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藤真利子「長生きしたらまったくもたない」 介護で感じたお金の不安
藤真利子「長生きしたらまったくもたない」 介護で感じたお金の不安
藤真利子(ふじ・まりこ)/1955年、東京都生まれ。聖心女子大学文学部歴史社会学科在学中の77年、ドラマ「文子とはつ」でデビュー。78年の「飢餓海峡」でゴールデンアロー賞最優秀新人賞などを受賞。出演作に映画「もどり川」「薄化粧」、舞台「アマデウス」「テンペスト」「テレーズ・ラカン」「リチャード三世」など。昨年、自身の母を11年間介護した経験をつづった『ママを殺した』を上梓。現在、NHK大河ドラマ「西郷どん」に大久保利通の母、大久保福役で出演中。(撮影/関口達朗、ヘア&メイク/Eita(Iris))  作家・林真理子さんとは長年のご友人の藤真利子さん。2016年11月、最愛のお母さまを亡くされましたが、実はそれまで11年もの間、介護生活を送っていたのです。その看病の様子は著書『ママを殺した』に描かれています。仕事との両立、お金の不安、在宅介護の難しさなど、赤裸々に語ってくれました。親を持つすべての人、必読です。 *  *  * 林:壮絶というか、よくここまで正直に書いたな、というのが私の感想です。もっとラクな方法、たとえばお母さんを施設にあずけて、女優さんとしてのお仕事をするという道もあったと思うんだけど、ここまで在宅でやるのかと思って、ショックを受けた人、多いと思いますよ。 藤:母と私って、ふつうの人とはちょっと違う生き方をしてきたと思うのね。二人三脚みたいに生きてきたから、母と離れていることがすごくつらかったの。だからあの本は介護の本じゃなくて、半分は私の半生、あと半分は介護なんですね。私は自分で本を書きたいと思ったわけではないんだけど、2016年の11月に母が亡くなって、たまたま葬儀の翌日にAbemaTVの「徹の部屋」という見城徹さん(幻冬舎社長)の番組に、林さんと私が出たのよね。 林:はい、一緒に出ました。 藤:そのときに母について私が話したら、それを見たTBSのプロデューサーから「爆報!THEフライデー」という番組に出てほしいと言われて。それで出たら、それがとっても視聴率がよかったみたいで、今の事務所の社長から「本を書きませんか」と言われたんです。母の半生は波瀾万丈で、頑張って生きてきたしるしを残したい気持ちはあったんだけど、まさか自分で書くとは夢にも思ってなくて、書けるとも思ってなくて、「えっ!」と思ったの。 林:ええ。 藤:林さんはいろんなところで私を応援してくださって、前の事務所をやめたときにも「相談したら?」って見城さんにも連絡してくださって。見城さんにもとてもよくしていただいているから、本ならまず見城さんに相談しようと思って、「爆報!THEフライデー」のDVDを送って見ていただいたの。そしたら「赤字はイヤだ」と言われて……。 林:まあ、ずいぶんキツいことを言いますね。 藤:「オビは林真理子とユーミンだ」と、まずオビから始まったんです。 林:貴乃花親方もオビに書いてましたね。 藤:貴乃花親方からたまたま電話かかってきたときに、そうだ、と思って「光司君、ママと一緒に撮った写真、使ってもいいかな。今、本を書いてるんだ」と言ったら、「真利子さん、ベストセラーですね」とか言って、「オビ書かせてください」って向こうから言ってくれたの。 林:いい人じゃないですか。昔からおすし食べに連れてってあげたりしたんでしょう? 藤:そうよ。そして見城さんはいやいや担当の編集者を決めてくれて、私が10時間ぐらい話して、ライターさんがそれをまとめるというやり方でいったんは決まったの。でも私、「ちょっと待ったァ!」みたいな感じで、母と私とのいろんなこと、たとえば林さんにも言ってないし、昔からの友達にも言ってないし、私の彼にも話したことがないようなことを、知らないライターさんにしゃべれるかなと思ったの。 林:それはそうですよね。 藤:それで「やっぱり自分で書いてみます」と言ったの。編集者にはちょっとテストをされて、「だったら最初の『はじめに』を書いてください。それによって、この本をどんな本にしたいか、スタンスが決まる」って言われて。 林:プロの言葉ですね。 藤:それで「はじめに」を書いたんだけど、すごく短い文章だったので、これだけじゃ“審査”に通らないなと思って、第1章のあたまの、私が舞台に行っている最中に母が脳梗塞で倒れた日のことを書いて送ったの。そしたら「このまま書き進めてください」と言われて、ドラマのお仕事の合間に必死に書いたんです。私、何十枚かの原稿は書いたことあるけど、あれだけ長いものは書いたことがないでしょ。200字詰めの原稿用紙に手書きで書いたんだけど、「500枚」と言われて、最終的に504枚であげたんです。 林:本を書いたことがない人が、手書きで500枚って大変だと思う。 藤:林さんと同じで腱鞘炎みたいになって、始めたころは最後までもつかな、と思いました。でも、とりつかれたみたいになっちゃって、こっくりさんみたいに手がどんどん動いちゃうのよ。 林:私、だからパソコン使わないの。パソコンだとこっくりさんが来ないけど、手書きだと来るんです。いいことおっしゃる。 藤:そして1年後の母の命日(昨年11月7日)に発行できたんです。見城さんには「赤裸々に書け」と言われてたから、そのためには小さいときのこともちゃんと調べなきゃいけなくて、父(作家の故・藤原審爾さん)のお弟子さんとか、母の親戚に聞きに行ったり、私が中学生のころから母が倒れる年までの手帳があったので、それを見たり、あとはパスポートとか、(雑誌の古い切り抜きを取り出して)林さんと初めて会ったときの記事とか、香港に行ったときの写真とか……。 林:あ、若い! 私たち、女学生のようじゃないですか(笑)。藤真利子さん、ほんとに美しい。 藤:母がファイルしてくれてたの。そして(大学ノートを何冊か取り出して)これが介護ノート。母が倒れて、病院からうちに連れて帰ったその日から亡くなる日までの介護ノート。これはその一部で、全部で65冊あるの。「食事」「飲水」「熱」「血圧」「脈」「尿」……。 林:(パラパラと見て)「便 150」って書いてあるけど、在宅で測ってるわけ? 藤:うん。医療処置で管で尿瓶に取るから、量が測れるの。 林:すごい。女優さんしながらよくやりますね。たとえば夜、お仕事の帰りにちょっと飲んだとき、「イヤだな、また帰ってママの面倒見るの」とか思わなかった? 藤:ぜんぜん思わなかった。というか、ヘルパー代が結構なものなんですよ。うちは11時から夜の7時までが基本なんだけど、私が仕事のときに早く来てもらったり、外で食事して帰りが遅くなったりすると、その分ヘルパー代がかかるじゃない。だから仕事のとき以外は、なるべく夜は外に出ないようにしていた。 林:観月ありささんの結婚式でバリ島に行ったら、火山が爆発して帰れなくなって大変だったんでしょう? 藤:そう、あれが顕著な例。母は脳梗塞の後遺症で右半身不随で、口がきけなくて、「あーあー」とか「うーうー」とか言うのを、私たちが読み取るわけよ。あのときは母の状態がよくて、手を振って「行け、行け」みたいなサインをしたのね。それと、ヘルパーさんたちも「行かせてあげよう」という空気になって、みんなが協力してくれたの。それでお言葉に甘えて行ったわけ。 林:何泊したの? 藤:3泊して、次の日の夜中の12時に乗って日本に帰る予定だったんだけど、帰りの飛行機に乗る寸前に「飛ばない」ってことになって、しかも、その前の爆発では1週間飛ばなかったという情報があったわけ。どうしようと思って、あちこちヘルパーさんに電話して土下座するというのも変だけど、土下座するようにお願いして、やっとのことで一日一日埋めていって、2日遅れぐらいで帰れたの。それはまあ大変なことだった。 林:一人っ子だし、ご親戚はいないんですか。 藤:いるんだけど、母の面倒をみるのは、慣れたヘルパーさんしか無理だったのよ。誰かいればいいってものじゃないのね。しゃべれないし、医療処置もあるから。 林:藤真利子さんは有名作家のお嬢さんで、聖心女子大を出て、すぐに売れっ子になり、何の不自由もなく暮らしてきたというイメージがあるので、こんな壮絶な介護をされていたと知って、びっくりしました。 藤:この話をすると、「そんな苦労をしてたようには見えなかった」って言われるんだけどね。あとは、お金の心配ですよ。介護の途中できちんと計算すると、この速度でこれだけのお金がなくなっていって、母が長生きしたらまったくもたないんですよ、うちの財政は。だからといって死んでほしいとは思わないし……。 林:うちの母のときもそう。母が94歳のときに、大手企業の部長をしていた弟が介護離職したの。母のこれからの人生は「プレミアム」だから自分が介護をすると言って。でも、まさか101歳まで生きると思わないから。弟にはかわいそうなことをしました。 藤:これは介護をしている人の宿命というか、お金と生きる年月とを照らし合わせるみたいな、それがすごくイヤなのよ。残酷。私の場合は、じゃあどうしようと思って、まずいちばんは自分が切り詰める。 林:でも、女優さんだから、流行のお洋服とかも必要だし。 藤:何の興味もなくなっちゃった。着物はたくさんあるけど、私、自分で半襟もつけられないのよ。倒れるまでは母が着せてくれてたんだけど、倒れてからは着付けの先生と、着物の髪ができる人に頼んだら、なかなかお金がかかるでしょ。そんな余裕もないの。自分のものから切り詰めていくしかない。でも、そんなに切り詰められるものじゃないの。毎月出ていくお金って確実にあるのよね。 林:お誘いだってあるわけでしょう? 「飲みに行こう」とか「食事に行こう」とか。 藤:お世話になった方にお誘いを受けるときは、まかせても大丈夫なヘルパーさんの日。林さんと会うときも、6時とかの早い時間に会って10時半か11時にうちに着くようにして、ヘルパーさんが終電に間に合うように、みたいな形でやってきたのよ。帰り際にタクシーを拾ってくれる人もいるんだけどね、お金がかかるからいちばん近い駅で降りて電車に乗って帰ってた。たとえば六本木で乗ると四谷で降りて電車に乗ったり。 林:そうなの? 知らなかった。 藤:最近は、女優をやっていても制作費がだいぶ少なくなって、たくさん出ても「えっ?」という収入だったりするしね。 林:華やかなスタジオから帰ってきて、その落差に愕然とすることはなかったですか。よく切り替えができるなと思う。 藤:朝、母の世話をしているときに、「きょう来る帝劇のお客さん、私が朝こんなことをしているなんて誰も思わないだろうな」と思ってた。私は世間的には内緒にしてたのね。そんな私的な事情でNGを出すなんて、プロっぽくなくてイヤだなと思ったので、スタッフには「一切伏せてください」ってお願いしてたの。もちろん仲のいい林さんとか見城さんとかユーミンとかには話をしてたけど。 林:施設に入れようとは一度も思わなかったんですか。 藤:入れようとしたの、最初は。だけど重度すぎて入れなかった。最後の最後に病院にお世話になったときに療養型病院を紹介されたんだけど、今度は、うちの母の程度はいちばん軽いの。脳梗塞の後遺症で動けないし、しゃべれないし、自分では何もできないのに、いちばん軽いって。 林:そうなの? 藤:私がいないあいだ、病院に2週間あずかってもらったとき、褥瘡(じょくそう・床ずれ)にされちゃったのよ。その褥瘡の処置だけのために療養型病院が受け入れてくれるって。そして「褥瘡が治ったら出ていってください」って。「出ていくって、どこに行ったらいいんですか」と聞いたら「紹介します」って言うの。そうやってたらい回しにされていくわけ。それが嫌で、家に連れて帰ったの。 (構成/本誌・直木詩帆) ※週刊朝日 2018年2月23日号
介護を考える
週刊朝日 2018/02/16 11:30
岡山が「長寿県」なのは大学病院とフルーツが関係!? 世界レベルの医学部の強みとは
岡山が「長寿県」なのは大学病院とフルーツが関係!? 世界レベルの医学部の強みとは
都道府県別の平均寿命 厚生労働省「平成27年都道府県別生命表」から  5年に1度、国勢調査などを基につくられる厚生労働省「都道府県別生命表」。これによると、2015 年都道府県別の平均寿命(17年12月発表)は、女性2位が岡山県(87.67歳)、3位が島根県(87.64歳)だった。AERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、この生命表から中国地方に注目。岡山、広島、島根の医学部に訪れ、最前線医療の取り組みを取材した。ここでは岡山大学を紹介する。 *  *  *  都道府県別の平均寿命の「女性」の順位に注目してほしい。岡山県が2位、島根県が3位、広島県が10位、鳥取県が14位と、上位15都道府県のうち、中国地方から4県もランクインしている。しかも岡山県は、1位の長野県とほぼ同率。3位の島根県も0.03歳差の僅差だ。この4県は女性の全国平均を上回っている。  一方の男性は、9位の広島県、13位の岡山県、23位の島根県が男性の全国平均を上回っている。また、30位の山口県も、5年前と比較して1.48歳も延びている(延び率全国2位)。  トップとワーストの1位ばかりが注目されがちな平均寿命。だが、実は、この中国地方が長寿地域であることもわかる。加えて、中国地方5県の人口10万人あたりの医師数をみると、5県とも全国平均の240.1人を上回っている。  特に岡山県は300.3人と多く、全国5位だ。 「中国地方の医師数が多いのは、地元での育成数が多いからです。5県すべてに国立大学、岡山県にはさらに私立の川崎医科大学もあり、中国地方は人口125万人に一つの医学部がある計算になります。卒業生の地元定着を促進するための地域枠も充実しています」  医療ガバナンス研究所理事長で、『日本の医療格差は9倍』などの著書がある上昌広医師は、そう指摘する。  事実、中国地方の県を対象とした「地域枠入試」をみると、岡山大学には岡山県枠、広島県枠、広島大学にはふるさと枠広島県コース、ふるさと枠岡山県コース、鳥取大学には鳥取県枠、島根県枠、山口県枠、山口大学には山口県枠、鳥取県枠、川崎医科大学には中国・四国地域枠、岡山県枠があり、中国地方の医学部は近県と連携して医師の定着を図っている、といえる。  では、「長寿地方」の医学部がどのような対応を取っているのか。岡山大を訪れてみた。 ■五輪選手の活躍が健康意識を高める  岡山県はなぜ長寿なのか? という記者の問いに、岡山大学医学部の大塚愛二医学部長は、こう即答した。 「岡山大学病院があるからです」  岡山大学医学部医学科は、1870(明治3)年に岡山藩が設立した医学館が始まりだ。その後、岡山県医学校、第三高等中学校医学部、岡山医学専門学校、岡山医科大学を経て、1949(昭和24)年に岡山大学医学部になった。「創立147年の歴史があり、約1万2千人の卒業生が医師になりました。1888年に、全国を五区に分けた高等中学校医学部の第三区(近畿・中四国)は、岡山に設置されました。このため、現在も近畿地方西部、中四国地方に多くの関連病院が.あることが特長です。関連病院の人事交流が活発なので、切磋琢磨して、医師として鍛えられ.ます」(大塚医学部長)  岡山大学病院は、1998年に国内初の生体肺移植に成功したことで知られるが、死体肺移植も含めると141例で全国1位だ。肺移植の5年生存率は80%で、世界1位の術後成績を誇る。肝移植も単年度では全国2位で、国内初の脳死者からの肝腎同時移植も実施している。すべての臓器を移植できるのは、国内では、ここ岡山大学と東北大学だけだ。  16年の手術件数は1万8411件。心臓血管外科の手術数は年間700〜800件で、先天性心疾患の手術数は全国3位。小児の心臓手術数は世界一だ。これらの臨床実績が、前述の自信あふれる言葉につながっているのだ。 「本学は中四国地方の最後の砦です。多くの関連病院の優秀な医師が治療しますが、難しいケースは岡山大学病院で治療します。このことが長寿につながっているのだと思います」  大型国家プロジェクトである「臨床研究中核病院整備事業」「研究大学強化促進事業」「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」「スーパーグローバル大学創成支援事業」の四つ全部に採択されているのは、旧帝大と岡山大学、慶應義塾大学だけだ。12年には、文部科学省の「グローバルな医学教育認証に対応した診療参加型臨床実習の充実」事業で同大のプログラムが採択された。16年6月にはJACME(日本医学教育評価機構)の評価も受けた。  カリキュラムにも特長がある。1年次の早期体験実習では、岡山大学病院で外科医体験実習、救命救急体験、妊娠体験と分娩体験など10のプログラムを用意。1年次の夏休みには、地域枠入試で入学した学生と希望者が、1〜2週間の地域医療現場体験実習を行う。3年の5〜7月は「医学研究インターンシップ」。約7割が学内、約2割が海外、約1割が国内の他大学で研究する。 ■瀬戸内海でとれる豊富な魚介類で長寿に!?  岡山県が長寿なのは、医療環境が整っていることに加え、生活習慣なども関係しているのだろう。大塚医学部長は、長寿の理由をスポーツと結び付けて、こう考察する。 「私は21時から22時ごろに帰宅することが多いのですが、その時間に散歩している人たちに出会いますね。手を大きく振り、シャキシャキ歩いていて、『元気ええなぁ』って思います。アムステルダムオリンピックの800メートル走で銀メダルを獲得し、日本人女性初のメダリストとなった人見絹枝さん、バルセロナとアトランタオリンピックのマラソンでメダリストとなった有森裕子さんはともに岡山市出身です。彼女たちの活躍の影響もあってか、女子陸上、女子柔道、女子バレーなどが岡山県は強いですね」  このほか、薄味で塩分の摂取量が少ない、瀬戸内海でとれる豊富な魚介類を食べている、フルーツ王国で桃やぶどうなどを食べている、などといった食習慣も「長寿につながっていると考えられる」という。 (文/庄村敦子) ※『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から抜粋
大学入試朝日新聞出版の本
dot. 2018/02/14 07:00
「生理がなくて一人前」!? 女性アスリートへの誤解、産婦人科スポーツ医が警鐘
「生理がなくて一人前」!? 女性アスリートへの誤解、産婦人科スポーツ医が警鐘
女子選手の種目別の無月経の割合 日本産科婦人科学会と国立スポーツ科学センターの共同調査から  平昌五輪が開幕したが、女性アスリートの日常のケアやサポートに不可欠なのが、産婦人科医のスポーツドクターだ。医学部志望生向けのAERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、国内でも態勢づくりが広がりつつある「女性アスリート外来」を取材。スポーツドクターに話を聞いた。 *  *  *  女子選手を支える産婦人科医の重要性が高まっている。  というのも、生理がこないのを無視したまま、トレーニングや競技生活を続けることによって、深刻な故障や体調不良を引き起こすケースが相次いでいるからだ。特に注目されているのが、「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」。いわゆる「女性アスリートの三主徴」と称される健康上の問題だ。  スポーツをするうえで、女性は長らく、「男性の小型版」であるという捉え方をされてきた。しかし男性と女性の体の仕組みは異なる。女性には女性の生理機能にかなったケアやメンテナンスが必要だ。その必要性がようやく認識され始め、スポーツドクターにおける産婦人科医の割合が年々増加してきている。  そこで、近年開院した女性アスリート外来での兼務も行っている、順天堂大学順天堂医院の北出真理医師に、産婦人科の専門医から見る女性アスリート外来の重要性について話を聞いた。 「日々、女性アスリートの不調を聞くにつれ、予防の観点からも、絶対に産婦人科医が関わらなければいけないと思っていました。というのも、女性アスリートの障害には月経周期が関与するケースが多いからです」  そう話す北出医師の元には、2014年の開院以来、10代後半を中心に200人前後の女性アスリートたちが来院してきた。月経困難症やPMS(月経前症候群)といったさまざまな主訴のなかでも症例数が多いのが、無月経(3カ月以上生理がこない状態)だという。 「女性アスリートに最も多いのが、視床下部性無月経です。原因の多くは低栄養。体重増加を恐れるあまり、消費エネルギーに比べて摂取エネルギーが不足したり、筋肉をつけようとしてたんぱく質は取るけれども糖質や脂肪、炭水化物は減らすなどの偏った栄養の取り方をしたりすることで引き起こされます。無月経が続けば骨量が減って骨粗鬆症になり、疲労骨折のリスクが高まります。また、女性ホルモンが少ない状態が続けば、将来不妊症にもなりかねません」  治療としては、まず低栄養の状態を改善することから始めるが、年齢や重症度によっては、同時にホルモン補充療法を行うこともある。患者のなかには生理が1、2年止まったまま放置している人も少なくないという。 「多くのアスリートにとって、無月経は楽でありこそすれ、デメリットだという認識がないからなんですね。コーチにも、『生理が止まってこそ一人前』などといった考えを持つ人がまだまだ大勢いるのです。15歳になっても初経がない場合を思春期遅発症といいますが、この時点で骨量が減少し始めていることを疑ったほうがいい。とにかく早く受診してほしいです」 ■各診療科が連携して多角的にサポートする  減量がプレッシャーとなって引き起こす障害には、メンタルなものもあるそうだ。 「アスリートに意外に多いのが摂食障害です。少しでも記録を更新するために女性アスリートたちは体重を減らさなくてはいけないと、自分を追い込んでしまう場合も少なくありません。そのストレスが拒食やむちゃ食いなど、食行動の異常として表れるんですね。適切なカウンセリングを受けることが大事です」  順天堂医院の女性アスリート外来では、現在は月に1度、整形外科医、内科医、心療内科医、そして公認スポーツ栄養士が関わって症例を検討し、患者の治療方針を決めている。 「婦人科、整形外科、スポーツ栄養士を中心に、いろいろなスタッフが多角的にアスリートを支援しています。このパッケージを全国のさまざまな施設に紹介して、女性アスリート外来の普及に努めていきたいですね」  さらに、順天堂大学が運営する女性スポーツ研究センターでは、月経周期のどの時期にどのようなトレーニングをすれば効率的に筋力の向上が期待できるのか、あるいは指導者が身につけるべきコーチング法についてなど、科学的な側面から女性アスリートを支える研究が行われている。女性アスリート外来はその活動の一環であり、科学的側面と医学的側面がフィードバックし合って、より効果的なサポート態勢を提供できている。  北出医師は現在、この女性アスリート外来と、本来の産婦人科業務を兼務しているが、産婦人科では生殖内分泌と腹腔鏡手術が専門で、執刀医として週に4日は手術も行っている。 「女性ホルモンの関与するところは尽きませんし、その意味でも産婦人科はやるべきことがバラエティーに富んでいて、私自身25年務めていても飽きることはありません。お産や不妊、低侵襲手術やがん治療もあり、研鑽を積めばスポーツドクターとして仕事の幅を広げることも可能です。産婦人科は、幼少期から当年期まで、女性の一生を診られるドラマチックな診療科だといえます。男女を問わず、ぜひこの楽しい専門領域を目指してほしいですね」 (文/志賀佳織) ※『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から抜粋
健康女子平昌五輪朝日新聞出版の本
dot. 2018/02/13 07:00
老後の心配より「今」! FP「若いときに投資に精を出しても…」
首藤由之 首藤由之
老後の心配より「今」! FP「若いときに投資に精を出しても…」
マイホームはいつの時代でもあこがれの的だ(大阪府吹田市の住宅展示場) 企業規模別、日本企業の生涯賃金(2015年)(週刊朝日 2018年2月16日号より) 「女子大生向けのセミナーで、『老後の話をしてほしい』とリクエストされたときには、さすがに驚きました」とフィナンシャルプランナー(FP)が言うほど、昔と比べ今の若年層は資産に対し意識が高い。いったい若い世代はどういう世界に生きているのか、現状を知り問題点を把握したい。一方で変わらない原則はあるはずだ。現代マネーの「不易流行」を知ることで貯める王道を探っていこう。  独立行政法人労働政策研究・研修機構は毎年、「ユースフル労働統計」でサラリーマンの「生涯賃金」を割り出している。過去に受け取った賃金の総額を調べる統計はないため推計値だが、一定の目安にはなる。  最新2017年版の企業規模別・学歴別にみた男女別の生涯賃金をみると、1千人以上の企業に勤める大卒男性の「3億1990万円」が一番高い。大卒男性では、100~999人の企業が「2億5760万円」、10~99人の企業が「2億2100万円」と、企業規模が小さくなるにつれて生涯賃金は低くなる。  どの学歴でもこの傾向は変わらず、また、男性に比べると女性のほうが生涯賃金は低い。ただし、この金額は「額面」だ。税金と社会保険料を除いた「手取り」は、家計調査などを見ると、この金額のおよそ8掛けが目安になる。例えば1千人以上の企業に勤める大卒男性の生涯手取り額は、3億1990万円×0.8で「約2億5600万円」だ。  労働者の待遇に詳しい日本総研理事の山田久さんによると、日本の賃金は1990年代半ばまでは右肩上がりが続いたが、その後、下落に転じて長期低迷し、2010年代に入って、ようやく底を打ったという。 「ピークは金融危機が起きた97年でした。不況が深まるにつれて給料の底上げであるベースアップがなくなり、かつ中高年の水準が下落し、ダブルの影響で賃金は下がっていきました。アベノミクスで下げ止まり、今は若干上昇しています」  確かにユースフル労働統計でも、生涯賃金は90年代のピークから1割強?2割落ちている。問題は今後の見通しだが、山田さんは今後、中年層(40~50代前半)の賃金が削られる可能性が高いとみている。 「今の中高年は50代半ばの役職定年、60歳の定年と2回、ガクッと給料が下がります。彼らはその後も働き続けますが、60歳超でも会社に貢献する人には給料で報いないと、職場に活力がなくなってしまいます。では、その原資をどうするか。人材獲得のため若年層分を削るわけにはいかず、結局、中間の中年層分が削られることになると思います。中年層でも優秀な人の給料は上がりますから、同世代で格差がより広がります」  削られた賃金は中年層がシニアになったときに返ってくるため、生涯賃金は変わらないというが、今の中年層よりお金が少なくなることには違いない。  足元では、財政難などに伴う国の負担増政策がサラリーマン世帯を直撃している。大和総研金融調査部の是枝俊悟研究員の試算では、年収500万円の片働き4人世帯が実際に使える収入(実質可処分所得)は、2011年から17年にかけて約25万円減った。内訳は、子ども手当の見直し12万円、社会保険料の引き上げ5.3万円、そして消費税率引き上げ8.8万円だ。19年秋に消費税率が10%に上がれば、20年は17年よりさらに約5万円減る。 「今後も年収850万円以上の給与所得控除の上限引き下げが行われるなど、平均以上の所得がある人を中心に、国は負担を求めていくことになりそうです」(是枝さん)  これからの人たちは、収入面では明るい話がなさそうだが、マネーの専門家たちはそんな時代だからこそ自己研鑽に励んで「稼ぐ力」をつけることが収入アップの近道と口をそろえる。  ファイナンシャルプランナー(FP)の藤川太さんが、 「20歳代で基本を身につけ、30歳代で意識して励めば、かなりのことができる。特にほかの人との『違い』を出せれば、確実に稼ぐ力はアップできる」  と言えば、野村証券に定年まで勤め経済コラムニストに転じた大江英樹さんも、 「出世して昇格・昇任するのを、まずは目指すべきです。お金がない若いときに投資に手を出し、あくせくして利回りを稼いでも、元手が少ないからリターンも知れています。それよりは仕事を一生懸命やってスキルを磨き、人的資本の力をつけたほうがよほどいい」  と、仕事第一を勧める。違いを出すための藤川さんのアドバイスは、若い人のみならずとも参考になる。 「我々の若いころは、協調性を持って人と同じことをやっていればよかったのですが、今はそれでは生き残れません。人と違うことができて初めて、選んでもらえるようになる。当然、選んでもらうには、自分のできることが役に立ち、価値を提供できるものでなければなりません。人と違う能力を身につけることを意識してやることです」  そのためのポイントは「かけ算」。「FP」と「税理士」で考えてみよう。両方とも資格を持っている人は数十万人いて、一つだけでは特徴が出ない。しかし、二つを掛け合わせるとどうか。一気に該当者の数が少なくなり、新しいマーケットが目の前に広がる。 「無から有を生むことなど天才にしかできませんが、かけ算なら多くの人が挑戦できます。それで自分なりのニッチを見つけることができれば、気がつけばその道の第一人者になれる可能性すらあります」(藤川さん)  収入の増えない時代でも、人との差別化に成功すれば道は開けるというのだ。  話を戻すと、大江さんはロングセラー『となりの億万長者』を初めて読んだときのことが忘れられない。 「全米で純資産を100万ドル以上持つ人たちの暮らしぶりからお金が貯まった理由を調べた本なのですが、結論は何と『収入以上に使わない』、ただそれだけでした。当たり前のことですが、普通の人は頭ではわかっていても、当たり前のことができないんだということを、しみじみ思いました」  確かに、収入が少なくてもお金がある人は大勢いる。どう支出するかが大切だ。(本誌・首藤由之) ※週刊朝日  2018年2月16日号
週刊朝日 2018/02/12 07:00
今季不調…高梨沙羅は平昌五輪で金メダルをとれるか?
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今季不調…高梨沙羅は平昌五輪で金メダルをとれるか?
勝負弱い高梨沙羅は金メダルを取れない?(写真・Getty images)  ぶっちぎりの金メダル本命が一転、五輪シーズンに入って厳しい戦いを強いられているのが女子ジャンプの高梨沙羅だ。今季はワールドカップ(W杯)個人戦10試合を終えて優勝が一度もなく、2位が1度、3位が5度、4位が4度。6連勝を含む7勝を挙げ、W杯ランク首位につけるマーレン・ルンビ(ノルウェー)と、2勝でW杯ランク2位のカタリナ・アルトハウス(ドイツ)の2強に大きく差をつけられている。  昨季最終戦を含めればW杯11戦連続で優勝から遠ざかっているが、昨季までW杯出場90試合で53勝と、6割近い驚異的な勝率を誇ってきたことを考えれば、異常事態と言ってもいいだろう。男女を通じてW杯の歴代単独最多となる通算54勝も、あと1勝と迫ってから足踏みが続く。  高梨はW杯開幕前にフィンランドで合宿を行ったものの、天候に恵まれず十分な練習を積むことができなかった。そのため、助走から踏み切り、着地までの一連の動きが完成しないままシーズンに入り、それも不振の一因に挙げられている。  ただ、理由はそれだけではないかもしれない。ノルウェーとドイツは、男子ジャンプとノルディック複合でも複数の金メダルが期待される強豪国。五輪2回目を迎え、強化に本腰を入れてきた女子ジャンプでも結果が出始めたということもありそうだ。  4年前の高梨はW杯13戦で10勝と勝ちまくり(残り3戦は2位が2度、3位が1度)、金メダル確実と言われたが、メダルに届かない4位に沈んだ。まさかの結果に、大舞台に弱いというイメージがついてしまったが、高梨本人も「ピークを合わせたい時に力を発揮できないのが、自分の中で1番弱いところ」と認める。  2年に1度開催されるノルディックスキー世界選手権も、4大会に出場して最高成績は銀メダル。金メダルだけを目指し、技術だけでなくメンタルも鍛えてきた4年間の集大成を大舞台で発揮できるか。  1月19日に蔵王で行われたW杯個人第7戦で、高梨は4試合ぶりに表彰台を逃し4位に終わった。この時、優勝したルンビに2本のジャンプ合計で44.9点、飛距離にして15メートル以上の大差をつけられていたが、五輪前最後のW杯となった1月28日の個人第10戦(スロベニア)では、順位こそ4位だったものの優勝したダニエラ・イラシュコとの差はわずか5.8点だった。少しずつ差が縮まってきているのは好材料だ。  高梨とともに2枚看板に成長した伊藤有希もメダルの有力候補。23歳の伊藤は早くから頭角を現していた元祖“天才少女”。2つ年下の高梨が現れたことで目立たなくなってしまったが、昨季、地元札幌で開催されたW杯で初勝利を飾ると、一気にシーズン5勝を挙げた。特にシーズン最終戦となるオスロ大会では、高梨が圧倒的な強さを見せつけてきたラージヒルで優勝し、W杯総合も自己最高の2位に食い込んだ。  昨年の世界選手権でも高梨を抑えて2位に入り、2大会連続で銀メダルを獲得した。 「大きい大会なるとすごく気持ちも盛り上がる。まわりもすごく気合が入っているのがわかるので、自分もそれにつられて、気合を入れさせてもらっています」と言ってのける心臓の強さは頼もしい限り。所属先では45歳にして世界トップレベルで渡り合っている葛西の教えを受けており、その意味は大きいはず。  金メダルの最右翼はやはりルンビで、追う1番手がアルトハウス、次いで高梨、伊藤という構図だが、日本勢のライバルは2強だけではない。  五輪前最後のW杯でけがから復帰すると同時に優勝を飾ったダニエラ・イラシュコは、34歳の大ベテラン。2011-12シーズンにW杯がスタートするまでは女子選手の最高峰の大会だったコンチネンタルカップで通算49勝を挙げており、女子ジャンプ界の第一人者であり功労者だ。  また、4年前に五輪初代女王に輝いたカリナ・フォクト(ドイツ)は、W杯2勝ながら世界選手権も2連覇中と大舞台になると異次元の強さを発揮するだけに要注意の選手。  男子ジャンプに比べるとメダル候補は絞られるが、採用から2回目を迎える今大会は間違いなくレベルもアップしている。そこに高梨と伊藤が食い込み、Wメダルとなるか。
dot. 2018/02/11 16:00
羽生結弦も在籍中 早稲田はなぜ、平昌五輪代表選手の出身大ランキングで圧倒的1位なのか
羽生結弦も在籍中 早稲田はなぜ、平昌五輪代表選手の出身大ランキングで圧倒的1位なのか
2大会連続の金メダルが期待される羽生結弦は早稲田大に在籍中 (c)朝日新聞社  平昌冬季五輪(第23回オリンピック冬季競技大会)が9日に開幕した。日本代表選手は124人が出場予定だ。このうち、大学出身者(在学生含む)が71人いる。どの大学出身者が多いのか。出場選手の出身大学ランキングを調べてみた。 * * *  ランキングをみると、早稲田大が11人と他を圧倒する。メダル候補も少なくない。  フィギュアスケート男子の羽生結弦は、前回ソチ五輪の金メダリスト。人間科学部通信教育課程に在籍する。スキー・ノルディック複合の渡部暁斗、善斗の兄弟はスポーツ科学部出身。暁斗はソチの個人ノーマルヒルの銀メダリストだ。  スノーボードの鬼塚雅は世界選手権での優勝経験がある。これが高く評価され、2017年度の早稲田大トップアスリート入試に合格した。  早稲田大スポーツ科学部ではこのようなスポーツ推薦などによる入試制度が充実しており、各競技で中学高校時代から世界で活躍する選手が多く入学している。これが功を奏して、早稲田大が1位となったといえよう。  2位の日本体育大(6人)にも金メダルに近い選手がいる。 スキー・ジャンプ女子の高梨沙羅は少し調子を落としているが、ワールドカップ通算53勝の実力から、好成績が期待できる。前回のソチではメダルに届かなかったので、平昌で雪辱を果たしたいところ。2014年に17歳で飛び級入学した。  スピードスケート女子の高木美帆はソチに出場できなかったが、その後に世界距離別選手権の団体追い抜きで優勝するなど見事に復活を遂げた。  4位の中京大(4人)で期待できるのが、スキー・フリースタイル男子モーグルの堀島行真。昨年の世界選手権で2冠を果たしている。フィギュアスケート男子では宇野昌磨、ペアで出場の木原龍一がいる。宇野は昨年の世界選手権2位となった。  中京大では大学をあげて応援するため、近隣の会場を借りてパブリックビューイングを開く。  同じく4位東海大の4人は、いずれも札幌キャンパスの出身者である。前身は北海道東海大で、2008年、東海大に統合された。OBのオリンピック出場選手にはスノーボードの國母和宏がいる。バンクーバー五輪前の腰パン騒動と、その後の記者会見での「うっせえな」「反省してまーす」発言で話題になり、そのせいで、学内で行われる予定だったパブリックビューイングが中止となってしまった、というエピソードを残した。  7位仙台大の3人は、いずれもスケルトンの選手だ。同大学は長年この競技に力を入れており、オリンピックに複数の選手を送り出した。法政大の3人はアイスホッケー女子だ。大学がどれだけ力を入れている競技かが読みとれる。  関西大の1人は、フィギュアスケート女子の宮原知子。関西大中等部、高等部出身。現在は文学部の学生だ。高校生のころ、世界選手権2位となっており、メダル獲得に期待がかかる。かつて関西大は、フィギアスケート男子で高橋大輔、織田信成などのスターを生んだが、平昌ではライバル中京大に差をつけられたようだ。  一方、国立大学出身選手もがんばっている。  スピードスケート女子の小平奈緒は信州大教育学部で学んだ。昨年のワールドカップで、1000mの世界新記録をマークした。国立大学出身の金メダリストが十分に期待できる。スピードスケート男子の一戸誠太郎は信州大教育学部の4年生だ。  日本最北端の国立大学、北見工業大からは、カーリングで平田洸介、鈴木夕湖が選ばれた。同大の高橋信夫・学長がこうエールを送る。 「支えてくれた家族や友人をはじめ応援してくれる人たちへの最大の感謝の表現として、オリンピックの大舞台で全ての力を出し尽くせるよう、更なる高みを目指して頑張ってください」(北見工業大のウェブサイト)  北海道教育大からはアイスホッケー女子の竹内愛奈、金沢大からはカーリング男子の両角友佑が出場する。  平昌オリンピック代表選手の出身校を見ると、ウィンタースポーツが盛んな地域の大学(北海道、東北、甲信越など)というよりも、特定の競技種目でアスリート養成に力を入れている大学が目立っている。  こういうところからも大学の教育方針や経営戦略が読みとれて、なかなかおもしろい。(教育ジャーナリスト・小林哲夫) 「第23回オリンピック冬季競技大会(2018/平昌) 日本代表選手団ハンドブック・名簿」(日本オリンピック委員会)から最終学歴をもとに集計 「第23回オリンピック冬季競技大会(2018/平昌) 日本代表選手団ハンドブック・名簿」(日本オリンピック委員会)から最終学歴をもとに集計
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dot. 2018/02/10 07:00
不遇の時代を乗り越えて… スマイルジャパンは「第二のなでしこ」になれるか?
不遇の時代を乗り越えて… スマイルジャパンは「第二のなでしこ」になれるか?
スマイルジャパンの守護神・藤本那菜(写真・Getty images)  アイスホッケー女子日本代表が初めて出場した五輪は、1998年長野大会。開催国枠での出場だった。その後、自力での出場は三大会連続でわずかの差に泣く結果で叶わず、2014年ソチ五輪でようやく二度目の出場を果たす。そして三度目の出場となる平昌五輪に、日本はメダル獲得を目標に掲げて臨む。  チームの主力、久保英恵は15歳の時に長野五輪代表の最終選考まで残ったもののメンバーには入れず、観客として会場で観戦している。代表チームが「スマイルジャパン」の愛称で呼ばれるようになったソチ五輪ではエースとして戦い、そして35歳の今、自身二度目の五輪となる平昌大会に臨もうとしている。ソチ五輪出場決定後、太陽生命に入社することができた久保だが、それ以前は拠点とするリンクでアルバイトとして働いていた。女子アイスホッケー不遇の時代を知る久保は、勤務先にアイスホッケー教室の主催を提案し、普及のため各地に赴いている。 「アイスホッケーというものをもっともっと知ってもらえれば」と久保は言う。「いまだに『アイスホッケー』と言っても、ぴんとこない人もいるので」。顔を見てアイスホッケーの選手だとすぐに分かってもらえるくらいの認知度を久保は求めている。「イメージ的にはなでしこジャパンのみなさんくらいに知られたいか」と問われた久保は「そうですね。はい」と頷いた。  一度引退した久保を再び競技に向かわせた要因の一つには、2011年サッカー女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンのエース、澤穂希さんの勇姿があったという。「あとはやっぱり、結果を残すだけですね」と口にした久保は、五輪で勝つことが最大の普及活動であることを知り抜いている。  平昌五輪での日本の表彰台への道は、予選ラウンド(世界ランキング上位4カ国で構成するグループAと下位4カ国で構成するグループBに分かれて行う。日本はグループBに所属)をグループ2位以内で通過して決勝トーナメントの準々決勝に進出することから始まる。準々決勝では、グループAで3位か4位になったチームと対戦する。そこで勝ち上がり準決勝に残ることが、メダル獲得の最低条件だ(準決勝で勝ち決勝に進出すれば金メダルか銀メダル。準決勝敗退なら3位決定戦で勝てば銅メダル)。  グループB内でも、開催国枠で出場するコリア(韓国と北朝鮮の合同チーム。世界ランクは韓国22位、北朝鮮25位)以外はすべて日本(9位)より世界ランク上位国(スウェーデン5位、スイス6位)であることを考えると、メダル獲得は決してたやすいことではない。しかし、チーム全体でフィジカルの強化に取り組んできた日本チームには自信があふれている。  平昌五輪前最後の実戦となった壮行試合(東京、1/24-30)を4連勝で終えた後のミックスゾーンで、主将の大澤ちほは確信に満ちた口調で語った。 「本当にソチの時のチームとは、環境も状況も全然違うと思います。ソチの時は“オリンピックに出るチーム”でしたけど、平昌に行く今はもう“メダル争いができるチーム”になっていると思うので、その自覚を持って戦ってこられたらと思います」  スコアリングチャンスが多くないことが予想される五輪の戦い。山中武司監督の代表選手選考基準は“守りで計算ができる選手”だという。中でも、最後の砦であるゴールキーパー(GK)の堅守は必須だ。日本には、2015年の世界選手権でベストGKを受賞している守護神・藤本那菜がいる。2015-16シーズン、現在“二強”とされる米国・カナダ代表選手が多数所属する世界初の女子アイスホッケープロリーグ「NWHL」でプレーし、守りに磨きをかけてきた。藤本の口調にも自信がにじむ。 「実際にシュートを米国代表・カナダ代表の選手から受けてみて、まったく止められないということはないんだな、と。スピードもリバウンドのフォロースピードもついていけましたし、ポジションさえしっかりと正確に取っていれば、8割、9割は防げるんだなと実感した」  たくましく攻め、世界トップレベルのGKを中心に堅く守れば、表彰台への道が開けてくるかもしれない。そしてその先には、日本のアイスホッケーの明るい未来がある。(文・沢田聡子) ●プロフィール 沢田聡子 1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」
dot. 2018/02/09 16:00
17歳のフィギュア界ニューヒロイン、ひょっとしたらひょっとするかも
17歳のフィギュア界ニューヒロイン、ひょっとしたらひょっとするかも
坂本花織(c)朝日新聞社  1月の四大陸選手権で自己ベストを更新し、初優勝。平昌五輪の代表で、いま最も勢いがあるのが坂本花織だ。  すべてのジャンプが決まり、演技を終えた瞬間に叫んだ。 「よっしゃー」  両手で力強くガッツポーズを決める。17歳のニューヒロイン、坂本花織は、フィギュアスケート界では珍しい「やんちゃ」な女の子だ。初の五輪を前に、勢いのある演技と笑顔で、注目の選手となった。  彼女の強みは、なんといってもジャンプ。猛スピードで突っ込んで、そのまま飛距離のあるジャンプを跳ぶ。ジュニアの女子がコンパクトにまとめるジャンプで成功率を高めるなか、坂本だけは飛距離にこだわった。 「気持ちいいんです。幅を跳べた時は『イェーイ』っていう気分になる。ジャンプで加点をもらうのが、私の稼ぎどころ。誰にも譲れない部分です。シニアに上がっても、そこで点数を取れたのがよかった」  シニアデビュー1年目。演技構成点の評価はまだ伸びないが、ジャンプの質の良さで加点を積み増していく。結果、四大陸選手権では214.21点の自己ベストをマークし日本女子のエース宮原知子(19)を逆転。シニアの主要国際大会初優勝を飾った。  坂本の躍進は、昨季にシンデレラガールと注目された三原舞依(18)の存在なくしてはあり得ない。坂本は4歳でスケートを始め、その1年後、リンクに遊びに来た一つ年上の三原が後を追った。  坂本は言う。 「めっちゃ負けん気の強い子が来て、すごい練習して、あっというまに『うまい! やばい』って感じでした」  ジャンプが好きな坂本と演技や滑りが美しい三原。性格も演技のタイプも違うが同じように才能のある二人を、中野園子コーチは何かと競わせることで伸ばしてきた。 「ダブルアクセルを練習するようになった時に、先生が『どっちが先に跳べるか』と言ってくれて、それからは何でも競い合い、励まし合い、刺激し合いながらここまで来ました」(坂本)  神戸のリンクで競い合っていたはずが、2017年、三原が四大陸選手権で優勝。坂本はこれに奮起した。 「私はいつも舞依ちゃんの背中を見ながら追いかけてきました。舞依ちゃんの行った道を行けばうまいこといくかな、と思ってまねしてるんです。去年の舞依ちゃんがすごくがんばって、練習でもノーミスして、試合でもノーミスしていたので、私もそうやって自信つけていこうと思ってやってきました」  シニアに上がった今季、五輪の代表選考では有力候補ではなかった。シーズン開幕直後の試合では、総合で160点台や170点台。世界は遠かった。 「シニアは控室でもピリピリしてて、みんなで楽しく滑ろうって感じじゃなくて。最初のうちは、私にはなじめませんでした」  と坂本は言う。しかし、シーズン前半だけで8大会に出場。 「試合に出るたびにシニアに慣れていって、自信もついていきました。世界の選手と戦えるレベルじゃないので、一つ前の試合で自分が出した結果に勝とう、というのを繰り返しました」  その言葉通り試合を重ねるごとにジワジワ得点を伸ばし、11月のスケートアメリカでは210.59点で銀メダル。このとき、 「もしかして五輪、行けるんちゃう?と思った」  という。全日本選手権でも会心の演技をみせ、平昌五輪代表を勝ち取った。 「今季の勢いやノーミスの演技が、私が五輪代表に選んでもらった理由。だから舞依ちゃんたちが行きたかった気持ちの分もしっかりやらないと」  と気持ちを引き締める。だが、やはり坂本。五輪の目標は?という問いにはニッコリ笑って、 「スピードスケートの小平奈緒選手とツーショット撮りたい!」  天真爛漫なパワーで、ひょっとしたらひょっとするかも。 (ライター・野口美恵) ※AERA 2018年2月12日号
平昌五輪
AERA 2018/02/08 11:30
<平昌五輪スキー競技の見どころ>群雄割拠のモーグル日本男子勢に大きな期待!
<平昌五輪スキー競技の見どころ>群雄割拠のモーグル日本男子勢に大きな期待!
1998年長野五輪で金メダル、ソルトレイク五輪で銅メダルを獲得した里谷多英さん。そして、前回ソチ五輪まで5大会連続出場&連続入賞を果たした上村愛子さん。この2名がけん引してきたといっても過言ではない日本のモーグル界。平昌五輪では、昨年の世界選手権王者 堀島行真選手をはじめ、メダル獲得が期待される有望選手が多数出場。群雄割拠の男子勢が、日本モーグル界の歴史に新たな1ページを刻むことは間違いありません!平昌五輪モーグル競技の予選は2月9日。11日(女子)と12日(男子)が決勝で、ナイターで行われる(photo:丹保太郎) モーグルを日本国中に知らしめた長野五輪 モーグル(フリースタイルスキー)の発祥はアメリカ。当時のモーグル競技はとてもシンプルなものでした。多くの人が滑った後に、大小様々な形の溝のようなものができる、それがコブ、バンプスです。複雑な形状のコブをスピードを出して滑り、エアという名のジャンプをする。その華麗なスタイルで、多くの若者達に人気を集めました。 オリンピックの舞台に初登場したのは、公開種目として採用された1988年カルガリー五輪。その後、1992年アルベールビル五輪では正式種目に採用。そして、日本全国の人にモーグルが知られるきっかけとなったのが、1998年長野五輪。そう、里谷多英選手が金メダルを獲得した、日本で開催された2度目の冬季オリンピックです。 里谷選手は2002年ソルトレイク五輪でも銅メダルを獲得するなど、2010年バンクーバー五輪まで5大会連続出場を果たします。同じく五輪5大会出場といえば、長野五輪の際、日本IBMのコマーシャルで「モーグルって知ってます?」のフレーズとそのかわいらしいビジュアルで人気を集めた上村愛子選手。その後、ソチ五輪まで5大会連続入賞、さらには日本人初のワールドカップ年間総合優勝を果たすなど、輝かしい成績を収めました。 彼女たちをはじめとする日本人選手の活躍で、モーグルの人気は一気に高まり、コブを滑り華麗なエアを飛ぶことは、スキ―の花形へとなっていくのです。全長235m±35mのコースにエア台がふたつ。ターンとエアの精度、スピードで争われる(photo:丹保太郎) 出場4選手全員にメダルの可能性あり! 平昌五輪では若手の男子選手も選出され、日本モーグル男子チームに勢いを感じます。世界選手権王者の堀島行真選手、昨年のW杯で4位入賞を果たした原 大智選手はともに20歳! そして、怪我からの完全復活を果たした世界トップクラスの実力を持つ遠藤 尚選手、同じく怪我から復活、世界選手権で2度の表彰台をゲットしている西 伸幸選手。 若手とベテランの融合でチーム全体を底上げし、プッシュし、必ずやメダルを獲得してくれることでしょう。ここでは、それぞれの選手をご紹介します。 【堀島行真(Ikuma Horishima】 昨年の世界選手権ではモーグル、デュアルモーグルの2種目で完全優勝。ルーキーオブザイヤーにも選出されるなど、日本選手団の中でも、もっともメダル獲得が期待されている選手のひとり。オリンピック直前のカナダで開催されたW杯でも優勝するなど、勢いにも乗っています。 堀島選手の中学校時代、私がモーグル・ハーフパイプを教えたこともありましたが、ハーフパイプでいきなり縦回転の技を成功させるなど、とにかく身体能力が高い選手でした。「僕はモーグルで金メダルを獲るんだ!」。まだ、幼さが残る中学3年生でしたが、キラキラした瞳でメダルを狙うことを自信をもって語ってくれたこと、今でも覚えています。 【遠藤 尚(Sho ENDO)】 3季前、一度はその時点でのワールドカップ総合トップの証、イエロービブを着用するも、その直後に腰椎圧迫骨折の大怪我を負い、戦線離脱。今シーズンは年初の大会で2季ぶり、自身最高に並ぶ2位に。福島県猪苗代の出身で、小学校の頃から学校が終わるとウォータージャンプへ自転車で通っていた彼も、いまや3度目の五輪。最後の五輪と公言する彼の活躍にご期待ください! 【西 伸幸(Nobuyuki Nishi)】 2009年、2011年と2度、世界選手権の表彰台に。五輪ではバンクーバー、ソチで決勝進出など、日本選手の中ではもっとも経験値が高く、チームでも兄貴分的存在。強みはスピードと強靱なメンタル面。最後のオリンピックをどのように滑るかが楽しみな選手です。 【原 大智(Daichi Hara)】 3歳から両親の影響でスキーを始め、小学6年の時に本格的にモーグル競技を開始。そして、16歳の時にはモーグル強豪国のカナダに留学という異色の選手。昨年のW杯で見事4位入賞を果たしたアップカマーで、初出場の夢舞台で活躍が期待されます。 ここに紹介した選手は、誰もがメダル獲得の可能性を持っています。とはいえ、彼らにはその緊張感に押しつぶされることなく、自分の滑りをしてほしいものです。「がんばる」という気持ちだけではなく、オリンピックを「どのように楽しむ」かも重要。そうすれば、オリンピックに標準を合わせてきた世界の競合たちにもひるむことなく、勝る滑りができるはず。新生日本チームの活躍を期待しています。左から堀島行真選手、遠藤 尚選手、西 伸幸選手、原 大智選手(photo:マテリアルスポーツ、佐藤浩之、丹保太郎) ◎畑中みゆき プロフィール 1975年12月18日生まれ。宮城県塩竃市出身。競技歴は19歳から。4年後にはナショナルチーム入りを果たし、6年後にはソルトレイク五輪に出場(2006年トリノ五輪出場)。現在は「畑中みゆきスキースクール」を主宰し、夏期は山梨県のカムイみさかで、冬季は長野県や群馬県のスキー場で、子供から大人まで、基礎スキーからモーグルまで幅広く教えている。
tenki.jp 2018/02/08 00:00
高梨沙羅、マエケンに心の整え方学ぶ?「自分に足りないものは余裕」
高梨沙羅、マエケンに心の整え方学ぶ?「自分に足りないものは余裕」
AERA 2018年2月5日売り表紙に高梨沙羅が登場  女子スキージャンプ平昌五輪代表の高梨沙羅選手がAERAの表紙に登場。金メダルに懸ける思いなどを聞いた。  撮影日は、21歳の誕生日だった。  約2週間の欧州合宿から帰国した足で東京・南青山のスタジオへ。 「飛行機から降りて寝起きだったんですが、緊張ですっかり目も覚めました」  いちごのケーキを笑いながら頬張った。  ノルディックスキー・ジャンプのワールドカップで男女を通じて歴代最多タイの53勝を積み上げたアスリートも、競技を離れれば普通の大学生。20歳を前にメイクを始めて注目を集めたが、人前に出るのは得意ではないという。それでも、オフにテレビ番組などに出演したのには訳がある。 「女子ジャンプを広めるうえで、こういう活動は大事。力になれることはなんでもやりたい」  アエラの表紙を飾るのは2012年5月以来2回目だ。当時15歳。世界ジュニア選手権金メダル、11~12年シーズンから始まった女子W杯では日本人初優勝。身長152センチと小柄ながら、鋭い飛び出しと、V字がぶれないきれいな空中姿勢で大ジャンプを連発し、瞬く間に女子ジャンプ界の頂点へ駆け上がった。  だが、女子が正式種目になった14年ソチ五輪では、不利な追い風を受ける不運もあり4位に終わった。 「先輩たちが築き上げてきたものがやっと形になった試合。そこに運よく出場できたのに、恩返しができなかった」  その後は2度の世界選手権でも勝てず、貼られたレッテルは「大舞台に弱い」。 「自分に足りないものは、余裕だと思う」  大リーグ・ドジャースの前田健太投手から気持ちの整え方を学んだり、毎日30分、自分と向き合う時間をつくったり。ここ一番で力を発揮するための方法を模索し、「心」を磨いてきた。 「金メダルを取ったことがないから、取りたいんです」  思いは一つだ。穏やかな表情の裏に、スポーツ選手の魂が詰まっている。(朝日新聞スポーツ部・勝見壮史) ※AERA 2018年2月12日号
五輪
AERA 2018/02/07 11:30
早慶の就職先は30年前も今もトップはあの銀行 東大はNTT→トヨタ
早慶の就職先は30年前も今もトップはあの銀行 東大はNTT→トヨタ
一番人気がNTTの年が東大にあった  平成も残り1年と少しとなった。そこで、平成元(1989)年の東京大、京都大、早稲田大、慶應義塾大の就職先と平成29(2017)年の就職先を比べてみた。就職先トップ30は民間企業と省庁で作成した。  平成元年は“新いざなぎ景気”といわれるほど景気が良かった。この28年の間に、2度の大震災、バブルの崩壊、ITバブルの崩壊、リーマンショックで就職氷河期を何度も経験した。しかし、現在は2020年の東京オリンピックを控え、景気は上昇、大学生の就職も好調で、平成元年と同じく売り手市場になっている。  表を見てみよう。まず気づくのは、時代が変わっても就職者が多いのが銀行ということだ。平成元年には、早稲田大と慶應義塾大のトップはともに富士銀行だった。  東京大の2位が第一勧業銀行で、京都大の2位が三和銀行だ。今は名前がなくなった銀行が上位だった。そして、29年でも早稲田大と慶應義塾大トップがともにみずほFGで、東京大3位が三菱東京UFJ銀行、京都大5位が三井住友銀行。長らく就活で人気を保っているのが銀行だ。  平成元年の銀行は、統合が始まる前のものだ。そのため、現在は各大学の就職先としての銀行数が減っている。東大、京大が平成元年に9行に就職していたのが、今は4行に減った。早稲田大が7行から6行に、慶應義塾大が12行から7行に減少している。  平成元年当時には都市銀行と呼ばれる銀行が14行あったが、今はメガバンクに集約された。ただ、最近は信託銀行や新しくできたゆうちょ銀行が就職先に出てくるのが特徴だ。  銀行の採用人数を比較してみよう。みずほFGは第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併してできた。元年には東京大の3行への就職者数合計は96人だったが、29年のみずほFGには33人で、3分の1ほどに減っている。京都大は28人から23人、早稲田大は146人から109人、慶應義塾大は169人から146人に減少している。  ところが、採用総数は元年には3行合計で約1600人だったが、29年は1880人と増えている。採用のすそ野が広がっている。銀行は昔から大量採用なのが人気の理由でもある。今後、AIなどの活用で採用人数は減ると見られるが、銀行の人気は高いままだ。企業の採用支援を行っているワークス・ジャパンの清水信一郎社長がこう話す。 「平成元年にはベンチャー企業もなく、伝統的な企業が並んでいます。銀行が多いのは今も昔も変わりませんが、同じような採用人数でも中身が変わってきており、女性の採用が増えています。平成元年当時の都市銀行は優秀な男子をどう集めるかに腐心していましたが、それが変わってきたのです。女子の大学進学率が上がったことが大きいと思います」  元年に大学を卒業した学生が入学したのは昭和60年だ。この年に約156万人だった18歳人口は、29年に卒業する学生が入学し平成25年には123万人に減っている。その一方で、大学進学率は上がった。そのため昭和60年の大学入学者は41万人だったが、平成25年は61万人で約20万人増えている。男子は30.7万人から33.9万人で3.2万人増にとどまるが、女子は10.4万人から27.4万人に2.6倍に増えている。入学者増の理由は女子が増えたからだ。だから、男子だけという採用では限界があり、女子の採用が増えているようだ。  次に各大学のトップ企業を見てみよう。元年の早慶は銀行だったが、東京大はNTTだった。昭和の終わりに、3公社が相次いで民営化された。3公社と呼ばれたのは日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社だ。日本国有鉄道は昭和62年に6つの旅客鉄道会社に変わった。日本専売公社は昭和60年に日本たばこ産業に、同じ年に日本電信電話公社が株式会社に替わっている。  民営化されたことで学生が選びやすくなり、通信技術トップで研究者採用も多いNTTは人気だった。しかもNTTの平成元年の採用者数は2100人だ。これだけの大量採用ということもあり、東京大だけでなく京都大で17位、早稲田大で5位、慶應義塾大で8位に入っている。  大量採用で見ると、平成元年は日本IBMが1460人の採用だ。各大学の就職者数を見ても、東京大13位、京都大6位、早稲田大2位、慶應義塾大5位といずれも上位に入っている。清水さんは「この頃はパソコンを売る仕事が主だったと思います。もう今はパソコン販売部門はなく、コンサルティングやAI開発の会社に変わりました」という。29年の採用者数は304人で元年の5分の1近くに減っている。  当時はまだまだパソコンは普及していなかった。今では大学生が一人一台パソコンを持つのが当たり前になっている。授業でも使われ、大学教育は大きく変わってきた。  こうなってきたのは、平成2年に新設された慶應義塾大の湘南藤沢キャンパスの総合政策と環境情報の2学部で、全学生にパソコンを持たせたのがきっかけだ。その後、一家に1台になったのは周知の通りだ。それが今では携帯電話に変わってきているが、元年には携帯電話は普及していなかった。同時にネットビジネスもなかった頃だ。  その点で見ると、29年は楽天が東京大で12位、早稲田大で20位、慶應義塾大で27位に入っている。ソフトバンクも早稲田大で13位、慶應義塾大で20位だ。採用を減らした企業もあれば、新たな雇用を生み出した企業もあることが分かる。  京都大トップは日本生命保険で、平成29年には25位に落ちている。平成元年時に人気だった生保、損保も今はそれほど上位には出てこない。また、東京大、京都大では省庁への就職者も多い。省庁も統合、名称変更が進んだが、東京大での人気は変わらない。省庁トップは通商産業省から国土交通省に変わった。  29年の就職先で4大学すべてのトップ10に入っているのがアクセンチュアで、コンサルティングの会社だ。逆に元年には各大学に出てくるリクルートは分社化され29年には出てこない。慶應義塾大の24位にリクルートキャリアが出てくるだけとなった。  企業は時代とともに変わる。銀行だけでなく、さまざまな企業の統合が進んだ。分社化して社名が替わったり、倒産した会社もある。業績不振で人気を下げている企業もあれば、職種が今となっては敬遠されているものもある。  企業30年と言われるが、この4大学すべてのトップ30で、平成元年と29年、両方に同じ社名で出てくるのは野村証券だけだ。トップ大学の就職先は、時代を映す鏡といえそうだ。(大学通信ゼネラルマネージャー・安田賢治) 【東京大】就職先トップ30の変遷 1/2 【東京大】就職先トップ30の変遷 2/2 【京都大】就職先トップ30の変遷 1/2 【京都大】就職先トップ30の変遷 2/2 【早稲田大】就職先トップ30の変遷 1/2 【早稲田大】就職先トップ30の変遷 2/2 【慶應義塾大】就職先トップ30の変遷 1/2 【慶應義塾大】就職先トップ30の変遷 2/2
東大
dot. 2018/02/07 07:00
溝端淳平が「ザマーミロ」と思ったデビューのきっかけ
溝端淳平が「ザマーミロ」と思ったデビューのきっかけ
溝端淳平(みぞばた・じゅんぺい)/1989年、和歌山県出身。2006年、JUNONスーパーボーイ・コンテストでグランプリ受賞。07年、テレビドラマ「生徒諸君!」で俳優デビュー。08年からトーク番組「誰だって波瀾爆笑」で司会を務める。映画「祈りの幕が下りる時」は全国公開中。舞台「ムサシ」は2月11〜25日に東京・Bunkamura シアターコクーンで、3月3〜11日に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場で上演予定。「ふたり芝居『家族熱』」は5月29日から東京・池袋の東京芸術劇場 シアターウエストで上演予定。(撮影/写真部・岸本絢、ヘア&メイク・菅野綾香(ENISHI)、スタイリング/黒田領)  現在公開中の映画「祈りの幕が下りる時」に出演する俳優・溝端淳平さん。作家・林真理子さんとの対談で、新作映画やデビュー時のエピソードについて語りました。 *  *  * 林:はじめまして。わっ、カッコいい! バイトの女子大生が4、5年前に渋谷で溝端さんを見かけて、「気絶するぐらいカッコよかった」と言ってましたが、ほんとにそう。 溝端:いやいや、そんな。ハードル上げないでください(笑)。 林:私、「誰だって波瀾爆笑」(日本テレビ系)が好きで毎週見てるんですけど、アナウンサーの堀尾正明さんといいコンビですよね。 溝端:28歳の僕が60代の堀尾さんに生意気に突っ込んだりして(笑)。もう10年ぐらいになりますね。 林:そしてこの「新参者」シリーズ(「祈りの幕が下りる時」)は、もう8年なんですよね。溝端さん演じる松宮脩平は、阿部寛さん演じる主人公・加賀恭一郎の従兄弟という設定で。この映画だと溝端さん、実際よりも年上に見えますね。 溝端:僕、今28歳なんですけど、実年齢より上に見えなきゃ警視庁捜査一課としての説得力が出ないと思って、そこは意識しました。最初にこのシリーズに出たときには20歳ぐらいだったので、やっと実年齢が役柄に近づいた感じですね。 林:すごく大人っぽかったです。その若さで阿部寛さんの隣にいて存在感を出すって、大変なことですよね。(パンフレットを見て)阿部さん、アップでもカッコいいし。 溝端:引きでもカッコいいんですよ。身長190センチでスタイルもいいですから。 林:東野圭吾さんの人気シリーズですが、原作はお読みになりました? 溝端:はい、読みました。実写化するには話が複雑で難しいんじゃないかと思っていたんですが、阿部さんからのオファーで福澤克雄さんが監督してくださることになったんです。人間ドラマを見せるのが得意な監督なので、すごくいい作品になりました。「半沢直樹」や「陸王」を撮った方で……。 林:福澤諭吉の玄孫(やしゃご)なんですよね。 溝端:そうです。福澤さんが熱い方で、現場もいい意味での緊張感がありました。台本では松宮は加賀に敬語を使っていたんですけど、「加賀と松宮の二人だけのときは、くだけた口調で話しかけることはできませんか」と監督に提案して、やらせていただいたり。それは成功だったなと思いますね。 林:ネタバレになっちゃうからあんまり言えませんけど、松嶋菜々子さんには涙、涙で。私、あの「砂の器」を思い出しました。 溝端:僕もそう思いました。 林:そして加賀恭一郎にあんな過去があったとは知りませんでしたよ。 溝端:シリーズ通してのナゾだったので、それを最後に明かして。 林:最後なんですか? 溝端:日本橋署での話は、これで終わりですね。もしかしたら加賀恭一郎シリーズは続くかもしれませんが。 林:続いてほしいですよ。(パンフレットを指して)こんなに大きく「さらば」とか書かれちゃって、人形町の皆さん、ガッカリしてるんじゃないですか。 溝端:「さみしい」とは言ってましたね。でも、「麒麟の翼」以来6年ぶりの映画化なので、まずそれを喜んでくれました。「帰ってきてくれてありがとう」と、両手に抱えきれないぐらいのお土産をくださったり。 林:人形焼きとか? 溝端:人形焼きとか煎餅とか和菓子とか。「どこそこの大将から差し入れです」「あ、お礼言わなきゃ」「もう帰っちゃいました」みたいなことも多くて、粋なんですよね。8年ぐらいの付き合いですから、第二の故郷みたいになってます。 林:それにしてもこの映画、すごい方々が出てるんですね。山崎努さん、伊藤蘭さん、小日向文世さん、及川光博さん、烏丸せつこさん……。私たち世代にとって烏丸せつこさんといえば超セクシーな美人女優さんでしたけど。 溝端:すごい女優さんですが、セクシーなイメージはあまりなくて……。 林:そうですよね。年齢、お母さんより上かな。 溝端:たぶん母くらいですね。 林:溝端さんのお母さんって、きっとすごくおきれいなんでしょうね。 溝端:いやいや、まったく。教師なんですけど、「スポーツ刈りか」ってぐらい髪の毛短かったですから(笑)。うちは女家系で、女が男まさりなんです。 林:お姉さんが2人いらっしゃるんですよね。私がお母さんだったら、女の子が2人続いたあとにこんなに美しい男の子が生まれたら、もう溺愛しちゃうな。 溝端:溺愛された感じはまったくないですね。とにかく言うことを聞かない息子でしたから、「上京してくれてせいせいした」と言っていたみたいです(笑)。 林:お姉ちゃんが「ジュノンボーイ」に応募したんですよね。 溝端:はい。それもべつに弟が可愛いからじゃなくて、高校2年生になっても「俳優になりたい」とか言ってる僕に対して、「あんた何言ってるの。田舎のおばさんたちに『淳平ちゃん、カッコええから俳優になったらええやん』とか言われたぐらいで調子に乗るな」と、あきらめさせるために応募したんです。 林:それがグランプリを獲っちゃうんでしょう? 溝端:そうなんです、運よく。姉と母に「ザマーミロ」と思いました(笑)。 (構成/本誌・野村美絵) ※週刊朝日 2018年2月9日号より抜粋
林真理子
週刊朝日 2018/02/05 11:30
平昌オリンピックメダル予想! 金に最も近いのは?羽生結弦、高梨沙羅はどうなる?
平昌オリンピックメダル予想! 金に最も近いのは?羽生結弦、高梨沙羅はどうなる?
連覇を狙う羽生結弦選手 (c)朝日新聞社 女子スピードスケートの小平奈緒選手 (c)朝日新聞社  2月9日から韓国の平昌で23回目の冬季オリンピック(五輪)が開催される。4年に1度の冬の祭典で、102の種目で世界一が争われ、日本選手の活躍が期待される。メダルに最も近いアスリートは誰? 見逃せないのはどの競技? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、スポーツジャーナリスト・生島淳さんの解説を紹介しよう。 ■スピードスケート女子に期待!  前回2014年の冬季五輪ソチ大会で日本が獲得したメダルは金1、銀4、銅3。羽生結弦選手の金メダル、引退した浅田真央さんの渾身の演技などが記憶に新しいが、今回はソチ大会以上のメダルラッシュが期待されている。  今回、参加する日本の選手の中でいちばん金メダルに近いといわれているのが、女子スピードスケートの小平奈緒選手。  ソチ大会が終わってから練習拠点をオランダに移して“武者修行”を敢行。そのかいあって、有力選手が参加し、世界を転戦するW杯では、500メートルで昨季から続く連勝記録が15まで伸び(17年12月現在)、1千メートルでは世界新記録もマークした。まさに向かうところ敵なし。五輪を前に小平選手は、「実際に記録を出してみると、まだまだ成長できる部分があると感じました」と語り、本番に向けてさらに飛躍が期待できる。  また、10年のバンクーバー大会のときに中学生で代表となった高木美帆選手も今季に入ってから好調。小平選手よりも持久力があり、1500メートル、3千メートルでメダル獲得を狙っている。 ■連覇狙う羽生選手  そのほかの氷上競技では、冬季五輪の“華”ともいえるフィギュアスケートも楽しみな競技のひとつ。男子シングルでは、連覇を狙う羽生選手は11月に右足首に大けがを負い、12月の全日本選手権を回避して五輪に臨む。ただただ、全快を祈るほかはないが、羽生選手が不在の間に国際舞台で健闘を見せたのは、宇野昌磨選手。12月に名古屋で行われたグランプリファイナルでは、わずか0.5点差で2位に入った。4回転ジャンプの安定性を高めれば、メダルに極めて近い位置にいる。  そして、最近の五輪で大きな注目を集めている競技がカーリング。「氷上のチェス」とも呼ばれ、氷の質の読み合い、ストーンの通る道をブラシで掃くパワー、技術などが問われる。  日本は16年の世界選手権で男子代表SC軽井沢クラブが4位、女子代表のLS北見が2位に入り、平昌でもこの両チームが代表となった。カナダ、イギリス、北欧(北ヨーロッパ)の国々が強いが、日本のチームも国際経験が豊富なだけに、ベスト4進出は十分に狙えるだろう。 ■さらにいい色を  そして次は、雪の上で争われる競技に目を移していこう。日本でメダルが期待されているのはジャンプだ。  日本ジャンプ界の顔ともいえるのが、「レジェンド」と呼ばれる葛西紀明選手。葛西選手は1992年のアルベールビル大会が初めての五輪出場。今回、平昌のジャンプ台に立てば8大会連続の五輪となる。前回のソチ大会ではラージヒルで銀メダルを獲得しており、さらにいい色のメダルが欲しい。  女子に目を転じると、ソチ大会には17歳で参加し、本命視されながらも4位に終わった高梨沙羅選手の成長が楽しみだ。ジャンプは風の向き、強さが大きく影響するので、どんな状況になっても動じないメンタルの強さが求められる。21歳になった高梨選手の新しい強さが見てみたい。  また、近年人気が高まっているスノーボードでは、ソチ大会のハーフパイプで中学生ながら銀メダルを獲得した平野歩夢選手が大けがから復活。今季のW杯で優勝を飾り、五輪本番に向けて視界は良好だ。  およそ2週間にわたり、たくさんの競技を存分に楽しめそうな予感がしてきた。(解説/スポーツジャーナリスト・生島淳) 【平昌五輪の主な注目選手】 <スピードスケート> 小平奈緒(31):オランダ武者修行の成果で連戦連勝。まだまだ成長中。 高木美帆(23):初五輪は中学時代。持久力に自信。長距離に期待! <フィギュアスケート> 羽生結弦(23):目指すは五輪連覇。くまのプーさんが心の支え!? 宇野昌磨(20):4回転ジャンプの安定性を高められるかがポイント。 宮原知子(19):12月に先シーズンの故障からようやく復調。両親は医師。 <スキー・ジャンプ> 葛西紀明(45):五輪8度目。日本ジャンプ界の顔であり「レジェンド」。 高梨沙羅(21):実力は世界一。あとはメンタルの強さが求められる。 伊藤有希(23):先シーズンから急成長。今や高梨選手と日本の二枚看板に。 <スノーボード> 平野歩夢(19):ソチ大会の中学生銀メダリスト。大けがから復活し上昇中。ノルディック複合 渡部暁斗(29):ソチ大会の個人銀メダリスト。弟の善斗(26)も複合選手。 ●平昌五輪  2018年2月9日から25日まで、韓国・平昌で開催される冬季五輪。17日間で7競技102種目が行われる。韓国で冬季五輪が開催されるのは初めて。ロシアのドーピング問題や、隣国北朝鮮のミサイルや核実験の脅威による安全問題など、開催前からさまざまな問題を抱えている。 ●平昌五輪、ロシアは参加できないの?  国際オリンピック委員会(IOC)は、17年12月5日にスイス・ローザンヌで理事会を開き、国家ぐるみのドーピング問題を抱えるロシア・オリンピック委員会を資格停止とし、平昌冬季五輪への選手団派遣を禁じることを決めた。「ドーピング」とは、スポーツ選手が記録や成績を上げるために、筋肉を増やしたり、持久力を高めたりする薬物を使うことで、不正行為として禁止されている。体に副作用などの悪影響があるとして医学的にも問題視されている行為だ。ただし、潔白が証明された選手はチーム競技も含めて「ロシアからの五輪選手」として参加する道を開いた。これで200人以上が参加できる可能性が出てきたが、出場が認められても国旗や国歌を使えず、ロシアはIOCに再考を訴えている。 ※月刊ジュニアエラ 2018年2月号より
平昌五輪
dot. 2018/02/03 16:00
宮原知子はメダルをとれるのか? 荒川静香が五輪女子フィギュアを分析
宮原知子はメダルをとれるのか? 荒川静香が五輪女子フィギュアを分析
ほぼミスなしの正確な演技から「ミス・パーフェクト」と呼ばれる宮原知子(c)朝日新聞社 荒川静香が予想するメダル候補(週刊朝日 2018年2月9日号より)  日本勢はメダルをとれるのか? ロシアの強敵の調子は? 2月9日に開幕する平昌五輪のフィギュアスケートが始まる前に、知っておきたいシングル女子の選手情報を荒川静香さんに解説してもらった。 *  *   * ──もうすぐ平昌五輪、見どころを教えてください。世界女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)からお願いします。  どの試合でもミスが少ないというのが、圧倒的な強さの原因の一つです。ジャンプの確率がずば抜けていて、さらに加点が取れるような工夫をたくさん仕込んでいる。たとえ失敗したとしてもゼロからのマイナスではなくプラス1からのマイナスになるように、得点につなげる工夫がたくさんあるプログラムは、トゥトベリーゼ・コーチチームの特徴でもあります。選手の個性に合わせてプログラムが組まれており、評価がしっかりととれるようにすごく練りこまれています。 ──アリーナ・ザギトワ(ロシア)も同じコーチですね。  ジュニアから上がってきたばかりの選手は、背伸びをしたプログラムだと、どうしても子供っぽさが目立ってしまうので、今の本人に合った選曲、プログラムを与えるというところが大事です。ザギトワには誰もが知っている名曲を与えて、今の彼女に合った編曲にしています。あれだけ後半にジャンプをかためたプログラムにすれば偏った印象になりがちですが、それを軽快な曲調に転調し、それに合わせて次々ジャンプを決められると、見ていて楽しい気持ちになる。また音楽に合わせてジャンプを跳ぶということも加点の要素なのですが、それが全部かなっています。 ──ザギトワも金メダル候補の一人ですか。  可能性はあると思います。あのプログラムを18歳でやったらそれほど点は出ないかもしれません。でも15歳という年齢で、駆け上がってきたときの勢いと共に見せている。あれほどフレッシュなものは大人には出せないという強みを、最大限に生かしています。彼女の圧倒的なフリーの強さによって、もしメドベージェワが失敗をして彼女がミスなく滑れば、超えてしまう可能性も秘めています。 ──カナダのケイトリン・オズモンドはいかがでしょう。  安定感が課題だった選手が、安定感を身につけてきました。元々ポテンシャルが高い選手でした。与えられた振り付けをただこなしているのではなく、どう表現したいのかしっかり見ている人に届く表現ができていて、世界観、ビジョンが明確にあるという印象です。スピンの入り方も独創的な難しい入り方をたくさん持っていて、緩急のつけ方もうまく、隙のないプログラムを滑ります。 ──さて日本勢ですが、宮原知子はみごと復帰を果たしました。  滑る喜びを練習からも感じるので、とても良い状態に見えます。見ている限りでは、元々の宮原さんのレベルに達してきたかな、と。以前は淡々と一生懸命こなしている印象が強かったのが、この休養の間にすごくいろんな表情をおりまぜて豊かな表現力を身につけたと思います。けがしたことによって視野が広がり、無駄ではなかった時間になったのではないかという、良い復帰の仕方になりました。 ──坂本花織は、全日本で大逆転の代表入りでしたね。  今シーズンからシニアに参戦して、いろいろなことを学んで、得るものがたくさんあったはず。それがオリンピックでも生きてくるといいですね。見応えのある、流れが非常にきれいなジャンプで注目されていますが、スピンやステップも加点が取れる質のものです。 ──日本の女子はメダルのチャンスはあるでしょうか。  あるのではないかと思います。鉄壁の人がどうなるか、わからないのがオリンピックの面白さでもある。他のトップ選手のミス待ちではなく確実に戦えるものがあるので、そこは本人たちも自信にしてほしい。あとは戦略をプラスしていけばさらに良いと思います。 ──金メダルをとったトリノから12年。もうすっかり解説者としてベテランになられましたが、現役の当時と見方はどのように変わりましたか?  解説者としては、選手としての経験を生かしてお話しすることも大事ですが、同時に見ている人が納得して次に進めるように、ジャッジがどう判断して見ているのかということを踏まえた上でお話しするようにしています。なぜこういう結果なのか、ということが解決できなければ解説の仕事ができていない。これは選手の頃には考えていなかったことでした。結果が出てから後づけで分析する時間があまりないので、リアルタイムでお伝えすることがほとんどです。そういった意味では自分の主観も入れて、いろんな予測をしながらなので、緊張感があります。 ──本番前の選手の表情なども注意してご覧になっているようですね。  それは他の選手と比べてではなく、いつもとどう違うのかということで読み取ります。顔がこわばっていても、緊張しているのか、集中しているのか。その人が普段どういう癖を持っているのか知った上で解説することも重要です。 ──他に解説をする上で、特に気をつけていらっしゃることはありますか。  ネガティブな情報はお伝えしても、見ている人が必要な情報ではないことが多いんです。ジャンプなどでも加点がゼロだなというときは何も言いません。プラスに転じるかマイナスに転じるか、勝負がかかっているときは解説します。無言だったら、プラスマイナスゼロですね。指摘しなかったら、今いちの結果なのだろうとキャッチしているコアなファンの方もいます。 ──よく言われる「うまいスケーティング」の意味を、改めて一般の方にわかりやすく説明していただけますか。  スケーティングの質の一つは加速力。うまく体重をエッジの良いところに乗せないと効率よくスピードがついていきません。その乗せる場所がピンポイントでうまくできている人は、無駄な力を使わずに加速ができる。それができないと一生懸命こいでいかないといけないんです。テレビではスピードがあまり伝わらないこともあるので、それは現場で見ている私たちが解説できることの一つと思います。 (構成・文/田村明子、本誌・工藤早春) ※週刊朝日 2018年2月9日号
フィギュアスケート平昌五輪
週刊朝日 2018/02/03 11:30
竹内智香「競技者の私を支えてくれる、設計士と料理人という二人の兄」
竹内智香 竹内智香
竹内智香「競技者の私を支えてくれる、設計士と料理人という二人の兄」
竹内智香(たけうち・ともか)/1983年12月生まれ。スノーボードアルペン種目選手。ソルトレーク、トリノ、バンクーバーと冬季五輪に続けて出場し、2012年12月にはワールドカップで初優勝。ソチ五輪では日本人女性スノーボード選手で初のメダルとなる銀メダルを獲得。5度目の五輪となる平昌では自身の集大成として金メダルを目指す 競技者となった竹内を今もサポートしてくれている兄二人。幼い頃も仲が良かった(写真:本人提供)  ソチ冬季五輪で銀メダルを獲得したスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタート。2018年2月の平昌五輪では念願の金メダル獲得を目指す竹内選手の今の様子や思いをお伝えします。 *  *  *  私は両親と二人の兄の五人家族で育ちました。長男は設計士で、実は私のスノーボードの板作りにも携わってくれています。もちろん建築とボードはまったく違うものですが、建物を設計する兄にとってはボードをデザインすることも楽しいようです。次男はまさしく次男!という感じで、要領がよく社交性があります。元々は調理人で、東京・赤坂の料亭で修業した後は石川県の有名旅館で経営を学び、今では私の実家の旅館「湧駒荘」で社長兼料理長になりました。  次男も私の食事面をサポートしてくれていますし、二人の兄がそれぞれ競技者としての私を支えてくれていることはすごくうれしい。まあ、次男は社長になってからは「智香、もっといろんなところで旅館を宣伝してくれ!」と、長男は「何でノーギャラでデザインなんだ!」とそれぞれ言ってきますが(笑)。  前号でも触れましたが、両親は共働きで私が10歳の時に今の旅館を経営し始めました。父はすごく豪快というかヤンチャで、私の性格は父親譲りだとよく言われます。子どもが3人もいて、今から考えればリスクのある決断だったかもしれないけれど、父は経験のなかった旅館の経営に乗り出し見事に軌道に乗せました。  母はそんな父をいつも支えていました。本当にタフだし、父の良いところもダメなところも全部引っくるめて受け入れていた母はすごいと思います。きっと、「私がいないとあの人はやっていけない」みたいな自信があったのだと思います。母は性格も前向きで、例えば商売がうまくいっていない時期も「大丈夫、どうにかなる!」と下を向かない。父はどちらかというとショボンとしてしまいますから(笑)。  このように、うちは家族それぞれの距離が今でも近い気がします。周りの人が私が親と接しているところを見ると、30代には見えないようです。それぐらい、私も家族には甘えているんでしょうね。すごく気持ちが安らぐ場所です。  面白い話がありまして、昔両親が私たちに「野良犬で自由だけど貧しい生活をするか、首輪が繋がった犬だけど毎日おいしいものを食べられるか。どっちがいい?」と聞いたそうです。次男は繋がれてもおいしいものが食べたいと言ったのに対して、私は野良犬がいいと答えたそうです。そして私は今、自由に世界を飛び回っている。何年経っても、性格は変わりません。(構成/西川結城) ※AERA 2018年1月29日号
竹内智香
AERA 2018/01/29 16:00
竹内智香「父が届けてくれた、スノーボードとの運命の出合い」
竹内智香 竹内智香
竹内智香「父が届けてくれた、スノーボードとの運命の出合い」
竹内智香(たけうち・ともか)/1983年12月生まれ。スノーボードアルペン種目選手。ソルトレーク、トリノ、バンクーバーと冬季五輪に続けて出場し、2012年12月にはワールドカップで初優勝。ソチ五輪では日本人女性スノーボード選手で初のメダルとなる銀メダルを獲得。5度目の五輪となる平昌では自身の集大成として金メダルを目指す 4歳の時、父親とやってきたスキー場での1コマ(写真:本人提供)  ソチ冬季五輪で銀メダルを獲得したスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタート。2018年2月の平昌五輪では念願の金メダル獲得を目指す竹内選手の今の様子や思いをお伝えします。 *  *  *  みなさん、あけましておめでとうございます。2018年、今年は私にとっては大切な年です。言うまでもなく、2月には平昌五輪が控えています。今大会で5度目の五輪出場となりますが、本番を間近にした今、私の心はすごく落ち着いています。  よく周りの人からも徐々に緊張感が高まってくるのでは?と聞かれますが、不思議と自然体で冷静にいられるのです。ここから短期間で急激に滑りの技術が伸びるわけでもなければ、実力が急上昇するわけでもない。あとはこれまでやってきたことを信じて、普段通り過ごすのみ。そんな感情に近いです。  年が明けて、1月1日夜の便でヨーロッパに発ちましたが、年末と元日は故郷の北海道に滞在しました。適度なトレーニングはもちろん行いながら、さらに五輪直前の調整合宿に使用するスキー場の候補地も視察。地元でも充実した日々を過ごすことができました。  旭川に帰ると、家族に囲まれ自然と昔のことを思い出します。両親は私が幼い頃から共働きで忙しく、私は友達の家で夜ご飯を食べてそのまま寝てしまうことも。夜遅くに親が寝ている私を迎えに来て、朝起きたら自分の布団にいる。そんな生活があったことを覚えています。  10歳の時に、両親が旅館経営を始め、今では次男の兄が後を継いでいます。当時、旅館を建て替える必要があり家族に少し時間ができた時に、私は父といっしょにスノーボードを始めました。その頃は北海道もまだスノーボード人口は少なく、まわりはスキーヤーばかり。その後も私が高校生になってもスノーボード禁止のスキー場が多かったほどでした。だからこそ、父と旅館の近くの山に行ってスノーボードと出合えたことは運命ですし、その機会がなければこんなに早く滑り始めていなかったと思います。  子どもの頃から活発だった私は、体育の成績も良かったです。学校から帰れば、ランドセルを放り投げてすぐに外に行って、男の子たちに交じってキックベースとか球技ばかりしていました。あまりに男の子とばかり遊んでいたので、初恋がいつなのか自分でもわからないほど(笑)。16年に手術した左膝のケガの痕は綺麗になくなっているのに、あの頃の傷痕は全然消えないで残っている。今回のように時間を見つけては故郷に戻ることで、こうした昔話もより鮮明に思い出すものです。(構成/西川結城) ※AERA 2018年1月22日号
竹内智香
AERA 2018/01/22 16:00
小平、葛西は大丈夫? 冬季五輪主将、旗手になると、メダル取れないジンクスとは?
小平、葛西は大丈夫? 冬季五輪主将、旗手になると、メダル取れないジンクスとは?
平昌五輪で主将を務める小平奈緒 (c)朝日新聞社 平昌五輪で旗手を務める葛西紀明(写真は2017年11月5日、札幌・大倉山の全日本選手権で優勝した時のもの) (c)朝日新聞社 平昌五輪で主将を務める小平奈緒 (c)朝日新聞社  開幕まで1カ月を切った平昌五輪。代表選手が続々と決まる中、注目されていたのが日本選手団の誰が主将と旗手を務めるかだった。  主将はスピードスケート女子の小平奈緒(31)、旗手はノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(45)が選ばれた。  3大会連続出場の小平は、今大会の日本代表選手の中でも、金メダル最有力候補。500メートル、1000メートル、1500メートルの3種目で出る予定だ。今シーズンのW杯では500メートルで連勝記録を伸ばし、1000メートルでは世界新を出すなど絶好調。金メダルへの期待は当然高まる。  一方、“レジェンド”葛西は、8大会連続の出場。前回ソチ五輪では41歳にして、ラージヒル個人で銀メダル、団体で銅メダルを獲得した。今シーズンはW杯で表彰台に上がれず調子を落としている印象を与えているが、1月13日のW杯第12戦個人で今季自己最高の5位に入るなど復調の気配が出始めている。  葛西は、ソチ五輪後から狙っていたといい、「本当に光栄なこと。調子も上がってきたので気合を入れて旗を振りたい」と意気込みを語った。  実は冬季五輪の主将には、あまりありがたくないジンクスがある。冬季五輪主将は金メダルを取れないというもの。これまで数多くの金メダル有力選手が、主将をつとめたが、まだ誰も取れていないのだ。前回ソチ五輪主将の葛西は前記の通り、銀メダルと銅メダル(十分すごいのだが)だった。  例えば、1998年長野五輪で主将だったノルディック複合の荻原健司は、それまで五輪や世界選手権で何度も金メダルを取り“キング・オブ・スキー”の異名で恐れられていた。しかし、長野五輪では個人4位、団体5位だった。  一方、旗手の方も、1998年長野五輪でスピードスケートの清水宏保が金メダルを獲って以来、金メダルどころかメダルも獲れていない。  7大会連続で冬季五輪を取材するライター・折山淑美さんは、2人にかかるジンクスについて楽観的に見る。 「旗手の葛西については、そういうジンクスも力に変えられる。今シーズン序盤は良くなかったけど、最近は復調してきていて、気持ちが乗ってきているとこ。主将を務めたたソチでは、腰が痛かったりした時は、練習にいかないで他の競技を応援しにいって、主将の役割を果たすことでうまく気分転換をしていたところもある。調子が良かったてのもあるけど、心の余裕や自分の状態もわかるだろうし。あとは、開会式とかぶるノーマルヒルの予選に出るかどうか」  では、主将の小平はどうか? 「そこまで深刻に考えていないでしょう。それだけ自信を持っているし、どんな時でもマイペースを保てる選手です。逆に、年齢が上だから主将は仕方ないって考えるだろうし、それだけ注目されてることかと思っているのでは」  ジンクスについて、こう解説する。 「結局、皆が注目して、(金メダルを逃して)ワッと思うかもしれないけど、それが力なんです。一度W杯に勝ったら、報道含めて皆、金メダルを取れると期待してしまう。しかし、小平に関しては本物の金メダル候補。どっちのレーンになるかとか、風が吹くとか色んな要素はあるけど、過去の主将の中でも小平はレベルが違います。ある意味、夏季五輪の体操総合の内村航平みたいな絶対感があります」  と小平がジンクスを打ち破るだけの実力があると断言した。  過去、誰もが期待されながら取れなかった「冬季五輪主将で金メダル」。小平がついにその扉を開くかもしれない。(本誌・大塚淳史) ※※週刊朝日オンライン限定
週刊朝日 2018/01/20 00:00
幼稚園児もダンス完コピのTWICE 竹内涼真をしのぐ人気の理由
酒井美絵子 酒井美絵子
幼稚園児もダンス完コピのTWICE 竹内涼真をしのぐ人気の理由
日本人メンバーもいる韓国発のガールズグループ「TWICE」は「2017 MAMA in ジャパン」にも出演。公演後のインタビューでの一コマ。(撮影/鎌田倫子)  紅白出場で注目されるTWICE。日本デビューは昨年の夏にもかかわらず、その人気はすさまじい。「JC・JK(女子中高生の略語)流行語大賞2017」の「ヒト部門」で1位を獲得。俳優の竹内涼真を抜いて、だ。  楽曲の振り付けの「TTポーズ」(親指と人さし指でTの字をつくる)が中高生らの間で話題になり、まねしてSNSにアップする形で拡散。日本初シングル「One More Time」がオリコン週間ランキング1位を獲得した。昨年の11月末、横浜アリーナで開かれたMAMAにも出演。ほとんどの観客が披露された曲を「完コピ」し、歌って踊っていた。 「ダンスがキャッチーで、メンバーもかわいい。日本人メンバーのミナは、隣のクラスの“きれいでなんでもできる子”という感じで、特に人気です」(ファンの女子中学生)  運動会で流れたり、文化祭で有志が完コピしたりするのは当たり前。中高生にとどまらず、小学生や幼稚園児までも夢中だという。 「お昼の放送で流れて、クラスのみんなと踊っています」(小学5年の女児) 「幼稚園のお楽しみ会の演目にもなっていました。娘たちも毎日PVを見てまねしてます。お友達の誕生日会にTWICEの衣装のコスプレをする子も多い」(4歳と7歳の娘の母親、42歳)  なぜ、支持されるのか。 「エグザイル系は不良っぽいイメージがあって親として子どもにまねしてほしいかというと……。AKB系は素人感が強すぎて、あこがれの対象になりにくい。それに、好きが高じて子どもがアイドルオタクになってしまわないか心配なんです。一方、TWICEは健全なイメージなので、子どもに見せても安心ですね」(同)  親の心もがっちりつかんでいるようだ。 (ライター・酒井美絵子) ※週刊朝日 2018年1月19日号
週刊朝日 2018/01/15 11:30
羽生結弦、五輪連覇のカギは“勝負勘”取り戻すタイミング
羽生結弦、五輪連覇のカギは“勝負勘”取り戻すタイミング
羽生結弦選手(23)/仙台市生まれ。2014年ソチ五輪金メダル。今季はGPシリーズロシア杯で2位。11月のNHK杯を公式練習で転倒、負傷し欠場。全日本も欠場したが、2度目の五輪出場が決まった (c)朝日新聞社 全日本選手権の後、平昌五輪の代表に決まり、喜ぶ選手たち。左から、アイスダンスのクリス・リードと村元哉中、女子シングルの坂本花織、宮原知子、男子シングルの宇野昌磨、田中刑事、ペアの須崎海羽と木原龍一 (c)朝日新聞社  平昌五輪のフィギュアスケート代表が、発表された。男女シングルの5人はソチ五輪王者の羽生結弦を除き初出場、アイスダンスとペアも新チームというフレッシュな顔ぶれ。五輪をどう戦うのか。羽生の連覇は――。  2月9日に開幕する平昌五輪は、日本のフィギュアスケート界が初めて迎える「世代交代」の五輪だ。  日本のフィギュアスケートブームに火がついたのは、2006年トリノ五輪のシーズン。当時15歳の浅田真央がトリプルアクセルを跳びながらも年齢制限で出場できず、荒川静香(当時24)は華麗なイナバウアーを披露して、アジア人初の金メダルを獲得した。  4年後のバンクーバー五輪では浅田真央(同19)が銀、高橋大輔(同23)が銅メダルを獲得。さらに4年後のソチ五輪では羽生結弦(同19)が日本人男子として初めて金メダルに輝き、浅田(同23)も記憶に残る演技をみせた。そして10年代の国際大会を、安藤美姫(30)、鈴木明子(32)、織田信成(30)、小塚崇彦(28)らが席巻してきた。  こうした選手たちがいずれも現役を引退。17年12月24日に発表された代表は、多くが初めて五輪を経験する選手たちだ。メダルを狙える選手は誰か。代名詞となるような技を持つ選手はいるのか。新たなキャラクターは……。  誰もが期待しているのが、羽生(23)の連覇、そして宇野昌磨(20)のメダル獲得だろう。昨季の最高峰の大会である17年4月の世界選手権で、羽生が金、宇野が銀を獲得しており、順当な実力でいけば日本のワンツーフィニッシュの可能性は高い。  しかし、羽生は17年11月9日、NHK杯の公式練習で転倒し、足首を負傷。現時点で、けがの回復具合は未知数だ。全治4~5週間の靱帯(じんたい)損傷とされ、12月中旬にやっと氷に乗り、前後に滑ることから始めているという。五輪代表の選考の場となった全日本選手権は欠場したが、12月16日の日本スケート連盟強化部への連絡で「逆算すれば平昌五輪に間に合う」と伝えられたことから、選考委員会は羽生を平昌五輪代表に選んだ。  課題は「試合勘」をどこで取り戻すか。1月の四大陸選手権は羽生側が出場を望んでいない。となると、男子シングルの連覇に向けて平昌五輪の団体戦が「試合勘を取り戻す場」となる。  平昌五輪は、2月9日に男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目の合計ポイントで順位を争う国別対抗の団体戦の男子ショートプログラム(SP)、12日に団体戦の男子フリースケーティング(FS)があり、男子シングルは16日にSP、17日にFSがある。団体戦に出れば、会場の雰囲気も感じられるし、足慣らしとしては最適だ。  しかし日程が近すぎるため、団体戦にピークが合うと、重要な男子シングルで調子が落ちることもある。ピークを後者に合わせるためにどの試合に出場するべきなのか。羽生はタッグを組んで6年目となるブライアン・オーサーコーチと検討することになる。日本スケート連盟は、羽生の連覇をサポートする意味でも、団体戦への参加・不参加は羽生側の要望を尊重するという。  宇野は、五輪金メダルを目指すなら作戦の見直しが必要だろう。  16年、17年と羽生不在の全日本選手権を連覇。しかしその内容はお世辞にもほめられるものではなかった。王者不在の緊張感のなさか追われる身の難しさか、ミスを連発。17年全日本選手権の得点は、自己ベストを36点以上も下回る283.30だった。 「悔しい気持ちが強くて、五輪代表に選ばれても、試合のことをひきずっていました。あまりにもグランプリファイナルと全日本選手権と、(ミスの多い試合が)立て続け過ぎること。とりあえず、自分のいい演技をしないと話にならない」(宇野)  五輪代表決定にも笑顔はなかった。  4種類の4回転を持っており、今季はFSで「4種類5本」の4回転に挑んできたが、パーフェクトの演技はない。試合ごとにミスするジャンプの種類が違い、課題や反省点を模索する状態が続いている。そこで宇野は全日本選手権後、平昌五輪では、FSは「3種類4本」にすると発表した。 「昨季の世界選手権と同じ構成になるけれど、それを身体に染み込ませるところからやり直したいです。自分で考えて先生に話したら、先生も同じような意見でした」(同)  現在の採点方式では、無理に4回転を跳んでミスするよりもミスなく演技全体をまとめることが評価される。4回転は3種類に抑え安定性を高めることが、勝利の方程式になる。宇野は、 「今はまだ自分に勝てていない状態。五輪まで50日。コレと決めたジャンプ構成で50日を過ごしてみたらどうなるか、精いっぱい努力していきたい」  男子3枠目をつかんだ田中刑事(23)も2種類の4回転を跳ぶ逸材だ。全日本選手権では、国内記録ながら267.15と好スコアをマークし、五輪でもトップグループに肉薄できる位置にいる。本人も思いを強くしている。 「17年四大陸選手権で平昌五輪の会場で滑りましたが、力を出せず悔しい思いしか残っていません。リベンジの気持ちをあのリンクにぶつけたいです」 (ライター・野口美恵) ※AERA 2018年1月15日号より抜粋
AERA 2018/01/10 16:00
宮台真司「平成という時代は被害妄想と誇大妄想の泥沼」
上田耕司 上田耕司
宮台真司「平成という時代は被害妄想と誇大妄想の泥沼」
宮台真司(みやだい・しんじ)/59年生まれ。首都大学東京教授。小学生以下3児の父。2017年10月にAV監督二村ヒトシ氏との共著「どうすれば愛しあえるの」を、12月にイラスト満載の子育て指南書「ウンコのおじさん」を出版。元々は数理社会学者 オウム真理教の代表だった麻原彰晃(本名=松本智津夫)死刑囚 (c)朝日新聞社  最先端の若者文化や社会現象を鋭く指摘することで、脚光を浴びた社会学者宮台真司さん(首都大学東京教授)。平成の重大事件や震災などを手がかりに、社会の構造や問題点を読み解いてもらった。 ■コントロールすることで承認感覚を得たい  平成は「コントロール系」の男たちの怖さがあらわになった時代です。犯罪者の男たちに限らず、他人をコントロールすることで自分への承認感覚を得たいという欲望が強まりました。他人を支配したいのに支配できない。それで抑うつ的な不全感に陥った者の一部が、コントロール不全を埋め合わせる犯罪に向かいました。  自分がコントロールされるだけの存在だという劣等感を埋め合わせるために、弱い者を見つけてコントロールしたがる、という動きが進んだのです。そこから“ネトウヨ”も生まれたし、様々な犯罪さえ生まれました。  見栄えに気を使うのも、見掛けによって相手をコントロールすることで承認されたいという願望によるものです。平成29年(2017年)ユーキャン新語・流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれたことが、今を象徴します。 ■一つ屋根の下のアカの他人から始まった  平成は、個人が分断されて孤立した時代です。平成の幕開け(1989年)に、家族にまつわる二つの大きな事件が起こります。一つ目は、3~4月に4人の少年が逮捕された東京・綾瀬の「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。二つ目は、7月に宮崎勤元死刑囚が逮捕された「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」です。  二つは似ている。宮崎勤元死刑囚は、家の敷地のはなれで、遺体を解体した。綾瀬の事件では、階下に両親が住む家の2階で、女子高生を40日間暴行して死なせた。双方とも犯行が家族の近辺で行われています。「一つ屋根の下のアカの他人」がキーワードです。 ■糸が切れた少年集団犯罪と動機不可解な単独凶悪犯罪  実は予兆がありました。平成に入る7年前、1982年からワンルームマンション建設ラッシュになって各地で反対運動が起こりましたが、「単身世帯の孤立」と「地域共同体の空洞化」を象徴します。  続いて、組事務所撤去運動が起こります。地域と共生してきたヤクザが異物として忌み嫌われ始めたのです。昔は不良少年グループを地元ヤクザが“ケツモチ”して地域との共生の作法を教えましたが、ヤクザとの関係が薄れて「糸の切れた凧」のような少年集団犯罪の暴走が始まります。綾瀬コンクリート詰め事件はその結果でした。  他方、「東京・埼玉連続少女誘拐殺人事件」の方は動機不可解な単独凶悪犯罪の出発点です。以降、「酒鬼薔薇事件」に象徴されるような動機不可解な単独凶悪犯罪が、平成を通じて社会を揺るがすことになります。 ■エリートがこんなはずじゃなかった感からカルトへ  平成7年(95年)3月、オウム真理教の信者らによる「地下鉄サリン事件」が起きます。逮捕された教団幹部が医者や大学院生だった事実が衝撃でした。エリートのカルト犯罪も平成を象徴します。努力したのに自分はさして輝かず、人々も気にかけてくれない。高度成長期に生まれ育った世代の「こんなはずじゃなかった感」が背景にありました。  出発点は、80年代に「アウェアネス・トレーニング」(問題解決マネジメント)のブームでした。「人格改造セミナー」とも呼ばれます。自己像を支える無意識の言語プログラムを書き換える訓練のこと。70年代前半、ベトナム戦争の帰還兵が社会復帰に失敗して凶悪犯になるケースが続出したことに対処するためのセッションがルーツでした。  それが70年代後半にエグゼクティブ向けに展開する。競争を勝ち抜くには意志の力が強調されますが、意志はくじけがちなので、意志で抑え込んできた欲望の側を書き換えます。セッションを工夫すると「神の声」が聴こえたり「体が燃える」のを体験できたりします。免疫がない人は実際に起こったことだと思い込む。「神通力を使える教祖」の誕生です。  オウム真理教の事件の後、カルトを生み出す強力なアウェアネス・トレーニングは鳴りを潜めましたが、コーチングや自己啓発の名で今も生き残っています。自分が前向きになれないのは、自分の心に問題があるからだ」という「心理学化」も平成の特徴です。そこでは、社会に問題があって前向きになれない可能性が覆い隠されるのです。 ■酒鬼薔薇聖斗事件と秋葉原通り魔事件の違い  さて、平成9年(97年)に、14歳の少年Aによる酒鬼薔薇聖斗事件が神戸市で発生します。以降、数々の動機不可解な単独凶悪犯罪が連続し、人々を震え上がらせました。後にサイコパスの名で知られましたが、痛みを含めた人の感情を自分の心に映し出せない「同感能力を欠いた存在」が、社会に包摂されずに暴走したのだと考えられました。  平成20年(08年)6月の「秋葉原通り魔事件」も単独凶悪犯罪ですが、酒鬼薔薇事件や以降の類似事件とは動機構造が違う。犯人はネットで「どうでもいい存在=誰でもいい存在」として扱われたことへの復讐として殺人を思い立ちました。以降この種の「誰でもよかった殺人」が目立ち始めます。平成28年(16年)7月の「相模原障害者施設殺傷事件」や、平成29年(17年)10月の「座間9遺体事件」です。 ■コントロール不全の埋め合わせで殺戮(さつりく)するコントロール系の男  相模原と座間の両容疑者はともに90年まれで、両者とも美容整形していると報じられました。美容整形は、相手の心を見ずに自分の見栄えにこだわるコントロール志向の表れです。彼らが殺害したのは、相模原では重度障害者、座間では若い少女らという具合に、共通して「コントロール可能な弱者」を選んでいます。  他人を支配したいのに支配できない。その結果、抑うつ的な不全感に陥り、一部がコントロール不全を埋め合わせる犯罪に向かう……最初に話したパターンが見いだされます。こうしたコントロール志向は若い男たち全体の傾向です。コントロール志向が強すぎると挫折への恐れから男たちが性からの退却傾向を示します。  コントロール系の男には、女を理解しようとか幸せにしようというマインドはない。セックスにおいても、アダルト映像をなぞって「オレだってこんなこともできるぞ」という自己満足を得たがります。置き去りにされがちな女は、性からの退却傾向を示します。 ■実りなき社会で「ここではないどこか」を求めてボランティアへ  平成7年(95年)の阪神・淡路大震災ではボランティアがブームになりました。「地下鉄サリン事件」もこの年です。共通のキーワードは「ここではないどこか」。普段は存在が希薄な自分でも、どこかで非日常を経験すれば、生きていることを実感できるだろう……と。  平成23年(11年)の東日本大震災でもボランティアが活躍しましたが、そこで見られたのは「ここではないどこか」への志向ではなく、「この社会は続くのだろうか」という疑問でした。原発事故もさることながら、むしろ救援物資の奪い合いなどに見られる社会の劣化が、疑問を裏付ける形になりました。 ■愛よりカネの両親が正しさより損得の子を育てる  日本青少年研究所の国際比較調査(日米中韓)を見ると、日本には、一方で「自分は無価値だ」と思う若者がとても多く、他方で親を尊敬していない若者もすごく多い。各種の調査が共通して「女はカネがあれば結婚せず、カネがない女がカネがある男と結婚するので、カネがない男は結婚できない」ことも示しています。  カネで結びついた両親が、「愛と正しさがあれば立派に生きられる」と教えず、「勉強しないと負け組」「得をしたければ勉強しろ」と教えるのです。勝ち組が上位1割とすれば9割が自尊心を奪われるし、「愛と正しさ」を欠いた親は尊敬できません。  かくして「自分は無価値」と思う親を尊敬しない若者が、「正しさよりも損得」という生き方をします。若い世代ほど、就職率の高さや失業率の低さを理由に安倍政権を支持しているのは、それも背景にあるでしょう。 ■平成とは「分断と孤立」が招いた「被害妄想と誇大妄想」の時代  こうして、昭和末期の80年代に進んだ家族と地域の空洞化が、90年代に完成しました。人は、分断されて孤立すると、被害妄想と誇大妄想の“沼”にはまります。ルールを破った者を見つけて集団炎上する者や、排外主義的なネトウヨの増殖はその現れです。  かくして「行政は何をしている」と騒ぎ、自分の損得しか考えない人が、社会にのさばっています。共同体の崩壊を背景とする不安ゆえに「法の奴隷」と「カネの奴隷」が増殖したのが「平成」という時代でした。 (構成/本誌・上田耕司) ※週刊朝日オンライン限定記事
週刊朝日 2018/01/09 07:00
学校現場の大問題

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クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

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働く価値観格差

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職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

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ロシアから見える世界

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プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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