ノーヒット・ノーランで春夏の連覇を果たした松坂大輔選手(1998年08月22日)
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「平成の怪物」と呼ばれた松坂大輔選手は高校時代に公式戦44連勝という記録を持っている。その記録が生まれたきっかけが、松坂選手がしでかした2回目の大きなミスだった。この怪物をいかに育てたか、横浜高校の渡辺元智元監督の言葉で語ってもらった。<『高校野球 名将の流儀――世界一の日本野球はこうして作られた』(朝日新書)の抜粋・再編集>

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サボりのマツと呼ばれた松坂大輔 怪物をやる気にさせた名将の育成法

 2021年限りで現役を引退した松坂大輔さん。野球解説者として第二の人生をスタートさせた教え子の姿をテレビで見て、「いい顔をしている」と横浜高校野球部の渡辺元智元監督は目を細める。入学してきたころの松坂さんは「最初から光り輝くダイヤモンドではなかった」と懐かしむ。

 自然と輝く石もあれば、磨いて光る石もある。松坂の場合は前者ではなく、後者でした。入学時は体重85キロ(身長175センチ)と肥満気味でした。

 同級生に好選手が多かったのもあるが、際立つ存在ではありませんでした。自分の存在をアピールしてくるわけでもない。だから、こちらから前に引っ張り出して、英才教育を施そうと考えたんです。

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「第一歩」という詩の一部