ただし穀物生産量が増えるには、さまざまな条件が必要である。そのうちの一つが耕地面積の増加あるいは生産性の向上である。国によって生産性の向上にはバラツキがあり、全体としての生産量増加を期待するにはやや心もとない。

 EU・アメリカ・中国などの資料から世界には1億ヘクタール以上の耕作放棄地があるとみられる。これをまとまった耕地にするための区画整理・灌漑施設の整備をして生産現場に戻すことである。これには莫大なコストがかかるだろうが、FAO(国連食料農業機関)はまずはその実態を把握し、先進国は自国予算で、他の国は世界銀行や各国の海外援助(ODA)などを総動員してでも実行しなければならない。

飼料向け穀物を半分に

 畜産物は飼料として膨大な穀物を消費する。人口増加に比して増加しない穀物生産量が予測される未来においては、人と家畜の穀物の奪い合いのような本末転倒な事態になりかねない。

 そこでもし5億トンを人間の食料として取り戻すことができれば、1人1日当たり必要な2400キロカロリーを確保したうえで、世界人口のどれくらいを飢餓から解放することができるだろうか?

 畜産物を除いた場合、ヒトは計算上穀物を年間250キログラム食べれば1日当たりで2400キロカロリーを確保できる。小麦・コメ・トウモロコシなどの穀物は平均して1キログラム当たり3500キロカロリー程度であり、だから年間にして1人当たり約250キログラムの穀物を摂ればよいことになる。

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