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プロとの交流も自由…甲子園を目指さない高校野球部が誕生(上)
プロとの交流も自由…甲子園を目指さない高校野球部が誕生(上)
2013年10月2日、芦屋学園高に「甲子園を目指さない野球部」を新設することを発表した兵庫・高下球団代表(芦屋大にて)  野球界の現状に対する“アンチテーゼ”とも言える画期的なアイデアが発表されたのは、2017年11月7日のことだった。 「甲子園を目指さない高校野球部」  関西を拠点に活動するプロ野球独立リーグのベースボール・ファースト・リーグ(BFL)が、来年2018年から高校生を受け入れるために構築する新たな育成システムの骨子をまとめると、こういうキャッチフレーズになる。  その仕組みと、こめられた意味を説明していこう。  BFLの兵庫球団が向陽台高(大阪府茨木市)と、そして和歌山球団も神村学園高(鹿児島県いちき串木野市)とそれぞれ教育提携を締結する。それぞれ発足させる「育成チーム」は独立リーグ球団、つまりプロの「下部組織」となる。  その育成チームに所属するのは、2018年度の新入生と転入、編入してきた高校生で、上限は31人。選手たちはそれぞれの通信制高校で学びながら、育成チームでプレーすることになるのだが、この2チームはいずれも日本高等学校野球連盟(高野連)には加盟しない。ここが大きなポイントになる。  高野連に加盟しないと、まず「甲子園」を目指すための各都道府県大会には参加できない。つまり「甲子園を目指すことができなくなる野球部」になるのだ。さらに、現状のルール下では、高野連に加盟する学校とは練習試合を行うこともできない。  一方で、日本学生野球憲章には従う必要がないため、同憲章で制限されているプロとの接触や直接指導を受けること、さらにはプロ相手の交流戦に出場することにはまったく制限を受けない。 「もうひとつの成功のための受け皿になるという理念です」  このプランの仕掛け人であり、兵庫、和歌山両球団の代表とGMという『4役』を兼任する高下沢(こうげ・たく)が、その狙いを明かしてくれた。言葉をほんの少しだけ生々しくすれば、『既得権』に対しての『新勢力』とでも言えるかもしれない。1984年生まれというこの若き経営者が、野球界に新たなる風を吹き込もうとしている。  このプランの下地作りは、実は6年前にスタートしていた。その経緯を追っていく前に、まずは高下という男のキャリアをたどっていきたい。その歩みの中に、今回のプランに秘められた思いや狙いが見えてくるからだ。 *  *  *  高下は選手として決して華々しいキャリアを歩んできたわけではない。プロを目指し、広島工業大でプレーを続ける中でもうワンランク、自分の実力を上げたいと考え、大学4年のときに休学。独立リーグの四国アイランドリーグ(当時、現・四国アイランドリーグplus)の香川への入団を決意した。  2005年8月23日。シーズン中でのプロ入りとなった高下は、ナイターでの試合にいきなり出場した。 「衝撃的でした。すごい世界でした」  独立リーグとはいえ、スタンドには数百人レベルの観客が詰めかけている。いいプレーには拍手が沸き、つまらないプレーにはヤジも飛ぶ。勝利を求め、自らのパフォーマンスを出し切ろうとする『プロ』の世界に、高下は魅了された。 「学生の自分でも、こういう環境でプレーすることができれば、自分はもっと野球がうまくなる。そういうことが学生だとどうしてできないんだろう? そういうものが作れないのかな。ずっとそう思っていたんです」  アマとプロをつなぐことができれば──。それは、野球界にとっての永遠のテーマでもある。1961年4月、社会人野球のシーズン真っただ中に日本生命の外野手・柳川福三が中日と契約。プロによる強引な選手引き抜きに反発した社会人側は、この「柳川事件」を機に翌62年からプロ球団退団者の受け入れを拒否。以来、プロとアマは事実上の断絶状態に陥った。また、1950年に制定された「日本学生野球憲章」でもプロ選手と学生との接触が厳しく制限されてきた。  同じ競技でありながら、今も厳然と存在しているプロとアマを隔てるその『壁』を何とか崩せないのか。学生時代の体験から生まれた発想を形にしたいという思いを、高下は抱き続けてきたのだ。  大学を卒業した高下は2009年に発足直後の関西独立リーグの明石へ入団し、2010年には同じ関西独立リーグの神戸に移籍。転機は、そのオフに訪れた。神戸は資金難から球団経営を断念しようとしていた。そんなとき、高下のもとへ思わぬ話が舞い込んできた。 「球団経営をやらないか?」  関西独立リーグは2009年、神戸、明石、大阪、紀州の4球団で発足した。兵庫球団の前身である神戸9クルーズは、当時16歳の女子高生投手・吉田えりを獲得。ナックルボールを武器に男性選手に立ち向かうその可憐な姿は大きな話題を呼んだ。  しかし、その華々しい船出の裏で、リーグも球団も資金難に苦しんでいた。開幕して1カ月足らずの5月に入っても、リーグ側が開幕に合わせて4球団に約束していた「3000万円」の分配金が振り込まれず、資金繰りがつかなくなった各球団が選手たちに給料が支払えない事態が発生した。リーグ代表は引責辞任。しかし、その後も状況は好転せず、翌2010年には選手の最低給与を月20万円から8万円にまで下げた。さらに同6月からは神戸、明石、紀州の3球団が全選手の「給与全額カット」が決定。プロを名乗りながら、報酬がゼロという異常事態に陥ったのだ。  それでも、野球を続けたい。その強い意志を持った神戸の選手13人が結束、兵庫県三田市を本拠地とする新球団『兵庫ブルーサンダーズ』が創設された。高下は選手兼任で球団代表に就任。NPO法人での球団経営という、日本の独立リーグでも初の試みに挑んだ。  選手給与は全員ゼロ。その厳しい環境の中、関西独立リーグ、BFLで今季までの7シーズンで5度の年間優勝を遂げている。その一方で「兵庫はボランティア活動が主なのか?」と言われるほど丹念な地域貢献活動を続け、本拠地の三田にとどまらず、篠山、西脇、猪名川、芦屋の周辺地域などでも野球教室を開催。選手たちは球団の活動に賛同した三田市内の企業や飲食店でアルバイトに従事するなど、地域とのつながりをしっかりと深めてきた。  こうした高下らの地道な取り組みに着目していたのが学校法人の芦屋学園だった。球団が続けていた、兵庫県内での「地域貢献活動」への協力態勢を築くために始まった両者の話し合いの中で、野球界の常識を越えたある構想が浮上してきたのだ。 *  *  *  芦屋学園は教員育成の一環としてスポーツ活動の充実を図ってきた。中学、高校、そして芦屋大学の10年一貫指導の中で、バスケットボールやボクシングにおいてプロのコーチの指導を受け、プロとの試合を通してその技術を磨き、また大学のスポーツマネジメントコースの中でプロスポーツクラブ運営のノウハウを学び、将来の経営者を育成したい狙いもあった。そうした中で、野球部を創設した場合にもプロの指導を受け、プロと試合を行うことはできないのだろうかと模索していた。  そこで、高下が提案したのが、芦屋学園の運営する芦屋大学が「全日本大学野球連盟に入らない」ことだった。  所属リーグの春季リーグで優勝したチームが出場する「全日本大学野球選手権大会」は毎年6月、神宮球場を中心に開催される。高校生の聖地が甲子園なら、大学野球の選手たちにとっては大学日本一をかけて神宮で戦うことが最大の目標だ。大学側にとっても、全国的な知名度を上げるのには絶好の大舞台でもある。ただ、連盟に所属しなければ、その挑戦権は得られない。  ところが、芦屋学園側は「それには興味がなかった」という。「埋もれた人材の才能をいかにして引っ張り出すか」という学園側の目的に合ったプランが「兵庫との話だった」と説明する。プロが常時、大学生を指導し、それによって新たな才能を開花させることができる。「日本学生野球憲章」の効力外なら、兵庫球団というプロと芦屋大学が“コラボ可能”になる。ならば、新たに立ち上げる芦屋大野球部は連盟に入らなければいい――。その結論に至るまでには、時間はかからなかったという。  2011年11月24日、芦屋大は高下が球団代表を務める兵庫との教育提携を発表した。その中に、球界に一石を投じるこの“仕掛け”が組み込まれた。  プロと学生の接触を制限している「日本学生野球憲章」に基づけば、兵庫球団に芦屋大の選手が加わって練習や試合を行うことは、まず実現不可能だ。全日本大学野球連盟に加盟しなければ、現行の全国大会やリーグ戦にも参加できず、連盟外のチームとの交流も同憲章で厳しく制限されているため、他大学との練習試合すら組めない。ただ、憲章によると「本憲章を遵守」する対象として明記されているのは、学生野球団体に登録された野球部員と加盟校および指導者とある。そこで、芦屋大側は日本学生野球協会にふたつの疑問点を問い合わせている。 (1)独立リーグは『プロ扱い』なのか? (2)一般学生は憲章の適用を受けるのか?  これらの質問に対する連盟からの回答は(1)プロ扱い、(2)受けない、というものだった。  この回答の意味を説明していこう。  芦屋大が野球部を持つ目的は、将来的に高校や大学の教員として野球部の指導者を目指す人材を育てることにあった。現在でも全国レベルの強豪大学になると、100人超の部員を抱え、4年間で1試合も公式戦出場のないまま卒業する選手もいると言われる。それでは教えるための技術を高めたり、実戦経験を積んだりすることができない。  この問題を解消するために、高下はまず兵庫球団に2軍を作り、そこに芦屋大の選手を所属させるというシステムを考案した。ここで注目すべきポイントは『2軍=芦屋大の学生』『1軍=独立リーグ』という図式だ。つまり、プロと大学が事実上の同一チームを結成して1、2軍の練習も合同で行う。大学生が独立リーグの試合でプレーするのは、プロ野球で2軍から1軍に選手が昇格するのと同じ意味合いと考えればいい。この“飛び級”によって、芦屋大の学生はBFLの公式戦で実際にプレーしており、そこからドラフト指名を受けた選手もすでにふたり生まれている。  2016年に育成ドラフトで巨人から3位指名を受けた山川和大は、芦屋学園高の軟式野球部出身。芦屋大に進学後、兵庫球団の2軍でプレーしながら力をつけた。2017年にドラフトで楽天から5位指名を受けた田中耀飛も、英明高(香川)時代は甲子園でプレーできなかった無名の選手。芦屋大に進学後、3年から本格的にBFLの公式戦に出場し、巨人や楽天、阪神との交流戦でもその長打力を発揮してプロ入りの夢を実現させた。  田中は楽天への入団が内定した後、芦屋大で行われた記者会見でこう語っている。 「自分の友人も、強豪の大学に行っています。うまくいけば試合に出られるんですが、部員は150人、200人といるそうで、練習もなかなかできないと聞きました。でも、芦屋大では練習時間も平等で、みんなを平等に監督やコーチも見てくれます。この大学に入った理由はNPB(セ・パ12球団)出身の監督やコーチに指導を受けられ、試合も多く、野球と勉強の両立ができるからです」  連盟に入らなければ『芦屋大の選手=一般学生』という解釈が成立するため、先述のプランを芦屋大が実行に移す際には連盟のコントロールを受けることもなく、憲章を遵守する必要もない。大学に生徒を送り出す高校側にしても、野球の技術レベルは決して高くないもののリーダーシップが優れていたり、指導者になるためにきちんとした技術や指導法を学ばせたい教え子を抱える指導者たちには、芦屋大の打ち出した新機軸は魅力的に映ったようで、進学志望者は年々増加。2017年現在で、36人の芦屋大生が兵庫球団に在籍している。  高下は、このシステムを高校野球にも導入しようと考えたのだ。 ※<中編>へ続く (文・喜瀬雅則) ●プロフィール 喜瀬雅則 1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)を出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。
dot. 2018/01/02 16:00
真央、伊達、藍…引退目立ったスポーツ界2017
上田耕司 上田耕司 松岡かすみ 松岡かすみ 秦正理 秦正理 吉崎洋夫 吉崎洋夫
真央、伊達、藍…引退目立ったスポーツ界2017
浅田真央(c)朝日新聞社 2017年の印象的な語録 その1(週刊朝日 2017年12月29日号より) 2017年の印象的な語録 その2(週刊朝日 2017年12月29日号より) 2017年の印象的な語録 その3(週刊朝日 2017年12月29日号より) 2017年の印象的な語録 その4(週刊朝日 2017年12月29日号より)  2017年、記憶に残る言葉は? 今回はスポーツ界を総ざらい。 スポーツ界では女性の有名アスリートの引退が目立った。その筆頭が女子フィギュアスケートの浅田真央だろう。2010年のバンクーバー五輪で銀メダルを取り、国民的な人気を集めていた。4月12日の引退会見では最後に、「スケート人生で経験したことを忘れずに、これから新たな目標を見つけて、笑顔で前に進んでいきたいと思います」と述べた。  女子テニス界のレジェンド、伊達公子も46歳でコートを去った。25歳でいったん退いたが37歳で現役復帰。4大大会の本戦に進むなど、健在ぶりを見せた。伊達さんは本誌にコメントを寄せてくれた。 「2017年は1年以上続いたひざのリハビリからツアーへ復帰し、数大会をこなした結果、肩を痛め、引退。そして11月末に肩の手術と本当に目まぐるしい1年でした。その中で多くの方にねぎらわれ、励まされ、大きな力を得た1年にもなりました。テニス、またスポーツが日本の文化として確立できるよう、自分にできることを模索しながら、これからもチャレンジしていきたいと思います」  女子ゴルフ界を長年引っ張ってきた宮里藍は、9月の米ツアーが現役最後となった。愛嬌(あいきょう)のある笑顔で知られる宮里は「今は解放感のほうが大きい」と試合後に語った。  一方、いろんな意味で世間の注目を集めたのが大相撲だ。稀勢の里が初場所で優勝し、19年ぶりの日本出身横綱となった。11月になると、横綱日馬富士の貴ノ岩への暴行が発覚。貴ノ岩の師匠の貴乃花親方と相撲協会との関係悪化も表面化した。最終的に日馬富士は引退し、傷害容疑で書類送検された。会見で日馬富士は、 「お酒を飲んで人を傷つけたり暴れたり、酒癖悪いといわれたことは一度もない。酒飲んだからこその事件じゃないので、これは」  などと主張。貴乃花親方と相撲協会との関係もこじれたままで、この問題は年内の決着はなさそうだ。  もちろん明るい話題もいろいろあった。高校野球では早稲田実業3年の清宮幸太郎が高校通算111本塁打と歴代最多記録を達成。9月22日のプロ入り表明会見では母校の偉大なる先輩、王貞治氏の本塁打記録について、「868本塁打は目指さないといけないという使命感はある」と語った。来年は日本ハムのユニホームを着る。  清宮と入れ替わりで日ハムを離れ、念願のメジャーリーグに挑戦するのが大谷翔平。ロサンゼルス・エンゼルスへの入団が決まり、現地のファンに英語であいさつするなど、早くも期待が高まっている。  サッカーでは、ワールドカップ(W杯)ロシア大会の最終予選を、日本代表が苦しみながらも突破した。  卓球の平野美宇の快進撃やボクシングの村田諒太の世界王者、佐藤琢磨のインディ500優勝など、表には盛り込めなかった快挙も数多い。来年は平昌五輪やサッカーW杯ロシア大会もある。選手たちの素晴らしい活躍が、また見られるはずだ。(一部敬称略) (本誌・上田耕司、太田サトル、松岡かすみ、大塚淳史、吉崎洋夫、秦正理、直木詩帆) ※週刊朝日 2017年12月29日号
フィギュアスケート浅田真央
週刊朝日 2017/12/23 07:00
来春廃線の「天空の駅」に観光客続々でバブル状態 地元関係者「もっと前から利用してくれれば……」
福井洋平 福井洋平
来春廃線の「天空の駅」に観光客続々でバブル状態 地元関係者「もっと前から利用してくれれば……」
「天空の駅」と呼ばれる三江線・宇津井駅(撮影/福井洋平)  来年4月で廃線になるJR西日本・三江線。田んぼの中に立つ高架駅・宇都井駅など人気のスポットも多い。利用客が激減し廃止となったが、いまは連日観光客や地元住人で大賑わい。存続に向け知恵を絞ってきた地元関係者は、複雑な胸中を漏らす。 * * *  中国地方の山陰線・江津(ごうつ)駅(島根県江津市)から中国山地を縫うように広島県北部の主要都市、三次(みよし)市の芸備線三次駅までを結ぶJR西日本の三江(さんこう)線。全長108.1キロという長大線だが利用客の減少に悩み、2018年4月1日ついに廃止となる。  10月末、最後の雄姿を目に焼き付けようと三江線を訪れた。一番のお目当ては「天空の駅」とも呼ばれる途中駅の宇都井駅(島根県邑南町)。ここは1975年の三江線全通時に新設された比較的新しい駅で、谷間を突っ切る高架線に駅を併設したため駅舎が都市部のような高架駅となっている。しかしこの駅に来る列車は1日上下合わせて8本のみ。鉄道では日帰りはとても不可能なため、広島空港からレンタカーを使うしかない。  車がすれ違えないような道を縫って走ると、田んぼの真ん中に忽然と立つ駅舎が姿を現した。エレベーターなどもちろんないので、地上から20メートル上のホームまでは116段の階段を上る必要がある。「ゆずりあってゆっくりお進みください」という注意書きが貼ってあるが、譲り合うほど乗降客が来ることはあるのだろうか。ここ数年の乗降客数は0~1人で推移している。踊り場ごとに地元小学生が観光名所の紹介を絡めて作った張り紙があり、それを眺めながら進むと意外にすんなりとホームまでたどり着くことができた。  駅の待合室はきれいに整備され、片隅にノートが積まれている。全国各地から「天空の駅」を訪れた感想が書き連ねてある。地元に住む松島喜久恵さん(91)が長年、管理をしてきたものだ。住まいは駅から2キロ弱離れているが、今でも月に数回はシルバーカーに乗って駅を訪れ、時には三江線を利用して温泉に通ったりもしている。松島さんが開通当時を振り返る。 「九州から3人職人さんが来て駅を作っていて、私もその手伝いで材料を運んだりしたんですよ。それまでは街に出るのもバスしかなくて、三江線ができて便利になりました」  だが、松島さんのように三江線を定期的に利用している住民はやはり少ないようだ。宇津井駅近くに住む70代の農業男性は、 「廃止は寂しいね、列車が来るのを時計がわりにしてたから。子どもが高校に通ったり親が三次に買い物に出たりするときは使っていたこともある」  だが、この男性自身は、 「車を使っていたから、ほとんど乗ったことはないね」  宇都井駅から2駅の口羽駅(島根県邑南町)近くに住む男性は、「三次に行くのも車だし、現実を見たら全然乗る人おらんしね」。やはり付近に住む60代女性は、「三次の病院に行くのもバスが便利ですし、鉄道は使いませんね」とあっさり。潮駅(島根県美郷町)近くの温泉施設の支配人(60)も、 「三江線を使って温泉に来る人はほとんどゼロですね。私も1回しか乗ったことがない。むしろこんな辺鄙なところによく鉄道を引いてくれたと感謝していますよ」  宇都井駅近くを取材していた12時過ぎ、汽笛のような音が駅舎付近から聞こえてきた。時刻表上は一本の列車もこない時間帯。幻聴かと思って116段の階段を駆け上ってみると、そこに止まっていたのは島根県の伝統芸能「神楽」にちなんだラッピング列車。いま、三江線は廃線を惜しみ全国から訪れる観光客や「この機会に乗っておこう」という住民で乗客が急増し、時には臨時の団体列車も走っているという。確かに記者が見た列車の車内は昼間から楽しげな酒宴が行われている様子。まさに、最後の三江線バブルだ。だが、存続活動にかかわってきた地元関係者は、「もっと前から利用をしてもらっていれば廃止にならなかった。今更、という思いもありますね」と率直な気持ちを口にした。  沿線最大級の駅、石見川本駅(島根県川本町)を訪れた。駅舎で時間をつぶしていたという地元の小学生女子は、 「友達と江津の街に行く時には三江線を使います。なくなったらイヤですね」  スクールバスに押されているとはいえ、鉄道で通学している高校生もまだいる。車内でウノを始める女子高生も。これはバスではできない芸当だ。  2歳の男子を毎日、三江線に乗せて親元に連れてきているという祖父母もいた。男の子はすっかり鉄道好きになり、石見川本駅ですれ違う三江線の列車にくぎ付けだ。  車に乗れない人、バスが苦手な人、鉄道はそういった交通弱者にも広く開かれた交通手段だ。だが、経済効率性だけを見ると鉄道はどうしても分が悪くなってしまう。東日本大震災で被災した三陸鉄道(岩手県)の望月正彦元社長は、「鉄道がなくなって栄えた町はない」という信念で全線復旧を成し遂げた。三江線を失った沿線の街はこれからどうなるのか。考えを巡らせながら、車で沿線を後にした。  宇都井駅をはじめ、最後の三江線の雄姿を沿線各地で撮り下ろしたムック『国鉄の車両 鉄魂』は12月18日、全国の書店で発売される。(アエラムック教育編集部・福井洋平)
朝日新聞出版の本読書鉄道
dot. 2017/12/17 11:30
米軍ヘリの窓、普天間第二小に落下 「無言の抵抗」はいつまで続くのか
渡辺豪 渡辺豪
米軍ヘリの窓、普天間第二小に落下 「無言の抵抗」はいつまで続くのか
普天間第二小学校のグラウンドで遊ぶ児童たち。普天間飛行場の米軍機が目前に駐機している=沖縄県宜野湾市の同小学校で。2011年、渡辺豪撮影  12月13日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する市立普天間第二小学校のグラウンドに、米軍大型輸送ヘリの窓ガラスとみられる部品が落下、現場にいた男子児童1人が軽傷を負った。  筆者は「沖縄タイムス」に記者として在職していた2011年、取材で第二小に通い、「基地の街の子~文集『そてつ』より」という連載記事を執筆した<のちに『私たちの教室からは米軍基地が見えます』(ボーダーインク)として上梓>。  第二小は、沖縄の本土復帰の翌年に当たる1973年度から毎年度、在校生の文集「そてつ」を刊行している。タイトルには逆境を乗り越え、岩をも貫いて生きる蘇鉄のようにたくましく育ってもらいたい、との願いが込められている。  興味をもった筆者は、当時の知念春美校長の許可を得て、数週間かけて過去の「そてつ」を全部読ませてもらった。子どもたちの日常生活をリアルに切り取った、印象深い言葉が並んでいた。予想した通り、毎年必ず「普天間基地」をテーマに取り上げる児童がいた。 「普天間基地」を作文の題材に取り上げた小学生の詩や作文の紹介にとどまらず、「基地の街」で育った子たちが大人になった今、「動かぬ基地」に何を思うのか、じっくり腰を据えて聞きたいと思った。そんな思いから、10編の作文や詩の作者を一軒一軒訪ね歩いて、インタビューしたのが同書だ。当時の取材から印象深い言葉や出来事を紹介したい(年齢、肩書などは取材当時)。 ■黒板の「正」の字に込めた思い  82年度の「そてつ」に、「普天間飛行場」というタイトルの作文を書いた小学5年の女子児童がいた。冒頭だけ紹介する。 「ビューン  ゴゴゴゴゴゴー。」  また、ヘリコプターだ。あっ今私たちの小学校の上をとおった。 「うるさあーい。」  とも言うこともできず、ただ先生の話が一時ストップするだけだ。  そりゃ戦争を始めた日本が悪いけれど、罪のない私たち子どもまでがぎせいになることはないと思います。  四年の時 「うるさあーい、しずかにしろー。」  と、どなったこともあります。もやもやしていた心がすきーとして、なぜだが、むしょうにうれしくなってくるような気分だったのです。 (以下略)  この作文を書いた、少し勝ち気そうな児童は、約30年後も宜野湾市内に暮らし、中学教諭になっていた。40歳で2児の母親でもある女性は、学校でも自宅でも上空に米軍ヘリが旋回し、常に危険にさらされる生活だったと振り返り、こう言った。 「低空飛行は怖かった。中にいる軍人の顔も見える。登下校のときも落ちるんじゃないか、落ちたらどこへ逃げようかという意識が、いつも頭の中をめぐっていました」  第二小時代の授業風景で女性が記憶していたのは、黒板の片隅に書かれた「正」の字だ。当時、教室にはエアコンが未設置で、冬場をのぞき、窓はたいてい開け放たれていた。このため、ダイレクトに米軍機の騒音にさらされ、たびたび授業が中断した。その都度、黒板の端っこに「正」の字で回数を記す担任教諭がいたという。それを見れば、1日の授業で何回中断したかが一目瞭然となった。  普段は声高に「基地被害」を唱えることもない教諭の「無言の抗議」であることを、児童の多くは気付かなかった。だが女性はある日、「何これ?」と教諭に尋ねた。そのとき担任教諭はこう諭したという。 「この数が多ければ多いほど、あなたたちは、よその地域の人と比べてマイナスが大きい、ということになるんだよ」  女性はこのとき初めて、「自分たちにはマイナスのものがあるんだな」と自覚したと振り返った。 ■幻の接触事故  4人の娘も全員、母子2代にわたって第二小育ちの女性(49)からは、5年生のときの授業中の光景として、こんなエピソードを聞いた。  米軍機が学校の上空を通過した際、「ガガガガ」と尋常でない反響音がした。騒音に慣れた児童たちも、このときばかりは、何ごとか、と教室の窓から身を乗り出して屋上を仰いだという。女性はこう語った。 「今思えば、その後、ニュースにもならなかったので、何も起きていなかったのかもしれませんが、あのときは、米軍機の機体が屋上のタンクにでもかすったのだろう、くらいに思っていました」  筆者が驚いたのは、そう思いながら日々をやり過ごしていた、という事実だった。筆者の戸惑いに気付いたのか、女性はこう付言した。 「それぐらい、米軍機が近くを飛ぶのは当たり前なんです」  このインタビューのずっと後、筆者は写真撮影のため第二小の屋上に立ち入らせてもらった。そのとき、四隅に配置されたポールの先端部に赤色灯が取り付けられているのに気付いた。宜野湾市によると、第二小の新校舎建て替え時、基地との距離があまりに近いことに危機感を抱いた。そのため、夜間や天候不良で視界の悪いときなどに米軍機のパイロットの目印となるよう、安全対策の一環として市の判断で据え付けたのだという。女性の記憶に残る「幻の接触事故」は、この赤色灯のおかげで「幻」で済んだ可能性もあったのかもしれない。 ■不吉な言葉は口に出せなかった 「そてつ」には、各号の巻頭で校長がメッセージを寄せるのが習わしになっている。86年度に書かれた以下の、テンポのよい文体が印象に残った。 普天間第二小学校は 校舎が古く タイルがはげて きたない と、人はいいます でも、毎日、毎日 みがきますから、セメントは ピカピカ光ってきます。 (中略) 普天間第二小学校は 基地のそばで 飛行機の音が うるさい と、人はいいます そうなんですけど でも、 どうしましょう  この文章を書いた当時の校長に、在職時の記憶を尋ねると、こう話してくれた。 「米軍機の離着陸時には、教室の窓ガラスがガタガタと揺れるような状態でした。あんなに基地と隣接しているのはどう考えてもおかしい。もし、米軍機が墜落したら、と心配する声は当時のPTAの人たちにもありましたが、私は仮定の話だとしても、そんな不吉なことを口にしたくはなかった。心に思っていても決して言葉にはできなかった。それだけは今も記憶にあります」 ■聞こえなくても…  最も心に刺さった作文がある。タイトルは「聞けない耳 きけない口」だ。5年生の女子児童が書いた。  校舎すれすれに飛行機が飛んだ。みんなは、耳をおさえた。私にもその音が聞こえた。かすかではあるが、たしかに聞こえたのだ。これが音なのだ。とび上がるほどうれしかった。  身体的不自由な人と言うと、いろいろある。手足が不自由、目が不自由、耳や口が不自由。私はその中の耳や口が不自由である。でも、私はくじけていない。くじけても何もならんと思うからだ。 (以下略)  79年度の「そてつ」にこの文を書いた女性を探すのには最も苦労した。細い糸をたぐるようにしてようやくたどり着いたのは、義妹に当たる女性(41)だった。職場を訪ね、作文のコピーを見てもらうと、読み始めて間もなく、女性はハンカチを取り出し、目頭を押さえた。 「頑張り屋の姉らしさが出ていますね。今もこのままの人です」  そう言って仲介してくれた。  作文を書いた女性は43歳。3人の子どもをもつシングルマザーだった。沖縄県内のスーパーで商品の出し入れの仕事をしている。メールでのやり取りを経て、手話の上手な10歳の次女を伴って面談に応じてくれた。想像した通り、聡明(そうめい)そうで活力に満ちた目が印象的な人だった。第二小時代の思い出について尋ねると、あふれ出るように語ってくれた。  校庭で友だちと鬼ごっこをしているとき、みんなが急にしゃがみこんだり、耳をふさいだりするので、米軍機が上空を通過するのが分かった、という。米軍機の着陸する場面が当たり前のように教室の窓から見えたことや、米軍機の騒音のため何度も授業が中断したことも…そして、これらが今も変わらないことに女性は心を痛めていた。  第二小へ通ううち、当時の知念校長のはからいで学校給食を食べさせてもらったことがある。そのとき、校内放送でクラシック音楽が流れてきた。第二小の昼食時間のBGMはクラシックと決まっているそうだ。 「いい音楽を子どもたちの耳に触れさせ、心にゆとりをもたせたい」という知念校長の発案だった。いかに劣悪な環境に置かれようと、子どもたちの心の安寧に最善を尽くす――。知念校長の教育者としての覚悟と誇り、そして「無言の抵抗」が込められているように感じられた。  当たり前のことだが、地元の人たちにとって「基地被害」は、96年の日米の普天間返還合意後に始まった問題ではない。96年というのは、全国メディアが「普天間問題」というかたちで「ニュース」として発信し始めた年であって、地元住民には単なる通過点にすぎない。そして今この瞬間も、子どもたちが駆け回る校庭のすぐ真上を米軍機が飛び交っている。そんな目を覆いたくなる現実を痛感する取材となった。(AERA編集部・渡辺豪) <おことわり…沖縄タイムス連載時や、『私たちの教室からは米軍基地が見えます』(ボーダーインク)に収容した際はすべて実名で紹介しましたが、今回は当事者にネット掲載の許可をあらためて得る時間がなかったため匿名としました> ※AERAオンライン限定記事
沖縄問題
AERA 2017/12/13 00:00
井上苑子 20歳バースデーを約2,000人が祝福!「もっと楽しい時間を過ごしてもらえるように」
井上苑子 20歳バースデーを約2,000人が祝福!「もっと楽しい時間を過ごしてもらえるように」
井上苑子 20歳バースデーを約2,000人が祝福!「もっと楽しい時間を過ごしてもらえるように」  シンガーソングライター井上苑子が、自身の20歳の誕生日である2017年12月11日、東京・昭和女子大学人見記念講堂にて【井上苑子 20th Birthday “JUKE BOX” Tour】の最終公演を行った。 井上苑子 ライブ写真(全3枚)  10代の集大成となる2ndフルアルバムとして、12月6日に発売となる『JUKE BOX』を引っ提げた自己最多本数全国8か所8公演のツアー。最終公演では約2,000人のファンに祝福される中、本編ラスト前、「11歳で路上ライブをはじめて、誰も立ち止まってくれなかったりしたこともあったんですが、こうやって沢山の人の前で歌えるようになって思うことは、今までやってきたことが間違いじゃなかったんだって、すごく思いました。本当にありがとうございます。ファンの皆さんにもスタッフの皆さんにも、恩返ししないと井上は気が済まないし、全然恩返しも出来てないので、20歳になって、20代、30代、ずっと皆さんにもっともっと楽しい時間を過ごしてもらえるように、がんばっていきますのでよろしくお願いします!」と、感謝のコメントを述べた。  本編ラストは最新シングル「せかいでちばん」を披露し大喝采のうち終了。本編メドレー含む全15曲、アンコール2曲を披露した。  なお、12月13日午前0時より、ニューアルバム『JUKE BOX』の収録曲「恋歌」と、集英社『別冊マーガレット』にて連載中の咲坂伊緒最新作『思い、思われ、ふり、ふられ』のスペシャルPVが公開。また、19時からは昨年に引き続き、フジテレビ『FNS歌謡祭第2夜』への出演が決定している。20歳初のテレビ生出演となる。 ◎セットリスト 【井上苑子 20th Birthday “JUKE BOX” Tour】 2017年12月11日(月)東京・昭和女子大学 人見記念講堂 01 スタート! 02 ナツコイ 03 メッセージ 04 恋歌 05 テレパシー 06 可愛くなってもいいですか 07 メドレー 08 ねぼう 09 なみだ 10 エール 11 SHAKE 12 HeartBeat 13 右足 14 青とオレンジ 15 せかいでいちばん EN1 どんなときも。 EN2 君がいればOK!~サマサマキュンキュン大作戦~ ◎リリース情報 アルバム『JUKE BOX』 2017/12/06 RELEASE <受注生産限定グッズ盤(CD+GOODS)>UPCH-29272 / 5,600円(tax in.) <初回限定盤(CD+DVD)>UPCH-29273 / 4,500円(tax in.) <通常盤(CD)>UPCH-20467 / 3,200円(tax in.) <UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(CD+DVD+GOODS)>6,700円(tax in.)
billboardnews 2017/12/12 00:00
HKT48 1stAL『092』短編映画監督に福田雄一/熊澤尚人/ラバーガールら! 楽曲+映像の総収録時間は17時間超え
HKT48 1stAL『092』短編映画監督に福田雄一/熊澤尚人/ラバーガールら! 楽曲+映像の総収録時間は17時間超え
HKT48 1stAL『092』短編映画監督に福田雄一/熊澤尚人/ラバーガールら! 楽曲+映像の総収録時間は17時間超え  2017年12月27日にリリースとなるHKT48の1stアルバム。このタイトルが『092』に決定し、ジャケットビジュアルと収録内容が発表された。 HKT48 関連画像(全5枚)  通常盤TYPE AからTYPE Dまでの4形態の収録内容は、Disc1に2013年のデビューシングル「スキ!スキ!スキップ!」から最新シングル「キスは待つしかないのでしょうか?」までの10作のシングル表題曲を収録。そしてDisc2には「大人列車」「君のことが好きやけん」「ロックだよ、人生は…」といったライブの定番曲や、これまでのシングルのカップリング曲はもちろん、アルバムのリードトラック「人差し指の銃弾」など、1stアルバムのために書き下ろされた新曲5曲がおさめられ、全51曲神曲がそろったオリジナル1stアルバムとなっている。  特典映像も前代未聞。48人の監督が全メンバー48人それぞれのために撮り下ろした短編映画企画、その名も「東映 presents HKT48×48人の映画監督たち」全48作品をタイプ別に収録。新進気鋭から名だたる映画監督、さらには他ジャンルで活躍する注目のクリエーターなど、48人の監督によって企画・撮影された作品はラブストーリー、青春ドラマをはじめ、コメディ、ヒューマンドラマ、ホラー、サスペンス、ファンタジーなどジャンルも様々。その総収録時間はなんと圧巻の11時間41分。通常盤4タイプのCD、DVD計8枚(CDのDisc1は4タイプとも同内容)の楽曲と映像の総収録時間は17時間24分となる。 (C)AKS ◎リリース情報 アルバム『092』(読み:ゼロキュウニ) 2017/12/27 RELEASE <通常盤TYPE-A(1CD+2DVD)>UPCH-20469 / 4,980円(tax out.) <通常盤TYPE-B(1CD+2DVD)>UPCH-20470 / 4,980円(tax out.) <通常盤TYPE-C(1CD+2DVD)>UPCH-20471 / 4,980円(tax out.) <通常盤TYPE-D(1CD+2DVD)>UPCH-20471 / 4,980円(tax out.) 【CD / Disc1(TYPE A~D)※通常盤各タイプ共通】 01. スキ!スキ!スキップ! 02. メロンジュース 03. 桜、みんなで食べた 04. 控えめI loveyou! 05. 12秒 06. しぇからしか! HKT48 feat.氣志團 07. 74億分の1の君へ 08. 最高かよ 09. バグっていいじゃん 10. キスは待つしかないのでしょうか? 【CD / Disc2(TYPE A)】 01. 人差し指の銃弾 02. 2018年の橋 03. 黄昏のタンデム 04. HKT城、今、動く / プラチナガールズ 05. そこで何を考えるか? 06. キレイゴトでもいいじゃないか? 07. タブーの色 / サクラハルカ 08. 空耳ロック / Team TII 09. カメレオン女子高生 / Team H 10. Make noise 11. 君のことが好きやけん 【DVD / Disc1(TYPE A)】 運上弘菜「SUBTERRANEAN WORLD」 監督:大畑 創 外薗葉月「私だけの夏休み」 監督:廣原 暁 田中優香「激突」 監督:ヤングポール 清水梨央「Tiny Mix Tapes」 監督:小林達夫 村川緋杏「バイバイ、ホーホ」 監督:片岡 翔 指原莉乃「指原の乱 冬の陣」 監督:福田雄一 【DVD / Disc2(TYPE A)】 松岡菜摘「きっとゲリラ豪雨」 監督:佐藤快磨 山内祐奈「ドジっ娘マミ」 監督:藤澤浩和 下野由貴「雨が降るまで」 監督:城定秀夫 宮崎想乃「転校生」 監督:下山 天 植木南央「ANONYMOUS」 監督:橋本 一 田島芽瑠「マリーゴールド」 監督:兼重 淳 【CD / Disc2(TYPE B )】 01. 人差し指の銃弾 02. 僕らのStand By Me / 2期生 03. お願いヴァレンティヌ 04. ハワイヘ行こう / Team KIV 05. アイドルの王者 / Team H 06. いじわるチュー / 矢吹奈子 07. 私はブルーベリーパイ / ブルーベリーパイ 08. 女の子だもん、走らなきゃ! / 松岡はな 09. 僕だけの白日夢 / プラチナガールズ 10. 大人列車 11. 波音のオルゴール 【DVD / Disc1(TYPE B)】 宮脇咲良「見えない棘」 監督:清水 崇  山下エミリー「エミリーの日記」 監督:三宅 唱 山田麻莉奈「サバイバル・ウーマン」 監督:熊澤尚人 今村麻莉愛「エリマキ男とボク少女」 監督:山田雅史 宇井真白「屋上のおばけ」 監督:風間太樹 地頭江音々「危険なアイドル」 監督:前田哲 【DVD / Disc 2(TYPE B)】 朝長美桜「二度とない夜さえ飛び出して」 監督:加藤拓也 山本茉央「夏の夢の恋人」 監督:まつむらしんご 今田美奈「死霊になれなくて」 監督:鈴木太一 武田智加「あこがれ」 監督:久万真路 村重杏奈「岩をも通す村重」 監督:根本宗子 駒田京伽「婿入金魚」 監督:加瀬 聡 【CD / Disc2(TYPE C)】 01. 人差し指の銃弾 02. ファンミーティング / F24 03. 制服のバンビ 04. 微笑みポップコーン / ポップコーンチルドレン 05. 君はどうして? 06. 白線の内側で / 4期生 07. 夏の前 / Team KIV 08. ロマンティック病 09. 恋の指先 10. ウインクは3回 11. 今 君を想う 【DVD / Disc1(TYPE C)】 松岡はな「遠ざかって、消えていくもの」 監督:池田千尋 神志那結衣「潜在意識の恋人」 監督:上條大輔 上野遥「ハルカとタケル」 監督:ラバーガール 岩花詩乃「ROMANESCO」 監督:二宮 健 栗原紗英「Serenade」 監督:吉田光希 森保まどか「サヨナラするのはつらいけど」 監督:柴田啓佑 【DVD / Disc2(TYPE C )】 豊永阿紀「くノ一阿紀」 監督:坂口拓 荒巻美咲「恋と友情のパターン」 監督:籔下雷太 月足天音「黒猫は空中を見る。」 監督:川村 泰 秋吉優花「夢のまた夢」 監督:谷本佳織 松本日向「日向 彼方へ 旅立つ」 監督:谷口仁則 兒玉 遥「トチカコッケ」 監督:横浜聡子 【CD / Disc2(TYPE D)】 01. 人差し指の銃弾 02. パッションフルーツの秘密 / Chou 03. ロックだよ、人生は・・・ 04. Chain of love 05. さくらんぼを結べるか? / 4期生 06. 必然的恋人 07. ぐにゃっと曲がった / ダイヤモンドガールズ 08. 生意気リップス / なこみく 09. 夢ひとつ / 穴井千尋と仲間たち 10. 初恋バタフライ 11. HKT48ファミリー 【DVD / Disc1(TYPE D )】 本村碧唯「”2O17: A GOD HORROR 神様ホラー:相対的に見れば「人間コメディ」である事の証明”」 監督:原桂之介 渕上 舞「はじまり」 監督:今中康平 熊沢世莉奈「1/48計画」 監督:佛田 洋 田中菜津美「背伸びして、田中。」 監督:飯塚俊光 堺 萌香「秘醒~pizza~」 監督:藤井秀剛 田中美久「血まみれ Bitter Sweets」 監督:松本花奈 【DVD / Disc2(TYPE D )】 矢吹奈子「ラララ丼」 監督:奥秀太郎 坂本愛玲菜「ハズレときどき恋」 監督:竹内里紗 深川舞子「どんうー」 監督:権野元 小田彩加「海の、家」 監督:大九明子 坂口理子「They Survive」 監督:篠崎誠 冨吉明日香「二十歳の革命」 監督:青木克齊 【アルバム書き下ろし新曲歌唱メンバー】 「人差し指の銃弾」 植木南央 兒玉 遥 指原莉乃 田島芽瑠 田中美久 月足天音 冨吉明日香 朝長美桜 豊永阿紀 渕上 舞 松岡菜摘 松岡はな 宮脇咲良 本村碧唯 森保まどか 矢吹奈子 「2018年の橋」 兒玉 遥 指原莉乃 田島芽瑠 朝長美桜 宮脇咲良 「僕らのStand By Me」 秋吉優花 岩花詩乃 宇井真白 上野 遥 神志那結衣 駒田京伽 坂口理子 田島芽瑠 田中優香 冨吉明日香 朝長美桜 渕上 舞 山田麻莉奈 「ファンミーティング」 荒巻美咲 今村麻莉愛 運上弘菜 小田彩加 栗原紗英 堺 萌香 坂本愛玲菜 清水梨央 武田智加 田島芽瑠 田中美久 地頭江音々 月足天音 朝長美桜 豊永阿紀 外薗葉月 松岡はな 松本日向 宮崎想乃 村川緋杏 矢吹奈子 山内祐奈 山下エミリー 山本茉央 「パッションフルーツの秘密」 栗原紗英 松岡菜摘 松本日向 宮崎想乃 森保まどか 山下エミリー
billboardnews 2017/12/11 00:00
浮気相手の子どもを夫に育てさせる…「托卵女子」の恐ろしすぎる生態
浮気相手の子どもを夫に育てさせる…「托卵女子」の恐ろしすぎる生態
もし自分の子どもが、妻の裏切りによる他人の子だったら──。愛情が深ければ深いほど、父の戸惑いと苦悩は大きい(撮影/鈴木愛子)  自分の子だと信じていたのに――。浮気相手の子どもを夫の子として産む妻が、最近ひっそりと増えているらしい。事実を知った男性の悩み、葛藤は深い。  7月のある夜、男性(32)は9歳の長女の内ほほを、そっと綿棒で拭った。インターネットで注文した親子関係の有無を調べるDNA鑑定のための作業は、拍子抜けするほど簡単だった。  まさか、とは思う。3カ月前に離婚が成立した元妻とは、学生時代に「できちゃった結婚」。妊娠を告げられた時は、確かに「あれ? 計算が合わない」とは思った。とはいえ、本気で疑っていたわけではない。娘の顔は友人たちも驚くほど元妻に瓜二つ。自分と似ていないなんて、考えたこともなかった。  それに、育児を放棄した元妻に代わり、9歳になるまで育てた子だ。自分の子でないはずがない。でも妻は、結婚後半年で浮気し、家を出ていった。心のどこかで引っかかっていたのかもしれない。悩みを振り切るように、綿棒を入れた封筒をポストに押し込んだ。  2週間後、男性の元に届いた1通の封筒。鑑定の検査結果だ。封を開け、中を見ると、男性は言葉を失った。 「親子関係なし」 「この子さえいれば、もう十分」  そう思い、男手一つで育ててきた愛娘は、妻の浮気相手の子だった。もしかすると、検査結果が間違っているかもしれない。にわかに受け入れられず、はやる思いで元妻に確認した。すると、彼女は悪びれることなく、こう言い放った。 「それで、どうするの?」  驚くことも、わびることもなかった。 「その態度で、完全に『確信犯だな』と感じました」(男性)  他の鳥の巣に産卵し、ひなを育てさせることで子孫を残す。カッコウやホトトギスなどに見られる習性、「托卵(たくらん)」だ。別の男性の子を妊娠・出産し、夫に育てさせる女性を、最近はこの習性になぞらえ、「托卵女子」と呼ぶ。  元・光GENJIの大沢樹生が、1996年に結婚した女優の喜多嶋舞との長男と、血縁上のつながりがないと判明し、2015年に裁判で「親子関係不存在」が確認されたことも記憶に新しい。05年の離婚後、大沢は一時、長男の親権を持ち、一人で育てていた。  もちろん血のつながりだけが親子のすべてではない。日本では里親や養子縁組などによって、血縁関係になくても親子として暮らす人もいる。実の親子でも、関係が悪化することもある。ただ、突然、妻の過去の裏切りとともに「自分の子ではない」という事実を突きつけられた男性は、子への愛情と、やり場のない妻への怒りに引き裂かれる。  このまま一緒に暮らし続けるべきか、本当の親である元妻に娘を任せるべきか──。娘が妻の浮気相手の子だと分かった先の男性は、葛藤の中にいた。  そもそも元妻に娘が育てられるのか。結婚当初から家事や育児をほとんどせず、男性が家に帰っても、夕飯が用意されていないことが多かった。夜泣きが激しい日も知らんぷり。男性が朝まで子どもの面倒を見てから出社した。  結婚半年で元妻の浮気が分かって以降、はじめは元妻が長女を引き取ったが、半年ほどで「無理」と音を上げた。以来、ときどき男性や男性の実家の母が娘を預かっていたが、娘が1歳半のある日、男性の家から、元妻の元へと娘を送り出そうとしたときのこと。娘は小さな体で男性の母親にギュッと抱きついたまま泣き出し、そのまま離れようとしなかった。 「1歳半なので、まだよく分からない年だったと思うんですが……。本能的なものがあったのかもしれません」 「もう向こうにはやれない」  男性の母親の強い勧めもあり、以来、7年以上、長女は男性の元で暮らしている。男性の母親はもちろん、近所に住むいとことも仲良しだ。元妻の元で暮らすとなったら、他人になってしまう。一緒に遊ぶのを楽しみにしているのに、どう説明すればいいのか。  別居中、ときどき娘のために3人で旅行をした。「ママ、好き。3人で暮らしたい」。無邪気にそう話す娘の言葉を聞くと胸が詰まる。今は口では「娘が一番」と言う元妻だが、その言葉を真正面から信じることはもうできない。娘に「血がつながっていない」と、真実を告げるかどうかにも悩む。 「もし妻に渡すことになれば、自分が本当の父親でないことを話さないと、離れて暮らす理由を娘に納得してもらえない」  正直、男性には「自分自身の本当の子どもが欲しい」という思いもある。娘を引き取れば、再婚して別の女性と子どもをつくるハードルは高くなってしまうかもしれない。まだ32歳。やり直しも利く年齢だ。  友人や先輩に相談するが、人によって答えは違う。同世代は「娘を引き取るべきだ」と言う人が多いが、40代や50代の先輩からは「独り身になってやり直せば?」と言われることも。 「毎日どうすべきか考えますが、日々、答えが変わるんですよね。娘はかわいいですが、感情だけでは決められません」 (編集部・市岡ひかり) ※AERA 2017年12月4日号より抜粋
AERA 2017/12/04 16:00
いじめ自殺でアンケート破棄が常態化する学校 「証拠隠滅」は裁判対策?
石井志昂 石井志昂
いじめ自殺でアンケート破棄が常態化する学校 「証拠隠滅」は裁判対策?
 昨年8月に青森県東北町立中学1年の男子生徒(当時12)がいじめを訴える遺書を残して自殺した問題で、学校側がいじめに関するアンケート結果を破棄していたことが分かった。多くのいじめ裁判を取材してきた不登校新聞編集長の石井志昂さんは、こうした裁判対策とも取れる"証拠隠滅"が「もはや常態化している」と指摘する。学校の行為は罪の問えないのか。 *  *  *  いじめ自殺があった学校で、自殺の3カ月前に行なわれた全校生徒へのアンケート結果を学校が破棄していたことがわかりました。自殺したのは青森県東北町の中学1年生男子生徒(当時12歳)です。  破棄されたアンケート用紙には、男子生徒自身が「いじめがあります」に印をつけ、「からかわれる」などと記していたとされています。また、自殺する2か月前にも担任教諭との面談のなかで男子生徒は同級生からの嫌がらせを訴え、「いじめがなければもっと生きていたのに」との遺書を残して亡くなっています。  こうしたことがあったなかで学校はアンケートを破棄しました。  ある小学校教員は「こんな短期間で破棄するなんてありえない。通常の全校生徒アンケートですら、しばらくは保管する」と話しています。  しかし、いじめ自殺で裁判になったケースにかぎってみても、アンケート結果や調査結果が破棄されたのは、この10年ほどで5回もありました(埼玉県北本市05年、千葉県館山市08年、北海道千歳市09年、滋賀県大津市11年/年数は自殺時)。もはや常態化しているとすら言えるでしょう。  なぜ学校はアンケート結果などの「証拠」を捨てたのでしょうか。各学校の主張は下記のとおりです。 「保管義務規則は知らなかった」(館山市) 「情報がまとめ終わった」(千歳市) 「保管場所が確保できなかった」(北本市)  置く場所がなかったなどという学校の都合で、いずれも遺族が「真実を知りたい」と訴えているなかで捨てられていたのです。 ■なぜ学校は証拠を捨てることができるのか  ここで疑問に思うのは「学校は証拠をなぜ捨てられるのか」という点です。文部科学省が2013年に定めた「いじめ防止基本方針」も、いじめに関する指導記録の保存を学校に求めています。「証拠隠滅」の罪に当たらないのでしょうか。  複数の弁護士に聞いたところ、アンケート破棄は「合法(刑法上の罪にはならない)」でした。  重要な判例もあります。1998年、当時中学1年生の女子生徒がいじめを苦に自殺した「富山いじめ自殺裁判」です。 女子生徒が自殺したあと、クラスの子どもたちが追悼の作文を書きましたが、3カ月後に担任によって作文は焼却処分。一時期まで、なかったことにされていました。  同級生の死を思って書いた自分の作文が燃やして捨てられた子の気持ちを思うと、なんと言っていいかわかりません。  この焼却処分などが裁判でも訴えられました(親への報告義務違反)。しかし、地裁、高裁、最高裁と3回とも、担任の行動は問題ないとされています(最高裁は上告不受理)。  このあと、さまざまな遺族や弁護士によって、いじめに理解のある判例も出ていますが、司法が「いじめ自殺の責任から逃げる学校」を守るような判例を積み重ねてきたことは事実です。それは遺族が「真実を隠された」という思いになるばかりか、他の生徒も傷つける結果になります。 ■事実隠ぺいが同級生も傷つける  当時中学1年生の女子生徒が自殺した「北本市いじめ自殺裁判」では、一審の判決を受け、亡くなった女子生徒の友人が二審で証言台に立ちました。私もその場にいました。  遺族の主張によると、亡くなった女子生徒が受けてきたいじめは、悪口や無視、靴や持ち物を隠される、ジャンパーを鳥小屋に投げ入れられる、荷物を過剰に持たされる、トイレへ連れ込まれて「便器に顔を突っ込め」と言われるなどです。  2005年10月11日「生きるのに疲れました。本当にごめんなさい。(中略)楽しいこともあるけどつらい。いやな事は何億倍もあるから」と書き残し、女子生徒は自ら命を絶ちました。  一審の東京地裁は、これらの行為の一部を認定したものの「自殺の原因になるようないじめがあったとは認められない」と判断しました。  この判決を受け、女子生徒の友人は「結果にショックを受けて裁判に来ました。彼女はいじめられていました」と泣きながら話していました。同級生が涙したのは、当時、女子生徒を救えなかったこと、そして一審では裁判に出る勇気が持てなかったからです。「救えたはずなのにニ度も救えなかった」という思いからの涙でした。  しかし、結果は遺族の敗訴。同級生は自分の訴えを東京高裁は信用しなかったと、さらに傷ついたでしょう。  こうやって司法は「いじめられた子ども」を守る判断ではなく、「いじめ自殺の責任から逃れる学校」を守る判断を積み重ねてきました。 ■教師にいじめ相談したら「ウソつくな」  アンケートの破棄など「事実の隠ぺい」と思われる行為で傷つくのは、なにも自殺や裁判にかぎったことではありません。  私が取材したケースでは、教師による事実隠ぺいを知って不登校になった例があります。  現在17歳の女の子が中学生だったのころの話です。三者面談で親が「うちの子はいじめられてないでしょうか」と担任に確認したところ、担任は「いじめはない」と言ったそうです。しかし、親は不審に思い、全校生徒のアンケート結果を見せてもらいました。親がアンケート結果を見ると、名指しで「いじめられている」と書かれていたそうです。  女の子はこれを知り、自分へのいじめ以上に、先生が目の前でウソをついていたことにショックを受け不登校になっています。  別の女子高生は「いじめを先生に相談したら『ウソをつくな』と言われて以来、取り合ってもらえなくなり不登校になった」と話してくれました。ある保護者からも「いじめを相談したとたん、担任とも連絡がとれなくなり、まったく調べてもしてくれない」という話を聞いています。  おそらく裁判で争われているケースは氷山の一角でしょう。  2013年「いじめ防止対策推進法」が成立し、いじめは重大事態として位置づけられましたが、それ以降、逆に「いじめ隠し」が広がっている感すらあります。  こうした流れは「学校の問題を学校が解決する」という現在の仕組みでは断ち切れません。学校とは独立した機関が必要です。そのためのスクールロイヤー(弁護士)という制度も議論されています。もちろん、どんな制度でも「学校を守る制度」ではなく、「子どもを守る」ことを目的とした制度でなければ意味がありません。 ■教師も子どものために動けない  いじめ自殺が起きるたびに、学校はさまざまな資料を隠し、裁判で勝利を積み重ねてきました。しかし、それは、なんのための勝利なのでしょうか。学校の勝利で、遺族も他の生徒も傷つきますが、おそらく教員たちも傷ついているはずです。目の前の子どもが亡くなったにもかかわらず、学校を守るために動かなくてはならないからです。現場の教員に聞くと「真実を告発するためには生活を投げ出さないとできない」と話してくれました。先生たちも、子どもを思って行動することができない状態になっています。  いじめ自殺と、それに続く事実の隠ぺいがくりかえされるなかで、学校は何のために存在しているのかを考え直し、子どもを守っていける制度づくりに本腰を入れてほしいと願っています。(文/石井志昂)
dot. 2017/12/04 15:30
男にかしずく「男尊女子」 その生き方は社会進出した女性たちの“消極的選択”
熊澤志保 熊澤志保
男にかしずく「男尊女子」 その生き方は社会進出した女性たちの“消極的選択”
酒井順子(さかい・じゅんこ)/1966年東京都生まれ。広告会社勤務を経て執筆業。2004年『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞(撮影/門間新弥)  女性の社会進出に際して、男性側の意識改革や、旧来の価値観を見直すことは必須課題だ。しかし一方で、古い価値観に縛られているのは男性ばかりではないという。  専業主婦を選択せず、社会進出を意図してきた女性のなかにも、旧来の価値観に引っ張られる一面はある。今年5月、酒井順子さんが上梓した『男尊女子』(集英社刊)は、そんな女性の内面を描いたエッセイだ。 「平等、対等を目指しているつもりなのに、気がつけば自分の中に男性への遠慮がある。自身が男性より優秀であることに居心地の悪さを感じたり、男性に引っ張っていってもらいたいと思ったり」(酒井さん) 『男尊女子』はたちまち評判になり、編集部の女性デスク陣も、「あるある」と共感を示した。  酒井さんは、男尊女子の3形態をこう解説する。 「ひとつは親世代から刷り込まれた『刷り込み』タイプで、特に疑問や葛藤を抱いていません。もうひとつが、『そのほうが楽』と甘んじて受け入れてきたタイプ、そして『男性の願望を忖度する』タイプです」  コラムニストの河崎環さん(44)は、22歳で結婚し、10年ほど専業主婦だった。周囲のママ友は10歳ほど年上のバブル期の女性ばかりで、男性はさらに上。驚いたのは、自分に何ができてどんな人間であるかにまったく価値を置かれない世界だった、ということだ。 「夫の年収、肩書、どんな車に乗せてもらっているか、どのブランドの服を着ているか、でヒエラルキーができあがっていました」(河崎さん) 「これはフィールドワークなのだ」と言い聞かせ、苦界に身を投じた。彼女たちの価値観を表面上受け入れたのは、そのほうが生き抜く上で楽だったからだ。  社会に戻ってから、社会進出を選んだ同世代の女性たちにも、消極的選択として生まれた「男尊女子」が多いことに驚いた。  同年代の女性テレビプロデューサーは、こう言った。 「未婚でも既婚でも、出世するのは、権力のある男に気に入られている女なんだよね」  損して得取れという心理か、生き抜くための戦略か、「男性の願望を忖度する」女性たちは、明らかに男性の受けがいいのだ。  河崎さんの脳裏には、稲田朋美元防衛相の姿が浮かんだ。 「上の男のことしか見ていない。本人は出世したつもりでいても、自分では何もできない。私はこれを大奥人事と呼んでいます」(河崎さん)  この構造を「優秀じゃないのに女だから優遇されてズルい」と男性が咎めるのは、早計だ。忖度の才能しかない上司の下に配属された部下は苦痛だが、同じ手法で出世した男性も多くいる。問題は、女性の出世が大奥人事一辺倒になりがちなことだ。 「女性管理職に全員優秀であれと要求するのは理不尽です。出世する男性同様、有象無象でいい。女性出世の課題は、多様性を確保できるかでしょう」(同)  女性側の課題もある。周囲に男性が多かったため、女性上司との付き合いや共闘に不慣れ。  つまり、これからなのだ。 「大学生の娘の話には、男尊女子的な要素は見当たりません。学校行事や模擬国連などの外部でも、女子が活躍する世界に慣れている。社会に出ても女性は今以上に増えていて、旧弊な男尊女卑や男尊女子がまかり通るとは思えません」(同)  前出の酒井さんも、「個人差があるので一概には言えませんが、若い世代では、男尊女子度は減っていると感じます。男女の役割や関係性は、時代によって変わるもの」という。 「かつては、『妻は男に殴られたがっている』と雑誌上で知識人が語っていたり、宮尾登美子さんですら『女は皆、男に殴られて幸せ』といったことを語っていたりするんです」(酒井さん)  社会参画面での男女平等にまだ課題は多いとはいえ、過去に比べればだいぶ進歩はしたのか。  では、かつて女性が治めることが主流だった家庭は、これまでにない規模での男性の参加を得て、どう変わっているのか。  育児・教育ジャーナリストで、子育て中の夫や妻から多くの相談を受けてきた、おおたとしまささん(44)は言う。 「一時期から、『家事や育児に積極的に参加したいのに、妻が何もやらせてくれない』という男性の相談が急激に増えたんです。同時期に女性からの『夫が思い通りに動かない』という相談も増えました」  おおたさんは、「他人が思い通りに動かないのは当然」と指摘する。  家事の圧倒的なスキル差や、「わずかな家事でやった気になってドヤ顔をする」からではなく、妻が「思い通りに動かない」「自分のやり方と違う」という理由で、夫を排斥しているとしたら、これもある種の縄張り意識、既得権益といえるのでは。 「過剰にけなすのは、男性が家事をうまくこなし、自身の価値が下がることを無意識に避けているのでは。家庭で権力をふるい、支配することが自己充足につながってしまっているのかもしれません。侵害されているなら、男性も声をあげ、闘う必要があります」(おおたさん)  前出の河崎さんも、女性側に注意喚起する。 「夫の助けがほしいのに、『ここは私のお城だから入らないで』では、望む助けは得られません。女性が縄張り意識を持った時点で、『同じことを男性がやってもいい』と同意署名をすることになってしまいます」  共働きのはずなのに過剰に家事・育児を負担する妻は、依然として少なくないようだが、それは果たして男性だけが悪いのか。  時代は過渡期にある。かつてこんな議論がされていた、と驚きをもって後世に受け止められる日がくるのかもしれない。(編集部・熊澤志保) ※AERA 2017年12月4日号より抜粋
AERA 2017/12/01 16:00
押し寄せる大学の「都心回帰」トレンド しかし八王子市は例外?
渡辺豪 渡辺豪
押し寄せる大学の「都心回帰」トレンド しかし八王子市は例外?
広大な敷地に建設中だった中央大学多摩キャンパス。中央の半円のドームがクレセントホール。朝日新聞社ヘリコプターから空撮 (c)朝日新聞社  郊外のキャンパスに近年見られる「都心回帰」の動き。学園都市として知られる八王子市などはその影響を強く受けているが、一方でそれに逆行するような動きもみられる。  大学に共通する都心回帰のメリットは志願者数の増加だ。  三鷹市にキャンパスを集約した杏林大学は、文系学部の総合政策、外国語の両学部で移転後、3倍前後の志願者増に。  共立女子大学も、05年度の総志願者数は2327人だったのが、移転後は3千~5千人台と大幅増で推移。増加要因として女子大特有の側面も挙げる。 「女子大なので実家から通う学生が多い中、埼玉や千葉の学生がかなり増えています。都心に移転したことで通いやすくなり、パイが増えたという感じを受けています」(総合企画室)  10年かけて文京区内のキャンパスを整備し、受け皿拡充を図った拓殖大学。八王子市から移転した15年度の商学部の志願者数は5287人(前年度比2076人増)、政経学部は4953人(同1355人増)と成果は顕著だ。一方で、外国語、国際、工の3学部を残す八王子市内のキャンパスの名称を「八王子」から「八王子国際」に改称。広い敷地面積を生かし、寮やスポーツ環境の整備を図り、「留学生も多くグローバルな学びの環境が整いました」(広報室)としている。  ただ八王子市内の他の大学も「都心回帰一辺倒」ではない。  工学院大学は16年度の入学生から、情報学部の1、2年生を従来の新宿キャンパスから八王子キャンパスに移し、新校舎を整備。動物看護教育のヤマザキ学園大学も16年度以降、全学年が渋谷区から八王子市にシフトした。八王子市はこれらを踏まえ、都心回帰を「課題とは捉えていない」(学園都市文化課)とし、学園都市ブランドの一層の強化に努めている。  とはいえ、「都心回帰」のトレンドは着実に押し寄せている。それを強く印象付けたのは、中央大学の「看板」ともいえる法学部の移転表明だ。  進学塾「早稲田アカデミー」の伊藤誠教務本部長は、法曹志望者の減少や弁護士の就職難なども相まって全国的に法学部のブランド力は低下傾向にあると指摘し、こう唱える。 「だからこそ、中央大学の中で一番ブランド力の高い法学部を都心に戻し、国立大学や他の私立大学と併願する優秀な学生を多数確保しようとするのは必然です」  都心回帰には逆風も吹く。  東京一極集中の緩和のため文部科学省は9月、東京23区内の私立大と私立短大について、18年度の定員増と19年度の大学新設を原則認めない新基準を告示した。伊藤氏は、この23区の定員抑制策や入学定員管理の厳格化だけによって“地方活性化”につなげるのは困難とみる。  というのも、例えば17年度に早稲田大学に合格した学生のうち、7都県の関東出身者は76%。6割を少し超える程度だった20年前の水準と比較すると、変化は一目瞭然だ。  元文科官僚の寺脇研氏も「学科学部の区別もなく、23区という要素だけで線引きするのは議論が粗雑」と苦言を呈する。  6月の閣議決定で23区内の定員増を抑える方針が確認された経緯を踏まえ、寺脇氏は言う。 「高等教育無償化を導入すれば大学進学率の上昇が見込まれる一方、18歳人口減少の流れもある。官僚主導であれば当然詰める政策の合理性が、政治主導によって軽視されている印象を受けます」 (編集部・渡辺豪) ※AERA2017年11月27日号より抜粋
AERA 2017/11/24 07:00
東日本で志願者トップの法政大学総長に聞く「生き残る大学の条件」
東日本で志願者トップの法政大学総長に聞く「生き残る大学の条件」
田中優子(たなか・ゆうこ)/1952年、神奈川県生まれ。80年、法政大学大学院博士課程単位取得満期退学。同大社会学部長などを経て2014年4月から同大総長。専攻は江戸時代の文学・生活文化、アジア比較文化(撮影/慎芝賢)  法政大学は2017年の大学入試で早稲田大や明治大学を抑えて東日本で志願者数トップとなった。その躍進の裏に何があったのか、そして生き残る大学の条件とは? 田中優子・法政大学総長に聞いた。 *  *  * ──今年の入試で志願者数が東日本でトップになりました。その要因は?  そこを目指してきたわけでは全くありませんが、15学部それぞれが非常に多様であること、また学内でグローバル化が進んでいること、過去数回にわたる入試制度改革などが徐々に知られてきた結果だと思います。  法政はバンカラと言われた時代もありましたが、実は1970年代から国際交流や留学制度の充実に取り組んできました。学内には留学生も増え、英語が飛び交っています。また卒業生の中に国際機関で働く人、海外で自らのキャリアを切り開く人たちも多く出てきています。そうした変化をいち早く感じ取るのはやはり女性なのでしょう。女子学生の増加が顕著です。  私が総長になって真っ先に取り組んだのもSGU(スーパーグローバル大学創成支援事業)の申請でした。その後グローバル化、ダイバーシティー化を進めながら、そうした取り組みの発信に力を入れてきました。 ──「発信」に悩む大学も多いようですが。  過去には広告会社に頼んで派手な広告を作ったこともありました。でも私は、それはやらないと決めました。大事なのは、法政とはどんな大学なのか、自分たちで言葉を積み重ねてブランディングしていくことです。ブランドとは有名になることではなく、「こんな学生を育て、こんな考えで研究をしています」という「社会への約束」です。  それを明確にするために教職員や卒業生を交えて何度もワークショップを開きました。続けていくと驚くほどいろいろな言葉が出てくるのです。それが「法政大学憲章」という形に結実しました。  何よりブランディングのプロセスを教職員が共有したことで、一人ひとりが自然と法政の良さを発信するようになり、学生たちも誇りを持てるようになってきました。これは広告会社任せではできなかったことだと思います。 ──18歳人口が減少する中で、大学が生き残る条件とは何だと思いますか。  国内の大学同士で競争することには、意味がありません。それよりも協力することです。今年9月に法政は明治大学、関西大学と連携協力協定を締結しました。実は3大学は建学の時期やボアソナード博士を学祖とする法学教育をルーツに持つことなど共通点が多いのです。そこで教育や研究、学生の交流、留学生の受け入れ、産学連携など幅広く協力していくことにしました。大学ごと統合しなくても、共同でできることはたくさんあるはずです。  競争すべき相手は国内の他大ではなく世界の大学です。「18歳の日本人」だけに目を向けて取り合いをする発想ではダメなのです。先進国で、大学に20歳前後の学生しかいないような国はありません。時代の変化に適応するために学び直しをする社会人や、高齢者など多様な人が学んでいます。それが高等教育のあるべき姿でしょう。  日本がそうなっていないのは、働き方の問題もありますが、もう一つのネックは学費です。社会人も奨学金をもらえるような仕組みが必要になるでしょう。  若者についても日本の学生の7割は私立大学で学んでいますが、1人当たりの公財政支出は国立大学が私立の約13倍です。そのしわ寄せを受けるのは多くの場合、学生のご家庭です。大学は学費ではなく、何を学びたいかで選べるようにすべきです。そのためには国立か私立かに関係なく、学生の負担がさほど違わないような仕組みが必要でしょう。これは大学のためではなく、学生一人ひとりのためです。日本では教育に対して財源をしっかり使っていくという考え方がまだまだ足りない。そこを変えていくべきです。(構成/編集部・石臥薫子) ※AERA 2017年11月27日号
AERA 2017/11/23 11:30
イノシシも出現…キャンパス「都心回帰」で八王子に異変
渡辺豪 渡辺豪
イノシシも出現…キャンパス「都心回帰」で八王子に異変
約3500人の学生が一斉に転出した杏林大学の八王子キャンパス(撮影/倉田貴志) 真新しい杏林大学の「井の頭キャンパス」。パルテノン神殿ふうの本部棟(正面)が目を引く(撮影/倉田貴志)  少子化の波が大学経営を揺さぶるなか、郊外キャンパスの「都心回帰」が顕著だ。異変の渦中にある都内随一の学園都市・八王子市を歩いた。  シミ一つない外壁。ピカピカに磨かれたガラス窓。地面には落ち葉以外、ゴミらしいものは一切見当たらない。校舎や研究棟がそびえ立つキャンパスは、まるごと瞬間冷凍パックされたような静けさに包まれていた。  杏林大学は昨年4月、東京・八王子キャンパスの保健、総合政策、外国語の3学部を都心に近い三鷹市の「井の頭キャンパス」へ移転。3500人の学生が去った今、八王子キャンパスに通うのは運動施設を利用する一部のスポーツ部員に限られる。 「いつでも使える状態です」  大学職員が告げた通り、東京ドームの3倍近い、約13万平方メートルの施設の保守管理は、緑の手入れを含め維持されている。大学側はこの用地を「八王子市の理解も得ながら早期売却を図る予定」としているが、具体的な結論には至っていない。  ユニホーム姿の野球部員に声をかけてみた。茨城、栃木県出身の2人の3年生部員は徒歩5分の下宿暮らし。キャンパス移転について口々にこう話した。 「移転に合わせて引っ越した人が多いです。僕らも野球部でなかったら引っ越していたと思います。家賃は倍以上になりますが、都心に近いほうが絶対いいです。ここは駅前に行かないと何もないじゃないですか」  買い物や娯楽、アルバイトも都心が好条件という。大学も学生のニーズをよく理解している。  学部移転について杏林大学は「文系、医系一体となった総合大学としての教育環境を整える必要があった」ことに加え、「通学の不便性などが学生募集に不利に働いて、志願者確保の上からも課題があった」と説明。大学発祥の地であり、医学部や付属病院のある三鷹キャンパス近くに用地確保できたことから移転集約に踏み切ったという。  首都圏の大学学部の「都心回帰」が相次ぎ、学園都市・八王子市にも異変が生じている。  杏林大学以外にも、共立女子大学が八王子キャンパスを利用していた全学部の1、2年生と国際学部の3、4年生を、2006~07年度にかけて神田一ツ橋キャンパス(東京都千代田区)に集約。拓殖大学も15年から商学部、政経学部の1、2年生を文京キャンパス(文京区)に移した。中央大学も22年までに、法学部を多摩キャンパス(八王子市)から都心部のキャンパスに移す予定だ。  いずれも郊外に展開する以前から確保していた都心部のキャンパスへの「回帰」だ。  八王子市域の大学・短大などは現在20校(杏林大学を除く)。市などの調べによると、都全体の学生数は12年の75万3531人から、16年は76万5043人と少子化の中でも増加。一方、八王子市内は12年の10万5229人から、16年は9万5653人と漸減傾向が続く。  八王子市に大学が集まったのは1963年以降。主な要因として、過密化是正を目的に大都市への工場立地を規制する工場等制限法が60年前後に制定(首都圏59年、近畿圏64年)された点が挙げられる。18歳人口の増加に伴い、大学も同法の制限対象に盛り込まれた。これにより、キャンパスの新設・拡張を企図する大学の郊外移転が進み、東京都心から約40キロ離れ、広大な用地を確保しやすい八王子市は大学などが集積する「学園都市」の代表格に浮上した。  転機は同法が廃止された02年。18歳人口が減少局面に入る「2018年問題」も見据え、これまでとは逆に郊外からの「都心回帰」の流れに拍車が掛かる。背景には、都心の利便性や華やかなイメージを重視し、学生獲得競争で優位に立とうとする大学側の経営判断がある。  この「都心回帰」の最前線ともいえるのが八王子市。潮目の変化を敏感に受け止めているのは不動産業者だ。市内32業者が加盟する「八王子不動産協同組合」の関係者は言う。 「賃貸物件の需要と供給のバランスが崩れてきているのは確かです。ワンルームや1Kの物件も学生さん向けという意識を持たず、社会人を含めた単身者向けという括りでお客さんを探しています」  より厳しい状況にあるのは駅から離れた郊外の物件だ。敷金・礼金をゼロにしたり、家賃を3カ月間無料にしたりする業者も珍しくないという。  あきる野市との境に位置する杏林大学の移転は、周辺住民の生活にも影響を及ぼす。  創業24年のそば店の店主(69)は「バス路線の減便の影響が一番大きい」と打ち明けた。  地元の路線バスは16年春のダイヤ改正で、JR八王子駅-杏林大学間を直行する「急行便」を含め杏林大学に発着する全ての系統を廃止した。  店主の妻(63)はこんな「異変」もこぼす。 「イノシシ、アライグマ、ハクビシンがふもとに出てくるようになりました。大学がにぎやかだった以前は、この辺までは出てこなかったように思うんです。大学のせいにしてはいけないかもしれませんが……」 (編集部・渡辺豪) ※AERA 2017年11月27日号より抜粋
AERA 2017/11/23 11:30
広瀬すず、いつまで続く賞味期限…来年は映画からドラマに“主戦場”を移す?
広瀬すず、いつまで続く賞味期限…来年は映画からドラマに“主戦場”を移す?
広瀬すず  女優の広瀬すず(19)が来年1月にスタートする連続ドラマ「anone(仮・あのね)」(日本テレビ系)に主演する。脚本は同局の「Mother」「Woman」や「カルテット」(TBS系)といった人気作品を手掛けた坂元裕二氏のオリジナルで、演出は先の2作品と同じ水田伸生監督が務めるという。  ドラマ出演に向けて広瀬は「10代は少女といわれる時期でもあると思います。今の自分だからこそ見える世界、感じられる感覚を大切にしたいな、と思います」と意気込みを語っている。 「来年6月に20歳を迎える広瀬にとっては10代最後の連続ドラマとなります。初めて連ドラで主演したのも日本テレビ(2015年放送『学校のカイダン』)。16年の『怪盗 山猫』以降は映画を中心に活躍してきましたが、二十歳を機に主戦場をテレビに移すようです」  そう話すのはスポーツ紙記者だ。  15年に公開された映画『海街diary』で注目を浴び、その後は『ちはやふる』シリーズ、『四月は君の嘘』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』などで主演、今年公開された『先生!、、、好きになってもいいですか?』など2作品ではヒロインを務め、映画への出演が目立っていた。  そんななか、連ドラ主演に続いて発表されたのが、NHKの朝ドラヒロイン抜擢だ。NHKは11月20日、19年度前期の連続テレビ小説「夏空」のヒロインを広瀬が務めると発表した。  1961年の第1作、「娘と私」から100作目に当たる同作は北海道・十勝と日本アニメの創生期を舞台に、真っすぐに生きたヒロインの夢と冒険を描く。  NHKで行われた会見で、広瀬は「“100”っていうとすごく大きな数字というか、存在というか……。いろいろな方から『プレッシャーをかけているわけじゃないけど、100作目だからね』と言っていただいて、ちゃんとプレッシャーを感じております」と心境を語った。 「18年度後期の『まんぷく』のヒロインすら、まだ発表されていない中での異例ともいえる早期発表。NHK制作サイドは『北海道・十勝でもロケを行うため、例年より3、4カ月早い来夏のクランクインが必要。さらに働き方改革による制作期間の長期化も背景にある』と説明しましたが、広瀬人気に便乗したNHKの話題作りと思われてもしかたありません」(テレビ誌ライター)  今年上半期のCM起用社数ランキング(ニホンモニター調べ)で、広瀬は14社に起用され、男女合わせて単独トップと初のCM女王に輝いた。 「昨年の年間トップだった嵐の相葉雅紀の10社をも寄せ付けない圧倒的な強さです。こうしたデータもテレビで勝算が見込めるという裏打ちになったのでしょう。ただ、テレビは視聴率で人気に変動が出ることも少なくありません。彼女の賞味期限がどこまでなのか……」(広告関係者)  まずは10代最後となる広瀬の主演ドラマに注目だ。(ライター・緒方博子)
dot. 2017/11/22 11:30
「閉校」の文字ちらつく学校も… 地方私大が生き残るための2つの道
作田裕史 作田裕史
「閉校」の文字ちらつく学校も… 地方私大が生き残るための2つの道
松蔭大学は収容定員充足率過去3年平均が30%、科研費の伸び率が143%、自己資金比率98%。本厚木駅前にはパチンコ店を改造した「厚木ステーションキャンパス」を置く (c)朝日新聞社 収容定員充足率の低い大学/【収容定員充足率】学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合。大学情報公開サイト「大学ポートレート」に記載されている私立大学約600校のデータから、2015年、16年、17年の「収容定員」「在籍学生数」を抽出。充足率の平均値(小数点第1位で四捨五入)を求めた/【科研費の伸び率】文部科学省が公表している「科学研究費助成事業の配分」のデータから、16年度と17年度の科研費の総額を抽出。伸び率を計算した。「―」は、両年度もしくはどちらか一方の科研費がゼロだったケース/【自己資金比率】大学の「総資産(土地や建物などの固定資産と現金、預金などの流動資産の合計)」に占める「純資産の合計」の割合。各種資料や大学公表の貸借対照表から算出した。16年3月31日現在の数値を用いたが、※は17年3月31日の数値で計算している(AERA 2017年11月27日号より)  全国の大学が「2018年問題」に戦々恐々としている。18歳人口はこの年を境に減り続けるとされ、文部科学省が「大学効率化」の方針を示したことで、すでに「定員割れ」している私立大学を中心に「閉校」の文字もちらつく。そこで本誌は、全国の私立大学のサバイバル能力の数値化を試みた。  指標としたのは、「収容定員充足率の過去3年平均」「科研費の伸び率」「自己資金比率」だ。 「収容定員充足率」は学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合で、100%未満が「定員割れ」。収容定員充足率の過去3年の平均をとることで、「大学の安定的な学生を集める力」を見ることができる。「科研費の伸び率」では、大学や研究機関の研究に必要な資金を国が助成する「科学研究費」が16年度から17年度にかけてどれくらい増えたかを示した。これは大学の学術研究の質を測るバロメーターにもなる。「自己資金比率」は、大学経営の健全性を示すもの。16年3月末時点の大学の総資産に占める純資産の割合を示した。90%以上なら健全性が高く、75%を下回ると相対的に負債が多いと見ることができる。 収容定員充足率の低い順に50大学を並べると、圧倒的に地方。50大学のうち在京の大学は2校だけで、収容定員が千人以下の小規模大学が多く含まれた。2年連続で科研費がゼロという大学も散見される。ただ、収容定員充足率は低くても自己資金比率は高い水準を維持している大学も少なくない。その理由を駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さんはこう話す。 「定員を減らすには煩雑な手続きが必要なので、定員割れでも経営を続ける体力がある大学は是正しないケースもある。系列の高校、中学で利益を上げている学校法人もあるので、定員割れイコール経営が危ないということではありません」  とはいえ、収容定員充足率の「高低」を分けたものは何なのか。  教育ジャーナリスト木村誠さんは言う。 「短大が共学化して4年制大学になった大都市郊外や地方の大学で、短大教育をそのまま延長したようなケースは、総じてうまくいっていない。就職先も広がっていない。地の利が悪いところはさらに苦しい」  医療、福祉、看護など、地域に就職先があるかどうか、地元ニーズを満たすかどうかが大きいという。 「収容定員充足率」の3年平均が30%だった松蔭大学の前身は松蔭女子短期大学。00年に4年制の松蔭女子大学になり、04年に共学化して改称した。神奈川県と東京都に五つのキャンパスがあるが、メインの「厚木森の里キャンパス」は小田急線本厚木駅からバスで約20分。17年5月時点で、収容定員2172人に対して在籍学生数は674人だ。この状況について尋ねると、大学側はこう回答した。 「19年度募集から、学科廃止を含めて検討を行っている。借入金もなく自己資金比率は高いので、財務上の心配はない。科研費の取得額、取得率共に向上しています」(入試広報課)  地方私立大学はどうれば生き残れるのか。石原さんは、生き残る道は二つだという。 「有力私大の系列に入るか、地方の専門学校の需要を取り込むか。前者の場合は、WIN-WINになれるように財務基盤をしっかりと保っておくこと。後者の場合は、地元企業に就職できる専門性を獲得できる独自のカリキュラムを構築することが肝要です。ビジネス感覚を持った職員の養成も急務でしょう」 (編集部・作田裕史) ※AERA 2017年11月27日号より抜粋
AERA 2017/11/22 07:00
私立大学580校の“サバイバル能力”を数値化
作田裕史 作田裕史
私立大学580校の“サバイバル能力”を数値化
武蔵大学は収容定員充足率過去3年平均が120%、科研費の伸び率が94%、自己資金比率90%。少人数教育を徹底し、全学年でゼミが必修。毎年400以上ものゼミが開講されている (c)朝日新聞社 西南学院大学は収容定員充足率過去3年平均が118%、科研費の伸び率が105%、自己資金比率91%。2016年に創立100周年を迎え、17年4月に新しい図書館をオープンさせた (c)朝日新聞社  2018年を境に減り続けるとされている18歳の人口。大学にとっては死活問題だ。この状況で生き残れるのはどんな大学なのか、大学のサバイバル能力を数値化し、比較した。 文部科学省がよりいっそうの「大学効率化」を進める方針を示したのは10月25日、中央教育審議会でのことだ。  私立大学の経営状況に対するチェック機能を強め、経営状況が苦しければ他大学との合併や閉校を促す。学部や学科単位で他の法人に譲渡できるよう、制度改正も進めるという。  急な破綻を未然に防ぐためには、大学の自主性に任せるだけでは不十分だという判断で示された方針だという。  すでに「私立大学の定員割れ」は全国的な現象だが、18歳人口は2018年から長い減少期に入り、23年には110万人、31年には100万人を割ると予想されている。17年は120万人だから20万人減。仮に大学進学率が現在と同じ50%ほどで推移すると仮定すると、受験生は10万人減。数字上は、1千人規模の中堅大学が100校消滅することになる。 『大学大倒産時代』(朝日新聞出版)などの著書がある教育ジャーナリスト木村誠さんは言う。 「特に、経済力が低下した地方の家庭の子どもたちへの影響が大きい。伸び率が男子より高かった女子の進学率も頭打ちになるでしょう。学生を集めにくくなり、財政基盤も弱い地方の私立大学が最も危ない」  そこでアエラは、私立大学の「サバイバル能力」を数値化することを試みた。指標としたのは、「収容定員充足率の過去3年平均」「科研費の伸び率」「自己資金比率」だ。 「収容定員充足率」は学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合で、100%未満が「定員割れ」。逆に100%を超えると定員超過となる。よく言われる「定員割れ」は入学者数が入学定員に満たないことを指すが、年度によるばらつきが大きく大学経営への影響をみるには適さない。収容定員充足率の過去3年の平均をとることで、「大学の安定的な学生を集める力」を見ることができる。 「科研費の伸び率」では、大学や研究機関の研究に必要な資金を国が助成する「科学研究費」が16年度から17年度にかけてどれくらい増えたかを示した。研究活動を行う大学にとって、国から競争的資金を獲得することは「生き残り」に必要な能力の一つ。社会的意義のある研究には多くの科研費が分配されるので、大学の学術研究の質を測るバロメーターにもなる。 「自己資金比率」は、大学経営の健全性を示すもの。16年3月末時点の大学の総資産に占める純資産の割合を示した。私立大学は「自己資金経営」が基本で、校舎の建設や設備投資は自己資金でまかない、借入金などの外部資金に頼らないのが原則だ。90%以上なら健全性が高く、75%を下回ると相対的に負債が多いと見ることができる。 「収容定員充足率」の過去3年平均の数値が高い順と低い順に並べていくと、高いほうで目立つのは、医療・福祉系、外国語系、女子、都内の人文学系の大学だ。実際、名古屋外国語、清泉女子、阪南、東京女子体育、ノートルダム清心女子、西南学院、酪農学園、創価、長浜バイオ、白百合女子、甲南女子の各大学は、「収容定員充足率」の過去3年平均が高いだけでなく、「科研費の伸び率」が100%を超え、「自己資金比率」も90%を超えている。  前出の木村さんによると、全国津々浦々に就職口がある医療・福祉系大学の安定感は高い。東北福祉大学は自己資金比率では先に挙げた11大学に劣るものの、実習の充実ぶりで知られ、地域福祉の分野で実績がある。東北芸術工科大学、熊本保健科学大学なども含め、 「地方における先駆的な大学、都心の大学にはあまりない、特色ある大学は強い」(木村さん)  名古屋外国語大学や京都外国語大学は、外国語の専門職を目指したい地元志向の女子学生に人気が高く、鎌倉女子大学は児童教育や管理栄養士など女子学生に人気の分野の実学を充実させてきたことで、偏差値も人気も高めることに成功している。津田塾大学は今年4月、JR中央線と総武線が乗り入れる千駄ケ谷駅前のキャンパスに「総合政策学部」を新設し、受験生の裾野が千葉や横浜にも広がった。  獨協、武蔵、國學院、成城などの大学はいずれも、比較的小規模な文系主体の大学だが、 「丁寧な少人数教育が評価されている」(木村さん)  獨協大は本誌の取材に、 「収容定員充足率が高いのは、少人数、外国語、グローバル教育という本校の方針が受験生に受け入れられ、キャンパス再編で親御さんからも支持を得た結果だと思う」(総合企画課)  と回答。定員超過は教員1人当たりに対する学生数の増加につながる、という指摘には、 「入学者の歩留まりが読みにくく苦慮しているが、臨時教員を雇用する、授業のコマ数を増やすなどの対策を講じている」  と答えた。武蔵大は収容定員充足率の高さを「高校教員からの評価が高いから」と分析。 「入学者アンケートでは、半数以上が高校教員からの勧めで本学を受けたと回答しています。アクティブラーニングへの注目が追い風となって教員評価が上がったと考えられます」(広報室) (編集部・作田裕史) ※AERA 2017年11月27日号より抜粋
AERA 2017/11/22 07:00
JKのスカート丈に「ハニワ課長」引退、忖度まんじゅうまで! 新聞に載ったB級ニュースたち
JKのスカート丈に「ハニワ課長」引退、忖度まんじゅうまで! 新聞に載ったB級ニュースたち
 事実は小説より奇なり。朝日新聞が報じたB級ニュースを、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、夕日新聞社としてピックアップ! その一部を紹介する。 ■JKのスカートは“西長東短”(2017年7月29日 全国)  女子高校生(JK)がオシャレと考えるスカート丈を、朝日新聞の記者が調査した。14都道府県の主要駅前などで、約2400人を調査したところ、各地に「こだわり」があることがわかった。  際立ったのは関東都心部と大阪の違い。東京と横浜ではミニが多いが、大阪はひざが隠れる長さが約6割。神戸(兵庫)はひざ下ぴったりの“お嬢様風”。滋賀はひざが見える人が約9割と、同じ関西圏でも差があった。  札幌、関東各地、名古屋、津山(岡山)は、ひざ上が過半数。西日本で長く、東日本は短い傾向がみられた。学校から出たらスカートを腰の部分で折って短くするという群馬の高校生は、「JKは一生に一回。しばられちゃいられないですよ」と話す。 ■ゾウガメが逃げた「友達」を捜してた?(2017年8月16日 岡山県)  岡山県玉野市の渋川動物公園で、8月1日朝、放し飼いされていたアルダブラゾウガメの「アブー」が逃走。防犯カメラには1メートル近い甲羅をもつアブーが入園ゲートから外に出る姿が映っていた。  スタッフが周辺の道路や山中を捜したが、ふんや爪痕などの痕跡すら見当たらない。14日、発見者に懸賞金50万円を渡すとホームページで公表したところ、16日昼過ぎ、岡山市内の親子が園から150メートル離れた林の中で発見した。  飼育員の山根美実さんは「いつも一緒にいるケヅメリクガメを別の小屋に移したので、そのカメを捜してうろうろしたのではないか」と推測する。  カメは、歩みはゆっくりだが、歩き始めたら止まらない。意外な力を発揮することもあるという。 ■古墳PRに尽力「ハニワ課長」引退か?(2017年7月31日 堺市)  大阪府堺市などの百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産の国内候補になった。ところが、長年、古墳群をPRしてきた堺市のキャラクター「ハニワ課長」が引退を表明。波紋を広げている。  ハニワ課長は、古墳から発掘され、1600歳という設定。絶妙なおしゃべりが人気だが、本人は「ふざけすぎとお叱りも受け、ユネスコ(※)に通用しないかも」と語る。  ただ、地域のイベントなどでは引っ張りだこの人気ぶり。市の幹部は「世界遺産登録の日までがんばって」と思いとどまるよう説得中だ。 (※)新しい世界遺産は、1年に1度開催されるユネスコの世界遺産委員会で決められる。 ■「忖度まんじゅう」注文殺到(2017年7月25日 大阪市)  白い皮に大きく「忖度」と刻印された「忖度まんじゅう」が人気だ。辞書風の箱の包みには「人の心をおしはかること」という意味や例文もあしらわれている。  大阪市の企画会社「ヘソプロダクション」が商品化。上司や取引先などに土産として渡し、楽しい会話のきっかけにしてほしいという。  政治の世界では、役人が首相周辺の意向を過度に忖度して仕事をしている疑いがあり、マイナスイメージに捉えられがちな言葉だが、注文は殺到。関西限定販売ながら「他地域の意向も忖度させていただきたい」と同社社長。 ※月刊ジュニアエラ 2017年11月号より
ジュニアエラ朝日新聞出版の本読書
AERA with Kids+ 2017/11/12 16:00
出会い系より怖いSNS 規制すれば座間事件の少女たちを守れたのか?
出会い系より怖いSNS 規制すれば座間事件の少女たちを守れたのか?
白石容疑者が住んでいたアパート。「#自殺募集」などのハッシュタグが入った投稿を検索して被害者と接触したと見られている (c)朝日新聞社  思春期の生きづらさを利用し、毒牙にかけたのか。座間事件の犠牲者には15歳の少女もいた。危険性が指摘されるSNS。だが、利用規制だけでは解決にはならない。  神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件は被害者全員の身元が判明した。警視庁の情報によると、高校1年の女子(15)や高校2年の女子(17)をはじめ3人が、18歳未満だった。死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)はツイッターを通じて被害者と知り合ったと話している。事件について菅義偉官房長官は「人の目の届きにくいSNSを利用した極めて卑劣な手口」だと厳しく批判。11月10日には関係閣僚会議を開き、自殺に関する不適切な書き込みの削除や制限の強化、ネットを通じて自殺願望を発信する若者の心のケアなどを指示した。 ●出会い系からSNSへ  これに先がけてツイッター社は利用規約を更新し、自殺や自傷行為の助長や扇動を禁じると明記した。該当するツイートには削除やアカウント停止などの措置を行い、また自殺をほのめかすようなツイートには専門家への相談を促していくという。しかし、 「具体的に『この言葉がアウト』というものはつくっていない」(広報担当者) 「一緒に死んでくれる方を募集しています」「#自殺募集」という投稿や「よかったら、一緒にやりましょう」というリプライが今も飛び交っている。  SNSを介して犯罪被害にあう子どもたちは増加する一方だ。警察庁によると、2016年にツイッターなどのSNSがきっかけで児童買春や児童ポルノの性犯罪被害などにあった18歳未満の若者は1736人と過去最多。08年の出会い系サイト規制法改正で18歳未満の利用が禁止されたことが背景にある。中でも匿名で利用できるツイッターを通しての被害は急増しており、16年の被害者数は15年の約2倍に。 ●過剰な利用制限は危険 「私にとって息をするのとつぶやくのは同じ」  と言うのは、東京都内の私立高校1年生の女子(15)。普段から八つのツイッターアカウントを活用し、調べものをするときもグーグルやヤフーではなくツイッターで検索しているという。  親や友人に言えない悩みや愚痴は新規アカウントをつくりツイートすることで解消してきた。ノートやメモに書くのとは違い、発言した達成感があるからだ。 「タイムラインって流れていくものだし、誰かに読まれているという意識はないんです。でも今回の事件みたいに反応してくれる人がいたらうれしいと思っちゃうかも」(女子生徒)  今後もツイッターの利用を控える気はないという。  保護者や周囲の人間にできる対策はあるのか。ツイッターのパートナーサービスにもなっており、月1万人が利用する10代のための相談・検索サイト「Mex(ミークス)」を運営する認定NPO法人「3keys(スリーキーズ)」の森山誉恵代表は、 「自殺にかかわるツイッターは規制は必要ですが、10代が本音を吐き出せる唯一の場所になっているのも事実。過剰に利用を制限すれば、かえって孤立感が高まる危険があります」  と指摘する。保護者や教諭らは自殺願望を打ち明けられても、心配や責任感から話を聞くよりも「指導」したくなるが、それは良くない。まずは子どもたちの声をそのまま受け止めること、信頼に裏打ちされた関係性を築くことが大切だ。異変を感じたら経験豊富な専門家や支援団体につないでほしいという。同時に「子どもの自己責任論にしてはいけない」と、被害者である子どもや若者にだけネットリテラシーを求めるような空気にも警鐘を鳴らす。  本当に必要なのは、加害者になり得る大人がSNSを悪用しないための規制だろう。 (編集部・竹下郁子) ※AERA 2017年11月20日号
AERA 2017/11/11 00:00
斎藤佑樹だけじゃない…プロで輝けなかった高校野球のスターたち【投手編】
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斎藤佑樹だけじゃない…プロで輝けなかった高校野球のスターたち【投手編】
日本ハム・斎藤佑樹 (c)朝日新聞社  ドラフト会議が終わり、注目の高校通算111本塁打の清宮幸太郎(早稲田実)は7球団競合の末に日本ハム、一大会新記録の甲子園6発の中村奨成(広陵)は広島が交渉権を獲得した。夢と希望に満ちたプロ野球人生が間もなく始まろうとしているが、その一方で過去には甲子園のスター選手として鳴り物入りでプロ入りを果たしながらも満足に活躍できなかった選手も数多くいる。光があれば、陰もある。そこで今回は平成以降の甲子園の舞台を対象に、プロ野球では苦しんだ高校球児たち・投手編を紹介したい。  そのフィーバーぶりで記憶に新しいのは、やはり斎藤佑樹(早稲田実)だろう。2006年夏の甲子園で決勝再試合を含めた7試合で4連投、史上最多の69イニングを投げ抜いて頂点に立ち、その爽やかな風貌で「ハンカチフィーバー」を巻き起こした。その後、早稲田大を経て日本ハムにドラフト1位で入団したが、今季までのプロ7年間で計15勝にとどまっている。だが、この斎藤以上に栄光の甲子園後に苦しんだ投手は多くいる。  “苦悩のドラ1”だったのが、辻内崇伸(大阪桐蔭)だ。2005年夏の甲子園に出場すると、左腕投手として当時最速の156キロを計測し、大会最多タイ(当時)の1試合19奪三振もマーク。同年秋のドラフトで巨人とオリックスから1巡目指名を受けた。しかし、巨人入団後は制球難に悩まされるとともに肘、肩と度重なるケガにも苦しみ、在籍8年間で1軍未登板のまま2013年オフに戦力外通告を受けて現役引退。引退後は、日本女子プロ野球機構の指導者となり、現在は埼玉アストライアのヘッドコーチを務めている。  その辻内よりも前に甲子園を沸かせた黄金左腕が、川口知哉(平安)だった。1997年の甲子園に春夏連続で出場し、切れ味抜群のカーブを武器に夏の大会で準優勝。インタビューでのビッグマウスぶりでも注目を集め、将来のエース候補として、オリックス、近鉄、ヤクルト、横浜の4球団からドラフト1位指名を受けた。だが、オリックス入団後はフォームを崩し、在籍7年で1軍登板9試合(0勝1敗)のみで引退。建設業で働いていた後、2010年から辻内と同じく女子プロ野球のコーチを務め、現在は兵庫ディオーネのヘッドコーチになっている。  このふたりよりも甲子園で大きな歓喜を味わったのが、“トルネード左腕”島袋洋奨(興南)である。2年時から春夏連続で甲子園出場を果たすと、3年生となった2010年は史上6校目の春夏連覇を達成し、松坂大輔と並ぶ歴代5位の甲子園通算11勝、左腕投手歴代最多の年間102奪三振をマークした。だが、進学した中央大の2年時に左肘を故障して以降は不振。ソフトバンクにドラフト5位で入団し、1年目の2015年に1軍2試合に登板したが、その後は左肘の違和感が消えずに今年8月に遊離軟骨除去の手術を受けて10月に戦力外通告。現在は育成選手としての再契約が検討されているという状況だ。  平成最初の夏を沸かせたのは、大越基(仙台育英)だった。威力抜群のストレートを武器に元木大介ら擁する上宮を破って決勝まで勝ち上がり、帝京との激戦の末に延長負けを喫したが、その熱投で多くの高校野球ファンの心を動かした。  だが、プロからの誘いを断って早稲田大に進学するも半年で退部。アメリカへ渡った後、ダイエーから1位指名を受けてプロ入りを果たしたが、投手としては通用せずに1994年に13試合に登板したのみで未勝利のまま野手転向。高い運動能力で守備・代走要員として活路を見いだしたが、スターだった甲子園での輝きは最後まで取り戻すことはできなかった。2003年に引退後は教員免許を取得し、現在は山口県の早鞆高校の野球部監督を務めている。  その他、正田樹(桐生一)も、2002年に9勝を挙げて新人王には輝いたが、その後は左肩痛に悩まされたこともあり、NPB在籍8年で25勝38敗、防御率4.70と甲子園優勝投手としては物足りない成績に終わり、現在は独立リーグ・愛媛でプレーしている。  また、ケガでプロ入りは叶わなかったが、森尾和貴(西日本短大付)の存在も忘れられない。松井秀喜の敬遠騒動が起こった1992年夏の甲子園で全5試合完投4完封1失点というハイパフォーマンスで全国制覇を果たしたが、社会人野球の新日鉄八幡で肘や肩を故障し、29歳の時に野球部が廃部になってそのまま引退となった。  彼ら以外にも、高校時代で燃え尽きてしまった投手は数知れない。それは本人たちの責任もあるだろうが、指導者などの外的要因も多いだろう。少なくとも、甲子園での連投が影響して肩や肘を壊す“悲劇”は今後、なくしていかなくてはならない。
dot. 2017/11/08 16:00
セレーナ・ゴメス、米ビルボードが選ぶ2017年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>に
セレーナ・ゴメス、米ビルボードが選ぶ2017年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>に
セレーナ・ゴメス、米ビルボードが選ぶ2017年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>に  毎年恒例の【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック・アワード】で、その年に最も輝いた女性スターに贈られる2017年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>に、セレーナ・ゴメスが選ばれた。  米音楽業界で活躍する女性アーティストや重役の功績を称える授賞式は、今年は現地時間2017年11月30日に米ロサンゼルスのレイ・ドルビー・ボールルームで開催される。他の各賞も追って発表される。  セレーナ・ゴメスはシンガー、プロデューサー、女優の顔を持つ25歳。過去にはレディー・ガガ、テイラー・スウィフト、ピンク、ケイティ・ペリー、ファーギー、ビヨンセなどにこの名誉ある賞が贈られている。去年受賞したマドンナの、業界に蔓延する性差別や女性蔑視などに言及する感動的なスピーチは大きな話題になった。  ハリウッド・リポーター・ビルボード・メディア・グループ社長のジョン・アマトは、「セレーナはチャートで好成績を残しているだけでなく、信頼に足る人であれ、(周りに)報いなさい、そして自分の意見を述べることを恐れるなと世界中の若い女性たちを(自らの言動で)鼓舞している。彼女は自分の考えを述べることを恐れず、他の人のニーズを代弁するために自分のプラットフォームを利用している。我々の<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>として彼女を表彰できることをとても喜んでいる」とコメントしている。  人気子役として芸能界入りしたセレーナだが、現在もキャリアは絶好調だ。2015年と2016年に「セイム・オールド・ラヴ」、「ハンズ・トゥ・マイセルフ」、チャーリー・プースの「ウィー・ドント・トーク・エニモア」がソング・チャート“Hot 100”TOP 10入りを果たしており、今年も「バッド・ライアー」、「フェティッシュfeat.グッチ・メイン」、カイゴとの「イット・エイント・ミー」がヒット中だ。過去に5枚のアルバムがアルバム・チャート“Billboard 200”TOP 10入りし、中でも2013年の『スターズ・ダンス』と2015年の『リバイバル』はそれぞれ1位を獲得している。  音楽以外でも彼女は、Netflixオリジナル・ドラマ・シリーズ『13の理由』の製作総指揮を務め、コーチとプーマとのパートナーシップを発足している。また、Step Up Foundationと協力し、World Kindness Dayのコーチングに出向いて10代の女子と交流したり、ループス(全身性エリテマトーデス)・リサーチ・アライアンスの為に50万ドル(約5,700万円)を集めるなど、様々な慈善事業にも積極的に関わっている。セレーナは2009年からユニセフの親善大使も務めている。  今年の【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック・アワード】授賞式とレッドカーペット・プレイベントは、初の試みとしてTwitterでも生中継される。 ◎Selena Gomez Named Billboard's 2017 Woman of the Year https://youtu.be/CvG8UXnRfEc
billboardnews 2017/11/01 00:00
恋愛は家電選びと同じ? イマドキ女子が求める「3NO」男とは
恋愛は家電選びと同じ? イマドキ女子が求める「3NO」男とは
女性が結婚相手に求める条件の主な変遷(週刊朝日 2017年11月3日号より) 「結婚相手に求める条件」アンケート(週刊朝日 2017年11月3日号より)  かつて高身長、高収入、高学歴の「3高」を求めていた女性の結婚条件のハードルが、ずいぶんと下がっているらしい。暴力をしない、借金をしない、浮気をしない「3NO」。当たり前のことだと世間は言うけれど、いやいや案外シビアな要件のようで、納得する声も聞こえてくる。“リスク”を選ばないイマドキ女子の本音に迫る。  東京・渋谷のとあるレストランで男女4組がテーブルにつき、合コンがスタートした。 「好きなタイプはどんな男なの?」  20代後半の女性は迷うことなく言った。 「浮気を絶対しない人。暴力を振るわないことも当然。それにギャンブルにのめり込まない人」  女性一同、顔を見合わせながら深くうなずく。 「いやいや、そうじゃなくて、芸能人で言えばどんなタイプ?」  男性陣の質問に、「うーん」と首をかしげ、「それはちょっと……」。 「……」。男性陣は苦笑いを浮かべるばかり。にぎやかなレストランの一角に、静寂が漂った。  この女性の大学時代の同期はすでに結婚し、子供も2人、3人といる。現在交際相手はいないが、知り合った男性とは結婚を意識する、という。 「収入は多いほうがいいのでしょうが、こんな当たり前の条件を満たさない男性とは結婚できないですね。そんなことで家庭が脅かされるのでは、心の平穏が保てません」  バブル期を経た20年ほど前まで、高収入、高学歴、高身長の「3高」こそ結婚相手として最良の条件だともてはやされた。しかし、その後の経済の停滞、若者の働き方の変化などで、結婚相手に高望みをしないという傾向に変わってきた。そして今、新たな3要素が世の女性の間で求められている。「3NO」だ。  婚活支援サービスを展開する「パートナーエージェント」が今年2月、25歳から34歳の独身女性約2千人を対象に、「結婚相手に求める条件」をテーマにアンケートを実施。そこで上位に入ってきたのが「暴力をしない」「借金をしない」「浮気をしない」の、三つの「しない(NO)」だった。  しかし、ここで思考が止まってしまう。当たり前の条件ではないのだろうか──。男性に対し、ずいぶんと条件のハードルを下げているようにも感じる。何を隠そう、記者も未婚独身の寂しい“おひとり様”だ。高収入、高学歴、高身長と、これから努力しても手遅れの条件を求められるより、「3NO」ならば「こんな俺でも……?」と淡い期待を抱いてしまう。そんな簡単な条件を望む女性が果たして存在するのだろうか。疑念を払拭(ふっしょく)できない記者は、独身女性の本音を探るべく、聞き取り調査に向かった。  まず出会ったのが、32歳でフリーのライター女性。その働き方から、安定した職業の相手を望むのではないかと踏んでいたが、そうではなかった。 「『3NO』には同感です。以前お付き合いした人が、高学歴、高収入でしたが、性格が合わなくて」  彼女によれば、夫婦の共働きが当たり前の時代であり、男性の経済力には重きを置いていないという。 「必要なのはお金よりも癒やし。浮気、暴力、借金をしない安心感を求めます」  社会に女性が進出する一方、ストレスは募る。だから自宅は和みの場にしたいだろうし、そこで生活を共にする相手にも癒やしを求めるのは当然のことかもしれない。28歳の女性会社員はこう言う。 「『3高』を満たす男性は、どこかギラギラしてて、一緒にいると疲れちゃうんですよね。落ち着いた付き合いができて、余計な心配をしなくてもいい『3NO』男性を探すのは、よくわかります」  男性と対等でありたいという思いから「3NO」支持に変わったという意見も。28歳のアルバイト女性は、過去の苦い恋愛経験を思い出す。イケメンで高収入の彼は、浮気を繰り返し、いざこざも絶えなかった。そしてお決まりのように「俺が養ってやってるんだぞっ」と高圧的な態度をむき出しにしてきた。 「そんな関係はもう懲り懲り。結婚するなら最低限でいい。『3NO』がそろっている男性がいいです」  こうした背景について、夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、 「女性が自立する時代に変わって、男性に経済的な力を求めなくなってきているんです。高収入の男性をつなぎ留めておく必要がなくなっているから、結婚相手の条件がドライになっていることも考えられますね」  と語る。  さらに、SNSの浸透で、誰もが情報を得られる環境が、「3NO」を引きつけると分析する。 「どこからでもアドバイスが入る。たとえば、ネット上には『浮気の見破り方』なんてページがたくさんあるし、(フェイスブックやツイッターで)『旦那に殴られちゃったけど、次の日すごく優しくしてくれた』なんて書き込もうものなら、『それは暴力。あなたはわかってない』と教えてくれます」(岡野さん)  かつては自身の解釈でとどめていたが、「悪いことなんだ」と気づかされることが多いのだという。昨今、著名人の不倫報道で、周囲の目が厳しくなっている。さらには、友人や他人の夫婦生活までが「のぞき見」でき、人と比べて恥ずかしくない結婚をしなければいけない、という思いが強くなり、より堅実な男性を求めているとも考えられる。岡野さんは続ける。 「暴力、借金、浮気は3大離婚原因。夫になる人にはそんなことがあってほしくない。事実婚や別姓婚がはやっていることでもわかるように、結婚にリスクを負いたくないのが若者の結婚観なんです」  そんなイマドキの女性に共鳴するのは「3高」男性と結婚した40代主婦。「よくぞそこに気づいたなって思います」と、「3NO」を求める女性に“賢さ”を感じている。 「『3高』と違って、暴力や借金、浮気は目に見えませんし、結婚後にわかっても、ある程度目をつぶることになりますから……。まわりにはそんな事例がよくあります。結婚前に知っていたら、って悔やむんですよね」  女性が我慢を強いられずに相手を選ぶことは歓迎すべきだが、一方で「3NO」を条件にすることに違和感を覚える女性もいる。31歳の女性会社員はこう突き放す。 「『3NO』って根本的なことで、条件以前だと思います。そんな薄っぺらく、低レベルなところで相手を選ぶことはしませんね」  なかなか手厳しい意見だが、記者が当初感じていた疑問と通ずる。32歳の既婚女性も同様だ。 「結婚前は『3NO』がいいと思っていたんですが、いざ結婚すると経済力は大事だなと思うことがたくさんあります。『3NO』は大事な要素ですが、現実的なことを考えれば、それは条件とは言えないんじゃないでしょうか」  中にはこんな意見も。 「もはや恋愛や好きなタイプではなくて、家電製品選びのように感じます」  40代の女性会社員は、同僚であり、仕事への貪欲(どんよく)さに欠ける若い女性社員らに、「3NO」の気質を見る。あらゆる場面で「守り」に入ることが最低ラインを引く態度につながっているのではないか、と読み解く。 「自分に嫌な思いをさせるな、という気持ちから生まれているのではないでしょうか。60歳で浮気をする人もいるし、交通事故で借金を背負うことだってありうる。暴力だって何が引き金になるかわからない。この人は『3NO』だなんて思っていても、崩れることだってありますから」  自身が経験してきた羽振りのよかった時代との違いも指摘する。 「かつては仕事終わりに、飲むからついてくる?って誘う、おせっかいな先輩が多かったですよね。いろんな男性を知る機会を得ましたしね。しかし、今では飲みに誘えばアルハラ扱い。社内でこぢんまりとした若い世代をつくってしまっているかもしれません」 賛否両論の「3NO」。“選ばれる側”の男性はどう感じているのか。34歳独身の男性会社員は、「『3NO』を求められる実感はありませんね」と、低すぎるハードルに疑問を呈した。 「『3NO』さえあれば結婚がうまくいくなんて、そんな簡単な話はないですよね。それだけ満たすのであれば、僕はとっくに結婚できているはずです(笑)。そもそも、結婚前から条件を付けられることに窮屈さを感じます」  岡野さんは言う。 「結婚前からハードルを設けられている、縛られていると感じる男性はいると思いますね。これはダメ、あれはダメと結婚前から責められると、引いてしまう男性もいるのではないでしょうか」  かつて「3高」が求められていた時代に憂き目にあった50代のバツイチ独身男性には、気になる30代女性がいる。条件が下がったと伝えると、小躍りし、どんな条件か、と食いついた。 「暴力? 女性に手を出すなんてとんでもないことですよ。競馬は好きですが、借金はしません」  浮気は? 「……。世の中にはすてきな女性がたくさんいますからね……。それが原因のひとつとなって離婚したものだから……」  果たして「3NO」時代は安泰か。それとも新たな条件が台頭するのか。いずれにせよ、女性主導の条件に男性が振り回されるのは世の常か。(本誌・秦 正理) ※週刊朝日 2017年11月3日号
男と女
週刊朝日 2017/10/31 16:00
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

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プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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