのだ。  もちろん、斉藤氏は党幹事長などを歴任した、山口氏と並ぶ党内の最有力議員であり、党内でも「斉藤さんしかいない」との声が圧倒的だった。ただ、斉藤氏は就任時から周辺に「私の代表としての任務は参院選まで。参院選の結果にかかわらず、今年9月の党大会での退職と後継者選びを進める」という考えを漏らしていたとされる。  このため、今回の参院選では斉藤氏の心境を知る山口氏が、「自分が先頭に立って公明党候補を応援する」との決意から、斉藤氏を上回る過密日程で全国を駆け巡っている。山口氏はもともと、「公明党・創価学会の最強の中核部隊とされる『婦人部』の人気者」だけに、遊説先でも代表の斉藤氏を上回る動員力とアピール力を発揮している。 軽減税率などで自民党との歩調の乱れも  斉藤氏は公示日の7月3日に神戸市内で第一声を上げ、「参院選は『物価高乗り越え選挙』だ。生活の安心に関わる社会保障をしっかり大事にする責任ある減税を行っていく」と訴えた。  その中で、減税の具体策として、①所得税減税や扶養控除の見直し、②ガソリンの暫定税率廃止を挙げた。ただ、「自民党の公約との微妙な違い」(党政策担当)も指摘されている。  また斉藤氏は、今回の参院選で立憲民主党などの野党が「消費税減税」を主張していることに対し、「わが党は13年前から食料品の税率は5%が適当だと言ってきた。今後も社会保障と税の一体改革の精神に基づき、軽減税率のあるべき姿を追求していく」と訴えた。だが、この部分も自民党の公約との違いが見受けられる。  そもそも公明党は、昨秋の衆院選で大幅に議席を減らしたことを踏まえて、6月の東京都議選と今回の参院選を「党勢回復に向けた『政治決戦』」と位置づけ、組織の引き締めに全力を挙げてきた。しかし、都議選では36年ぶりに落選者を出すなど、議席減を止められず、参院選でも大苦戦が避けられそうもない。  そこで斉藤氏らは、国民が注目する物価高対策について、自民党とともに現金給付の必要性を訴える一方で、「独自に所得税の減税などを掲げて『減税も給付も両方行う』とアピールすることで劣勢挽回のきっかけをつかみたいと考えた」(党幹部)。  だからこそ、斉藤氏が第一声で「参議院選挙は物価高乗り越え選挙です」「減税と給付両方です」「責任ある減税を行っていきます」と訴えたのだが、その背景には「給付だけでは選挙を戦えない」という党内の強い危機感がある。 選挙戦略につきまとう「二枚舌」批判  ただ、こうした公明の選挙戦略には、他党やメディアなどからの批判が付きまとう。公示前日の日本記者クラブ主催の党首討論会では、記者クラブ代表との質疑の中で「公明は二枚舌ではないか」との厳しい指摘があり、斉藤氏が必死に釈明する場面もあった。  斉藤氏はこの党首討論会などで「参院選の目標」について、①全国比例で700万票の獲得、②選挙区7議席・比例代表7議席、と繰り返した。しかし、国政選挙での比例代表得票数は、ピークだった2005年の衆院選以降は減少が続き、昨秋の衆院選では596万票と現行制度となった1996年以降で過去最少となった。  こうした状況について、斉藤氏は「私自身、無党派層へ訴える努力が足りなかった」としたうえで、「これまで公明党の声が届かなかったところへ声を届ける戦略を考える」と語った。  それを具体化したのが、YouTubeでの「公明党のサブチャンネル」の立ち上げだ。同チャンネルでは「有名人との対談や党幹部の素顔紹介などで無党派層の取り込みを狙う考え」とされる。ただ、党内には「その程度の試みでは、党勢回復にはまったくつながらない」(若手議員)との悲観論も広がる。  17日間の選挙戦が折り返し地点を迎える中、斉藤氏は街頭演説や講演で「自公過半数割れとなれば、大変な世界状況の中、(政府が)しかるべき決断ができなくなる」と自公政権継続の重要性を訴え続ける。しかし、自民党内から参院選後の「連立組み替え論」が相次いでいる。「斉藤氏に吹きつける“逆風”は、とても収まりそうもない」(選挙アナリスト)というのが現状だ。 (泉 宏:政治ジャーナリスト)
「日本はこれまでも『日本人ファースト』」 国内で部屋を借りられない外国人をサポートする不動産業者が抱く排外主義への違和感
「日本はこれまでも『日本人ファースト』」 国内で部屋を借りられない外国人をサポートする不動産業者が抱く排外主義への違和感 外国人向け不動産ポータルサイトを運営する「wagaya Japan」には多国籍のスタッフがそろう(左が草薙匡寛さん)= wagaya Japan提供    20日投開票の参院選で「外国人政策」が論点に浮上している。外国人への対応の厳格化や受け入れ規制などを打ち出す政党も相次いでいる。人口減少と高齢化が加速し、「経済のパイ」が小さくなる日本で、外国人とどう向き合っていけばいいのか。 *  *  * 【本稿は特集「日本人ファーストがもたらすもの」シリーズの3回目です】 1回目はこちら➨「日本人ファーストは一長一短」内装業の30代の現場監督が抱く外国人労働者に対する複雑な感情「いないと現場は回らないけど…日本人と仕事するほうが安心」 2回目はこちら➨「『日本人ファースト』で日本が失うのは今の生活水準」外国人ドライバー支援会社社長が警鐘 バス運転手不足で「このままだと路線維持できない」  スマートフォンで賃貸不動産の情報サイトを開けば、誰でもすぐに物件情報にアクセスできる時代。ところが日本に住む外国人にとっては、そこから先に進むハードルが非常に高いのが現実だ。 「片言の日本語で勇気を振り絞って取扱店舗に電話すると、言葉のアクセントで外国人だと分かった時点で数秒もたたないうちに、『その物件はもうありません』と断られる。こんな事例は挙げればきりがありません」  こう話すのは、日本最大級の外国人向け不動産ポータルサイトを運営する「wagaya Japan」の草薙匡寛取締役だ。同社は不動産事業を全国展開する「日本エイジェント」(愛媛県松山市)の子会社として、外国人向けサービスに特化した業務の拡充に取り組む。草薙さんは外国人のさまざまな課題解決を最前線で担う現場の責任者だ。  草薙さんに、日本では「外国人お断り」の賃貸物件がいまだに少なくないのですか、と尋ねると、「少なくないというか、多いです」という返事がかえってきた。  メールで入居希望を申し込んだ米国籍の20代男性が「10軒ほどの物件に申し込んだが、すべて入居審査ではねられた」と駆け込んできたことも。男性は「これは差別だ。アメリカではこんなことは起きない」と憤慨していたという。 「この男性はITエンジニアでしっかりした勤務先もあり高収入も得ていました。『外国人だから』という理由なのではないか、と考えています」(草薙さん)  問い合わせの際に、管理会社から肌の色を聞かれるケースもあるという。 「何十軒も断られると精神的に参ってしまう人がほとんどです。日本に憧れや希望を抱いて入国しても、住まいの確保という入り口の段階でこうした扱いを受けると、一瞬にして失望してしまうのも無理はないと感じます」(同)  日本エイジェントが外国人向けサービスを始めたのは、当時専務だった乃万春樹・現社長が2013年に東京事業部を立ち上げて約1年が過ぎた頃、12人のアメリカ人英語教師の部屋探しの依頼を受けたのがきっかけという。英語が話せるアルバイトスタッフを急きょ採用するなどし、何とか全員の住まいを確保したものの予想を超える困難さを肌で感じた。その後、外国人向けサービスを託された草薙さんは実情をこう指摘する。 「国籍も目的も滞在できる期間も一人ひとり違う人たちを、いまだに一括りにして『外国人』として扱う。これって日本人が欧米に行った時に『アジア人』と括られるようなものです」  日本で暮らす外国人は24年末に370万人を超え、過去最多を更新した。この「ボリューム」に注目が集まる一方、その多様さにはなかなか意識が向かない。今回の参院選でも「行き過ぎた外国人受け入れに反対」「外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制」といった、外国人を一括りにするような主張が相次いでいる。だが実際には、在留外国人が日本に滞在するために必要な在留資格は30種類を超える。  一方で、草薙さんはこんな「変化」も指摘する。 「東京や大阪といった大都市圏は地方と比べると、外国人の解像度が高まりつつあります」  転機はコロナ禍。それまで高い入居率を誇っていた都内の賃貸物件の需要が一気に落ち込んだ。その際、積極的に契約したのが富裕層の親をもつ中国人留学生だった。 「『えっ、学生が一人で住むのにこんなに高い家賃を払えるの』と驚くほどの高級物件も次々に契約していきました。これを機に、都内の管理会社の間では『中国人留学生は筋が良い』というラベリングが一気に浸透しました。それまで一括りにしていた『外国人』の中で、『中国人留学生』がスピンオフした形です」  とはいえ、地方ではまだまだ外国人の「細分化」は進んでいない。それは外国人の部屋探しのハードルの高さにも反映される。そんななか、リリースから6年を経た「wagaya Japan」の掲載物件は約18万部屋に上る。どうやって、全国各地の「外国人OK物件」を開拓していったのか。  草薙さんは「外国人お断り」の不動産が多い背景には2つの要因があると指摘する。1つは、外国人入居者を受け入れるとトラブルが多くなる、という情報の浸透。もう1つは、オーナーから賃貸物件の管理を委託されている管理会社が多言語対応できないという実務面での課題だ。この2つ目の理由がネックになっているケースが少なくないという。 「自社で管理する物件をすべて『外国人NG』にしている管理会社もありました。オーナーは『外国人OK』の場合も、何かトラブルがあった時に責任を負えないという管理会社の意向が優先されていました」(同)  こうした理由であれば、多言語を駆使できる「wagaya Japan」のスタッフが介在することで課題は解決する。  また、外国人との不動産賃貸契約を重ねる過程で、思わぬビジネスチャンスも浮かんだ。例えば日本人だと、風呂とトイレと洗面台が一緒になっている「3点ユニットバス構造」の物件を避ける人も少なくないが、欧米の人たちは本国でよくあるタイプのため抵抗なく入居する人が多いという。日本人が避けがちな「駅近」ではない物件や、1階の部屋も外国人のマッチング率は日本人よりも高い。草薙さんは言う。 「外国人と契約してもトラブルはなく、空室も減らせる、という手応えを感じてもらった管理会社には、次のステップとして自社の多言語対応を促しています。外国人が暮らしやすい選択肢を増やしていくのが、私たちが目指すゴールですから」 「wagaya Japan」は7月から不動産サービスに加え、外国人求職者向けの就職・転職支援などを新たに展開。外国人を雇用したい企業とのマッチングや受け入れ体制のコンサルティングにも乗り出している。   そんなさなかに参院選で浮上した「日本人ファースト」というフレーズ。これまでも日本社会は「日本人ファースト」だったのではないか。草薙さんにそう問うと、「少なくとも住居と住居にかかわる周辺のサービスについてはそうですね」と頷き、こう指摘した。 「外国人が抱える困難や不便さに多くの日本人は関心も気づきもしてこなかった。そのこと自体が『日本人ファースト』なのは否めません」  そしてこう続ける。 「『日本人ファースト』というフレーズにひかれる人の中には、今の自分たちの暮らしに対する不満の原因を外国人と結びつけている人もいるのかもしれません。でも、日本はまだまだ海外と比べて格差が少なく暮らしやすい。ギュッとまとめると、『隣の芝生は青い』ということなのかなと思いますが、結構恵まれてますよ、と個人的には言いたいですね」  高校と大学で計5年間、米国留学した草薙さん。海外経験を通じて「日本愛」が強まったという。 「海外での生活と比べることで、日本の治安の良さや便利さ、食べ物のおいしさといった暮らしやすさを初めて実感できました。日本ってやっぱりいい国だなって」  その上で草薙さんは、「外国人は優遇されている」という批判や、「特定技能外国人に頼らない国づくり」といった主張に疑問を呈する。 「実際に労働人口は年々減っています。それを絶対に外国人で補わないといけないとは思いませんが、一方でそれ以外の手段が何かあるのかなと。その青写真が示されていないのは疑問です。あたかも外国人に侵略されているみたいな言い方も、どうなのかなとは思います」  日本は「おもてなしの国」と強調していたのは、ほんの数年前のこと。なぜこうなったのか。日本で暮らす外国人が増加するなか、そのニーズにも十分対応できていないのに政治が「排外主義」をあおるのは本末転倒だろう。とはいえ、政治家は「世論の空気」を察してさまざまな発言を繰り出している。響いてしまうのはなぜなのか。自問し続ける必要がある。 (AERA編集部 渡辺豪)
次々に発表された新球場建設プランは成功するか? コスト高騰の影響で「絵に描いた餅」に終わる懸念の声も
次々に発表された新球場建設プランは成功するか? コスト高騰の影響で「絵に描いた餅」に終わる懸念の声も エスコンフィールドの成功に続く新球場は出てくるのか?  NPB各球団は2軍施設移転を含む、新球場建設プランを次々と発表している。実現すれば誰もがワクワクする素晴らしい計画ばかりだ。しかし経済や貿易を含む国内事情もあり、「絵に描いた餅」で終わりそうな危険性もはらんでいる。  野球観戦においては選手の素晴らしいプレーに加え、球場滞在をどれだけ楽しめるかも重要。2023年に開場したエスコンフィールド北海道(以下エスコンF)の成功もあり、「次はどんな球場ができるのか?」も大きな関心ごとになっている。 「エスコンFは細部にまで徹底的にこだわり、試合がない日でも楽しめる場所になった。日本ハムの成功例を見て、新球場建設を前向きに考える球団が出てくるのは当然だろう」(NPB関係者)  各本拠地球場は個性に溢れ、足を運ぶだけでも楽しい空間になってきている。中でもエンタメ最前線が詰め込まれたエスコンFは、“野球場”の枠を超えた北海道の観光名所になりつつある。 「楽天モバイルパーク宮城、マツダスタジアム(広島)、横浜スタジアムなども、足を運ぶだけで楽しい。魅力ある球場は本業の野球以外でも収益を上げることができるので、ビジネス的うまみも大きい」(スポーツマーケティング会社関係者)  現在使用中のものが老朽化したことで、新球場(施設)の建設・使用を発表する球団も現れている。ヤクルトは新神宮球場の使用を表明、2軍施設は茨城県守谷市へ移転する。ロッテも2軍施設が2030年の開業予定で千葉県君津市へ移転、千葉市主導での新本拠地建設計画も明らかになった。 「ヤクルトの2軍施設は順調に建設が進み、2027年の開場が今から待たれる。心配なのは新神宮球場の詳細が見えてこないこと。2032年までの完成とされているが、現状では間に合うのか不透明」(在京テレビ局スポーツ担当者)  新神宮球場は当初2027年完成予定だったが、神宮外苑再開発に関する調整遅れなどが重なり予定が伸びてしまった。また遅れの大きな原因となっている資材価格高騰はさらに進んでおり、今後も予断は許さない。 「東京都、明治神宮、ヤクルト球団、建設会社など、関係各所の調整を円滑に進める必要もある。完成予想図を見ると、東京の真ん中にある最先端の素晴らしい野球場。中野サンプラザのように宙に浮くことにならないで欲しいが……」(NPB関係者)  神宮からも遠くない中野区のランドマーク・中野サンプラザ。周辺を含めた再開発の建設費や人件費が高騰、事業の認可申請したグループが申請を取り下げる騒ぎになった。同所は2023年に閉館したが、進展がないまま放置された形になっている。 「ロッテが君津市に予定している2軍施設は、地元自治体が事業主体で進めるので問題なさそう。現ZOZOマリン付近に建設予定の新球場は千葉市主導だが、『ロッテがどこまで建設費を負担できるか?』も焦点になる」(在京テレビ局スポーツ担当者)  エスコンF建設が成功した理由の1つに、「建設費約600億円のうち約400億円を日本ハムが負担したこと」と言われる(その他は個人社債、広告代理店や都市開発推進機構から)。 「多くの建設費を自治体に頼ることなく調達した。日本ハムグループ(球団含む)で半分以上を工面しているからこそ、『やりたいこと』ができる箱(=球場)を造れた。ロッテも同様方式を取らないと、満足いくものはでき上がらないだろう」(スポーツマーケティング会社関係者)  日本ハムは本拠地に選定した北広島市から、土地の斡旋や税制優遇措置は受けている。しかし、建設費は自力で用立てしてエスコンFを完成させた。「同様のことをロッテができるかで、球場のクオリティが大きく変わる」と懸念される。 「千葉市、県は人口減少や企業離れが進み、税収入が激減している。市民生活も苦しい中、ロッテファンの中にも『球場建設に公金を使う必要があるのか?』という声もある。ロッテがある程度のお金を出さないと、満足できる箱を造るのは難しいかもしれない」(在京テレビ局スポーツ担当者)  同じ千葉市を本拠地とするバスケB1・アルティーリ千葉は、幕張公園内に建設を発表した新アリーナの建設費を親会社のヒューリックが負担、完成後に千葉市へ寄付する形を取る。「市民感情を考慮した部分もある」(在京テレビ局スポーツ担当者)と言われている。  ZOZOマリンは海からの強風が常に問題となる。また地球温暖化が強烈に進む中でドーム化を求める声も多いが、新球場は従来通りの屋根のない屋外型に決まりそうだ。 「建設主体の千葉市は建設費を安く抑えたい。ロッテとしては野球やエンタメでの使用を考え可能な限りの設備を導入したいが、今のままでは最低限のものになる可能性が高い。今後の交渉、何より『ロッテがお金をどれだけ出すか?」にかかっている」(スポーツマーケティング会社関係者)  千葉市の試算では、新球場建設に関してドーム型は固定式屋根で約2300億円、開閉式で約2500億円、屋外型で約1750億円。千葉市のプロジェクトだから、最も安上がりの屋外型になったのは当然かもしれない。  しかし今後、資材価格高騰でさらにコストが膨らむ可能性は高く、「お金がいくらあっても足りない」という声が千葉の各方面から聞こえている。そんな中、千葉県鎌ヶ谷市の2軍施設を北海道へ移転することを決めた日本ハムは、またも新たな手を使おうとしている。 「日本ハムは新2軍施設に関して、自治体に建設費の一部負担を求める気持ちがあるとされる。プロ野球で町おこしができるのはエスコンFの事例が証明した。『球団と自治体が良い形でタッグを組み、資材価格高騰などの逆風を乗り越えよう』とする、実に素晴らしい方法」(在京テレビ局スポーツ担当者) 「自治体頼り」「球団だけの負担」での球場・施設建設には限界がある。時代に即した方法で前進を続けようとする日本ハムの姿勢には感嘆させられる。 「建設費や人件費の高騰で止まってしまった事例は、全国で増えている。中には病院や公共交通機関の建物も含まれる。球場等のエンタメ施設は、『無くても生活に困らないもの』である。それでも造ろうと思うのならば、関係各位が歩み寄って可能な限りのことをするしかない」(スポーツマーケティング会社関係者)  素晴らしい環境こそが最高の戦いを作り出す。良質の箱でこそ極上のエンタメを楽しむことができる。何かと厳しい時代だろうが、知恵とお金を出し合って素晴らしいモノを作り上げて欲しい。米国や韓国だけでなく、日本から世界に発信できる素敵な野球場が増えることを願いたい。 (文・田中雄也) 田中雄也/元高校球児で大学卒業後は出版社に勤務後、独立してフリーのライター・編集者として活動を開始。スポーツを主としながら、音楽、ファッションなどのカルチャーやライフスタイルに関する編集・執筆活動も行っている。現場や人物に密着した取材を得意とし、選手の言葉や背景に深く光を当てるスタイルに定評がある。
土井善晴さん「おいしいお米、ちゃんと食べてました?」 米騒動に違和感「自分の食べものくらい、自分で」と話す理由
土井善晴さん「おいしいお米、ちゃんと食べてました?」 米騒動に違和感「自分の食べものくらい、自分で」と話す理由 土井善晴さん  コメが値上がりし、品薄になり――「令和の米騒動」ともいわれる事態に、料理研究家・土井善晴さんは何を思うのか。  *   *   * 「不作」はあって当たり前 「お米は自然の恵みであり、年によって『不作』はあって当たり前。だから米を備蓄するのです」  こう話すのは、料理研究家の土井善晴さん(68)。 「備蓄米は、不作や価格高騰に備えて国があらかじめ買い入れて保管しているもの。今回の天候不順による米価の高騰、不足に対応して、備蓄米の出荷が大問題だとは思いません」  米が例年に比べて倍の価格というのはたしかに望ましいことではない。しかし、何もかもが物価高騰であり、それは米だけの問題ではない。米にフォーカスして騒ぐことと一連の対応の鈍さに「違和感を持っている」と話す。 あなたはちゃんと食べていましたか? 「問題は、昨今の標準米の不足による価格高騰、一連の事態に対する流通対応行動の悪さです。消費者は備蓄米を味の悪い米と決めつけて『おいしいお米』を今まで通りの低価格で売ってほしいという。けれども、その『おいしいお米』を、あなたはちゃんと食べていましたか?」   そう、土井さんは問いかける。 「日々、外食や中食で済ませ、加工食品に依存している人も多いでしょう。ふだん食べているご飯が『おいしいか、まずいか』をちゃんと意識できている人がどれだけいるか。マスメディアは『令和の米騒動』などと言って煽りますが、ここにきて突然『おいしいお米』が食べたいというのも、おかしなもんやなあと思って、見ています」 私が炊いた古古古米よりおいしくない  古古米であっても、「水が澄むまで」洗って、ざるにあげて吸水させた「洗い米」を、「きれいな水」で水加減して「すぐ加熱」するという米炊きの基本を守れば、味や風味に格別こだわりが強いということでもなければ、十分においしくいただける。そう土井さんは言う。 「先日、出張先のビジネスホテルの朝食で食べたご飯やロケ弁のご飯は、私が炊いた古古古米よりぜんぜんおいしくない。言われなければ、ご飯のおいしいまずいなんて、意識しないで食べている人は多いと思う。業務用炊飯器の販売者に聞きましたが、業務でご飯を炊いている人でもご飯の炊き方を知る人は少ないので、販売は指導とセットだそうです。米のブランドと炊飯器の性能に依存しても、おいしいご飯にはなりません。米は日本人の主食ですが、いつの頃からか大切にされなくなっていたんです」  思い当たる節はある。 食文化は稲作中心に育まれてきた  筆者も、朝はパンとコーヒー、昼は冷凍食品の麺類をチンして食べ、夜はビールと唐揚げ弁当……といったパターンが多い気が。自分で炊いたご飯を食べる日など、月に数えるほどしかない。 「私たちの食文化は、稲作を中心に育まれたのです。稲につく麹菌(稲だま)から、お酒をはじめ、味噌、醤油、みりん、酢、すべての調味料はできているんです。循環農業である稲作を通じて文化とものの考え方、私たちの心を作ってきたのです」 「一汁一菜」の意味  土井さんは、「食事」という、料理して食べるという人間にとって不可避の行為(H・アレントのいう「人間の条件」)を実現するのが「一汁一菜」だと話す。 「一汁一菜とは汁飯香、つまりご飯と味噌汁、漬物ですが、味噌汁を具沢山にすればおかずの一品を兼ねるので、ご飯と具沢山の味噌汁だけでもけっこうです。これが日常の慎ましい暮らしの食事のスタイルです。一汁一菜なら料理をできない理由は無くなります。ご飯さえあれば家に帰ってから、10分もしないうちに温かい味噌汁が食べられて、さっと片づける。『料理する』を端折って食べるだけでは食事になりません。料理して食べるという関係が暮らしにちゃんとあることが大事です」 料理して食べる重要性  一人暮らしであっても、料理して食べることは自分を守ること。自立につながると土井さんは言う。料理は、自然と食べる人の間にあって、両方を大切にすること。「家族が料理して家族が食べることも含めて、料理は自立です」とも。 「この列島の人々はお天道様とまっすぐつながって生活をしてきました。食文化はその土地の気候風土に生まれたのです。この土地に生まれた食材を先人に倣って料理する土産土法。料理をしようと思えば、自然を見て自然を思えば何を料理するかを教えてくれます。調理がはじまると、家族の方を見て時々に必要な工夫をする」 今朝はパンを食べました  とはいえ土井さんは、現代の私たちは米だけを食べているわけではなく、味のしっかりついた外国料理や便利な加工食品も食べている。「米離れ」と言われて久しいが、家計における支出(金額)は、すでにパンが米を上回っている。パンを作る小麦は、ほぼ海外からの輸入に頼っている。そんな点も指摘する。土井さんの感覚は柔軟だ。 「私も今朝はパンを食べました。パン食はすでに定着しています。しかし、私たちは何を食べるべきかを考えるべきですね。カレーを作る時は、軽いタイ米のご飯を炊きます。タイ米などの輸入米は日本と同じ米とは考えない、それぞれ別の商品です」 自分の食べものくらい  自然環境危機、世界の食料危機によって「あたりまえにあるもの」が徐々になくなってきている。あたりまえのものとは、空気や水に食料、それに家族の健康、美しい文化……。私たちはあたりまえのものに常に無関心だが、「今」それを意識して守らないといけなくなった。土井さんはそう話す。 「そのためには、日常の料理の意味や和食文化の意味を知ることです。幸せな暮らしは、家族が作って家族が食べるという食事の基本から成ります。家族は自分、自分は家族です。料理して食べることから生まれる情緒が、思いやりを育み、大自然を思い、大切なものを守ることになるのです。台所は地球と繋がっています」   食文化を守ることは一人ひとりの問題で、国にはできない。自分が何者であるかを知ることだと、土井さんは言う。 「『自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ』。茨木のり子さんの有名な詩の一節です。『自分の食べものくらい、自分で考えろ』と言いたい。そんな心でお米に向き合ってみてください。きっといつもよりおいしく炊き上がると思います」 どい・よしはる/1957年、大阪府生まれ。料理研究家。スイス、フランスでフランス料理を学び、大阪の「味吉兆」で日本料理を修業。現在は「おいしいもの研究所」代表。著書に『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫)、『味つけはせんでええんです』(ミシマ社)など  
「日本人ファーストは一長一短」内装業の30代の現場監督が抱く外国人労働者に対する複雑な感情「いないと現場は回らないけど…日本人と仕事するほうが安心」
「日本人ファーストは一長一短」内装業の30代の現場監督が抱く外国人労働者に対する複雑な感情「いないと現場は回らないけど…日本人と仕事するほうが安心」 工場で働く外国人労働者(写真はイメージ)    20日投開票の参院選で「外国人政策」が論点に浮上している。外国人への対応の厳格化や受け入れ規制などを打ち出す政党も。人口減少と高齢化が加速し、「経済のパイ」も小さくなる日本で、外国人とどう向き合えばいいのか。 *  *  *  「人手不足で高齢化もすごく進んでいます。外国人がいないと困る、というのは分かっているんですが……」  外国人材に対して複雑な心情を吐露するのは、首都圏の中堅の内装業者で現場監督として働く30代男性だ。  男性とは10年ほど前に知り合った。その時は別の仕事をしていたが、何度か転職して現在の職に落ち着いた。今は小さな子もいる家庭を築いている。帰宅している時間帯を見計らって電話すると、男性は背後で泣きわめく子どもの声が届かない場所に移動して、業界の実情を聞かせてくれた。  「元請けの立場で言うと、やっぱり日本人と仕事をするほうが安心できます。少なくとも親方は日本人でないと、意思疎通とマナーの面から発注をためらいますね」  とはいえ、下請け先として発注する協力業者の中には、外国人のほうが多い業者も珍しくないという。  「率直に言うと、人件費がめちゃくちゃ安いんですよ。うちが依頼した人件費から2~3割はピンハネされていると聞きました。寮で共同生活し、1日1万円前後で働いているようです。日本人しかいない業者よりも外国人が多い業者のほうが利益率はかなり高いのが実情です」  元請け業者はピンハネを承知で、そうした下請け業者を重宝している面も否めないと男性は明かす。  「工期に余裕がない現場ほど、最初に声をかけるのは外国人が多い業者です。そういう業者のほうが労働関連法などの順法精神に乏しく、工期短縮の無理も利くからです。人件費や資材の高騰も深刻ですから、このままだと価格競争で日本人主体の業者は戦えなくなっていくと思います」  日本人しかいない男性の会社の場合、職人は60~70代と高齢化が顕著だという。建設業界の現場では日本人だと40代でも「若手」と呼ばれるが、外国人の働き手はほとんどが20代。一方、日本人の20代の働き手を確保するのは相当厳しいのが現実だ。  「僕の知り合いにもいますが、以前なら地元の『ヤンキー』のコミュニティーを通じてグループごとスカウトするルートがありましたが、今はそういう時代じゃないですから。きつい仕事だという業界のイメージもあって敬遠されるのも無理はないと思います。あと10年、15年先を思うと、この業界は全く不透明です」  東京商工リサーチが今月発表した2025年上半期(1~6月)の全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同期比1.2%増の4990件。増えているのは人手不足が原因の倒産で、上半期として過去最多の172件に上った。人手不足倒産の主な理由に挙げられるのが従業員の退職(54件)や補充などに伴う求人難(68件)、人件費高騰(50件)。いずれも過去最多を更新した。経営難の中小企業は賃上げなど従業員の待遇改善が進められず人手が集まらないのが実情だ。  男性によると、建設関連業の中で外国人の比率の高さが目立つのは解体業者だという。  「安く買いたたくことができる業者を探すと、クルド人などの外国人が中心の業者に行き着くんだと思います」  その上で、男性はこう続けた。  「クルドの人たちは解体現場で不可欠の労働力です。にもかかわらず、ネットの書き込みでは悪い面しか書かれていませんよね」  ふと、筆者の学生時代の記憶がよみがえった。1990年前後、大阪の「釜ケ崎」で日雇いの解体作業のアルバイトをしていた。手配師が運転するワゴンに押し込められ、アスベストを含む粉塵が巻き上がる現場で終日働いて1万2500円。現地解散だが、交通費は支給されない。ピンハネも、社員と日雇いの序列も、暴力もあったが、そこに外国人はほぼいなかった。もちろんネットもなく、言いたいことはたいてい面と向かって言った。差別もハラスメントもひどかったが、ヘイトスピーチが社会に蔓延することはなかった。  男性は外国人材に同情を寄せているのかと思ったが、そう単純でもないようだ。参院選で「外国人に頼らない国づくり」といったスローガンを掲げる政党があることをどう思うか尋ねると、男性は「うーん」と唸った。  「本当にムズいと思うんですよ」  何が「ムズい」のか。「外国人に頼らない」という言葉には心を揺さぶられるが、現実は逆に進むのではないか、と男性は危惧しているからだ。そして、外国人に対するこんな不信も口にした。  「だってメディアでピックアップされるのは、外国人が悪いことしてるニュースばかりじゃないですか。僕が最近見ていて、『嫌だな』って思ったのが生活保護関連です。日本に来てすぐに申請する外国人が多いとかいう話を聞くとウンザリします。生活保護は必要な制度ですが、受給には一定のラインを設けてもらわないと、悪い人ばかりが得する社会になってしまいます」  外国人と生活保護に関する投稿はSNS上にあふれている。「外国人に盗(と)られている生活保護」「外国人生活保護やめろ」といったネット動画は何百万回も再生されている。男性は言う。  「そういう人たちばかりじゃないんだろうけど、そういう情報のほうが頭に残りやすいんですよね。日本人の親方のもとで、すごく教育が行き届いている外国人もたくさん見てきましたから。そういう現場だけを見ていれば、外国人材の活用は素晴らしいことだって思えるんでしょうけど……」  SNSには「生活保護を受給している世帯の3分の1は外国人」などとする誤情報も拡散している。厚生労働省によると、23年度に生活保護を受給した世帯のうち、外国籍の人が世帯主のケースは2.9%。ただ、それを多いと見るか少ないと見るかは人によって異なるだろう。  筆者も偉そうなことは言えない。せわしなく仕事や生活をしている日常の空間に、キャラクターの着ぐるみを被った外国人観光客がゴーカートに乗ってはしゃぐ姿に出くわすと、正直気持ちがざわつく。貧しくても豊かでも、住人であろうと観光客であろうと、自分たちの暮らしがこれほど切羽詰まっているのに、「よそ者」に我が物顔で荒らされているような不快とでも言うのか……。  東京で暮らしていると訪日外国人の多さに加え、コンビニでも飲食店でも工事現場でも外国人の働き手を見ない日はない。コールセンターに問い合わせした際も、最近は明らかに日本人ではないアクセントの人が対応しているのが受話器越しに伝わる。「日本人が敬遠しがちな職場を担うのが外国人」という印象が定着した感も否めない。ただ、コールセンター業務は近くAIが代替するとも言われている。急場をしのげば都合よく切り捨てる、ということにならないか。だとすれば、それこそ「日本人ファースト」に他ならない。  今回の参院選でよく聞くようになった、この「日本人ファースト」という政治スローガン。男性はどう受け止めているのか。「これも一長一短あると思います」と言った後、男性は強い口調でこう訴えた。  「でも『日本人ファースト』なんて言い出したら、日本から出て行ってしまう外国人が増えると思いますよ。日本の物価はどんどん上がってて、日本人は『暮らしにくい』と文句を言ってますけど、低賃金で生活をつないでいる外国人はその比じゃないですから。この人たちが円安の日本を捨ててもっと稼げる国に出て行くと、日本はめちゃくちゃ失うものが大きいと思いますけどね」 (AERA編集部 渡辺豪)
しみけんとの事実婚解消をはあちゅうが語る 「私だけが子育てに最適化されていく」ことへのストレスがあった
しみけんとの事実婚解消をはあちゅうが語る 「私だけが子育てに最適化されていく」ことへのストレスがあった 事実婚を解消したはあちゅうさんとしみけんさん。現在も息子を含めた家族3人で過ごす時間を作っている(photo はあちゅうさん提供)  ブロガーのはあちゅうさん(39)は2018年、AV俳優のしみけんさんとの事実婚を公表しました。22年に事実婚を解消した後も親子3人で交流する様子を発信しています。結婚観や、事実婚を選んだ理由について話を聞きました。 *   *   *  私自身の感覚として、日本の結婚制度は女性の立場が弱く、不利な面が多いように思っていました。「嫁」という言葉も「相手の家の持ち物になる」という感じがしていて、「結婚」という形をとることが嫌だったんです。  私の母は社会人になるまで、門限が厳しく、男性の影があると「不良」と親から厳しく注意されたそうです。でも20代を過ぎると、「行き遅れる前に結婚させなきゃ」と周囲から言われ、お見合いを経て「寿退社」をして専業主婦として子どもを育てる日々になりました。ある意味、自分の人生を後回しにしてきたわけです。そんな母の姿を見ていて「女性の人生は結婚で決まってしまうんだ…」と思っていました。 結婚はロマンチックなものではなく「契約」  結婚したら、名字を変えるという大きな負担が基本的には女性側に課されていることにも違和感がありました。結婚式で「男親と手をつないでバージンロードを歩き、相手の男性に引き渡される」ことがロマンチックな文脈で語られることがありますが、実は家父長制の価値観に取り込まれている。結婚はロマンチックなものというよりも「契約」だと思います。一人ひとりに合わせた契約があっていいし、私自身は「夫をサポートする妻」ではなく、彼とパートナーシップを築いていくというメッセージを社会に打ち出したかった。だから、事実婚を選択しました。  当時、事実婚であることを公表する必要はないとも思ったのですが、結婚制度に一石を投じたかったのかもしれません。SNSで発表したら、友達が「実は私も名字を変えたくなかった」「こういう方法があるんだね」と言ってくれたことが嬉しかったですね。  事実婚で、名字の変更がなかったことは、すごく楽でした。私は法人を運営しているので、もし名字を変えていたらお金もかかる。心理的負担も大きかったと思います。  一方、「結婚するくせに、覚悟が決まっていない」といった批判も受けました。特に私へのバッシングが多く、「結婚するほど愛されていないんだろう」と書かれたことも。事実婚は「結婚以下のもの」「結婚できない人がするもの」という見られ方をしました。 はあちゅうさんは5歳の息子と向き合う日々を飾らない言葉で発信している(photo 本人提供) 知らず知らず男尊女卑の考え方に染まっていた 「結婚」制度に抗いたかった私も、いざ結婚生活を始めてみると「男性である夫のキャリアを優先させなくては」と思ってしまっていました。「夫をサポートする妻」にはならないつもりだったのに、それまで生きてきた中で知らず知らず身につけてしまった男尊女卑の考え方に自分も染まっていたんです。  子どもができてからは基本的には私が息子を見ていて、夜泣きに対応するのも100%私でした。そもそも彼は家にいることが少なかったけれど、「彼は飲み会に行くのも仕事の一環」と思うようにしていた。本来は、私だって人との関係性を作るために外に出るのは大事なはずなのに。  一緒に暮らしているのに、私だけが子育てに最適化されていく。周りの家庭も同じような感じだから「しょうがない」と思ってしまう。彼の問題というより、彼がいるコミュニティーや社会の課題だとすると、どこから手をつけていいかわからない。そもそも子育てで疲れているのに、とてつもなく大きなものと闘わなきゃいけない。発散できないストレスをずっと感じていましたね。 はあちゅう/1986年生まれ。ブロガー・作家。慶應義塾大学卒。電通、トレンダーズを経てフリーに。著書に『「自分」を仕事にする生き方』など(photo 本人提供) 相手の顔色をうかがう生活から解放された  22年に事実婚を解消したことで相手の顔色をうかがう生活から解放されて、人生を考える時の単位が「自分はどうしたいか」になりました。解き放たれた部分もあるけれどそうではない部分もあります。私は毎日息子の世話をして、習い事のために仕事を早く切り上げて迎えに行ったりもする。でも彼は日曜日に機嫌の良い状態の息子と数時間遊ぶだけで「良いパパですね」と言われる。私ももっと仕事をしたいし、夜に外出したいけど「母親が子どもを置いて出かけるなんて」と批判されます。男性は常に加点されるのに対し、女性は「減点してやるぞ」という社会の目に監視されている感じ。「女性税」をずっと払い続けている感覚があります。   保育園に通う息子が最近「俺は男だから青がいい」と言っていて、はっとしました。たぶんどこかで「男の子は青、女の子はピンク」という価値観をもらってきたのだと思う。社会の無意識のメッセージに触れるのはどうしようもないので、「そうじゃない価値観もあるよね」ということを丁寧に伝えていくしかないと思っています。  彼が息子の父親ということには変わりないので、今も3人での交流を続けています。その様子をSNSなどに投稿すると「勇気をもらった」との声もたくさんもらいます。離婚しても相手との縁が完全に切れるわけではないと知り、離婚に踏み切れた、と友達から言われたこともありました。離婚=子どもがかわいそう、という批判が世の中にはまだ多くあるので、様々な家族の形があることを今後も発信していこうと思います。 (構成 フリーランス記者・山本奈朱香)
「理科」は社会に出たら“必要なくなる”は本当か? 高校生の4割超がそう回答した「2つの背景」とは 専門家に聞く
「理科」は社会に出たら“必要なくなる”は本当か? 高校生の4割超がそう回答した「2つの背景」とは 専門家に聞く (写真はイメージ/GettyImages)  社会に出たら“理科”は必要ない――? 先日、「社会に出たら理科は必要なくなる」と考えている高校生の割合は日本が、韓国・米国・中国と比べ最も多かったというニュースが流れました。その理由とは? 理科教育に詳しく、科学の楽しさを広める活動や研究をするNPO法人「ガリレオ工房」名誉理事長の滝川洋二さんに聞きました。 社会に出たら「理科は必要なくなる」の背景にある問題とは? ――国立青少年教育振興機構が発表した国際調査(日本、米国、中国、韓国の約1万6000人の高校生が回答)によると「社会に出たら理科は必要なくなる」と考えている高校生の割合は日本が45.9%、韓国33.5%、米国27.6%、中国が17.6%と、日本が最多でした。これはなぜだと考えますか。  この問題の背景には大きく二つ理由があり、一つは学校の授業が「大学入試を突破するためのもの」になってしまっていること、二つ目は、日本では「科学者や(理系の)研究者になっても社会的評価・待遇が低い」ということだと考えています。 国立青少年教育振興機構調査から ――「入試を突破するための授業」とは?  学歴社会の中で、先生も保護者も、“子どものために”、大学入試をどう突破するかが目標になっているのが現状です。「自然のなかの不思議を探究し、実験し科学の楽しさを追求する」のが現実的な目標にならなくなっています。小さいころ、理科はきっと不思議を探し、楽しくてワクワクするものだったと思うのです。でも、入試に役立つ勉強は、すぐに“正解”にたどり着くようなものばかり。先生も保護者も、じっくり考えるより、入試に向けた「知識を覚える勉強」を重視するわけです。  でも、今までのように、たくさん知識を覚えても、いままさにそれを使う仕事はAIに取って代わられはじめています。子どものためには、実はもっと深く考え、複雑な問題のなかから本質を自分で見抜くことができる人に育つことが重要です。世界の教育はこの方向に大きく転換してきています。今回の国際調査は、日本がその転換に遅れているのを感じます。 国立青少年教育振興機構調査から 将来に役立つと思う科目は、日本では「外国語」という回答が最も多かった 失敗こそが生きるヒントになる ――本来は、どんな学習方法が望まれますか。  知識は、自分がより広く深く考えるためには不可欠です。一方で、身の回りの現象のなかで子どもがみずからテーマ(課題)を見つけ、どう解決するかを考え、実験して失敗して、その失敗を生かしてまた考えて……と、探究していくことはもっと重要です。  子どもが一生懸命考えても、実際に実験や観察をすると、だいたい失敗します。ですが、「失敗」は解決のためのたくさんのヒントをくれます。そのヒントの見つけ方を身につけると、失敗しても面白い、諦めない、ヒントを元に前に進もうという見通しができます。それは生きていく力になると思います。  自ら探究していく面白さがわかれば、いずれ今の社会のどこが課題かを見つけることができるようになりますし、その課題をどうしたら変えられるか考えられるようになります。ただ、今の学校教育には、「探究」していく時間も余裕もないように感じます。 ――滝川さんなら、「理科が生活に根づいている」ということを伝えるために、どんな授業をされますか。  例えば、モノに力が加わると、その力に応じて加速します。加速度の大きさaは、力の大きさFに比例し、物体の質量mに反比例する「運動の法則F=ma」という公式があります。  私は以前、高校でこれを題材に「実際にあるモノを例に、そのモノの質量が大きくなった場合、加速度はどのように変化するかを考えなさい」という課題を出したことがあります。  ある高校生は、「木の幹は太いから質量が大きく風には揺れにくいが、枝は細くて軽いので揺れやすく揺れ幅も大きい」と考えました。ほかの生徒は、「同じモーターの電車でも、電車の素材をアルミに変えたら質量が軽くなり、加速度が大きくなる」というものでした。生徒が身の回りのなかから見つけたたくさんの事例をほかの生徒と共有するようにしました。単元の最後にはいつもこういった課題を出していました。 国立青少年教育振興機構調査から  年度の最後、生徒の感想は「この世の中は、何もかも法則にもとづいているということに気づかされた。ただ記憶するのではなく、自分たちで考え、話し合っていくことによって、その仕組みを本当に“わかる”ことができたような気がします」というものでした。実験がおもしろい、というのとも異なる視点です。「なんで物理や科学を勉強しなきゃいけないか」と先生が言わなくても、生きることと密接に関わっていると知ることができたのではと思います。 博士課程を出ても、“優位”に働かない? ――二つ目の理由、日本では「科学者や(理系の)研究者になっても社会的評価・待遇が低い」というのはどういうことでしょう?  SETAM教育や理系人材の育成などと言われてはいるものの、大学の研究費は十分とは言えず、世界では中国やアメリカが研究費を伸ばす一方、日本はほぼ横ばいで大きな差が生まれているといわれています。  また、欧米では、博士課程出身者は給料が高いことが一般的ですが、日本では博士課程を出たことが、そこまで優位には働かず、大学の研究職についても、研究者を減らしている大学も多い。研究者になっても未来が描けないなら、子どもたちは夢を持てないですよね。これは日本社会の問題だと感じます。米中韓に比べ理系の政治家が少ないのも背景にあるのかもしれません。 実際に、理科は役立つのか? 親のかかわり方とは ――実際に、理科は社会に出たときに役立つのでしょうか。  理科は失敗してもかまわない数少ない科目です。トライアンドエラーから本質を見抜く、これからの時代に不可欠な能力を身につけるのに最適です。この能力は、理系だけでなくどんな職業でも、普段の生活でも重要です。 ――親は子どもに対し、どのように関わればいいでしょう。  家から駅への道、学童や習いごとへの道などで、子どもが不思議なことを見つけてきたら、「どうしてだろうね?」「不思議だね」「面白いことを見つけたね」と声をかけてあげる。親は教える必要はなく、興味を支えるのが仕事です。  子どもが調べたいと言い出したら、一緒に調べてもいい。ですが、すぐに正解を求めてはいけません。じっくり見守って、できれば一緒に考えてあげてほしいです。 ――考える力を身につける方法とは?  例えば、76歳の僕が今もしているのは、毎日、家から駅まで歩くときに、不思議だと思うことを探すこと。雨が降っていれば、「こっちの葉っぱの雫は大きいけど、あっちの葉っぱの雫は小さいな。なぜだろう?」とかね。  子どもたちの「身近な不思議」を大切に育てていけば、未来は変わっていくのでは、と思います。 (構成/永野原梨香) ◯参照:高校生の科学への意識と学習に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較ー〈令和7年7月発行〉/国立青少年教育振興機構 https://www.niye.go.jp/wp-content/uploads/2025/07/kagaku_gaiyou.pdf ◯滝川洋二(たきかわ・ようじ)/1949年生まれ。教育学者、理科教育のカリキュラム研究者。1979年~2006年まで、国際基督教大学高等学校の理科教諭を務める。科学の楽しさを広めたり、科学で地域活性化の研究をしたりするNPO法人「ガリレオ工房」名誉理事長。NPO法人「理科カリキュラムを考える会」理事長。TVドラマ「ガリレオ」や映画「容疑者Xの献身」の実験監修を務めた。著書に、NPO法人ガリレオ工房監修『子供の科学STEM体験ブック実験でわかる科学のなぜ?』他4冊(誠文堂新光社)ほか多数。
「『収奪的システム』を維持したままでは経済格差縮小は不可能、所得再分配して内需喚起を」姜尚中
「『収奪的システム』を維持したままでは経済格差縮小は不可能、所得再分配して内需喚起を」姜尚中 姜尚中(カン・サンジュン)/東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史    政治学者の姜尚中さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、政治学的視点からアプローチします。 *  *  *  参院選の選挙戦は佳境に入り、さまざまな予測が飛び交っていますが、選挙で何が問われているのか、それを考える上で、生活保護費の引き下げ処分を「違法」とする判決は、ひとつのヒントとなるはずです。  これまで、長期の安定雇用を確保するために非正規を増やし、それで経済的ショックを緩和してきました。それは非正規雇用者をはじめ社会的弱者を直撃し、結局、日本経済は内需が回復しないまま、物価上昇分に実質賃金の伸びが追いつかない生活苦が続いています。こうしたシステムを「収奪的システム」(河野龍太郎著『日本経済の死角』)と呼ぶとすれば、このシステムを維持したまま、場当たり的に給付や減税をしても経済格差を縮め、消費を喚起することは不可能です。  日本経済に飛躍的な実質成長が期待できず、トランプ関税で製造業も不振を余儀なくされる可能性があるとすれば、所得再配分の機能をより拡大強化して家計の可処分所得を増やし、内需を喚起していくしか妙案はないのではないでしょうか。  結局、大企業の内部留保が膨大に貯まり、人的資本への投資が削減され、非正規雇用を増やしてきたツケが回っています。膨大な内部留保を経済の好循環のために投入していくための税制改革や所得再配分の機能の見直しが進まなければ、社会のセーフティーネットは収縮し、そこから排除されていく人々が増え、社会の持続可能性が不安定になり、例えばドイツの「ドイツのための選択肢」(AfD)のような極右的な政党が台頭して来ざるをえなくなるのではないでしょうか。特に若年層や壮年層に被剥奪感が増大し、そうした政党の共鳴板になりつつあります。日本も今度の参院選を皮切りにEU諸国に見られる反移民、反外国人の世論が拡大していく可能性があるようです。日本経済をジリ貧に追いやらないためにも生活苦を緩和し、誰もがセーフティーネットによって救われているという感覚が持てる所得再配分機能の立て直しが必要です。「排除」ではなく、「包摂」が、たとえきれいごとのように聞こえても、社会の持続可能性に資することを確認したいと思います。選挙もそうした視点から一票を投じてほしいと思います。 ※AERA 2025年7月21日号  
緊縛ショーに「なんて美しい世界だろう」と号泣 双子の姉を持つ50代女性はなぜ「緊縛画」を描き始めたのか
緊縛ショーに「なんて美しい世界だろう」と号泣 双子の姉を持つ50代女性はなぜ「緊縛画」を描き始めたのか そのショーを見て、号泣した――。JUNKOさんの物語(写真はイメージ/ gettyimages)  女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。50代のJUNKOさんはなぜ公務員を辞して、緊縛画の世界に飛び込んだのか。女性の半生を聞いた。 *   *   *   園長のパワハラに耐えかねて  長らく公務員として働いていたJUNKOさん(50代)は、3年前に早期退職して「緊縛画」を描き始めた。緊縛画とはつまり、縄で縛られた女性の絵のことだ。  その日、鮮やかな着物姿で現れたJUNKOさんは、深紅の羽織にベルベット地の帯を締め、目を惹く華やかさがあった。それでいて、どこかのほほんとした雰囲気を漂わせている。意外な転身の背景には、何があったのだろう。 「保育園で事務職をしていたんですが、園長のパワハラに耐えている保育士さんが多くて。皆さんの話を聞いているうちに、自分もパワハラされていることに気が付いてしまい、ちょっと病み始めてきているところに、老眼もひどくなってきたんです。50歳を目前にしたころですね」 10年後の目は違うぞ  JUNKOさんは、そこでハッと自分のやりたいことについて考えたという。 「『自分は絵を描きたかったじゃん』って思ったんです。それまでは、定年後にゆっくり描けばいいやと思っていたんですよ。だけど、60歳を過ぎたら、今せっかく描けている細かい絵が描けないかもしれない。今と10年後の目は違うぞって思ったら、公務員をやってる場合じゃないだろ、みたいな」  子どものころから絵を描くことが好きだったJUNKOさんは、仕事を辞めて本格的に描き始めた。 なんて美しい世界なんだろう  なぜ、緊縛画だったのだろう。 「あるイベントのなかに緊縛体験コーナーがあって、知り合いの子が体験する際に動画撮影を頼まれたんです。それがすごく綺麗に撮れてしまって。以来ずっと、緊縛が気になっていたんです」  それから4年後の2023年、JUNKOさんは、自分の気持ちを確認するため、改めて緊縛ショーを見に行ったという。 「『なんて美しい世界なんだろう』って、感動して号泣しちゃったんです。全身で責めを受け入れる女性たちも、縛り手さんも、お互いのことを本当によく気遣っている。それに、縄が解かれるときの、終わってしまう切なさ。いろいろな感情を全部ひっくるめて、受け手の女性がとても綺麗なんです。この綺麗な世界を自分で描きたいと思ったんですね」  JUNKOさんは、縄好きが集まるサロンや緊縛ショーを訪問し、作品を描き始めた。今年2月には初の個展を開いている。  ファイルに綴じられた作品をいくつか見せてもらったが、髪の毛一本一本のなめらかな動きや、縄の繊細な質感まで丹念に表現されており、余韻の残る美しい作品だった。  そんなJUNKOさんには、一卵性双生児の姉がいる。 JUNKOさん(撮影/インベカヲリ☆) 18歳までおそろいの服を着ていた  幼いころから姉のことが大好きで、小中高と同じ学校へ通い、18歳までおそろいの服を着て過ごしていた。しかし、高校卒業後はそれぞれ別の会社に就職。異なる道を歩むことに、JUNKOさんは大きな衝撃を受けたという。 「就職したら、姉が自分だけの服を買ってきたんですよ。ショックでした。違和感しかなくて、『え! 違う服着るの?』『それ気持ち悪くないの?』『平気なんだ?』っていう気持ち。同じ服を着ることへの安心感が私にはあって、姉にはまったくなかったってことですね。姉は双子として注目されることが嫌だったみたいで、高校生のころから同じ服に抵抗感を持つようになっていたのは覚えています」 心音までピッタリ重なった  私は双子になったことがないので、自分以外の誰かと「一緒」という感覚は想像がつかない。しかし、JUNKOさんにとっては、それが当たり前だったようだ。聞けば2人は、おなかにいたときから心音がピッタリ重なっていたという。 「聞こえる心音が1つだから、妊婦健診ではずっと1人だと思われていたみたい。分娩室で初めて双子だとわかってみんな驚いたそうです」 日常的にシンクロ  双子ならではのシンクロは、日常的にあったという。 「テレビを見ていたり、友達とみんなで会話していたりするときに、感じていることが同じだから、相槌の仕方もタイミングも一緒でした」  JUNKOさんは、そのことに疑問を持ったことがなかった。 「中学生のときに、朝登校すると、校門の前に先生たちが立っているじゃないですか。私と姉が校門をくぐるとき、先生に『おはようございます』っていうタイミングが一緒なんです。私は全然おかしいことだと思っていなかったのに、先生たちが挨拶するたび笑うわけね。なんで笑うんだろう?って不思議に思っていたら、『いつも一緒なんだよ、気づいてない?』って聞かれて、私知らなかったって」  そこまで息がぴったりなら、さぞかし会話もスムーズだろう。 「一緒にいてラクですね、完全に」  では、他の友だちとの関係はどうなのか。 姉がいるから深く遊ばない 「小中高と、そこまで仲のいい友達はいなかったんです。双子+友達の3人で遊ぶことはあっても、結局姉がいるから、その子ともそんなに深くは遊ばない。『本屋に行こう』とか『CD買いに行こう』とか、全部姉で済んじゃうから。例えば、姉を映画に誘って『興味ない』って言われたりすると、諦めて1人で行くんですけど、帰ってきて感想をぶちまけるのは姉だから。就職してからですね、ちゃんと遊ぶ友達ができたのは」  それまでは、常に姉と一緒だったということだ。 「たぶん私のほうが重くて、姉離れができていないんだと思います。私のわがままが原因で喧嘩することもよくありました。就職して、先に姉に彼氏ができたときもショックでしたね」 結婚も出産も同じタイミング  しかし、やはり双子はシンクロしていたようだ。姉に彼氏ができて寂しかったのも束の間、JUNKOさんにもすぐに彼氏ができた。22歳でJUNKOさんの結婚が決まると、ほぼ同時期に姉の結婚も決まった。驚いたことに、2人は出産した年も同じだった。JUNKOさんが出産した40日後に、姉は出産している。ちなみに、お互いの夫は「全然違うタイプ」だという。 「出産が重なったのは、たまたまです。でも私は、子どもが生まれるころには離婚を決意していました。元夫は2歳上の会社の先輩で、妊娠がわかって結婚することになったけど、おなかが大きくなるにつれて、女性は赤ちゃんのことばかり考えるじゃないですか。それに対して、元夫が異常にやきもちを焼く。ちょっと怖いぐらいで。妊娠を機にだんだん人が変わってしまって、『子どもが虐待されるのでは』という恐怖心から、別れを考え始めたんですね」 実家暮らしのまま離婚が成立  離婚調停の末、結婚の翌年には離婚が成立した。 「結局、実家を出る前に離婚になったから、家を出ないまま、結婚生活が終わっているんですよ」  そのとき生まれた息子はすっかり大きくなり、既に独立。JUNKOさんは両親の面倒をみるため、今も千葉県にある実家で暮らしている。姉は、車で10分ほどの距離に住んでいるという。 「個展をきっかけに、姉に緊縛画を描いていることを打ち明けたら、たくさんアドバイスをくれたりして、すごくうれしかった。そこからまた、私の『姉大好き』が再発している感じ」  今でも一番の友達は姉だという。他に友達はいないのだろうか。 常に味方がいる感じ 「いないんですよ。なんだろう、必要性を感じない」  他人同士だと、遠慮もあってそう深くはなれないだろう。 「常に味方がいる感じです。でも逆にそれしか知らないから、他の人がどういう気分なのか想像できないんですよね。他人との付き合い方がわからない」  JUNKOさんは、初めての彼氏と結婚し、すぐに離婚して以降は、誰とも恋愛をしていない。 「それは姉とは関係なくて、もう結婚はこりごりってだけ!」 息子が「俺のことなんてどうでもいいんでしょ」  JUNKOさんはそう言うが、姉との関係以外はドライに見えるのは気のせいか。 「今にして思えば、息子が幼いころ、よく『俺のことなんてどうでもいいんでしょ』って言っていましたね。私と姉と姪っ子の3人で、オタ活に一生懸命だった時期があって、当時は楽しさを優先するあまり息子の気持ちを置き去りにしてしまっていました。後悔先に立たずです」  好きなことに対して、迷いがないことは確かなようだ。 今が一番楽しい  現在は貯金を取り崩しての生活だというが、この先は大丈夫なのだろうか。 「全然ダメです! でも今が一番楽しい!」  好きな絵を描いて、姉がそばにいて、JUNKOさんの日々はとても充実して見えた。  私は一連の話を聞きながら、自然とシンクロする、自分とそっくりなもう一人の存在というものが、とても羨ましく思えてきた。 (構成・ライター インベカヲリ☆)

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