「目標を高く持て」とも話し、「目標が高いほど練習はきつくなる」と厳しい練習を課した。基礎体力づくりと下半身を鍛えるメニューを徹底的にやらせました。
それからフォーム作りを徹底的にやった。ため込んだエネルギーを逃がさないよう、投手板(61センチ)の幅の中で投げるように意識させました。両脇にネットを置き、後方にも壁を作ってピッチングさせたこともあります。捕手に向かって一直線にパワーをぶつけて欲しかったからです。
次第に体重も絞れ、1年秋の新チームからエースにしました。
松坂はちゃめっ気のある男で、修行僧のように黙々と練習するタイプではありません。だから、仲間うちで「サボりのマツ」とからかわれていたりもしましたが、その半面、集中力は半端なかった。質の高い練習を集中してするんです。
本人が興味を持ち、納得させることが大事だと思い、好奇心をあおるように色んな練習を用意しました。都内のスポーツジムに、週3日通わせたのがその一つです。
米国人トレーナーに「疲れた状態で来させないでくれ」と言われたので、ジムの日は目いっぱい練習をさせないで行かせました。向こうでは1時間集中してトレーニングする。そのために、往復2時間以上かけて仲間と通ったんです。