このようにして5億トンを人間の直接の食料に取り戻すことができれば、20億人、現在の地球の人口80億人の4人に1人を飢餓あるいは隠れ飢餓から解放することができるだろう。
他方、飼料穀物が5億トン減ったことによる畜産物生産への影響は飼料要求率を3とすると、1億6700万トンが減ることとなり、全体として1億6700万トンが残ることになる。
その減少分は、何人分のカロリーを失うことになるだろうか? 1人1日当たりの必要カロリーを2400キロカロリー、年間にして87万6000キロカロリーは変わらないものとする。結果は約4億人となり、5億トンの穀物を直接の食料に回すことで生まれる20億人から4億人を差し引いた16億人が結局助かる勘定になろう。
畜産物のための飼料を減らした場合の効果は明らかである。
畜産物1キログラム当たりのカロリーの最大は豚肉平均3860キロカロリー、最低は牛乳の640キロカロリー、これに牛肉・鶏肉・鶏卵を合わせた平均を2000キロカロリーとすると、畜産物1キログラムを食べても、必要とする2400キロカロリーの83%程度しか満たすことができない。あと200グラム多く食べることが必要な勘定である(2000キロカロリー×1.2)。これに対して穀物1キログラムの平均は3500キロカロリーなので、1日当たり686グラム食べるだけで十分である(3500キロカロリー×0.686)。