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沢口靖子の『科捜研の女』が25年間、愛される理由 30代からマリコを演じ続ける “不変”の安心感
25周年を迎えた「科捜研の女」で主人公・榊マリコを演じる沢口靖子
俳優・沢口靖子(59)が主演のドラマ「科捜研の女 season24」(テレビ朝日・毎週水曜午後9時)が、いよいよスタートした。1999年のスタート以来、現行の連続ドラマでの最多シリーズ記録を更新し続け、今年はシリーズ誕生から25周年を迎える。社会の流行、視聴者が求めるものが目まぐるしく変化する今、「変わらない」ことが“科捜研”の魅力になっていると、専門家は指摘する。
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いよいよ25周年の記念のseason24がスタートしたドラマ「科捜研の女」。記念の年の初回は2時間スペシャルで全レギュラー陣が集結し、シリーズ史上空前の難事件が立ちはだかるという気合の入れようだった。
「科捜研の女」は、京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の法医研究員・榊マリコ(沢口靖子)を中心とした研究員たちが、法医、物理、化学、文書鑑定などの専門技術を武器に難解な事件の真相解明に挑むドラマだ。
25年も続く理由を、ドラマウォッチャーの中村裕一氏はズバリ「科学」にあると言う。
「『科捜研の女』がここまで長く愛される理由には、“科学捜査”というテーマの揺るぎない普遍性・継続性が挙げられます。科学は、進化こそすれ、退化しません」
刑事ドラマや警察ドラマはこれまでにもたくさんあったが、科学捜査モノは『科捜研の女』がさきがけだ。そして、先端科学を駆使した捜査のドラマは、その科学が進化していけば、どんどん斬新なものになっていく。中村裕一氏は「半永久的に続く」と補足し、『科捜研の女』に引き付けられる理由をこう話す。
「次々と新しい技術が誕生する限り、それをベースにしたストーリーも半永久的に作ることが可能だと思います。そこに加わるのが“人間ドラマ”。科学によって解き明かされる複雑な人間心理や想定外の行動に、視聴者である私たちは強く惹かれるのです」
加藤諒、鈴木福の登場でさらに魅力が
主人公・榊マリコを取り巻く面々には、刑事部捜査一課の刑事の土門薫(内藤剛志)、洛北医科大学で働く解剖医風丘早月(若村麻由美)、科捜研の化学担当の宇佐見裕也(風間トオル)などなど個性的で、専門性の高い登場人物がひしめいている。
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こうしたレギュラー陣に、season24からは、会計係・加瀬淳(加藤諒)、シーズンゲストとして新人警察官・新開颯太(鈴木福)が加わる。さらに魅力が広がったと中村氏は言う。
「マリコをはじめ不動のレギュラーキャストと新しいキャストが、どんな人間模様を織りなすかは、大きな注目ポイントの一つです。特に映画『翔んで埼玉』などの怪演が光る加藤諒と、老若男女問わず多くの人から愛される好感度俳優・鈴木福のキャスティングは絶妙で、二人がどんな芝居を見せてくれるのか想像しただけで楽しみが広がります。
この顔ぶれだけでもマンネリを打破する効果は大いにあると思いますし、加藤諒や鈴木福と同世代の視聴者層の流入も見込めるかもしれません」
マリコは変わらない
科学は“普遍”のテーマだが、マリコを25年間も演じる沢口靖子は“不変”だ。
1999年にドラマがスタートした25年前、当然ながら沢口靖子は34歳。白衣を身に着け、難解な事件を鋭い観察力で紐解いていくクールビューティーさは、あの頃のままというのが大げさではないほど、マリコはマリコのままだ。
「デビュー作である映画『刑事物語 潮騒の詩』(1984年)から、ほとんど変わっていない」と言う中村氏。沢口靖子の“不変”は、34歳でマリコを演じるよりもはるか前から始まっていたということになる。恐るべし、沢口靖子!
「科捜研の女」が始まった1999年のころの沢口靖子。陶器のようななめらか肌が美しい、そしていまも変わらない。第24回菊田一夫演劇賞=1999年4月19日
そんな沢口靖子にとってマリコは“はまり役“だと、中村氏は分析する。
「彼女の美しさが、“科学”という普遍的なジャンルに見事にマッチしています。いつまでも変わらない清潔感があり、凛とした芯の強さを感じさせる表情を持っており、まさにロングランドラマにぴったりのキャスティングだと思います」
25年も続いたドラマだからではなく、マリコは沢口靖子とは切っても切り離せないものになっている。そのことも、こうして長く愛されるドラマの理由だと中村氏は言う。
「主人公が変わらない=同じだと、単純に安心感・安定感が生まれます。視聴者心理的にも『あの人が出ているから』ということで、継続的な視聴習慣へとつながります。特に年齢が高い視聴者ほど、『この曜日のこの時間にテレビでドラマを見る』というライフスタイルが根づいていると予想され、おのずとドラマに安定感を求める傾向にあるのではないでしょうか」
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マリコたちが解決してくれる!
主人公は変わらず、一話完結のストーリー構成のため、season24の初回は見逃しても、その次からでも十分楽しむことができる。また、科学捜査と言っても、専門用語はホワイトボードで丁寧に説明する演出や用語の解説が入るので、グイグイ謎解きに引き込まれる。そして最後は、マリコが犯人逮捕の手がかりを突き止めてくれる。
この安定の展開をseason24でも期待すると、中村氏は話す。
「どんなに難しい事件でも、“マリコたちが必ず解決する”という安心感は絶大です。ラストに屋上でマリコと土門(内藤剛志)が並んで語り合うシーンは、ファンから“屋上反省会”と呼ばれているそうですが、それも含めて今シーズンも『科捜研の女』ワールドを満喫できることを期待しています」
season24は始まったばかりだが、season25、26……不変のマリコを期待してしまう。(AERA dot.編集部・太田裕子)
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2024/07/04 11:00