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8,000人動員の【Tokyo Street Collection】で、SPYAIR、175R、祭nine.、ソナポケら熱唱
8,000人動員の【Tokyo Street Collection】で、SPYAIR、175R、祭nine.、ソナポケら熱唱
8,000人動員の【Tokyo Street Collection】で、SPYAIR、175R、祭nine.、ソナポケら熱唱  2018年5月3日に武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された、日本の“おもしろい”を集めたイベント【Tokyo Street Collection】のレポートをお届けする。 【Tokyo Street Collection】写真(全11枚)  リアルなカルチャーが生まれる場所、ストリート。東京には、街それぞれに個性的なストリートがあり、刻一刻と新しいカルチャーが、生み出され続けている。そんな東京のストリートをキーワードに、音楽やファッション、アスリートなど幅広く人気者が集うイベント【Tokyo Street Collection ~日本の“おもしろい”を集めちゃいました。~】(以下、「TSC」)が武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催された。通算7回目となる今回はイベント史上最大規模となる8,000人を集め、注目度の高さを証明。人気のバンドやHIPHOPアーティスト、アイドルグループ、モデル、格闘家ら、幅広いジャンルの先鋭たちがイベントを大いに盛り上げた。  イベントへの期待感でいっぱいに膨らんだ会場は、貪欲にパフォーマンスを欲していた。オーディエンスの視線がステージ一点に注がれる中、ライブパフォーマンスの先陣という重責を担ったのは4人組ロックバンドのSPYAIR。KENTA(Drums)のアグレッシヴなドラミングとともに、IKE(Vocal)が「東京、楽しんでいきましょう!」とシャウト。その叫びが号砲かのように、1曲目からキャノン砲を豪快に打ち上げた。それは、まさしくTSCらしいイベント開始の狼煙となった。ランウェイを花道にかえて、IKEが両手を広げ「東京、声を出して!」と呼びかけるとオーディエンスも負けじと声をあげた。さらに、「サムライハート」で観客がタオルを回す様は壮観だった。エモーショナルかつパワフルなサウンドと力強い歌声で、第一声でがっちりハートをつかむと、瞬く間にその場を巨大なライブハウスに変えた。  開演から急上昇する熱気で場内のテンションは早くもマックス。そこへ、今度はIVANを始めとするモデルたちがランウェイを華麗に闊歩。BOYS AND MENの弟分で人気急上昇の祭nine.のメンバーが一度に姿を見せると、一段と黄色い声援が飛び交っていた。ライブやファッションショーだけにとどまらないのもまた、ジャンルにとらわれないTSCらしさ。アーティスティックな感性を持つ元ボクシング世界王者の亀田大毅と、その妹で、先日ボクサーとしてメキシコでデビュー戦に勝利したばかりの亀田姫月も登壇。会場をおおいに沸かせた。さらには、5月5日に現役復帰戦にして、ラストマッチを戦う亀田家の長男、亀田興毅からのサプライズ動画メッセージが届いたことがアナウンスされると歓声が上がった。2020年の東京オリンピックの会場として使われることが決まっている場所で、アスリートの熱い思いを共有できたこともまたこのイベントの良さかもしれない。  続いてランウェイに姿を見せたのは、女優やアイドルなどマルチに活躍する注目の17歳の女子高生アーティスト、吉田凛音。小柄で華奢な体躯とは思えない伸びやかな歌声で観客を魅了。4人のダンサーを従え軽やかに踊ったかと思えば、パワフルなフロウによるラップを披露し観客を驚かせた。  出演者たちによる囲み取材には、モデルを代表してIVAN、ものまねから音楽活動まで幅広く才能を発揮する青木隆治、亀田大毅と姫月、祭nine.、ビエンヌ(TiiiMO)、Rina(Carat)、中野恵那、バトシン(XOX)ら総勢17名がずらり。一気に華やいだ。亀田大毅は「最高です!」が第一声を発し男気を見せた。祭nine.のメンバーは「今日初めてランウェイを歩かせてもらって、すごく緊張したんですけと、祭nine.らしく出来たと思います」と初々しく微笑んだ。IVANは「ランウェイを歩かせてもらっているのは、大変有難いことです」と、思いたっぷりに、モデルとしての誇りをのぞかせた。青木隆治は「どうも、ブルーノ・マーズです」と、このあと初披露するものまねネタで記者達の笑いをとった。記者からの「普段のモノマネと違いますか?」という質問に、「全然違いますよ、こんな大観衆の前でやるなんて…ディナー・ショーは200~300人なので、こんな広いところでやるのは久しぶりです」と、不安を吐露。さらに笑いを取る結果になった。  その後も、ベテランバンドの175Rがキャリアに裏打ちされたタフさとパワーで観客をぐいぐいとひっぱり、熱狂を巻き起こした。かと思えば、本日2度目のファッションショーでは、モデルたちがサマーコレクションの衣装を纏い、愛らしくも美しくランウェイを練り歩いた。  非日常感に浸る間も無く、再びライブセクションではイケメングループ勢がパワーいっぱいに暴れ回った。まずは、6人組のダンス&ボーカルグループXOX(キス ハグ キス)。「まだまだ皆さん疲れてなさそうですね!」と声をかけライブがスタート。全員が歌い踊れるグループの威信をかけステージ狭しとパフォーマンスした。2ndシングルから連続でオリコンチャート・トップ10入りしている人気と実力のほどを魅せつけた。最後はダンサブルな新曲「OVER」を会場のオーディエンスにいち早く届けてくれた。  熱気をそのまま引き継いだのは、ファッションショーや囲み取材でも大活躍の男性エンターテイメント集団、祭nine.。のっけから全員でのバック転で度肝を抜いたかと思えば、名古屋のストリートで一からのし上がってきた兄貴分、BOYS AND MENの遺伝子を受け継ぐ者らしく、がむしゃらに歌い、踊り、飛び跳ねた。MCでは「今日はリーダーが欠席ですみません」と謝り、「でも、僕たち今日をものすごく楽しみにしてきました」と叫ぶと、会場のあちこちから暖かな拍手が沸き起こった。  若さはじけるライブが続いた後には、今年9月にデビュー10周年を迎える3人組、Sonar Pocketが登壇。ライブに定評がある彼らはまさに圧巻のステージだった。深みと温かみのある歌声で琴線に触れるko-daiが切なげに「好きだよ」を熱唱。一方、まっすぐに想いを届けるeyeronは「今日はがっつり(皆さんと)両想いになって帰りたいと思います」と宣言。アップテンポの「ファンファーレ」ではmattyがギターを抱えてフロントまで出てきて、ライブを盛り上げた。この曲では、タオルを手にするよう呼びかけ、全員参加で笑顔を分かち合った。百戦錬磨の3人は、瞬く間にアリーナをホームと化し、この日何度目かのクライマックスへと導いた。  一方、アーティストのものまねタレントであり、オリジナル楽曲を手がけるシンガーソングライターの才能も持つ青木隆治は、巧みなトークとお笑いをとりまぜつつ、洋楽をカヴァー。はじめにド派手なピンクのジャケットを纏ってブルーノ・マーズをパフォーマンス。囲み取材では心配していた初披露ネタだが、観客は心地よく彼の醸すグルーブに体を揺らしていた。暗転したかとおもいきや、今度はラメのジャケットに着替えて、キング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンに早変わり。もちろん、大きな拍手と歓声を浴びていた。が、ユーモアをわすれないのが青木の持ち味。ここからはモノマネ11連発で福山雅治から中島美嘉、美空ひばりなど振り幅の広い芸で観客をおおいに楽しませ、大人な余裕がにじむエンタメ時間を満喫させてくれた。  再び、華麗なファッションショーの時間を迎えると、すっかりイベントで心を解き放たれたオーディエンスは、温かな歓声と惜しみない拍手を送った。ライブイベントのラストを飾ったのは、世代を超えて愛されるシンガーソングライター、岡本真夜。飾らないメッセージを優しく歌い掛ける「君だけのStory」。ランウェイをゆったり歩きながらセンターステージに立ち、「歌える方は是非一緒に歌ってください」と呼びかけたのは、名曲「TOMORROW」。むろん大合唱となり、会場はウォームな空気で満ちた。ラストは励まされるようなアップテンポのナンバー「アララの呪文」。こちらも大合唱となりライブの幕は降りた。  グランドフィナーレは、出演者が集結。ステージを埋め尽くすほどだった。最初からイベントを盛り上げた続けた、MC ACEもようやく安堵の笑みを浮かべた。最後にコール&レスポンスをしましょう!と、呼びかけると観客は大喜び。何度もTSCを叫び合うと、華々しくキャノン砲から金色のテープが放たれた。これからも、ヤバいものを集めて発信するというMC ACEの言葉通り、TSCはますます東京のストリートが繋ぐ色鮮やかなカルチャーやエンターテイメントを届けてくれるだろう。 撮影:千株式会社
billboardnews 2018/05/07 00:00
食欲がなくて外出もおっくう… それフレイルかも?
食欲がなくて外出もおっくう… それフレイルかも?
よい姿勢を保ちながら運動する「いきいきチェア姿勢エクササイズ」 あなたの元気度がわかる11のチェックリスト(あてはまるほうに○を)(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より) フレイルとは、健康と要介護の中間の時期(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)  最近、食欲がなくて外出もおっくうで、気が晴れない。高齢者のそんな状態は「フレイル(虚弱)」と呼ばれ、要介護が間近の危険信号になる。11のチェック項目で、自分や家族の健康状態をチェックしよう。 *  *  *  焼きサバのちらし寿司、雪下大根と油揚げの煮物、小松菜のおひたし……。採れたての野菜と旬の魚をふんだんに使った料理がテーブルに並ぶ。東京都新宿区の「暮らしの保健室」での、ある日のメニューだ。  保健室は都営戸山ハイツアパート1階にあり、団地の住人らが気軽に入れる。介護や医療の専門家とボランティアが、相談に応じてくれる場だ。ここで、毎週木曜昼に「身体に優しい食事会」が開かれている。  1食500円。2013年7月に始まり、だれでも参加できる。団地内だけでなく、電車やバスで来る人もいるほど人気がある。 「手作りのごはんは、元気が出ますね。週に一度ここに来て、昼ごはんを食べるのが楽しみなんです」  団地内で独り暮らしの女性(83)は、そう話す。自分では食事を一切作らないという。普段のメニューを聞くと、朝ごはんはバナナ1本と牛乳1杯。昼はコンビニのおにぎり、夜は外食か弁当で済ます。野菜ジュースを飲むことで、食物繊維を補う。食べることがだんだんおっくうになっているようで、食事会は貴重な場だ。 「体の調子はどうですか?」。食事会に来た女性にスタッフが話しかけると、「今年の冬は寒い日が続いたけれど、風邪を引かなかったわね」と元気な声が返ってきた。  戸山ハイツは約3600世帯約5900人が暮らし、ほぼ半数が65歳以上だ。高齢化とともに、独居の人がひとりだけで食事をする「孤食」が進む。 「夫婦のどちらかが亡くなると、初めはがんばって食事を作っていても、次第に面倒になって外食やコンビニ頼みになります。そのうち、『食欲がないし、今日は昼抜きで』『コンビニ弁当は硬くて食べにくい』『外食でお金を使いたくない』と、食べること自体がおろそかになる。ついには、1日1食となる人も少なくないのです」  こう語るのは、大妻女子大学家政学部の川口美喜子教授。『老後と介護を劇的に変える食事術』(晶文社)などの著書がある。高齢者の孤食や偏食は栄養不足を生み、「フレイル(虚弱)」につながる、と警鐘を鳴らす。 「週一度の『身体に優しい食事会』だけでは、1週間の健康を保つ栄養補給にはなりません。ただ、みんなと一緒に食べれば、孤食やフレイル防止につながる。そう思って、食事会を始めました」(川口教授)  栄養バランスのとれたメニューを考え、食事会では約40人分の料理をボランティアと一緒に用意する。のみ込みやすくしたり、食欲を誘う工夫をしたり。孤食で忘れてしまった食べる楽しさを思い出し、3度の食事習慣を取り戻してもらうねらいだ。  フレイルとは、健康と言えないが、要介護にまでは至らない中間の状態。日本老年医学会が14年に提唱した概念だ。フレイルを防ぐには、「しっかりと噛んで食べる」「社会とのつながりを保つ」「運動をする」の3点が大切になる。 『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA)などの著書があり、フレイルを防ぐ対策を呼びかけてきた、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)は、フレイルを防ぐために11項目のチェックを高齢者に勧めている=下の一覧。 【あなたの元気度がわかる11のチェックリスト】※飯島勝矢教授の資料から作成 1.同年代の同性と比べ、健康に配慮した食事を心がけている 2.毎日2回以上、野菜料理と主菜(肉か魚)を両方とも食べている 3.さきいか、たくあんぐらいの硬さの食品を、普通に噛み切れる 4.お茶や汁物でむせることがある 5.汗をかく運動(1回30分以上)を最低週2日、1年以上続けている 6.歩くこと、または同等の身体活動を1日1時間以上している 7.同年代の同性と比べ、歩く速度が速いと思う 8.昨年より外出回数が減った 9.1日1回以上、だれかと一緒に食事をしている 10.自分が活気にあふれていると思う 11.何よりもまず、物忘れが気になる *「はい」か「いいえ」で回答し、「いいえ」(※4、8、11は「はい」)が3~4個だと、フレイル前段階のプレフレイル。5個以上だと、フレイルのリスクが高い。 (村田くみ) ※週刊朝日 2018年5月4-11日合併号より抜粋
週刊朝日 2018/05/03 07:00
マキタスポーツ「実は4人も子どもがいる。そして双子の育児は面倒くさい」
マキタスポーツ マキタスポーツ
マキタスポーツ「実は4人も子どもがいる。そして双子の育児は面倒くさい」
マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである』『一億総ツッコミ時代』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞 世間は双児用に作られていない(※写真はイメージ)  お笑い芸人のマキタスポーツさんによる「AERA」の新連載「おぢ産おぢ消」。俳優やミュージシャンなどマルチな才能を発揮するマキタスポーツさんが、“おじさん視点”で世の中の物事を語ります。 *  *  *  賢明なAERA読者に見透かされるようなことはしたくない。“おじさんが産んでおじさんが消費”するコラム、そんなおじさんのパラダイスをイメージして書いていくことにしよう。  我が家には4人の子供がいる。16歳(女子)、11歳(女子)、3歳(男子双児)というバリエーション。こんなに沢山の子供を持つとは思ってもみなかった。自分の無計画ぶりには呆れる。今回は双子の育児について告白したい。  生後もう3年経つがいまだに慣れない。  ところで子供というものは恐ろしいもので、大の大人がキスをせずにはいられないようなフォルムをあらかじめしている。だから私もご多分にもれずする。  しかし私は至(いた)って冷静だ。完全に心を奪われているわけではない。仕事のことを忘れたりするようなことはないし、妻をこれ以上怒らせないようにそっとスマホを閉じ、洗い物をしてあげようと考えるのだし、娘との距離感を縮めるために防弾少年団のMVを一緒に見ることだって忘れないし、大好きなグラビアアイドル小倉優香ちゃんのことも考えている。  それにしても双児がやかましい。私が何をしたというのか、私の行く手の邪魔しかしない。落ち着いて晩酌もできない。さっさと寝てもらって、一人になりたいし、だいいち、家族が起きている間はあんなことやこんなこともできやしない。  双児を生んで気付かされたことに、「世間は双児用に作られていない」というものがある。  階段の昇降をするにも、双児用のベビーカーはそれ自体で重く、2人分の体重が積載されるわけで、移動する場合はエレベーターを使用するのがパターン。  が、そこまでの動線は遠回りになることが多い、つまりその時間を想定して移動時間を計算しなければならない。で、ようやく着いたと思ったら今度はエレベーターの間口が狭く並列式のベビーカーが入らないなんて悲劇が起こる。コンビニも、スーパーも、ファストフード店や、ちょっと可愛らしい雑貨屋などなど、入り口という入り口のほとんどは双児用に作られていない。双児連れの私が不意に可愛らしい雑貨が欲しくなったらどうするのだ。  それだけじゃない。双児は声をかけられることが多い。主に午前中の住宅街は足腰の丈夫な老人がウヨウヨいて、「あら、可愛い、女の子?」なんて具合に。こちらも時間がある時だったらいい。でもそうとは限らない。  向こうサイドは日向、ベビーカーサイドが日陰だったりしてもお構いなし。マイペースに会話は続けられる。  双児にリードをつけることも検討しているが、「なんて可哀想な!」とお叱りを受ける事例が後を絶たないらしい。1人で2人を見るということはいわば“テトリスの終盤”なのはわかってほしい。  つまり、面倒くさいのだ。  イクメンが当たり前のこの時代、「面倒くさい」ということが言えないのが苦しい。  クタクタになって帰宅、双児が足にまとわりついてくる。無下にもできないので抱き上げる。その時彼らから香るあの子供独特の甘い匂い。一瞬にして「ま、いいか」となる。ズルイ。でも、それだけは真実なのかもしれない。 ※AERA 2018年4月30日-5月7日合併号
マキタスポーツ
AERA 2018/05/01 16:00
浅田舞はいまだ迷走中? 「35歳まで」の結婚願望を明かすも…
坂口友香 坂口友香
浅田舞はいまだ迷走中? 「35歳まで」の結婚願望を明かすも…
浅田舞 (c)朝日新聞社 「すごく言いづらいですけど……、35歳までには結婚したいと思っています」  4月24日にNHK「ごごナマ」に生出演した元フィギュアスケート選手でスポーツキャスターの浅田舞(29)が自身の結婚願望についてそう明かした。  4月11日には人気ロックバンド「ONE OK ROCK」のボーカルTaka(30)とのお泊まりデートが報じられ、同24日発売の『GQ JAPAN』では妹の元フィギュアスケート選手・浅田真央(27)とともに表紙を飾るなど話題を集めている。  特に『GQ JAPAN』ではアスリートらしい美ボディとゴージャスな衣装とメイクがネットでも大きな反響を呼んだ。 「舞のインスタグラムにも真央が登場して、姉妹の仲のよさを披露していますが、真央が引退してからは、姉妹での出演も多くなり、『真央ちゃんを利用してる?』といったネガティブな声も聞こえてきます」(スポーツ紙記者)  もっとも、「SNSやネットなどでは以前からアンチが少なくない」(前出・同)という。 「舞のアンチが増えたのは2016年、SNSで“カープ女子”をアピールし始めてからです。16年といえばカープが25年ぶりにリーグ優勝した年。名古屋出身の舞はそれまでドラゴンズファンとして振る舞い、始球式にも呼ばれていたのに、突然カープファンを公言し、新井貴浩選手のファンだとテレビで猛アピールしたため、地元名古屋の人はもちろん、カープファンからもバッシングされました」(スポーツライター)  元フィギュアスケート選手でモデルや女優、スポーツキャスター、タレントと舞の肩書は多岐にわたり、昨年は舞台「煉獄(れんごく)に笑う」で本格的演技にも挑戦し女優としてのキャリアを積むかに見えたが……。 「何をやっても結局『浅田真央の姉』として見られてしまうんです。舞さんは舞さんなりに挫折も味わい、芸能界でも苦労し、いろんなものにチャレンジしていますが、やはり天才真央さんの存在が大きすぎて、彼女には『真央ちゃんの姉』というステータスしか残らない。本人もそのジレンマに右往左往し苦しんでいると思います」(芸能リポーター・川内天子さん)  舞は舞なりの“メダル”を探し続けているのかもしれない。(ライター・坂口友香)
dot. 2018/04/27 11:30
お酒で入院、酩酊していた山口達也 専門医が語る依存症の恐さとは?
お酒で入院、酩酊していた山口達也 専門医が語る依存症の恐さとは?
(※写真はイメージ) (WHOによる診断ガイドライン(ICD-10)を編集部で改変)  時折むせびながらも、記者の質問にゆっくりと答えた人気グループ「TOKIO」の山口達也メンバー(46)。26日14時12分から始まった質疑応答の冒頭から、酒により体調を崩していたことを打ち明けた。  会見では、1月15日から約1カ月間入院したことも吐露。記者からの「アルコールで、ですか?」との質問には即座に否定したものの、仕事の多忙から肝臓の調子を悪くしたことで入院し、「会社(ジャニーズ事務所)の考えで病院から仕事に通っていた」とも語った。  退院したのは2月12日。「退院したし、ちょっと飲もうかな」と飲み始めたお酒は、「焼酎の瓶1本くらいは飲んでいた」とも打ち明けた。あげく「酩酊泥酔の感じ」になり、その夜、番組共演者である女子高校生を自宅に呼んでキスを迫った、くだんの「騒動」につながった――。 「TOKIO」メンバーの国分太一さんが同日朝、司会を務める情報番組「ビビット」(TBS系)で、山口メンバーについてはこう語った。 「お酒が好きだということは間違いない。病院に通っていたっていうこともあると思う。断絶したいという気持ちもあったとは思うんですけど、なかなかできなかった。だから、こういったことを起こしてしまった」  山口メンバーは「(アルコール)依存的なものはないと自分では思っている」と強調した。だが、離婚前後の2016年には、アルコール依存症の治療で有名だった病院に通う姿を入院患者に目撃されている。 「山口さんは毎週のように通院していました。車は黒のワゴン車で、窓もスモークがかかって外からは見えないようになっていた。普通の車とはまったく違うから、逆に目立っていました。到着するとスタッフが受付をしていた。私が本人を見た時はサングラスとマスクをしていたけど、すぐに山口さんだとわかりました」(目撃した患者)  一般に、自分で酒の飲み方をコントロールできなくなるアルコール依存症。「断酒」が原則だった治療に対して、酒の量を控える「節酒」での治療法も試みられている。ここでは週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2015』から、アルコール依存にまつわる治療法を紹介する。 *  *  *  東京都に住む、Aさん(39歳)は、23歳でテレビ番組の制作会社にADとして就職し、元々付き合いで飲む程度だった酒量が仕事のストレスや不規則な生活から増えた。プロデューサーになった35歳のころから、酒量は更に増えた。2年前、仕事中に突然吐血し、総合病院に運び込まれ、そのまま入院。肝硬変からくる食道静脈瘤破裂だった。治療した医師は、アルコールが病気の原因と考え、治療後に、アルコール依存症の専門病院である久里浜医療センターを紹介。Aさんはそこでアルコール依存症と診断された。  アルコール依存症とは、長い間大量に飲酒を続けることで脳に異常が起こり、自分で飲むことをやめられなくなってしまう病気だ。 「アルコール依存症は、以前は中年男性の病気とされていましたが、近年は社会環境や生活習慣の変化により高齢者や女性の患者が増え、うちを訪れる患者さんの約半数を占めています」  久里浜医療センター院長の樋口進医師はそう話す。  アルコール依存症の治療は「断酒」、つまり一生お酒を飲まないことが基本となる。そのためには患者本人の意志が何よりも重要で、その意志を継続させるために心理社会的治療と薬物療法を併用して行う。  心理社会的治療は、大きく三つ。一つめは教育だ。アルコール依存症の特徴は、本人が自分はアルコールに依存しているという事実を認められないことにある。そのため、まずは、アルコール依存症という病気を理解し、自分が依存症であることを把握させる。二つめは患者たちを集めて行う認知行動療法。なぜ入院するに至ったのか、立ち直るためにはどうしたらいいのかを本人に考えてもらい、患者同士意見を出し合う。三つめは個々に対するカウンセリングだ。この三つを繰り返し、患者自身に断酒を決断させ、実行させる。  心理社会的治療は症状の重症度によって「入院」、または、「外来」のいずれかで行う。Aさんの場合は食道静脈瘤破裂の治療で断酒できていたため、外来で通院しながら、日常生活を送るための認知行動療法、カウンセリングなどの治療を受けた。  一方、断酒を継続させるために薬物治療が併用される。従来は「抗酒薬」と呼ばれるものが使われてきた。一口酒を飲むだけで悪酔いを引き起こす働きにより、酒に対する嫌悪感を抱かせ、飲酒を予防する薬だ。しかし抗酒薬は副作用が出やすく、心臓や肝臓に問題を抱えている人は使用できない。また、患者自身も副作用の強さから怖がって飲みたがらない人が多かった。 ■飲酒欲求を抑える断酒補助薬が登場  これに対し、2013年5月、飲酒欲求そのものを抑える断酒補助薬「レグテクト(一般名・アカンプロサートカルシウム)」が登場した。アルコール依存症になると、脳の興奮に関係するグルタミン酸神経の活動が高まり、飲酒欲求を高める。レグテクトはその神経の働きにブレーキをかける薬だ。抗酒薬とは異なり、副作用も少ないため、ほぼ全ての患者に使用できるという利点がある。  ただ、レグテクトは1日3回服用する必要があるため、断酒への強い意志と規則正しい生活が必要になる。また、飲酒欲求は脳内のさまざまな神経伝達物質が関係しており、レグテクトが働くのはそのうちの一つだ。そのため「レグテクト単体での効果はまだ限定的だ」と樋口医師は言う。  今後、日本においてより効果的なアルコール依存症治療を進めるためにも、新薬の開発・承認が急がれる。 ■節酒指導での治療も実験的にはじまる  アルコール依存症の治療で大きな問題点としてあげられるのが、推計109万人の患者のうち、治療を受けている人数が約8万人と極端に少ないことだ。肥前精神医療センター院長の杠(ゆずりは)岳文医師は、一般の病院でもアルコール依存症の治療が受けられるように、国立病院機構福岡病院の中にアルコール専門外来を09年に開設した。ここではアルコール依存症の治療目標に、これまでの断酒に加えて、飲酒量を減らす「節酒」も新しく選択肢として実験的に加えた。 「現在、予備軍を加えると、アルコール依存症患者は900万人程度いるとされています。一般の病院で、しかも節酒を治療目標に加えることで、より多くの人が依存症の治療につながるようにしたのです」(杠岳文医師)  節酒の治療は外来で15分から30分程度のカウンセリングを行う。カウンセリングの目的は、このまま飲み続けるとどのような体の病気になるか正しい知識を教えることと、具体的な目標を立てたり、飲酒日記をつけたりして、自分なりの節酒の方法を一緒に考えてもらうことだ。 「たくさん飲む人ほど自分の飲酒量に不安を持っています。ただ、自分だけでは量を減らせないので、適切な指導が必要です」(同)  とはいえ、すぐに節酒がアルコール依存症治療の選択肢に加わるわけではないと杠医師は語る。 「アルコール依存症治療の基本は断酒だと思います。ただし節酒を治療の選択肢に入れることで、比較的軽症な患者層や予備軍への治療が広がることを期待しています。また13年からメタボ健診に減酒支援が加わったことで、アルコール依存症の予防に節酒が効果を発揮するでしょう」 ■アルコール依存症の診断基準  次のうち3つ以上当てはまれば、アルコール依存症の恐れがあります。 ・お酒を飲めない状況でも強い飲酒欲求を感じた ・自分の意思に反してお酒を飲みはじめ、予定より長時間または多量に飲み続けた ・お酒を飲む量を減らしたり、やめたときに、手が震える、汗をかく、眠れないなどの症状が出た ・飲酒を続けることで、お酒に強くなった ・飲酒のために仕事やつきあいなど大切なことをあきらめた ・お酒の飲みすぎによる体や心の病気がありながら、お酒を飲み続けた (WHOによる診断ガイドライン(ICD-10)を編集部で改変) ◎樋口進 医師 独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長  ◎杠岳文 医師 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター院長 (文/週刊朝日医療健康チーム、AERA dot編集部) ※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2015』から抜粋。所属は当時
健康病気
dot. 2018/04/26 16:46
ドラッグストアの売り上げ「百貨店超え」 コンビニ追い抜く日が来る?
ドラッグストアの売り上げ「百貨店超え」 コンビニ追い抜く日が来る?
コスモス薬品(c)朝日新聞社 主要各社の売上高(2016年度)(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より) ドラッグストアの用途(女性35~49歳)(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)  ドラッグストアの勢いが止まらない。買収・合併や、食品、インバウンド需要などが追い風となり、百貨店を追い抜いて7兆円産業へと成長している。2025年に10兆円の目標を掲げ、コンビニ市場に迫る展開となりそうだ。業界の戦略と未来を分析した。  日用品や食料品など普段の買い物に主婦が行くのは安さが魅力のスーパーだが、最近はドラッグストアが存在感を増している。  経済評論家の横川楓氏はこう話す。 「野菜や肉など生鮮食品を売っているところもあり、生活の必需品がそろう。取扱品もほとんどが『激安』というくらいの割引価格。いろいろな店を回ることなく買い物ができる」  売り上げ規模をみると、ドラッグストアの勢いがよくわかる。日本チェーンドラッグストア協会の調べでは、2017年度推定で前年度比5.5%増の6兆8504億円となった。00年度を基準にみると、毎年拡大し、2.6倍に膨らんでいる。全国の店舗数は2万店近くまで増え、高齢化社会を迎えて狭小商圏化への対応が進んでいるという。  最近は、便利さで成長したコンビニエンスストアと商圏が重なり合う。コンビニはこのところ停滞気味で、ドラッグストアはその売り上げ規模を射程に入れる勢いだ。日本フランチャイズチェーン協会によると、17年のコンビニ売上高は9兆4738億円。同じく伸び悩む百貨店の売上高は、日本百貨店協会の調べによると、同年でほぼ横ばいの5兆9532億円と、ドラッグストアが追い抜いた。  買い物先の使い分けについて日本能率協会総合研究所が興味深いアンケートを実施している。最も利用しているのは女性の35~49歳で、その用途はここ数年、半数以上が「安いものを買う」としてきたが、最近は「日常の買い物」が上回っている。  業界関係者は「小売業が同質化している」と言う。 「どこの小売店でも同じものを購入できる。最近はコンビニの商圏で戦うようになった。今後は専門性や独自性の強化が必要だ」  日本チェーンドラッグストア協会によると、ドラッグストアが日本にできたのは約30年前だ。15年ほど前から薬や化粧品、日用家庭用品、文房具などを扱う大型店が出現。従来の薬局と違い、店内が明るく商品も豊富で、若い世代や主婦が利用するようになった。スーパーなど他業態から顧客を奪い、成長している。  最近のドラッグストアは大きく二つに分かれる。食品を豊富にそろえ、安売りで日常の買い物客を囲い込み、採算のいい薬品や化粧品も販売して成長していくタイプ。もう一つは、調剤を含めたヘルス・ビューティーケアという専門性に力を入れた店舗展開をするものだ。  全国のドラッグストア売上高の17年度の内訳を見ると、調剤・ヘルスケアで31.6%、化粧品やトイレタリー製品のビューティーケアで20.9%、家庭用品やペット用品などのホームケアで21.5%、食品その他で26%。特に食品その他が高い伸びを続けている。  ある日の夕方。東京・銀座でコンビニと隣接するドラッグストアに足を運んだ。コンビニと同じ商品が並ぶが、チョコレートやクッキーが10円近くお得だったのをはじめ、カップラーメンは約50円、ペットボトルのコーヒーは約40円と、価格が安かった。しばらくすると、おにぎりや弁当に「30%引」の値下げシールが貼られ、サラリーマンや女性客が手を伸ばしていた。  このほか、市場調査のTrue Dataが全国のドラッグストアでポイントなどの会員延べ5千万人の購入動向を調べたところ、冷凍麺や冷凍農産素材などの販売額が伸びていた。  ドラッグストアの魅力にポイントもある。経済評論家の横川氏はこう言う。 「ドラッグストアの買い物で必ず聞かれるのはポイントカードの有無。楽天ポイントやdポイント、Tポイントなどをためられる店舗が増えているほか、ポイントがアプリでもためられるなど、スーパーやデパートの買い物よりもためやすい」  ここで激しく首位を争う主要各社をみてみよう。16年度の売上高で首位はウエルシアホールディングス(HD)。流通大手イオンの傘下で、買収・合併(M&A)で規模を拡大してきた。店舗は郊外型が多く、調剤併設率が7割近い。  このほか、予防や治療、介護面から郊外での店舗展開が目立っている。一方で、最近は都市部にも目を向け、首都圏を中心に40店舗以上を展開する一本堂を3月に傘下に収め、Tポイントを導入した。  1995年から売り上げ首位を続けていたのがマツモトキヨシホールディングス(HD)だが、2016年度は3位だった。最近は収益性も重視して事業を見直し、この2年間は成長に向けた踊り場と位置づけていたという。  同社は都市型店舗を展開し、化粧品に強い。開放的な店づくりも追い風となり、かつては女子高生の人気スポットとなった。最近は訪日外国人の化粧品需要などに力を入れる。売上高全体でインバウンド需要が11%を超える。全国約1600店のうち免税対応は480店を超える。外国人客は国ごとに売れ筋が異なるため、顧客層に合わせて店舗をグループ化し、商品構成などを工夫している。  九州中心に西日本で展開するコスモス薬品は、売り上げ構成で食品が5割を超えるユニークな存在だ。  人口1万人程度の限られた商圏に可能な限り大型店を出すことで、圧倒的なシェアを取る戦略。食品を充実させ安価で提供し、顧客が週に何度も来店してくれるようにしている。  日替わりや時間帯別の特売、ポイントカードは廃止している。特売は販売促進費がかかり、安い価格を常に継続することが顧客の信頼につながるとの考えからだ。  店舗は現在、中部地方まで展開。徐々に東に進み、近い将来は関東に出ていく。5月の決算期末までに福井県に1号店を出店するなど、北陸への進出を決めている。  ドラッグストア業界では出店意欲が依然旺盛だ。業界は2025年に10兆円の目標を掲げている。まさにコンビニに並ぶ規模だ。  業界関係者は言う。 「調剤市場は業界外に7兆~8兆円ある。便利なコンビニは10兆円の市場を持っている。これらを奪い取っていく」  勢いはしばらく続きそうだ。(本誌・浅井秀樹) ※週刊朝日 2018年5月4-11日合併号
週刊朝日 2018/04/26 07:00
2度の逮捕に40回クビ…それでも悲観しない40代ひきこもりのリアル
2度の逮捕に40回クビ…それでも悲観しない40代ひきこもりのリアル
本当は「世間」から認められたい(※写真はイメージ)  今年度から国は、初めて40歳以上のひきこもりの実態調査に乗り出す。高齢化していくひきこもりの人たちは何を思うのか。自らも「学習障害」を抱える小説家の萱野葵氏が報告する。 *  *  *  私にはひきこもりの知人が何人かいる。私自身は1月22日号の本欄で書いたように、学習障害がある。私の場合、座学の能力(言語性知能)は高いが、現場仕事の能力(動作性知能)となるとポンコツで全く使い物にならないというタイプの偏った知能を持つ学習障害だった。仕事がうまくいかなくて、ひきこもりのようになってしまった時期もある。類は友を呼ぶというのか、私の周囲にはなぜかひきこもりが集まってくるような感じだ。  今から5年以上さかのぼることになるだろうか。私は近所の飲食店でアルバイトを始めた。  学習障害を抱える私は、例によって、仕事の覚えが非常に悪かった。  そこで知り合った当時30代後半のAさんは、中学卒業後、調理師専門学校に1年ほど通い、料理店で2年近く住み込みで働いただけあって、私よりはるかに仕事ができた。  Aさんはとにかく食材をさばくのがうまかった。私と彼はその飲食店の中でも特に気が合い、いつも仕事が終わると一緒に帰っていた。家も近所だったから、私たちは彼のマンションのエントランスにしゃがみ込んで深夜まで語り合った。彼は母親と妹と、そのマンションに住んでいた。父親はもう亡くなったと言っていた。  彼に知的障害があると知ったのは、彼が中学時代、児童相談所で知能検査を受け、「療育手帳」を渡された、と聞いたからだった。私は非常に驚いた。食材の扱い方があれだけうまいのだから、障害があるとは思いもしなかったのである。  もっとも、彼は小学校も中学校も普通学級で過ごしている。  ただ、簡単な道を覚えられないところや、あるいはどこかで彼に待っていてもらう時に、「ちょっとここで待ってて、すぐ戻ってくるから」と言って私が別の場所に行き、Aさんがいたはずの場所に戻るともういなくて、後で本人を責めても「他に用があったから」とへらへら笑っているところなどに、違和感を持ったことはあった。 ●陽気に語った“武勇伝”「死刑囚に会ったよ」  Aさんには隠し事がなく、何でも陽気に喋ってくれた。  彼の逮捕歴を聞いたのも、そうした会話の中でだ。  ある日、彼は女子高生がベンチに座っているのを見て、そばに行き、「手を握っていい?」「キスしていい?」と聞いた。女子高生が逃げたので、彼は近所のパチンコ屋に入ってパチンコをしていた。すると女子高生の恋人らしき男子高校生がやってきて、パチンコ屋から引きずり出し、110番通報し、彼は逮捕されたという。それだけで逮捕? といささか妙な気がしたが、本人がそう言うなら否定する理由はない。  次の逮捕は、満員電車内での痴漢の容疑だ。若い女性のお尻を手で撫でた。女性は声を上げ、Aさんは鉄道警察隊に連れていかれた。 「ここで面白かったのがさ、結構警察って優しいんだよ」  Aさんはうれしそうな顔で、武勇伝を語るように言った。 「犯人にも人権があるから、とか言ってさ、婦人警官がいたのをその場から外させて、男の警官だけになって、ズボンを下ろさせられた」 「で?」 「勃起してたから逮捕された」  逮捕の時に書く書類は恐ろしく難しい言葉が使ってあって、自分には全く理解できなかったが、警官が勝手に調書を作ったのでそれに署名捺印した、だけど、あんなブスな女に誰が触るかよ、と彼は毒づいていた。 「警察の調書って本当意味分かんないよ」 「へえ。難しい言葉ってさ、生殖器を屹立させ……みたいに書くんでしょ」 「そうそう」  罰金刑を言い渡されたが、母親はお金を払おうとせず、彼は日給5千円の労役で罰金額相当の期間働いた。 「死刑囚に会ったよ」  と彼は自慢げに言っていたが、真偽のほどは定かではない。  とにかく、2度逮捕されても彼は一向に気にしていなかった。  Aさんの不行跡はまだまだ続いた。女性を妊娠させたのだ。その女性が出産したか中絶したか、Aさんは把握していない。女性が出産したらしいと言ってみたり、中絶したらしいと言ってみたり、話に一貫性もないし、彼女がどうなったかにも全く関心を示さない。 ●いじめや倒産で職を失い、家族の病気で単身生活に  Aさんは月に4万円の小遣いを母親からもらい、たまに外へ出たり、部屋でずっとゲームをしたりするようになった。仕事は全くしていなかった。友達もいないようだが、本人は格別寂しがってもいない。Aさんは、職歴といえば専門学校に通ったあと2年弱、料理店で働いたことと、3~4年ほどカラオケ店や工場の従業員を転々としたこと、私と一緒に入った飲食店で3カ月働いたことくらいで、いずれもいじめや倒産に遭って辞め、あとはほとんど仕事らしい仕事をしたことがない。それでも母親は「息子がいれば安心」と手元に置きたがっていた。  彼ら一家はしばらくして近所の別のマンションに引っ越した。久しぶりに彼に連絡を取ってみると、40代前半になった彼は一人で住んでいた。母親と妹は、それぞれ病気を抱え、病院や施設に入ってしまったと言う。今、彼は見舞いに行くたび、母親の年金からもらういくばくかの小遣いで生活しているということだった。  以前、女子高生をナンパしようとして逮捕された話を振ると、彼は笑い飛ばして言った。 「ああ、あれ、ちょっと格好つけたの。本当は2回とも痴漢で捕まった。若気の至りだよ」  私は自分が痴漢に遭った時のことを思い出した。どれほど怒りと不快感に苛まれていても、私は声を上げることができなかった。耐えるしかなかった。そういう男どもは逮捕もされず、家庭ではいい父親、いい夫としてふるまっているのだろうと思うと、腸が煮えくり返りそうになる。しかしAさんの場合、勇気ある被害者女性のお陰で摘発され、処罰も受けている。そう思うと、なぜか腹も立たなかった。 「何だ、2回とも痴漢か。本当にしょうもないね」  私は苦笑した。  こんなAさんを見る限り、自分の人生や将来のことを心配している様子は全くない。  私は家庭教師を周旋する会社に登録していたが、ここで知り合ったひきこもりもいた。その会社は、経営者の方針で、受験を控えた子どもだけでなく、風変わりな大人の依頼も何でも屋のように引き受けていた。  そのうちの一人がBさんだ。パソコンを教えてもらいたい、という依頼で、私が行くことになった。私はパソコンが特に得意ではなかったが、単に話を聞いてもらいたいという依頼者だろう、と経営者は言った。実際行ってみると、彼はパソコンを前に置いたまま、気のない姿勢で私の説明を聞いていた。経営者の言った通り、雑談の話し相手になることが仕事の中心になった。  Bさんは小中学校と、学習障害児だった。漢字もあまり読めず、繰り上がり繰り下がりの足し算引き算にも困難をきたした。高校は養護学校を卒業していた。その後、Aさんと同じように調理師専門学校へ入り、調理師の免許を取得した。しかし、彼のその後の人生は悲惨なものだった。20歳前後からの20年足らずの間に飲食店を約40回もクビになっていた。つまり半年に一度はクビになっていた勘定だ。最後にクビになった店に、クリーニングした店の制服と、店から貸与されていた包丁を返しに行くのが怖くてできないと彼は私に訴え、私は仕方なくそれを返しに店まで出向くことになった。  そんな彼も、健常者の女性と結婚していたことがあった。  半ば押しかけ結婚で、子どもも2人もうけた。女性が一人暮らし用に借りた部屋にそのまま住み続けていたから、2Kの間取りに家族4人がひしめき合っていたらしい。 ●40歳以上の当事者に居場所や語り合える場を  しかし蜜月期間は長く続かず、Bさんが妻の留守中にデリヘル嬢を呼んだのがばれ、それまで失業を繰り返す夫に耐え忍んできた妻も堪忍袋の緒が切れ、離婚してBさんを放り出したのだ。  それでもBさんの勤労意欲は細々と持続し、最後の飲食店をクビになってからは、トラックの運転手をしていたこともある。だが、結果的には事故を起こし、相手の鼻の骨を折るけがを負わせ、解雇されている。  短期間、牧場に勤めたこともあった。でもそこも、 「牛が草を吐くのが嫌だ」  と言って辞めてしまった。  その後スーパーに勤めるも長続きせず、挫折はどこまでも繰り返された。それ以来、彼はずっと実家にひきこもっている。Bさんの両親は息子のためだけに生きているような子煩悩だったから、大人になった彼の面倒をよく見ている。Bさんも特に現在の状況に苦しんでいる様子はない。元妻に渡した子どもたちに対する執着も微塵もない(子どもへの執着の薄さはAさんと同様だ)。両親は時々小言を言うようだが、根本的な解決を模索しようとはしていない。出会った頃40歳前後であった彼も、今や40代半ばになっている。  Aさん、Bさんという、一風変わったひきこもりを紹介してしまったが、2人ともたまたま私の近くにいたというだけで、彼らがひきこもりの典型例だと言うつもりはない。  実は40歳以上のひきこもりは地方でも深刻な問題になっている。山梨県が2015年度に行った調査では、ひきこもり人口のうち40歳以上の中高年層が占める割合は60.4パーセント、佐賀県の16年度の調査では実に71.3パーセントに達した。  しかし、Aさんたちのように、本人たちが危機感を感じず苦しんでいなければ、国のひきこもり救済制度から漏れる可能性が高い。AさんもBさんも親がこの世を去ったら生活に苦しむことになるに違いない。彼らのような緩やかな、そして高齢化していくひきこもりの人々にどう対処すべきかが、今後の課題になるはずである。  鹿児島県では、38歳のひきこもりによるとみられる大量殺人が起こったばかりだ。こうした悲劇によって世間がひきこもりを恐れたり嫌ったりすることがますますひきこもりを追い詰めていく。彼らを犯罪に走らせないためにも、居場所をつくり、ひきこもり当事者が集まって語り合える機会を提供していく必要があるだろう。孤独の淵にいる彼らだって、本当は「世間」から認められたくて仕方がないはずなのだから。(小説家・萱野葵) ※AERA 2018年4月23日号
AERA 2018/04/23 07:00
「美人すぎるバイオリニスト」 素顔は蔵書数千冊の漫画オタク
福井しほ 福井しほ
「美人すぎるバイオリニスト」 素顔は蔵書数千冊の漫画オタク
岡部磨知(おかべ・まち)/バイオリニスト。3歳よりバイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て同大学卒業、研究科修了。在学中より、演奏からモデルの仕事まで幅広く活動を始める。様々なアーティストのライブ、レコーディング、イベントにソリスト・アレンジャーとして参加。4月18日にアルバム『プリズミラクル』をリリース。22日にはタワーレコード渋谷店にて発売記念イベントも実施。ゲストはエレクトーン奏者の安達香織とアートワークを手がけたモデルの菅野結以。(撮影/金城珠代) 「猫漫画に癒やされる」と笑顔で話す岡部さん。(撮影/金城珠代) 「美人すぎるバイオリニスト」として話題となった岡部磨知。雑誌のモデルやヘアショーに出演した経歴を持ち、東京国際フォーラムやZEPP TOKYOでも観客を魅了した。テレビにひとたび映ると「美しすぎる」とSNSは賑わい、第1回Yahoo!検索大賞で検索急上昇1位にも輝いた。4月に新しいアルバムをリリースし、完璧なルックスと抜群の音楽性を見せる一方で重度の漫画オタクという一面も。その素顔に迫る。 *  *  * ――実はかなりの漫画好きだと伺いました。どういうものがお好きなんですか?  何でも読みます! 最近は大人向けの女性ものを読むことが多くなりました。ここ2年くらい猫を飼っているので、猫を題材にした漫画もよく読みます。最近だと桜井海さんの『おじさまと猫』を読んで無駄に泣いて(笑)。おじさんの孤独と誰にも飼ってもらえない猫の切なさが合致した素晴らしい作品です。今回は作らなかったんですけど、いつか猫の曲も作ろうかなって考えています。  今回のアルバムだと『g』という曲があって、これはいくえみ綾さんのバイオリンを題材にした『G線上のあなたと私』という漫画からインスピレーションを受けています。バイオリンを弾くシーンがすごく気持ちよさそうで「ここでこんな音楽が流れたらな」と思って作りました。 ――漫画からインスピレーションを受けて作ることが多いんですか?  普段からテレビや映画を観たり、漫画を読んだりするときに「これは素敵だな」って思うことがあって、そういうのがきっかけで「このシーンのためにこの曲を書こう」とか勝手に決めています(笑)。漫画だけじゃなくて、すごく可愛いアイドルの子がいたりしたら「この子をテーマに曲を書こう!」とか。私の勝手な萌え心をそのまま曲に投影していることが多いです(笑)。  韓国のドラマをぼーっと見ていたときにすごく可愛い子がいて、それがバラードになったりしています。美少女の実らない恋愛だったんですけど、「あぁ、可愛い……」と思って、久しぶりにキュンとしたからこれを書こう!と。アイドルでも漫画でも、スターオーラのある人物だったり風景だったりを切り取って曲にするっていうのが近いかなぁ。自分がときめくとかテンションが上がるものに対して音楽で表現することが多いです。 ――男性じゃなくて女の子?  男性の場合は実在する方は難しくて(笑)。女の子のほうがキュンとする。男の子の場合は二次元ですね(笑)。「このキャラのためにこんな曲を書きたいな」と考えることはありますね。 ――漫画はどのくらい読まれますか?  けっこう読みます。数えるのがちょっと怖いんですけど、この前風邪をひいて2日くらい寝込んだとき、気付いたら50~60冊くらい買っていました。私一体何万円使ったんだろう?って恐ろしくなりました(笑)。実家にも何千冊とあります。  漫画を好きになったきっかけは母が持っていた、いがらしゆみこさんの『キャンディ・キャンディ』です。小学校に入る前に読んで、ストーリーはよく分からないけど「とりあえずキャンディが可愛い」「洋服のフリルが可愛い」というところから入って。年代が上がると「どのイケメンがいいか」とかにもなって(笑)。今でもずっと好きです。 ――そこからアイドル好きにもつながるんですか?  アイドルは具体的に誰がとかではなくて、とにかく可愛い子が好き。最初はハロー!プロジェクトとか「みんな可愛いなぁ……」と少女漫画の延長線みたいな目で見ていました。全体的に女の子って可愛いなぁって思っています。漫画顔みたいな女の子がすごく好きなんです。韓国の少女時代が出てきた時に「漫画の子たちだ」と思って。アイドルの一瞬のきらめきのような可愛さが好きです。 ――岡部さん自身も「美人すぎるバイオリニスト」として一躍話題になりました。  ハードルがすごく上がるので、できればその表現は引退したい(笑)。当時メディアで「美人すぎる」とかが流行っていたときだったので、その形容詞がついたのは私が表に出た時期が大きかったんじゃないかなあと思っています。 ――同じバイオリニストとして活躍中のAyasaさんとも親交は深い?  後輩なんです。ラジオに来てくれたり、ライブを見に行かせてもらったり。Ayasaちゃんって宝塚っぽいところがあるというか、萌えるものがある(笑)。背も高いし、こういう男役がいたらいいなあというような美人さんなのに、バイオリンもすごくかっこよくて。  勝手な妄想ですけど、2人で男役・女役ができないかなぁとか思ったりもします。一緒にできたら面白いなと。Ayasaちゃんは才能もすごいし、キャラとしても面白いので。何か盛り上げていけたらいいですね。 ――音楽家として、女性として憧れている方はいますか?  素敵だなとずっと思っているのは椎名林檎さんです。生き様や音楽性がいくつになっても本当にかっこいいし、新しい。「やっぱり椎名さんだね」っていう驚きがあまりない良さではなく、「椎名さんなんだけど、またすごいことやっているな」っていう。楽曲もビジュアルも大好きです。可愛いけれど媚びずに、セクシーで、なんだかすごいなあこの人と。 ――椎名さんと共演されたことはあるんですか?  レコーディングに携わったことはあるんですけど、実際にはご挨拶程度しかなくて。でも、すっごい好きな人ってあんまり近くにいけないので、今ぐらいがちょうどいいです。近くにいたら何も喋れないか、全然好きじゃないフリをしちゃうと思います(笑)。 ■バイオリンを弾いても誰も喜んでくれなかった ――音楽を志したきっかけは?  3歳からバイオリンを始めて、小学校高学年になると毎日5~6時間、受験前は1日のほとんどをバイオリンの練習をして過ごしていました。クラシックの殿堂みたいな高校に入ったんですけど、上手な人はいっぱいいました。「私はこの先ここで何をするんだろう」ってやっている意味が分からなくなった時期に、サロンモデルをしていた美容室のヘアショーでバイオリンを弾かせていただけることになったんです。そうしたらすごく喜んでくれる人がたくさんいて。それが初めてだったんです。今までバイオリンをやったって誰も喜んでくれなかった。同級生はライバルだし、親と先生は評価をするだけだし。こっちなら道が開けるかもしれないと思いました。 ――バイオリンをやめようと思う瞬間はなかったんですか?  やめちゃうとアイデンティティがなくなっちゃうというか。「バイオリンができる磨知ちゃん」だったので。自分の存在価値がバイオリンみたいになっていたのかもしれないですね。  色んなご縁をいただいて、お仕事にできてよかった。高校生のとき、私がサロンモデルをやっているのは学校では異端児というか、不真面目な子だと思われていたんです。でも、なんでもやったほうがいいと思います。サロンモデルもやっていなかったら今はなかったなと。 ――全てがつながっていきますね。デビューまでに焦りはありましたか?  すごくありました。大学くらいから色んなことをやっていましたけど、一人でアーティストをやりたいって思ったんです。でも、なかなか難しくて。先輩方に恵まれていたのでスタジオミュージシャンとして歌手の方のレコーディングに参加したり、伴奏をつけるアレンジャーの仕事をしたり、後ろの仕事もすごく面白かったです。  でも、自分の仕事もやりたいなと思い始めて。そこからの数年間は一番悩みましたね。27、28歳あたりで「これはもう無理なんだろう」って思った時期もありました。辛かった時期は売れている人のライブを見るのが嫌でした。ライブを見て、泣きながら帰ったりしていましたね。「ダメだったんだ私の人生は……」っていう(笑)。あの時はきつかったです。 ――そういうときは何が支えになるんですか?  とにかく仕事でした。私はこんなにちゃんと仕事をして、生活の基盤がちゃんとできていて、独り立ちできているんだ!ということを自分に言い聞かせていました。歌手の方のバックで演奏するスタジオのお仕事をして、キャリアを積もう!と。キャリアだけが私の支えだ! と(笑)。すごく思い込んでましたね(笑) ――でも、それで生活ができるのも一握りですよね。  すごくラッキーでしたね。先輩、環境に恵まれました。20代前半はがむしゃらに色んなことをやっているだけなんですけど、どうも日本だと女性って年齢とかをすごく気にする傾向にあるから、「難しい、生きづらい」って勝手に思っていましたね(笑)。 ――女性特有の焦りもありますよね。これから挑戦したいことはありますか?  まずは新しいアルバムを色んな人に聴いてもらいたいです。皆さんの日々の生活の中にどう寄り添えるのか、どんな反応が返ってくるのかを見てみたい。今、音楽が多様化しているので、このアルバムがどういう風にリスナーに受け取られるのかとても興味があります。歌が入っていない、楽器だけで演奏した曲に馴染みのある世代となると上の世代が多くて、40代くらいが一番慣れているのかなという気もします。ただ、今はアニメとかゲームがすごく流行っているから、若い子たちも耳は慣れているはずなんです。それと、バイオリン人口を増やすとかもやってみたいことの一つですね。何か新しいことをやって、ブームみたいなものを作り出せればなと思いますね。  3年ぶりのアルバムなんですけど、やりたいことが音楽的に膨らんで、いつリリースしようかタイミングを図っていました。先輩のNAOTOさんからの「新しいアルバムはいつ出るの? 」というちょっとした一言がきっかけで、「今だ!」と思えたタイミングで出せることが嬉しいです。3年分の気持ちがつまったアルバムになっているかな。 ――『プリズミラクル』というタイトルも個性的です。  タイトルを決めるときは「きらめきを放つ曲たち」のイメージがベースにありました。プリズムだけだと弱いけど、ミラクルという言葉が合わさったらおまじないっぽくて可愛いかなって。語感で決めたところもあります。  私は歌詞を書くわけじゃないので、タイトルの一言でしか言葉で伝えられることがないんです。その字から「これはどんな人が主人公なんだろう? 」と想像してもらえるように。プロデューサー目線といったら変だけど、楽曲にある『ユメミゴイ』も漢字の「夢見恋」だと上の世代に見えるかな?と思ってカタカナにしました。「この主人公はちょっと若いからカタカナのほうがいいかな」とか考えています。 ――アートワークは人気モデルの菅野結以さんのプロデュースです。  結以ちゃんは高校生くらいから友達で、ずっと彼女の作る世界観や自己プロデュース能力を尊敬していました。彼女に任せれば絶対大丈夫だろうという安心感はありました。言ったことは「全ての人にウケる感じで」と一番難しいことだけです(笑)。 (聞き手/AERA dot.編集部・福井しほ)
dot. 2018/04/18 11:30
グループ魂 石鹸の“好きなバンド”The Birthdayと対バン! 約7年ぶりシングルリリースも発表
グループ魂 石鹸の“好きなバンド”The Birthdayと対バン! 約7年ぶりシングルリリースも発表
グループ魂 石鹸の“好きなバンド”The Birthdayと対バン! 約7年ぶりシングルリリースも発表  2018年4月16日、恵比寿LIQUIDROOMで開催されたイベント【三宅ロックフェスティバルvol.2】。このライブレポートが到着した。 【三宅ロックフェスティバルvol.2】写真(全12枚)  グループ魂のドラマー・石鹸こと三宅弘城が今年50歳になったことを記念して始まったイベントの第2弾【三宅ロックフェスティバルvol.2】が2018年4月16日、恵比寿LIQUIDROOMで開催された。出演はグループ魂、The Birthday、画鋲。ライブ、落語、料理コーナーなど盛りだくさんの内容となった前回の【三宅ロックフェスティバルvol.1】から一転、今回は各バンドが熱気に満ちたステージを繰り広げる本格的な対バン・イベントとなった。  開演時間の19時ちょうどにグループ魂のMC港カヲル(46歳)が登場。「女は三宅弘城である。なぜなら三宅をサウナに誘うと“イク、イク、イク~”ってなるから」という口上でオーディエンスの笑いを誘う。さらに怒髪天、ニューロティカなどが出演した前回の「三宅ロックフェスティバル」を振り返っていると、このイベントの主役である石鹸がステージに姿を見せる。「前回あんだけ誕生日祝ってもらって気が済んだかと思いきや2回目のゲストがThe Birthdayって。いつまで誕生日引きずってんだよ!」(港カヲル)「好きなバンドを呼ばせてもらいました! これから『三宅ロックフェスティバル』は対バン・イベントシリーズとして続けていきたいと思います」(三宅)というトークを挟み、The Birthdayのステージへ。「VINCENT SAID」「24時」など最新アルバム「NOMAD」の楽曲を披露、スリリングでシャープなロックサウンドによって観客の身体を揺らす。「三宅くんはね、学年で言うと俺よりいっこ上なんだよ。向こうは俺に敬語を使わせないんだけどね」(チバユウスケ/vo,g)というMCの後は、「涙がこぼれそう」「くそったれの世界」といったシングル曲を演奏し、会場を盛り上げた。  続いて登場したのは、グループ魂の暴動(g)こと宮藤官九郎と石鹸(dr)こと三宅弘城にLTD EXHAUST、199x=3のベーシストよーかいくん(b)を加えた3ピースバンド、画鋲。70年代パンク、80年代ハードコア直系のサウンドとともに「更年期」「倦怠期」「パンクたるもの」など11曲を続けざまに披露した。ここで石鹸が「シークレットゲストです。大好きな方をお呼びしました!」と遠藤ミチロウを呼び込み、ザ・スターリンの「解剖室」「ロマンチスト音頭」をセッション。さらに遠藤が「天国の扉」(ボブ・ディラン)の日本語カバーを弾き語りで熱唱し、過激かつ叙情的なボーカルでオーディエンスに衝撃をもたらした。  最後はもちろんグループ魂。オープニングの「アニマル浜口」から「グループ魂のテーマ」「竹内力」といった初期の人気曲を連発し、フロアの熱気を上げていく。さらに女子高生姿になった港カヲルが突然「今までひとつでも失くせないものってあったかな」と歌い出したことをきっかけに、チャットモンチー「恋愛スピリッツ」のカバー(チャットモンチートリビュートアルバム『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』収録)も披露された。  中盤では、港カヲル扮する中学生・皆川利美がメンバーにインタビュー取材するMCコーナー「皆川スポーツ」へ。“正解すればキス、間違えたらビンタ”というクイズが行われ、「9月5日に行われる3年ぶりのワンマンライブの会場は?」(答え/豊洲PIT)、「秋にリリースされる7年ぶりのシングルのタイトルは?」(答え/「もうすっかりNO FUTURE!」)という質問に破壊が正解。港カヲルに熱烈なキスをされると会場は爆笑に包まれた。  新曲「もうすっかりNO FUTURE!」からライブは後半へ。バイト君(大道具/村杉蝉之介)がボーカルを取る「ともかず(バイト君40歳記念ソング)」(サビは実年齢に合わせて“体は52! でもハートは中2さ”に変更)、さらに「Run魂Run」「ペニスJAPAN」などの人気曲によって観客の興奮度は一気に上がっていく。ラストの「ずるむケーションブレイクダウン」では、破壊が港カヲルにキスのお返し。大歓声のなか本編が終了した。  アンコールは定番コント「中村屋」からスタート。そしてライブの定番曲「君にジュースを買ってあげる▽(※▽:ハートマーク)」、最後は「三宅ロックフェスティバル」のテーマソング「男は泣く」を披露。港カヲルのツノヘルメット、石鹸の革ジャンを身に付けたクハラカズユキ(The Birthday/dr)がドラムを叩き、石鹸がマイクを握って熱唱する。前回は何度も“男泣き”した石鹸だが、この日は晴れ晴れしい笑顔でエンディングを迎えた。  この日、グループ魂は今秋にニューシングル「もうすっかりNO FUTURE!」をリリースすることを発表。2015年のオリジナルアルバム『20名』から約3年、シングルとしては2011年リリースの『だだだ』以来、約7年ぶりとなる本作。発売日や収録楽曲などの詳細は後日アナウンスされる予定だ。  また、9月5日に東京・豊洲PIT、9月12日に大阪・味園ユニバースで約3年ぶりのワンマンライブを開催。さらに9月13日に味園ユニバースでゲストにザ・たこさんを迎えて【三宅ロックフェスティバルvol.3】も行われる。グループ魂の今後の活動にもぜひ注目してほしい。   TEXT:森朋之 PHOTO:緒車寿一
billboardnews 2018/04/18 00:00
欅坂46・平手友梨奈「生き様を届けたい」 初主演映画『響 -HIBIKI- 』9月14日公開決定
欅坂46・平手友梨奈「生き様を届けたい」 初主演映画『響 -HIBIKI- 』9月14日公開決定
欅坂46・平手友梨奈「生き様を届けたい」 初主演映画『響 -HIBIKI- 』9月14日公開決定  人気漫画を原作とした映画『響 -HIBIKI-』の出演キャストと公開日が決定した。  原作『響~小説家になる方法~』は、2014年よりビッグコミックスペリオール(小学館)にて連載開始と同時に人気が爆発。既に累計部数・100万部を突破、更には「マンガ大賞2017」の大賞を受賞した話題作だ。  主人公である15歳の天才女子高生小説家・鮎喰響を演じるのは、欅坂46の不動のセンターとして活躍し、今作が映画初出演、そして初主演となる平手友梨奈。圧倒的な文才を持ち、自分の信念に正直で破天荒な一面を持ち合わせる響を体現する。  響の才能を見出す若手女性編集者・花井ふみ役には、数々の映画・ドラマに出演、コメディからシリアスな役どころまで幅広いキャラクターを演じ分け、最近ではNHK大河ドラマ『西郷どん』で薩摩弁を駆使した演技でも注目を集める北川景子。月川監督とは『君の膵臓をたべたい』以来のタッグとなる。  響が入部した文芸部の部長・祖父江凛夏を演じるのは『パコと魔法の絵本』で当時11歳ながら主人公・パコを演じ、日本中の涙を誘ったアヤカ・ウィルソン。2010年以来の映画出演となり、自らも小説家を志しながらも、響の圧倒的な才能との差に苦しむ女子高生という重要な役どころを演じる。  さらに、高嶋政伸、柳楽優弥、野間口徹、小松和重、黒田大輔、板垣瑞生といった実力派俳優陣の出演も決定。豪華俳優陣が、響を中心に描かれる人間ドラマを彩る。  監督は、昨年、興収35.2億円を記録した『君の膵臓をたべたい』をはじめ、本年4月にも『となりの怪物くん』、8月に『センセイ君主』など話題作の公開を次々と控えている月川翔。脚本は、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』や映画『信長協奏曲』、さらにはテレビアニメ『TIGER&BUNNY』のシリーズ構成・全話の脚本を担当し、エンターテインメント性を持ちながら、人間ドラマをしっかりと描きあげる脚本家・西田征史が務める。  超人気原作に、話題のキャスト・スタッフが勢ぞろいした映画『響 -HIBIKI-』。ヒロインの圧倒的な才能を軸に、周囲の人々の心の葛藤を描いた人間ドラマが交錯する。予測不可能。前代未聞。観た後にあなたの価値観を変える新たな「衝撃作」となることだろう。 ◎平手友梨奈コメント全文 このオファーを頂いたときに、最初はどうしようかすごく悩みました。 でも、原作を読んで、この物語の主人公、鮎喰響という女の子にひかれてしまったのと、彼女の生き様を届けたいなと思ったので、やってみようと思いました。 それでも初めてのことばかりで、不安もあるし、役を演じるけれど、演じている人間は平手友梨奈なので、もしかしたらいろんな人を困らせてしまったり、迷惑をかけてしまったりするかもしれないけれど、鮎喰響という女の子が大好きで、この子のことを伝えて、観てくださった方が生きていく中で大切なことにハッと気づかされるような作品になるといいなと思っています。 ◎月川翔コメント全文 原作の無類の面白さを、どうしたら映画でより増幅させられるか、悩みながら取り組んでいます。どこかで映画としてキレイにまとめようという気持ちは捨てました。いびつでも、強引でも、響の芯を曲げずにやりきろうと腹を括っています。 主演に平手友梨奈さんの名前が挙がったとき、リスクの大きい選択だと思いました。現場が止まるかもしれないし、大変そうだ、と正直思いました。が、それを何百倍も上回る期待感で、平手さんが演じる響を見たいと思いました。響役を表現する上で、最高到達点にいけるのは平手さんしかいないと思うからです。 北川景子さんは今、女優さんとしてとても充実した時期にあると傍目で見て感じています。これまで積み上げてこられた経験値と技術が高いレベルで調和している。そんな充実した時期に立て続けにご一緒できる喜びを感じています。 アヤカ・ウイルソンさんは間違いなくこの役に勝負をかけてくると思います。お芝居に関しては長いブランクもありますが、ハマり役になる可能性に賭けます。 ◎西田征史コメント全文 「サイレントマジョリティー」のPVを見た時から、もし響が実写化するなら、主演は平手さんしかいないなと思いました。 響の持つ、媚びない、屈しない、信念の人間、そういったイメージとあまりにもピッタリで。なにより、目が。 月川翔監督は、「黒崎くんの言いなりになんてならない」を観て以来大好きで。 あの映画は、エンタメの全てがつまっています。 今、邦画で最も「面白い作品が作れる」方だと思いました。 個人的に、最も理想とする形での実写化となりました。 後は期待しかありません。楽しみにしています! ◎公開情報 『響 -HIBIKI-』 2018年9月14日(金)全国東宝系にて公開 (C)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会 (C)柳本光晴/小学館
billboardnews 2018/04/16 00:00
有働由美子がAERAに語った「頑張り続ける気持ちが折れる時」
有働由美子がAERAに語った「頑張り続ける気持ちが折れる時」
有働由美子(うどう・ゆみこ)/1969年大阪府出身。91年NHKに入局。大阪放送局を経て東京へ。「おはよう日本」「サンデースポーツ」「NHKニュース10」「スタジオパークからこんにちは」などを経て、昨年3月から「あさイチ」キャスター (c)朝日新聞社  3月31日付けでNHKを退局した有働由美子アナ。AERA2011年12月26日号のインタビューで、「結婚や出産をしている人は確かなものがありますけど、仕事に捧げてきてスコンと席がなくなったらものすごいショックだと思う」と語っていた。インタビュー全文を配信する。 *  *  * ――「あさイチ」快調ですね。 有働:昨年3月のスタート時に立てた「3年目に視聴率10%」の目標が、ありがたいことに1カ月ぐらいで達成できました。数字がついてきたらやろうと言っていた企画にも挑戦でき、リアクションもあるので手応えを感じています。 ――衝撃的だったのが「セックスレス」特集。共感と批判が殺到し、週刊誌にも有働さんがセックスと何回言ったかが載りました。 有働:番組立ち上げのときから、40代の女性が抱えている悩みを正面から取り上げようと決めていたんです。中高年の性は、男性目線で語られることはあるけれど、女性目線で語られることはなかった。アンケートをとったらものすごく悩んでいる方が多くて、その切実な声には驚きました。たとえば夫とセックスしたくないのに求めてくる、養ってもらっているので応えざるを得ないという声も多かった。 ●5%の「嫌い」覚悟して ――「閉経」特集では、一緒にキャスターを務めるいのっち(V6の井ノ原快彦さん)も柳澤(秀夫、NHK解説委員)さんも当惑してましたけど、それを隠さないところでキャスター陣の呼吸も合っています。 有働:「絶対無理をしない」をベースにしているんです。悲しい話題だから悲しいトーンでやらなきゃとか、ゲストにこれを聞いちゃいけないとか一切なし。知らないことは知らないし、気持ち悪いことは気持ち悪いと言う。民放もNHKのほとんどの番組も「カッコつけない本音トーク」を目指していると思うんですが、視聴者の反響を考えるとなかなかできない。「あさイチ」への意見を募集すると、95%が「好き」でしたが、5%は「嫌い」。そこは織り込み済みでやらないと、ぶっちゃけトークはできません。3人の相乗効果もあると思います。 ――でも、週刊誌にさんざん書かれて、有働さん大丈夫?と心を痛めています。最初は有働さんの「脇汗」がみっともないという記事でした。でも、その後、脇汗の特集を組みましたね。 有働:ひどい番組ですよね。あれで縁遠くなった(笑)。あんなに反響があるとは思わなくて。「やっていい?」とディレクターに聞かれたとき、「ここまで書かれるならやります」と。 ――もともとそういうことを恥ずかしく思わないタイプですか。 有働:いえ、セックスという言葉も含めて、そういうことを口にすると男性に嫌われると思っている世代です。バブル世代ですから自立して働くという意識は強いけれど、男の人に気に入られてなんぼという価値観もある。30代半ばまでは、下ネタ話もわからないふりをしていました。少なくとも自分のことは言わなかった。だけど40歳過ぎた今、毎日3千ぐらい来るアンケートに励まされるんです。「なーんだ、みんなそうなんだ。だったらいいだろう」と。 ――閉経特集のときには、膣トレーニングにも挑戦して。 有働:尿漏れ防止のためにも膣トレーニングマシンに乗るという企画。表現には気をつけなきゃと、「ああ、なるほど。ピクピクする感じですかね」としか言わなかったのに、「ああ~と悶えた」と書かれました。「ああ」は納得の「ああ」だったのに。 ――「あさイチ」で有働さんの本質が花開いた感じです。 有働:特に好かれようとも思わず、自分に枠を作らなくなったので本当に楽になったし、覚悟ができました。それまでの3年間、ニューヨークのアメリカ総局にいたのですが、向こうのジャーナリストは自分で調べて報道して、全部の責任を自分で引き受ける。それまでの仕事は一生懸命はやっていたけど、そこまでの覚悟を持ってやりきれてなかったと思い知ったんです。定年を考えればそう長くは現場にいられないのに、視聴者にも嫌われないようにして、局内的にもうまくやり、誰がやっても一緒みたいには、私はやる必要はないなって考えました。 ●付けまつげでバーンと ――ニューヨークは、希望して赴任されたんですか。 有働:サラリーマンですから。38歳になっていたので今からアメリカへ行くと婚期も出産も逃すだろうし、ステップアップというより不安を抱えての赴任でした。行くと、英語は通じなくて自尊心はズタズタ。アシスタントの英語さえも、録音して毎晩単語を起こし、翌日の指示を夜中に作っていました。初のアナウンサーとしての特派員だったので、負けて帰るわけにはいかない。「今、ここでトラックが死なない程度に轢いてくれて、日本で治療しなきゃいけないようにならないかな」と2回くらい思いました(笑)。でも、だんだん英語も聞きとれるようになり、仕事も回り出して。 ――「あさイチ」のキャスターが決まったとき、ニューヨークにもっといたかったんですよね。 有働:いたかったし、独身でニューヨーク帰りなんて、主婦に最も嫌われるタイプですよ。「私なら、消すな」って(笑)。でも、クビになってもいいから自分でコメントしていこうという覚悟もできていました。 ――有働さん、付けまつげですよね。「あさイチ」から? 有働:スポーツ担当の時代からです。5%の「嫌い」の中に、とにかく有働由美子が嫌いだ、あの女のせいでNHKは信頼を失っているという声があり、その中に「あの付けまつげが浅ましい。見ていて痛々しい」というのがありました。人の感情はどうしようもないのですが、さすがにそういうコメントには落ち込み、2~3日思ったことを言えなくなる。付けまつげ、悪いですか。 ――私も付けてみたいなって。 有働:仕事用にはいいですよ。私、顔が平板だから、なんか自信のない人みたいになっちゃうので、付けまつげでバーンと元気つけよう!って。 ●顔以外でカバーする ――「おはよう日本」のキャスターに起用されたときの記者会見で「私は前任者の草野さんのように美人じゃないので」と。顔にコンプレックスがありますか。 有働:ありますよ。同期の女性アナウンサー7人のうち私以外みんな美人ですから。高校までは共学だったので、勉強や運動ができることが、可愛いと並列におかれていたけれど、国立を落ちて女子大に入った瞬間、美醜が女の価値を決めるという現実に直面しました。とくにバブル時代でしたから。 ――なのに、なぜ女子アナに。 有働:国際部の記者になりたくてNHKを受けたんですが、アナウンサーとして採用されたと聞いたときは、「やっぱ私、可愛かったんかな」と。でも、初任地の大阪放送局で「なんであんな不細工な女性アナウンサーが出てんねん」という電話を自分で受けました(笑)。「おはよう日本」は小谷真生子さん、草野満代さんの後で、「正統派でやってきたけど、民放さんが(視聴率)上げてきているから今回は変化球でいく」と言われました。普通にやっても女性的な品質を保てないなら、人と違う視点を見つけるとか、表現方法を変えるとか、頑張って取材するとか、別のところでカバーしなければ、というのは刷り込まれています。哀しいことに……。 ――大阪時代から有働さんを見てますが、当時から女子アナの枠をはみ出て面白かった。 有働:目立とうとは思わなかったけれど、面白くないのは嫌だなとは思っていました。入局したときから、先輩に視聴者のために放送しているんだということを忘れるなと徹底的に教えられました。中継でも自分が伝えたい構成を書いた上で、それを一回壊して、視聴者が面白いと思うかという視点で作り直す。でも、やっぱり受け取る側の視点でものを作るのは難しい。「あさイチ」が成功しているのは、そこだと思います。「いい取材ができた。どこも書いていない」といってネタを決めるのではなく、それって40代の主婦が知りたいのかなと考え直す。子育てや介護で悩んでいる女性スタッフも多いので、そういう個人の意見も丁寧に拾います。 ●当たるほど不安になる ――有働さん、努力家ですよね。 有働:顔がなかったですからね。 ――でも「紅白歌合戦」やオリンピックの司会で、早くからエースと脚光を浴びていました。 有働:それでお給料増えるわけでもなく、むしろ不安でした。目立ちすぎて失敗して、「ほらみろ」となるんじゃないか。当たれば当たるほど不安になるので勉強する。それでも不安は解消されない。でも、いざとなると、どうしたら視聴率を上げられるかにシフトするんです。「紅白」の司会のときも、自分のことを考えれば質素な服でカンペを読んだほうがいい。だけど、視聴者が喜んでくれるなら、私はどう思われてもいいわ(笑)、と大胆なドレスを用意していただきました。 ――この職業に向いていますね。 有働:向いてると思います。4~5年前まではウジウジ悩んで、向いてないなと思っていました。「スタジオパークからこんにちは」で司会をしていたときは、毎日自分のミスが思い出されて、しんどいわぁって。 ――どうやって乗り越えました? 有働:誰かに相談しても納得できないし、ボーイフレンドに相談しても「仕事なんかできなくても魅力的だからいい」みたいな慰められ方して、「こいつ、わかってないな」と(苦笑)。とにかく次に自分で結果を出すしかないというのは、やっていくうちにわかりました。ただ、母親には毎日電話していました。「準備していったのに、ゲストが何にも答えてくれなくて」と言うと、「あの人、そういうところあるわ」と、こちらが望むような反応をしてくれるんです。私の放送を見てなくて、誰が出演したかも知らないくせに(笑)。完全に私の味方だとわかっているので、イライラや不安の解消を助けてもらい頼りきっていました。 ●誰か終止符打って ――お母さんは9月に亡くなられたんですよね。かつては、夫に尽くす母は反面教師、だと。 有働:私はやっぱり自分の充実感のために生きてきて、そのために母を頼り、居心地のいい友だち関係も作ってきたんですね。でも、それもやりきらせてもらったので、ここから自分のために向上したいという気持ちはもうありません。できればパートナーを見つけて、自分の家族を大切にしたい。いろんな人から惜しまれて母が亡くなるのを見て、誰かのために生きるほうが人生としての充実感が大きいだろうなと思いました。 ――女性って40過ぎると、会社に居場所がなくなって、頑張り続ける気持ちが折れる人も多い。 有働:私もそういうとき、あります、あります。今は番組やらせてもらっていますけど、いつ誰に代わってもいいわけです。そのとき、結婚や出産をしている人は確かなものがありますけど、仕事に捧げてきてスコンと席がなくなったらものすごいショックだと思う。だけど、今はそれを含めて引き受けないと、と思ってます。 ――でも、今度、福山雅治さんからはインタビュアーに指名されたり、40代の働く女性には最高のモデルです。 有働:いつまで続くのか。結果がいまいちだったらと思うと胃がキリキリ痛みます。不安との闘いが永遠に続くので、どこかで終止符を打ってくれる男の人が欲しいんですけど、男の人に全然人気がないんです(笑)。 (聞き手・構成・島崎今日子)
AERA 2018/04/05 00:00
樋口新葉がフィギュア世界選手権2位、来季はトリプルアクセルに挑む
樋口新葉がフィギュア世界選手権2位、来季はトリプルアクセルに挑む
世界選手権では2位の樋口新葉と3位の宮原知子がそろって表彰台に。女子の日本勢が複数表彰台に上がるのは、安藤美姫が優勝し浅田真央が2位になった2007年東京大会以来11年ぶり2度目のことだ (c)朝日新聞社  平昌五輪を逃した樋口新葉が、世界選手権で2位。銀メダルという快挙を達成した。彼女の強さの源は「ジャンプの質」。来季はトリプルアクセルにも挑むという。 *  *  *  力強いガッツポーズ。ポロポロこぼれ落ちた大粒の涙。得点を確認するとさらに号泣──。  3月にイタリア・ミラノで行われたフィギュアスケートの世界選手権で、樋口新葉(ひぐちわかば・17)がため込んできたパワーを一気に爆発させた。平昌五輪を制したロシアのアリーナ・ザギトワ(15)、日本女子のエース、宮原知子(みやはらさとこ・20)を抑えて銀メダル。 「濃い一年でした。グランプリファイナルに出たこと。五輪シーズンを戦ったこと。世界選手権のメダルは他の選手のミスもあって棚からぼた餅なので、来年は絶対に表彰台から落ちない選手になりたい」(樋口)  確かに、ザギトワがフリーで3度転倒。他の選手にもミスがあった。樋口が言う「棚からぼた餅」的な側面がないとは言わないが、樋口の演技は十分、銀メダルに値するものだった。  そもそも今季、樋口はザギトワに肉薄していた。2017年9月のロンバルディア杯では0.83点差の217.63点で2位。11月の中国杯でも1.36点差の212.52点で2位。 「(エフゲニア・)メドベージェワは本当に練習でも一回もミスしないけれど、ザギトワはミスもある」(樋口)  と言ってのけ、世界で唯一、ザギトワに苦手意識を感じていなかった。  そんな樋口の武器はジャンプの「加点」だ。世界選手権のフリーでは七つのジャンプの加点合計が7.21。優勝のケイトリン・オズモンド(22)は6.39、宮原は0.63だから、ジャンプの質が樋口の強みであることがはっきりわかる。特にダブルアクセルでは羽生結弦(はにゅうゆづる・23)のトリプルアクセルと同じ「カウンター」という難しい足さばきから跳ぶ工夫をしている。  シーズン前半はこの加点を武器に好成績を収めたが、12月の全日本選手権は公式練習中に右足首をねんざ。2枠しかなかった平昌五輪代表を逃した。  世界選手権では、全日本のフリーでミスした3回転サルコウも工夫した。樋口にとっては簡単すぎて感覚だけで跳べるジャンプ。本番の緊張感のなかでは予想外のミスが出やすい。そこで順番を変えて、サルコウを冒頭に。難しいステップから跳ぶ振り付けにして加点を狙った。 「最初の3回転サルコウだけ緊張して跳んでしまえば、あとはしっかり練習してある『3回転+3回転』なので大丈夫。落ち着いて息を整えれば、演技後半まで集中できるようになりました。全日本選手権後、何回も曲をかけて、絶対に失敗しない練習を重ねました」(樋口)  結果、7本のジャンプはスカッとするほどのキレのよさ。うち5本では、「+3」をつけるジャッジが出た。樋口は言う。 「全日本後は気持ちの切り替えが大変でしたが、それがあったから今日の演技がありました」  樋口の銀、宮原の銅で日本女子は来季の世界選手権3枠を確保。直後から、樋口の心はその来季に向かっていた。話題の中心はトリプルアクセル。昨年4月に初めて成功して以来、毎日欠かさず練習を続けている。 「来季は絶対に入れます。去年成功したときのタイミングや氷の感覚はすごく覚えている。早く成功率を上げたいです」  ミラノから帰国した翌日、伊藤みどりにトリプルアクセルのコツを聞く機会があった。 「跳んだ後、右足に軸を移すのが遅くて両足で降りてしまう」  と言う樋口に伊藤は、 「新葉ちゃんは私と同じパワフル派。つい力で跳んでしまうけれど、実際には振り子のように体重を移動させる。タイミングで跳んだほうがいい」  無限大の可能性を秘めた17歳が、4年後に向けて走り始めた。(ライター・野口美恵) ※AERA 2018年4月9日号
フィギュアスケート
AERA 2018/04/04 16:00
亀田誠治×鈴木瑛美子がかまってちゃん「フロントメモリー」をカバー、映画『恋は雨上がりのように』 特報解禁
亀田誠治×鈴木瑛美子がかまってちゃん「フロントメモリー」をカバー、映画『恋は雨上がりのように』 特報解禁
亀田誠治×鈴木瑛美子がかまってちゃん「フロントメモリー」をカバー、映画『恋は雨上がりのように』 特報解禁  映画『恋は雨上がりのように』の最新の特報映像が解禁となり、原作者:眉月じゅんが執筆の着想を得た “恋雨”の原点「フロントメモリー」が最強タッグにより本作主題歌として新たに生まれ変わったことが明らかになった(https://youtu.be/jf6d0KHxKB0)。  本最新映像では、17歳の女子高生“あきら”が、45歳の“店長”に告白の返事を詰めより、その迫力に“店長”がうろたえる様や、台風の中“店長”がどこかに飛ばされてしまう様など、これまでの繊細で美しい映像とは一味違ったコミカルな“恋雨”の世界観を見ることが出来る。  主題歌は、原作者・眉月じゅんが本作を執筆するにあたり着想を得た、“この漫画のテーマソング”と位置付けるロックバンド、神聖かまってちゃんの名曲「フロントメモリー」。この楽曲を映画“恋雨”用に新たにカバー&アレンジするためにアーティストとして大抜擢されたのは、次世代の歌姫・鈴木瑛美子。幼少時から家族で歌うコーラスグループ、スギモト☆ファミリーの一員としてコンサート等に出演。2016年に『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦』にて、カラオケ部門でアマチュア枠を勝ち抜いた現役女子高生として脚光を浴び、2017年に湖池屋のTVCMに起用されるや、その規格外の歌唱力で大きな話題となった。今最も注目される実力派シンガーとして、本作に参加する。  そしてその比類なき新人アーティストをプロデュースするのは、音楽プロデューサーの亀田誠治。これまで椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、エレファントカシマシ、大原櫻子、GLIM SPANKY、山本彩、D-LITE、東京スカパラダイスオーケストラなど数多くの有名アーティストのプロデュース、アレンジを手がけてきた亀田が、「人類はこんなにも進化しているのか!」と息を巻くほど鈴木の規格外な才能にほれ込み、自らのアレンジにより全く新しい「フロントメモリー」を作り上げた。  この主題歌入り特報映像は、4月13日より全国の映画館で順次上映される予定。 ◎コメント ・眉月じゅん 「フロントメモリー」のアンニュイな歌詞とキラキラ疾走感あるメロディーが17歳の心情にぴったりだと感じ、勝手に主人公のテーマソングとして原稿中よく聴いていて作中引用までしちゃった曲がまさかの映画主題歌に!感謝感激です!鈴木さん×亀田さんによるアレンジも音と声がどんどん伸びていって、まるで青空へ駆け抜けていくような気分になりました。素敵です!原曲の神聖かまってちゃん・の子さんVer、川本真琴さんVerに続き、大好きな曲がもう1曲増えてとても嬉しいです。劇場で聴くのが楽しみで仕方ありません! ・小松菜奈  この「フロントメモリー」が主題歌になるなんてとっても嬉しいです! 歌声が爽やかで力強く、疾走感がありながらテンポ良く進むリズムがこの映画にぴったりだなと思いました。何度も聴きたくなるような、この感じはなんだろと思うくらいリピートしちゃいます。 鈴木さんと恋雨のコラボレーションが映画館で響き渡るのが私自身とても楽しみです! ・の子(神聖かまってちゃん) 私、神聖かまってちゃんの、の子は今回主題歌と劇伴で参加させていただきました。 元々漫画の中でもフロントメモリーや23才の夏休みという曲などをシーンインさせていただいてました。そして、今回このように作品を共に作る事ができ大変感激しておりますし感謝しています。 映画はとても素晴らしい作品になっております。永井監督はまだ若いのに天才ですね。 大泉洋さんの演技もさる事ながら小松菜奈さんに至っては容姿まであきらそのままです。 眉月先生、作品で出会えた事、嬉しいです。 『巡り合わせ』はあるんでしょうね、ありがとうございます。 最後に映画『恋は雨上がりのように』みなさん劇場に足を運んでください。 そこにあなたが人生で足りなかった何かが、必ず待っています。 ・亀田誠治 映画『恋は雨上がりのように』の主題歌は、神聖かまってちゃんの「フロントメモリー」のカバー。 名曲をカバーするってとても大変なこと。 でも、鈴木瑛美子さんが初めて僕のスタジオでこの曲を歌った時に、その心配は一気に吹き飛びました。18歳にして規格外の歌の上手さ。彼女の生歌を聴いた時、「人類はこんなにも進化しているのか!」と驚きを越えて感動したのを覚えています。しかも、瑛美子さんは頑張って歌っているのではなく、楽しんで歌っています。永遠の名曲と未来の歌姫の出会いが、新しい「フロントメモリー」を生み出したのです。 ・鈴木瑛美子 初めてこの曲を聴いたときには、自分が歌うというイメージが湧きませんでした。私はバラードやスローな曲が得意なので、アップテンポで言葉数が多い曲はあまり歌ったことがなかったからです。 しかし主人公あきらのストーリーが、中学生時代にバレーボール部でケガをして休んでいた自分のストーリーと重なり、レコーディングでは感情移入して歌うことができました。 そして亀田さんのアレンジが素晴らしく、前奏から心が締め付けられるようなサウンドになっています。全曲通してお楽しみください。 ◎リリース情報 オリジナル・サウンドトラック『恋は雨上がりのように』 2018/5/23 RELEASE WPCL.12897 2,600円(tax out.) 主題歌「フロントメモリー」 2018/5/11 RELEASE 先行配信開始 ◎公開情報 『恋は雨上がりのように』 2018年5月25日(金)東宝系にて公開 (c)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (c)2014 眉月じゅん/小学館
billboardnews 2018/04/04 00:00
NHKに見切りをつけた有働アナ、目指すは「第2の池上彰」
NHKに見切りをつけた有働アナ、目指すは「第2の池上彰」
有働由美子 (c)朝日新聞社 池上彰  (c)朝日新聞社  NHKの有働由美子アナウンサーが3月31日付で同局を退局したことを発表した。  有働アナは「NHK紅白歌合戦」や朝の情報番組「あさイチ」の司会を務めるなど、長年にわたりNHKのエースアナとして活躍してきた。  その一方で、近年ではフリー転身も取り沙汰され、とくに「あさイチ」の降板が決定した前後には同番組が視聴者から好評を集めていたこともあって注目を集めた。  そうした中、有働アナは報道各社へのFAXで同局への感謝とともに、『27年間勤めさせていただいたNHKにはたいへん愛着があり、定年までしっかり働き続けようと思っておりましたが、以前から抱いていた、海外での現場取材や興味ある分野の勉強を自分のペースで時間をかけてしたいという思いが捨てきれず、組織を離れる決断をいたしました』と理由を説明。  今後については、『有働由美子というジャーナリストとしてNHKの番組に参加できるよう精進してまいります』と綴っている。  スポーツ紙の芸能担当デスクは語る。 「有働アナは幼い頃から新聞記者に憧れ、湾岸戦争をキッカケにテレビの特派員の仕事に興味を抱き、アナウンサーを志望するようになったことを過去に明かしているように、元々、ジャーナリスト志向が強かった。以前から海外の現場取材にも興味があり、実際に07年にはアメリカ総局へ異動し、NHKとしては初めてアナウンサー職のまま特派員になっていますからね。いちジャーナリストとして海外も含めて活動していきたいというのはまさに本心でしょう」  交際が一部で報じられていた5歳年下の実業家との結婚の予定はないという。 「円満退社と表向きはなっていますが、有働さんが辞めるという噂は昨年末頃から局内で出ていた。有働さんはアナウンサーとして現場を続けたいという希望を持っていたが、上層部から管理職ポストを打診され、NHKに見切りをつけ、決意を固めたのではないかと言われています」(NHK関係者)  50歳を目前にして安定したNHKの局員という立場を捨て、夢を追う有働アナの大きな決断に対しては、インターネット上を中心に激励の声があふれているが、業界内においても歓迎ムード一色という。 「最近は元フジテレビの加藤綾子さんや元TBSの田中みな実さんをはじめ、フリーに転身して活躍する女子アナはたくさんいますが、一方で報道番組やニュース番組などでメインMCを張れる報道志向の強い女性キャスターに関しては不足していますし、“第二の池上彰”のような売り出し方も可能です。有働さんは女子アナを扱っている芸能事務所、民放各局の番組プロデューサーからしてみれば、喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。今のところ新たな仕事の窓口については明らかにされていませんが、まだ決まっていないのであれば、水面下で激しい争奪戦が繰り広げられることになるでしょう」(同スポーツ紙デスク)  有働アナの今後の動向が何とも気になるばかりである。(平田昇二)
dot. 2018/04/04 00:00
「疑似恋愛」は「アルサロ」がルーツ? 素人女性の“手作り接待”がウリ
「疑似恋愛」は「アルサロ」がルーツ? 素人女性の“手作り接待”がウリ
クリスマスイブの夜、大阪のアルサロやキャバレー、ダンスホールはどこも満員のにぎわいを見せた=1954年12月24日 大阪・梅田には、皇太子さま(当時)と美智子さまのご成婚を祝う飾り付けを施したアルサロも登場した=1959年4月 東京・銀座の並木通りは夜ともなれば客待ちのタクシーで大渋滞=1973年7月  社会風俗・民俗、放浪芸に造詣が深い、朝日新聞編集委員の小泉信一が、正統な歴史書に出てこない昭和史を大衆の視点からひもとく。今回は「アルサロ」。レッドパージ、朝鮮特需……。アルバイトサロンの第1号店は1950年に大阪・ミナミでオープンした。ホステスは女子学生やOL、主婦ら。「疑似恋愛」を求める男性客たちがこぞって来店した。関東にも伝播し、一大ブームを巻き起こした。 *  *  *  スナックにしろ大衆キャバレーにしろ高級クラブにしろキャバクラにしろ、その魅力は「疑似恋愛」にあるのかもしれない。「あ~ら、○○さん。久しぶり。会いたかったわあ」。ホステスからそう言われれば、ウソでもうれしいものだ。  同伴やアフターの誘いをひそかに期待している男性もいるだろう。店外デートを繰り返すうちに「今夜こそ、もしかしたら……」。ついつい、よからぬ思いを抱いてしまう。  だがくれぐれもご用心。遊びとは、一線を越えないからこそ遊び。そのあたりのさじ加減を間違えると大変なことになる。  今回は「疑似恋愛」のルーツともいえるアルバイトサロン、略してアルサロの話である。「素人の手作り接待」を掲げ、昭和25(1950)年、大阪の盛り場ミナミの千日前に開店したアルサロ第1号「ユメノクニ」について語ろう。  キャバレー太郎ことキャバレー「ハリウッド」の会長で実業家の福富太郎さんの著書『昭和キャバレー秘史』によると、ユメノクニは女子学生やOL、主婦など素人女性を保証給(日給200円)で採用していた。ビール200円、つきだし100円。サービス料20%がかかり、計360円が基本料金だった。指名料は200円。指名料の半分はホステスの取り分だったそうである。  国家公務員の初任給は当時4223円だった。高いのか安いのかよく分からないが、店の前に飾られた看板の宣伝文句が目を引く。当時の写真を見ると、こんな言葉が書いてある。 「来る日も来る日も/会社と家の往復/その中間に/ユメノクニがある/あすの為に今日がある/はたらく為に/レジャーがある/あなたの為に/ユメノクニがある」  職場と自宅を往復する単調な毎日。通勤ラッシュに苦しむサラリーマンの顔も浮かぶ。そんな男性にとって、ユメノクニはまさに砂漠のオアシスに映ったのだろう。一時は200人のホステスを抱えて大繁盛する。働く動機で最も多かったのが「自分の生活費を稼ぐため」、次いで「家族を助けるため」だった。「結婚の準備金を稼ぐため」と答えた女性も多かった。  アルサロという言葉は「レッドパージ」「特需」という言葉とともに当時の流行語になった。朝鮮戦争が勃発した年。戦時下で必要な業務の需要が特需を引き起こし、日本経済の復興もこの年から軌道に乗ったといわれている。イタリア映画「自転車泥棒」が社会と世相を反映して観客の人気を呼び、邦画では「羅生門」「きけ、わだつみの声」が公開された。  話を戻そう。大阪で花開いたアルサロ商法はやがて東京に伝わる。銀座2丁目にあったストリップ劇場を改装して昭和28(1953)年10月にオープンしたのがアルサロ「赤い靴」だ。文字通り、英国のバレエ映画からとった名前である。支配人は大阪から上京した根尾一朗という人だった。  純白のドレスに赤い靴がトレードマーク。テーブルチャージ無し。千円でビールが4本も飲めた。「東京ではアルサロはなじまない」と銀座の高級店の経営者たちは口をそろえたが、大いに繁盛したらしい。「赤い靴」のキャッチコピーは「偽り多き世間に、これは真実の福音です」だった。  アルサロは働く女性にとっても画期的だった。それまで主流だった「自由チップ制」は下火になり、店の売り上げや客からの指名数で変動する「保証給制」に移行していくのである。つまり、客観的な数値で評価されるようになったのだ。 「赤い靴」に続けとばかりに「メリー」「君の名は」「白いばら」「シルバーゴールド」といったアルサロが続々と銀座にオープン。「明日では遅すぎる」「お気に召すまま」というユニークな店も登場した。何が遅すぎるのかはよく分からないが、客を引きつける絶妙なコピーであることは確かである。このころ問題になったのが従業員の引き抜き。支配人が店を移るたび、息のかかった部下も連れていったそうである。  とはいえ、肝心なのはホステスの質。当時の募集広告を読むとよく分かる。 「上品な純喫茶スタイル。お迷いにならずデパートにお勤めになる気持ちで安心しておいで下さい」 「素晴らしい教養ある方に限ります。東京一高額の固定給制度です」  しかし、その後に登場した高級ナイトクラブや大衆キャバレーに押され、昭和45(1970)年の大阪万博後からアルサロ人気にも陰りが見え始める。  昭和47年5月13日夜、千日前で起きたビル火災では営業中だったアルサロ「プレイタウン」に煙が充満。客57人と従業員124人のうち、96人が店内で死亡、22人が窓などから転落死。42人が重軽傷を負い、日本のビル火災史上最悪の大惨事となったこともアルサロのイメージを悪くした。  昭和63(1988)年2月10日付の朝日新聞はユメノクニが38年の歴史に幕を下ろすことを伝えている。ホステスの平均年齢は40歳を超えていたという。  ところで冒頭に挙げた「疑似恋愛」だが、アルサロであろうがキャバレーであろうが、本質は変わらない。昭和62年に池袋で現れたと伝わる新業態の「キャバクラ」(キャバレーとクラブを合成した造語)の売り文句は「3回通えば、店外デートに誘える」だった。  ホステス(キャバ嬢)の衣装はスーツのミニが基本。客の隣に座り、ニッコリ接待する。そのときチラリと見えそうなのがスカートの中の三角地帯。情けないことに男たちはあの三角地帯が気になって仕方がない。だが膝の上にはハンカチがきちんと載せてあり、見えそうで見えない。胸の谷間も同じである。  まさに「チラリズム」の極致だろう。江戸時代、近松門左衛門も言っていた。芸というのは虚にして虚にあらず、実にして実にあらず──。その微妙な「虚実皮膜の間」に芸の本質があると。ホステスもまた芸能者なのである。 ※週刊朝日 2018年4月6日号
週刊朝日 2018/04/01 16:00
「24時間テレビ」マラソンランナーはダイエットに成功した梅沢富美男?
「24時間テレビ」マラソンランナーはダイエットに成功した梅沢富美男?
梅沢富美男(撮影/写真部・堀内慶太郎)  毎年夏に放送される日本テレビ系「24時間テレビ 愛は地球を救う」といえば、番組の名物企画「チャリティーマラソン」のランナーの人選が注目を集める。  お笑い芸人・ブルゾンちえみが走った昨年は事前の告知はなく、チャリティーマラソンランナーが番組オンエア当日にサプライズで発表されるという新たな試みも話題となった。  チャリティーマラソンランナーについては、番組の目玉ということもあり、その人選などの情報は同局内でも発表までトップシークレット扱いになる反面、こんな事情も。 「局をあげての看板番組ということに加えて、ランナーの体調管理の問題や練習期間などが必要なことから、他の番組に比べるとかなり早い時期にキャスティングは決まりますね。すでに番組の会議も行われています」とは同局の局員。  もっとも、今年のチャリティーマラソンランナーに関しては人選にかなり苦労しているようだ。 「チャリティー番組ということで、基本的には好感度が高く、老若男女に知名度があり、体力的な問題がない人がふさわしいのですが、なかなか良い人が見当たらず。ウチで昨年末に放送された『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝を果たしたゆりやんレトリィバァさんなんかの名前も挙がっていますが、昨年にブルゾンちえみさんが走っていることもあり、『2年連続で女芸人というのもどうなんだろう』という声もあって…」(同局員)  そうした中、候補の一人として浮上しているのが、梅沢富美男という。  梅沢といえば、最近では「ライザップ」のCMに出演し、肉体改造により約半年間で約13kgのダイエットに成功した姿を披露して話題となっている。  元々は、大衆演劇の女形として"下町の玉三郎"と呼ばれるなど人気を集めて、俳優、歌手として活躍。近年は、バラエティー番組や情報番組でコメンテーターとしても活動している。 「コメンテーターとしては時に厳しい意見や毒舌も披露していますが、昭和の頑固おやじのキャラクターが女子高生など今どきの若い女性たちにとってはかえって珍しく映るようで、au三太郎シリーズのCMにも起用されるなどブレークしています。元々、年配層には知名度があるうえ、若い人たちにも親しまれているという点はチャリティーマラソンランナーとしても魅力ですよね」(同局の情報番組のスタッフ)  ネックになりそうなのは、67歳という年齢だが、「11年には当時70歳の徳光和夫さんが走っている前例もありますし、今回の"肉体改造"も追い風になるのではないでしょうか」(同スタッフ)  梅沢の動向に要注目だ。(平田昇二)
dot. 2018/04/01 11:30
スマホでは培えない…日本が先進国のエリート学生に後れをとっている“能力”
作田裕史 作田裕史
スマホでは培えない…日本が先進国のエリート学生に後れをとっている“能力”
義務教育についてどう考えたらいいのか(※写真はイメージ)  多くの人が100歳前後まで生きる「人生100年時代」を迎える日本。そんな時代を生き抜くために、子どもたちにはどんな能力が必要になるのだろうか。子どもたちの義務教育についてどう考えたらいいのか、専門からに聞いた。  小学校入学から高校卒業までの12年間は、「公立か私立か」というだけでなく、多様な選択肢から最適な「学び方」を模索する時期になる。 『未来の年表』(講談社現代新書)の著者である河合雅司さんによれば、これからは地方を中心に公立小・中学校の合併が進み、男子校、女子校が共学になるなどの影響が顕著になるという。合併により、集まる生徒のレベルが維持できるのか、教師の質や進学実績が担保できるかなどの不確定要素が大きくなることは否めない。  評価、教育事業を手がける「IGS」の代表取締役で「2050未来教育研究所」の名誉所長も務める福原正大さんは「学問の基礎的な訓練という点では、日本の公立小学校はレベルが高い」とし、小学校受験の必然性は低いと語る。ただ、公立か私立かで迷うよりも、「大切なことがある」と語る。 「大学進学以降、数理的な思考はこれまで以上に必要な素養になる。プログラミング経験を小学校から積み重ねると知識、技術だけでなく、デジタルネイティブとしてのリテラシーも身につく。アワー・オブ・コード(Code.org社が世界的に展開するプログラミング教育活動)などの無料コンテンツがあるので、お金をかける必要もありません。ただ、ICTリテラシー習得のためには、スマホではなくノートPCをきちんと使いこなせるようになるべきです。スマホではコードの読み書きもできない。先進国のエリート学生はノートPCを使いこなす能力が高く、日本は遅れています」  その一方で、受験の低年齢化が進む可能性を指摘するのは、第一生命経済研究所上席主任研究員の的場康子さん。少子化で学校側の「囲い込み」が活発になるうえ、団塊ジュニアの親世代も自分が経験した受験競争から「学歴は大事」との意識がまだ根強く残っているからだという。 「親に援助してもらえる人は別として、一般的な世帯では、自身の老後資金をためるのは50代以降にすると割り切るなどの決断が必要になるかもしれない。子どもが奨学金を抱えることは将来の『学び直し』の足かせになります」(的場さん)  政府の「人生100年時代構想会議」では、将来的に年収590万円未満世帯は私立高校実質無償化を提言している。それが実現しても、エスカレーター式の私立に行かせれば安心、という時代ではない。中高一貫で6年間じっくりと学ばせるのがいいのか、親元を離れて全寮制の学校に行かせて自ら学ぶ力を養ったほうがいいのか、など選択肢は無数にある。 「学校の転籍が難しい日本では、コミュニティーが合わないと中高一貫では6年間引きずってしまうことになるし、全寮制に入って親のサポートがなくなったがゆえにつぶれる子もいる。大学受験がない付属校に行くことで、理系分野や第2外国語をしっかり学ぶ素養ができることもある。この時期は本当に子によって千差万別なので、親が『子どもが伸びる時期』を観察しておく必要があります。新聞を読んで意見を言い合ったり、読んだ本を共有することなども子どもの学習意欲を測る上で効果的です」(福原さん)  情報収集、子の適性判断など、親のフォローが最も必要な時期と言えそうだ。(編集部・作田裕史) ※AERA 2018年4月2日号より抜粋
AERA 2018/03/29 11:30
井上苑子 20歳を迎えての初リリースはミニアルバム『Mine.』収録曲MVも公開
井上苑子 20歳を迎えての初リリースはミニアルバム『Mine.』収録曲MVも公開
井上苑子 20歳を迎えての初リリースはミニアルバム『Mine.』収録曲MVも公開  シンガーソングライターの井上苑子が、2018年6月6日にミニアルバム『Mine.』をリリースする。 井上苑子 MV  20歳を迎えての初リリースは、メジャーデビュー以来となるミニアルバム。“エモーショナル”をテーマに、自分の足で新たな道を作っていきたいという想いで制作された全6曲は、ROCKを軸とした、井上苑子の新たなフェイズを予感させる内容となっている。  リリースに先駆けて、企業とコラボし就活生を応援するタイアップソングとなった新曲「踏み出す一歩が僕になる」のミュージックビデオが公開(https://youtu.be/7fpHQcsNufY)。現在主要音楽配信サイトでも先行配信中となっている。  なお、4月21日からスタートする春ツアー【Inoue Sonoko Spring Rock!! Tour 2018~エレキで駆け抜けるで!!~】では、のこのミニアルバムからの新曲も披露するとのこと。今回のライブコンセプトの「Rock!!」にちなんで、リクエスト曲を募集してライブで披露するリクエストコーナーも予定。オフィシャルTwitterから歌って欲しい曲をリクエストすることが出来る。 ◎リリース情報 「踏み出す一歩が僕になる」先行配信中 iTunes:http://po.st/humidasu_it レコチョク:http://po.st/humidasu_re LINE MUSIC:http://po.st/humidasu_lm ミニアルバム『Mine.』 2018/06/06 RELEASE <初回限定盤(CD+DVD)> UPCH-29301 / 2,300円(tax out.) <通常盤(CD)> UPCH-20489 / 1,800円(tax out.) 【共通CD】 「踏み出す一歩が僕になる」を含む、全6曲収録予定。 *CD収録内容は初回限定盤・通常盤共通。 【初回限定盤DVD】 「井上苑子 20th Birthday “JUKE BOX” Tour」@東京・昭和女子大学 人見記念講堂(2017.12.11) LIVE映像を数曲収録予定。 【早期予約特典】 ラバータオルホルダー 下記の予約期間内に、対象店舗で『Mine.』を予約して購入したお客様にプレゼント。特典のお渡しは『Mine.』購入時になります。 予約期間:3月28日(水)~ 4月22日(日)23:59まで。 対象店舗: ・UNIVERSAL MUSIC STORE ・タワーレコード全店(オンライン含む) ・HMV全店(HMV&BOOKS online含む)  ※早期予約特典は 初回限定盤・通常盤共通。
billboardnews 2018/03/28 00:00
平昌パラのヒロイン、金銀銅の扉をこじ開けたのは自身の行動力だった
平昌パラのヒロイン、金銀銅の扉をこじ開けたのは自身の行動力だった
笑顔の先には涙を流す母、操さんの姿も。かつて引っ込み思案だった長女の成長に操さんは「なんか、遠い世界に行っちゃったみたいです」 (c)朝日新聞社  連日のメダルラッシュで一躍、平昌パラリンピックのヒロインとなった。アルペンスキー女子座位の村岡桃佳。想像以上の成長は、その行動力がもたらした。  金メダルをかけた3月14日の女子大回転。1本目を終えた時点で、村岡桃佳(21)は2位に1.40秒差のトップに立った。  勝負は2本目との合計タイムで決まる。村岡は出場選手の最後にスタート位置についた。1本目でトップでも、ミスをしたら逆転される。過去に何度も繰り返された展開が頭をよぎった。 「守っては勝てない。攻めるしかない」  自分に言い聞かせて、急斜面へと滑り出した。  シートを支える1本のスキー板が雪面を切るように進む。46の旗門が待ち構えるコースは、午後3時を回り荒れ始めていた。だが、村岡の滑りは乱れない。 「アドレナリンが出てたんですけど、どこか冷静に見ている自分もいて」  初めての感覚だった。  電光掲示板に途中のチェックポイントのタイムが刻まれる。1.40秒だった2位との差が広がっていく。1.66秒、2.15秒……。最後の斜面に入った時には、優勝を確信した観客席から大歓声が上がった。  2.71秒差の快勝。4種目にして、初の金メダルをつかんだ。 「やっと自分の殻を破れたかな」  左手を突き上げ、観客の熱狂に思わずフフッと笑った。一人で金銀銅の3色を手にする今大会のメダルラッシュは、村岡自身予期していなかった。  4歳の夏。突然、両足が動かなくなった。横断性脊髄炎という病気だった。小学生で車いす陸上を始め、中学時代は全国大会で100、200メートルの2冠。中2で本格的にスキー競技に転向した。高校2年でソチパラリンピックを経験したが最高で5位。表彰式を眺めながら、メダルへの憧れが芽生えた。  名門・早稲田大学スキー部の門をたたいた。一度は断られたが、トップアスリート入試に挑戦。パラアスリートとして初めての合格を果たした。自ら競技環境を切り開き、世界大会表彰台の常連になった。それでも、 「レースになると力が発揮できなくて……」  日本代表の志渡一志ヘッドコーチも、金メダルの可能性を問われると「頑張れば行けそうな気もしますけど……」。  そんな21歳を変えたのが、平昌パラリンピックだった。  最初の種目、滑降で銀メダル。重圧から解放された。スーパー大回転、スーパー複合で続けて銅メダル。 「悔しい。金が欲しいです」  大会前には聞けなかった、強い思いがあふれ出た。  天候による日程変更で、4種目目は苦手の回転ではなく得意の大回転になった。 「金を取るなら、ここしかない」  弱気な自分はもういなかった。  村岡のメダルラッシュで注目を浴びたチェアスキーだが、競技人口は多いとは言えない。村岡が金メダルをとった平昌パラリンピックの女子大回転に出場した選手は10人。難度の高い滑降で完走できたのは、7人のうち4人だった。国内にも村岡と同年代の女子選手はいない。村岡は冗談交じりに振り返る。 「体験会に行くうち、若手として期待されやめられなくなった」  世界のレベルは上がりつつある。ソチではスーパー大回転で狩野亮(32)が2連覇するなどメダル五つだった日本男子アルペンだが、平昌では苦戦。女子もソチ5冠のアナ・シャフェルフーバー(独)が大回転では表彰台を逃した。この4年で勢力図は激しく入れ替わっている。  念願の金メダルを手にして、村岡は言った。 「もっとたくさん金メダルを取れる選手になりたいと思います」  4年後の北京大会は25歳。レベルアップしてくるであろうライバルに立ち向かうことになる。(朝日新聞社会部・高野遼) ※AERA 2018年3月26日号
平昌五輪
AERA 2018/03/20 16:00
JKビジネスの源流は東海に? 知られざる「色街」の歴史
JKビジネスの源流は東海に? 知られざる「色街」の歴史
東京・新宿にあった赤線地区の夜=1949年 大阪府内の青線地帯では警察による一斉手入れがあった=1956年 東京の上野公園には、午後6時から翌朝午前6時まで立ち入りを禁止する立て札が立てられた=1948年  社会風俗・民俗、放浪芸に造詣が深い、小泉信一・朝日新聞編集委員が、正統な歴史書に出てこない昭和史を大衆の視点からひもとく。今回は「赤、青、白、黒線」。「色街」といっても、いろんな色がありました。 *  *  *  以前、本欄でも紹介したが、復習の意味も込めて「赤線」の定義から始めたい。原点は終戦直後。大衆のガス抜きの目的もあり、娼婦を集める必要性を半ば感じた日本政府はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の了承を取り付け、“公娼”地帯を定めることになった。その俗称が赤線である。旧遊郭と重なる場所がほとんどだったという。地図上で営業許可区域を赤い線で囲ったことが命名の由来になったと言われているが、確証はない。  表向きは一般の飲食店の営業許可を受けているが、別室を設けて「娼売」した店もあった。青線である。そこで行われている内容は赤線と同じ。桃色でも緑色でもいいと思うが、なぜか青になった。 「ダンナ、いかがですか」「いい娘、紹介しますよ」。そんな調子で声をかける「客引き」(通称・ポン引き)も路上を流していた。赤線にしろ青線にしろ、「男と女の自由意思による行為」が大前提だった。 「『白線』というのもあったんですよ。シロセンではなく、パイセンと呼んだんです」  そう教えてくれたのは遊郭街・吉原で暮らしていた伝説の風俗ライター吉村平吉さんだった。氏の説明によると、場所は飲食店なのだが、従業員が個人的に営業活動する。そんな店が集積した「素人色の強い私娼街」のことを指すという。うーん。ややこしいなあ。  街という形態でなく、あてもなくさまよって路上で娼売する人たちも「パイセン」に含まれていたようである。家賃も光熱費も水道代もかからない究極の商売。眉と口紅を強調した厚化粧で夜の街に出る。 「悲しいとか、情けないとか、そんな人間らしい感情は消えたわよ」──女が啖呵を切る様子が目に浮かぶ。  その聖地が東京の上野だった。一種の暗喩的な意味も込めて言葉をひっくり返し、「ノガミ」と呼ばれた。特に上野公園の周辺がすごかったらしい。西郷さんの銅像が立つ「お山」を中心に数百人が出没した。  その中には「マッチ売り」と呼ばれる女性もいた。木立の陰でマッチが燃え尽きるまで股間を鑑賞させる商売だった。  園内の植え込みや共同便所の中を好んだのは俗称「カキ屋」と呼ばれた人たちだ。主に指と手のひらの商売である。客の年齢層は比較的高く、社会的地位が高い人もいたという。  カキ屋の中には男性もいた。警視庁が「カリコミ(刈り込み)」をする。要するに摘発だ。警察官が懐中電灯で便所の入り口辺りを照らし出すと、数人の男たちがクモの子を散らすようにパーッと逃げ出る。上野公園を「上野ジャングル」と呼んだ作家・坂口安吾は著書『安吾巷談』でそのあたりのやりとりを巧みに描写している。 〈一瞬にして八方へ散る。ヨレヨレの国民服みたいなものをきた五十すぎのジイサン。三十五六の兵隊風の男。等々。いずれも街頭でクツをみがいているような人たちだが、共同便所の暗闇の中で、泥グツをみがくにふさわしい彼らの手で、一物をみがいてもらう趣味家はどんな人々なのか、まるで想像もつかない〉  一瞬で果ててしまう人もいたのだろうが、料金は時間にかかわらず1回50円。当時、そばが1杯15円だったので、それほど高額ではなかったようだ。  警察のカリコミに対し、娼売する方はあれこれ弁明していた。「かんべんしてください。生活できないから、仕方ないんです。初めてなんです」とかなんとか……。視察中の警視総監が男娼に殴られる事件もあった。昭和23(1948)年11月22日夜。犯人は32歳の通称「オキヨ」。大阪出身。少年時代に目覚めたという。 「なんや知らんけど、大勢の男たちがやってきて、いきなりカメラマンがフラッシュを光らせたのよ。アタマにきたんで一番偉そうな人を殴ったんよ」  当時の取材にそう答えている。天下の警視総監の視察。大勢の新聞記者が同行していた。もちろん公務執行妨害と暴行の疑いで現行犯逮捕されたが、オキヨは全国の男娼から英雄視されたという。  安吾も感動した敗戦後の「ノガミ」の風景。本当に人間くさい。「娼売としてのフーゾクではなく、生活としてのフーゾクがひっそりとではあるがしっかりと息づいていた」と風俗評論家・岩永文夫さんは著書『フーゾクの日本史』(講談社)で書いている。  近縁種の業態としては「ナメ屋」があり、かなりの年齢の熟女も加わっていたというが、詳しく書くことはやめておこう。  白だけでなく黒もあった。「黒線」である。これは背後で反社会的な勢力が糸を引いていて、かなり危険な一帯だったという。見知らぬ男との肉体だけの交渉。暗くよどんだ空気が漂い、百鬼夜行がうごめいているような感じもする。  黒ではないのだろうが、東海地区のある町には「ステッキ・ガール」と呼ばれた女性が路上に立っていた。散歩などの際、ステッキ代わりに連れて歩く女性のことを意味する。時間を決めて散歩のお相手をし、料金をもらう女性である。東京の秋葉原では女子高生と一緒に散歩する「JKビジネス」が社会問題になったが、いつの時代も色々な商売が成り立つものである。  赤、青、白、黒とカラフルな呼び名ではないが、「ちょんの間」というのもある。「ちょっとの間に行為する」というのが語源だそうだ。「アルバイト料亭」とも呼ばれ、有名なのは大阪の飛田新地だろう。宿場町として江戸時代から栄えた川崎(私の故郷)の通称「堀之内」にも、小さな店舗のガラス張りの中に女性が立っていた。交渉が成立すると客は店内に入り、2~3畳の布団が敷かれた部屋でサービスを受ける。30分1万円が相場だった。  売春防止法が施行された昭和33(1958)年には業者の組合も設立された。平成初期のバブル経済期には70~80店舗が加盟していたというが、警察の取り締まりが強化され、2005年に解散した。同様に、横浜・黄金町のガード下に巣くっていた「ちょんの間」も一掃され、往時の面影はない。赤線、青線、白線、黒線……。平成後の来たるべき時代は、どんな色が街を彩るのだろうか。 ※週刊朝日 2018年3月23日号
週刊朝日 2018/03/20 16:00
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

ロシアから見える世界

プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

ロシアから見える世界
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