学部事務室の担当者は「文系・理系どちらからも学生が入学してくることを想定している。数学や英語の授業は習熟度別のクラスを複数開講し、学生の学びをサポートしている」と力説する。

 このほか、23年に情報学部の開設を予定している大和大(大阪府吹田市)でも、「情報・データサイエンス分野科目」「経済・経営学分野科目」を柱としたカリキュラムを設け、他学部との連携にも力を入れる。

 安倍晋三内閣時代に地方創生戦略が掲げられたことを背景に、16年以降は地域振興を目的とした学部も多く生まれた。

愛媛大 (大学提供)
愛媛大 (大学提供)

 その代表格とも言えるのが、16年に愛媛大に誕生した社会共創学部だ。大きく「産業マネジメント」「産業イノベーション」「地域資源マネジメント」「環境デザイン」の4学科に分かれ、道の駅を中心とする地域活性化プロジェクトや地元の農山漁村集落の振興といった地域協働プロジェクトを展開する。

県立広島大の校舎 (大学提供)
県立広島大の校舎 (大学提供)

 県立広島大は2学部4学科を20年に統合再編し、「地域創生学部」にリニューアルした。コースは「地域文化」「地域産業」「健康科学」の三つ。地域文化コースの授業には厳島神社の歴史や文化を学ぶ「宮島学」など、地域の個性を探究するものもある。

「広島キャンパスは地域創生学部(1学年約200人)のみを置く少人数キャンパスですが、多様な分野の学生が同じ教室で同じ科目を学び合うので、相乗効果が高い。教員と学生の距離も近く、他分野の学生でもキャンパス内で教員とすれ違う際は、自然とあいさつを交わしています」(同大の担当者)

 これまであまり目にすることのなかった名称の学部は、何が学べるのか想像しにくい面もあるが、「大学側にとっては宣伝メリットが大きい」と教育ライターの中山まち子さんは指摘する。

「漢字だけの学部名はどうしても堅苦しくなりがち。『グローバル』『コミュニケーション』といったカタカナの学部名は受験生や保護者の印象に残りやすいのです」

 一方で中山さんは、こうも補足する。

「ユニークな名前が一時的に注目されたとしても、継続させるのは難しい。最終的には名前うんぬんではなく、社会的なニーズの高い学部に人が集まると思います」

 進学先を検討するうえで、学部名は入り口にすぎない。学べる内容や将来性も吟味した学部選びをぜひしてほしい。(本誌・松岡瑛理)

(週刊朝日2022年2月11日号より)
(週刊朝日2022年2月11日号より)

週刊朝日  2022年2月11日号