小さいころから大きな目標を持っているのは感じました。プロ野球選手になりたい。両親を楽にさせたい。内に秘める松坂の思いは、こちらにも伝わってきました。

 ボールを投げさせると、めっぽう速い。しかし、ボールがどこに行くか分からない。そんな投手でした。まずは体を絞り、体と心の土台をつくらせようと考えました。同級生たちと一緒に色んな基礎をたたき込みました。

 私も監督になって30年近くなり、指導理念をつかみかけていた。技術を詰め込んでも選手は伸びない。人間的な成長があって、初めて技術を生かすことができる。野球部長兼コーチの小倉清一郎に技術指導の大半は任せ、私は自分の体験談などを話して、選手に心構えのようなものをたたき込みました。

「目標がその日その日を支配する」は横浜高校の創立者(黒土四郎氏)が好んで使った言葉で、社会教育家・後藤静香氏の「第一歩」という詩の一部です。

三笠山にのぼる第一歩

富士山にのぼる第一歩

同じ一歩でも覚悟がちがう

 三笠山ではピンとこないだろうから、「富士山とエベレスト、どっちに登るんだ」と毎日のように選手に話しました。

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集中力は半端なかった