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    高市早苗氏の意外な過去にフェミニストも震えた 総理の座を狙う過程で何があったのか

     作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、自民党総裁選に正式に出馬表明した高市早苗氏について。*    *  * 近しい人がデルタ株のコロナ陽性になったり、友人の同僚や、通っている美容院のお客さんが亡くなったりなど、夏以降、急速にコロナの危機が迫っているのを実感している。健康観察をされずに自宅で死亡した50代の方の話などを聞くと、東京五輪・パラリンピックに時間とお金と人材を費やすべきではなかったのではないかとつくづく悔しい思いになる。適切な処置を医療機関で受けられていたら、亡くならないですんだかもしれない命は少なくない。 Go Toキャンペーンやオリパラを強行することに専念してきた自民党政権が、トップの顔を代えただけで変われるとは思えず、期待には程遠い自民党総裁選。岸田文雄さんは、ボロボロの小さいノートを振りかざしては「国民の声を書き留めてきた、1年間で3冊、10年間で30冊」と様々なメディアでアピールしているが、正直、少ないと思う。薄いノートを1年でたった3冊埋めたくらいで、国民の声を聞いたとか言えるって、どんだけ聞いてこなかったかという話なのでは。河野太郎さんは、先日週刊誌でそのパワハラ言動が取りざたされていたが、ワクチン接種という、申し訳ないが素人目線でそこまで難しいとも思えない仕事でつまずいている人に期待するのはムリという話だし、高市早苗さんにいたっては、選択的夫婦別姓に強硬に反対するアンチフェミ女のイメージしかない。女性の人権に無関心な女性総理候補にいったい何の価値があるというのでしょう。 とはいえ、高市早苗議員、いったいどんな人なのか。32歳で衆議院議員に若くして初当選(※)。しかも同期の田中真紀子議員や野田聖子議員のように、親や祖父が国会議員だったというわけではなく、自民党員だったわけでもなく、サラリーマンの父と警察官の母という一般家庭から出てきた無所属の女性議員が、今、最も総理の椅子に近い女性となっている。なぜ高市さんは、政治家の道を選んだのだろう。どのように政治の道を歩いてきたのだろう。政治家としては多い著作のなかから国際政治評論家としてテレビで活躍していた頃に書かれた『30歳のバースディ―その朝、おんなの何かが変わる』(大和出版)、政治家2年目に記された『高市早苗のぶっとび永田町日記』(サンドケー出版局)を読んだ。 高市氏が大学を卒業したのは1984年。1986年に男女雇用機会均等法が施行されるが、この2年の差はやはりとても大きいものがある。女性が生涯にわたる仕事を手にすることも、そもそも親が大学に行かせてくれるかどうかも「女の子」であるというだけで諦めることがまだまだ当たり前にあった世代だ。特に地方であればなおのこと。保守的な奈良に育った高市氏も、当然のように「諦めさせられて」きた。例えば大学もそうだ。高市氏は第1希望だった早稲田と慶応のどちらも合格したにもかかわらず、「女の子のあなたを東京の私学で学ばせる余裕はない。弟の学費に回してほしい」と親に諦めさせられ、「女の子だから一人暮らしはさせられない」と通学に往復6時間かかる神戸大学に入学するのだ。 たとえ難関国立大学出身であっても、女性がその能力と希望に見合う就職先を見つけるのが難しい時代だった。「身の丈」よりもずっと小さく窮屈な型に押し込められる女性たちの悔しさは計り知れないが、高市氏の著書からはその類いの悔しさは強調されない。それは高市氏に並外れた行動力と決断力があり、自らの人生を切り開いてきた自負があるからだろう。たとえば、たまたま大学で目にした松下政経塾のポスターを目にして、直感に導かれるように松下政経塾に“就職”したり。たまたまテレビで見た女性議員で史上初の米国大統領候補指名争いに立候補準備を進めていたパトリシア・シュローダーに惹かれ、その2週間後にはワシントンに旅立ち、その情熱だけでシュローダー議員のオフィスで働き始めたり……若さゆえの大胆さと希望に満ちあふれた当時の高市氏のエピソード一つひとつに圧倒されてしまう。「女だから」と諦めさせられてきたのは大学まで、それ以降は絶対に諦めないという粘り強さで今の地位を築いていくのである。『30歳のバースディ』は文字通り30歳を迎えた高市氏がそれまでの人生を「ポップ」に振り返る本である。「BGMはいつもユーミンだった」「寂しいのはあなただけじゃない」「空港でまたまた恋人と涙の別れ」「男かペットがいなくちゃダメな私」「女と日の丸と視聴率の相関関係」「三〇女が孤独を感じるとき」といった目次からもわかるように、女友だちに話しかけるように書かれた軽く、優しいノリのものだ。アメリカから帰国し、若い政治評論家としてメディアに露出していたころで、日本の男性社会へのいら立ちも率直に記されている。「アメリカ議会では日本流のバカバカしい会議がないのが良かった。(略)ところが日本の企業では会議の場では何も決められない。本当は既に決まっているし、とっくに根回しが済んでいることを確認しあうだけの、儀式的な会議のなんと多いことか。でも、私たち女性は妙に正義感が強いので、このような巧妙な人間関係のテクニックとは相性が悪い」 90年代に若い女性が書いたテキストを追いかけながら、私は何度か噴き出したり、そうそうと共感したりと震えるような思いになる。ねぇ、高市さん、「女が入ると会議が長くなる」とほざく森喜朗さんに「あんたの会議はバカバカしい」とはやっぱり言えないものだったの? こういうまっとうないら立ちを文章にしてきた女性が、最も「わきまえる女」になっていく過程に、いったい何があったというの? さらにこういう率直さは、国会議員になった後に書かれた「高市早苗ぶっとび永田町日記」にも残っている。高市氏は歯に衣着せずに永田町のダメなところをきちんと切っている。「この一年間に永田町で一番多く耳にした言葉は次の二つ。『挨拶がない』『俺は聞いてないぞ』。委員会の審議日程が流れたり、大切な法案の採決がパーになったりする理由は大抵この二つだったりする」「笑い話のようなことばかりだが、事実、永田町政治は『理屈』ではなく、『メンツ』で動いている」 さらに、夜の会食や女性がいるクラブなどで行われる男たちの根回しで物事が決まっていく永田町で、女の自分が不利であることも記し、サッチャーのこんな言葉を引用し共感を表明するのだ。「私は最後まで党内基盤が弱かった。それは男性の世界の根回しに加えてもらえなかったからよ」 なにこの人……すごくまともな「一般人」の感覚で、すごくまともな「女の悔しさ」をストレートに出すフェミじゃないの? しかもそのまともさで、「総理大臣の資質」というものを論じ、当時の村山政権を真っ正面から批判している。明言しているわけではないが、高市氏自身が政治家として一番になること=総理になることを30代から目指しているのも伝わってくる内容なのだった。根回しから排除されてきたサッチャーが首相になれたように、パトリシア・シュローダーが80年代に大統領を目指したように、高市氏は政治家としてトップに行くことを最初から視野に入れていたのだ。 ……と、昔の高市氏の本を読んでいると、うっかり「がんばれ、早苗!」と言いたくなってしまう私がいるのだった。「総理になろうよ!!」と早苗の女友だちポジションに立って拍手したくもなってしまうのであった。まずい、まずい。正気に戻るために2011年に出版された『渡部昇一、「女子会」に挑む!』(WAC)も読んだ。櫻井よしこ氏、山谷えり子氏、高市早苗氏、小池百合子氏、丸川珠代氏・・・といった早々たる「わきまえ女」(帯には「なでしこ軍団」とある)たちと渡部昇一氏との対談本だ。 渡部氏との対談で、「総理になったら、まず何をしますか?」と聞かれた高市氏はこう答えている。「最初に、政府歴史見解の見直しをします。新たな歴史見解を発表して、村山談話を無効にします」 東日本大震災のあった年の9月に出版されている本だ。震災後から、こういう歴史修正主義を堂々とうたう本や、韓国ヘイト、「慰安婦」運動への過剰な攻撃は度を越していったという実感が私にある。保守政治家から極右政治家に舵を切るように発言をより過激化させていく高市氏の横顔が、対談にはしっかりと刻まれている。夫婦が別の姓を名乗ったら家族が崩壊すると適当なことを言い、戦時性暴力の責任を問わないどころかなかったことにすることが、高市さんの「目指した政治」だったのだろうか。この国の女性たちが権力に近づこうとするならば、率先して選択的夫婦別姓を批判し、「慰安婦」被害者をおとしめる発言をいとわず、女性の権利を口にするフェミを冷笑するというマニュアルでもあるのだろうか。 今いる自民党の女性議員の顔を、一人ひとり思い浮かべてみる。わきまえなければ権力に近づくこともできなかった女性たち。夜の会議や根回しから排除されながらも、その立場を維持するための努力は、二世・三世の男性議員たちとは全く違うものがあったはずだ。それでも、それほどの努力をしても、彼女たちが自らの後ろを振りかえったとき、彼女たちの後ろを歩きたいと思う女性はどのくらいいるだろうか。というかそもそも、その道は後続の女性のために開かれていたことはあったのだろうか。 かつて高市氏が憧れ渡米したパトリシア・シュローダーはテレビカメラの前で涙を流した。そのことによって20年以上「女の政治家は感情的だから、ダメだ」と言われ続け、「あなたの涙のせいで、女の地位が悪くなる」と責められ続けたという。女であるというだけでその「涙」が事件になるのは、昔のアメリカも今の日本も変わらない。そういう政治の世界でトップを目指す女性たちが、女性の味方であることを忘れるのは「仕方ない」ことなのだろうか。それとも、アンチフェミニズムの顔で女性をたたくような女性政治家しか出せない自民党政治そのものが終わっている、ということなのか。※訂正配信時の「32歳で衆議院議員に初当選、女性議員としては、当時憲政史上最年少だった」という一文を、「32歳で衆議院議員に若くして初当選」と訂正しました。高市氏の著書『高市早苗のぶっとび永田町日記』に「女性として憲政史上最年少当選」と記してありましたが、実際は1946年4月10に三木キヨ子氏が20代(当時)で当選していたため削除、修正します。■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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    【独自】小室圭さん、米大手事務所から断られていた 弁護士が語る“厳しい現実”

    「小室圭さんの実力では無理だと思います」 こう話すのは、全米で「トップ100」と呼ばれる大手弁護士事務所(ビッグロー)のパートナー弁護士のA氏。専門は、海外企業同士のM&Aなど。米国を拠点に世界を飛び回り、収入も桁違い。この姿こそ、小室さんが思い描く将来でもあるようだ。 昨年の秋ごろ、A氏の事務所に、働かせてほしい、と小室さんの「経歴書」のようなレジュメが別の弁護士を通じて届いたという。小室さんは、ニューヨークなど大都市での弁護士の仕事を探しており、ビッグローか、その下の規模のミッドローでM&Aなどをやりたいという。 A氏がそのレジュメを見て思ったのが、冒頭の言葉だ。なかでも、A氏が首をかしげたのがニューヨークのフォーダム大ロースクール(法科大学院)への留学の部分だ。「疑問なのは、彼がLLM(法学修士)のコースに入ったことです。しかも1年学んだ後に、JD(法務博士)コースに編入している。大きな事務所を目指してて、こんな動き方をするなんて聞いたことがない」 LLMとJDというのは、ロースクールでのコース名だ。米国の大学には法学部がなく、弁護士を目指す人は、大学卒業後にJDに入る。ここで3年間学び、事務所に入るのが一般的なパターンだという。 一方、LLMは、法律の資格を持つ外国人留学生が多いといい、「表現として正しいかわかりませんが、キャリアに“箔(はく)をつける”ようなイメージです」。 A氏によると、米国で弁護士となるのに重要なのはJDでの1年目だ。「米国での就職活動は、2年生の終わりの夏休みで終わります。事務所のサマープログラム(インターン)で働き、その後よほどのことがない限り、その事務所からオファーを受けて就職します。どの事務所のプログラムに入れるかは、1年時の成績で決まります。だから学生の競争も壮絶です。本を隠すなどの足の引っ張り合いもあります。小室さんはその1年をLLMに入っています」 ビッグローのインターンの募集は、ハーバードやエール、コロンビアといった有名大学で公募し、最初の書類選考で成績優秀者に絞り、次の面接で決まる。A氏が言う。「採用された学生には、1年目から19万数千ドル(2千万円以上)の給与が支払われます。それも5年くらいは半人前で、彼らから利益は出ません。それでも欲しい人材ということなんです。だから相当厳選します。原則でいえば、ビッグローはインターン以外の方法では採用しないです」 チャンスをつかめる学生は、ほんの一握りだ。小室さんは、そもそもLLMに入った時点で、希望するビッグローへの道は閉ざされたといっていい。なぜLLMに入ったのだろうか? A氏が話す。「こう言っては何ですが、彼の経歴に目を見張るモノはありません。あるとすれば眞子さまのフィアンセという一点。それでも奨学金を取得できたり、JDへ編入したり、弁護士が出てきて仕事を探したり。知恵をつけている人がいるんでしょう」 では、ビッグローは無理でも、M&Aは他でもできるのだろうか?「米国には約43万の事務所がありますが、M&Aの70%超は『トップ100』が扱っています。小室さんが弁護士として働くにはM&Aにこだわらないことですね。移民法の弁護士などは圧倒的に多い。日本人も多いです。もうからないので人気はないのですが」 そして、こう続けた。「詳しいことは申し上げられませんが、彼の『経歴書』を見る限り、とても“権威”が好きなんだと思います。M&Aも彼からすれば格好良く見えるんでしょうけど、実際は相当厳しい世界です。パートナー弁護士になるのは10年後くらい。それまで生き残っているのはわずかです。彼がそもそも弁護士という職業に向いているのか……。野心家だと思うので、ベンチャーのような起業家とかが向いているような気がします」(本誌・矢崎慶一)※週刊朝日  2021年9月17日号に加筆

    週刊朝日

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    田原総一朗「新総裁最有力の河野氏を絶対に首相にしたくない勢力とは」

     ジャーナリストの田原総一朗氏が自民党の総裁選について解説する。 *  *  *  菅義偉首相は、まず衆議院を解散し、衆院選に勝つことで総裁選に臨もうと考えていたが、安倍晋三、麻生太郎両氏らの反対で総裁選を先にやらざるを得なくなった。  前回も記したように、自民党の多くの国会議員たちは、今秋の衆院選で落選するのではないかという強い危機感を抱いている。全国の選挙区で、菅首相の評判が極めて悪いからである。自分が当選するには、何としても菅首相に辞めてほしい、と強く求めていた。  8月の中旬ごろまでは、安倍前首相も麻生副総理も、菅首相の続投でよいと考えていた。だが、それぞれの派閥の議員たちが、自分たちの当選には菅首相の辞任しかない、と強く求めていることを知って、考えを変えたのである。  そこで菅首相は、支持率を高めるために、党や内閣の人事に手をつけて、小泉進次郎氏ら、国民の期待が大きい政治家たちを起用しようとしたのだが、いずれの政治家にも断られて、辞任せざるを得なくなったのである。  菅首相が辞任することになって、岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏らが総裁選への出馬を表明、もしくは意欲を示している。  注目されるのは石破茂氏である。彼は当時の安倍首相に対してもはっきりと反対を表明していて、少なからぬ国民は彼に期待しているはずなのであるが、彼は出馬しないようだ。  実は、私は2度、彼と電話で話をして出馬を促したのだが、消極的であった。どうやら河野氏を支持するようである。  岸田氏は、戦後政治史に重厚な足跡を残してきた宏池会のリーダーである。大平正芳、宮沢喜一、加藤紘一らハト派で、貧富の格差を広げないために社会福祉をきちんとやるべきだと主張する反新自由主義路線である。岸田氏も反新自由主義路線を打ち出している。  だが、安倍氏や麻生氏と心を合わせることに懸命で、国民の多くからはいまひとつ期待できない、と捉えられているようだ。  女性候補の高市氏は保守右派で、かつて電波法に基づく電波停止に言及したときは、私も強く反対した。  当初は、出馬に必要な議員数をそろえられないのではないかと見られていたが、安倍氏が支持を表明したことで、出馬はできそうである。  野田氏にも頑張ってほしいが、当選の可能性が高いと見られているのは、石破氏が支持をしそうな河野氏である。  だが、河野氏を何としても首相にしたくない、と考えている勢力がある。その代表的な存在が、経済産業省だと見られている。  河野氏は原発反対を強く唱えていた。外務大臣に就任して以後は、反原発を表明しなくなったが、あえて閣内で波を立てるのを避けているだけで、意識は全く変わっていない、と誰もが見ている。多くの政治家と違って、簡単に豹変(ひょうへん)しないのが、河野氏が信頼されるゆえんなのである。  だから、経産省も全国の電力会社も、河野氏が首相になるのは困るわけだ。  そして多くの自民党議員たちは、原発に対しては、情けないほどあいまいである。そんな彼らが河野氏をどのように捉えるのであろうか。 田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数※週刊朝日  2021年9月24日号

    週刊朝日

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    小林麻耶が離婚へ 夫から解放されても修復が難しい「海老蔵一家」と「TBS」

     今年3月から別居状態にあった小林麻耶(41)と夫の國光吟氏(37)が離婚に向けて協議を始めたという。7月1日発売の「女性セブン」によると、当初は麻耶自身も別居が一時的なものになるか、離婚への準備期間となるかはわかっていなかったが、周囲のサポートもあり自分の意思で結論を出す段階に入ったようだ。 2人が結婚を発表したのは2018年7月。出会って2カ月、“交際ゼロ日”での電撃婚は周囲を驚かせたのはもちろんだが、國光さんの行うスピリチュアル色の強いセラピーやカウンセリングなどに傾倒する麻耶を心配する声も少なくなかった。「それ以降の2人の行動といえば、まるで麻耶さんのマネジャーのようにどこへ行くのにも國光さんが同行し、次第に仕事場でも國光さんが口を出すようになったといいます。そして昨年11月に『グッとラック!』(TBS系)の電撃降板と所属事務所との契約解除があり、麻耶さんの彼への依存ぶりが心配され始めました」(女性誌記者) 一時期は麻耶が「洗脳状態」にあるのでは?などと心配もされたが、次第に2人の関係は冷めていったようだ。結局、3月には別居となったが、國光氏と距離をとった麻耶を誰よりもサポートして見守り続けたのは、麻耶の母親だったという。「お母さんの元に戻ってからは、麻耶さんも徐々にこれまでのことを冷静に振り返ることができるようになったそうですが、最も彼女の心を揺り動かしたのは麗禾ちゃん(9)と勸玄くん(8)の存在です。國光さんと結婚してからは、海老蔵さん一家とも以前のように頻繁に関わることがなくなり、あれほどかわいがっていた子どもたちともここ1年ぐらいは会っていないといいます。お母さんは、麻央さんの闘病中には麗禾ちゃんと勸玄くんの面倒を見て家事一切を取り仕切っていました。お母さんから伝え聞く2人の様子やYouTubeで見る成長ぶりに会えない辛さが募ったのでしょう。そんな麻耶さんの異変に気づいて、お母さんはメンタル面も含めてフォローし続けているそうです」(同前) だが、仮に離婚が成立したとしても、今後の麻耶の状況が元通りになるかといえば、「すぐには難しいかもしれない」と芸能ジャーナリストは話す。「まずは麗禾ちゃんと勸玄くんとの関係です。麻央さんの闘病中はお母さんと共に彼女もよく面倒を見ていて、子どもたちも懐いていましたが、海老蔵さんが現在の状態のまま、麻耶さんと距離をとり続けるのであれば、以前のような家族ぐるみの関係に戻るには時間がかかるでしょう。海老蔵さんはこれからは『十三代目市川團十郎白猿』と『八代目市川新之助』の襲名披露公演も控えていますから、あまり“雑音”は入れたくないのではないでしょうか」 また、広告代理店関係者は麻耶の復帰をこう心配する。「いずれ麻耶さんも仕事復帰を考えているでしょうが、義理を欠くようなことをしてしまった古巣のTBSや前の所属事務所からのバックアップは期待できないでしょう。それ以上に、はたしてタレントとして需要があるのかも疑問です。國光氏とのお騒がせカップルのイメージがまだ根強く残っていますから、CMや司会などで起用するのは厳しいのでは」 麻耶はこの日、自身のブログを更新したが、離婚報道には言及しなかった。“目が覚めた”麻耶が目の前に待ち受ける新たな壁に気づき、それを乗り越えた時に、彼女は本当に自由になれるのかもしれない。(宮本エミ)

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    眞子さまの結婚どう思う? 瀬戸内寂聴が27歳スタッフに質問した結果

     半世紀ほど前に出会った99歳と85歳。人生の妙味を知る老親友の瀬戸内寂聴さんと横尾忠則さんが、往復書簡でとっておきのナイショ話を披露しあう。*  *  *■横尾忠則「スジ金入りの肉体的朦朧体、大観より本格派です」 セトウチさん 耳が聴こえなくなったと言うと、「きっと作品が変るわよ」と、ベートーベンじゃあるまいし、変なことおっしゃると、その時はそう思いましたが、本当に変ったんです。その変り方が理に適(かな)っているといえば適っている。つまり聴こえないことは、音の輪郭が失くなることです。そうなると音が朦朧(もうろう)となって、横山大観の朦朧体の絵のように音がボケて聴こえるんです。耳がボケると、日常生活もボケて、曖昧模糊(あいまいもこ)となって、したことと、してないことの区別もわからなくなるんです。つまり虚実の区別ができなくなって、夢で見た仕事の依頼を、本当に依頼されたと思って、やっちゃったりするんです。ボケの症状に似てるけれど、ボケ老人になったんではなく耳のせいだと理解しているので、そこはまだ理性がコントロールしています。 ハイ、絵の話だったです。大観は思想で朦朧体を描きましたが、僕はスジ金入りの肉体的朦朧体なので、思想のようなチョロコイ考えではなく、肉体的ハンデキャップによる堂々たる自然体派です。大観よりこっちの方が本格派です。そんなわけでセトウチさんの大予言は的中しました。 先っきも言いましたが境界線が失くなるということは自由のキャパシティも拡張したことになります。近代人は何でもかんでも境界線を引いて、全てを分業化します。縄文時代はひとりの人間が、多面的に物事をこなしていました。狩猟(しゅりょう)も農業も、漁業も工芸も、子育ても、教育もひとりでするという、境界線をはずした労働生活です。現代のような役割分担などしません。正に多義的です。越境した狩猟社会です。 難聴が与えてくれた神の恩寵です。だから病気の高徳です。僕が度重なる病気によって救われてきたということはこういうことです。神は人間に色々な苦難を与えますが、病気は罪ほろぼしでもカルマ落としでもなんでもないのです。人間の進化向上のためのカリキュラムだと思えばどうでしょう。難聴のほかに、腱鞘炎(けんしょうえん)にもなりました。もう、セトウチさんの「幻花」のような繊細(せんさい)な描写の絵など描けません。今は太い筆やハケを握りしめて、キャンバスにバンバン叩きつけるように描いています。それも痛いので、左手で描きます。左手は思うような形が取れません。幼児の絵より下手くそになります。でも、デュビュッフェは幼児の絵のマネをして、幼児風に描きますが、そんな意図的なことをしなくても、僕の左手はそのまま幼児以上に下手に描けます。これもハンデキャップから来た自然体です。 今書いている手紙では、前にも同じことを書きましたかね。境界を越えると時間差もなくなって、やったことと、やらないことの区別がわからなくなるのです。いよいよ本格派老人です。100歳老人のセトウチさんにも負けていません。ただ僕はセトウチさんのように年齢には拘っていません。拘っているのは他人の方で、今行っている展覧会では「85歳、85歳」と年齢を売り物にされています。歳のことは言うな! アーティストには年齢はないのです。昨日の続きが今日、今日の続きが明日です。原始社会では年齢など無関係です。アーティストは原始人です。■瀬戸内寂聴「私もヨコオさんに負けないように!」 ヨコオさん 何だか、ずいぶん久しぶりにこの往復手紙を書いているような気がします。 それにしても相変わらずコロナは豪勢を極め日本はおろか、世界的にその力を奮っています。 コロナのせいで、人に会えず、寂庵はずっと門を閉めっぱなしです。コロナになる前はもちろん、一も二もなく門内に入ってもらっていました。 大抵遠く九州や東北から来られた人で、まだ生きている私に逢えたと言って、抱きついて泣き出します。もちろん、私は丁寧にお迎えして、写経などしてもらい、お茶菓子を一緒に食べて、しばらくその人のお話を聞きます。つきあいの人もあれば、寂庵の信者を自称する人もあり、初めて門内に入ったという人もいます。「まさか、門内に入れてもらえると思わなかった」と泣き出す人もあれば、「生きている寂聴さんに逢えた!」と、子供のように足を踏み鳴らす人もいる。「とても百歳には見えない!」と誰もが感嘆してくれるが、終日ベッドに横になり、本ばかり読んで、一日を過ごしている私の毎日の状態など話せない。私は、人に逢っている間だけは、必死になって元気らしさを演じ、声を張り上げる。客の帰る時は、長い廊下の途中で、へばってしまい、さっさと歩く客の跡がおえない。 ──だって百だもの……──と、私は廊下の途中で、ペシャンコに座り込み、つくづく、自分に向かって言う。 食事だけは時間が来ると、しゃきっと体がのび、食卓の自分の位置に早々と座り込んでいる。「あら、お昼はもう召し上がりましたよ!」 スタッフの一人が、わざと大きな声を張り上げる。「私のスパゲティは、どうしてこんなに美味しいのだろうなんて、お世辞までいただいて」「そうよ、ほんとに! でも今ここに座ったのは、食べるためでなくて、眞子さんの結婚をどう思うかって、寂庵で一番若い二十七歳のP子の意見を聞きたいのよ」「ああ、眞子さん、ほんとに、よかったですね。大体、みんなあんまりこの結婚に意地悪すぎましたよ。でも、どうして一時金を眞子さんは辞退なさるのかしら? 貰う権利のあるお金でしょう? あんまり弱気にならない方がいいと思うけど……」 ヨコオさん、今、寂庵の中は、こんなにのんびりしています。耳が聞こえないのは、私も同然です。テレビの時なんか、びっくりするほど大きな声にしてくれるので、何とか会話が出来ています。鶯も、秋の夜の虫の音も、私の耳にはさっぱり聞こえません。ヨコオさんとTELしてるのを横で聞いてる人があれば、どんなにおかしいでしょうね。耳だけでなく体のあちこちがどしどし衰えてきます。 そのうち、きっと、自分の死んだこともわからなくなって、──ヨコオさんにTELして!──など叫んでる日が来るのでしょうね。でも目がよく見えているので、一日に二冊は厚い本を読み切っています。ヨコオさんの展覧会、ますます人気上昇でおめでとうございます。私もヨコオさんに負けないよう、あっとこれまでと変わった小説を二つくらい書き残して死にたいものですね。 では、また。※週刊朝日  2021年9月17日号

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    小山田圭吾氏「いじめしていない」釈明で炎上 「人間性を疑う」と教師ら

     ミュージシャンの小山田圭吾氏が過去に「いじめ告白」をしたことが問題になり、東京五輪、パラリンピックで開閉会式の楽曲担当を大会前に辞任した一件で、小山田氏が9月16日発売の「週刊文春」で発言の真相について言及したことが大きな反響を呼んでいる。 「いじめ告白」は邦楽誌ロッキング・オン・ジャパンの1994年1月号だった。小山田氏が学生時代に、被害者を全裸にしてひもで巻いて人糞を無理矢理食べさせるなどの行為をさせた上で、バックドロップをするなどのいじめのアイデアを出していたことを告白。サブカルチャー系雑誌「クイック・ジャパン」(太田出版)の95年8月号でも、障がい者の下半身の服を脱がせるなどのいじめを告白している。  一連の発言が問題視されて批判の声が殺到すると、小山田は自身のツイッターで、「多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」と謝罪。 「本来であれば、様々な理由から、私の参加にご不快になられる方がいらっしゃることを考慮し、依頼を辞退すべきだったのかもしれません。しかし、課題も多く困難な状況のなか、開会式を少しでも良いものにしようと奮闘されていらっしゃるクリエイターの方々の覚悟と不安の両方をお伺いし、熟考した結果、自分の音楽が何か少しでもお力になれるのであればという思いから、ご依頼を受けるに至りました」と綴った。  これを受けて、組織委員会の武藤敏郎事務総長は記者会見で、「小山田さんが謝罪されたのを、わたくしどもも理解しました。彼は現時点で十分に謝罪し、反省をしている。我々は当初、そういうことを知らなかったのは事実だが、小山田さんに引き続きこのタイミングでありますので、貢献していただきたいと考えています」と説明したことで、さらに炎上する事態に。組織委員会と小山田氏に対する苦情が止まず、辞任に追い込まれた。  文春オンラインによると、小山田氏はこの「いじめ発言」について、「実は雑誌に掲載されたイジメについては、実際に僕が行ったものではないものも多い」と告白。「インタビューではその場を盛り上げるために、自分の身の回りに起きたことも含めて語ってしまいました」と弁明したという。 スポーツ紙記者は「小山田さんのこの発言が問題になったのは今回が初めてではありません。以前にも批判されたことがあったのに、なぜ今『いじめの当事者』ではないと主張したのか」とこの釈明に疑問を呈する。  また、小学校の30代男性教職員は「いじめの当事者でなくても、許される発言ではない」と語気を強める。  「その場を盛り上げるために発言したという事ですが、障害者を残忍な手口でいじめる行為を面白いと感じる感覚が常軌を逸している。いじめの当事者でなくても、人間性を疑うのは当然です」  SNS、ネット上では、「100歩譲って、たとえ本人がやっていなかったとしても、それを面白おかしく話してしまうってところで既に同調していた事になるわけだから、言い訳は通用しないと思う。それを踏まえ、心からの謝罪の意思を持って今後動く事により、周りが赦していくのではないだろうか」という厳しいコメントが目立った。  音楽家としての才能は目を見張るものがあるが、多くの人を傷つける過去の発言で多くのモノを失った。小山田氏は今後の言動、行動で信用を取り戻すことができるだろうか。(牧忠則)

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    中日-ヤクルト戦で大誤審 高津監督が激怒「審判も出場停止制度を設けるべき」の声

     審判の一つのミスがペナントレースの行方、選手の野球人生を大きく左右する。これは決して大げさではない。大きな問題となったジャッジが起きたのは13日の中日-ヤクルト戦(バンテリンドームナゴヤ)だった。  ヤクルトが1点を追う九回1死一、二塁。一打同点の好機で川端慎吾が二ゴロを打つ。打者走者はセーフで、その後、中日は一塁走者・西浦直亨に対して挟殺プレーを行う。ボールを持った遊撃手の京田陽太が二塁ベースを踏んでフォースアウトをアピール。捕手の木下拓哉も二塁ベース上を指して訴えたが、二塁塁審の嶋田審判がコールしない。直後に本塁へ突入した三塁走者・古賀優大はタッチアウトとなった。   プレーが途切れて2死一、二塁で再開かと思われたが、中日がリクエスト。審判側が映像を確認し、京田が二塁ベースを踏んでいたことで一塁走者がアウトと認められ、併殺が成立。試合終了がアナウンスされると、球場が騒然となった。  ヤクルト側は納得できるはずがない。高津臣吾監督が激怒し、14分間の猛抗議。責任審判の丹波審判員が「ランダン中に京田選手がセカンドベースを踏んでいました。リクエストで確認し、最初にセカンドでふたつ目のアウトが成立。ホームでスリーアウト目が成立です」と場内アナウンスで説明したが、ヤクルトの選手たちは怒りの表情でベンチからしばらく立ち上がれなかった。  報道によると、ヤクルト側が意見書を提出したのを受け、翌14日に・セリーグとNPBの審判部が神宮球場を訪れて謝罪。「二塁審判の嶋田塁審が一塁のセーフを見落とした」として、嶋田塁審に口頭で厳重注意としたことが発表された。 「ヤクルト側は腑に落ちないでしょう。まず、なぜこの事実を昨日の抗議の時に説明しなかったのか。そして、審判の過失なら、その時点で試合を止めるべきです。今回のプレーで二塁のフォースアウトが明確にわかっていれば、三塁走者が本塁に突入することもなかったでしょう。審判がミスを認めて2死一、三塁でプレーを再開するべきだった。ヤクルトはこの試合を落として3位に転落しましたが、勝つか引き分けるか、負けるかで全く状況が変わってくる。ヒューマンエラーで勝敗が決したら悔やんでも悔やみきれません」(スポーツ紙記者)  嶋田塁審に課せられた「口頭での厳重注意」という処分に対して、スポーツ紙デスクから疑問の声が上がる。  「嶋田さんは問題のあった試合の翌14日、中日-広島戦(バンテリンドームナゴヤ)で一塁塁審を務めています。もちろん審判の存在は尊重されるべきですが、ペナルティーが甘すぎるのではないでしょうか。試合の進行に対するすべての権限を持っているからこそ、その責任は重い。審判も人間だから間違いがあるのは分かります。ただその非を認めて謝罪しなければ、選手、首脳陣が審判に不信感を持ってしまう。そんな状況は健全とは言えません。今回のような明らかなミスをしたり、その後の対応に問題があった場合は審判の出場停止や2軍降格を検討するべきだと思います」  ビデオ映像によるリプレー検証が行われるようになり、誤審は減った。ただリプレー検証は補助に過ぎない。試合を進行する審判の判断が大きく左右することを考えると、ペナルティーについても再考の余地があるだろう。(梅宮昌宗)

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    16時間前

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    【独自】東京都医師会幹部らの病院でコロナ病床の56%は空床 直撃に「不適切な補助金は返還したい」

     デルタ株による感染拡大はピークを越えつつあるが、東京都では9月10日現在で、新型コロナウイルスの新規感染者は1242人、死者15人、現在入院している重症患者は243人、自宅療養者は1万1千人以上と依然として多い。救急搬送が困難な状況も続いている。そんな中、医療ひっ迫を訴える東京都医師会、病院協会の幹部の病院で、補助金を受けながらも病床使用率が20%を切る病院もあることが、AERAdot.が厚労省関係者から入手した資料でわかった。*  *  * 医療ひっ迫の危機が指摘されている中、東京都医師会の尾崎治夫会長は「臨時医療施設を、ぜひいくつか作っていただきたい」などとたびたび語っている。こうした要望を受けて、東京都では野戦病院(臨時医療施設)の設置が進んでいる。旧こどもの城で設置されたほか、旧築地市場の跡地や味の素スタジアム内でも準備が進む。 他方で、東京都は6583床のコロナ患者用の病床を確保しているというが、実際に使われているのは、3754床にとどまっている。2829床が「幽霊病床」とされる。 民間病院と言えども、コロナ患者を受け入れる責任はある。厚労省が、新たに病床を確保した病院には1床につき最大1950万円の補助金を出しているほか、空床でも1床につき1日7万1千円の補助金なども出しているからだ。 田村憲久厚生労働大臣と小池百合子東京都知事は、こうした実態を問題視。コロナ患者を最大限受け入れることを要請し、正当な理由なく要請に応じず、勧告にも従わない場合は名前を公表する姿勢を見せている。しかし、厚労省関係者は「実は医師会が病院名の公表には執拗に反対している。その結果、コロナ患者の受け入れが進んでいない」という。 AERAdot.では、東京都医師会会員の病院や病院協会に所属する病院のコロナ患者用の病床数と実際の入院患者数、病床使用率のデータを、厚労省関係者から独自に入手した。 リストには都内の37病院の「極秘」とされる実態が記されていた。コロナ患者用の病床は614床、そのうち入院患者数は268人。病床使用率は44%にとどまった(数字は9月6日時点)。 さらに東京都医師会や病院協会の幹部でもコロナ患者を受け入れていない実態もわかった。資料によると、A病院ではコロナ患者用の病床を16床確保しているが、コロナの入院患者は3人、病床使用率は19%だった。B病院では29床のうち8人、28%、C病院では43病床のうち16人、37%、D病院では50床のうち28人、56%、E病院では52床のうち34人、65%、F病院は22床のうち15人、68%だった。 厚労省関係者はこう語る。「東京都医師会の尾崎会長は『野戦病院を作れ、そうすれば協力する』といっています。既に臨時の医療施設は急 ピッチで開設されています。尾崎会長の発言は裏を返せば、『ハコを作らなければ、協力しない』ともとれ、おかしな話です。空床のまま補助金だけが入っている状況がある。医療崩壊を叫ぶのであれば、先ずは自分たちの足元の医療機関できちんとコロナ患者を受け入れさせるのが先決ではないでしょうか」 なぜコロナ病床を空けたままにしているのか、補助金は返還する予定はあるか、東京都医師会幹部がトップを務める各病院に見解を質した。 A、B、C、E病院からは「多忙のため対応できない」などと取材拒否された。 D病院は「事実誤認がある」として「6日時点の入院患者数はコロナ陽性26人、疑似症を含めると14人、合計40人、病床利用率80%となります」などと回答してきた。 F病院はコロナ患者の受け入れ数については「6日の継続入院者数は34名」と認めた上で、「この継続入院患者数は、当日の入退院患者を含んでいませんので、実際に利用した人数より低くなります」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない理由について、下記の回答が来た。「9月になり比較的短期間で入院患者は減少しておりますが、8月第4週ごろはピークにあり、8月25日には47名の入院患者(90%の稼働)がありました。病床の利用状況は感染状況とともに細かく変動しております。この時期には人工呼吸器が外れたばかりの不安定な患者が多く、現場の負担は高まっておりました。状況が急に悪化する症例に対応する場合は入院応需ができなくなることもありました」「当院は東京都の計画では軽症から中等症に対応するべき病院群に分類されております。病院は200床に満たない施設でマンパワーに限りがあり少人数のローテーションで対応しておりますので、人工呼吸器が必要な重症患者が1名いるだけでも、途端に病棟管理への影響が大きくなります。重症患者のすべてを高次施設で対応することは難しい状況ですので、当院での治療が可能な限り人工呼吸器を用いるような症例にも対応の努力を続けて参りました。9月になっても人工呼吸器を用いる重症患者は4例に及びます」「また当院では少数にとどまってはおりますが、スタッフの感染者数や濃厚接触者による人員減少の影響は大きいと思われます。病床利用率も指標の一つですが、感染状況を鋭敏に反映しておりますし、患者重症度や、人員数など様々な不測の要素があり、日々変動しています」「なお、病床利用についてですが、多床室で男女混合はできない、重症度によって利用できる病床が限られる、清掃消毒などにより使用不能な時間がある、など様々な避けられない理由で一定の病床が利用できなくなるため、8―9割以上のベッドが常時稼働することは現実的ではありません。ベッド稼働が9割に達した今回の8月後半は非常に厳しい状況であったと考えられます。病床利用率だけで、行われている医療の状況を判断するのではなく、多角的な見方を要するように思います」 補助金の返還などを考えているかの質問については、「不適切な補助金は返還します」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない病院に対して、東京都医師会はどのような見解なのか。尾崎治夫会長に「使われていない病床が約2千床あること」、「空床のまま医師会構成員の医療機関に補助金が入ること」の見解を尋ねた。(尾崎会長の病院はリストに記載されていない)。  すると、「(空床について)東京都からデータをもらっていないのでわからない」、「医師会構成員という言葉がわからないので、回答は控えたい」と広報担当を通じて回答が来た。 補助金を受けながらも、患者を受け入れない状況について、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「厚労省のもともとの制度設計に問題がある」と指摘する。厚労省は補助金給付の要件に、「コロナ患者の受け入れ」を入れていない。そのため実際に患者を受け入れていなくても補助金が入る仕組みになっているという。「通常の補助金であれば、患者の受け入れなどの実績があって、お金を出す形になります。しかし、厚労省がコロナ患者の受け入れ体制ができていないという批判を受けて病床確保の数だけを追求した結果、患者を受け入れなくても補助金を出す制度になった。その結果、実際には稼働できない病床ができた。民間病院はギリギリの医者、看護師しか持っていないから限界があります。本来であれば、国立病院や、尾身茂氏が理事長を務める、独立行政法人のJCHO(地域医療機能推進機構)の病院が患者を受け入れる話ですが、そこも受け入れに消極的で補助金だけを受け取る状況になっている。そんな中、民間病院で積極的に受け入れるなんて話になるはずがありません」 医療がひっ迫する中、未だに1万1千人以上いる自宅療養者を置き去りにするようなことがあってはならない。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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    室井佑月「総裁選という祭り」

     作家・室井佑月氏は、菅首相の総裁選不出馬を明らかにした会見について物申す。 *  *  *  菅首相が退任することになった。9月3日、菅さんは記者団に対し、その理由をこう述べた。 「新型コロナ対策と選挙との両立は、ばくだいなエネルギーが必要。新型コロナ対策に専念したい」  はぁ? 最後までこの方がなにをいってるのか意味不明だ。  選挙で利用したいがため、国威発揚を狙って東京五輪を強行した。巷では新型コロナに対する緩みが出てきて、感染者は爆発的に増えた。でもって、その間、政府は無策だったから、医療は崩壊に近い状態となった。あたしたちは、満足な補償もなく、感染しても自宅療養を余儀なくされることになった。  今、コロナは家庭内感染が増えている。感染者が急に増えた沖縄の調査では、その7割ほどが家庭内感染だという報告もあった。感染者の自宅療養とは、無策のなせる業としか考えられない。  デルタ株につづき、ラムダ株、そして今はミュー株が日本に入ってきてしまったといわれている。それらは感染力が強く、ワクチンを打っても感染してしまうという。  というか、ワクチンの効果は半年あまりといわれている。ということは、これからそれらの株が広がるころには、最初にワクチンを打った医療従事者やお年寄りのワクチンの効果がなくなってるはずだ。その場合、重症化して死亡しやすいお年寄りに3回目のワクチンを打つのかどうなのか? この国では、まだまだワクチンが行き渡っていない人がいるのに。  自分の身を守るため知りたいことはたくさんあるのに、菅さんは国会から逃げた。そして、テレビは自民党の総裁選祭り。  もうほとんどの人はわかってるでしょ。菅さんを総理にしたのは誰よ? 安倍前首相、麻生副総理、二階幹事長が暗躍し、子分たちの票を取りまとめてきたんじゃない?  コロナ無策の国民放り投げ、だけじゃない。ここ10年あまりで、権力の私物化や、公文書の廃棄や税金の横流しなど、政治の腐敗が進んだ。  報道からすると、総裁選でまた安倍氏、麻生氏、二階氏らが暗躍しているらしいが、結局、総理の首をすげ替えたところで、この人たちが牛耳っているのだから、この国が変わるわけがない。変わるとしたら「携帯電話安くしました」くらいのことだろう。  物事の本質を正そうともせず、政権を放り出した安倍氏へご意見の伺いを立てるメディアって、あたしたちにどういう意味があるの?  政府もメディアも、たった2週間の祭りにうつつを抜かしている間に、その立場からやらなきゃいけないことはたくさんあった。この原稿を書いている9月5日時点で、コロナの自宅療養者数は、13万人を超えた。 室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中 ※週刊朝日  2021年9月24日号

    週刊朝日

    21時間前

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    「男性不妊は他人事と思ってたけど」 鈴木おさむが「僕の種がない」に込めた願いとは

     放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、男性不妊について *    *  *  僕が30代後半になった時くらいから友達と飲んでる時に、「体外受精」の言葉がちらほら聞こえるようになってきました。そのころは僕にとっては「不妊治療」は他人事だと思っていた。  2度の流産を経て、妻が仕事を休んで妊活に専念したいと言って仕事を休みました。2014年に妻が妊活休業に入る時に、妻からのお願いで、精液検査に行ってほしいと言われました。僕は好奇心がとても強いので、むしろやってみたいと思っていたけど、タイミングがなかった。  正直、行くときは、ワクワクしている自分がいた。自分の精液の状態を知れるんだと。  でも、検査が終わって、僕の精液の状態が良くないことを突き付けられた。その数カ月後に、別の病院で再び精液検査をすると、そこでも僕の精液の状態がよくないことを知る。 男性不妊という言葉は聞いたことがあったけど、当然、他人事だと思っていた。  そのあともいろいろ調べてみたり、仕事も兼ねてお医者さんの話を聞いていくとわかったこと。赤ちゃんを授かりたくても授かれなかったり、妊娠しても残念なことになってしまったり。  どうしても、まだ女性が一人でその責任を背負ってしまいがちだけど、子供ができるというのは精子と卵子が受精するところから始まるわけです。それが女性の体の中で育っていくから、女性が背負ってしまいがち。  でも、それではいけない。精子と卵子から始まることですから。精子に問題がある可能性がある。僕は50%50%だと思っている。どっちのせいというわけではないですが、精子に問題がある可能性だってかなり高いわけです。  それを認識している男性ってどのくらいいるのかな?と思うんです。  僕の後輩の20代の男性A君。結婚してもなかなか子供ができないと去年、言っていたので、僕は言いました「精液の検査行った?」と。  A君はその時は「まさか自分のせいじゃないでしょ」と思っていたはず。だけど、僕が何度も言うので検査に行くと、彼の精子の数がかなり少ないことが判明し、自然妊娠は諦めて、早めの体外受精を行い、この秋出産予定。  そうなんです。男性で「自分の精液に問題はないでしょ」と思ってる人は多いと思うんです。  だけど、検査に行って僕やA君のように現実を知る。これがとてつもなく大事だと思うんです。早くわかれば、対処のしようがある。  この10年で男性不妊ということも、段々、浸透してきたとは思うけど、でも、男性は「俺は大丈夫」と思ってる人多いと思います。  なので、この状況を少しでも変えることができないのかなと、2016年の年末から男性不妊をテーマに小説を書きました。「僕の種がない」という小説。  男性不妊をテーマに、それをエンターテイメント性のある小説にできないかと挑戦してみました。その結果、一人のドキュメンタリーディレクターと、余命半年の芸人さんの話を作りました。結婚している芸人さん。子供はいない。その芸人さんが病気で余命宣告をされ、  ディレクターに自分のドキュメンタリーを撮影してほしいとお願いをする。  そこで、ディレクターが突きつけたこと、それが「余命宣告がされている中で、子供を作ることに挑戦しましょう」ということ。だけど、芸人さんの精子は……という物語なのですが。  賛否両論出るだろうなとは思っています。だけど、男性不妊と言うものに対する考えが、何かをきっかけに変わってくれることで、夫婦の形ももっと変わってくると思うんですよね。そんなことを願い書いたこの小説。  書き始めたのは2016年12月27日。その前日に20年やっていた番組が終わった日でした。  大切なものが終わりを迎えたからこそ、新しいことを始めようと作ったこの作品、「僕の種がない」で。少しでも何かが変わってくれることを願っています。  ■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が10/4に発売決定。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。作演出を手掛ける舞台「もしも命が描けたら」が9/17(金)20:00 より配信が決定(見逃し配信:~2021/9/23木23:59)。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。

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    12時間前

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    自宅療養は「24日間」を想定 備蓄品、感染予防と看護の必需品をチェック

     新型コロナウイルスの脅威が身近に迫っている。自宅療養者は全国で13万人を突破。入院したくてもできない事態に陥ったとき、なにをすればよいのか。事前に準備しておきたいものとは──。AERA 2021年9月20日号は「自宅療養」特集。 *  *  * 「ニュースで連日、入院したいのにできず、自宅療養になる人たちのことが伝えられるのを見ながら、家族3人で感染して共倒れしたらどうしよう、といつも話しています」  愛知県に住む57歳の女性は、20代の娘2人と暮らす。自身は心臓に基礎疾患があり、感染自体も心配だ。それ以上に、「自宅療養って、どんな生活になるんだろう?」と不安でいっぱいだという。せめて準備はしておこうと、食料品を少しずつ買い始めている。 「いまのところ水は2リットルを12本。500ミリリットルのスポーツ飲料24本。他にもレトルトのおかゆやご飯、カップ麺やお菓子などをそろえています。できることはやっておいたほうが、と思うんです」  自宅療養する前からの準備。そこまで必要なのだろうか?  厚生労働省によると、新型コロナウイルスに感染して自宅で療養している人は全国で13万人を超す(9月1日時点)。終息が見通せないなか、病床不足は深刻化。長い闘いになる。 ■24日間の隔離を覚悟  冒頭の女性のように「自分が感染したときのために、事前の備えをすべきです」と訴えるのは、日本在宅医療連合学会代表理事の石垣泰則さんだ。 「コロナ禍は単なる感染症の蔓延(まんえん)ではなく災害です。『災害対策』のつもりで食料品などを準備しておく必要があります」  では何を、どれだけ用意すればいいのか。それにはまず、自宅療養の期間を知っておこう。  陽性が判明した本人は「発症日(無症状の人は検査日)から10日間が経過。かつ症状軽快日から3日間(72時間)が経過するまでの期間」とされている。さらに、その人と同居する家族がいる場合、全員が濃厚接触者になる。陽性者の隔離が終わった時点から、さらに14日間の隔離が求められ、計24日間という長丁場になることもある。 「自宅療養中の食料や日用品は原則、自分で調達する必要があります。保健所から配食サービスの希望を聞かれることもありますが、自宅療養者の急増で、対応が遅れるケースも出ているようです。自分で10日間から2週間分は用意しておくといいと思います」(石垣さん)  水やスポーツドリンク、経口補水液などは1人1日2~2.5リットルを目安に準備する。500ミリリットル入りのペットボトルを用意しておくと、枕元に置いておけるので便利だ。ほかにレトルトのおかゆや、のど飴(あめ)なども重宝するという。 「新型コロナなどの感染症に罹患(りかん)して発熱した場合、それだけで著しくエネルギーを消耗します。食欲がなくても食べられて、少しでもカロリーを摂取できるゼリー飲料やプリン、アイスなどもお薦めです」(同)  自宅内の感染対策も重要だ。  東京医療保健大学大学院の菅原えりさ教授(感染制御学)は「まずは市販されている消毒用エタノールを1本、準備しておくと便利です」と話す。  家族で暮らしているケースを想定しよう。陽性者がトイレや風呂に行くときは、他の家族はなるべく近づかない。陽性者が部屋に戻ったら、しばらく換気して、ドアノブなどをエタノールで拭く。そんなイメージだ。 「加えて石鹸(せっけん)と、手指消毒用に保湿剤が入ったアルコールを別途、準備しておくといいです」 ■看病は1人に限定する  家族が陽性者の看病をする必要も出てくる。その役割は1人に限定することが大事だと、菅原さんは言う。基礎疾患がある人、小さな子どもや高齢者は、なるべく陽性者に近づけない。その上で、看病する人はマスクはもちろん、ビニール製のカッパや使い捨て手袋などを使う。 「陽性者を隔離する部屋に入る際は、アルコールで手指を消毒し、マスクを着けて入ります。陽性者もマスクをしましょう。陽性者が子どもで、抱っこしながら世話する際は、水気のものをはじくビニール製のカッパを着るのが望ましいです。ただ、大きなポリ袋に穴をあけて頭からかぶってもいいし、その部屋だけで羽織る専用の上着でも構いません。ビニールの手袋も、お世話する人の安心感につながるので、あるといいですが、部屋から洗面所に直行、手指消毒をきっちりとやるなら、素手でも問題ありません」(菅原さん)  他に必要なものは何だろう。自宅療養者へのオンライン診療などを実施している「ロコクリニック中目黒」共同代表医師の瀬田宏哉さんは、「体温計、パルスオキシメーター、そして血圧計」を挙げる。 「いわゆるバイタルサインを見極めるために、この三つを持っておいていただけると医師としては判断の際に有用で、ありがたいです。ただ『電池がいま切れていて』というケースも多く、電池の予備も大事です」  また、扇風機やサーキュレーターもあるといいと言う。 「コロナは対策として『換気』がとても大事です。部屋や自宅のどこを開けると空気の通りがよくなるか、どこに扇風機を置くと換気が効率的かなど、あらかじめ知っておき、家族で共有しておくのもいいと思います」 (編集部・小長光哲郎、野村昌二、ライター・羽根田真智)※AERA 2021年9月20日号より抜粋

    AERA

    20時間前

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    「これからも嘘をつき続けたい」落語家・柳家喬太郎の真意とは?

     映画「浜の朝日の嘘つきどもと」で、福島が舞台のつぶれかけの映画館「朝日座」の支配人を演じた落語家・柳家喬太郎さん。会社勤めなら定年を意識する年頃だが、芸人としては「これから」だと言う。 【前編/“文化をなくしたくない”に共鳴 喬太郎が「つぶれかけ映画館の支配人役」】より続く *  *  *  福島が舞台ということで、テーマの一つは、震災からの復興だ。でも、それを前面に押し出しすぎず、「朝日座」の復活と重ねて、苦労を乗り越えながら徐々に日常を取り戻し、明るくたくましく生きている人たちの姿が描かれている。朝日座復活の陰には、高畑充希さん演じる茂木莉子の提案したクラウドファンディングの成功があった。 「以前、主演させていただいた映画『スプリング、ハズ、カム』もクラファンによって生まれた映画でした。今回は、映画の中でクラファンが使われていますけど、今は寄席業界がクラファンを募っている時代です。落語協会の理事会でその話になったとき、役員はおじさん、おじいさんばっかりなので、僕もネットは詳しくないけれど、いちおう勉強して説明しました。でも、蓋を開けてみたら、うちの師匠(柳家さん喬さん)のほうが詳しかった(笑)。『落語文化をなくしたくない』とお金を出してくださる人たちのありがたみは、寄席のクラファンをやるようになったことで痛切に感じています」  現在57歳。会社勤めなら、そろそろ定年を意識する年齢だが、「芸人としてはまだまだ道半ばです。むしろこれからじゃないですかね」と自分に言い聞かせるように口にした。 「ただ、芸の道に精進することは、長いトンネルの中にいるようで、いくつになっても苦しさが伴います。だから、年齢で区切られる定年という制度のことを、正直、“羨ましいなあ”なんて思うこともなくはない。だったら引退を宣言すればいいんだけれど、自ら引退する人はほとんどいない。やっぱりそれだけ、みんな落語の魅力に取り憑かれているんだと思います」  今回の映画では、莉子のついた小さな嘘から、物語は始まる。それは、守りたいものを守るための小さな嘘。喬太郎さんに、「嘘をつくことはありますか?」と聞くと、冗談とも本気ともつかぬ表情で、「この映画を守るために今も小さな嘘をついてますけどね」と言って笑った。 「内心は、『冗談じゃねーよ、こんな映画!』って思ってるかもしれないじゃないですか(笑)。取り繕ったり、真実じゃないことを作り出すのはよくないことかもしれないけど、そこに愛があって、人を守るためなら、嘘は大事だと僕は思います。“嘘から出たまこと”という言葉もありますし、誰かを守るために嘘をつくことは、人を愛することと同じで、何かを大事にすることだから。だいたい、噺家なんて高座の上で嘘ばっかりついているんですよ。そこで生まれたかりそめの笑いによって、『元気になりました』と言ってくださる方もいらっしゃいます。元気になったからと言って、おのおのが抱えている問題は解決しないこともわかっている。それでも、かりそめの笑い、かりそめの嘘、かりそめの時間によって、『元気になった』と思ってくれる人がいるなら、僕はこれからも嘘をつき続けたいです」 (菊地陽子、構成/長沢明) 柳家喬太郎(やなぎや・きょうたろう)/1963年生まれ。東京都出身。89年、柳家さん喬に入門。98年、NHK新人演芸大賞落語部門大賞を受賞し、2000年に真打ち昇進。以降も、3年連続で国立演芸場花形演芸会大賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞[大衆芸能部門]など、数々の賞に輝く。20年、落語協会常任理事に就任。タナダユキが演出を手がけた「昭和元禄落語心中」(18年/NHK)では、落語監修を担当し、出演も。※週刊朝日  2021年9月24日号より抜粋

    週刊朝日

    16時間前

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    高市早苗は総裁になれるのか? 女性政治家が走る三つの「出世道」

     自民党総裁選に名乗りを上げた高市早苗氏。女性の候補者が出たのは10年以上前の小池百合子氏以来だ。地方議会で高まる女性に期待するという機運が、高市氏の出馬の背景にあるのではと、超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」会長の中川正春元文部科学相は指摘する。  とはいえ、現状、政党の意識が変わっているとはいいがたい。  候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」推進を訴える稲田朋美元防衛相はこう話す。 「日本の衆院議員のうち女性は約1割。自民党所属の衆院議員に限ると7%ほどとさらに下がります。自民党内には『政治は男性がやるもの』という意識がなお強い」  事実、クオータ制はなかなか実現しない。その理由について、中川氏は嘆息する。 「特に自民党の中に強力に反対する核になるグループがあって、女性議員にもクオータ制反対が少なからずいる。これまで男性と張り合い、自分の力で当選してきたのに、特別枠を設けたら自身の格が下がる、というような不平等感を感じるようです。そういう人たちを説得していくのはなかなか大変なんです」  国際的な議員交流団体「列国議会同盟」が3月にまとめた報告書によれば、日本の国会(衆院)で女性議員が占める割合は、データのある190カ国中、166位。主要7カ国(G7)で最下位だ。地方もいまだ例外ではなく、女性議員の割合は低い。 「女性が政治家として活躍していける環境が十分でない。さらに、女性が『政治家になりたい』と思えるようなロールモデルが見当たらないことも割合が増えない一因だと考えています」(稲田氏)  では、高市氏がそのロールモデルになれるのだろうか。三重大学の岩本美砂子教授(政治学)が解説する。 「高市さんはクオータ制について、女性に特別枠を与えて、げたをはかせるのは逆差別じゃないか、と反対していますし、夫婦別姓にも同性婚にも反対している。根本がアンチフェミニズム。旧来の保守的で男性支配の自民党に対して、操正しい。自身の信条に確信が強い“確信保守”なのです」  ジャーナリストの田原総一朗氏は自民党の特性についてこう指摘する。 「自民党の女性国会議員が偉くなろうとすると、ジェンダーギャップを認めないとなれない。ギャップがあることが大前提で、反対だと言えば基本的に党の役員とか大臣にはなれない。だから、自民党の女性議員には保守的な発言をする人が多くなりがち」  むしろそうした女性議員が、特に安倍前政権下では重用された。 「高市さん始め、山谷えり子議員、有村治子議員、最近は少し変わったが稲田議員ら、自民党のセンターよりも“右側”の女性を重用しました。そうした人物に男女共同参画担当大臣を任せるなど、いびつな構造でした。本来、適しているはずの野田聖子さんは、リベラルでフェミニストであるせいで党内で浮いてしまっている」(岩本教授) 後ろ盾ないとき真価が問われる  岩本教授は著書『百合子とたか子 女性政治リーダーの運命』のなかで、ノルウェーの心理学者トリルド・スカアードの調査をもとに、女性が国のトップになるためには三つの道があると指摘している。 (1)権力の座にある家族から世襲する「家族代替型」 (2)政党を通じて権力の地位に就く「政党インサイダー型」 (3)非政府組織や草の根の職業、活動を基礎として権力の地位を手に入れる「アウトサイダー型」  現役の女性議員で言えば、(1)は野田氏や小渕優子氏ら、小池氏は(3)に該当する。高市氏も(3)だ。  そして、女性トップは三つにカテゴライズできると記す。 [1]男性支配政治の規範や価値に合致し、男性と同じように振る舞う。女性の問題にはあまり関わらない。 [2]女性と男性の利益に妥協点を見いだし、現実問題として解決を図る。「女性」でなく「政治家」であることを強調する。 [3]男性中心の政治に挑み、女性政策を推進しようとする。  ここでは高市氏は[1]に該当するのだろう。このカテゴリーは女性同士の連帯を望めず、ライバルである男性議員とも親しくできないというもろ刃の剣だ。  元自民党国会議員で閣僚経験のある男性は高市氏について、 「私が見ていた限りでは、彼女は党内での友人、仲間というのは少ない。安倍さんが支持したとはいえ、細田派内をまとめるなんてことなどできないよ。彼の本命は岸田氏だろうし。彼女への支持は党内全体でも20~30%いけばいいくらいだろう」  と話す。「高市首相」が実現する可能性について聞くと、 「ゼロでしょ。まず本当に総裁になろうとしたら、何年もかけて準備していくもの。結局はそうやって、いわゆる党内基盤を固めて、支持をとりつけていかないと難しい」と語った。  つまり、高市氏はまだスタートラインに立っただけで、真価が問われるのはここからという見方だ。高市氏は憧れの人物、目標とする政治家として、マーガレット・サッチャー元英首相を挙げているが、「彼女のような真の権力者にはなれないだろう」と岩本教授は手厳しい。 「サッチャーもフェミニストではないが、権力者だった。高市さんは安倍さんに引っ張ってもらうことが前提という時点で決定的に違います。仮に安倍さんが失脚して後ろ盾がなくなったときに化けられるのかどうか。派閥の領袖(りょうしゅう)でもない高市さんは、実力者の傀儡(かいらい)になる可能性が高く、権力を握るものとしては危うい」  真の意味での女性首相誕生までの道のりは長いのか、どうか。(本誌・秦正理、池田正史)※週刊朝日  2021年9月24日号より抜粋

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    【写真特集/全8枚】華麗なる日本人メジャーリーガーの妻たち

    トップクラスは20億円以上の年俸を稼ぐ選手もいる、憧れの日本人メジャーリーガー。そんな彼らを射止めた女性たちもまた、アナウンサー、アイドル、モデル…と高嶺の花が勢揃い!そんな美貌と才能に溢れた彼女たちを写真で紹介します。▼クリックすると拡大写真と解説文が表示されます

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    郵便局長が邁進する郵便局舎「投資」 もうけが流れる先にある団体の存在

     新たに移転する郵便局の不動産を、郵便局長たちが買い漁っている。日本郵便が土地などを直に取得できないよう地主に働きかける例もある。賃料収入を元手に得た「もうけ」が流れる先には、ある団体の存在が──。AERA 2021年9月20日号の記事を紹介する。 *  *  *  筆者に6月、ある高齢女性から直筆の手紙が届いた。そこには、こう書かれていた。 <戦後、懸命に働いて買った苦労の土地なので、手放すことは考えていませんでしたが、役所(の幹部)が何度も頼みに来て、役所が買うならと首を下げました。その後、役所から「これからは郵便局と話して」と言われ、郵便局長から「不動産鑑定士の言う金額だ」と言われ、私は何も言わず黙って聞き、契約書に名前を書いて印鑑をついてやりました。金額は誰にも話さず、心の中に入れています。あまりにも安いので>  地元の郵便局長から、局舎の移転先となる土地を安く買いたたかれたとみられる。女性の希望で関係者への取材は控えたが、同様の例は他にもありそうだ。そう思わせる独自データを紹介する前に、まずは郵便局をめぐる歴史をおさらいしよう。 ■社員が先回りして取得  日本郵政グループの中核「日本郵便」は、全国で約2万局の郵便局を直営している。うち約1万9千局は「旧特定郵便局」だ。お金のない明治政府に代わり、地方の名士が自宅などを無償提供してつくった局舎がルーツだ。2007年の郵政民営化後も、大型の旧普通郵便局とは区別して運営されている。局舎が局長職とともに“世襲”で引き継がれた例も多い。  日本郵便が借りている局舎は約1万5千あり、賃料総額は600億円近くになる。内部資料によると、現役の局長が持つ局舎が2千、2親等以内の親族と日本郵政グループ社員の保有が2774、元局長の保有が5940ある(19年4月時点)。  だが、着目したいのは局舎の「ストック」ではない。移転や開局など「フロー」のほうだ。  日本郵便が18~20年に移転を公表した240局の不動産登記などを調べると、少なくとも73局の所有者が21年時点の局長と一致した。元局長が所有する物件も5局あった。新しくできた郵便局でも、少なくとも5局は局長が保有。それらのほとんどが、新築の一戸建てだった。  土地についても見ていこう。  局長が保有する73局のうち40局は、移転前の2年以内に取得されていた。残る土地も、移転にあわせて地主から借り入れている土地が多い。局長自ら先回りし、地主と交渉して土地を買ったり借りたりしているのだ。日本郵便の歴とした「社員」であるにもかかわらず。  想像してみてほしい。大企業の拠点となる不動産を社員が先回りして我が物にし、勤め先に貸し出して賃料を得る構図を。  企業と役職員との個別取引は利益相反や不当利得が生じやすい。原則禁止とし、本当にやむを得ない場合には透明性や合理性を明確にするのが企業経営の常識でもある。  日本郵便も民営化後、局長が局舎を持つ条件を社内ルールで定めてきた。最優良の物件であるのは当然のこと、(1)日本郵便が地主と直接取引できない(2)公募をしても他に優良物件が見つからない(3)取締役会で決議する──といった条件も満たすことが必要だ。  ここで注目したいのは条件(1)。局長が最適な移転先を見つけたとしても、日本郵便が地主と直接取引し、局舎も建てるという「普通の姿」が大原則なのだ。  地主が日本郵便との取引を拒み、「局長以外に土地は譲らない!」と主張するような特殊事例でもない限り、局長が局舎を取得するなど認められない。つまり、不動産取引の相手として大企業である日本郵便よりも、局長個人にこだわる地主が、3年間で70人超もいたことになる。不自然ではないだろうか。 ■「儀式」でルール回避  こんな事例がある。  信越地方の山あいの集落で3年ほど前、国道沿いの土地を持つ60代の男性が、地元の郵便局長からこう懇願された。 「日本郵便の社員を連れてくるから、『土地は局長にしか貸さない』と言ってくれ」  土地を貸すことに同意していた男性は不思議な気がしたが、顔なじみの局長の頼みでは断りにくい。実際に翌日、局長が連れてきた社員2人に対し、「局長さんにはいつも世話になっていますから」と、教わったセリフをそのまま告げた。面談は立ったままで、10分にも満たない「儀式」のようなものだった。局長が勤め先の取引を妨害した疑いが濃い。  また、男性は局長に「借地料は月5万円以上」と伝えていた。郵便局のために安くしたつもりだったが、局長側は社員との面談後、「月2万円」と言い出して譲らなかった。着工が遅れると周囲の目も気になるようになり、区画を変えて「言い値」を受け入れたという。  東海地方に住む70代の男性は昨年、畑の一角を郵便局長に売った。「局長と面識はなく、契約当日に初めて会った」と証言する。地元の不動産業者が「日本郵便ではなく局長に譲って」と頼んできたといい、「変だとは思ったが、価格がよければ、どっちに売ったってよかった。そういうものでしょ」と話す。 ■仲間に利益誘導の恐れ  日本郵便は局長が局舎を取得する際、支社の社員が地主と会って直接取引する意思が本当にないかを確かめる。「局長にしか確保できない理由」を明確にする必要があり、地主が取引を拒む理由は「対応記録表」に記されて本社に届く。取締役会も1件ずつ確認しているはずだ。  局長が保有する局舎の賃料は、民営化当初に相場より2~3割ほど高い契約があると指摘され、10年以降は利幅を相当削っている。それでも局長が局舎取得に邁進(まいしん)するのは、旧特定郵便局長らでつくる「全国郵便局長会」が、自ら局舎を持つ「自営局舎」を推進しているからだ。地域貢献に役立つとの名目だが、本当にそれだけなのか。  過去3年の移転局舎240局の登記簿をみると、全国各地の「郵便局長協会」が少なくとも52局で約33億円を融資していた。金利は年0.8~2.4%で、過去3年分だけで年数千万円の利息収入が生じる。物件を担保とせずに融資する例もあるといい、実際の融資額や利息収入はもっと多いとみられる。  郵便局長協会の役員は、各地の郵便局長会の幹部と重なる。「会社の取引を阻害し、仲間内に利益を誘導している構図ではないか」(八田進二・青山学院大名誉教授)との指摘もある。  日本郵政の増田寛也社長(日本郵便取締役)は8月末の記者会見で、確認するなかで問題は見つからなかったと説明した。郵便局長協会が利息収入を得ていることは「十分な情報がない。問題にすべき点があるかは(日本郵便に)聞いてみたい」と述べるにとどめ、いつもの歯切れのよさはなりを潜めた。  非常識な慣習をただせるか、今はまだ見通せない。(朝日新聞経済部・藤田知也)※AERA 2021年9月20日号

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    20時間前

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    「高市氏の昔を知っているよ」 総裁選候補者3人で最も優れているのに胸がザワつく理由

     作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、自民党総裁選に立候補を表明している3人の議員について。 *  *  * 連日、自民党総裁選関連のニュースがメディアを占めている。この国に暮らす人々の生存をかけた衆議院選挙のほうがよほど重大なはずなのに、無駄に自民党の生存をかけた総裁選につきあわされているようでつらい。災害レベルのコロナ禍で重要なときに臨時国会を開かず、自党の人事に時間を費やす自民党の体質が、トップが代わったところで変わるとは思えない。とはいえ、あと一歩で総理の椅子に座る3人の候補者に女性が入っていること、その女性が候補者の中で最も右寄りであること、容姿を誹謗中傷する批判が“彼女にだけ”されていることなど、日本の女性政治家が置かれている現実を生中継で日々見せられているようで、それはそれで気になってしまうのだ。 候補者3人の出馬表明記者会見を見た。それぞれ力のこもった熱弁を見ながら、改めて菅さん (菅義偉首相) は、相当なレベルで話が下手だったのだと気づかされる。滑舌が悪いうえに自分の言葉で話さない、原稿すらうまく読めないので頭に入ってこない。東京五輪・パラリンピック開催に疑問を投げかける記者には、「安全安心」と繰り返すだけで誠実さのカケラもなかった。さらに記者に対して威圧的であり、社名を名乗らない記者に対していら立つなど、器の小ささを露呈してしまう場面を幾度となく見てきた。喋れば喋るほど、人の心が離れていく総理大臣だった。 菅さんに比べると3人の候補者の話は、フツーにまともだった。……と、「底」を強いられてきた者として認知の歪みが生じてしまっているのだろうかと自分でも不安になるが、今回、高市早苗氏の会見を初めて長時間聴いてみて驚いた。テンポ、滑舌、論理性、具体性において出馬表明記者会見としては3人の中で最も優れていたからだ。記者からの質問に逃げずに丁寧に答えていたのも好感を持てた。  例えばTBS「報道特集」のキャスター膳場貴子氏が、高市氏が過去にしていたサイテーの発言「(生活保護を)さもしい顔をしてもらえるものはもらおうとか、弱者のふりをして少しでもトクをしようと、そんな国民ばかりいたら日本が滅びる」を引き、「困窮する国民をどういう目で見ているのか確認をさせてください。弱者への視点が欠けている不安、批判の声があるが、どう受け止めているか聞かせてください」と迫った。高市さんに対する強い批判を含んだ良い質問だった。 もしこれが、安倍さん (安倍晋三前首相) だったらと想像する。女性アナウンサーからの質問にまずニヤニヤと冷笑し、しかし顔色は変わり、早口でまったく方向違いの旧民主党政権批判を延々繰り返し「それはですね、民主党政権時代の批判の流れでの発言だったのでございます。文脈をですね、私の発言の文脈をですね、いいですか、きちんと見ていただいたうえでですね、そのようなご質問をしていただきたきたいのでございます」とか言いそうだし、麻生さん (麻生太郎財務相) だったら「そうかね、覚えてねぇな」とか言いかねず、菅さんだったら「えー、私はこれまで通り全力で国民の安全安心を最大限に考えて、政治を行っていくことに変わりはありません」とか言うのでは。テレビカメラの前で“女性”記者に批判された、ということで頭がいっぱいになり、誠実に答えようともしない“男性”政治家の振る舞いに私たちはあまりにも慣れてしまっていた。 その日、高市氏は膳場氏の批判質問に顔色も声のトーンも変えることはなかった。にこやかなまま、その発言がいつ、どの場で行われたものかを記憶の中で語り、「これは皆様の大切な税金。福祉というものは公正、公平が原則であるべきだと私は考えています」とし、さらに子どもの貧困問題等について語り、そのうえで「これが私。素直なほうなので、さまざまなアドバイスには柔軟に対応する」とも言った。  このやりとりに、私は見入ってしまったのだった。威圧的だったり、不誠実だったり、中身のない政治家答弁にあまりにも慣れ過ぎていたからこその驚きであるのだが、ただ新鮮だった。もちろん、高市氏のような政治家の言動が生活保護受給者に対する社会の偏見を生み、貧困を再生産し、生活保護を受けられずに餓死するような人々を生み出す現実をつくってきた。そういうリアルが見えない高市さんが与党の政治家であることが私は恐いが、それでも「どのような考えに立っているのか」ということを説明することをこの人は逃れなかったという印象は残った。 一方、岸田氏は国民の声を聞いてきたという薄く小さなノートを振りかざして「私にとりまして大切な財産。このノートを読み返した上で、私は改めてやるべきことがあると感じています」と豪語する。外国特派員協会で記者会見を開くなど、去年の総裁選よりもパフォーマンス力があがっているように見えるが、選択的夫婦別姓についての意見を問われ、「引きつづき議論しなければならない課題」と言うなど、いったい誰の声を聞いてきたのか問いたい。今年の共同通信の調査によれば選択的夫婦別姓は国民世論で6割が賛成している(30代では7割)。だいたい選択的夫婦別姓は80年代からずっと提案され、深く積み重なった議論の歴史があるのだ。国会での議論を拒否し続けてきた自民党の単なる勉強不足が、選択的夫婦別姓を邪魔しているだけ。まだ、「自分ごと」として通称使用拡大の具体的実践に全力を尽くしてきた高市氏のほうが勉強しているし、わかっているように見える。 河野太郎氏の記者会見が一番、今までの自民党の威圧的政治家の流れをくんでいるように見えた。質問は1社一つというルールを一方的に強いては、「(河野さんは)脱原発派ですか?」という質問に対して「どういう定義で脱原発というか人によって違うので、何か一つの言葉でくくるのはやめておいたほうがいい」と打ち切り、それ以上の質問を許さなかった。記者が本当に聞きたいことは分かっているはずだし、そこから深まる議論もあるはずなのに、意味のない答えを短めに返すのが目立った。  河野氏は若手からの期待が大きいと、報道では言われている。「河野さんは発信力があります」と30代の議員が胸を張るようにテレビカメラに向かって話しているのを見た。発信力とは単純にテレビに出る回数とか、Twitterのフォロワー数とか、なんとなくの人気のことを言っているのではないかと思うが、それは政治家にとって必要な力なのだろうか。記者会見で衝撃だったのは、韓国メディアの記者が「特に韓国を含めた、近隣国に向けての外交政策のビジョンを聞かせてほしい」と質問した時の答えだ。外務大臣を務めたこともある河野氏の答えは、こういうものだった。「G7の中で日本はユニークな立ち位置。キリスト教をベースとした文明の上に成り立っていない国は日本だけ。だから外務大臣として自分はアジア、中近東、アフリカといった国々の思いを代弁できる日本でありたーい、と思ってきた。自由民主主義、基本的人権、法の支配、こうした価値観を共有して一緒に前に進みたーいと思っている。それぞれの国にはそれぞれの歴史がある。一足飛びにみんなが同じことをできるわけではありませんー。そういうなかで、ヨチヨチ歩きであっても同じ方向を進もうとしている国にしっかりと寄り添える、そういう日本でありたーいと思っている」 ……これは外交政策なのでしょうか。ヨチヨチ歩きだけど一緒に寄り添っていこうね、って。これは元外務大臣による総裁選立候補の時に語るような言葉なのだろうか。高市氏を推すわけでは決してないが(というか、私にその権利もないが)、高市氏だったら具体的に質問に正確に答えようとするのではないか、大人の言葉で。 最近、「高市早苗の昔を知っているよ」という人と立て続けに話をする機会があった。20代のころ、高市氏は400ccのバイクを乗り回していたという。30年以上前、400ccのバイクに乗る女性は少なかった。私も10代のころ、400ccのバイクに乗りたくて教習所に行ったのだが、「女は小型から」と中型免許すら取らせてもらえない空気があり、一日でやめた。「中型取りに来たんです」と言っても、「じゃあ、起こしてみな」と道路に転がる400ccをコツも教えてもらえず起こせと言われて憤慨した。あの時の悔しさは今もまだ心のどこかに残っている。80年代のことだ。そういう時代のなかで、中型・大型バイクに乗る女性たちは道で出会っては、自然に話しかけるようなことがあったという。当時のバイク仲間の女性は、若かった高市さんが目を輝かせながら「私は保守系の政治家になるんだ」と、夢を語っていたのを覚えている。   高市氏を見ていると、胸がざわつく。「政治家を知るためには、その人の選挙区と選挙歴を知らなければならない」とは、無戸籍問題に取り組み続け衆議院議員になった井戸まさえ氏の言葉だが、高市氏がもし、奈良という保守が強い土地ではなく、都市部の選挙区の人だったらどうだったろうか。選択的夫婦別姓、女性天皇・女系天皇容認などについて肯定派の多い都市部のような場所で保守派の政治家として立っていたら、どうだったろうか。安倍さんへの、悲しいほどのすり寄りは、二世議員である小渕優子議員や、祖父が政治家だった野田聖子議員だったらしなくてもよい媚びにも見える。高市氏自身の葛藤を勝手に想像しながら、そういう女性議員の姿を見てこちらも引き裂かれるような葛藤を味わう。女性がのびのびと政治ができる国になってほしい、そして正当に評価されるようになってほしい。今起きているのは、自民党の大物男性の庇護のもとでの自由と、それでも女性であるゆえに正当に評価されない日本社会の女性嫌悪だ。精神衛生上よくないので、早く終わらせて、衆議院選挙で自民党政治は終わってほしい。■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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    ゆたぼんが西成でホームレスと交流で怒号飛び交う「危険すぎる」と批判

     小学校に続き、中学校も通わないことを宣言した不登校ユーチューバ・ゆたぼんが、14日に自身のYouTubeチャンネルを更新。「『聞け!』ホームレスと話したらブチ切れ」というタイトルの動画が波紋を呼んでいる。    ゆたぼんはボクシングトレーナーの亀田史郎氏と西成の三角公園を訪問。亀田氏に酒を渡され、「ゆたぼんのこと知っているか聞いてみ!」とホームレスと会話するように助言を受ける。  ゆたぼんが男性に話しかけにいくと、丁寧に対応してくれた。そして、亀田氏から「今のは言うたら『キリン地帯』やから次ちょっと『ライオン地帯』に行ってもらうから。ちょっと危ない。ライオン、トラとかおるから」と指令が…。  こわばった表情のゆたぼんがホームレスの集団に歩を進めると、「何映しとんのや、おまえらコラ!」、「やめとけコラ!」と怒号が飛び交った。立ちつくし、引き返すと「めっちゃ怖い」と漏らし、亀田氏は「ちょっと刺激がキツかったか、ゆたぼんには」と苦笑いした。その後もホームレスに話しかけ、会話を楽しんだ。   亀田氏は「(ホームレスの人たちは)大人の事情があってここにたどり着いたっていうのもあるから。ゆたぼんの気持ちが伝わって『ありがとう』っていうおっちゃんもおったしな。そういうのも人生は勉強やから!こういう経験を12歳でするのは多分全国でゆたぼんだけや!」と行動力を称賛した。  ゆたぼんは「DaiGo、おまえも絶対にホームレスの人とかいろんなおっちゃんと話した方がいいで。それやったら気持ちがわかるし、もしかしたらそうなっちゃうかもしれないし。軽い命とかそんなこと言ったらダメなんですよ」と言葉に力を込めた。  DaiGoは8月に自身のユーチューブでホームレスについて、「自分にとって必要のない命は僕にとって軽い」「邪魔だし、治安悪くなる」など差別発言をして、謝罪に追い込まれた。ゆたぼんは今回の体験を通じ、DaiGoもホームレスと交流すべきだと説いた。   ただ、今回の企画にテレビ関係者は「ゆたぼんは身の危険に遭う危険性があった」と警鐘を鳴らす。 「ホームレスは様々な事情で生活を送っています。カメラで映されたくなかったり、興味本位で話しかけられるのを嫌がる人たちも多い。今回のYouTubeで事前に取材の許可をスタッフが得たのかわかりませんが、アポなしで突撃したのだったら危険すぎる。過去にユーチューバーが西成のホームレスにカメラを向けてトラブルになった事件も複数回あります。亀田さんが『キリン地帯』、『ライオン地帯』などと形容していましたが、ああいう表現も後で知って刺激する恐れがある。ホームレスの人たちと交流するという趣旨は決して否定されるものではないですが、もう少しやり方を変えてほうがいいかなと感じました。あと、ゆたぼんが目上のホームレスの人たちにタメ口で話しているのも見ていてひやひやしました」  動画のコメント欄には、以下の声があった。 「色んな人と話して、色んな経験積んですごいですね。まだ12歳なのにすごいと思いますよ。ただ、あなたが少し成長された時にも、守ってくれる大人が側にがいるといいですね」 「学校のぬるい遠足よりよっぽど社会勉強になるなぁ」  勇気ある行動かもしれないが、相手に対して敬意を欠いていると誤解される恐れもある。ゆたぼんだけでなく、支える大人たちの責任が大きいことを自覚しなければいけないだろう。(江口顕吾)

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    16時間前

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    眞子さまが選んだアメリカへの“駆け落ち婚”の先にある「パパラッチ」と「生活費」の不安

     9月1日、秋篠宮家の長女である眞子さま(29)と小室圭さん(29)が年内にも結婚される方向で調整されていると報じられた。 お二人が婚約内定の記者会見をされた2017年9月から4年。小室さんの母親・佳代さんと元婚約者の間で「金銭トラブル」が報じられたことで延期になっていたが、正式な婚約となる皇室行事「納采の儀」や結婚に関連する儀式を行わずに、婚姻届を提出するということになるという。「儀式を行わずに結婚されれば、戦後の皇室では初めてのこと。眞子さまは、結婚により皇籍を離れ、結婚後は小室さんが滞在するアメリカで生活される見通しだといいますが、昨年、秋篠宮さまが示した『多くの人が納得し、喜んでくれる状況』からは程遠く、金銭問題も未解決のまま。まるで“駆け落ち婚”のようです」(皇室記者) 秋篠宮さまは昨年「憲法にも、結婚は両性の合意のみに基づくというのがあります」と結婚を認めるお考えを示されていたが、確かに女性皇族である眞子さまは、法的には当事者だけの合意のみで結婚できる。 さらに皇室を離れる際に支給される一時金(上限約1億5000万円)については受け取りを辞退する意向とも伝えられ、結婚後は小室さんが暮らす米国での生活を視野に入れているという。「昨年の秋頃から、眞子さまが30歳を迎える今年中には結婚される可能性が高いと皇室関係者の間では言われ続けていました。小室さんは今年5月に米ニューヨーク州のロースクールを卒業、7月に司法試験を受験し、12月中旬までには合否が判明します。米国では卒業時にはほとんどの学生が就職の内定をもらっていますから、小室さんもすでに就職の道筋はついているのでしょう。結婚後の生活基盤もできたことで、眞子さまとの新生活をスタートする準備が整った段階で婚姻届を提出するという流れは、おそらくお二人の計画だったと思います」(同) お二人が海外で生活をすると決めた背景には、これまでのようにマスコミに追われることなく静かに暮らしたいというお気持ちもあったのかもしれない。だが「メディアから解放されるどころか、もっと追われる可能性が高い」と話すのは皇室ジャーナリストだ。「小室さんが留学した時の紹介文に『プリンセス・マコのフィアンセ』という文言があったように、眞子さまが皇室を離れたとしても、皇族であったこと、将来の天皇陛下の姉にあたるという事実は変わりません。イギリス王室から離れたとしてもヘンリー王子とメーガン妃が王室の一員であったということに変わりはないのと同じです。まして、皇室行事などをせずに“駆け落ち”同然で結婚したとなれば、日本のメディアはアメリカまで追いかけていくでしょうし、アメリカのパパラッチも狙ってくるでしょう」(同前) また、皇籍離脱をしても、一般人と同じセキュリティーというわけにはいかないのでは、と話すのは海外在住のジャーナリストだ。「警備に関しては日本にいる時のように、税金で警備はしてもらえません。現地の大使館や領事館を通じて現地の市警とも密に連絡を取らなければなりません。仮にパパラッチに付きまとわれて、事故などが起きた場合は外交問題にまで及ぶ可能性もありますから、警備は重要になります。しかも、警備費はほとんどが自費で賄うことになるでしょうし、日本の警備費の何倍もの高額です。一時金でも足りないぐらいの費用になるでしょう。小室さんは、就職が内定していても初任給は1500万円とも2000万円ともいわれますが、ニューヨークで暮らす場合、東京よりも物価も家賃も高く、保険はさらに高額になります。小室さんの給料だけでは、ギリギリなのではないでしょうか」 愛さえあれば、2人でいれば、どんな困難も乗り越えられる……という純愛を貫いて結婚を待ち望んでいた眞子さまだが、結婚後はまた別の懸念材料が増えることになりそうだ。(緒方博子)

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    【独自】コロナ病床30~50%に空き、尾身茂氏が理事長の公的病院 132億円の補助金「ぼったくり」

     政府分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)傘下の東京都内の5つの公的病院で、183床ある新型コロナウイルス患者用の病床が30~50%も使われていないことが、AERAdot.編集部の調査でわかった。全国で自宅療養者が11万人以上とあふれ、医療がひっ迫する中で、コロナ患者の受け入れに消極的なJCHOの姿勢に対し、医師などからは批判の声があがっている。 編集部が厚労省関係者から入手した情報によると、JCHO傘下にある都内5病院のコロナ専用病床183床のうち、30%(8月29日現在)が空床であることがわかった。 5病院のうち最もコロナ患者の受け入れに消極的だったのは、東京蒲田医療センターだ。コロナ専用病床78床のうち42床が空床で、半数以上を占めた。その他には、東京山手メディカルセンターは37床のうち35%(13床)が空床となっている。東京高輪病院は18床のうち10%強(2床)が空床だった。東京新宿メディカルセンターはコロナ専用病床50床が満床だった。東京城東病院はこれまでコロナ専用の病床はゼロだ。 都の集計によると現在、自宅療養者は2万人以上、入院治療調整中の患者は約6800人に上る。厚労省関係者はこう批判する。「尾身氏は国会やメディアで『もう少し強い対策を打たないと、病床のひっ迫が大変なことになる』などと声高に主張していますが、自分のJCHO傘下の病院でコロナ専用ベッドを用意しておきながら、実は患者をあまり受け入れていない。こんなに重症患者、自宅療養者があふれているのに尾身氏の言動不一致が理解ができません。JCHOの姿勢が最近になって問題化し、城東病院を9月末には専門病院にすると重い腰を上げましたが、対応は遅すぎます。そもそもコロナ病床の確保で多額の補助金をもらっていながら、受け入れに消極的な姿勢は批判されてもしかるべきではないか」 厚労省はコロナの患者の受け入れ体制を整えるため、コロナ専用の病床を確保した病院に対して、多額の補助金を出している。 例えば、「病床確保支援事業」では新型コロナ専用のベッド1床につき1日7万1千円の補助金が出る。ベッドは使われなくても補助金が出るため、東京蒲田医療センターでは使われていない約40床に対して、単純計算で、1日284万円、1か月で約8500万円が支払われることになる。 その上、新たに重症患者向けの病床を確保した病院に1床あたり1950万円、中等症以下の病床には900万円を補助するなどの制度もある。JCHOが公表したデータによると、全国に57病院あり、稼働病床は約1万4千床。そのうち、6・1%にあたる870床をコロナ専用の病床にしたという。これまでいくらの補助金をもらってきたのかJCHOに尋ねると「すぐには回答ができない」(担当者)という。 しかし、厚労省関係者から入手した情報によると、2020年12月から3月だけでもJCHO全57病院で132億円の新型コロナ関連の補助金が支払われたという。「コロナ病床を空けたままでも補助金だけ連日、チャリチャリと入ってくることになる。まさに濡れ手で粟で、コロナ予算を食い物にしている。受け入れが難しいのであれば、補助金を返還すべきです」(厚労省関係者) JCHOは厚生労働省が所管する独立行政法人で、民間の病院とは異なり、公的な医療機関という位置づけだ。JCHO傘下の病院はもともと社会保険庁の病院だったが、公衆衛生の危機に対応するため、民営化はせずに独法として残った経緯がある。尾身氏は厚労省OBでJCHO理事長に14年より就任している。  医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「JCHOの存在意義が問われる」と指摘する。「世界では国公立などの病院が先ずは積極的にコロナ患者を受け入れている。日本でも当然、国公立やJCHOなどの公的医療機関が受け入れるべきでしょう。そもそもコロナ患者を受け入れる病床数も少ないですし、このような危機的な状況で患者受け入れに消極的というのであれば、補助金を受け取る資格はないし、民営化したほうがいいのではないでしょうか」(上氏) JCHOの見解はどうか。AERAdot.編集部が、JCHOにコロナ患者の受け入れの実態を質すと、8月27日現在の数字として、5病院全体では確保病床の30%が空床であり、東京蒲田医療センターでは約50%が空床であることを認めた。 尾身氏のコメント全文は後述するが、コロナ患者の受け入れに消極的なことについて、東京蒲田医療センターの石井耕司院長は書面で以下のように回答した。「JCHOは、国からの要請に基づきJCHO以外の医療逼迫地域(北海道・沖縄等)の病院へ、全国のJCHO病院から看護師の派遣を行ってきました。しかし、全国的な感染拡大に伴い、各地域においても看護師のニーズが高まってきた結果、全国のJCHO病院から当院への派遣が困難となってきました。(中略)今回、国や都からの受け入れ増加の要請に応えるため、8月16日から看護師を追加で確保し、受け入れ増加に向けて取り組んでいます」 補助金を返還するつもりはあるのか。尾身氏、東京蒲田医療センターの石井院長ともに「JCHO全体の取り組みについて、国や自治体からの要請に応じてきたものであり、東京都の令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)実施要綱に基づき申請を行ったものであります」と回答するにとどめた。返還するつもりはなさそうだ。「蒲田医療センターに関しては、8月初旬ではコロナ患者の受入は20数人で搬送要請を一貫して避け続けていた。恒常的に人手が足りずに対応できないのなら、補助金だけ受け入れ続けるのは、あきらかなぼったくりだと思います」(前出の厚労省関係者) 人手不足については、「非常勤の医師や看護師を本気で集めれば、対応できる」(上氏)などと疑問の声があがる。 この危機的状況においてどこまで本気で取り組むか。理事長たる尾身氏の手腕が問われている。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)*  *  *尾身茂氏からの回答全文は以下の通り 私共、JCHOは、これまでに国からの増床の要請について、全国のJCHO病院、特にJCHO都内5病院と連携・役割分担しながら対応してきました。この結果、都内JCHOの5病院では全病床の13%程度にあたる189床のコロナ病床を確保しました。 昨日、東京蒲田医療センターの石井院長が回答したとおり、東京蒲田医療センターにおいては、新型コロナウイルスの発生初期より、国からの要請に積極的に応えてきました。 例えば、クルーズ船患者の受け入れの際に1病棟(29床)を確保、さらに、令和3年2月には、もう1病棟(49床)の患者さんの転院等を行い、コロナ専用病棟に転換しました。その際、新たに生じる看護師不足については、全国のJCHO病院からの派遣によって確保してきました。 また、JCHOは、国からの要請に基づきJCHO以外の医療逼迫地域(北海道・沖縄等)の病院へ、全国のJCHO病院から看護師の派遣を行ってきました。しかし、全国的な感染拡大に伴い、各地域においても看護師のニーズが高まってきた結果、全国のJCHO病院から東京蒲田医療センターへの派遣が困難となってきました。 このため8月27日(金)時点では、東京蒲田医療センターでは5割程度の受入れとなっておりますが、JCHOの都内のその他の病院では確保病床の9割程度を受け入れており、全体では確保病床の7割程度の受け入れとなっております。 東京蒲田医療センターでは、国や都からの受け入れ増加の要請に応えるため、8月16日から看護師を追加で確保し、受け入れ増加に向けて取り組んでいます。 なお、JCHO全体の取り組みについて、国や自治体からの要請に応じてきたものであり、東京都の令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)実施要綱に基づき申請を行ったものであります。

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    抗原検査の市販品はピンキリ、日本製でも安心できない? 品質を見極めるポイント

     デルタ株が猛威を振るう中、薬局でも見かけるようになった抗原検査キット。PCR検査との違いや、使い方の注意について専門家に聞いた。AERA 2021年9月20日号から。 *  *  *  大阪府のパート女性(54)は、8月20~22日に新潟県湯沢町の苗場スキー場で催された「フジロックフェスティバル」に観客として参加した。3日間の来場者数は延べ3万5千人という国内最大級の野外音楽イベントだ。 「周囲は全員マスクを着け、不用意に騒ぐ人もいませんでした。密にならないよう足元のポイント表示に従って距離も確保していました。でも自宅に帰ってから、万一感染していたら周囲に迷惑がかかると思い、自主的に抗原検査をすることにしたんです」  女性はインターネットで千円ほどの抗原検査キットを購入。結果は陰性だった。それでも不安を払拭できないという。 「ちゃんとした商品なのかな?という懸念がずっと残っています。ネットではいろんな抗原検査キットが売られていて値段もまちまちですし、『研究用』と書かれていたので……」  抗原検査は、検体に新型コロナウイルスに特有のたんぱく質(抗原)が含まれているかを試薬の色の変化でチェックする。30分程度で判定結果が出るため、自宅や職場などで広く活用されている。 ■市販品はすべて未承認  試しに、大手ネット通販サイトで「新型コロナ」「抗原検査キット」とキーワードを入力して検索すると、数千円の「簡易キット」がずらりと表示された。「8分判定」「変異株対応」「唾液検査」といったPRメッセージが並ぶ。  だが、こうした市販品の購入や取り扱いには「注意も必要」と話すのは、日本臨床検査医学会の新型コロナウイルスに関する委員会の委員長を務める長崎大学の柳原克紀教授だ。  国が「診断用」と承認した抗原検査キットは28種類。これらの販売先は医療機関や自治体に限定されている。一方、未承認でも「研究用」としての販売は認められている。このため市販品はすべて未承認ということになる。中には、国の承認を得ていると偽って表示していたケースも。消費者庁は今年3月、抗原検査キットを販売する2社に景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるなどとして行政指導を行った。  とはいえ、未承認だからといって粗悪品とは限らない、と柳原教授は言う。 「国の承認を得るには治験が必要で、治験を経ていないものは研究用の扱いになります。しかし、研究用にも精度の高いものがある。この見極めが難しい。つまり、市販品はピンキリなんです」  柳原教授らは国に対し、市販されている抗原検査キットで精度の高いものについてはOTC(Over The Counter)医薬品に指定するよう要請している。OTC医薬品とは医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで「要指導医薬品」や「一般用医薬品」として購入できる医薬品だ。 「OTC医薬品と認められれば、『研究用』の表示はなくなります。それを目安に店頭で購入できれば、一定の安心につながると思います」(柳原教授)  だが現段階では、日本製だから大丈夫とも一概には言えない。検体の採取方法が品質を見極める一つの手掛かりになる、と柳原教授はアドバイスする。 「手軽に使えることをアピールするため、『唾液で検査可能』とうたっている商品よりも、鼻腔(びくう)や鼻咽頭(いんとう)から検体を採取して下さいと書いてある商品のほうが、良心的と受けとめていいでしょう」 ■検査タイミングも留意  柳原教授も検討委員を務める厚生労働省の新型コロナの「病原体検査の指針」は、簡易キットの抗原検査の場合、「唾液検体は用いることができない」と明示している。唾液中のウイルスは鼻腔や鼻咽頭より少ないと報告されているからだ。  また、「抗原検査はPCR検査などよりも感度が低いことを考慮し、検査結果が陰性の場合も感染予防策を継続する必要がある」と付記している。  柳原教授によると、抗原検査で陽性と検知できるウイルスの量は1千~1万個。10~100個で検知できるPCR検査と比較すると、精度は100倍の差があるという。  さらに、留意しないといけないのは検査のタイミングだ。  新型コロナウイルスは感染後、曲線を描くようにウイルスの量が増減する。感染の初期段階は体内のウイルス量が少なく、症状がある期間ずっとウイルスが増殖し続けるわけでもない。もともと精度が高くない抗原検査ではとりわけ、検査を受けるタイミングによって検体採取部位からウイルスが消失し検出できないことも考慮する必要があるのだ。このため、発症10日目以降の患者などは「偽陰性」の可能性があり、陰性確定診断のための検査には適さないとされる。 ■海外では鼻腔が主流  また、鼻腔から採取した検体の粘度が高い場合などは「偽陽性」を感知する可能性もあり、いずれにしても確定診断にはPCR検査が必要になる。  簡易キットの抗原検査は鼻咽頭や鼻腔から検体を自分で採取し、判定するためミスも起きやすい。  鼻咽頭から検体を採取する場合、PCR検査と同じように、細長い綿棒(スワブ)を鼻から差し込み、喉(のど)の奥から検体を採取する。柳原教授はこうアドバイスする。 「ミスをしないためには綿棒を鼻の穴から上に向けて差し込むのではなく、水平方向に差し込まないといけません。鼻の穴は上方向にしか開いていないと思っている人が多いと思いますが、水平方向にも穴があります。怖がらずに挿入すれば、痛みもなく喉の奥に突き当たります」  しかし鼻咽頭の検体採取は、患者が身をよじらせるなどした場合、医師でもうまく採取できないことがあるという。  一方、鼻腔検体は鼻の穴の中に綿棒を2センチほど挿入し、5回転させ5秒待てばよい。自分で採取する場合、容易な鼻腔検体のほうがおすすめだ。海外では鼻腔検体が主流だという。  では、発熱など新型コロナの症状があるにもかかわらず、抗原検査で「陰性」の結果が出たときにはどうすればいいのか。 「出勤や通学は控え、翌日、再検査をおすすめします。症状があるうちは毎日検査するのがよいでしょう」(柳原教授)  文部科学省は7月以降、大学や高校、特別支援学校に抗原検査の簡易キットを配布。9月上旬からは小中学校や幼稚園などにも配布を始めた。感染が疑われる教職員や小学4年以上の児童や生徒が使用することを想定している。  中2と小4の子をもつ東京都の契約社員の女性(48)は新学期を控えた8月下旬、ネットで購入した簡易キットで抗原検査を受けた。家族全員が陰性だったが、安心はできないという。女性は「信頼できる抗原検査キットを学校ではなく、各家庭に配ってほしい」と訴える。 ■教職員の負担は大きい  柳原教授も学校での抗原検査導入には否定的だ。 「医療者ではない教職員が子どもの検体を採取することは医療法上できません。文科省は小学4年生以上であれば、自分で検体を採取できるという見解だと思いますが、自分で採取できない子がいたら、すぐ隣で指導する教職員はくしゃみや鼻血が出る子の世話もしなければならず感染リスクもあり、負担は大きいと思います。学校経由で各家庭に配布し、小さな子は自宅で保護者に採取してもらうほうがよいでしょう」  精度はやや劣ってもその特徴を知り、簡易判定できる抗原検査をいかにうまく活用できるかが、新型コロナの感染拡大抑止のポイントの一つになりそうだ。(編集部・渡辺豪)※AERA 2021年9月20日号

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    高市早苗氏の意外な過去にフェミニストも震えた 総理の座を狙う過程で何があったのか

     作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、自民党総裁選に正式に出馬表明した高市早苗氏について。*    *  * 近しい人がデルタ株のコロナ陽性になったり、友人の同僚や、通っている美容院のお客さんが亡くなったりなど、夏以降、急速にコロナの危機が迫っているのを実感している。健康観察をされずに自宅で死亡した50代の方の話などを聞くと、東京五輪・パラリンピックに時間とお金と人材を費やすべきではなかったのではないかとつくづく悔しい思いになる。適切な処置を医療機関で受けられていたら、亡くならないですんだかもしれない命は少なくない。 Go Toキャンペーンやオリパラを強行することに専念してきた自民党政権が、トップの顔を代えただけで変われるとは思えず、期待には程遠い自民党総裁選。岸田文雄さんは、ボロボロの小さいノートを振りかざしては「国民の声を書き留めてきた、1年間で3冊、10年間で30冊」と様々なメディアでアピールしているが、正直、少ないと思う。薄いノートを1年でたった3冊埋めたくらいで、国民の声を聞いたとか言えるって、どんだけ聞いてこなかったかという話なのでは。河野太郎さんは、先日週刊誌でそのパワハラ言動が取りざたされていたが、ワクチン接種という、申し訳ないが素人目線でそこまで難しいとも思えない仕事でつまずいている人に期待するのはムリという話だし、高市早苗さんにいたっては、選択的夫婦別姓に強硬に反対するアンチフェミ女のイメージしかない。女性の人権に無関心な女性総理候補にいったい何の価値があるというのでしょう。 とはいえ、高市早苗議員、いったいどんな人なのか。32歳で衆議院議員に若くして初当選(※)。しかも同期の田中真紀子議員や野田聖子議員のように、親や祖父が国会議員だったというわけではなく、自民党員だったわけでもなく、サラリーマンの父と警察官の母という一般家庭から出てきた無所属の女性議員が、今、最も総理の椅子に近い女性となっている。なぜ高市さんは、政治家の道を選んだのだろう。どのように政治の道を歩いてきたのだろう。政治家としては多い著作のなかから国際政治評論家としてテレビで活躍していた頃に書かれた『30歳のバースディ―その朝、おんなの何かが変わる』(大和出版)、政治家2年目に記された『高市早苗のぶっとび永田町日記』(サンドケー出版局)を読んだ。 高市氏が大学を卒業したのは1984年。1986年に男女雇用機会均等法が施行されるが、この2年の差はやはりとても大きいものがある。女性が生涯にわたる仕事を手にすることも、そもそも親が大学に行かせてくれるかどうかも「女の子」であるというだけで諦めることがまだまだ当たり前にあった世代だ。特に地方であればなおのこと。保守的な奈良に育った高市氏も、当然のように「諦めさせられて」きた。例えば大学もそうだ。高市氏は第1希望だった早稲田と慶応のどちらも合格したにもかかわらず、「女の子のあなたを東京の私学で学ばせる余裕はない。弟の学費に回してほしい」と親に諦めさせられ、「女の子だから一人暮らしはさせられない」と通学に往復6時間かかる神戸大学に入学するのだ。 たとえ難関国立大学出身であっても、女性がその能力と希望に見合う就職先を見つけるのが難しい時代だった。「身の丈」よりもずっと小さく窮屈な型に押し込められる女性たちの悔しさは計り知れないが、高市氏の著書からはその類いの悔しさは強調されない。それは高市氏に並外れた行動力と決断力があり、自らの人生を切り開いてきた自負があるからだろう。たとえば、たまたま大学で目にした松下政経塾のポスターを目にして、直感に導かれるように松下政経塾に“就職”したり。たまたまテレビで見た女性議員で史上初の米国大統領候補指名争いに立候補準備を進めていたパトリシア・シュローダーに惹かれ、その2週間後にはワシントンに旅立ち、その情熱だけでシュローダー議員のオフィスで働き始めたり……若さゆえの大胆さと希望に満ちあふれた当時の高市氏のエピソード一つひとつに圧倒されてしまう。「女だから」と諦めさせられてきたのは大学まで、それ以降は絶対に諦めないという粘り強さで今の地位を築いていくのである。『30歳のバースディ』は文字通り30歳を迎えた高市氏がそれまでの人生を「ポップ」に振り返る本である。「BGMはいつもユーミンだった」「寂しいのはあなただけじゃない」「空港でまたまた恋人と涙の別れ」「男かペットがいなくちゃダメな私」「女と日の丸と視聴率の相関関係」「三〇女が孤独を感じるとき」といった目次からもわかるように、女友だちに話しかけるように書かれた軽く、優しいノリのものだ。アメリカから帰国し、若い政治評論家としてメディアに露出していたころで、日本の男性社会へのいら立ちも率直に記されている。「アメリカ議会では日本流のバカバカしい会議がないのが良かった。(略)ところが日本の企業では会議の場では何も決められない。本当は既に決まっているし、とっくに根回しが済んでいることを確認しあうだけの、儀式的な会議のなんと多いことか。でも、私たち女性は妙に正義感が強いので、このような巧妙な人間関係のテクニックとは相性が悪い」 90年代に若い女性が書いたテキストを追いかけながら、私は何度か噴き出したり、そうそうと共感したりと震えるような思いになる。ねぇ、高市さん、「女が入ると会議が長くなる」とほざく森喜朗さんに「あんたの会議はバカバカしい」とはやっぱり言えないものだったの? こういうまっとうないら立ちを文章にしてきた女性が、最も「わきまえる女」になっていく過程に、いったい何があったというの? さらにこういう率直さは、国会議員になった後に書かれた「高市早苗ぶっとび永田町日記」にも残っている。高市氏は歯に衣着せずに永田町のダメなところをきちんと切っている。「この一年間に永田町で一番多く耳にした言葉は次の二つ。『挨拶がない』『俺は聞いてないぞ』。委員会の審議日程が流れたり、大切な法案の採決がパーになったりする理由は大抵この二つだったりする」「笑い話のようなことばかりだが、事実、永田町政治は『理屈』ではなく、『メンツ』で動いている」 さらに、夜の会食や女性がいるクラブなどで行われる男たちの根回しで物事が決まっていく永田町で、女の自分が不利であることも記し、サッチャーのこんな言葉を引用し共感を表明するのだ。「私は最後まで党内基盤が弱かった。それは男性の世界の根回しに加えてもらえなかったからよ」 なにこの人……すごくまともな「一般人」の感覚で、すごくまともな「女の悔しさ」をストレートに出すフェミじゃないの? しかもそのまともさで、「総理大臣の資質」というものを論じ、当時の村山政権を真っ正面から批判している。明言しているわけではないが、高市氏自身が政治家として一番になること=総理になることを30代から目指しているのも伝わってくる内容なのだった。根回しから排除されてきたサッチャーが首相になれたように、パトリシア・シュローダーが80年代に大統領を目指したように、高市氏は政治家としてトップに行くことを最初から視野に入れていたのだ。 ……と、昔の高市氏の本を読んでいると、うっかり「がんばれ、早苗!」と言いたくなってしまう私がいるのだった。「総理になろうよ!!」と早苗の女友だちポジションに立って拍手したくもなってしまうのであった。まずい、まずい。正気に戻るために2011年に出版された『渡部昇一、「女子会」に挑む!』(WAC)も読んだ。櫻井よしこ氏、山谷えり子氏、高市早苗氏、小池百合子氏、丸川珠代氏・・・といった早々たる「わきまえ女」(帯には「なでしこ軍団」とある)たちと渡部昇一氏との対談本だ。 渡部氏との対談で、「総理になったら、まず何をしますか?」と聞かれた高市氏はこう答えている。「最初に、政府歴史見解の見直しをします。新たな歴史見解を発表して、村山談話を無効にします」 東日本大震災のあった年の9月に出版されている本だ。震災後から、こういう歴史修正主義を堂々とうたう本や、韓国ヘイト、「慰安婦」運動への過剰な攻撃は度を越していったという実感が私にある。保守政治家から極右政治家に舵を切るように発言をより過激化させていく高市氏の横顔が、対談にはしっかりと刻まれている。夫婦が別の姓を名乗ったら家族が崩壊すると適当なことを言い、戦時性暴力の責任を問わないどころかなかったことにすることが、高市さんの「目指した政治」だったのだろうか。この国の女性たちが権力に近づこうとするならば、率先して選択的夫婦別姓を批判し、「慰安婦」被害者をおとしめる発言をいとわず、女性の権利を口にするフェミを冷笑するというマニュアルでもあるのだろうか。 今いる自民党の女性議員の顔を、一人ひとり思い浮かべてみる。わきまえなければ権力に近づくこともできなかった女性たち。夜の会議や根回しから排除されながらも、その立場を維持するための努力は、二世・三世の男性議員たちとは全く違うものがあったはずだ。それでも、それほどの努力をしても、彼女たちが自らの後ろを振りかえったとき、彼女たちの後ろを歩きたいと思う女性はどのくらいいるだろうか。というかそもそも、その道は後続の女性のために開かれていたことはあったのだろうか。 かつて高市氏が憧れ渡米したパトリシア・シュローダーはテレビカメラの前で涙を流した。そのことによって20年以上「女の政治家は感情的だから、ダメだ」と言われ続け、「あなたの涙のせいで、女の地位が悪くなる」と責められ続けたという。女であるというだけでその「涙」が事件になるのは、昔のアメリカも今の日本も変わらない。そういう政治の世界でトップを目指す女性たちが、女性の味方であることを忘れるのは「仕方ない」ことなのだろうか。それとも、アンチフェミニズムの顔で女性をたたくような女性政治家しか出せない自民党政治そのものが終わっている、ということなのか。※訂正配信時の「32歳で衆議院議員に初当選、女性議員としては、当時憲政史上最年少だった」という一文を、「32歳で衆議院議員に若くして初当選」と訂正しました。高市氏の著書『高市早苗のぶっとび永田町日記』に「女性として憲政史上最年少当選」と記してありましたが、実際は1946年4月10に三木キヨ子氏が20代(当時)で当選していたため削除、修正します。■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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    田原総一朗「新総裁最有力の河野氏を絶対に首相にしたくない勢力とは」

     ジャーナリストの田原総一朗氏が自民党の総裁選について解説する。 *  *  *  菅義偉首相は、まず衆議院を解散し、衆院選に勝つことで総裁選に臨もうと考えていたが、安倍晋三、麻生太郎両氏らの反対で総裁選を先にやらざるを得なくなった。  前回も記したように、自民党の多くの国会議員たちは、今秋の衆院選で落選するのではないかという強い危機感を抱いている。全国の選挙区で、菅首相の評判が極めて悪いからである。自分が当選するには、何としても菅首相に辞めてほしい、と強く求めていた。  8月の中旬ごろまでは、安倍前首相も麻生副総理も、菅首相の続投でよいと考えていた。だが、それぞれの派閥の議員たちが、自分たちの当選には菅首相の辞任しかない、と強く求めていることを知って、考えを変えたのである。  そこで菅首相は、支持率を高めるために、党や内閣の人事に手をつけて、小泉進次郎氏ら、国民の期待が大きい政治家たちを起用しようとしたのだが、いずれの政治家にも断られて、辞任せざるを得なくなったのである。  菅首相が辞任することになって、岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏らが総裁選への出馬を表明、もしくは意欲を示している。  注目されるのは石破茂氏である。彼は当時の安倍首相に対してもはっきりと反対を表明していて、少なからぬ国民は彼に期待しているはずなのであるが、彼は出馬しないようだ。  実は、私は2度、彼と電話で話をして出馬を促したのだが、消極的であった。どうやら河野氏を支持するようである。  岸田氏は、戦後政治史に重厚な足跡を残してきた宏池会のリーダーである。大平正芳、宮沢喜一、加藤紘一らハト派で、貧富の格差を広げないために社会福祉をきちんとやるべきだと主張する反新自由主義路線である。岸田氏も反新自由主義路線を打ち出している。  だが、安倍氏や麻生氏と心を合わせることに懸命で、国民の多くからはいまひとつ期待できない、と捉えられているようだ。  女性候補の高市氏は保守右派で、かつて電波法に基づく電波停止に言及したときは、私も強く反対した。  当初は、出馬に必要な議員数をそろえられないのではないかと見られていたが、安倍氏が支持を表明したことで、出馬はできそうである。  野田氏にも頑張ってほしいが、当選の可能性が高いと見られているのは、石破氏が支持をしそうな河野氏である。  だが、河野氏を何としても首相にしたくない、と考えている勢力がある。その代表的な存在が、経済産業省だと見られている。  河野氏は原発反対を強く唱えていた。外務大臣に就任して以後は、反原発を表明しなくなったが、あえて閣内で波を立てるのを避けているだけで、意識は全く変わっていない、と誰もが見ている。多くの政治家と違って、簡単に豹変(ひょうへん)しないのが、河野氏が信頼されるゆえんなのである。  だから、経産省も全国の電力会社も、河野氏が首相になるのは困るわけだ。  そして多くの自民党議員たちは、原発に対しては、情けないほどあいまいである。そんな彼らが河野氏をどのように捉えるのであろうか。 田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数※週刊朝日  2021年9月24日号

    週刊朝日

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    「高市氏の昔を知っているよ」 総裁選候補者3人で最も優れているのに胸がザワつく理由

     作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、自民党総裁選に立候補を表明している3人の議員について。*  *  * 連日、自民党総裁選関連のニュースがメディアを占めている。この国に暮らす人々の生存をかけた衆議院選挙のほうがよほど重大なはずなのに、無駄に自民党の生存をかけた総裁選につきあわされているようでつらい。災害レベルのコロナ禍で重要なときに臨時国会を開かず、自党の人事に時間を費やす自民党の体質が、トップが代わったところで変わるとは思えない。とはいえ、あと一歩で総理の椅子に座る3人の候補者に女性が入っていること、その女性が候補者の中で最も右寄りであること、容姿を誹謗中傷する批判が“彼女にだけ”されていることなど、日本の女性政治家が置かれている現実を生中継で日々見せられているようで、それはそれで気になってしまうのだ。 候補者3人の出馬表明記者会見を見た。それぞれ力のこもった熱弁を見ながら、改めて菅さん (菅義偉首相) は、相当なレベルで話が下手だったのだと気づかされる。滑舌が悪いうえに自分の言葉で話さない、原稿すらうまく読めないので頭に入ってこない。東京五輪・パラリンピック開催に疑問を投げかける記者には、「安全安心」と繰り返すだけで誠実さのカケラもなかった。さらに記者に対して威圧的であり、社名を名乗らない記者に対していら立つなど、器の小ささを露呈してしまう場面を幾度となく見てきた。喋れば喋るほど、人の心が離れていく総理大臣だった。 菅さんに比べると3人の候補者の話は、フツーにまともだった。……と、「底」を強いられてきた者として認知の歪みが生じてしまっているのだろうかと自分でも不安になるが、今回、高市早苗氏の会見を初めて長時間聴いてみて驚いた。テンポ、滑舌、論理性、具体性において出馬表明記者会見としては3人の中で最も優れていたからだ。記者からの質問に逃げずに丁寧に答えていたのも好感を持てた。 例えばTBS「報道特集」のキャスター膳場貴子氏が、高市氏が過去にしていたサイテーの発言「(生活保護を)さもしい顔をしてもらえるものはもらおうとか、弱者のふりをして少しでもトクをしようと、そんな国民ばかりいたら日本が滅びる」を引き、「困窮する国民をどういう目で見ているのか確認をさせてください。弱者への視点が欠けている不安、批判の声があるが、どう受け止めているか聞かせてください」と迫った。高市さんに対する強い批判を含んだ良い質問だった。 もしこれが、安倍さん (安倍晋三前首相) だったらと想像する。女性アナウンサーからの質問にまずニヤニヤと冷笑し、しかし顔色は変わり、早口でまったく方向違いの旧民主党政権批判を延々繰り返し「それはですね、民主党政権時代の批判の流れでの発言だったのでございます。文脈をですね、私の発言の文脈をですね、いいですか、きちんと見ていただいたうえでですね、そのようなご質問をしていただきたきたいのでございます」とか言いそうだし、麻生さん (麻生太郎財務相) だったら「そうかね、覚えてねぇな」とか言いかねず、菅さんだったら「えー、私はこれまで通り全力で国民の安全安心を最大限に考えて、政治を行っていくことに変わりはありません」とか言うのでは。テレビカメラの前で“女性”記者に批判された、ということで頭がいっぱいになり、誠実に答えようともしない“男性”政治家の振る舞いに私たちはあまりにも慣れてしまっていた。 その日、高市氏は膳場氏の批判質問に顔色も声のトーンも変えることはなかった。にこやかなまま、その発言がいつ、どの場で行われたものかを記憶の中で語り、「これは皆様の大切な税金。福祉というものは公正、公平が原則であるべきだと私は考えています」とし、さらに子どもの貧困問題等について語り、そのうえで「これが私。素直なほうなので、さまざまなアドバイスには柔軟に対応する」とも言った。 このやりとりに、私は見入ってしまったのだった。威圧的だったり、不誠実だったり、中身のない政治家答弁にあまりにも慣れ過ぎていたからこその驚きであるのだが、ただ新鮮だった。もちろん、高市氏のような政治家の言動が生活保護受給者に対する社会の偏見を生み、貧困を再生産し、生活保護を受けられずに餓死するような人々を生み出す現実をつくってきた。そういうリアルが見えない高市さんが与党の政治家であることが私は恐いが、それでも「どのような考えに立っているのか」ということを説明することをこの人は逃れなかったという印象は残った。 一方、岸田氏は国民の声を聞いてきたという薄く小さなノートを振りかざして「私にとりまして大切な財産。このノートを読み返した上で、私は改めてやるべきことがあると感じています」と豪語する。外国特派員協会で記者会見を開くなど、去年の総裁選よりもパフォーマンス力があがっているように見えるが、選択的夫婦別姓についての意見を問われ、「引きつづき議論しなければならない課題」と言うなど、いったい誰の声を聞いてきたのか問いたい。今年の共同通信の調査によれば選択的夫婦別姓は国民世論で6割が賛成している(30代では7割)。だいたい選択的夫婦別姓は80年代からずっと提案され、深く積み重なった議論の歴史があるのだ。国会での議論を拒否し続けてきた自民党の単なる勉強不足が、選択的夫婦別姓を邪魔しているだけ。まだ、「自分ごと」として通称使用拡大の具体的実践に全力を尽くしてきた高市氏のほうが勉強しているし、わかっているように見える。 河野太郎氏の記者会見が一番、今までの自民党の威圧的政治家の流れをくんでいるように見えた。質問は1社一つというルールを一方的に強いては、「(河野さんは)脱原発派ですか?」という質問に対して「どういう定義で脱原発というか人によって違うので、何か一つの言葉でくくるのはやめておいたほうがいい」と打ち切り、それ以上の質問を許さなかった。記者が本当に聞きたいことは分かっているはずだし、そこから深まる議論もあるはずなのに、意味のない答えを短めに返すのが目立った。 河野氏は若手からの期待が大きいと、報道では言われている。「河野さんは発信力があります」と30代の議員が胸を張るようにテレビカメラに向かって話しているのを見た。発信力とは単純にテレビに出る回数とか、Twitterのフォロワー数とか、なんとなくの人気のことを言っているのではないかと思うが、それは政治家にとって必要な力なのだろうか。記者会見で衝撃だったのは、韓国メディアの記者が「特に韓国を含めた、近隣国に向けての外交政策のビジョンを聞かせてほしい」と質問した時の答えだ。外務大臣を務めたこともある河野氏の答えは、こういうものだった。「G7の中で日本はユニークな立ち位置。キリスト教をベースとした文明の上に成り立っていない国は日本だけ。だから外務大臣として自分はアジア、中近東、アフリカといった国々の思いを代弁できる日本でありたーい、と思ってきた。自由民主主義、基本的人権、法の支配、こうした価値観を共有して一緒に前に進みたーいと思っている。それぞれの国にはそれぞれの歴史がある。一足飛びにみんなが同じことをできるわけではありませんー。そういうなかで、ヨチヨチ歩きであっても同じ方向を進もうとしている国にしっかりと寄り添える、そういう日本でありたーいと思っている」 ……これは外交政策なのでしょうか。ヨチヨチ歩きだけど一緒に寄り添っていこうね、って。これは元外務大臣による総裁選立候補の時に語るような言葉なのだろうか。高市氏を推すわけでは決してないが(というか、私にその権利もないが)、高市氏だったら具体的に質問に正確に答えようとするのではないか、大人の言葉で。 最近、「高市早苗の昔を知っているよ」という人と立て続けに話をする機会があった。20代のころ、高市氏は400ccのバイクを乗り回していたという。30年以上前、400ccのバイクに乗る女性は少なかった。私も10代のころ、400ccのバイクに乗りたくて教習所に行ったのだが、「女は小型から」と中型免許すら取らせてもらえない空気があり、一日でやめた。「中型取りに来たんです」と言っても、「じゃあ、起こしてみな」と道路に転がる400ccをコツも教えてもらえず起こせと言われて憤慨した。あの時の悔しさは今もまだ心のどこかに残っている。80年代のことだ。そういう時代のなかで、中型・大型バイクに乗る女性たちは道で出会っては、自然に話しかけるようなことがあったという。当時のバイク仲間の女性は、若かった高市さんが目を輝かせながら「私は保守系の政治家になるんだ」と、夢を語っていたのを覚えている。  高市氏を見ていると、胸がざわつく。「政治家を知るためには、その人の選挙区と選挙歴を知らなければならない」とは、無戸籍問題に取り組み続け衆議院議員になった井戸まさえ氏の言葉だが、高市氏がもし、奈良という保守が強い土地ではなく、都市部の選挙区の人だったらどうだったろうか。選択的夫婦別姓、女性天皇・女系天皇容認などについて肯定派の多い都市部のような場所で保守派の政治家として立っていたら、どうだったろうか。安倍さんへの、悲しいほどのすり寄りは、二世議員である小渕優子議員や、祖父が政治家だった野田聖子議員だったらしなくてもよい媚びにも見える。高市氏自身の葛藤を勝手に想像しながら、そういう女性議員の姿を見てこちらも引き裂かれるような葛藤を味わう。女性がのびのびと政治ができる国になってほしい、そして正当に評価されるようになってほしい。今起きているのは、自民党の大物男性の庇護のもとでの自由と、それでも女性であるゆえに正当に評価されない日本社会の女性嫌悪だ。精神衛生上よくないので、早く終わらせて、衆議院選挙で自民党政治は終わってほしい。■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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    13時間前

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    ハリウッド女優・忽那汐里が語る母への思い「アジア人差別、アイデンティティークライシスも…」

     2007年にドラマ『3年B組金八先生』で女優としてデビューし、数々の話題作に出演している女優の忽那汐里さん(28)。近年は活動の場を海外へ広げ、18年には映画『デッドプール2』で本格的なハリウッドデビューを果たした。グローバルな活躍を続ける忽那さんに、女優としての覚悟、家族への思い、今後の「野望」などを聞いた。*  *  *――オーストラリアで生まれ、14歳で日本に移住しました。日本語はどこで勉強したんですか?毎週土曜日に日本語の補習校があって、そこで勉強しました。ただ家では英語禁止だったんです。両親も日本人ですし、日本語と触れあう機会は多かったと思います。それでも、仕事をする上では難しい部分もありましたので、母と二人三脚で台本に振り仮名を書いたりしていました。母のサポートなしでは難しかったと思います。――環境の変化による苦労はありましたか?14歳という多感な時期に環境の変化があったのはすごく大きかったと思います。自分で客観的に感情を理解して、消化することができない年齢だったので戸惑いました。稀にですが、オーストラリアではアジア人として差別されたこともあって、「自分はアジア人なんだ」「日本人なんだ」って意識する機会が多かったんです。でも、いざ日本に来ると同級生との考え方とか価値観がまったく違う。若いうちからアイデンティティークライシスみたいな感覚は感じていました。――そうした環境で学んだことはありますか?今は自分の中で両方の文化が共存していて、いろんな視点で物事を見て感じとれるようになっていると思います。それは海外で仕事をする時にも、ちょうどバランスよく、うまく使えているんじゃないかなと。いろいろな国で仕事をするようになって、「日本人ほどまじめに仕事に向き合う人種はいないな」と感じます。そういう環境で仕事のベースを学ばせてもらえたのは、私の強みになっている気がします。――海外で勝負をしようと決断したのはなぜですか?実は、「ハリウッドに行きたい」と強く願っていたわけではないんです。日本で仕事をしていた後半の頃、海外の作品に出演する機会が増えて、台湾のホウ・シャオシェン監督やトルコとの合同作品に出演しました。16年に、ウェイン・ワン監督の『女が眠る時』という映画に出演したんですが、その時、ウェイン監督から「日本人でそんなに英語が話せるし、今はすごくいい時期。海外に挑戦したらいいと思う」と助言をいただいたんです。そこから徐々に扉が開いていった感じです。 ――19年に所属していた事務所を退社しました。その当時のことを教えてください。私は映画がすごく好きで、作品に対しての思いがすごい強いんです。とてもこだわっていたので、退社前の後半の方は、全部自分で作品を選ばせてもらっていて、事務所も自由な環境を与えてくれました。ただ、やはり徐々に目指す方向性だとか仕事に対する考え方などにずれが生じ始めました。もちろん私も、日本での活動を続けたいという思いもありましたが、「アメリカでオーディションに受かって、地に足を付けて仕事をしていきたい」という思いが強かったので。――不安はありましたか?不安はなかったです。そもそも数年はオーディションに受からないだろうと覚悟していました。「最初の2、3年はそのつもりでやるしかないな」と。最初はオーディションに全然受からず、現実を突きつけられて、「やっぱりそんなに簡単なことではないんだな」と感じることもありました。でも、挑戦したい思いは私にとって譲れないものだったので、「目標を忘れないこと」を常に自分に言い聞かせることでモチベーションを保っていました。――これまでにオーディションはどのくらい受けましたか?数十本……百本は超えていないと思います。――実際に海外の作品に出演して違いを感じたことはありますか?圧倒的に撮影時間が長いです。日本だと、監督のビジョン、カット割りに沿ってなるべく少ない回数で撮影していくのが主流ですが、アメリカは最終的に編集で作品を作っていきます。編集で方向性をいくらでも変えていくので、最初から最後までいろんなパターンでたくさん撮ることになります。初めは体力的にもメンタル的にも、本当に大変でした。あと海外ではキャストの方や監督と食事をするキャストディナーという習慣があります。19年にNetflixで公開された『マーダー・ミステリー』の時、遅刻しそうになってしまって、なんとか時間ピッタリに着いたんですが、誰もまだ来ていなくて、2,30分間ひとりきりでした(笑)。 ――日本で活動を始めた頃は、「母と二人三脚だった」と話されましたが、グローバルに活躍する女優に成長した娘をどのように受け止めているのでしょうか?実は、最近初めて母が褒めてくれる機会があって、とてもびっくりしました。――初めてですか?母は「今まではなかなか役者として見ることが難しくて、役者というより自分の娘だっていう感じだったのが、最近はちょっと変わってきた」と話していました。最近になってやっと安心できるようになって、娘を女優としても見られるようになったのかもしれません。どんな作品に出演したとしても、母は一番に感想を聞きたくて、褒めてもらいたい存在です。――他の家族の反応はどうですか?弟は私が出ている作品をまったく見ていないと思います(笑)。でも、マーベル作品がすごく好きなので、『デッドプール2』に出演した時はとても喜んでくれました。『デッドプール2』は日本でプレミアがあって、主演のライアン・レイノルズさんが来日されました。彼はとても気さくな方で「この後空いてる? 誰か家族とか友達とか呼びたい人がいたら呼びなよ、ご飯食べよう」って誘われたんです。関係者の方もいるのかなと思って、レストランに弟と母を呼んだんですが、ライアンが1人で待っていて驚きました。そこで4人で食事をして、その時は本当に感謝されました(笑)。――仕事だけでなく人生において大切にされていることは何ですか?仕事においては後悔しないことです。それは、大きい目標であっても、毎日の目標であっても同じです。悩むだけ悩んで後悔のない選択ができれば、最終的に結果がよくなくても、納得できる。これは大事にしています。あとは、本当に単純ですが、素直でいること、誰に対しても平等に接することです。私もアメリカで他のキャストの方に優しく接してもらってきたので、自分もそうしたいと思っています。――最後に、今後の目標を教えてください。今までと同じように目の前の目標に向かって挑戦し続けようと思っています。そして、大きな野望を言うと、みなさんに「これが代表作だよね」って認識してもらえるような海外作品に、いつか出演できたらいいなと思います。(聞き手:AERAdot.編集部 大谷奈央)

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    17時間前

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    【写真特集/全8枚】華麗なる日本人メジャーリーガーの妻たち

    トップクラスは20億円以上の年俸を稼ぐ選手もいる、憧れの日本人メジャーリーガー。そんな彼らを射止めた女性たちもまた、アナウンサー、アイドル、モデル…と高嶺の花が勢揃い!そんな美貌と才能に溢れた彼女たちを写真で紹介します。▼クリックすると拡大写真と解説文が表示されます

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    菅義偉とは何者だったのか 望月衣塑子記者が語る「権力に酔って、権力に負けた」悲しき首相の最後

     まさに、逃げるような退任劇だった。菅義偉首相の自民党総裁選不出馬が報じられた3日、13時からの囲み取材では「総裁選よりもコロナ対策に専念する」とだけ語り、記者の相次ぐ質問を振り切った。この1年の菅政権とは一体何だったのか。ほぼ何も説明もせず、首相の座を放り出した菅氏とは、結局、どのような人物だったのか。官房長官時代から「天敵」として菅氏を鋭く追求してきた東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。*  *  *――急転直下の辞任劇でした。内閣支持率が危険水域に入り、「菅おろし」の声も大きくなってはいましたが、総裁選直前にこのような形で辞任するとは想定外でした。どう受け止めましたか。 世論の逆風が吹く中で総裁選モードに突入しましたが、途中までは実に菅さんらしいやり方だったと思っていました。 8月30日に下村博文政調会長に対して「(総裁選に)立候補するなら政調会長を辞任しろ」と迫り、出馬を断念させました。さらに岸田文雄前政調会長が出馬を正式表明し、「党役員を刷新する」と明言した途端に、力技で二階俊博幹事長を交代させる方針を打ち出し、総裁選の「争点隠し」を図りました。そして総裁選前に党役員人事を行って解散総選挙に打って出るという「禁じ手」のようなことまで模索していた。 どんな状況でも、人事権を行使して、なりふり構わずに自分の権力を最大限に見せるよう執着している姿は、いかにも菅さんらしいと感じていました。 ただ、リークも含めて解散総選挙の腹案がマスコミに漏れ、自民党内部から想像以上の反発が上がったあたりから、今までとは様相が違ってきました。すぐに菅さんは「今は解散できる状況ではない」と火消しに走り、小泉進次郎環境相と5日連続で会談して意見を仰ぐなど、迷走の度合いを深めているように見えました。 この状況下で、小泉さんしか進言してくれる人がいないのかと不思議に思いましたし、そうだとしたら相当な“菅離れ”が進んでいると感じました。しかし表面上は強気の姿勢を貫いていたので、総裁選から降りるという選択をしたのは驚きました。よほど、助け舟がなかったか、安倍晋三前首相や麻生太郎財務相らの「菅おろし」の圧力がすさまじかったのだろうと察します。――菅首相といえば「勝負師」「ケンカ師」などとも呼ばれ、負け戦でも勝負に出る性格であると言われています。過去の政局でも“賭け”に出たこともありますし、東京五輪開催の判断について「俺は勝負したんだ」と発言したとの報道もありました。今回はなぜ勝負に出なかったと思いますか。 選挙を戦う自民党議員にとっては、ここまで世論の支持を失っている菅さんは、「選挙の顔にはならない」というのが一致した見解だったのではないかと思います。 その一方で、ほとんど脅しに近い形で下村さんの立候補をとりやめさせたあたりから、菅さんの圧力のかけ方は常軌を逸していきました。 これまで霞ケ関の官僚たちは人事権を握られ、言う事を聞かざるを得なかったのでしょうが、自民党議員に同じことをしても、理解は得られません。周囲に圧力をかけすぎた結果、「いいかげんにしろ」と与党内での反発が広がり、菅さんを引きずり降ろそうとする圧力が想像以上に働きました。 辞任を受けて、涙していた小泉さんも「解散をしたら自民党が終わる」と菅さんに迫っていたわけで、ある意味、慕っている側近たちからも、権力維持に固執し、解散の可能性を探る菅さんに「NO」が出されていたわけです。 結果、自らの策に溺れた感がありました。外堀を埋められて自分でやれることがほとんどなくなってしまった。解散権が封じられてしまい、頼みの党役員人事も受け手が見つからずに相当難航していたようです。人事権を行使しようとしても状況を変えられない、人を従わせられないという状況は菅さんにとって相当つらかったと思います。それこそが、菅さんの権力の源泉だったわけですから。 さらに、自身の選挙区である神奈川2区でも野党候補優勢という情報が永田町で出回っているなかで、このまま解散総選挙に突っ走り、政権交代でも起こったら、政治家生命が絶たれかねないという恐怖もあったかもしれません。そんなことになるくらいなら、選挙の「顔」からは降りて総裁選を盛り上げれば、少なくとも与党には恨まれず、野党にはダメージを与えられる。自民党を政権与党として存続させるために「身を引いた」政治家として評価される可能性があると思ったのかもしれません。 いずれにせよ、人事権を行使しても状況を変えられないと悟った以上、もう自分を強くは見せられないと判断したのだと思います。――結局、菅義偉という政治家はどのような人だったと思いますか。 菅さんは権力を維持するために人事を操り、頂点まで上り詰めた人です。でも、その権力が無力化すると、予想以上に弱かった。権力に酔っていた政治家が、最後は権力に負けたということだと思います。 裏で参謀として権力を振るうことにはたけていても、日本をどうしたいのかという国家観を語れず、コロナ禍で浮き彫りになったのは、ワクチン一本打法で、市民の命を犠牲にし、五輪利権に血眼になっている菅さんの姿でした。 記者会見では、相変わらずかみ合わない質疑が続きました。そこから市民の命と健康を預かっているという覚悟は感じられませんでした。菅さんの語る言葉には、市民を思う魂が込められておらず、これほど言葉に重みがない政治家はいなかったと思います。 今、国民のためにやるべきことは、臨時国会を開いてコロナ対策の議論をすることです。それしかありません。外交的には、総裁選の最中、アフガンでの救出作戦も体制を立て直さなければいけない。当初退避予定者は、JICAや大使館の関係者含めて総勢500人と言われていましたが、日本が救出できたのは、わずか1人です。総裁選に明け暮れている裏で、多くのアフガニスタン人の命が現在もなお危険にさらされ続けているのです。 国会でもこの問題は何よりもまず議論されなければならないはずですが、菅さんは、野党から追及されるのは、選挙で不利になるからと国会を開く気配さえない。アフガンに関しても興味を示さず、五輪開催のときと同じでまさに人命軽視の政治が繰り広げられました。 こうした姿を見せられ続けた結果、菅さんがやっている政治は単なる政権維持の手段であって、市民のための政治ではなかったのだとはっきりわかってしまった。裏方の官房長官時代には、わかりづらかった菅さんの政治家としての本質的な姿勢が、首相として表に出てきてから、より鮮明にはっきりと浮かび上がってしまいました。  そして最後は、菅さんの周りからは人が次々といなくなり、市民の心も離れていった。結局は、市民のために尽くす思いがない人が政治家、ましてや首相などやってはいけなかったということに尽きると思います。 これから次の総裁選に向けての新たなレースが展開されます。忘れてはならないのは、首相を目指す人は、権力のトップに立つことを目的とせず、日本や世界に住む人々の命を預かる仕事をするのだ、という当たり前の覚悟を誰よりも深めるべきだと思います。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)

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    【独占】岸田文雄・前政調会長「森友問題、必要であれば国民に説明する」

     総裁選にまっ先に手を挙げた岸田文雄前政調会長が、本誌の直撃取材に激白。目指す国家像とは。安倍・菅政権の“負の遺産”をどう清算するのか。 *  *  * ──菅首相が総裁選不出馬を表明する前から立候補を表明していましたが、「菅政権ではダメだ」と考えていたのですか。  新型コロナウイルス対策という難しい問題に、菅首相は1年間頑張ってこられました。ワクチン接種もその一つです。  ただ、課題が二つありました。一つは、コロナ対策では、なんとしても国民の協力を得なければならない。そのために、ていねいな説明による国民の「納得感」が必須です。「政府で検討した結果、こうします」ではなく、決定に至るプロセスも説明する。国民に寄り添う姿勢が必要でした。  もう一つは、「たぶん、これでいけるだろう」という見込みで危機管理をしていたことは、いかがなものだったかなと。危機管理の要諦(ようてい)は、最悪の事態を想定すること。国民から「後手後手に回っている」という印象を持たれないよう、最悪の事態を想定して物事を進めていく。そして信頼感を得られるように努力することが大切だと思います。 ──菅首相は、それができなかったと。  出馬表明の時も、私は国民の声をしっかり聞くことを申し上げました。そこは、私の思いを見てもらって、「みんなで考えましょう」ということです。 ──経済政策で「新自由主義的政策からの転換」を公約に掲げています。  これまでの新自由主義的な政策、あるいは効率・利益優先の市場原理による経済によって、日本では格差が拡大しました。そこにコロナが追い打ちをかけた。感染症対策の医療態勢は脆弱(ぜいじゃく)で、非正規雇用の方が仕事を失った。規制改革・構造改革だけでは人は幸せになれないことが、あらためてわかりました。  経済成長は大事ですが、その果実が広く国民に分配されなければ格差は広がるばかりです。富裕層が豊かになれば、やがて貧しい人にも富がこぼれ落ちるという「トリクルダウン」は、この20年間で起きませんでした。 ──菅首相が掲げていた「自助・共助・公助、そして絆」のスローガンから転換すると。  自助は大切ですが、コロナ禍では多くの人が仲間や家族、地域の絆の大切さを感じたと思います。人間のつながりを大切にし、多様性を尊重し、温かみを感じられる社会を目指したい。  また、富の分配によって国民の一体感を取り戻し、社会や政治の安定をもたらすこともできます。 ──今、日本にはどんな政策が必要ですか。  まずはコロナで打撃を受けた方々への経済的な支援です。数十兆円規模の予算を組んで、コロナで被害を受けた業界、あるいは非正規雇用で失業した方などへの経済支援が中心となります。 ──財政出動の規模は?  現在、日本の需給ギャップ(日本経済の潜在的な供給力と需要の差)は20兆~30兆円程度だと言われています。まずは、そのあたりの金額で財政出動をするイメージですね。 疑惑の選挙資金1億5千万円は ──政府は、2025年度に国と地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する目標を掲げています。  財政は国の信用の礎ですから、「財政再建」の旗は降ろしません。しかし、原則は「経済あっての財政」です。まずは経済再生、そのうえで財政を考える。これが順番です。その過程で、25年度の財政はどういう状況になるのか。これは、経済再生をスタートしながら考えるべき課題です。 ──国際政治で影響力を高めている中国とどのような外交をしますか。  今、国際政治では中国をはじめとする権威主義的勢力の動きが活発になっています。中国と日本は隣国ですので対話は続けますが、基本的人権、民主主義、法の支配といった価値については、言うべきことはしっかりと言わなければなりません。  特に、東シナ海や南シナ海における中国の力による現状変更が続いています。それを防ぐために米国、欧州、インドやオーストラリアといった国々と連携しながら中国に対応していく必要があります。 ──安倍・菅政権では情報公開に後ろ向きだったことが問題になりました。森友問題の再調査はしますか?  森友問題については、財務省に対して行政の中で調査が行われ、報告書が作られました。司法においては強制捜査権を持つ組織が捜査し、現在も裁判で審理が続いています。そのうえで、必要であれば政治家が国民にていねいな説明をすることが大事だと思います。 ──19年参院選広島選挙区での選挙買収事件では、自民党から1億5千万円が支出されています。  党から支出した現金が選挙買収に使われていたのなら、自民党として大変な問題です。党には政党助成金という公金が入っているわけですから。「党のお金は選挙買収に使われていない」ということを明らかにしなければなりません。  ただ、党の資料は検察に没収されていて、最近になってようやく戻って来ました。これをしっかりと弁護士や公認会計士にチェックしてもらって、最終的には総務省に選挙資金の収支報告書として提出しなければなりません。それは国民のみなさんにも公開されるので、急いで実施しなければなりません。 ──再調査をするということですか。  再調査というよりも、先に選挙の収支報告をしなければいけないので、その報告書を出すということです。その時点で、報告書が公開されることになりますから。 ──総裁選がまもなく本格化します。現在の手応えは?  相手もまだ決まっていませんから(笑)。ただ出馬表明してから約2週間が経って、菅首相が不出馬を表明するなど大きな変化がありました。緊張感をもってしっかりと対応していきたいです。 (構成 本誌・西岡千史)※週刊朝日  2021年9月24日号

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    【独自】小室圭さん、米大手事務所から断られていた 弁護士が語る“厳しい現実”

    「小室圭さんの実力では無理だと思います」 こう話すのは、全米で「トップ100」と呼ばれる大手弁護士事務所(ビッグロー)のパートナー弁護士のA氏。専門は、海外企業同士のM&Aなど。米国を拠点に世界を飛び回り、収入も桁違い。この姿こそ、小室さんが思い描く将来でもあるようだ。 昨年の秋ごろ、A氏の事務所に、働かせてほしい、と小室さんの「経歴書」のようなレジュメが別の弁護士を通じて届いたという。小室さんは、ニューヨークなど大都市での弁護士の仕事を探しており、ビッグローか、その下の規模のミッドローでM&Aなどをやりたいという。 A氏がそのレジュメを見て思ったのが、冒頭の言葉だ。なかでも、A氏が首をかしげたのがニューヨークのフォーダム大ロースクール(法科大学院)への留学の部分だ。「疑問なのは、彼がLLM(法学修士)のコースに入ったことです。しかも1年学んだ後に、JD(法務博士)コースに編入している。大きな事務所を目指してて、こんな動き方をするなんて聞いたことがない」 LLMとJDというのは、ロースクールでのコース名だ。米国の大学には法学部がなく、弁護士を目指す人は、大学卒業後にJDに入る。ここで3年間学び、事務所に入るのが一般的なパターンだという。 一方、LLMは、法律の資格を持つ外国人留学生が多いといい、「表現として正しいかわかりませんが、キャリアに“箔(はく)をつける”ようなイメージです」。 A氏によると、米国で弁護士となるのに重要なのはJDでの1年目だ。「米国での就職活動は、2年生の終わりの夏休みで終わります。事務所のサマープログラム(インターン)で働き、その後よほどのことがない限り、その事務所からオファーを受けて就職します。どの事務所のプログラムに入れるかは、1年時の成績で決まります。だから学生の競争も壮絶です。本を隠すなどの足の引っ張り合いもあります。小室さんはその1年をLLMに入っています」 ビッグローのインターンの募集は、ハーバードやエール、コロンビアといった有名大学で公募し、最初の書類選考で成績優秀者に絞り、次の面接で決まる。A氏が言う。「採用された学生には、1年目から19万数千ドル(2千万円以上)の給与が支払われます。それも5年くらいは半人前で、彼らから利益は出ません。それでも欲しい人材ということなんです。だから相当厳選します。原則でいえば、ビッグローはインターン以外の方法では採用しないです」 チャンスをつかめる学生は、ほんの一握りだ。小室さんは、そもそもLLMに入った時点で、希望するビッグローへの道は閉ざされたといっていい。なぜLLMに入ったのだろうか? A氏が話す。「こう言っては何ですが、彼の経歴に目を見張るモノはありません。あるとすれば眞子さまのフィアンセという一点。それでも奨学金を取得できたり、JDへ編入したり、弁護士が出てきて仕事を探したり。知恵をつけている人がいるんでしょう」 では、ビッグローは無理でも、M&Aは他でもできるのだろうか?「米国には約43万の事務所がありますが、M&Aの70%超は『トップ100』が扱っています。小室さんが弁護士として働くにはM&Aにこだわらないことですね。移民法の弁護士などは圧倒的に多い。日本人も多いです。もうからないので人気はないのですが」 そして、こう続けた。「詳しいことは申し上げられませんが、彼の『経歴書』を見る限り、とても“権威”が好きなんだと思います。M&Aも彼からすれば格好良く見えるんでしょうけど、実際は相当厳しい世界です。パートナー弁護士になるのは10年後くらい。それまで生き残っているのはわずかです。彼がそもそも弁護士という職業に向いているのか……。野心家だと思うので、ベンチャーのような起業家とかが向いているような気がします」(本誌・矢崎慶一)※週刊朝日  2021年9月17日号に加筆

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    妻殺害の罪に問われた「モーニング」元編集次長の支援者らが「判決に異議あり」と語る理由

     2017年1月、講談社の漫画誌「モーニング」の朴鐘顕編集次長(当時。現在は退職)が妻に対する殺人の容疑で逮捕された。『GTO』などを担当したエース編集者の逮捕という異例の事態。裁判は一審、二審とも有罪となったが、支援者団体は、これまでの審理に問題があると指摘している。 今年5月、本誌編集部に分厚い茶封筒が届いた。差出人は「朴鐘顕くんを支援する会」。裁判の経緯と問題点をまとめた膨大な資料が入っていた。 会は、1月に控訴審で一審と同じ懲役11年の実刑判決が下った後、判決に疑問を感じた朴被告の友人らが結成。公正な裁判を求め署名活動やウェブサイトでの情報発信などを行っている。メンバーで、朴被告の大学時代からの友人である佐野大輔さんはこう語る。「事件の数カ月前、朴の奥さんから、家族ぐるみで遊びに行こうと誘いがありました。そのくらい朴の家族仲は良かった。奥さんを殺す動機があるとは思えません」 朴被告は、妻の死は自殺だったとして、無罪を主張している。佐野さんが朴被告の無罪を信じて闘うのは、長年の友人としての思いからだけではない。「裁判では殺人を裏づける確たる証拠はなく、有罪の理由は常識的に見てもほころびだらけ。こんな異常な判決がまかり通る司法の現状に強い危機感をおぼえています」 事件があったのは2016年8月9日未明。当時、自宅には妻・佳菜子さんと4人の子どもがいた。朴被告の供述では、その日、朴被告が帰宅すると、以前から産後うつと診断されていた佳菜子さんが包丁を手にしており、0歳の末っ子がいる1階の寝室に向かった。慌てて追いかけた朴被告は寝室で佳菜子さんともみ合った後、末っ子を抱え2階の子ども部屋に避難した。 数十分後、部屋を出ると、佳菜子さんは階段の手すりに巻き付けたジャケットを使い自殺していたという。 亡くなる数時間前、佳菜子さんは「夕ご飯のこと考えられない」「涙が止まらない」など、不調を訴えるメールを15通、朴被告に送っていた。 一方、検察側の主張は「被告は寝室で妻ともみ合いになった末に首を絞めて殺害した」というもの。佳菜子さんの額に3センチほどの傷があったことから、「首を絞めた後、階段から突き落として傷を負わせた」とした。 争点は多岐にわたり、双方決定的な証拠はないまま、一審判決は「自殺したとするには合理的な説明が困難」として有罪となった。 判決の根拠の一つが、佳菜子さんの額の傷が原因とみられる、階段や階段下の15カ所の血痕だ。血痕は寝室にはなく、寝室でのもみ合いの後に負傷したことがわかる。 裁判所は「傷を負ったとき、歩き回るなど活動できる状態であれば、現場にはより多くの血痕が残るはず」と自殺の可能性を退けた。 今年1月の控訴審判決でも、東京高裁は一審判決を支持。だが、根拠は一審とは異なっていた。 二審では、前述の15カ所の血痕について新証拠が提出され、倍近くの28カ所もの血痕が残されていたと明らかになっていたのだ。これにより「血痕の数が少ない」という一審の根拠は崩れた。 そこで新たな有罪理由となったのが、被害者の手に血がついていないことだった。判決文によれば、傷を負ったら額の血を拭うのが自然なのに、その痕跡がないのは佳菜子さんに意識がなかった証拠だという。 朴被告の代理人を務める山本衛弁護士は、二審で判決理由が変わったことを強く批判する。「一審の判決理由に誤りがあったと明らかになったのに、高裁は一審の裁判員裁判で議論されていない別の理由を持ち出して、裁判官のみで有罪と認定した。一定の重大事件については市民を含めた健全な社会常識で判断する、という裁判員制度の趣旨に反しています」 また、弁護側の提出した重要証拠が無視されたことも問題視する。「洗面所の電気のスイッチに、佳菜子さんだけのDNAが検出された血痕が残っていた。これは佳菜子さんがけがをした後に洗面所に行った、つまり、もみ合いの後も意識があり活動していたことを意味します。手を洗ったのであれば、手に血がついていないことの説明になるにもかかわらず、判決では触れられませんでした」 元裁判官で法政大学法科大学院教授の水野智幸氏に今回の控訴審判決について意見を求めると、「私が本件の裁判官なら有罪判決は出さない」と語った。「血痕の数という有罪判決の根拠が崩れたのだから、再審理を求めて一審に差し戻すべきでしょう。『額の血を拭うはず』という論拠は、有罪理由の核にするにはあまりに弱い。弁護側の証拠への言及も甘く、自殺の可能性を排斥できていない。有罪という結論ありきの判決文に見えました」 日本の刑事司法は「有罪率99%」で、裁判官は検察の主張を追認しがちだと指摘される。裁判官として20年以上勤務した水野氏は、「有罪ありき」に陥りがちな裁判官の心理をこう語る。「警察、検察の捜査を経て有罪と見られている事件を覆すのは、やはり勇気が必要です。無罪を出すと、冤罪を防いだとメディアから称賛される一方、嫉妬なのか、他の裁判官から冷ややかな視線を感じることもあります」 裁判官も一人の人間。私的な感情やバイアスを排するのは難しい。水野氏はこう語る。「裁判官は立場上、誰かに指摘されることが少ないため、批判に対して臆病な人が多い印象があります。社会全体で裁判の内容に関心を持ち、公正さを監視していくことには大きな意味があります」 弁護側は8月31日、最高裁に上告趣意書を提出した。今後の裁判の行方が注目される。  ◆ 朴被告はこれまでメディアの取材を一切受けてこなかったが、今回、事件や家族のプライバシーに関わる内容以外という条件で、本誌インタビューに書簡で回答が寄せられた。(回答は原文ママ)――拘置所ではどのような生活を送っていますか?「妻と子供たちのことを想い続けています。自死を防ぐために、なにかできたはずだとずっと考え続けています。他の時間は読書をしたり手紙等を書いたりしています」──現在の心境は?「ただ一心に裁判を信じています。なお裁判を信じています。私が46年間に出会ってきた人たちに照らして、この国の人々は根拠に基づいて、理性的に判断ができると思っています。高裁の錯覚はきっと訂正されると信じています」──日々の心の支えは?「子供たちからの手紙です。私もたくさん送り、たくさん受け取っています。毎日繰り返し読み、送ってくれた絵を舎房内に飾っています」──支援者への思いは?「感謝しかありません。私には過分な、かけがえのない友人たちです」本誌・大谷百合絵※「週刊朝日」9月24日号より

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    陰謀論を信じる母に悩む28歳女性に、鴻上尚史が明かした「カルト宗教にハマった友人の洗脳を解いた」過去

     SNSを通じて陰謀論に傾倒するようになった母を心配する28歳女性。母を説得しても効果がなく「正直、負担」と悩む相談者に、鴻上尚史が語る「カルト宗教を信じる友人を洗脳から解いた」その後。【相談113】母が1年ほど前から、SNSを通じて陰謀論の世界に入りこみ始めました(28歳 女性 じーこ) 私の悩みは、母(50代前半)が陰謀論に傾倒していることです。 母は1年ほど前から、SNSを通じて陰謀論の世界に入りこみ始めました。人の思想はそれぞれなので、陰謀論を信じること自体を否定しているわけではありません。 ただ「今まで教わってきたことはすべて嘘だった」と言ったりして、世の中の現在や過去の出来事を陰謀論に結び付けている意見を疑いもせず信じているように見えます。そして、それはとても危険なことだと私は考えています。物事を批判的な目で見て、自分で考えるきっかけになっているのであれば良いのですが、そうではないので。このままだと将来、今より年齢を重ねたときに何かトラブルに巻き込まれてしまうのではと心配しています。 母は現在、私の父(50代前半)と2人で暮らしています。フルタイムで長年働いていましたが、数年前に仕事を辞め現在は専業主婦です。子供3人(私、弟2人)は全員独立しています。私や弟たちに陰謀論者から得た情報をメールで伝え、気を付けるように促してきます。母としては、親心から子供たちに正しい(と考える)情報を伝えようとしているのだと思いますが、私と弟たちはそのような状況にある母を心配しています。 父は、仕事がシフト制のため母と生活リズムが合わないこともありますが、会話自体も少ないようです。父は母の行動に対して特段何か言っている様子はありません。 私は、母親が陰謀論に傾倒し始めたのは時間が有り余っていることと、なんらかの孤独を感じているからだと思います。スマートフォンでSNSを見ながら過ごしているようで、そこから陰謀論の情報を得ています。仕事を辞め、自由な時間がたくさんある中で、特に周囲に友達もおらず父とも会話が少ない。かつ、母は元々外に出るのを億劫がるところがありましたが、このコロナ禍で拍車がかかり、現在では自宅の庭に出ることすら躊躇う日もあると話していました。このままでは、長期的に見たときに、体力が低下し健康面でも不安があります。父の仕事がシフト制になったのも1年ほど前で、様々な要因が合わさって現在のような状況になっていると思います。 私は実家から新幹線を利用する距離に住んでいるため、母とは電話やメールで連絡を取り合っています。母と電話するときには出来るだけ話を聞き、母の意見を否定しないようにしています。その上で、矛盾点があるときは疑問を投げかけるなど、「物事を知ることは大切だけど、過剰になると良くないからほどほどにね」と出来るだけ間接的に母に陰謀論を客観的に捉えてもらえるように促していますが、現状効果はありません。毎回電話が1時間に及び、延々と陰謀論の話を聞き続けるのは正直、負担です。 話が脱線しますが、私が小学校低学年のときに母がとある新興宗教の信者をしていました。当時幼かった私は、母にその宗教の集まりに連れていかれ、なぜか分からないけども、その集会には行きたくなかったことを覚えています。 父が激怒した結果、母は集まりに行くのをやめました。 母のとある宗教への信仰と今回の件は、似ていると思います。信仰がある人を貶めているわけではなく、母が何か一つの意見へ傾倒しやすい性質があるのではないかと思うからです。 直接的に私や家族が諭しても、母は否定されていると思い意固地になりそうですし、このままにしていても悪化する一方だと思います。批判的思考や論理的思考を知ってもらう為に母に本を贈ることも考えましたが、母は本や漫画を読まないことを思い出し、やめました。 根本的な解決方法ではありませんが、母が自分のことで忙しくなれば陰謀論に接する時間が減ると思います。しかし、母は前述の通り引きこもりがちであり、パートであっても仕事を始める様子はなさそうです。 また父に対しても、母の夫としてなぜ何もしないのかと不信感を抱きます。 きょうだいで早くこの状況を何とかしないと、と話し合っていますが、効果的な解決方法を見出せずにいます。 鴻上さん、どうしたら良いでしょうか。【鴻上さんの答え】 じーこさん。本当に大変ですね。コロナ禍の不安な世の中で、じーこさんと同じ悩みを抱えている人は増えているんじゃないかと思います。「母のとある宗教への信仰と今回の件は、似ていると思います」と書かれていますが、僕はずっと陰謀論とカルト宗教に「ハマる」人は似ていると思っています。 そして、だからこそ、じーこさんの相談に、うまくアドバイスできるだろうかと心配しています。 僕は昔、友人を奪おうとするカルト宗教と戦ったことがありました。 僕が大学生の時は、カルト宗教と名乗らず、一般的なふりをしたサークルが大学にはありました。 映画を鑑賞して話し合うとか、ハイキングに出かけてレクリエーションを楽しむ、なんていうサークルです。そして、徐々に親しくなって、少しずつ「真理に興味ある?」「世界の本当の姿を知りたくない?」「本当の幸福について考えたことある?」と誘導していくのです。 やがて気がつくと、カルト宗教独自の世界観にどっぷりとハマって、この世界は間違いだらけで、でも人々は本当の姿に気付いてないと思い込むようになります。 そして、「真実」を知った自分は、一刻も早く多くの人々に伝えなければいけないと信じるようになるのです。 ね、じーこさん。陰謀論を信じる人ととても似ていると思いませんか? カルト宗教にハマる根本の原因は淋しさや不安で、それは陰謀論も同じだと僕は思っています。 そして、さらにのめり込む理由は、「使命感」と「充実感」です。 自分だけが知っている真理を世界の人々に伝えなければいけないという「使命感」と、活動を続けることで信者・仲間を獲得するなど、なんらかの手応えによる「充実感」が、カルト宗教と陰謀論を信じ続ける動機だと僕は思っているのです。 自分だけが知っている「世界の真実」を他人に語る時、「使命感」と「充実感」を感じ、ずっと苦しめられていた淋しさや不安、空しさは消えていきます。 ですから、冷静な論理的説得は意味がないのです。 僕は、カルト宗教にハマった友人に、必死で調べた「教義の論理的矛盾」や「教祖のスキャンダル」「集められた金の行方」を話しましたが、友人を説得することはできませんでした。 カルト宗教の側から、いくらでも説明(というかごまかし)が語られたからです。 陰謀論も同じです。どんな言い方をしても、陰謀論側から反論が生まれます。 最終的には、フェイクニュースをでっちあげればいいのですから、どんな論理的説得も論破できるのです。 カルト宗教も陰謀論も、論理的に説得しようとすることは、それを信じている人の不安と淋しさを増幅させるだけだと僕は思っています。結果的に信仰を強化することにはなっても、洗脳が解ける可能性は少ないでしょう。 カルト宗教から脱会させる一般的な方法は、まずは、カルト宗教と具体的に距離を取ることです。 カルト宗教に友人を奪われそうになった時、まず、僕がしたのは、友人を具体的に宗教団体から離すことでした。 カルト宗教側は、団体から離れることのマイナス面を熟知していますから、なんとかして信者を取り戻そうとします。団体で共に生活している限り、「使命感」と「充実感」を与えることができると確信しているからです。 ここが、陰謀論との違いです。 陰謀論がやっかいなのは、カルト宗教のように、「教会本部」という「離れる場所」が明確ではないことです。 じーこさんが書かれるように、SNSを通じて、いつでも信者はアクセス可能なのです。 ただし、カルト宗教と違って、陰謀論の場合は、陰謀論から離れようとする人を見つけ出し、連れ戻そうとする激しい動きは基本的にはない、と言っていいでしょう。 ただし、陰謀論を信じる人達が集まり、集団を作り、共に活動を始めてしまうと、カルト宗教と同じになります。 SNSでつながるだけではなく、現実の世界でも共に活動するようになると、陰謀論の世界から離れるのは、とても難しいんじゃないかと危惧します。 アメリカで議事堂を襲撃した人達の中には、ネットで出会い、現実でもつながったグループが多かったはずです。 そもそも、カルト宗教も陰謀論も、「充実感」を獲得するためには、「他人」が絶対に必要になります。 ハマればハマるほど、信じれば信じるほど、他人に熱心に「独特の世界観」を説きます。 それは、心のどこかに「独特の世界観」に対する「一抹の不安」があるからじゃないかと、僕は考えています。 どんなに陰謀論・カルト宗教の世界観を信じていても、心の深い部分で「本当にそうだろうか?」「あまりにも一方的すぎないだろうか?」という疑問が微細な泡のように浮かぶからこそ、必死に他人に教えを説くことで、泡の一つ一つを潰しているんじゃないかと感じるのです。 それは多くの場合、無意識の行為かもしれません。 でも、はっきりしているのは、熱心な信者になればなるほど、「伝えたい誰か」を強く求めるということです。 逆に言えば、「伝えたい誰か」が存在しなければ、熱心な信者であり続けることは難しいのです。 じーこさんのお母さんが、「毎回1時間の電話」をするのは、そうすることで自らの「信仰」を強化していると考えられるのです。 じーこさんや弟たちが、やがて長時間の電話に疲れてお母さんの話を聞かなくなったとしたら、お母さんは「充実感」を得るために、話せる「他人」を求めるでしょう。 陰謀論にハマることの問題点は、これです。アメリカの場合のような陰謀論グループに属していれば、仲間でお互いの「信仰」を検証し合いますが(だからこそ、自分の信仰を証明するために、暴力的な行動に出たりするのですが)、SNSで陰謀論を知り、現実では他人とつながっていない場合は、話せる「他人」を求めるようになります。 結果として、「独自の世界観」に驚いた近所の人達や昔の友達、つまり「世間」を失っていきます。 ただし、ここで陰謀論そのものを疑い始めるという可能性はあります。周りのあまりの反応の無さや無関心に、「陰謀論を信じることで、かえって淋しさや不安が増大すること」に気付く場合です。 ですが、反対の結果になることの方が多いかもしれません。「世間」を失っても挫けず、「社会」の人達、つまり、自分とはまったく関係のない人達に話し始めるという可能性です。SNSで発信を続けたり、何らかの運動に参加したり、戸別訪問を始める場合です。 じーこさん。ここから僕は厳しいことを書かないといけません。 カルト宗教にハマった友人を奪還するために、僕は徹底的に付き添いました。女性の友人でしたが、ハマった動機が淋しさや不安だと感じたからこそ、友人が淋しさや不安を感じないように、常に一緒にいようとしたのです。 カルト宗教の人達からは逃げ続けました。アパートに押しかけられたり、待ち伏せされたりすることを避けるために、友人に引っ越しを勧め、手伝いました。カルト宗教の人達と出会わないために、間一髪で、窓から逃げたこともありました。 そして、友人を安心させ、安定した気持ちになった時に、あらためて「教義の矛盾」を語りました。ゆっくり、ゆっくりと、僕がおかしいと思うことを話しました。 冷静な説得ではなく、温かい説得を続けたのです。 一週間ぐらいして、友人は話している最中、突然、号泣しました。それが、洗脳が解けた瞬間でした。論理的な説得が効いたのではないと感じました。ただ、僕といる温もりが最後の扉を開けたと感じました。 そして、友人は、カルト宗教ではなく、僕に依存するようになりました。僕達は話し合い、友人は東京近郊の親戚の家に住むことになりました。友人はそこから生活を立て直すことができました。 大学生だったから、ここまで友人とつきあえたのですが、正直に言うと、僕は疲れ切っていました。数カ月間、かなりの時間を友人に使っていたからです。 それからしばらくして、別な友人がまたカルト宗教にハマりました。 でも、僕はその時は、演劇を始めていて、忙しい日々を送っていました。 大切な友人でしたが、とても忙しくて、その友人の「不安と淋しさ」を埋める時間はありませんでした。 僕は一人の人生を救うためには、もう一人の人生が必要なんだと思いました。片手間ではカルト宗教とは戦えない。戦うなら、僕の人生全体を使う必要がある。 でも、僕には僕の人生があって、僕はこの友人のために自分の人生は使えない。それが、当時の僕の結論でした。 じーこさん。こんなことを書いてごめんなさい。でも、お母さんを陰謀論から抜け出させるためには、お母さんの不安や淋しさを丸ごと引き受ける必要があるだろうと僕は思っているのです。 それがどれほど大変なことか。あらためて書くまでもないでしょう。じーこさんや弟たち、父親の人生全体が問われるのです。 でも、陰謀論はそれぐらい手ごわい相手だと僕は思っているのです。 できる限り、家族全体で母親の「不安と淋しさ」を分担して引き受けるという方法があるかもしれません。 長電話をやめて、簡潔に対応するようにして、母親の変化を定期的に見るという方法もあるでしょう。「世間」を失うことで陰謀論から戻るのか。さらに進むのか。 ちなみに、僕が対応できなかった別な友人は、最後の最後、カルト宗教が用意したイベントに参加する直前、踏みとどまりました。そのイベントは、友人の人生そのものを決めるイベントでした。彼女はカルト宗教と引き換えに、自分の「世間」をすべて失うことを拒否したのです。 じーこさん。僕がアドバイスできるのはここまでです。じーこさんにはじーこさんの、弟たちには弟たちの、父には父の人生があると思います。その中で、どれだけの時間とエネルギーをお母さんに使えるかは、それぞれの人が決めることだと思っているからです。 じーこさん。切なくて苦しくて本当につらい戦いだと思いますが、心から応援します。■本連載の書籍化第3弾!『鴻上尚史のますますほがらか人生相談』が発売中です!

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    眞子さまの結婚どう思う? 瀬戸内寂聴が27歳スタッフに質問した結果

     半世紀ほど前に出会った99歳と85歳。人生の妙味を知る老親友の瀬戸内寂聴さんと横尾忠則さんが、往復書簡でとっておきのナイショ話を披露しあう。*  *  *■横尾忠則「スジ金入りの肉体的朦朧体、大観より本格派です」 セトウチさん 耳が聴こえなくなったと言うと、「きっと作品が変るわよ」と、ベートーベンじゃあるまいし、変なことおっしゃると、その時はそう思いましたが、本当に変ったんです。その変り方が理に適(かな)っているといえば適っている。つまり聴こえないことは、音の輪郭が失くなることです。そうなると音が朦朧(もうろう)となって、横山大観の朦朧体の絵のように音がボケて聴こえるんです。耳がボケると、日常生活もボケて、曖昧模糊(あいまいもこ)となって、したことと、してないことの区別もわからなくなるんです。つまり虚実の区別ができなくなって、夢で見た仕事の依頼を、本当に依頼されたと思って、やっちゃったりするんです。ボケの症状に似てるけれど、ボケ老人になったんではなく耳のせいだと理解しているので、そこはまだ理性がコントロールしています。 ハイ、絵の話だったです。大観は思想で朦朧体を描きましたが、僕はスジ金入りの肉体的朦朧体なので、思想のようなチョロコイ考えではなく、肉体的ハンデキャップによる堂々たる自然体派です。大観よりこっちの方が本格派です。そんなわけでセトウチさんの大予言は的中しました。 先っきも言いましたが境界線が失くなるということは自由のキャパシティも拡張したことになります。近代人は何でもかんでも境界線を引いて、全てを分業化します。縄文時代はひとりの人間が、多面的に物事をこなしていました。狩猟(しゅりょう)も農業も、漁業も工芸も、子育ても、教育もひとりでするという、境界線をはずした労働生活です。現代のような役割分担などしません。正に多義的です。越境した狩猟社会です。 難聴が与えてくれた神の恩寵です。だから病気の高徳です。僕が度重なる病気によって救われてきたということはこういうことです。神は人間に色々な苦難を与えますが、病気は罪ほろぼしでもカルマ落としでもなんでもないのです。人間の進化向上のためのカリキュラムだと思えばどうでしょう。難聴のほかに、腱鞘炎(けんしょうえん)にもなりました。もう、セトウチさんの「幻花」のような繊細(せんさい)な描写の絵など描けません。今は太い筆やハケを握りしめて、キャンバスにバンバン叩きつけるように描いています。それも痛いので、左手で描きます。左手は思うような形が取れません。幼児の絵より下手くそになります。でも、デュビュッフェは幼児の絵のマネをして、幼児風に描きますが、そんな意図的なことをしなくても、僕の左手はそのまま幼児以上に下手に描けます。これもハンデキャップから来た自然体です。 今書いている手紙では、前にも同じことを書きましたかね。境界を越えると時間差もなくなって、やったことと、やらないことの区別がわからなくなるのです。いよいよ本格派老人です。100歳老人のセトウチさんにも負けていません。ただ僕はセトウチさんのように年齢には拘っていません。拘っているのは他人の方で、今行っている展覧会では「85歳、85歳」と年齢を売り物にされています。歳のことは言うな! アーティストには年齢はないのです。昨日の続きが今日、今日の続きが明日です。原始社会では年齢など無関係です。アーティストは原始人です。■瀬戸内寂聴「私もヨコオさんに負けないように!」 ヨコオさん 何だか、ずいぶん久しぶりにこの往復手紙を書いているような気がします。 それにしても相変わらずコロナは豪勢を極め日本はおろか、世界的にその力を奮っています。 コロナのせいで、人に会えず、寂庵はずっと門を閉めっぱなしです。コロナになる前はもちろん、一も二もなく門内に入ってもらっていました。 大抵遠く九州や東北から来られた人で、まだ生きている私に逢えたと言って、抱きついて泣き出します。もちろん、私は丁寧にお迎えして、写経などしてもらい、お茶菓子を一緒に食べて、しばらくその人のお話を聞きます。つきあいの人もあれば、寂庵の信者を自称する人もあり、初めて門内に入ったという人もいます。「まさか、門内に入れてもらえると思わなかった」と泣き出す人もあれば、「生きている寂聴さんに逢えた!」と、子供のように足を踏み鳴らす人もいる。「とても百歳には見えない!」と誰もが感嘆してくれるが、終日ベッドに横になり、本ばかり読んで、一日を過ごしている私の毎日の状態など話せない。私は、人に逢っている間だけは、必死になって元気らしさを演じ、声を張り上げる。客の帰る時は、長い廊下の途中で、へばってしまい、さっさと歩く客の跡がおえない。 ──だって百だもの……──と、私は廊下の途中で、ペシャンコに座り込み、つくづく、自分に向かって言う。 食事だけは時間が来ると、しゃきっと体がのび、食卓の自分の位置に早々と座り込んでいる。「あら、お昼はもう召し上がりましたよ!」 スタッフの一人が、わざと大きな声を張り上げる。「私のスパゲティは、どうしてこんなに美味しいのだろうなんて、お世辞までいただいて」「そうよ、ほんとに! でも今ここに座ったのは、食べるためでなくて、眞子さんの結婚をどう思うかって、寂庵で一番若い二十七歳のP子の意見を聞きたいのよ」「ああ、眞子さん、ほんとに、よかったですね。大体、みんなあんまりこの結婚に意地悪すぎましたよ。でも、どうして一時金を眞子さんは辞退なさるのかしら? 貰う権利のあるお金でしょう? あんまり弱気にならない方がいいと思うけど……」 ヨコオさん、今、寂庵の中は、こんなにのんびりしています。耳が聞こえないのは、私も同然です。テレビの時なんか、びっくりするほど大きな声にしてくれるので、何とか会話が出来ています。鶯も、秋の夜の虫の音も、私の耳にはさっぱり聞こえません。ヨコオさんとTELしてるのを横で聞いてる人があれば、どんなにおかしいでしょうね。耳だけでなく体のあちこちがどしどし衰えてきます。 そのうち、きっと、自分の死んだこともわからなくなって、──ヨコオさんにTELして!──など叫んでる日が来るのでしょうね。でも目がよく見えているので、一日に二冊は厚い本を読み切っています。ヨコオさんの展覧会、ますます人気上昇でおめでとうございます。私もヨコオさんに負けないよう、あっとこれまでと変わった小説を二つくらい書き残して死にたいものですね。 では、また。※週刊朝日  2021年9月17日号

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    社会問題化した宗教団体「摂理」がコロナ禍で有名大学で勧誘を活発化 SNSを駆使した巧妙な手口

     2006年、教祖による女性信者への性的暴行疑惑などで日本で社会問題化した「摂理」(キリスト教福音宣教会)が近年、日本国内で大学生を狙った勧誘活動を活発化させているとして、全国の大学が警戒を強めている。そのターゲットは医師や法曹界を志す成績優秀な学生、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)、国際貢献などに関心を持つ「意識の高い」大学生たちだ。サークルやセミナーを装う昔からよくある手口だけではなく、コロナ禍の今、SNSを駆使し、あるときは新入学生の相談に乗る大学OB、あるときは就職活動の指南など、その正体を巧妙に隠して学生たちに近づいているという。 *  *  * 九州のある大学。一昨年の秋、女子学生Aさんは、同級生の女子に誘われて、学食で開かれたイベントに参加した。その場にいたのは同じ大学の女子学生や、社会人の女性だった。おかしな雰囲気は一切なく、このイベントをきっかけに仲良くなり、ハロウィーン会に参加したり、社会人の自宅でみんなで食事をしたりと交流を持つようになった。時には「グローバルな人材になろう」というテーマで議論し合ったこともあった。若い世代が自分を向上させるため、そうした議論をするのは不自然ではない。  だが12月。クリスマス会の席で、突然、仲間たちから聖書をすすめられた。その後、新型コロナウイルスの影響で対面の機会が減り、聖書を返却できなかったこともあって、オンラインでの聖書の勉強会や朝の礼拝に誘われるようになり、ずるずると参加してしまった。  不信感を抱いたAさんが関係を切ろうと、みんなが集まる礼拝の場に聖書を返しに行ったところ、意に反し「新メンバーのAさんです」などと周りに紹介された。その後、摂理の教祖である鄭明析(チョン・ミョンソク)氏の動画が流れ、やっと正体を悟った。  同じ大学の女子学生Bさんも、「現役の医療系大学生の話が聞けるイベントに参加してみない?」と2人組の女性に話しかけられた。一人は同じ大学の学生で、一人は社会人だった。  Bさんが海外での医療ボランティアに興味を持っていることを話すと、1人が、その経験がある知人がいると教えてくれたため、後日、Zoomミーティングで話を聞くことになった。  1度目のZoomミーティングで、Bさんはその経験者からボランティアの話をたくさん聞いた。ただ、経験者の話はなぜか途中から「自分の軸を持とう」と、テーマがそれていった。  2度目のZoomミーティングでは、その「自分の軸」について話し合った。が、相手の話はまた大きくそれた。 「私の軸は、愛が根底にあるの。よかったら聖書を読んでみない?」  そのとき、Bさんは入学式のオリエンテーションで、演劇部員がカルト宗教の勧誘について、寸劇で実演しながら注意を呼びかけていたことを思い出した。不安を感じたBさんは大学に相談。大学側は摂理メンバーによる勧誘の可能性が高いことを確認した。 「全国の多数の大学で、現役大学生や卒業生の摂理メンバーによる勧誘が活発化しています。中でも狙われているのは医学部生や法曹界を目指す大学生。また、SDGsや環境問題、国際貢献やボランティア活動に関心の高い、意識の高い学生たちです。摂理は信者を増やすため、将来、社会的に影響力を発揮しそうな優秀な学生を狙っているのです」  そう危機感をあらわにするのはカルト宗教に詳しく、大学生らにその危険性の啓発を続けている枝光キリスト教会の岩崎一宏牧師だ。  宗教団体による大学キャンパス内での勧誘は昔からあった。ただ、コロナ禍でそうした活動は停滞しているかと思いきや、逆に摂理は、日本での活動を活発化させているというのだ。  摂理は1978年ごろ、教祖の鄭明析氏が韓国で立ち上げたとされ、日本では1980年代中ごろから布教活動が始まった。鄭氏は信者の女性たちに性的暴行をした疑いが発覚し、2006年に日本でも大きく報じられた。全国の大学に信者がいることがわかり、各大学が対策に乗り出すなど、一時は社会問題にも発展した。  鄭氏はその後、韓国当局に強姦致傷などの容疑で逮捕・起訴された。2018年に懲役10年の刑期を終え出所した。現在は、摂理が「聖地」とする施設にいるとされている。  摂理からの脱会相談などを長年受けている、全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士はこう指摘する。 「鄭氏に近しい信者が、鄭氏が好む容姿の女性信者を探し、日本を訪れた鄭氏に“差し出す”というあまりにひどい手口でした。その後、自殺したり精神を病んだりした女性も複数いましたが、周囲への発覚を恐れて被害届を出す人がおらず、鄭氏を日本で処罰することはできませんでした。現在、鄭氏は韓国から出国できないとはいえ、世界中から韓国に送られ、今も似たような被害を受けている女性がいてもおかしくないと考えています」  日本では刑事事件化されなかったことから、ある脱会者によると、日本の現役信者たちは事件は冤罪(えんざい)だと信じ込んでいるのだという。教団が、勧誘した人をマインドコントロールし、信者として“教育”していく中で、鄭氏は不当に逮捕されたと刷り込んでいくのだという。  カルトと呼ばれる宗教団体は複数あるが、その中でも各地の大学が現在、最も警戒しているのが摂理である。徹底して正体を隠し、大学側の目が届かないSNSでの勧誘を活発化させているためだ。 「摂理のメンバーは、男性も女性も、見た目の好感度が高いメンバーが多いとされていて、勧誘されている側も疑いを持たない。これまでのカルト宗教と大きく違う点です。そして、勧誘した若者を『教育』していく手法も、非常に緻密で戦略的です」(岩崎牧師)  勧誘の入り口も、非常に“魅力的”に仕上げているという。  例えばSDGsや医療関係者の講演会を開き、興味のある学生なら誰もが憧れそうな優秀な社会人の信者を呼ぶ。時には信者ではない大学教授や有名人に講演会への出演を依頼し、“広告塔”として利用する。  国際交流や留学、ボランティア活動に興味がある学生を対象とした交流会を開き、そうした活動経験がある先輩の信者を呼ぶ。 「優秀な現役大学生だけではなく、かつて有名大学の学生だった信者が、今は一流企業や医療、法曹界、官公庁などあらゆる業界に散らばっています。スポーツ選手などの有名人もいます。講演会に参加したらこうした人たちに会えるのですから、その道に志のある学生は感激してしまいます。そうした手口で、とにかく正体隠しを徹底しているのが摂理なのです。さらに、どんな学生をどうやって勧誘するか、ターゲットの絞り方も緻密です。信者の整形外科医が、大学医学部の体育会系部活動の練習場所に出向き、『体が故障してないか見てあげる』などと言って近づいた例もありました」(渡辺弁護士)  コロナ禍の今は、キャンパスに学生がいないためSNSを駆使した勧誘を活発化させている。狙いは、入学前の高校生や就職活動を控えた学生たちだ。  ツイッターで「#春から〇〇大」など新入生だとわかるハッシュタグを見つけると、当該大学の卒業生らの信者がツイートにフレンドリーにコメントし、徐々にダイレクトメッセージにつなげていく。  一定の関係をつくった後は、次のステップである「聖書」に進む。 「聖書のすすめ方も非常に巧妙です。宗教色を隠し、例えば(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズなどの偉大な人物たちも聖書を勉強してきている、などと、あくまで自分自身の向上に必要なものとして聖書を持ち出すのです。勉強会を繰り返していくうちに、いつの間にか『救い』や『死後の世界』など摂理の教義に近づき洗脳していく。そして、もう十分にマインドコントロールされた段階になって、教祖である鄭氏の話を切り出すのです」(岩崎牧師)  近年、キャンパス内で摂理による勧誘被害があり、ホームページで名指しして注意を呼びかけている青山学院大学は、「キャンパスで問題が起きれば対策が打てますが、コロナ禍でキャンパスに学生が来ないため、学生たちの動向が把握できない状況です。SNSで勧誘されたら、こちらからは手出しができません」と懸念を強めている。  正体を隠して勧誘する宗教団体は摂理に限らないが、「勧誘の手法が、大学の対策のさらに先を行っている」(岩崎牧師)ことが、各大学が危機感を強める理由だ。青山学院大の塩谷直也・宗教部長はこう批判する。 「最近は、自己肯定感が低い学生がとりわけ多いように感じます。カルト宗教は、自分が受け入れられている実感が欲しい学生や、人生についてまじめに考えている学生を狙ってアプローチを繰り返します。信仰とは、その人が主体的に何を信じるかであって、マインドコントロールによってその人の考えを奪い、信じさせることではありません。正体を隠して勧誘すること自体、相手の自己決定権を侵害しており明かな人権侵害です。マインドコントロールによってその人の貴重な時間を奪い、人生そのものを奪う。極めて犯罪的な行いだと思います」  渡辺弁護士は「正体隠しの勧誘は、その人の信教の自由を侵害するもので、民法709条の不法行為に該当し、違法です」と指摘する。ただ、あらゆる手段での勧誘が横行しているのが現実で、「勧誘の入り口で摂理だと見抜く方法はありません」とも言い切る。 「学生さんたちは、魅力的な集まりに参加した時、単純に『すごい』と思ってしまうのではなく、『すごい』と思わせて引きずり込んでいく手口があることを頭に入れてほしい。親も、いい大学に入れたと安心せず、お子さんがそうした会に参加していないか気にかけてほしい。娘が参加し始めた会をのぞいたら、あまりに爽やかな男女ばかりなので逆になにかおかしいと感じ、正体に気づいたケースもあります」(渡辺弁護士)  では、摂理側はどう答えるのか。摂理に事実確認を求めたところ、文書で回答があった。  まず「正体隠しの勧誘」については、「偽装勧誘はしていない」「聖書の話をするときは宗教であることを相手に伝えている」と回答。「教祖の性的暴行の過去」については、「さまざまな疑問点がある」としたうえで「(最初に逮捕された)中国では現場検証もされて嫌疑は認めらなかったのに、韓国当局は現場検証もせずに有罪判決を下した」と主張した。その他、さまざまな主張を展開した。 <【後編】「摂理」が大学での勧誘活動を活発化 直撃取材に教団は「偽装勧誘はしていない」と回答>では、摂理の「反論」の中身を詳報する。 (AERA dot.編集部・國府田英之)

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    15時間前

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    小林麻耶が離婚へ 夫から解放されても修復が難しい「海老蔵一家」と「TBS」

     今年3月から別居状態にあった小林麻耶(41)と夫の國光吟氏(37)が離婚に向けて協議を始めたという。7月1日発売の「女性セブン」によると、当初は麻耶自身も別居が一時的なものになるか、離婚への準備期間となるかはわかっていなかったが、周囲のサポートもあり自分の意思で結論を出す段階に入ったようだ。 2人が結婚を発表したのは2018年7月。出会って2カ月、“交際ゼロ日”での電撃婚は周囲を驚かせたのはもちろんだが、國光さんの行うスピリチュアル色の強いセラピーやカウンセリングなどに傾倒する麻耶を心配する声も少なくなかった。「それ以降の2人の行動といえば、まるで麻耶さんのマネジャーのようにどこへ行くのにも國光さんが同行し、次第に仕事場でも國光さんが口を出すようになったといいます。そして昨年11月に『グッとラック!』(TBS系)の電撃降板と所属事務所との契約解除があり、麻耶さんの彼への依存ぶりが心配され始めました」(女性誌記者) 一時期は麻耶が「洗脳状態」にあるのでは?などと心配もされたが、次第に2人の関係は冷めていったようだ。結局、3月には別居となったが、國光氏と距離をとった麻耶を誰よりもサポートして見守り続けたのは、麻耶の母親だったという。「お母さんの元に戻ってからは、麻耶さんも徐々にこれまでのことを冷静に振り返ることができるようになったそうですが、最も彼女の心を揺り動かしたのは麗禾ちゃん(9)と勸玄くん(8)の存在です。國光さんと結婚してからは、海老蔵さん一家とも以前のように頻繁に関わることがなくなり、あれほどかわいがっていた子どもたちともここ1年ぐらいは会っていないといいます。お母さんは、麻央さんの闘病中には麗禾ちゃんと勸玄くんの面倒を見て家事一切を取り仕切っていました。お母さんから伝え聞く2人の様子やYouTubeで見る成長ぶりに会えない辛さが募ったのでしょう。そんな麻耶さんの異変に気づいて、お母さんはメンタル面も含めてフォローし続けているそうです」(同前) だが、仮に離婚が成立したとしても、今後の麻耶の状況が元通りになるかといえば、「すぐには難しいかもしれない」と芸能ジャーナリストは話す。「まずは麗禾ちゃんと勸玄くんとの関係です。麻央さんの闘病中はお母さんと共に彼女もよく面倒を見ていて、子どもたちも懐いていましたが、海老蔵さんが現在の状態のまま、麻耶さんと距離をとり続けるのであれば、以前のような家族ぐるみの関係に戻るには時間がかかるでしょう。海老蔵さんはこれからは『十三代目市川團十郎白猿』と『八代目市川新之助』の襲名披露公演も控えていますから、あまり“雑音”は入れたくないのではないでしょうか」 また、広告代理店関係者は麻耶の復帰をこう心配する。「いずれ麻耶さんも仕事復帰を考えているでしょうが、義理を欠くようなことをしてしまった古巣のTBSや前の所属事務所からのバックアップは期待できないでしょう。それ以上に、はたしてタレントとして需要があるのかも疑問です。國光氏とのお騒がせカップルのイメージがまだ根強く残っていますから、CMや司会などで起用するのは厳しいのでは」 麻耶はこの日、自身のブログを更新したが、離婚報道には言及しなかった。“目が覚めた”麻耶が目の前に待ち受ける新たな壁に気づき、それを乗り越えた時に、彼女は本当に自由になれるのかもしれない。(宮本エミ)

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    カンニング竹山が見た、喋った河野太郎さん、高市早苗さん、岸田文雄さんのリアルとは?

    ポスト菅を選ぶ自民党総裁選挙は、岸田文雄前政務調査会長、河野太郎規制改革担当大臣、高市早苗前総務大臣が立候補を表明し、17日の告示を前に石破元幹事長が不出馬へ。お笑い芸人・カンニング竹山さんは、そんな総裁選にいろいろと思うところがあるという。*  *  *自民党総裁選の報道に色々な意見があって、そのひとつは、野党支持者が多いのかもしれないけど、「自民党総裁選のことばかりメディアも取り上げるなよ」という意見。確かに、自民党を応援していない人からしたら総裁選なんて関係ないですよね。関係ないというか、毎日毎日「なんだよ!」ってなりますよね。でも、衆議院議員選挙も控えていて、総裁選で選ばれた人が首相になる可能性があるからじゃないですか。次の首相が誰かっていうのをやっているから、盛り上がる様相はありますよね。野党が党代表選挙をやったらどうなるか? さほど盛り上がらないですよね。例えば、立憲民主党の党代表の選挙があり、その後に衆議院選挙あったとして、今回の自民党総裁選ほど盛り上がるかといえばそうではないだろうと思う。政権奪回とかをスローガンに掲げてやるだろうけど、盛り上がらない。自民党は、衆院選を控えているこの時期といい、盛り上がる要素を持っているということですよね。よくよく考えたら、自民党総裁選が盛り上がるのは正しい事だと思うんです。民主主義の正しいありかただから。総裁選の裏で派閥がなんだとかは置いといて、ちゃんと選挙で代表を選ぶわけじゃないですか。共産党や公明党の代表は選挙で選ばれない。共産党は話し合いで決まり、任期も決まっていない。共産党の代表って、だいたいずっとやっている。民主主義の世の中で、代表を選挙によって決めていないのは、それはそれでおかしなことではないか? 別に僕は自民党寄りなわけではないですよ。自民党に文句を言っている党もあるけれども、その前に代表は選挙で決めるべきじゃないの? メディアで自民党総裁選がこれだけ報じられるのは、自民党にとっても時期がいいのと、需要と供給のバランスが取れているからでは。総裁選に立候補している人たちは、自民党員票が欲しいからメディアで自分の顔と名前を売りたいんですよね。自民党員なんて国民全体からしたらほんのちょっとしかいないわけですけど、全国各地津々浦々に散らばっている自民党員に自分の顔と名前を売るのは、やっぱりメディアに多く出るのは手っ取り早い。こぞって、立候補者みなさんがメディアに出ていますよね。インターネットメディアにも出てくれて、今週土曜深夜の「カンニング竹山の土曜TheNight」に岸田さんが出演してくれて2時間話しました。ABEMAprimeには河野さんが出てくれました。政治番組を始め、夜のニュース番組、昼のワイドショーなどにリモートやスタジオで出ているけど、明らかに全国に名前を売りたい、自分の主張を伝えたいというのはありますよね。インターネットメディアに出てくるのは、しっかり自分の主張を話せるというのと、インターネットを見ている人が多く影響力があるメディアと認められてきている。メディアで取り上げても普段はあまり読まれない、視聴率が取れない政治ネタが、今回の総裁選は読まれる、数字が取れるのであれば、もっと取り上げようとなるわけじゃないですか。そういう意味で、今回の総裁選は需要と供給のバランスが取れている。ただ、自民党総裁選一色にメディアがなってしまうのは、あまりいいこととは思っていません。が。TBSの「news23」で河野さんが「派閥っていうのは、政治記者が面白おかしく取材していくうちに作られている。実際は、派閥で何票とか現場が動くことはない。派閥って報道したほうが面白いから政治記者はすぐにそうしたがる」と話していたことが面白かった。確かに、そういうところはすごくあると思った。田中角栄時代の派閥は、陸山会だ、宏池会だと確固たる派閥があっただろうが、我々世代がドラマで見るような政治派閥と今はちょっと変わってきているのではないかと思った。だから今回、当選三回生が派閥に関係なく選びましょうと集まったのも、昔ならあんなことしたらものすごい怒られたんじゃないかと思うんですよ。その辺で言うと、政治家は国民から離れているとは言われていても、離れないようにしようとしている人もいるんだなと思った。メディアが、ここ10年ぐらい、もしかしたら安倍政権の時からかもしれないけれども、政権批判をするのがトレンドで、ちょっと偏りすぎな気もしています。モリカケのことも総裁選の出馬会見や番組に出演した時に、候補者は質問されるわけですよね。候補者たちはどういう風に答えるかというと、岸田さんなんかは何度も何度も答えていますが「説明します」と言っていますね。高市さんも「みなさんに説明をします」と言っているが、記者たちは「そうじゃないだろ! 再調査をするかしないかだろ!」と詰め寄る。冷静に考えると、いま司法の場で話し合われていて、法治国家なんだから、裁判が終わるまでは再調査も何もないですよね。再調査したら、国は司法を無視するのか? ということになってしまう。それで、「この候補者は再調査しないんだ、安倍の肩を持っているんだ」としてしまう。そう詰め寄ることは理解はできますが、今再調査しますとなったら、それはそれでおかしなことではないのかな。司法の結論が出た時に、その結論に対して国民があまりにも納得しなかったら、その時は国のやり方に則って、もう一回調査や裁判をやるとかね。この段階で「再調査」というのは、なんかメディアも詰め寄り過ぎだなと思った。河野さんがテレビ番組に出演すると、脱原発問題、皇位継承問題に関して「出馬したら考えが変わったけれども、その点について聞かせてください」という質問ばかりされていました。その点に関して、河野さんは出馬会見で話しているし、考え方は変わっていないとしているし、ブログでも書いている。会見でもそれに触れているのに、テレビ番組などに出て来た時に、そのことだけを河野さんに散々ぶつけるって、やりとりだけを見た視聴者は「この人、考えを変えた人だ」って刷り込まれてしまうなと感じた。岸田さんに関しては、思ったより話しやすい方でした。ニュースなどの映像でしか岸田文雄氏というものを知らないので「The国会議員」みたいな人かと思ったら、意外や意外、しゃべりやすい。岸田さんが何よりも話していたのは、これまでの自民党は「国民に説明不足な点はあった」と。岸田さんには、例えば、河井案里氏の件も聞いたんですよ。「あれはどう思っているんですか? カネ出したのは二階さんということでいいんですね?」と質問したら、「執行部と言っているので、そういうことにはなりますね」とまで話してくれている。いろいろ話してはくれるものの核心部分になると、白・黒の断言はしない。そういう点はあった。でも、この人が総理になったら、この時点でウソついていなければ、記者会見でもきちんと説明するんだろうなと思った。記者会見って、時間が限られているじゃないですか。記者会見という場が記者に説明して、国民が知ることになるわけだけれども、今は途中で切ったり、質問を一人一問にしたりして、「時間がないから十分な説明ができないのでは?」と質問したら「そこは可能な限り説明します」と。そこがキモだと岸田さんは言ってました。一方、河野さんは白・黒、ハッキリ決めるイメージはありますよね。高市さんは主張は一貫していますよね。僕が昔、内閣府の詐欺防止のCMをやった時に高市さんが大臣だったんですよ。CM撮影後、詐欺防止のキャンペーンにも駆り出されて、東京・巣鴨でおじいちゃんおばあちゃんにビラを配る仕事で、その時、大臣の高市さんも来ていました。すごく話しかけやすい、ノリのいい関西の女性という感じでした。「大臣ってこんなにしゃべりやすいんだ!」って、思ったことを覚えています。立候補者は50代~60代でみんな、このままじゃいけないという思いは同じな感じがする。この流れは止めなければならないということ。それぞれ、争点がなんだとかなるけど、今回みたいにワチャワチャなるのはいいことなのでは? 猫も杓子も誰でも政治を語っているっていうのはアリだな。政治は我々みんなのもの、国家もみんなのものだから。批判もわかるんだけど、自民党総裁選ばっかり取り上げやがってというのもわかるけど、それによって、おじさんもおばさんも、若者も政治の事をしゃべるというのは、実はこれはとても正しい。■カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。オンラインサロン「竹山報道局」は、4月1日から手作り配信局「TAKEFLIX」にリニューアル。ネットでCAMPFIRE を検索→CAMPFIREページ内でカンニング竹山を検索→カンニング竹山オンラインサロン限定番組竹山報道局から会員登録。

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    16時間前

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    河野太郎“電撃出馬”は「3A」に見捨てられた菅首相の逆襲?小泉「隠密説」も

     菅首相の電撃的な総裁選不出馬表明、退陣のニュースが9月3日、駆け巡った。そして測ったように、河野太郎ワクチン担当相が総裁選に出馬する意向が大々的に報じられた。「絶妙のタイミングで河野氏は、マスコミに情報を流したね。狙いすましたようだ。こうも段取りよく出馬を言えるものかな。早い段階から菅首相から辞意を聞いていたんじゃないか」 自民党幹部はこう首を傾げる。菅首相と河野氏、そして小泉進次郎環境相は同じ神奈川が選挙の地盤とあって、緊密な関係だ。小泉氏は5日連続で菅首相と官邸で面会している。3日の会見で小泉氏は「首相から引くと聞いたのは今朝」「首相の花道を作りたい」と涙ぐんで話した。しかし、自身の総裁選出馬には言及しなかった。 河野氏とすでに総裁選出馬を表明している岸田派の岸田文雄会長以外で候補者として名前が出ているのは、石破茂元幹事長、高市早苗前総務相、茂木敏充外相、野田聖子幹事長代行らだ。「小泉氏は『菅首相ほど1年間で仕事をした人はいない』とねぎらったが、幹事長就任の求めを断った。目玉人事の引き受け手がなく、菅首相は辞任に追い込まれた。小泉氏は菅首相の政策を一定、引き継ぐ人物が次の首相になるべきだという趣旨の発言をしている。それに適任なのは、河野氏だと聞こえましたね。これまで総裁選に消極的だった河野氏が一転して出馬に舵を切った。小泉氏からも支援を取り付けた上で河野氏が動いたという噂で持ち切りだ。普段は取り巻きから耳障りよい話しか聞かない菅首相が5日間も続けて、小泉氏と話し込んだ。小泉氏が”隠密”になれば、河野氏は菅首相の意向を把握できますからね」(前出・自民党幹部) 河野氏は3日午後、所属する派閥のボスである麻生太郎副総理兼財務相と手際よく、会談した。総裁選出馬の了解を取り付けようと動いている。「菅首相は関係が深い河野氏、小泉氏なら溝が深い岸田氏や石破氏より安心して政権を渡せる」(官邸関係者)  菅首相自身も地元後援者との不透明な疑惑、長男の接待問題など“ヤバイ“ネタがいくつもある。菅首相に公然と反旗を翻す岸田氏より、河野氏なら安心できるはず。 しかし、河野氏が政権を引き継ぐには、ボスである麻生氏と安倍晋三前首相の支持が不可欠だ。だが、河野氏が2人から承諾を得られるか、まだ不透明だ。麻生氏は以前から河野氏の総裁選出馬は「まだ先でいい」と派閥内で話していたという。「河野氏が総理総裁となって、小泉氏が要職に就くとなれば、世代交代が加速する。麻生氏や再々登板まで視野に入れている安倍氏が簡単に受け入れられる話ではない。二階幹事長と決別したものの、安倍、麻生、甘利明氏の『3A』から支持を得られず、出馬断念に追い込まれた菅首相が小泉―河野ラインを使って逆襲に出たのではないだろうか」(前出・官邸関係者) しかし、河野氏の出馬意向、小泉氏の支援という情報は派閥を超えて歓迎されている。清和会所属の若手国会議員はこう話す。「選挙が厳しい若手議員にとっては河野氏と小泉氏は最強コンビでしょう。コロナ対策で後手を踏み、批判されるばかりの菅政権と自民党。これで攻勢に出ることができる」 しかし、総裁選の投開票は9月29日。今の勢いで河野氏が最後まで突っ走ることができるのか、わからない。石破氏も世論調査では「次の総理」として、河野氏よりも高い数字を獲得することもある。「石破氏は二階派の支援を得て出馬しそう。菅首相は岸田氏だけは許さんという心境だ」(官邸関係者) 最初に出馬表明した岸田氏も連日、公約を積極的に発信。党内での支持も確実に増やしている。「安倍氏、麻生氏が派閥をまとめきれない可能性もある。勝負はまだまだわからない」(自民党幹部) 最高権力者だった菅首相は地元の神奈川2区で「小選挙区で勝てない」とまで言われ、政界引退を勧める支援者もいるという。一寸先は闇の永田町。9月末にその頂点に立つのは誰だろうか。(AERAdot.編集部 今西憲之)

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    高市早苗は総裁になれるのか? 女性政治家が走る三つの「出世道」

     自民党総裁選に名乗りを上げた高市早苗氏。女性の候補者が出たのは10年以上前の小池百合子氏以来だ。地方議会で高まる女性に期待するという機運が、高市氏の出馬の背景にあるのではと、超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」会長の中川正春元文部科学相は指摘する。  とはいえ、現状、政党の意識が変わっているとはいいがたい。  候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」推進を訴える稲田朋美元防衛相はこう話す。 「日本の衆院議員のうち女性は約1割。自民党所属の衆院議員に限ると7%ほどとさらに下がります。自民党内には『政治は男性がやるもの』という意識がなお強い」  事実、クオータ制はなかなか実現しない。その理由について、中川氏は嘆息する。 「特に自民党の中に強力に反対する核になるグループがあって、女性議員にもクオータ制反対が少なからずいる。これまで男性と張り合い、自分の力で当選してきたのに、特別枠を設けたら自身の格が下がる、というような不平等感を感じるようです。そういう人たちを説得していくのはなかなか大変なんです」  国際的な議員交流団体「列国議会同盟」が3月にまとめた報告書によれば、日本の国会(衆院)で女性議員が占める割合は、データのある190カ国中、166位。主要7カ国(G7)で最下位だ。地方もいまだ例外ではなく、女性議員の割合は低い。 「女性が政治家として活躍していける環境が十分でない。さらに、女性が『政治家になりたい』と思えるようなロールモデルが見当たらないことも割合が増えない一因だと考えています」(稲田氏)  では、高市氏がそのロールモデルになれるのだろうか。三重大学の岩本美砂子教授(政治学)が解説する。 「高市さんはクオータ制について、女性に特別枠を与えて、げたをはかせるのは逆差別じゃないか、と反対していますし、夫婦別姓にも同性婚にも反対している。根本がアンチフェミニズム。旧来の保守的で男性支配の自民党に対して、操正しい。自身の信条に確信が強い“確信保守”なのです」  ジャーナリストの田原総一朗氏は自民党の特性についてこう指摘する。 「自民党の女性国会議員が偉くなろうとすると、ジェンダーギャップを認めないとなれない。ギャップがあることが大前提で、反対だと言えば基本的に党の役員とか大臣にはなれない。だから、自民党の女性議員には保守的な発言をする人が多くなりがち」  むしろそうした女性議員が、特に安倍前政権下では重用された。 「高市さん始め、山谷えり子議員、有村治子議員、最近は少し変わったが稲田議員ら、自民党のセンターよりも“右側”の女性を重用しました。そうした人物に男女共同参画担当大臣を任せるなど、いびつな構造でした。本来、適しているはずの野田聖子さんは、リベラルでフェミニストであるせいで党内で浮いてしまっている」(岩本教授) 後ろ盾ないとき真価が問われる  岩本教授は著書『百合子とたか子 女性政治リーダーの運命』のなかで、ノルウェーの心理学者トリルド・スカアードの調査をもとに、女性が国のトップになるためには三つの道があると指摘している。 (1)権力の座にある家族から世襲する「家族代替型」 (2)政党を通じて権力の地位に就く「政党インサイダー型」 (3)非政府組織や草の根の職業、活動を基礎として権力の地位を手に入れる「アウトサイダー型」  現役の女性議員で言えば、(1)は野田氏や小渕優子氏ら、小池氏は(3)に該当する。高市氏も(3)だ。  そして、女性トップは三つにカテゴライズできると記す。 [1]男性支配政治の規範や価値に合致し、男性と同じように振る舞う。女性の問題にはあまり関わらない。 [2]女性と男性の利益に妥協点を見いだし、現実問題として解決を図る。「女性」でなく「政治家」であることを強調する。 [3]男性中心の政治に挑み、女性政策を推進しようとする。  ここでは高市氏は[1]に該当するのだろう。このカテゴリーは女性同士の連帯を望めず、ライバルである男性議員とも親しくできないというもろ刃の剣だ。  元自民党国会議員で閣僚経験のある男性は高市氏について、 「私が見ていた限りでは、彼女は党内での友人、仲間というのは少ない。安倍さんが支持したとはいえ、細田派内をまとめるなんてことなどできないよ。彼の本命は岸田氏だろうし。彼女への支持は党内全体でも20~30%いけばいいくらいだろう」  と話す。「高市首相」が実現する可能性について聞くと、 「ゼロでしょ。まず本当に総裁になろうとしたら、何年もかけて準備していくもの。結局はそうやって、いわゆる党内基盤を固めて、支持をとりつけていかないと難しい」と語った。  つまり、高市氏はまだスタートラインに立っただけで、真価が問われるのはここからという見方だ。高市氏は憧れの人物、目標とする政治家として、マーガレット・サッチャー元英首相を挙げているが、「彼女のような真の権力者にはなれないだろう」と岩本教授は手厳しい。 「サッチャーもフェミニストではないが、権力者だった。高市さんは安倍さんに引っ張ってもらうことが前提という時点で決定的に違います。仮に安倍さんが失脚して後ろ盾がなくなったときに化けられるのかどうか。派閥の領袖(りょうしゅう)でもない高市さんは、実力者の傀儡(かいらい)になる可能性が高く、権力を握るものとしては危うい」  真の意味での女性首相誕生までの道のりは長いのか、どうか。(本誌・秦正理、池田正史)※週刊朝日  2021年9月24日号より抜粋

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    週刊朝日

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    「他人を見下してしまう」と告白する34歳女性に、鴻上尚史がいくつもの質問を投げかけた真意

    「他人を見下してしまう思考や言葉が止まらない」と自身の内面を告白した34歳女性。自身の不健全を認める相談者に、鴻上尚史が投げかけた「自分を好きになる」ヒントとは?【相談117】他人を見下してしまう自分を変えたいです(34歳 女性 もちつゆ) こんにちは鴻上さん。私は接客業に従事している30代です。働き出してから10年以上経ちますが、お客様に対しても同僚に対しても見下してしまうような思考や言葉が止まりません(直接本人に言うのではなく、他の同僚に愚痴ったり悪口を言い合ったりしています)。 例えば、あるお客さまはどうしても毎回お約束のお時間にお越しになられず、遅れるようだったら連絡して欲しい旨をお伝えしても、数分ならOKだと思っているのか毎回遅れられます。その方がお帰りになられた後、同僚と「あの人何で毎回遅れるんでしょうね? 何か病気でも持ってるんですかね?」や、自分よりも歴の長い同僚に対しても「あの人何度か注意してるのに、何でこんな事もできないんだろ? 私よりも仕事の歴が長い筈なのに、報連相しない上に指示を出さないと動かない……いい加減にしてよ」等酷いことを言ってしまいます。 見下してしまう心を持っているのは私の中に強い劣等感があり、それを軽減するために自分よりもできない(実際はどうかわかりませんが)人間を見て優越感を持つことで辛うじて自尊心を守っているからだというような気がします。今まで誰かと自分を比べて自分の方が劣っていると実感させられることの方が多かった人生だったので、自分よりも劣っている人間がいる事が嬉しいのだと思います。しかし誰かを見下して喜ぶ人生なんて不健全だという事も分かっています。でも脱却できない。一体どうすれば良いでしょうか?【鴻上さんの答え】 もちつゆさん。よく相談してくれました。 相談の文章を書くだけでも苦しかったんじゃないですか? もちつゆさんが一番認めたくないことを認めることですからね。「私の中に強い劣等感があり、それを軽減するために自分よりもできない(実際はどうかわかりませんが)人間を見て優越感を持つことで辛うじて自尊心を守っている」と書くのは、とても勇気がいることです。 問題は「見下すこと」ではなくて「強い劣等感があること」だと認めることですからね。 たしかに、「自分はダメだ」という思いに苦しめられる時に、自分よりダメだと思う人間を見つけることは、一時的ななぐさめになります。 自分が上に上がれない時に、周りを引きずり下ろそうとするのは、ある意味、人間の自然な感情だと思います。 周りを引きずり下ろすことで、相対的に自分が上に上がったような気になりますからね。 でも、もちつゆさんは「誰かを見下して喜ぶ人生なんて不健全だという事も分かって」いるんですよね。そう書けることは素敵なことだと思います。 自分の心のメカニズムをちゃんと理解して、ちゃんと判断できているのです。 ここまで分かっているのなら、このメカニズムから抜け出すのは、そんなに難しいことではないと僕は思います。 だって、本気でこのメカニズムで自分を支えている人は(つまり、誰かの悪口を言い続けて、自分を保っている人は)、こんなことを人に言えないし、不健全だとも感じないと思うからです。 さて、もちつゆさん。 もちつゆさんの劣等感の原因は、「誰かと自分を比べて自分の方が劣っていると実感させられることの方が多かった人生」だからなんですね。 それは職場のことですか? それとも学校時代からのことですか? 子供の頃からですか? 職場だとしたら、劣っていることが多かった結果、どうなりましたか? クビになりましたか? 毎日、上司から注意されていますか? 相談の文章からすると、10年以上接客業ですから、クビになったりはしてないんですよね。 もちつゆさんは、劣っていると感じることが「多かった」と書かれていますから、「すべてのこと」で劣っていたわけじゃないんですよね。 劣ってないこと、普通のこと、優れていることは、何もなかったですか? 僕はそもそも、10年以上、ちゃんと働き続けられていることがすごいと思いますよ。それはつまり、毎日、ちゃんと朝起きて、職場に行けているということですから。 えっ? からかっている? いえいえ、本気ですよ。 毎日、ちゃんと起きて、遅刻しないように職場に行って、言われた仕事をこなすというのは、それだけですごいことです。そう思いませんか? もちろん、うまくいかないこともあるでしょう。仕事のミスもあるでしょう。でも、だからといって仕事を放り出さず、ちゃんと毎日、職場に行くことは、本当にすごいことです。これだけで、充分、自分をほめる理由になると僕は思っています。 他人と比べて劣等感が生まれ、その悲しみや苛立ちのために人を見下すのなら、まず、他人と比べないで、自分をちゃんと見つめませんか。 もちつゆさんには、なんにもほめることはありませんか? 毎朝、ちゃんと起きること。文句を直接本人には言わないこと。他人を見下した後、不健全だと感じること。自分の悩みを文章にしたこと。そして、思い切って『ほがらか人生相談』に送ったこと。それらは、充分ほめるに値する、とても素敵なことだと僕は思います。 もちつゆさん。他人と比べて自分のあら探しをするのではなく、自分自身の良いところを見つけ出し、作り出し、集めませんか? 美味しい料理を作れたことも、休日に何かの運動をしたことも、夜中に甘いものをガマンしたことも、友達のグチを聞いてあげたことも、体重が500グラム減ったことも、今日はお肌のハリがいいことも、すべて、とても素敵なことです。 もちつゆさんが、もちつゆさんを大好きになれる充分な理由です。 他人と比べ、他人のあら探しをするエネルギーを、自分を見つめ、自分の良いところを見つけ出し、作り出すエネルギーに使うのです。 なかなか良いところが見つからないなら、さあ、考えましょう。休日なのにダラダラしないで本を読んでみようとか、ちょっと散歩してみようかとか、部屋の片づけをしてみようとか、小さな素敵なことを作り出すのです。 人間の持っているエネルギーは有限なので、自分の良いところを一生懸命探したり、作ったりしていると、劣等感の方に回すエネルギーはなくなります。自分を責めている余裕がなくなるのです。これは本当です。 もちつゆさん。小さなことから、ささいなことから、なんでもないことから、自分を好きになれることを始めてみませんか。 青空に向かって深呼吸することだって、とても素敵なことですからね。一日に何個、素敵なことが見つけられるか。どうですか、もちつゆさん、やってみませんか?■本連載の書籍化第3弾!『鴻上尚史のますますほがらか人生相談』が発売中です!

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    初代バチェラー・久保裕丈、薄暗い倉庫で地道に作業…新ビジネスは儲け薄?

     かつての起業家が「意思ある投資家」として、次世代の起業家を育てる。そんな循環の中心にいる人々に迫る短期集中連載。第1シリーズの第4回は、家具や家電を定額で貸し出す「CLAS(クラス)」代表取締役で、「初代バチェラー」でもある久保裕丈(40)だ。AERA 2021年9月13日号の記事の1回目。 *  *  * 「日本一、薔薇(ばら)とシャンパンが似合う起業家」に会うため、東京都江東区新砂に向かった。  東京湾を埋め立てた広大な土地には倉庫や工場がずらりと並ぶ。アマゾンや楽天といったネット通販が急伸し、倉庫の増加も凄(すさ)まじい。シンガポールの物流系企業GLPが運営する「新砂2号棟」もその一つだ。  8月上旬のよく晴れた朝。まだ9時というのに外は猛烈な暑さだ。貨物用の巨大なエレベーターを5階で降りると、天井まで届きそうなラックにソファや椅子や冷蔵庫や洗濯機がうずたかく積まれている。その裏ではヒューンという機械音が鳴り響き、何かを削っているようだ。倉庫内は30度を超す。事務机が並ぶ一角では業務用の巨大な扇風機がうなりを上げている。 「おはようございます。早くからすみません。昼になると、ここの暑さはちょっとヤバいんで」 ■初代バチェラーに抜擢  その男が現れた瞬間、薄暗い倉庫の中でその場所だけがパッと明るくなった。扇風機が運んでくる潮風を顔に受け、長い髪を軽くかき上げる。明らかに「見られること」を職業とする人の所作だった。非常階段の向こうに見えるヨットハーバーの方がはるかに似つかわしい。  久保裕丈(40)。家具や家電を「月額いくら」で貸すサブスクリプションサービスを手がける「CLAS(クラス)」を2018年に立ち上げた創業社長だ。動画配信サービス「Amazonプライム・ビデオ」の恋愛リアリティーショー「バチェラー・ジャパン」の初代バチェラー(独身男性)と紹介した方が分かりやすいかもしれない。  この番組は社会的地位を確立した才色兼備の独身の元に集まった25人の異性が、2カ月にわたって非日常的な空間でゴージャスなデートを繰り返し、誰がバチェラーの心を射止めるかを競う。毎回のデートの最後にある「ローズセレモニー」で、薔薇を渡された異性だけが次の回に進める。02年に米国で配信が始まるや大ヒットとなり、日本でも17年から同じフォーマットの番組が作られることになった。  久保は女性たちと華麗なデートを繰り広げ、毎回、最後に「薔薇を渡せなくてごめんなさい」と数人を振り落とす。大抵の女性は目に涙を浮かべ、時には「ほんと見る目ないですね」と捨てぜりふを残して去っていく。ある意味つらい立場である。タレントやモデルなどさまざまな経歴を持つ女性たちが「結婚したい!」と夢中になるには、誰もが納得するスペックを備えていなくてはならない。 ■東大卒のハイスペック  久保は東京大学大学院を出て米系コンサル会社A.T.カーニーに入った。12年には女性向け通販サイト「MUSE&Co.(ミューズコー)」を設立。その後売却し、CLASを立ち上げた。バチェラーの出演時点で社会的地位が確立していたかどうかはさておき、冒頭に書いた通り「イケメン」であり、趣味のキックボクシングで体も鍛え上げられている。ため息が出るようなハイスペックだ。  番組に登場した久保はタキシードやスーツに身を包み、クルーザーやプライベートジェットの前に颯爽(さっそう)と現れた。番組の外に出ても、彼にふさわしい場所といえば、六本木ヒルズや東京ミッドタウン、あるいは西麻布や南青山の瀟洒(しょうしゃ)なマンションにあるオフィスが思い浮かぶ。しかし実際に彼がいるのは、薄暗くて埃(ほこり)っぽい倉庫の中。そのギャップに戸惑った。  久保が今、夢中になっているビジネスも、驚くほど地味である。サブスクと横文字で書けば今風だが、その実態は泥臭い。  利用者は月440~数千円で家具や家電製品を借りられる。料金には配送料、設置料、保険料も含まれていて、季節や好みに合わせて衣替えをするように家具や家電を取り換えられる。 「所有」するのは面倒だが「利用」はしたい。カーシェアやシェアオフィスと同じ種類のサービスだ。家や車を持つのが成功の証しで、ローンに追いまくられたのが筆者らバブル世代。だが子供たちは物を持たず、ローンも組まず軽やかに生きる。 「『暮らす』を自由に、軽やかに」。CLASのビジョンは、そんな若者世代の価値観を見事に捉えている。  だが、サービスを提供する作業は至って地道だ。センスのいい家具や家電を見つけて仕入れる。倉庫に戻ってきた製品は新品同然に修繕し、新たな借り手が現れれば、すぐに送り届ける。手間がかかる割に儲(もう)けは薄い。  なぜ久保ほどの「ハイスペックな男」が、地道なビジネスを喜々としてやっているのか。その謎を解くには、久保の生い立ちまでさかのぼる必要がある。 (敬称略)(ジャーナリスト・大西康之) ※AERA 2021年9月13日号より抜粋

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    堂本光一が“キュン”となった奇跡的な出会いとは? 

     3年前、帝国劇場のビッグスター・堂本光一と井上芳雄が共演して話題を呼んだミュージカル「ナイツ・テイル」が、今月7日から3都市(大阪・東京・福岡)で再演される。その仲のよさでも、有名な二人。舞台への思いから、お互いの「キュン」エピソードまで、たっぷりお届けします。*  *  *──「ナイツ・テイル―騎士物語―」、3年ぶりの再演です。堂本:3年前から、再演があるといいね、って話していて。去年のコンサート(「ナイツ・テイル」inシンフォニックコンサート)もそうですが、みんなで「こうなるといいね」と話したことが、全部かなってきました。井上:この企画が成立したこと自体が驚きというか、めぐりあわせが重なってできたことですよね。堂本:初演のとき、ジョン(脚本・演出のジョン・ケアード)を筆頭に、芳雄くんや、第一線の共演者と、何もないところから築き上げた作業を思うと、すばらしい時間だったな、と。いま、役への理解も深まり、いろんなことを乗り越えてきた仲間と一緒に舞台に戻れることに、ワクワクしています。井上:当時から、世界初演で、みんなで作ったものを、あのとき限りで終わらせるにはあまりにも惜しい、と話していました。作品が定着し、愛されるといいなと思っていたので、再演が実現できてうれしいです。あのときだけで終わったら「うまくいかなかったんだ」って思われちゃう。僕たちが大げんかしてたら、次はないですからね(笑)。堂本:ハハハ。井上:この3年で、すごく世の中変わったと思うんですよ。人の考え方もそうですし、演劇界でも、いろんな課題をどう舞台で表現するかが問われている。ガラッと変わった価値観を、それぞれが脚本や役に反映させるのが、今回の「ナイツ・テイル」だと思います。──昨年はお二人とも、舞台の休演を経験されました。立ち止まって、考えたことは?堂本:僕は事務所に入ったのが12歳くらい、それからある意味止まったことがなかったので……。井上:なが~く、止まってなかったね!堂本:そうそう。ずーっと走ってないと、という感じで生きてきたので、そういう意味ではいいきっかけになりました。それと、午後9時以降働きたくないな、と思うようになって。ハハハ!井上:光一くん、起きるの午後2時くらいなのに! 動いてる時間がどんどん短くなってる(笑)。──20代から帝国劇場で座長を務め、重圧と闘ってきたという共通点も。堂本:プレッシャーを受けて放てるものの大きさや、乗り越えたときの喜びを、僕も芳雄くんも知っていて。その喜びって、ほかでは経験できない快感だと思うんですよ。追い込んで、追い込んで、そこから生まれる爆発。この方法でしか、お客さんを感動させることができないので。でも、それが単純に好きなんです。井上:僕は何度も失敗や空回りを経験してきましたが、続けるうちに見えることは多くなったと思います。できるだけ平常心でいたいとは思っていますが、ずっと同じことをしているほうが怖いという感覚もありますね。堂本:作品が違えば役が違うし、同じ役でも毎日発見がある。日々新鮮な気持ちで、違う仕事ができるというのは、この仕事が持っている独特でぜいたくなところだと思います。そもそもほかの仕事だったら、僕みたいな生活してたら怒られちゃいますけどね(笑)。井上:そうだと思うよ! 2時に起きたら怒られますよ、ホントに(笑)。──ジョン・ケアードさんが「アーサイト(堂本)とパラモン(井上)は、お互いをうらやんでいる」と話していたとか。実際に、うらやましいと思うところはある?堂本:うらやましいと思うことはなかったかな。井上:僕もそうですね。堂本:ただただ、リスペクトというか。芳雄くんが歩んできた人生、やってきた仕事、そして持っている実力も。うらやましいっていうより、それは芳雄くんの努力だから、リスペクトするという感覚のほうが強いかな。井上:変な表現ですが、「好ましいな」と思ってます(笑)。「ナイツ・テイル」で演じたり、一緒に仕事でニューヨークに行ったりして、同じ時間を過ごせば過ごすほど「好ましさ」が増すというか。あえて「友人」と呼びますが、この年になって友達ができて、しかも同業者で同じような立場って、もう信じられないくらい幸運ですよね。──「夫婦」「恋人」などと形容されることも。お互いにキュンときたエピソードは?井上:キュンですか。堂本:キュン~?(笑)井上:謎が多いんですよ、毎日何しているのかな、とか。堂本:ハッハッハ。井上:以前リモート飲みしたときは、光一くんの背景に映っているのは、一体どこ?って話題になりました。自宅だろうけど、何する部屋?という不思議な雰囲気なんですよ。しかも、気になるものを飲んでたから、「今、何飲んだ?」って聞いたら、飲み会なのになぜか「牛乳」って(笑)。いっそう謎が深まりました。ちょっとつかめないところがたくさんあって、いいですよね。堂本:話は戻りますが、芳雄くんとこのタイミングで出会えたことは、奇跡的ですよね。この年齢で、いろんなことをお互いに経験し、そのあと会ったからこそ、こうやって打ち解けたんだと思いますし。それがもう、奇跡的。それを考えると、キュンとしますね(笑)。──井上さんは以前、「プリンスの醍醐味は40代から」と話していました。「王子」と呼ばれてきたお二人、40代でとらえ方は変わった?井上:今も言われるわけでしょ? 光一くん?堂本:じつは6月に出したソロアルバムのショートムービーが「王」の役だっただけに、最近はやっと「王子から、皇帝になった」って(笑)。井上:即位したんだ。そうか、いいな~、知らなかった(笑)。堂本:ハハハ。井上:僕は(「エリザベート」で黄泉(よみ)の帝王の役を演じたが)「首切り王子と愚かな女」で、また王子の役に戻っちゃったんですよ。光一くんが王子と呼ばれているうちは、自分も王子で大丈夫、と思ってたんですけど、気づいたら皇帝になってたから……。堂本:そう、やっとね。井上:僕もそろそろ……とは思うんですけど、ミュージカル界的には、「皇帝」がまだ何人かお元気でいて、上がつかえているので、自分の一存だけでは即位できないんです。というわけで、いまだにありがたく「王子」と呼ばれてます(笑)。(構成/本誌・直木詩帆)※週刊朝日  2021年9月17日号

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    【独自】東京都医師会幹部らの病院でコロナ病床の56%は空床 直撃に「不適切な補助金は返還したい」

     デルタ株による感染拡大はピークを越えつつあるが、東京都では9月10日現在で、新型コロナウイルスの新規感染者は1242人、死者15人、現在入院している重症患者は243人、自宅療養者は1万1千人以上と依然として多い。救急搬送が困難な状況も続いている。そんな中、医療ひっ迫を訴える東京都医師会、病院協会の幹部の病院で、補助金を受けながらも病床使用率が20%を切る病院もあることが、AERAdot.が厚労省関係者から入手した資料でわかった。*  *  * 医療ひっ迫の危機が指摘されている中、東京都医師会の尾崎治夫会長は「臨時医療施設を、ぜひいくつか作っていただきたい」などとたびたび語っている。こうした要望を受けて、東京都では野戦病院(臨時医療施設)の設置が進んでいる。旧こどもの城で設置されたほか、旧築地市場の跡地や味の素スタジアム内でも準備が進む。 他方で、東京都は6583床のコロナ患者用の病床を確保しているというが、実際に使われているのは、3754床にとどまっている。2829床が「幽霊病床」とされる。 民間病院と言えども、コロナ患者を受け入れる責任はある。厚労省が、新たに病床を確保した病院には1床につき最大1950万円の補助金を出しているほか、空床でも1床につき1日7万1千円の補助金なども出しているからだ。 田村憲久厚生労働大臣と小池百合子東京都知事は、こうした実態を問題視。コロナ患者を最大限受け入れることを要請し、正当な理由なく要請に応じず、勧告にも従わない場合は名前を公表する姿勢を見せている。しかし、厚労省関係者は「実は医師会が病院名の公表には執拗に反対している。その結果、コロナ患者の受け入れが進んでいない」という。 AERAdot.では、東京都医師会会員の病院や病院協会に所属する病院のコロナ患者用の病床数と実際の入院患者数、病床使用率のデータを、厚労省関係者から独自に入手した。 リストには都内の37病院の「極秘」とされる実態が記されていた。コロナ患者用の病床は614床、そのうち入院患者数は268人。病床使用率は44%にとどまった(数字は9月6日時点)。 さらに東京都医師会や病院協会の幹部でもコロナ患者を受け入れていない実態もわかった。資料によると、A病院ではコロナ患者用の病床を16床確保しているが、コロナの入院患者は3人、病床使用率は19%だった。B病院では29床のうち8人、28%、C病院では43病床のうち16人、37%、D病院では50床のうち28人、56%、E病院では52床のうち34人、65%、F病院は22床のうち15人、68%だった。 厚労省関係者はこう語る。「東京都医師会の尾崎会長は『野戦病院を作れ、そうすれば協力する』といっています。既に臨時の医療施設は急 ピッチで開設されています。尾崎会長の発言は裏を返せば、『ハコを作らなければ、協力しない』ともとれ、おかしな話です。空床のまま補助金だけが入っている状況がある。医療崩壊を叫ぶのであれば、先ずは自分たちの足元の医療機関できちんとコロナ患者を受け入れさせるのが先決ではないでしょうか」 なぜコロナ病床を空けたままにしているのか、補助金は返還する予定はあるか、東京都医師会幹部がトップを務める各病院に見解を質した。 A、B、C、E病院からは「多忙のため対応できない」などと取材拒否された。 D病院は「事実誤認がある」として「6日時点の入院患者数はコロナ陽性26人、疑似症を含めると14人、合計40人、病床利用率80%となります」などと回答してきた。 F病院はコロナ患者の受け入れ数については「6日の継続入院者数は34名」と認めた上で、「この継続入院患者数は、当日の入退院患者を含んでいませんので、実際に利用した人数より低くなります」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない理由について、下記の回答が来た。「9月になり比較的短期間で入院患者は減少しておりますが、8月第4週ごろはピークにあり、8月25日には47名の入院患者(90%の稼働)がありました。病床の利用状況は感染状況とともに細かく変動しております。この時期には人工呼吸器が外れたばかりの不安定な患者が多く、現場の負担は高まっておりました。状況が急に悪化する症例に対応する場合は入院応需ができなくなることもありました」「当院は東京都の計画では軽症から中等症に対応するべき病院群に分類されております。病院は200床に満たない施設でマンパワーに限りがあり少人数のローテーションで対応しておりますので、人工呼吸器が必要な重症患者が1名いるだけでも、途端に病棟管理への影響が大きくなります。重症患者のすべてを高次施設で対応することは難しい状況ですので、当院での治療が可能な限り人工呼吸器を用いるような症例にも対応の努力を続けて参りました。9月になっても人工呼吸器を用いる重症患者は4例に及びます」「また当院では少数にとどまってはおりますが、スタッフの感染者数や濃厚接触者による人員減少の影響は大きいと思われます。病床利用率も指標の一つですが、感染状況を鋭敏に反映しておりますし、患者重症度や、人員数など様々な不測の要素があり、日々変動しています」「なお、病床利用についてですが、多床室で男女混合はできない、重症度によって利用できる病床が限られる、清掃消毒などにより使用不能な時間がある、など様々な避けられない理由で一定の病床が利用できなくなるため、8―9割以上のベッドが常時稼働することは現実的ではありません。ベッド稼働が9割に達した今回の8月後半は非常に厳しい状況であったと考えられます。病床利用率だけで、行われている医療の状況を判断するのではなく、多角的な見方を要するように思います」 補助金の返還などを考えているかの質問については、「不適切な補助金は返還します」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない病院に対して、東京都医師会はどのような見解なのか。尾崎治夫会長に「使われていない病床が約2千床あること」、「空床のまま医師会構成員の医療機関に補助金が入ること」の見解を尋ねた。(尾崎会長の病院はリストに記載されていない)。  すると、「(空床について)東京都からデータをもらっていないのでわからない」、「医師会構成員という言葉がわからないので、回答は控えたい」と広報担当を通じて回答が来た。 補助金を受けながらも、患者を受け入れない状況について、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「厚労省のもともとの制度設計に問題がある」と指摘する。厚労省は補助金給付の要件に、「コロナ患者の受け入れ」を入れていない。そのため実際に患者を受け入れていなくても補助金が入る仕組みになっているという。「通常の補助金であれば、患者の受け入れなどの実績があって、お金を出す形になります。しかし、厚労省がコロナ患者の受け入れ体制ができていないという批判を受けて病床確保の数だけを追求した結果、患者を受け入れなくても補助金を出す制度になった。その結果、実際には稼働できない病床ができた。民間病院はギリギリの医者、看護師しか持っていないから限界があります。本来であれば、国立病院や、尾身茂氏が理事長を務める、独立行政法人のJCHO(地域医療機能推進機構)の病院が患者を受け入れる話ですが、そこも受け入れに消極的で補助金だけを受け取る状況になっている。そんな中、民間病院で積極的に受け入れるなんて話になるはずがありません」 医療がひっ迫する中、未だに1万1千人以上いる自宅療養者を置き去りにするようなことがあってはならない。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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    【独自】小室圭さん、米大手事務所から断られていた 弁護士が語る“厳しい現実”

    「小室圭さんの実力では無理だと思います」 こう話すのは、全米で「トップ100」と呼ばれる大手弁護士事務所(ビッグロー)のパートナー弁護士のA氏。専門は、海外企業同士のM&Aなど。米国を拠点に世界を飛び回り、収入も桁違い。この姿こそ、小室さんが思い描く将来でもあるようだ。 昨年の秋ごろ、A氏の事務所に、働かせてほしい、と小室さんの「経歴書」のようなレジュメが別の弁護士を通じて届いたという。小室さんは、ニューヨークなど大都市での弁護士の仕事を探しており、ビッグローか、その下の規模のミッドローでM&Aなどをやりたいという。 A氏がそのレジュメを見て思ったのが、冒頭の言葉だ。なかでも、A氏が首をかしげたのがニューヨークのフォーダム大ロースクール(法科大学院)への留学の部分だ。「疑問なのは、彼がLLM(法学修士)のコースに入ったことです。しかも1年学んだ後に、JD(法務博士)コースに編入している。大きな事務所を目指してて、こんな動き方をするなんて聞いたことがない」 LLMとJDというのは、ロースクールでのコース名だ。米国の大学には法学部がなく、弁護士を目指す人は、大学卒業後にJDに入る。ここで3年間学び、事務所に入るのが一般的なパターンだという。 一方、LLMは、法律の資格を持つ外国人留学生が多いといい、「表現として正しいかわかりませんが、キャリアに“箔(はく)をつける”ようなイメージです」。 A氏によると、米国で弁護士となるのに重要なのはJDでの1年目だ。「米国での就職活動は、2年生の終わりの夏休みで終わります。事務所のサマープログラム(インターン)で働き、その後よほどのことがない限り、その事務所からオファーを受けて就職します。どの事務所のプログラムに入れるかは、1年時の成績で決まります。だから学生の競争も壮絶です。本を隠すなどの足の引っ張り合いもあります。小室さんはその1年をLLMに入っています」 ビッグローのインターンの募集は、ハーバードやエール、コロンビアといった有名大学で公募し、最初の書類選考で成績優秀者に絞り、次の面接で決まる。A氏が言う。「採用された学生には、1年目から19万数千ドル(2千万円以上)の給与が支払われます。それも5年くらいは半人前で、彼らから利益は出ません。それでも欲しい人材ということなんです。だから相当厳選します。原則でいえば、ビッグローはインターン以外の方法では採用しないです」 チャンスをつかめる学生は、ほんの一握りだ。小室さんは、そもそもLLMに入った時点で、希望するビッグローへの道は閉ざされたといっていい。なぜLLMに入ったのだろうか? A氏が話す。「こう言っては何ですが、彼の経歴に目を見張るモノはありません。あるとすれば眞子さまのフィアンセという一点。それでも奨学金を取得できたり、JDへ編入したり、弁護士が出てきて仕事を探したり。知恵をつけている人がいるんでしょう」 では、ビッグローは無理でも、M&Aは他でもできるのだろうか?「米国には約43万の事務所がありますが、M&Aの70%超は『トップ100』が扱っています。小室さんが弁護士として働くにはM&Aにこだわらないことですね。移民法の弁護士などは圧倒的に多い。日本人も多いです。もうからないので人気はないのですが」 そして、こう続けた。「詳しいことは申し上げられませんが、彼の『経歴書』を見る限り、とても“権威”が好きなんだと思います。M&Aも彼からすれば格好良く見えるんでしょうけど、実際は相当厳しい世界です。パートナー弁護士になるのは10年後くらい。それまで生き残っているのはわずかです。彼がそもそも弁護士という職業に向いているのか……。野心家だと思うので、ベンチャーのような起業家とかが向いているような気がします」(本誌・矢崎慶一)※週刊朝日  2021年9月17日号に加筆

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    眞子さまの結婚どう思う? 瀬戸内寂聴が27歳スタッフに質問した結果

     半世紀ほど前に出会った99歳と85歳。人生の妙味を知る老親友の瀬戸内寂聴さんと横尾忠則さんが、往復書簡でとっておきのナイショ話を披露しあう。*  *  *■横尾忠則「スジ金入りの肉体的朦朧体、大観より本格派です」 セトウチさん 耳が聴こえなくなったと言うと、「きっと作品が変るわよ」と、ベートーベンじゃあるまいし、変なことおっしゃると、その時はそう思いましたが、本当に変ったんです。その変り方が理に適(かな)っているといえば適っている。つまり聴こえないことは、音の輪郭が失くなることです。そうなると音が朦朧(もうろう)となって、横山大観の朦朧体の絵のように音がボケて聴こえるんです。耳がボケると、日常生活もボケて、曖昧模糊(あいまいもこ)となって、したことと、してないことの区別もわからなくなるんです。つまり虚実の区別ができなくなって、夢で見た仕事の依頼を、本当に依頼されたと思って、やっちゃったりするんです。ボケの症状に似てるけれど、ボケ老人になったんではなく耳のせいだと理解しているので、そこはまだ理性がコントロールしています。 ハイ、絵の話だったです。大観は思想で朦朧体を描きましたが、僕はスジ金入りの肉体的朦朧体なので、思想のようなチョロコイ考えではなく、肉体的ハンデキャップによる堂々たる自然体派です。大観よりこっちの方が本格派です。そんなわけでセトウチさんの大予言は的中しました。 先っきも言いましたが境界線が失くなるということは自由のキャパシティも拡張したことになります。近代人は何でもかんでも境界線を引いて、全てを分業化します。縄文時代はひとりの人間が、多面的に物事をこなしていました。狩猟(しゅりょう)も農業も、漁業も工芸も、子育ても、教育もひとりでするという、境界線をはずした労働生活です。現代のような役割分担などしません。正に多義的です。越境した狩猟社会です。 難聴が与えてくれた神の恩寵です。だから病気の高徳です。僕が度重なる病気によって救われてきたということはこういうことです。神は人間に色々な苦難を与えますが、病気は罪ほろぼしでもカルマ落としでもなんでもないのです。人間の進化向上のためのカリキュラムだと思えばどうでしょう。難聴のほかに、腱鞘炎(けんしょうえん)にもなりました。もう、セトウチさんの「幻花」のような繊細(せんさい)な描写の絵など描けません。今は太い筆やハケを握りしめて、キャンバスにバンバン叩きつけるように描いています。それも痛いので、左手で描きます。左手は思うような形が取れません。幼児の絵より下手くそになります。でも、デュビュッフェは幼児の絵のマネをして、幼児風に描きますが、そんな意図的なことをしなくても、僕の左手はそのまま幼児以上に下手に描けます。これもハンデキャップから来た自然体です。 今書いている手紙では、前にも同じことを書きましたかね。境界を越えると時間差もなくなって、やったことと、やらないことの区別がわからなくなるのです。いよいよ本格派老人です。100歳老人のセトウチさんにも負けていません。ただ僕はセトウチさんのように年齢には拘っていません。拘っているのは他人の方で、今行っている展覧会では「85歳、85歳」と年齢を売り物にされています。歳のことは言うな! アーティストには年齢はないのです。昨日の続きが今日、今日の続きが明日です。原始社会では年齢など無関係です。アーティストは原始人です。■瀬戸内寂聴「私もヨコオさんに負けないように!」 ヨコオさん 何だか、ずいぶん久しぶりにこの往復手紙を書いているような気がします。 それにしても相変わらずコロナは豪勢を極め日本はおろか、世界的にその力を奮っています。 コロナのせいで、人に会えず、寂庵はずっと門を閉めっぱなしです。コロナになる前はもちろん、一も二もなく門内に入ってもらっていました。 大抵遠く九州や東北から来られた人で、まだ生きている私に逢えたと言って、抱きついて泣き出します。もちろん、私は丁寧にお迎えして、写経などしてもらい、お茶菓子を一緒に食べて、しばらくその人のお話を聞きます。つきあいの人もあれば、寂庵の信者を自称する人もあり、初めて門内に入ったという人もいます。「まさか、門内に入れてもらえると思わなかった」と泣き出す人もあれば、「生きている寂聴さんに逢えた!」と、子供のように足を踏み鳴らす人もいる。「とても百歳には見えない!」と誰もが感嘆してくれるが、終日ベッドに横になり、本ばかり読んで、一日を過ごしている私の毎日の状態など話せない。私は、人に逢っている間だけは、必死になって元気らしさを演じ、声を張り上げる。客の帰る時は、長い廊下の途中で、へばってしまい、さっさと歩く客の跡がおえない。 ──だって百だもの……──と、私は廊下の途中で、ペシャンコに座り込み、つくづく、自分に向かって言う。 食事だけは時間が来ると、しゃきっと体がのび、食卓の自分の位置に早々と座り込んでいる。「あら、お昼はもう召し上がりましたよ!」 スタッフの一人が、わざと大きな声を張り上げる。「私のスパゲティは、どうしてこんなに美味しいのだろうなんて、お世辞までいただいて」「そうよ、ほんとに! でも今ここに座ったのは、食べるためでなくて、眞子さんの結婚をどう思うかって、寂庵で一番若い二十七歳のP子の意見を聞きたいのよ」「ああ、眞子さん、ほんとに、よかったですね。大体、みんなあんまりこの結婚に意地悪すぎましたよ。でも、どうして一時金を眞子さんは辞退なさるのかしら? 貰う権利のあるお金でしょう? あんまり弱気にならない方がいいと思うけど……」 ヨコオさん、今、寂庵の中は、こんなにのんびりしています。耳が聞こえないのは、私も同然です。テレビの時なんか、びっくりするほど大きな声にしてくれるので、何とか会話が出来ています。鶯も、秋の夜の虫の音も、私の耳にはさっぱり聞こえません。ヨコオさんとTELしてるのを横で聞いてる人があれば、どんなにおかしいでしょうね。耳だけでなく体のあちこちがどしどし衰えてきます。 そのうち、きっと、自分の死んだこともわからなくなって、──ヨコオさんにTELして!──など叫んでる日が来るのでしょうね。でも目がよく見えているので、一日に二冊は厚い本を読み切っています。ヨコオさんの展覧会、ますます人気上昇でおめでとうございます。私もヨコオさんに負けないよう、あっとこれまでと変わった小説を二つくらい書き残して死にたいものですね。 では、また。※週刊朝日  2021年9月17日号

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    高市早苗氏の意外な過去にフェミニストも震えた 総理の座を狙う過程で何があったのか

     作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、自民党総裁選に正式に出馬表明した高市早苗氏について。*    *  * 近しい人がデルタ株のコロナ陽性になったり、友人の同僚や、通っている美容院のお客さんが亡くなったりなど、夏以降、急速にコロナの危機が迫っているのを実感している。健康観察をされずに自宅で死亡した50代の方の話などを聞くと、東京五輪・パラリンピックに時間とお金と人材を費やすべきではなかったのではないかとつくづく悔しい思いになる。適切な処置を医療機関で受けられていたら、亡くならないですんだかもしれない命は少なくない。 Go Toキャンペーンやオリパラを強行することに専念してきた自民党政権が、トップの顔を代えただけで変われるとは思えず、期待には程遠い自民党総裁選。岸田文雄さんは、ボロボロの小さいノートを振りかざしては「国民の声を書き留めてきた、1年間で3冊、10年間で30冊」と様々なメディアでアピールしているが、正直、少ないと思う。薄いノートを1年でたった3冊埋めたくらいで、国民の声を聞いたとか言えるって、どんだけ聞いてこなかったかという話なのでは。河野太郎さんは、先日週刊誌でそのパワハラ言動が取りざたされていたが、ワクチン接種という、申し訳ないが素人目線でそこまで難しいとも思えない仕事でつまずいている人に期待するのはムリという話だし、高市早苗さんにいたっては、選択的夫婦別姓に強硬に反対するアンチフェミ女のイメージしかない。女性の人権に無関心な女性総理候補にいったい何の価値があるというのでしょう。 とはいえ、高市早苗議員、いったいどんな人なのか。32歳で衆議院議員に若くして初当選(※)。しかも同期の田中真紀子議員や野田聖子議員のように、親や祖父が国会議員だったというわけではなく、自民党員だったわけでもなく、サラリーマンの父と警察官の母という一般家庭から出てきた無所属の女性議員が、今、最も総理の椅子に近い女性となっている。なぜ高市さんは、政治家の道を選んだのだろう。どのように政治の道を歩いてきたのだろう。政治家としては多い著作のなかから国際政治評論家としてテレビで活躍していた頃に書かれた『30歳のバースディ―その朝、おんなの何かが変わる』(大和出版)、政治家2年目に記された『高市早苗のぶっとび永田町日記』(サンドケー出版局)を読んだ。 高市氏が大学を卒業したのは1984年。1986年に男女雇用機会均等法が施行されるが、この2年の差はやはりとても大きいものがある。女性が生涯にわたる仕事を手にすることも、そもそも親が大学に行かせてくれるかどうかも「女の子」であるというだけで諦めることがまだまだ当たり前にあった世代だ。特に地方であればなおのこと。保守的な奈良に育った高市氏も、当然のように「諦めさせられて」きた。例えば大学もそうだ。高市氏は第1希望だった早稲田と慶応のどちらも合格したにもかかわらず、「女の子のあなたを東京の私学で学ばせる余裕はない。弟の学費に回してほしい」と親に諦めさせられ、「女の子だから一人暮らしはさせられない」と通学に往復6時間かかる神戸大学に入学するのだ。 たとえ難関国立大学出身であっても、女性がその能力と希望に見合う就職先を見つけるのが難しい時代だった。「身の丈」よりもずっと小さく窮屈な型に押し込められる女性たちの悔しさは計り知れないが、高市氏の著書からはその類いの悔しさは強調されない。それは高市氏に並外れた行動力と決断力があり、自らの人生を切り開いてきた自負があるからだろう。たとえば、たまたま大学で目にした松下政経塾のポスターを目にして、直感に導かれるように松下政経塾に“就職”したり。たまたまテレビで見た女性議員で史上初の米国大統領候補指名争いに立候補準備を進めていたパトリシア・シュローダーに惹かれ、その2週間後にはワシントンに旅立ち、その情熱だけでシュローダー議員のオフィスで働き始めたり……若さゆえの大胆さと希望に満ちあふれた当時の高市氏のエピソード一つひとつに圧倒されてしまう。「女だから」と諦めさせられてきたのは大学まで、それ以降は絶対に諦めないという粘り強さで今の地位を築いていくのである。『30歳のバースディ』は文字通り30歳を迎えた高市氏がそれまでの人生を「ポップ」に振り返る本である。「BGMはいつもユーミンだった」「寂しいのはあなただけじゃない」「空港でまたまた恋人と涙の別れ」「男かペットがいなくちゃダメな私」「女と日の丸と視聴率の相関関係」「三〇女が孤独を感じるとき」といった目次からもわかるように、女友だちに話しかけるように書かれた軽く、優しいノリのものだ。アメリカから帰国し、若い政治評論家としてメディアに露出していたころで、日本の男性社会へのいら立ちも率直に記されている。「アメリカ議会では日本流のバカバカしい会議がないのが良かった。(略)ところが日本の企業では会議の場では何も決められない。本当は既に決まっているし、とっくに根回しが済んでいることを確認しあうだけの、儀式的な会議のなんと多いことか。でも、私たち女性は妙に正義感が強いので、このような巧妙な人間関係のテクニックとは相性が悪い」 90年代に若い女性が書いたテキストを追いかけながら、私は何度か噴き出したり、そうそうと共感したりと震えるような思いになる。ねぇ、高市さん、「女が入ると会議が長くなる」とほざく森喜朗さんに「あんたの会議はバカバカしい」とはやっぱり言えないものだったの? こういうまっとうないら立ちを文章にしてきた女性が、最も「わきまえる女」になっていく過程に、いったい何があったというの? さらにこういう率直さは、国会議員になった後に書かれた「高市早苗ぶっとび永田町日記」にも残っている。高市氏は歯に衣着せずに永田町のダメなところをきちんと切っている。「この一年間に永田町で一番多く耳にした言葉は次の二つ。『挨拶がない』『俺は聞いてないぞ』。委員会の審議日程が流れたり、大切な法案の採決がパーになったりする理由は大抵この二つだったりする」「笑い話のようなことばかりだが、事実、永田町政治は『理屈』ではなく、『メンツ』で動いている」 さらに、夜の会食や女性がいるクラブなどで行われる男たちの根回しで物事が決まっていく永田町で、女の自分が不利であることも記し、サッチャーのこんな言葉を引用し共感を表明するのだ。「私は最後まで党内基盤が弱かった。それは男性の世界の根回しに加えてもらえなかったからよ」 なにこの人……すごくまともな「一般人」の感覚で、すごくまともな「女の悔しさ」をストレートに出すフェミじゃないの? しかもそのまともさで、「総理大臣の資質」というものを論じ、当時の村山政権を真っ正面から批判している。明言しているわけではないが、高市氏自身が政治家として一番になること=総理になることを30代から目指しているのも伝わってくる内容なのだった。根回しから排除されてきたサッチャーが首相になれたように、パトリシア・シュローダーが80年代に大統領を目指したように、高市氏は政治家としてトップに行くことを最初から視野に入れていたのだ。 ……と、昔の高市氏の本を読んでいると、うっかり「がんばれ、早苗!」と言いたくなってしまう私がいるのだった。「総理になろうよ!!」と早苗の女友だちポジションに立って拍手したくもなってしまうのであった。まずい、まずい。正気に戻るために2011年に出版された『渡部昇一、「女子会」に挑む!』(WAC)も読んだ。櫻井よしこ氏、山谷えり子氏、高市早苗氏、小池百合子氏、丸川珠代氏・・・といった早々たる「わきまえ女」(帯には「なでしこ軍団」とある)たちと渡部昇一氏との対談本だ。 渡部氏との対談で、「総理になったら、まず何をしますか?」と聞かれた高市氏はこう答えている。「最初に、政府歴史見解の見直しをします。新たな歴史見解を発表して、村山談話を無効にします」 東日本大震災のあった年の9月に出版されている本だ。震災後から、こういう歴史修正主義を堂々とうたう本や、韓国ヘイト、「慰安婦」運動への過剰な攻撃は度を越していったという実感が私にある。保守政治家から極右政治家に舵を切るように発言をより過激化させていく高市氏の横顔が、対談にはしっかりと刻まれている。夫婦が別の姓を名乗ったら家族が崩壊すると適当なことを言い、戦時性暴力の責任を問わないどころかなかったことにすることが、高市さんの「目指した政治」だったのだろうか。この国の女性たちが権力に近づこうとするならば、率先して選択的夫婦別姓を批判し、「慰安婦」被害者をおとしめる発言をいとわず、女性の権利を口にするフェミを冷笑するというマニュアルでもあるのだろうか。 今いる自民党の女性議員の顔を、一人ひとり思い浮かべてみる。わきまえなければ権力に近づくこともできなかった女性たち。夜の会議や根回しから排除されながらも、その立場を維持するための努力は、二世・三世の男性議員たちとは全く違うものがあったはずだ。それでも、それほどの努力をしても、彼女たちが自らの後ろを振りかえったとき、彼女たちの後ろを歩きたいと思う女性はどのくらいいるだろうか。というかそもそも、その道は後続の女性のために開かれていたことはあったのだろうか。 かつて高市氏が憧れ渡米したパトリシア・シュローダーはテレビカメラの前で涙を流した。そのことによって20年以上「女の政治家は感情的だから、ダメだ」と言われ続け、「あなたの涙のせいで、女の地位が悪くなる」と責められ続けたという。女であるというだけでその「涙」が事件になるのは、昔のアメリカも今の日本も変わらない。そういう政治の世界でトップを目指す女性たちが、女性の味方であることを忘れるのは「仕方ない」ことなのだろうか。それとも、アンチフェミニズムの顔で女性をたたくような女性政治家しか出せない自民党政治そのものが終わっている、ということなのか。※訂正配信時の「32歳で衆議院議員に初当選、女性議員としては、当時憲政史上最年少だった」という一文を、「32歳で衆議院議員に若くして初当選」と訂正しました。高市氏の著書『高市早苗のぶっとび永田町日記』に「女性として憲政史上最年少当選」と記してありましたが、実際は1946年4月10に三木キヨ子氏が20代(当時)で当選していたため削除、修正します。■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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    【写真特集/全8枚】華麗なる日本人メジャーリーガーの妻たち

    トップクラスは20億円以上の年俸を稼ぐ選手もいる、憧れの日本人メジャーリーガー。そんな彼らを射止めた女性たちもまた、アナウンサー、アイドル、モデル…と高嶺の花が勢揃い!そんな美貌と才能に溢れた彼女たちを写真で紹介します。▼クリックすると拡大写真と解説文が表示されます

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    【独自】コロナ病床30~50%に空き、尾身茂氏が理事長の公的病院 132億円の補助金「ぼったくり」

     政府分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)傘下の東京都内の5つの公的病院で、183床ある新型コロナウイルス患者用の病床が30~50%も使われていないことが、AERAdot.編集部の調査でわかった。全国で自宅療養者が11万人以上とあふれ、医療がひっ迫する中で、コロナ患者の受け入れに消極的なJCHOの姿勢に対し、医師などからは批判の声があがっている。 編集部が厚労省関係者から入手した情報によると、JCHO傘下にある都内5病院のコロナ専用病床183床のうち、30%(8月29日現在)が空床であることがわかった。 5病院のうち最もコロナ患者の受け入れに消極的だったのは、東京蒲田医療センターだ。コロナ専用病床78床のうち42床が空床で、半数以上を占めた。その他には、東京山手メディカルセンターは37床のうち35%(13床)が空床となっている。東京高輪病院は18床のうち10%強(2床)が空床だった。東京新宿メディカルセンターはコロナ専用病床50床が満床だった。東京城東病院はこれまでコロナ専用の病床はゼロだ。 都の集計によると現在、自宅療養者は2万人以上、入院治療調整中の患者は約6800人に上る。厚労省関係者はこう批判する。「尾身氏は国会やメディアで『もう少し強い対策を打たないと、病床のひっ迫が大変なことになる』などと声高に主張していますが、自分のJCHO傘下の病院でコロナ専用ベッドを用意しておきながら、実は患者をあまり受け入れていない。こんなに重症患者、自宅療養者があふれているのに尾身氏の言動不一致が理解ができません。JCHOの姿勢が最近になって問題化し、城東病院を9月末には専門病院にすると重い腰を上げましたが、対応は遅すぎます。そもそもコロナ病床の確保で多額の補助金をもらっていながら、受け入れに消極的な姿勢は批判されてもしかるべきではないか」 厚労省はコロナの患者の受け入れ体制を整えるため、コロナ専用の病床を確保した病院に対して、多額の補助金を出している。 例えば、「病床確保支援事業」では新型コロナ専用のベッド1床につき1日7万1千円の補助金が出る。ベッドは使われなくても補助金が出るため、東京蒲田医療センターでは使われていない約40床に対して、単純計算で、1日284万円、1か月で約8500万円が支払われることになる。 その上、新たに重症患者向けの病床を確保した病院に1床あたり1950万円、中等症以下の病床には900万円を補助するなどの制度もある。JCHOが公表したデータによると、全国に57病院あり、稼働病床は約1万4千床。そのうち、6・1%にあたる870床をコロナ専用の病床にしたという。これまでいくらの補助金をもらってきたのかJCHOに尋ねると「すぐには回答ができない」(担当者)という。 しかし、厚労省関係者から入手した情報によると、2020年12月から3月だけでもJCHO全57病院で132億円の新型コロナ関連の補助金が支払われたという。「コロナ病床を空けたままでも補助金だけ連日、チャリチャリと入ってくることになる。まさに濡れ手で粟で、コロナ予算を食い物にしている。受け入れが難しいのであれば、補助金を返還すべきです」(厚労省関係者) JCHOは厚生労働省が所管する独立行政法人で、民間の病院とは異なり、公的な医療機関という位置づけだ。JCHO傘下の病院はもともと社会保険庁の病院だったが、公衆衛生の危機に対応するため、民営化はせずに独法として残った経緯がある。尾身氏は厚労省OBでJCHO理事長に14年より就任している。  医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「JCHOの存在意義が問われる」と指摘する。「世界では国公立などの病院が先ずは積極的にコロナ患者を受け入れている。日本でも当然、国公立やJCHOなどの公的医療機関が受け入れるべきでしょう。そもそもコロナ患者を受け入れる病床数も少ないですし、このような危機的な状況で患者受け入れに消極的というのであれば、補助金を受け取る資格はないし、民営化したほうがいいのではないでしょうか」(上氏) JCHOの見解はどうか。AERAdot.編集部が、JCHOにコロナ患者の受け入れの実態を質すと、8月27日現在の数字として、5病院全体では確保病床の30%が空床であり、東京蒲田医療センターでは約50%が空床であることを認めた。 尾身氏のコメント全文は後述するが、コロナ患者の受け入れに消極的なことについて、東京蒲田医療センターの石井耕司院長は書面で以下のように回答した。「JCHOは、国からの要請に基づきJCHO以外の医療逼迫地域(北海道・沖縄等)の病院へ、全国のJCHO病院から看護師の派遣を行ってきました。しかし、全国的な感染拡大に伴い、各地域においても看護師のニーズが高まってきた結果、全国のJCHO病院から当院への派遣が困難となってきました。(中略)今回、国や都からの受け入れ増加の要請に応えるため、8月16日から看護師を追加で確保し、受け入れ増加に向けて取り組んでいます」 補助金を返還するつもりはあるのか。尾身氏、東京蒲田医療センターの石井院長ともに「JCHO全体の取り組みについて、国や自治体からの要請に応じてきたものであり、東京都の令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)実施要綱に基づき申請を行ったものであります」と回答するにとどめた。返還するつもりはなさそうだ。「蒲田医療センターに関しては、8月初旬ではコロナ患者の受入は20数人で搬送要請を一貫して避け続けていた。恒常的に人手が足りずに対応できないのなら、補助金だけ受け入れ続けるのは、あきらかなぼったくりだと思います」(前出の厚労省関係者) 人手不足については、「非常勤の医師や看護師を本気で集めれば、対応できる」(上氏)などと疑問の声があがる。 この危機的状況においてどこまで本気で取り組むか。理事長たる尾身氏の手腕が問われている。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)*  *  *尾身茂氏からの回答全文は以下の通り 私共、JCHOは、これまでに国からの増床の要請について、全国のJCHO病院、特にJCHO都内5病院と連携・役割分担しながら対応してきました。この結果、都内JCHOの5病院では全病床の13%程度にあたる189床のコロナ病床を確保しました。 昨日、東京蒲田医療センターの石井院長が回答したとおり、東京蒲田医療センターにおいては、新型コロナウイルスの発生初期より、国からの要請に積極的に応えてきました。 例えば、クルーズ船患者の受け入れの際に1病棟(29床)を確保、さらに、令和3年2月には、もう1病棟(49床)の患者さんの転院等を行い、コロナ専用病棟に転換しました。その際、新たに生じる看護師不足については、全国のJCHO病院からの派遣によって確保してきました。 また、JCHOは、国からの要請に基づきJCHO以外の医療逼迫地域(北海道・沖縄等)の病院へ、全国のJCHO病院から看護師の派遣を行ってきました。しかし、全国的な感染拡大に伴い、各地域においても看護師のニーズが高まってきた結果、全国のJCHO病院から東京蒲田医療センターへの派遣が困難となってきました。 このため8月27日(金)時点では、東京蒲田医療センターでは5割程度の受入れとなっておりますが、JCHOの都内のその他の病院では確保病床の9割程度を受け入れており、全体では確保病床の7割程度の受け入れとなっております。 東京蒲田医療センターでは、国や都からの受け入れ増加の要請に応えるため、8月16日から看護師を追加で確保し、受け入れ増加に向けて取り組んでいます。 なお、JCHO全体の取り組みについて、国や自治体からの要請に応じてきたものであり、東京都の令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)実施要綱に基づき申請を行ったものであります。

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    小林麻耶が離婚へ 夫から解放されても修復が難しい「海老蔵一家」と「TBS」

     今年3月から別居状態にあった小林麻耶(41)と夫の國光吟氏(37)が離婚に向けて協議を始めたという。7月1日発売の「女性セブン」によると、当初は麻耶自身も別居が一時的なものになるか、離婚への準備期間となるかはわかっていなかったが、周囲のサポートもあり自分の意思で結論を出す段階に入ったようだ。 2人が結婚を発表したのは2018年7月。出会って2カ月、“交際ゼロ日”での電撃婚は周囲を驚かせたのはもちろんだが、國光さんの行うスピリチュアル色の強いセラピーやカウンセリングなどに傾倒する麻耶を心配する声も少なくなかった。「それ以降の2人の行動といえば、まるで麻耶さんのマネジャーのようにどこへ行くのにも國光さんが同行し、次第に仕事場でも國光さんが口を出すようになったといいます。そして昨年11月に『グッとラック!』(TBS系)の電撃降板と所属事務所との契約解除があり、麻耶さんの彼への依存ぶりが心配され始めました」(女性誌記者) 一時期は麻耶が「洗脳状態」にあるのでは?などと心配もされたが、次第に2人の関係は冷めていったようだ。結局、3月には別居となったが、國光氏と距離をとった麻耶を誰よりもサポートして見守り続けたのは、麻耶の母親だったという。「お母さんの元に戻ってからは、麻耶さんも徐々にこれまでのことを冷静に振り返ることができるようになったそうですが、最も彼女の心を揺り動かしたのは麗禾ちゃん(9)と勸玄くん(8)の存在です。國光さんと結婚してからは、海老蔵さん一家とも以前のように頻繁に関わることがなくなり、あれほどかわいがっていた子どもたちともここ1年ぐらいは会っていないといいます。お母さんは、麻央さんの闘病中には麗禾ちゃんと勸玄くんの面倒を見て家事一切を取り仕切っていました。お母さんから伝え聞く2人の様子やYouTubeで見る成長ぶりに会えない辛さが募ったのでしょう。そんな麻耶さんの異変に気づいて、お母さんはメンタル面も含めてフォローし続けているそうです」(同前) だが、仮に離婚が成立したとしても、今後の麻耶の状況が元通りになるかといえば、「すぐには難しいかもしれない」と芸能ジャーナリストは話す。「まずは麗禾ちゃんと勸玄くんとの関係です。麻央さんの闘病中はお母さんと共に彼女もよく面倒を見ていて、子どもたちも懐いていましたが、海老蔵さんが現在の状態のまま、麻耶さんと距離をとり続けるのであれば、以前のような家族ぐるみの関係に戻るには時間がかかるでしょう。海老蔵さんはこれからは『十三代目市川團十郎白猿』と『八代目市川新之助』の襲名披露公演も控えていますから、あまり“雑音”は入れたくないのではないでしょうか」 また、広告代理店関係者は麻耶の復帰をこう心配する。「いずれ麻耶さんも仕事復帰を考えているでしょうが、義理を欠くようなことをしてしまった古巣のTBSや前の所属事務所からのバックアップは期待できないでしょう。それ以上に、はたしてタレントとして需要があるのかも疑問です。國光氏とのお騒がせカップルのイメージがまだ根強く残っていますから、CMや司会などで起用するのは厳しいのでは」 麻耶はこの日、自身のブログを更新したが、離婚報道には言及しなかった。“目が覚めた”麻耶が目の前に待ち受ける新たな壁に気づき、それを乗り越えた時に、彼女は本当に自由になれるのかもしれない。(宮本エミ)

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    「空気感染」が主流だった 滞留12時間超のエアロゾルにもやっぱり「マスク」と「換気」

     感染した人から飛び散る、ウイルスを含んだ微小な粒子、エアロゾルによる空気感染が主な感染経路だとわかってきた。マスクのつけ方や換気がより重要になる。AERA 2021年9月13日号から。*  *  *「空気感染が主たる経路であると考えられるようになっている現在……(中略)様々な方法が残されており、それらによる感染拡大の阻止は可能である」 8月18日、物理学や感染症など多彩な専門の科学者約30人が、もっと空気感染を重視した新型コロナウイルス対策をとるよう求める緊急声明を出した。「政府の分科会などの専門家が国民に対してきちんと新型コロナウイルスは空気感染すると説明していないために、個人も職場や学校などでも空気感染対策が不十分です。政府の対策には部分的に空気感染対策になっているものもありますが、改善の余地がまだたくさんあります」 声明への賛同者の一人、仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長は指摘する。 厚生労働省は、サイト「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)8月26日版」で感染経路について、「一般的には飛沫感染、接触感染で感染します」と説明している。■WHOも注意喚起 飛沫は、せきやくしゃみなどをした時に出る唾やのどの粘液などのしぶきだ。近くにいる人が飛沫を浴び、そこに含まれるウイルスに感染するのが飛沫感染で、飛沫が付着したものを触ることで起こるのが接触感染だ。 一方、空気感染は、エアロゾル(飛沫核)という、飛沫よりも小さな液体粒子に含まれるウイルスで起こる。エアロゾルも元は唾や粘液などの体液だ。飛沫より小さいので遠くまで飛び、より長い時間漂っている。厚労省の説明にはエアロゾルや飛沫核への言及は一切ない。 昨年、パンデミックが始まった当初は、日本だけでなく多くの国で感染経路は主に飛沫感染と接触感染だと考えられていた。しかし、昨年7月、西村センター長を含め世界の感染症や環境工学などの専門家200人以上が、空気感染の可能性が高いと注意喚起する見解を米感染症学会の学術誌に発表した。 世界保健機関(WHO)はこれを受けて同月、「人の密集した換気の悪い空間で、空気感染が起きた可能性は否定できない」と、限定的に空気感染の発生を認めた。それが今年4月には、感染経路についての説明文を変更し、「ウイルスの含まれたエアロゾルや飛沫を吸い込んだり、それらが目や鼻、口に直接入ったりして感染する」と、エアロゾルを飛沫より先に言及するようになった。 WHOが感染経路に関する見解を修正した背景の一つは、コールセンターや食肉加工工場での集団感染など、空気感染でなければ説明できない感染事例が多数、報告されていることだ。加えて、微小な粒子の空気中の動きや大きさなどを分析する最新技術を使ったさまざまな研究による知見が蓄積されてきた。 米科学誌「サイエンス」電子版に8月27日公表された台湾や米国などの研究チームによる総説(解説)は、200本以上の論文を基に、新型コロナウイルスを中心に呼吸器感染症の空気感染についての最新の知見を紹介している。空気感染が当初の想定よりも新型コロナウイルスの感染拡大に寄与していると考えられる理由をこう説明する。「換気の悪い屋内で感染が起きやすく屋外では起きにくいという疫学データは、空気感染でしか説明できない。飛沫感染や接触感染の起こりやすさは、換気の良し悪し、屋内や屋外という違いに影響されないからだ」 従来は、エアロゾルは直径5マイクロメートル(μm・千分の1ミリ)未満、飛沫は5~100μm程度とされてきた。しかし、新型コロナウイルスの粒子の大きさによる空気中の動態の違いなどを観察すると、5μmではなく、むしろ100μmを境に性質の違いが明確になるため、100μmで線引きするべきだと考える専門家が増えてきた。 100μm以下をエアロゾルと定義するにしても、生じるエアロゾルの多くは5μm以下だという。 以前は、小さなエアロゾルは人工呼吸器の管を抜くといった医療行為で生じるとされてきたが、せきやくしゃみでも出るし、歌う、大声を出す、話す、呼吸をするなどの最中にも発生することがわかってきた。米国の研究チームの実験では、1分間おしゃべりをする間に平均で1千個ほど発生したという。 ただし、感染者から出るエアロゾルや飛沫のすべてにウイルスが含まれるとは限らない。また、含まれるウイルスにいつまで感染力があるのかは、液体成分などによって異なる。■2mを超えて漂う サイエンス誌の総説によると、100μm超の飛沫は重力の法則により、高さ1.5メートルで排出されると5秒未満で1~2メートルも飛ばず落下する。 エアロゾルは大きさが5μmなら33分間、1μmなら12時間以上漂い、2メートル以上遠くまで行く可能性がある。空調システムによっては、別の部屋に流れていくこともある。ニュージーランドでは帰国した人が隔離生活を送る建物の空調が上下の部屋でつながっていたために、上下の部屋で感染が起きた。 ただし、西村センター長は、空気感染することと、感染しやすさは別の問題だと言う。「空気感染について、すれ違っただけでうつる、感染がまたたく間に広がる、というイメージを持つ人がいますが、感染を媒介するのが空気というだけです。レジオネラ菌のように、ヒトからヒトには感染しない空気感染する病原体もあります」 空気感染の場合でも飛沫感染同様、やはり感染者の近くにいる人が感染しやすく、離れれば感染のリスクは低くなる。感染者の周りはエアロゾルの濃度が高いからだ。人との距離をあける、3密を避けるといった対策は空気感染の場合も有効だ。 空気感染を念頭に置いた対策として、冒頭の緊急声明はマスクと換気の重要性を強調する。■マスクはぴったり装着 米疾病対策センター(CDC)などによると、不織布マスクは効果が高い。ただし、鼻や頬、あごにぴったりくっつくように着用しないと、隙間からエアロゾルが出入りしてしまう。「ポリウレタン製のマスクは単独ではほとんど効果がありませんが、不織布マスクを顔に密着させるために、不織布マスクの上から装着するのはひとつの手段です」(西村センター長) マウスシールドやフェイスシールドは空気感染を防ぐ効果はほとんどない。米サイエンス誌の総説によると、フェイスシールドは単独の場合、エアロゾルがシールドの下部にたまり、むしろ感染リスクを高める恐れもある。飲食店で使われる透明なパーティションも、パーティション内部のエアロゾルの濃度を高める恐れがあるという。 住宅の換気は、熱中症などに注意しながらこまめに窓やドアを複数箇所開ける。それが無理なら、扇風機を使って部屋の空気が外に出やすいようにする。24時間換気システムが設置されているなら常時、稼働させ、キッチンや洗面所などの換気扇もこまめに稼働させるといい。 人の大勢集まるビルの場合、フィルター付き空気清浄機を導入したり、UV殺菌装置でウイルスを不活化したり、二酸化炭素濃度測定器をおいて換気の必要性をこまめにチェックしたりするのも対策のひとつだ。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)※AERA 2021年9月13日号

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    【独自】東京都医師会幹部らの病院でコロナ病床の56%は空床 直撃に「不適切な補助金は返還したい」

     デルタ株による感染拡大はピークを越えつつあるが、東京都では9月10日現在で、新型コロナウイルスの新規感染者は1242人、死者15人、現在入院している重症患者は243人、自宅療養者は1万1千人以上と依然として多い。救急搬送が困難な状況も続いている。そんな中、医療ひっ迫を訴える東京都医師会、病院協会の幹部の病院で、補助金を受けながらも病床使用率が20%を切る病院もあることが、AERAdot.が厚労省関係者から入手した資料でわかった。*  *  * 医療ひっ迫の危機が指摘されている中、東京都医師会の尾崎治夫会長は「臨時医療施設を、ぜひいくつか作っていただきたい」などとたびたび語っている。こうした要望を受けて、東京都では野戦病院(臨時医療施設)の設置が進んでいる。旧こどもの城で設置されたほか、旧築地市場の跡地や味の素スタジアム内でも準備が進む。 他方で、東京都は6583床のコロナ患者用の病床を確保しているというが、実際に使われているのは、3754床にとどまっている。2829床が「幽霊病床」とされる。 民間病院と言えども、コロナ患者を受け入れる責任はある。厚労省が、新たに病床を確保した病院には1床につき最大1950万円の補助金を出しているほか、空床でも1床につき1日7万1千円の補助金なども出しているからだ。 田村憲久厚生労働大臣と小池百合子東京都知事は、こうした実態を問題視。コロナ患者を最大限受け入れることを要請し、正当な理由なく要請に応じず、勧告にも従わない場合は名前を公表する姿勢を見せている。しかし、厚労省関係者は「実は医師会が病院名の公表には執拗に反対している。その結果、コロナ患者の受け入れが進んでいない」という。 AERAdot.では、東京都医師会会員の病院や病院協会に所属する病院のコロナ患者用の病床数と実際の入院患者数、病床使用率のデータを、厚労省関係者から独自に入手した。 リストには都内の37病院の「極秘」とされる実態が記されていた。コロナ患者用の病床は614床、そのうち入院患者数は268人。病床使用率は44%にとどまった(数字は9月6日時点)。 さらに東京都医師会や病院協会の幹部でもコロナ患者を受け入れていない実態もわかった。資料によると、A病院ではコロナ患者用の病床を16床確保しているが、コロナの入院患者は3人、病床使用率は19%だった。B病院では29床のうち8人、28%、C病院では43病床のうち16人、37%、D病院では50床のうち28人、56%、E病院では52床のうち34人、65%、F病院は22床のうち15人、68%だった。 厚労省関係者はこう語る。「東京都医師会の尾崎会長は『野戦病院を作れ、そうすれば協力する』といっています。既に臨時の医療施設は急 ピッチで開設されています。尾崎会長の発言は裏を返せば、『ハコを作らなければ、協力しない』ともとれ、おかしな話です。空床のまま補助金だけが入っている状況がある。医療崩壊を叫ぶのであれば、先ずは自分たちの足元の医療機関できちんとコロナ患者を受け入れさせるのが先決ではないでしょうか」 なぜコロナ病床を空けたままにしているのか、補助金は返還する予定はあるか、東京都医師会幹部がトップを務める各病院に見解を質した。 A、B、C、E病院からは「多忙のため対応できない」などと取材拒否された。 D病院は「事実誤認がある」として「6日時点の入院患者数はコロナ陽性26人、疑似症を含めると14人、合計40人、病床利用率80%となります」などと回答してきた。 F病院はコロナ患者の受け入れ数については「6日の継続入院者数は34名」と認めた上で、「この継続入院患者数は、当日の入退院患者を含んでいませんので、実際に利用した人数より低くなります」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない理由について、下記の回答が来た。「9月になり比較的短期間で入院患者は減少しておりますが、8月第4週ごろはピークにあり、8月25日には47名の入院患者(90%の稼働)がありました。病床の利用状況は感染状況とともに細かく変動しております。この時期には人工呼吸器が外れたばかりの不安定な患者が多く、現場の負担は高まっておりました。状況が急に悪化する症例に対応する場合は入院応需ができなくなることもありました」「当院は東京都の計画では軽症から中等症に対応するべき病院群に分類されております。病院は200床に満たない施設でマンパワーに限りがあり少人数のローテーションで対応しておりますので、人工呼吸器が必要な重症患者が1名いるだけでも、途端に病棟管理への影響が大きくなります。重症患者のすべてを高次施設で対応することは難しい状況ですので、当院での治療が可能な限り人工呼吸器を用いるような症例にも対応の努力を続けて参りました。9月になっても人工呼吸器を用いる重症患者は4例に及びます」「また当院では少数にとどまってはおりますが、スタッフの感染者数や濃厚接触者による人員減少の影響は大きいと思われます。病床利用率も指標の一つですが、感染状況を鋭敏に反映しておりますし、患者重症度や、人員数など様々な不測の要素があり、日々変動しています」「なお、病床利用についてですが、多床室で男女混合はできない、重症度によって利用できる病床が限られる、清掃消毒などにより使用不能な時間がある、など様々な避けられない理由で一定の病床が利用できなくなるため、8―9割以上のベッドが常時稼働することは現実的ではありません。ベッド稼働が9割に達した今回の8月後半は非常に厳しい状況であったと考えられます。病床利用率だけで、行われている医療の状況を判断するのではなく、多角的な見方を要するように思います」 補助金の返還などを考えているかの質問については、「不適切な補助金は返還します」と回答した。 コロナ患者を受け入れていない病院に対して、東京都医師会はどのような見解なのか。尾崎治夫会長に「使われていない病床が約2千床あること」、「空床のまま医師会構成員の医療機関に補助金が入ること」の見解を尋ねた。(尾崎会長の病院はリストに記載されていない)。  すると、「(空床について)東京都からデータをもらっていないのでわからない」、「医師会構成員という言葉がわからないので、回答は控えたい」と広報担当を通じて回答が来た。 補助金を受けながらも、患者を受け入れない状況について、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は「厚労省のもともとの制度設計に問題がある」と指摘する。厚労省は補助金給付の要件に、「コロナ患者の受け入れ」を入れていない。そのため実際に患者を受け入れていなくても補助金が入る仕組みになっているという。「通常の補助金であれば、患者の受け入れなどの実績があって、お金を出す形になります。しかし、厚労省がコロナ患者の受け入れ体制ができていないという批判を受けて病床確保の数だけを追求した結果、患者を受け入れなくても補助金を出す制度になった。その結果、実際には稼働できない病床ができた。民間病院はギリギリの医者、看護師しか持っていないから限界があります。本来であれば、国立病院や、尾身茂氏が理事長を務める、独立行政法人のJCHO(地域医療機能推進機構)の病院が患者を受け入れる話ですが、そこも受け入れに消極的で補助金だけを受け取る状況になっている。そんな中、民間病院で積極的に受け入れるなんて話になるはずがありません」 医療がひっ迫する中、未だに1万1千人以上いる自宅療養者を置き去りにするようなことがあってはならない。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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    眞子さまが選んだアメリカへの“駆け落ち婚”の先にある「パパラッチ」と「生活費」の不安

     9月1日、秋篠宮家の長女である眞子さま(29)と小室圭さん(29)が年内にも結婚される方向で調整されていると報じられた。 お二人が婚約内定の記者会見をされた2017年9月から4年。小室さんの母親・佳代さんと元婚約者の間で「金銭トラブル」が報じられたことで延期になっていたが、正式な婚約となる皇室行事「納采の儀」や結婚に関連する儀式を行わずに、婚姻届を提出するということになるという。「儀式を行わずに結婚されれば、戦後の皇室では初めてのこと。眞子さまは、結婚により皇籍を離れ、結婚後は小室さんが滞在するアメリカで生活される見通しだといいますが、昨年、秋篠宮さまが示した『多くの人が納得し、喜んでくれる状況』からは程遠く、金銭問題も未解決のまま。まるで“駆け落ち婚”のようです」(皇室記者) 秋篠宮さまは昨年「憲法にも、結婚は両性の合意のみに基づくというのがあります」と結婚を認めるお考えを示されていたが、確かに女性皇族である眞子さまは、法的には当事者だけの合意のみで結婚できる。 さらに皇室を離れる際に支給される一時金(上限約1億5000万円)については受け取りを辞退する意向とも伝えられ、結婚後は小室さんが暮らす米国での生活を視野に入れているという。「昨年の秋頃から、眞子さまが30歳を迎える今年中には結婚される可能性が高いと皇室関係者の間では言われ続けていました。小室さんは今年5月に米ニューヨーク州のロースクールを卒業、7月に司法試験を受験し、12月中旬までには合否が判明します。米国では卒業時にはほとんどの学生が就職の内定をもらっていますから、小室さんもすでに就職の道筋はついているのでしょう。結婚後の生活基盤もできたことで、眞子さまとの新生活をスタートする準備が整った段階で婚姻届を提出するという流れは、おそらくお二人の計画だったと思います」(同) お二人が海外で生活をすると決めた背景には、これまでのようにマスコミに追われることなく静かに暮らしたいというお気持ちもあったのかもしれない。だが「メディアから解放されるどころか、もっと追われる可能性が高い」と話すのは皇室ジャーナリストだ。「小室さんが留学した時の紹介文に『プリンセス・マコのフィアンセ』という文言があったように、眞子さまが皇室を離れたとしても、皇族であったこと、将来の天皇陛下の姉にあたるという事実は変わりません。イギリス王室から離れたとしてもヘンリー王子とメーガン妃が王室の一員であったということに変わりはないのと同じです。まして、皇室行事などをせずに“駆け落ち”同然で結婚したとなれば、日本のメディアはアメリカまで追いかけていくでしょうし、アメリカのパパラッチも狙ってくるでしょう」(同前) また、皇籍離脱をしても、一般人と同じセキュリティーというわけにはいかないのでは、と話すのは海外在住のジャーナリストだ。「警備に関しては日本にいる時のように、税金で警備はしてもらえません。現地の大使館や領事館を通じて現地の市警とも密に連絡を取らなければなりません。仮にパパラッチに付きまとわれて、事故などが起きた場合は外交問題にまで及ぶ可能性もありますから、警備は重要になります。しかも、警備費はほとんどが自費で賄うことになるでしょうし、日本の警備費の何倍もの高額です。一時金でも足りないぐらいの費用になるでしょう。小室さんは、就職が内定していても初任給は1500万円とも2000万円ともいわれますが、ニューヨークで暮らす場合、東京よりも物価も家賃も高く、保険はさらに高額になります。小室さんの給料だけでは、ギリギリなのではないでしょうか」 愛さえあれば、2人でいれば、どんな困難も乗り越えられる……という純愛を貫いて結婚を待ち望んでいた眞子さまだが、結婚後はまた別の懸念材料が増えることになりそうだ。(緒方博子)

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    眞子さまと小室さん 甘くないNY生活 「アジアの元プリンセス」警護で米国民が猛反発も

     眞子さまと小室圭さんが年内に結婚し、米国のニューヨーク(以下はNY)を拠点に生活する見通しであることが報じられた。  海の向こうで、ふたりはどのような生活を送るのか。治安がよいとはいえないNY生活で、関心を集めているのが警備の問題だ。NY現地の警備で高額の費用が拠出されるといった記事もあるが、大使経験者らに現地の事情を聞くと、手厚い庇護をうけた「甘い生活」とは行かないようだ。 眞子さまら皇室メンバーは、つねに皇宮警察や管轄の警察の警備に守られた生活を送ってきた。眞子さまも公務中はもちろん、学校や職場、私的なお出かけの間も護衛がついているわけだ。 結婚して民間人になれば、理屈のうえでは皇宮警察や警視庁の警護対象者から外れる。護衛や生活などを国費でまかなうことはなくなり、自分たちで生活するのが基本だ。 とはいえ、内親王ともなれば、そう単純でもない。たとえば上皇ご夫妻の長女、黒田清子さん(紀宮さま)は、民間人となって数年の間は、スーパーで買い物をしている最中も女性の警察官がそばにつきそっていた。 というのも皇室の外に出た元皇族女性が犯罪に巻き込まれる事件が、過去に起きているからだ。 昭和天皇の三女・鷹司和子さん(孝宮)は、摂政や関白を務めた五摂家のひとつ、鷹司家の平通さんと結婚した。戦後初めての女性皇族の結婚であり、華族制度の廃止によって「平民への初の嫁入り」と騒がれた。だが、1966年には平通さんが銀座のママの自宅でガス中毒死する。そして2年後、和子さんは強盗に遭う。自宅の台所に包丁を持った男が侵入。口をふさがれ、けがを負ったが、自力で玄関まで逃げた。娘の境遇をふびんに思った昭和天皇のはからいで、赤坂御用地内の古い木造平屋の乳人官舎に移り住み、伊勢神宮の祭主を務めながらひっそりと暮らした。  昭和天皇の五女の島津貴子さん(清宮)も、犯罪に巻き込まれかけている。1960年に結婚したのち、1カ月ほどで警護は解かれた。だが3年後に5000万円の身代金を計画した島津貴子さんの誘拐未遂事件が発覚して大騒ぎになった。 民間の生活になれない元皇族女性を狙った事件が続いたことから、清子さんのように、警視庁が目立たない形で護衛を続ける例もあるようだ。 では、外国で暮らす場合はどうなるのか。「日本の警察が外国で、武器を携帯して元プリンセスを守ることはできません。現地の大使館には、警察庁の人間も書記官などの身分で出向していますが、こちらも同様です。犯罪などから守ってくれるのは、現地の警察ですが、たいした護衛は期待できないでしょう」 そう話すのは外交官として大使などの要職を歴任した人物だ。「どの国の中央政府も、国内に滞在する政治要人や元ロイヤルを含むロイヤルメンバー、皇室メンバーのリストを把握している。眞子さまにNY市警などの警備をつけたければ日本政府が米国の連邦政府などを通じて眞子さまの警備をお願いし、さらに米国政府が応じることが前提になる。米国が応じなければ、眞子さまと小室さんの自宅周辺を、ときおり警察が巡回する程度でしょう」 世界中を見渡せば、王室の親族も含めるとロイヤルに連なる人間は、意外に多い。 一夫多妻制の国の王子や王女は、それこそ何千人もいるなどと言われる。ましてやNYは、留学やビジネスをふくめて、ロイヤルに連なる肩書を持つ人間が集まる場所でもある。 一方でNYは、新型コロナウイルスの影響で未曾有の不況下にあるうえに、治安も悪化している。「NY市警も、アジアの元プリンセスに手厚い警護を行い続けるだけの体力もないでしょう。ましてや欧米の国民は、税金の使い道にシビアです」(先の元外交官) 参考になるのは、へンリー王子とメーガン妃の例だろう。 ヘンリー王子夫妻は、離脱前の2019年冬からカナダのバンクーバー島にある海岸沿いの邸宅を生活拠点としていた。 カナダは英連邦の加盟国。カナダ騎馬警察(RCMP、連邦警察)は、ロンドン警視庁の要請を受けて国際条約に基づき夫妻の警護を提供してきた。 カナダ国民は夫妻を歓迎したが、滞在が長引くにつれ、世論調査では夫妻の警護費用に税金を投入すべきではないとの声が77%にまで高まり出した。  そうしたなかヘンリー王子夫妻が「王室離脱宣言」をする。さらに、王室の高位メンバーから外れることが明らかになると、カナダ政府の対応は早かった。カナダ政府は、2020年2月、「夫妻の地位の変化に伴い、今後数週間以内に」終了すると発表したのだ。 ちなみに、王立カナダ騎馬警察が公式文書で明らかにしたところでは、夫妻が滞在した11月から2か月間の警備で、最低でも約432万円のカナダの税金が投入されている。この警備費に騎馬警察の人件費は含まれていない。カナダでの滞在は5カ月に及んだ。警備費はさらにふくれあがったはずだ。 どの国でも政府は、国民の反応に敏感だ。 夫妻がカナダから米ロサンゼルスに拠点を移すと、当時のトランプ大統領も、すぐに反応した。 ふたりの警備費の負担を拒否する方針をツイッターで公表。すると、米国民から「最高の決断だ、大統領!」と称賛の嵐が巻き起こった。 一方で、元宮内庁職員は、むしろ眞子さまが警護などの待遇を望まない可能性を指摘する。世界経済の中心地のひとつであり、世界中から人が集まるのが NYだ。互いに必要以上に干渉しない、匿名性の高さもまた、この街の魅力だ。「眞子さまは日本にいる限り、元皇族としての視線から逃れられません。しがらみから逃れて、一市民として自由にお暮らしになりたいのではないでしょうか。一時金さえ受け取らない意向を示されているのですから、ご自身で警護をお断りになる可能性もあります。それに、そうした待遇を受ければ、『民間人になっても税金を使って』と日本で非難が高まるのは、目に見えていますからね」(元宮内庁職員) 前出の元外交官はこう話す。 「あとはNYの総領事などが、定期的に眞子さまや小室さんを招待して、困りごとはないか、などのフォローぐらいはできるでしょう」 皇室の庇護から離れたた元内親王を待ち受けるのは、甘い生活とは行かないようだ。(AERAdot.編集部 永井貴子)

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    「ダウン症の娘を守りたい」と願う36歳母親に鴻上尚史が語る「障害のある子を人々の悪意から守るたった一つの方法」

     ダウン症の娘をもつ38歳母親が、人々の悪意が我が子に向けられたらと不安を吐露。「気持ちの持ち方についてアドバイスを」と問う相談者に、鴻上尚史が答えた「障害のある子を守るたった一つの方法」とは?【相談116】障害のある娘をどうしたら人々の悪意から守れるのか(36歳 女性 くじら) 鴻上さん、はじめまして。いつも楽しくそして何度も頷きながら拝読しております。 私は現在36歳で、共働きで保育園に通う2人の子供を育てています。 我が家の次女は、ダウン症があります。産後すぐは、長女になんて申し訳ないことをしてしまったんだろう、どうしたら妊娠前に時間が戻せるんだろう、などと今思うと最低のことを思ってしまったこともありました。しばらくは次女といても気持ちに靄がかかったような状態だったものの、次女の可愛さが少しずつそれを晴らしてくれ、今ではこの子じゃなければよかったという気持ちは1%もないと自信を持って言えます。 幸い周りの環境にも恵まれ、保育園の先生方や主治医など優しい方々に囲まれて、なにより子供たちの可愛さに救われて(大変さも同じくらいありますが……)楽しく毎日を過ごしています。 さて、ご相談したいのはこれから次女が成長し、学校、社会に出て行く中で、どうしたら悪意のある人から守れるのか、ということです。つい先日某ミュージシャンの過去の行為がニュースになり、同じように不安に思い動揺している方がたくさんいるのではないかと思います。大きくは次女に限らず、健常である長女を含め、全ての子供たちに関わる問題だと思います。 あのニュースを見てから(過去の記事を全て読んだわけではないのですが)心がえぐられたような感覚が消えません。被害に遭われた方を思うと涙が出ますし、次女にそんなことが起こったらと思うと、動悸がして胸が苦しくなります。 親ができることとしてはとにかく環境をよく考えて選んで、できる限りのことをするしかないのだとは思っています(被害者の方のご両親がよく考えていなかったということでは全くありません)。 ただ、次女の出産後これほどの悪意が世の中にあることを想像したことがなく(電車などでちらちら見られるくらいのことはありましたが)、次女にもいろんな経験をして好きなことを見つけてほしいと考えており、それが子育ての希望にもなっていたため、「そんなことよりも、とにかく安全に過ごせる場所にいさせてあげなくては」と自分が次女を狭い世界に閉じ込めてしまうようになるのでは、ということも不安です。 例えば小学校も、長女も通う予定の地域の小学校で(普通級ではなく支援学級になると思いますが)健常の子たちとも関わりながら生活をするのが次女の成長にとっても良いのではないかと思い(そしてダウン症児の親としては、ハンディキャップがある子が当然に身近にいる環境で育つことで、周りの子供たちが障害に対してフラットな「いろんな子がいて当然だよね」という意識を持って成長してくれたらいいな……という願いもあり)、入学を希望していましたが、それにも少し不安を感じてしまっています(通う予定の学校について悪い評判を聞いたことはないので、大丈夫だろうと頭では思っているのですが)。 大変長文になってしまい申し訳ありません。「子供たち、特に障害のある子をどうしたら悪意から守れるのか」ということについて完全な策はないのではと思うので、それを教えてほしいというわけではないのですが、このような問題について鴻上さんのお考えや、気持ちの持ち方についてアドバイスをいただけたら大変うれしいです。 もしこの相談を取り上げていただけたら、それを読んで同じように障害のある子を育てているパパ、ママたちの動揺する気持ちが少しでも穏やかになり、元気に子供たちに向き合えるようになったら、と願っています。【鴻上さんの答え】 くじらさん。暑い日が続いていますが、毎日の子育てはいかがですか? くじらさんが書かれているように、僕も「『子供たち、特に障害のある子をどうしたら悪意から守れるのか』ということについて完全な策はない」と思っています。 とても残念なことですが、問題を一気に解決するような万能な策はないでしょう。 ただ、「次善の策」はいくつかあると思っています。 そのひとつは、これもくじらさんが書かれている「周りの子供たちが障害に対してフラットな『いろんな子がいて当然だよね』という意識を持って成長して」くれる環境を用意することでしょう。 そのためには、「ハンディキャップがある子が当然に身近にいる環境」で、子供だけでなく大人も生活できることですよね。 僕は小学生の時、商店街が主催したツアーに一人で参加しました。祖父母は米穀商を営んでいて、商店街のまとめ役だったのですが、祖父母も両親も参加せずに、何故か僕一人だけが誘われました。たぶん、キャンセルが一人出て、「じゃあ、鴻上さんのところの孫を入れてあげよう」となったんじゃないかと、今となっては想像しています。 他の参加者は、みんな商店街の人達とその友達や関係者でした。 旅館に着いて、いきなり、一人の男性に話しかけられました。30歳前後に見えましたが、言葉がはっきりせず、何を言っているのか、よく分かりませんでした。 小学生だった僕は身構えて、身体が強張りました。 すると、ツアーに参加した人が、その男性に「どうしたの?」と声をかけました。 その男性は一生懸命、声をかけた人に話しました。「ははあ。君はお米屋さんの孫なの?と聞いているよ」 と、にっこり笑って、その人は僕に説明してくれました。 僕はあらためて、男性の顔を見ました。満面の笑みで、僕にむかってうなづいていました。僕もあわてて、うなづきました。「よしちゃんの言ってることは分かりにくいんだけど、よく聞けば分かるから」。説明してくれた男性は、あっさりとそう言いました。 部屋は、男達数人の相部屋でした。 食事の後、中学生や高校生、そして大人達とよしさんが一緒になってワイワイと話していました。 よしさんが必死になって何かを話し、高校生が「よしさん。何言ってるか分かんねーよ」と笑いながら突っ込み、よしさんがその言葉を聞いて大笑いし、大人が「いや、俺は分かる!」と解説し、でもよしさんが「ちがう」と訂正して、会話は続きました。 よしさんと一緒に笑っている人達は、みんな、よしさんの知り合いでした。よしさんと会話して、分かったり分からなかったりしながら、突っ込んだり、笑ったり、ムッとしたりするのが日常のようでした。 笑いの中には親しさしかありませんでした。バカにするとか、排除するという匂いはまったくありませんでした。 なによりも、よしさんと普通に接していることが、小学生の僕には驚きでした。言ってることが分からない時は分からないと言い、はっきりしゃべってない時はもっとはっきりしゃべってと言い、筋が通ってない時はこういうことなの?と確かめる。じつに、普通の会話でした。 今から思えば、よしさんは知的障害に分類されるのだと思います。でも、男部屋で一緒に寝た人達は、それが障害ではなく、よしさんの個性として当り前に接していたのです。 それは小学生だった僕には、本当に衝撃的な体験でした。ハンディキャップのある人達に対する接し方が、180度、完全に変わりました。 僕の通っていた小学校では、支援学級(昔はこの言葉ではありませんでしたが)がありましたが、どう接していいか分からず、ただ距離を取ったり、先生に言われた義務感から話しかけたりしていました。 ですが、僕はこのツアー以降、普通に接するようになりました。距離を取ったり、無理に話しかけるのではなく、目があったり、すれちがったり、空気を感じた時に自然に声をかけました。 あのツアーの体験がなかったら、決してそうはならなかっただろうと思います。 商店街のツアーは、今からもう50年も前の話で、まだ地域の共同体が健全に機能していたんだなと感じます。地域にはさまざまな人達がいて、さまざまな人達がいることが当り前で、さまざまな人達と共に生きることが当然なんだと、みんなが地域を大切にしていた時代だと思います(それは「世間」が機能していたということで、この強い「世間」から弾き飛ばされると、いきなり人々は牙をむくのですが、それはまた別の話です)。 さて、くじらさん。「障害のある子を悪意から守る」ためには、障害があることが特別なことではないと、多くの日本国民が思えることが重要なことだと思います。 それは、本当は健全な想像力があれば、分かることです。人間を「障害」や「生産性」で切り捨ててしまうことは、自分がそうなる可能性をまったく想像してないということです。 でも、人生は何が起こるか分かりません。病気や事故で、以前の「生産性」を失い、「障害」を持つようになる可能性は誰にもあります。自分は絶対にそんなことにならないと断定できる人がいるとしたら、僕には信じられないことですが、今、たまたま自分がそうでないというだけの理由で、「そういった社会的弱者」を切り捨て、悪意をぶつけることは、自分で自分の首を絞めることなのです。率先して自分自身が生き難い世の中を作っているということです。 と書きながら、私達は「当事者にならないと分からない」ことがよくあります。接客業に就いて初めて客の横柄な態度のインパクトに驚いたり、子供を持って初めて親の苦労が分かったり、リーダーにされて初めて人を指導することの難しさに苦しんだりするのです。 でも、「当事者にならない限り気持ちが分からない」のでは、いろんなことが手遅れになってしまいます。そのために想像力を使うのですが、それが不十分な時は、「当事者から話を聞く」という方法があります。 接客業に就く前に接客業の人から話を聞き、子供を持った人から子育ての苦労を聞き、リーダーになっている人から人を導く苦しさを聞くのです。 そうして、自分の不十分な想像力を補うことが、よりよく生きる方法だと僕は思っています。 だからこそ、くじらさんの相談を取り上げさせてもらいました。 くじらさんの相談は、まさに「当事者の話」です。くじらさんの苦労や苦しみを知っていくことが、「障害のある子を悪意から守る」ための一つの方法だと僕は思っているのです。 この相談を読んだ多くの人が、「いじめはそもそも許しがたいのに、障害のある子をいじめるなんてのは、言語道断、絶対に見過ごさない」と思ったり、「なるほど。なるべく障害のある子と一緒に過ごす時間を作ればいいんだ。そして自然に接してみればいいんだ」と思ってもらうことが、この国の多くの人の意識を変えていくことだと思っているのです。 名作映画『チョコレートドーナツ』を見る前と後で、ダウン症児に対する意識がまったく変わった知り合いがいます。人は、知ることで変わる可能性があるのです。 どうですか。くじらさん。 長い道ですが、少しずつ少しずつ、当事者の思いを伝え、本当の姿を知らせていくことが、ぶつけられる悪意を減らす一歩だと僕は考えているのです。 そのためにも、僕自身、作家・演出家として、できることはしようと思っています。 くじらさんの子育てを心から応援します。■本連載の書籍化第3弾!『鴻上尚史のますますほがらか人生相談』が発売中です!

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    “河野氏支持”を公言した石破派幹部が明かす河野氏からの「依頼」と石破氏の「言葉」

     テレビ朝日が「石破氏、河野氏支援を検討、不出馬で調整」という独自ニュースを報じたのは9月6日のこと。それから3日たっても、石破茂元幹事長は自民党総裁選の出馬について態度を明らかにしていない。そんな中、石破氏が顧問を務める石破派(水月会)の広報委員長を務める平将明衆院議員は、総裁選で河野太郎行政改革相の支持を公表した。なぜ、このタイミングで公然と「河野氏支持」を明言したのか。その思いを平氏に聞いた。*  *  *「9月5日に石破さんに電話して、『今回の総裁選は河野太郎さんを応援します。水月会の広報委員長を辞めさせてください』と伝えました。石破さんからは『あんたと河野さんは古い付き合いだからしょうがないわな』と了解をもらいました。石破さんはショックだったかもしれないですし、私としても苦しくて重い選択でした」 平氏は“河野氏支持”を石破氏に伝えたときの様子をこう語る。平氏は派閥の広報委員長を務めており、いわば石破派の「幹部」といえる立場だ。石破氏と電話をした翌日の6日、平氏は“けじめ”として、石破派の代表世話人を務めている鴨下一郎衆院議員に広報委員長の辞表を提出したという。「現在、辞表は鴨下さん預かりになっています。これまで石破さんは4回総裁選に出馬し、そのうちの3回を私は支援してきました。ただ、今回は以前のように熱く(派閥で)一丸となって戦う気持ちが薄れてしまった」 平氏がこのような思いに至ったのはなぜなのか。きっかけは、2019年9月に平氏が安倍晋三内閣で内閣府副大臣に任命され、各省庁を横断する任務に就いたことだったという。「IT政策や防災、サイバーセキュリティーなどを担当する副大臣を1年間務めました。台風被害やコロナ対策など、政府の対応が不十分だったところもありましたが、それはデジタル化の遅れが大きいと実感しました。そこで、昨年6月に当時の菅義偉官房長官のところへ行き、私の問題意識を進言しました。その後の総裁選で菅候補が明言したこともあり、わずか1年でデジタル庁が発足した。コロナ対応を含めて、すごいスピードで世界は進化していますし、国防、外交、経済、格差是正などすべての分野でデジタル化という点でしっかりと政策を見ないと判断を見誤るなという思いを強くしました」(同) このデジタル化への危機感が、今回の自民党総裁選における自身の行動にも大きく関係している。「昨年9月の総裁選の政策論議を聞いていて、『なにか違うな』と思ったんです。リーダーシップ層の世代交代をしないと、世界のDXのスピードについていけないと。石破さんもデジタル化では慎重論が先に立つ印象。私の問題意識からは、河野さんが一番、ふさわしいと感じるのです」(同) 河野氏はツイッターのフォロワー数が226万人を超えている。昔からネットには明るいとされ、ツイッターでもいち早く情報発信をしている。国民が知りたい情報を素早くツイッターで公開することで、若者からの人気を集めている側面もある。過去には、恋愛相談などに応じることもあり、ネット戦術にたけた政治家の1人であることは間違いない。「ツイッターのフォロワーがそれだけいるのは、河野さんがネット社会に向いているということ。それに河野さんはトライ&エラーができる政治家です。何かに挑戦して失敗しても、『ごめんなさい』と謝ることができる。その姿勢は、開発中の仕様が間違っていても改良しながら進める『アジャイル開発』ができる思考なんです。次の首相には、そういう感覚が必要だと思っています。石破さんの過去の総裁選では、私が中心となってSNSのチームを作っていましたが、河野さんからは『そういうのは平さんやってね』と頼まれています。(河野氏の出馬表明が)今週か来週になるかはわかりませんが、準備をしておいてくれということだと思います」(同) 平氏と河野氏の付き合いは2003年にさかのぼる。平氏が東京青年会議所の理事長だったときに、河野氏を講演会に呼んだことが最初の出会いだったという。石破氏が平氏と河野氏を「古い付き合いだから」と認めるのは、その人間関係の積み重ねがあるからだ。「そこからの付き合いで、衆院議員になってからも行政改革や規制改革などを一緒にやってきました。河野さんが出馬した2009年の総裁選では私は推薦人名簿にも入っています」 ただ、すでに河野氏の“弱点”としてキレやすいことが指摘されており、ツイッターでは気に入らないフォロワーをブロックすることにも疑問の声が上がっている。こうした点は、首相の資質として問題ではないのか。「各府省の官僚たちを相手に、河野さんと一緒に行政事業レビューをやっていたのですが、刑事ドラマみたいに、河野さんが若い刑事役のように突っ込んでいって、私はカツ丼で落とすような役まわりになっていたんです。だけど、河野さんが『自分ももう若手ではないからそろそろ役回りを変わってくれ』というのでチェンジしたんです。そうしたら、私がキレる前に河野さんがキレちゃって(笑)。確かにキレやすい面はありますが、それは責任ある役人の答弁があまりにいい加減な時だけです。それ以外でキレているのを私は見たことがありません。」 石破氏に近い関係者によると、石破氏自身はまだ出馬への意欲が完全に消えたわけではないという。今後の動向はどうなるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語る。「石破さんが(出馬を)迷っているのは事実です。政策もすでにつくってありますし、推薦人の20人も確保できています。二階派の議員からは『出馬しろ』という声も上がっていますが、まだ決めかねている。石破派の中で河野さんの支持を表明している議員は、そんなに多くはない。河野さんに引きずられて、石破派が全面支持に回るという状況ではありません」 一方で、河野氏は所属する麻生派の幹部たちを説得にまわっているという。「派閥の領袖である麻生太郎財務相をはじめとして、麻生派の大半は河野さんではダメだと思っている。とはいえ、他派閥の若手は河野さんを支持しており、党内の若手は河野さんに集中する可能性がある」(同) 最後に、平氏はこう言う。「石破さんが決断するのは土壇場でいいと思う。選挙の当落線上にいる自民党議員100人のうち、1人でも当選に導けるのは誰なのか、誰と誰が組むべきなのかを真剣に考える必要があります」 はたして、石破氏はどのような決断をするのか。それによって、自民党総裁選がどう転ぶかはまだまだわからない。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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    高市氏でも野田氏でもシラける女の総裁選の闘い 直木賞作家・中島京子、望月衣塑子記者

     ポスト菅をめぐる自民党総裁選(17日告示、29日投開票)は、今後予想される女性の戦いにも注目が集まっている。岸田文雄前政調会長に続き、高市早苗前総務相が正式に出馬表明し、野田聖子幹事長代行は推薦人確保に奔走中と報じられている。「日本初の女性首相誕生か」と前のめりに報じられるが、ちょっと待って、高市総理? 野田総理? 女の総裁選バトルにモノ申す!*  *  *「憧れの人は元英首相のサッチャー」 高市氏は野心を隠すことなく、このように明言してきた。いま総理の椅子に最も近づいている女性かもしれない。 これまで、自民党の総裁選に出馬した女性はただ一人。小池百合子現東京都知事が2008年に立候補した。そもそも立候補には、国会議員の20人の推薦が必要で、女性にとっては高いハードルだった。今回、高市氏は早々に推薦人確保のメドがたち、世間の人気が高いといわれる河野太郎氏よりも早く正式に立候補を表明。野田氏も意欲を示していることから、注目を浴びている。 東京新聞の望月衣塑子記者が解説する。「自民党の若手議員を中心に“菅さんじゃ選挙は勝てない”という空気があった。菅降ろしと連動して“顔”を選ぶにあたって、今の時代、女性を打ち出した方がいいという流れはあった」 それでいち早く出てきたのが高市氏だったので、望月記者は驚いたという。「ビックリしたというよりは、がっかりです。同じ女性として応援は……。高市氏は女性の代弁者かというと、女性のお面をかぶった古い男性といいますか、男尊女卑ともとらえられる発言が目立ちますから」 似たような感想をもつ女性は少なくない。直木賞作家の中島京子さんも指摘する。「あからさまに男尊女卑的な態度や政策を取り続ける自民党ですら、体面上は、女性候補を出さなければならない時代になったということでしょう。しかし、総裁選は所詮、自民党内の派閥争いでしかない。茶番に近い候補者乱立が予想される中、ことさら“女性”だからと出馬に意味があるように捉えられること自体に違和感を覚えます」 とはいえ、総裁選の候補者として出る限りは、国政に対する自身の考えや具体的な政策を国民に説明して当たり前。高市氏が出馬会見で打ち出したのが、経済政策「サナエノミクス」で、「3本の矢」として「金融緩和」「緊急時の機動的な財政出動」「大胆な危機管理投資と成長投資」を掲げた。「サナエノミクス、ですか? ネーミングからしても、有権者をバカにしているのかなぁと感じました」(中島さん) 高市氏の政策はどこか既視感があるが、サナエノミクスは、安倍晋三前首相が掲げた「アベノミクス」路線を引き継ぐものだからだ。これに対して、望月記者も「安倍政権の上書き」としてこう言う。「せっかく女性が主導的立場になろうと出てきたのに、女性ならではの視点で練り上げた政策は一切出てこなかった。サナエノミクスは基本、新しいものはなく、安倍さんの政策を踏襲、一部を更新し、ネット民に受けるよう過激化させただけ。」 高市氏の政策から読み取れるものは結局、「安倍さんへの忖度」(望月記者)だったという。「安倍崇拝ともいえる状況が、綿々と続いている。高市氏だけではありません。河野氏は、本心としては脱原発だと思いますが、出馬前に安倍氏に会って再稼働しますと約束しました。男も女も安倍氏への過剰な配慮です。その裏には何があるのでしょうか。安倍氏が実質取り仕切る、最大派閥の細田派の票の取り込みは、勝敗をわける鍵なのでしょうが、女性なら空気が変わるかといえば、これではクリーンな政治は望めません」(望月記者) 一方の野田氏は、まだ正式に出馬表明はしていない。以前から政策の基本方針としては、「自分のことだけでなく、女性や高齢者、障害者をはじめ全ての国民、全ての地方が活躍できる制度を構築する『やさしさ』をもつ」ことを掲げている。障害のある子どもを育てる母親でもあり、野田氏の政治姿勢は自民党内ではリベラル寄りだ。 望月記者は野田氏をそれなりに評価しているという。「野田氏は自民党の幹事長代行で、大臣も何度か経験している。与党の動きもわかっている。フランクで話しやすい人柄で、官僚たちにも野田ファンは多いのです。軸が見えないところがあるけれども、理想や理念だけでは政治は動かせないから、官僚のアイデアを入れながら、どのように政治主導していくか。野田氏くらいの女性のベテランが一番いいのだろうなとは思います」(望月記者) 人柄と政治手腕はある程度評価されている野田氏。ただ、能力や適性があるからといって、総裁選に出られるわけではない。今、野田氏の足を引っ張るのが夫の疑惑だ。出馬も難しいという声も漏れる。「野田氏イコール夫ではないわけで……。たとえば、夫婦別姓が進んでいるフランスならば、夫がどうであろうが妻は別人格ととらえられるでしょう。個が確立して、認められている社会ならば、野田氏の夫の件も切り離して考えられると思いますが、日本は夫婦が一体に見られてしまう。男性総裁候補者で妻に何か懸念点があるという逆バージョンだったら、ここまで焦点になるかは疑問です。あくまでも、政治家の世界においてですが、日本で生き残るには小池百合子都知事のように独身を貫くしかないのかもしれません」(望月記者) 背後に安倍氏が見え隠れする高市氏、脛に傷を抱えているような野田氏だが、中島さんは高市総理も野田総理もあり得ないと話す。「高市さんも野田さんも総理総裁にはならないと思います。高市さんは安倍元首相の極端な思想をそっくり持っている人物なので、“名誉男性”的なポジションなのではないでしょうか。たとえると、性別が女性の“おっさん”。野田さんは自民党内ではリベラルを標榜してきた人ですが、“女性はうそをつく”発言の杉田水脈議員の辞職を求める署名を受け取らなかった。大事なところで腰の引けた態度しかとれなかったのが残念です」(中島さん) 最後に、高市氏や野田氏以外で、総理の器があると思える女性議員の名前を挙げてもらった。「女性首相第1号に推すなら、福島瑞穂さん。野党が合意した政策はしっかりしたもので、福島さんなら実現してくれると思うし、この10年の不正をただし、まっとうな政治をやってくれると思います」(中島さん) 一方、望月記者はこう見る。「前男女共同参画担当相の橋本聖子さんは、ジェンダー平等を訴える若手の女性起業家や学生らに一目置かれていました。でも、総裁選には名前が出てこないのです。総裁選に出るような女性議員は、自民党内でキワモノ扱いをされている感も否めない。女性として生きてきた実感から、今の日本の社会を変えていかなければならないという志のある人物ではないのです。一般の女性たちの多くが感じるような疑問を政治でなんとか解決したいという人は総裁選には出ない。そこが日本の限界なのかもしれません。今回の総裁選は女性からするとシラケてしまいますね」(望月記者) 典型的な男社会と言われる政治の世界だが、2人の女性総裁選候補の動きで空気は変わるのか――。(AERAdot.編集部 太田裕子)

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    打撃不振の巨人・中田翔に懸念の声「第2の陽岱鋼になる恐れ」

     巨人・中田翔の状態が上がらない。移籍後2試合目となった8月22日のDeNA戦に移籍後初アーチなる5号2ランを放ったが、その後の試合で長打は1本のみ。首位攻防戦・阪神戦の3戦目でスタメン落ちし、8回に代打で登場したが左腕・岩崎優の前に空振り三振に倒れた。移籍後13試合出場で打率.156、1本塁打、2打点。長打率.281と持ち味を発揮できていない。「直球の打ち損じが多いのが気になります。本人が捉えた感覚だと思いますが、ファールになる。体に本来のキレがないのが影響していると思います。良い状態の時は甘く入った球をスタンドに運んでいたが、今はその怖さがない。下半身に粘りがないから変化球も我慢できずに泳いでしまう。現状だと中島宏之を起用された方が厄介ですね」(他球団のスコアラー) 日本ハム在籍時に後輩選手に暴行をふるったとして8月11日に無期限の出場停止処分を科せられ、その後巨人に無償トレードで移籍したが、中田が計算のできる主砲かというと疑問符が付く。昨季は打率.239、31本塁打、108打点で自身3度目の打点王のタイトルを獲得したが、今年は長引く打撃不振と度重なる故障で日本ハム在籍時は打率.193、4本塁打、13打点。直球に差し込まれ、変化球にバットが空を切る。巨人に移籍することで状況が好転するかと言われれば、そう甘くはない。 他球団で活躍してきた主砲が巨人に移籍後、苦しむ姿は何度も見てきた。広澤克実、清原和博は思うような結果が出せず球団を去り、村田修一(現巨人1軍野手総合コーチ)は打撃不振に苦しんだシーズンで試合中に「強制帰宅」を命じられたこともあった。走攻守3拍子揃ったプレースタイルで日本ハムから巨人に2016年オフにFA移籍した陽岱鋼も、レギュラーに定着できず、規定打席に到達したシーズンは5年間で1度もない。5年契約の最終年も開幕からファーム暮らしで1軍出場はなく、崖っぷちの状況だ。「他球団ならスランプでも我慢して起用してもらえますが、巨人は選手層が厚いので代わりの選手いくらでもいる。常勝を義務づけられている球団で、不調の選手の状態が上がるのを待っているほど余裕はありません。中田は日本ハム時代に不動の4番として活躍したイメージは強いですが、好不調の波が激しくスランプに入ると長かった。ああ見えて繊細な一面もあるので、不調に陥ると悩みすぎてドツボに入る時も少なくなかった。巨人は結果がすべてなので、主力選手も状態が悪かったら容赦なくスタメンから外しますし、2軍に落とす。日本ハムでレギュラーに定着してからずっと1軍でプレーしてきた中田がどん底に突き落とされてはい上がってくるハングリー精神があるか。今の状態が続くようだと、『第2の陽岱鋼』になる恐れも十分にあります」(スポーツ紙デスク) 中田と一塁のポジションを争う中島は5日の阪神戦で7試合ぶりにスタメン出場し、初回に5号左越え2ランを放つなど好調をキープ。打率.298、5本塁打、22打点と勝負良い打撃でチームに貢献している。中島は移籍1年目の19年に43試合出場で打率・148、1本塁打で苦汁を嘗めたが、打撃フォームを改造して昨年は一塁の定位置をつかみ、100試合出場で打率.297、7本塁打、29打点とよみがえった。 中田も中島のように復調できるだろうか。熾烈な優勝争いが続く中、結果を出さなければ1軍でプレーできる保証はない。(江口顕吾)

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    イチロー、トラウトも未獲得…大谷翔平が最有力候補の“価値ある称号”とは?

     今季は“リアル二刀流”としてメジャーリーグを席巻しているエンゼルスの大谷翔平。現地9月6日時点で43本塁打はリーグトップで、ホームラン王のタイトルはもちろん、投げても9勝を挙げており、ベーブ・ルース以来103年ぶりとなる「2ケタ勝利・2ケタ本塁打」の達成にも期待が高まる。さらに、日本人としてはイチロー(マリナーズなど)しか成し遂げていない、シーズンMVPの争いでも最有力候補となっている。 そしてタイトルやMVPの行方とともに、日本人の野球ファンにシーズン後に注目して欲しいことがある。それは、大谷がメジャーリーグの人気ゲーム「MLB The Show」のカバーアスリート(ゲームの表紙などを飾るイメージキャラクター)になれるかどうかということだ。「MLB The Show」は米国で大人気の野球ゲームで、カバーアスリートにはその時のメジャーを代表する“リーグの顔”が務めるのが恒例。これまでアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、ブライス・ハーパー(フィリーズ)、ハビエル・バエス(カブス)、フェルナンド・タティスJr.(パドレス)などMVP級の成績と、カリスマ的人気のある選手がカバーアスリートに選ばれている。また、4年前の17年度版はメジャーリーグの“レジェンド”ケン・グリフィーJr.(マリナーズなど)が選ばれていることからも、いかに権威のあるものかお分かり頂けるだろう。 そんな、「MLB The Show」のカバーアスリートに誰が選ばれるかは毎年現地アメリカのファンの間で話題になることも多い。今年の開幕前には『NBC Sports Washington』が「タティスの後を継いでMLB The Showのカバーアスリートになるべき5人の選手」という見出しで記事を掲載している。 その中で紹介されているのは、今年のオールスターのホームランダービー1回戦で大谷と対戦したフアン・ソト(ナショナルズ)、フランシスコ・リンドーア(メッツ)、ゲリット・コール(ヤンキース)、ムーキー・ベッツ(ドジャース)、ノーラン・アレナド(カージナルス)の5人。大谷の名前はここにはないが、この記事が配信されたのはシーズン開始前。当然シーズンの成績次第で状況は変わってくるが、ここで名前が挙がった選手は軒並み今シーズンここまで大活躍と言っていいパフォーマンスを見せている選手はいない。 そこで、今季のパフォーマンスをもとに候補に浮上してきたのが大谷、そして大谷と現在ホームラン王争いをしているブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)だ。 この2人のどちらかがカバーアスリートになるかは現地で話題となっており、米国の掲示板サイト「Reddit」でもファン同士で議論が繰り広げられている。ゲレーロを推す声もあり、気の早いファンがゲレーロの写真を使って新作の“予想カバー”を公開すると、「そもそも大谷が選ばれるのでは」という意見が殺到。「彼が断わらない限り、来年のカバーが大谷じゃなければとてもショックだね」と書き込むファンが登場するなど、大谷が選ばれるという声が優勢となっている。 さらに「間違いなく大谷になるだろう。だってゲームが採用するようになった二刀流のシステムも大谷あってこそだし」というものや「去年までは二刀流は非現実的だと思われて使えなかったんだから」とゲームモードのシステム自体を変えてしまった大谷の凄さに言及し、カバーアスリートになるべきだという意見も多い。 少し話は逸れるが、意外なことに大谷の同僚で、ここ10年近くメジャー最高のプレーヤーとして君臨しているマイク・トラウトは未だにカバーアスリートになったことはない。これまでMVPに3度輝いた実績を持つトラウトが選ばれないことを考慮すると、成績的なことだけではなく人気やカリスマ性といった部分でも評価されない限り、カバーアスリートにはなれないのが分かる。 なお、米国の野球ファンに長く愛されている「MLB The Show」シリーズだが、2001年から米国でプレーし、2004年にはメジャーのシーズン最多安打記録を更新したイチローもカバーアスリートを務めたことはない。仮に大谷が選ばれれば日本人最初の快挙となる。ちなみに日本人ではないが、楽天でプレーしたアンドリュー・ジョーンズ(当時ブレーブス)は2002年にカバーアスリートになっている。 また、国によっては本家とは違うカバーアスリートを起用することもあり、カナダでは主に国内に本拠を構えるブルージェイズの選手が務めることが多く、韓国、台湾も自国出身でメジャーで活躍している選手がいた場合は、そのプレーヤーを採用することもある。台湾バージョンでは13年から5年連続でチェン・ウェイン(当時オリオールズ)が務めている。カバーアスリートの選定は、ゲームの売り上げにも関わることから、成績だけで選ばれるのではないことがここでも分かる。 レギュラーシーズンも終盤に差し掛かり、残りは20試合程度。大谷が日本人初のホームラン王になれるかどうかが最大のトピックではあるが、シーズン終了後、年に1人しか選ばれない「MLB The Show」のカバーアスリートに選ばれるかにも注目して欲しい。

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    田原総一朗「新総裁最有力の河野氏を絶対に首相にしたくない勢力とは」

     ジャーナリストの田原総一朗氏が自民党の総裁選について解説する。 *  *  *  菅義偉首相は、まず衆議院を解散し、衆院選に勝つことで総裁選に臨もうと考えていたが、安倍晋三、麻生太郎両氏らの反対で総裁選を先にやらざるを得なくなった。  前回も記したように、自民党の多くの国会議員たちは、今秋の衆院選で落選するのではないかという強い危機感を抱いている。全国の選挙区で、菅首相の評判が極めて悪いからである。自分が当選するには、何としても菅首相に辞めてほしい、と強く求めていた。  8月の中旬ごろまでは、安倍前首相も麻生副総理も、菅首相の続投でよいと考えていた。だが、それぞれの派閥の議員たちが、自分たちの当選には菅首相の辞任しかない、と強く求めていることを知って、考えを変えたのである。  そこで菅首相は、支持率を高めるために、党や内閣の人事に手をつけて、小泉進次郎氏ら、国民の期待が大きい政治家たちを起用しようとしたのだが、いずれの政治家にも断られて、辞任せざるを得なくなったのである。  菅首相が辞任することになって、岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏らが総裁選への出馬を表明、もしくは意欲を示している。  注目されるのは石破茂氏である。彼は当時の安倍首相に対してもはっきりと反対を表明していて、少なからぬ国民は彼に期待しているはずなのであるが、彼は出馬しないようだ。  実は、私は2度、彼と電話で話をして出馬を促したのだが、消極的であった。どうやら河野氏を支持するようである。  岸田氏は、戦後政治史に重厚な足跡を残してきた宏池会のリーダーである。大平正芳、宮沢喜一、加藤紘一らハト派で、貧富の格差を広げないために社会福祉をきちんとやるべきだと主張する反新自由主義路線である。岸田氏も反新自由主義路線を打ち出している。  だが、安倍氏や麻生氏と心を合わせることに懸命で、国民の多くからはいまひとつ期待できない、と捉えられているようだ。  女性候補の高市氏は保守右派で、かつて電波法に基づく電波停止に言及したときは、私も強く反対した。  当初は、出馬に必要な議員数をそろえられないのではないかと見られていたが、安倍氏が支持を表明したことで、出馬はできそうである。  野田氏にも頑張ってほしいが、当選の可能性が高いと見られているのは、石破氏が支持をしそうな河野氏である。  だが、河野氏を何としても首相にしたくない、と考えている勢力がある。その代表的な存在が、経済産業省だと見られている。  河野氏は原発反対を強く唱えていた。外務大臣に就任して以後は、反原発を表明しなくなったが、あえて閣内で波を立てるのを避けているだけで、意識は全く変わっていない、と誰もが見ている。多くの政治家と違って、簡単に豹変(ひょうへん)しないのが、河野氏が信頼されるゆえんなのである。  だから、経産省も全国の電力会社も、河野氏が首相になるのは困るわけだ。  そして多くの自民党議員たちは、原発に対しては、情けないほどあいまいである。そんな彼らが河野氏をどのように捉えるのであろうか。 田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数※週刊朝日  2021年9月24日号

    週刊朝日

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    東京五輪、天皇陛下はJOCの「誤訳」をさり気なく訂正 開会宣言に垣間見えた元首の器

     コロナ禍で国民に寄り添い、「祝う」を「記念」に変えたことで注目された天皇陛下の東京五輪の開会宣言。実は、気づく人はほとんどいなかったが、陛下はJOCの誤訳を、人目につかぬよう訂正していたのだ。平成の天皇陛下の侍従として、記者会見の英訳を担当していた多賀敏行元チュニジア大使が、令和の天皇が見せた「元首の器」を語る。 *  *  * 東京五輪の開会式のあと、天皇陛下の宣言とJOCが五輪憲章で公表する和訳を見比べていた元チュニジア大使の多賀敏行・大阪学院大学教授は、あることに気づいた。「7月23日に天皇陛下が述べた開会式の宣言は、JOCの誤訳を、さり気なく訂正なさっている」 そもそも開会宣言は、仏語と英語でかかれた五輪憲章の原文に明記されている。日本オリンピック委員会(JOC)によって和訳された宣言文を、開催国の元首が読み上げることになっている。東京五輪の開会式では、次のとおり宣言文を読み上げた。「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します」 コロナ禍に配慮した天皇陛下が、規定文の「祝う」を「記念」に変えたことだけが注目された。実は、天皇陛下は、重要な「誤訳」を訂正していたのだ。 JOCが公表する「五輪憲章2020年版・英和対訳」を見てみよう。「わたしは、第(オリンピアードの番号) 回近代オリンピアードを祝い、(開催地名)オリンピック競技大会の開会を宣言します」 何が違うのか。多賀教授の解説によると、天皇陛下の実際の宣言では、天皇である「私」の行為は、「宣言する」のみだ。一方、JOCの和訳では、「私」は、「祝う」ことと「宣言する」という二つの行為をしていることになる。ちなみに、「オリンピアード」とはオリンピックが始まるべき年から4年間の期間を意味する。宣言に登場する第32回は、2020年から23年までの4年間のことだ。「コロナ禍に配慮して、『記念する』という言葉を使われたことに注目が集まりました。しかし、もうひとつ重要なことは、文の構造を取り違えた重大な誤訳について、騒ぎにならないよう、さり気なく訂正されているという点です」 原文とそれを訳したJOCの日本語版を詳しく比較してみよう。「『祝う』という動詞に注目しましょう。ここでは何が何を祝っているのでしょうか。JOCの日本語版では、天皇陛下である『私』が『第32回オリンピアード』を祝っていることになります」(多賀教授) 多賀教授が注目するのは、英文のこの部分だ。<……..the games of Tokyo celebrating the 32nd Olympiad…………> つまり、「東京大会」が「第32回オリンピアード」を祝っているのは一目瞭然だ。 JOCの和訳のように、天皇陛下である「私」が「オリンピアードを祝っている」わけではないのだ。 多賀教授は、このことは五輪憲章の仏語版を見れば疑問の余地はない、と話す。というのも、五輪憲章の規則22付属細則3は、仏語版が優先される旨を記しているからだ。《オリンピック憲章およびその他の IOC 文書で、フランス語版と英語版のテキスト内容に相違がある場合は、フランス語版が優先する。ただし、書面による異なる定めがある場合はその限りではない》 仏語版の宣言文を見てみよう。《Je proclame ouverts les Jeux de… (nom de l’hôte) célébrant la… (numéro de l’Olympiade) Olympiade des temps modernes.》 多賀教授は、「私」が主語で、「オリンピアードを祝っている」のならば、「gérondif」を使って「en célébrant」としなければならない、と分析する。しかし、上記のように仏語版では前置詞の「en」 が無く、ただの「célébrant」になっている。 このcelebrant が、直前の東京大会(les Jeux deTokyo)を修飾していることは明らかである、と指摘する。 わかりやすいように、7月23日の開会式の実際に陛下が口にした宣言をもう一度、確認してみよう。天皇陛下は、「祝う」を「記念する」に変えて、次のように述べた。「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します。」  やはり、「この記念する」、が修飾するのは、「東京大会」だ。 AERAdot.編集部は、「五輪憲章2020年版・英和対訳」に掲載された宣言文における、誤訳の可能性について、JOCに問い合わせた。すると広報からは、メールでこんな返事が返ってきた。<お問合せいただきましたオリンピック憲章の件につきまして下記のとおりご回答いたします。 第18回オリンピック競技大会(1964/東京)公式報告書によりますと開会宣言として「第18回近代オリンピアードを祝い、ここにオリンピック東京大会の開会を宣言します。」 とあります。従って、我々は、オリンピック憲章においてもこの和訳を使用しております。 以上、何卒宜しくお願い致します。 日本オリンピック委員会広報部 > 多賀教授は、英語学習についての著書を何冊も執筆している。そして、日本オリンピック委員会(JOC)の回答についてこう話す。「JOCのスタッフに、英語に専門的に習熟した人が居ないのでしょう。この和訳は、高校レベルの英文法ですし、英検2級の合格者でも理解できる人はいると思います。何より、ここで問題にしているのは、 celebratingという、現在分詞の主語は何かという点です。昭和天皇が宣言していたから問題ありません――というロジックで切り抜けようという思惑であれば、あまりにお粗末です。こうして丹念に英仏日の宣言文を比較、検証してみると、64年の東京五輪では、昭和天皇に誤った翻訳の宣言文を読み上げさせてしまった、ということになります」 多賀教授は、平成5年から8年まで当時、天皇だった上皇さまの侍従として仕えていた。当時、天皇であった上皇さまの記者会見を、御用掛を務めていたアイルランド人の学者と一緒に、英語に翻訳するのも仕事だった。多賀教授は、上皇ご夫妻はもちろん、いまの天皇陛下も言語に対する感性が鋭敏だと話す。  「天皇や皇族方は、ご自身の言葉を最適な表現に翻訳して伝えることの重要性を何より、理解なさっている方々でした」 多賀教授が思い出すのは、言語に対する感覚の鋭敏さを表す次のようなエピソードだ。 皇太子時代に執筆した『テムズとともにー英国の二年間-』(学習院教養新書)。そのなかで、オックスフォード大学への留学中に、テニスの試合における得点の数えかたについて興味を持ったエピソードが登場する。たとえば、15対0のとき、英語で「fifteen  love」と表現する。0をなぜ「love」と呼ぶのか。好奇心を持った徳仁皇太子が、英国人の指導教官にたずねると、フランス語の「œuf(卵)」から来ていることが分かった。「0(ゼロ)」の形をした卵から、ゼロを表現したことを突き止めたのだ。「œuf(卵)]に定冠詞が付くとl’oeufになり、発音はloveに近づく。「その謎解きの過程を語られる筆致がユーモアにあふれ、とても楽しかったのを思い出しました。私がバンクーバー総領事を務めていたころ、徳仁皇太子がお立ち寄りになったことがありました。著書に書かれていた、卵とゼロの話題をしたところ、皇太子殿下も喜んでおられました」 平成の時代、明仁天皇は、ご自身の記者会見の内容が、迅速に正しい英語に翻訳されて発表されることを願っていた。侍従を務めていた多賀教授らの翻訳作業は、深夜に及ぶことも多かった。「翻訳作業は、陛下のご発言の一文一文をきめ細かく分析し、正確な英語表現を複数考えて最適の解を探してゆかねばならないからです」(多賀教授) ある晩、人の気配を感じてふと、顔を上げると、すぐ目の前に明仁天皇が、ほほ笑みながら立っていたという。「どうですか」 翻訳と格闘していた御用掛にこうたずねた。 記者会見で発言した日本語が、どのような英文になっていくのか、ご興味があったのだろう。同時に、それにもまして、夜遅く自分のために仕事をしてくれる人たちをねぎらいたい、そんなお気持ちが強かったのだと思う、と多賀教授は振り返る。 ひるがえって、令和の天皇陛下はコロナ禍で開かれた五輪の開会宣言では、国民の思いに寄り添う形で、「祝う」という言葉をさけた。 さらに宣言文の「誤訳」について、多賀教授はこう推し量る。「五輪憲章の『誤訳』の件で誰かが傷ついたり、責任を問われることのないように、というのが陛下の一番の願いであったと思います。そうしたなかでも正しい日本語として宣言できるよう、人目につかないように、ひっそりと訂正なさったのだと思います」(AERAdot.編集部 永井貴子)

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    大注目・小園健太が“必要”な球団は? 「ドラ1」で指名すべきは誰だ【パ・リーグ編】

     プロ野球のドラフト会議まであと約1カ月(10月11日開催)となり、高校生と大学生のプロ志望届提出者も発表される時期となった。各球団の最優先すべき補強ポイントはどこなのか。またそれに見合う選手は誰になるのか。真っ先に指名すべき1位指名候補を探ってみたいと思う。今回はパ・リーグの6球団だ。*  *  *・日本ハム:小園健太(市和歌山・投手) 今シーズンは開幕直後から低迷が続き、3年連続Bクラスが濃厚となっている日本ハム。得点力不足と中田翔が抜けたことで野手の弱さに目が向きがちだが、野村佑希、清宮幸太郎、万波中正など若手に楽しみな大砲候補がいるのは大きな救いだ。逆に投手陣はルーキーの伊藤大海より下の世代に若手の有望株が少ないだけに、まずはエース候補となる投手を狙いたい。今年は高校生投手に有力候補が多いが、その中でも狙いたいのが小園だ。ストレートも変化球も抜群のコントロールを誇り、投球術も高校生とは思えない。体格的なスケールもあり、まだまだスピードアップしそうな雰囲気もある。期待されながら二軍暮らしが続いている吉田輝星に刺激を与えるという意味でもプラスは大きいだろう。・西武:隅田知一郎(西日本工大・投手) 野手の世代交代も課題ではあるが、昨年のドラフトで多く有望株を指名してだいぶ将来が明るくなった。一方の投手陣は右の先発は揃っているものの左投手不足が深刻で、先発を務めることができるサウスポーが最優先事項となる。そこで推したいのが隅田だ。最速150キロのスピードを誇り、コントロールも非常に高レベルで試合を作る能力の高さは大学球界でも屈指。スライダー、チェンジアップなど変化球のレベルも高く、6月に行われた全日本大学野球選手権では1回戦で敗れたものの1失点完投、14奪三振と圧巻の投球を見せた。西武は富士大出身の山川穂高、外崎修汰など地方リーグ出身の選手が多く、隅田にとっても馴染みやすいチーム環境と言えそうだ。・ソフトバンク:風間球打(明桜・投手) 日本シリーズ5連覇に向けて苦しい戦いが続いているソフトバンク。選手層の厚さは頭一つ抜けているが、投手、野手ともに将来の柱は不透明な印象を受ける。昨年は野手中心の指名で若手の有望株が増え、また今年の候補は投手に有力選手が多いだけに、千賀滉大の後釜を担える素材をまずは狙いたい。そんな需要にピッタリ当てはまるのが風間だ。ストレートはスピードだけでなく角度、勢いともに圧倒的なものがあり、大学生、社会人を含めてもナンバーワンと言える。フィジカル強化に定評のあるソフトバンクの環境で鍛えれば、近い将来160キロも十分狙えるだろう。ここ数年はくじ運に見放されているが、競合覚悟で狙いたい素材だ。・楽天:佐藤隼輔(筑波大・投手) 投手も野手も他球団から補強した選手が多く、全体的に主力の高齢化が気になるところ。その中でも先発投手は軒並み30歳を超えており、更に左投手はルーキーの早川隆久だけということもあり、今年も先発タイプのサウスポーを狙いたい。そんなチーム事情にマッチした選手が佐藤だ。高校時代から宮城県内では評判の好投手で、大学進学後も早くからリーグ戦で活躍。2年時には大学日本代表として日米大学野球でも好投を見せている。体力面は少し不安が残るものの、フォームに大きな欠点がなくまだまだ成長が見込めるのも魅力だ。地元である仙台の高校出身というのもチーム、本人にとってプラスとなりそうだ。・オリックス:阪口樂(岐阜第一・一塁手兼外野手) 2年連続の最下位から一気に上位浮上を果たしたオリックス。今年のドラフト候補は投手に有力選手が多いが、山本由伸、宮城大弥とまだまだ若い強力二枚看板がいるだけに優先度はそこまで高くない。野手も有望株は多いものの、主砲の吉田正尚のFA権取得が近づいているだけに、強打者タイプを加えて将来に備えておくべきだろう。そこで推したいのが阪口だ。新チームになってからは投手としての負担が大きく、公式戦ではなかなか結果を残せなかったが、打者としてのスケールの大きさと飛距離は高校生ではナンバーワン。紅林弘太郎、太田椋、来田涼斗に阪口が加われば野手陣の将来はかなり明るくなるはずだ。・ロッテ:佐藤隼輔(筑波大・投手) 近年の大物に積極的に向かうドラフト戦略が奏功して優勝争いを演じているロッテ。投手も野手も若手に有望株は多いものの、左投手はやや手薄な印象を受ける。昨年も鈴木昭汰を1位で獲得したがタイプ的にはリリーフだけに、先発向けの左腕を最優先したい。最有力は楽天の候補としても挙げた佐藤だ。昨年逃した早川とも重なる部分が多いだけに、ぜひ狙いたい。抽選で外した場合は山下輝(法政大)も候補となる。大学では故障に苦しんだが、スケールの大きさは抜群で徐々に本格化してきた印象を受ける。大型だが器用さもあるだけに、今週末から開幕する秋のリーグ戦の活躍次第では一躍人気を集める存在になることも十分に考えられるだろう。(文・西尾典文)●プロフィール西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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    刑期を終え“銭湯のオヤジ”になった柔道元金メダリストの内柴正人「五輪直前、高藤直寿から相談受けた」

     東京五輪もいよいよ大詰め。今大会では日本柔道チームが五輪史上最多の9個の金メダルを獲得するなど、目覚ましい活躍を見せた。 そんな後輩たちの活躍を、熊本県八代市内の銭湯の従業員として、テレビ越しに見守る金メダリストがいた。男子柔道66キロ級で、2004年のアテネ・08年の北京と2連覇を果たした内柴正人氏(43)だ。 内柴氏は現在、銭湯「つる乃湯 八代店」に勤務。“あの事件”を機に柔道界を遠ざかり、栄光と挫折を知ったアスリートは、新たな人生をどう歩み、後輩たちの活躍をどう見たのだろうか。「日本開催で金ラッシュは嬉しいです。凄いとしか言いようがない」 後輩たちの活躍について、内柴氏は嬉しそうに感想を語る。「皆が五輪を見れるように」と、自宅にあったテレビを銭湯の休憩スペースに設置した。ディスタンスを保ちつつ、常連客やスタッフらと観戦することもある。「これだけ多くの階級で金メダルを取れるというのは、歴史的にもないこと。個々の強さもありますが、一人一人の力を引き出すチームジャパンの監督も見事ですし、チームの雰囲気も良かったのだと思います」 当初は五輪観戦に対して、心に壁のようなものがあったという。職場の上司からも、「いろいろなことがあったし、お前は大会を見るのも嫌だろう」と気遣われた。「どうしても、『戦いたい』と思ってしまうんです。引退した選手は誰もが思うことかもしれませんが、普通は引退したら、指導者をやりながら大人になっていきます。僕は指導者としての時間がとても短く終わってしまったので、まだ子供のまま。五輪の舞台はもう僕が入れない世界ですから、モヤモヤをコーチとして選手に託すこともできない」 2連覇の功績が認められ、内柴氏は紫綬褒章を2度受勲するなど、数々の栄誉に輝いた。だが2011年、教え子だった女子柔道部員への準強姦容疑で警視庁に逮捕され、事態は一変。「合意の上」として裁判で争ったが、14年には最高裁で上告が棄却され、懲役5年の実刑判決を受けた。この件によって数々の栄誉賞ははく奪され、五輪2連覇の男の名声は地に落ちた。内柴氏は過去を振り返り、後悔をにじませる。「反省するべき点ばかりです。自分が起こしたことの悪い部分は反省して、裁判で結果が出た以上は、最後までまっとうしようと。実家の父や家族についても、しつこくカメラに追い回されて憔悴していましたし、たくさん心配をかけたと思います」 事件を機に、地位やお金、離婚で家族も失った内柴氏。精神的にも追い詰められ、うつになって薬を飲むこともあったという。刑務所での服役中は、紙に柔道に関する思いを書き連ねて過ごした。そうしないと、自分を保てなかったからだ。「自分の柔道は終わったというのは分かっていたんですけど、当時の僕には柔道のほかに経験や知識がなかったので、新しいことを考えることもできず……。柔道のことを書きなぐること以外に、自分を保つ方法がなかった。吊り手の位置から、膝の使い方、腰の角度まで、技を全部分解してみたり、柔道で感じたことや身に付けたことを自問自答したりして、すべて文字に起こしてました。それでどうにかこうにかって感じです」 17年の出所後は、もう一度自分の人生を立て直すことに目を向けた。「健全な精神は肉体から宿る」の考えにのっとり、たとえ柔道ができなくても体を動かすことをしようと、「柔術」のジムに弟子入り。師範の家に住み込み、トレーニングに打ち込んだ。そこでキルギスの柔道連盟の関係者に出会った縁で、18年7月から19年12月まで、キルギス柔道連盟の総監督として指導。異国の教え子を率い、世界選手権に進出した。「帰国後に、格闘技イベント『RIZIN』に誘ってもらったこともあったのですが、スポンサーから許可がおりないといった事情があって、思うように活動できなかった。そんな時、今勤めさせてもらっているお風呂屋さんの社長に、『地元に貢献できるお風呂屋さんで、一社会人として勝負しませんか』と声をかけていただいて。そのお風呂は自分が現役時代から使っていた場所で、愛着がありました。実家を離れて東京で長く暮らしてきたので、熊本で年老いた父と過ごす時間を大切にしたかったし、地元での暮らしも良いんじゃないかと」 現役時代は柔道ばかりで、前妻にはたくさん苦労をかけたという内柴氏。今は新たな妻と1歳の子供がいて、地元で家族と一緒にいる時間を大事に過ごすようになったという。ただ、40代にして“異業種中の異業種”ともいえる銭湯での社会人デビューは、苦労の連続だった。「『いらっしゃいませ』と言う経験がなかったので、自分にできるのか不安でした。あとは、損得勘定も一から勉強して。一から学ぶのが大変だったんですけど、新しいことができるようになるのは楽しいですね」 仕事における師範は、社長と本店のマネージャーだ。ボイラー技士2級と危険物取扱者の資格も取得。モーターなど機械の不具合があれば分解し、まずは自分で直せないか試みる。「一生懸命修理して、次の日の朝、自動運転でお湯が湯舟に入っていく姿を見ると、感動するんです。それこそ、柔道時代に苦労していた減量に成功した時と同じくらい嬉しい。普通に働くことのすばらしさを実感しています」 働きぶりが認められ、現在は八代店の店長として1店舗を切り盛り。売り上げを計算し、スタッフのシフトを作り、人が足りないところには自分が入り、機械が壊れれば修理もする。いわば何でも屋だ。 内柴氏の方向転換には、家族の反対もあった。「妻をはじめ家族は今でも、僕には『柔道にこだわって、いけるところまでいってほしい』と言ってくれるんです。銭湯に就職する時には全く違う分野だったので、なんで?と残念がられて。指導者として柔道に関わってほしいというのはひしひしと感じます」 それでも銭湯で働くことを選んだことには、こんな思いがある。「今は自分で働いて力をつけていく時期。生活の基盤さえしっかり作って誰にも文句言われないぐらいしっかり仕事を頑張れば、だんだんと社会に受け入れてもらえるようになる。環境は、自分の頑張り次第で作っていけると信じてやっています」 そんな内柴氏は、東京五輪で活躍する後輩たちをどう見たのか。五輪開催前の6月末、60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿選手から「五輪、是が非でも取りたいので相談させてもらってもいいですか」と連絡を受けた。「1度会って30分ほどのスパーリングをし、組んでみて感じたことをアドバイスしました。例えば、待っている時間が長いように見受けられたので『得意技があるのはわかるけど、自分からプレッシャーをかけて試合全体の流れを自分から作ったほうがいいかもよ』といったことです。あとは、1度タイトルを取るとコーチから『チャンピオンなんだから』と、アドバイスをもらう機会は少なくなりがち。僕自身も孤独になった経験をしました。そこで、コーチに自分がどういう練習をしたいかを伝え、試合の時にコーチにかけてもらう言葉の内容まで、自分から提案するようにしていたんです。そうした自分の経験を伝えました」 高藤選手の戦いがどうしても気になってしまった内柴氏は、五輪への心の壁はありつつも、テレビをつけて観戦した。画面越しの高藤選手は、決勝戦で台湾の楊勇緯選手との延長戦を粘り強く戦い抜き、60キロ級で今大会第1号となる金メダルに輝いた。「高藤選手の活躍が、僕の五輪への拒絶心、壁のようなものを払しょくさせてくれました。おかげで今大会は、本当に五輪を楽しむことができています。五輪経験者でタイトルを取った僕が五輪を楽しまなかったらどうするんだという気持ちになれたんです」 今は仕事に励みつつ、グラップリングルールを採用した(打撃を禁止とし、投げや関節、絞め技などの組み技のみ有効とする)格闘技イベント「QUINTET」に出場しながら、グラップリングと柔術の経験を積んでいる。柔術は、始めて3年で茶帯だ。「柔術とグラップリングに関しては、素人に毛の生えたようなもの。柔道では相手の心の中が見えることもありましたが、柔術とグラップリングに関しては、一手先・二手先までしかわからない。でも、柔道で学んだ教わり上手は生きています」 才能のある次世代選手が次々と輩出される柔道界。柔道に対して未練はないのだろうか。「もちろん柔道はやりたいですが、僕が表に出ると目立ってしまいます……。今は週に1度、地元の大学生に教えるくらいです。日本では難しいので、もしも柔道を諦めきれなくなったら、もしかしたらまた海外に行ってしまうかもしれないですが、それは0・2%の可能性の話。メダリストにとって、現役引退後は日本の柔道トップ選手を育てるのも一つの夢かもしれないですが、今は仕事を頑張りつつ、新しく始めた柔術・グラップリング、それに柔道の3競技で、地元の方々と関わりたいという目標にシフトチェンジしました」 当初は自分が社会に出ることを許すだろうかという葛藤があった内柴氏だが、今では地元の支えを感じている。「QUINTETに出るようになってから、顔なじみのお風呂の常連さんが応援してくれますし、店舗スタッフのみんなが僕のトレーニングの時間を作るためにシフトを融通してくれることもあります。店舗の一角で練習しているんですが、そこに柔術のジムの先生や、大学の柔道部の学生などが集まってくれて、一緒に汗を流してくれます。地元の支えがなければ、僕は立ち直れていなかったと思います。阿部一二三選手がチャンピオンになって感謝の言葉を述べていましたが、僕も熊本県の皆さんやいろんな方々に本当に感謝して、一日一日を過ごさせてもらっています」 地元の支えもあって、かつての金メダリストは第二の人生を歩み始めている。五輪の後輩たちの活躍は、そんな彼の活力源になっているようだ。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)

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    菅義偉とは何者だったのか 望月衣塑子記者が語る「権力に酔って、権力に負けた」悲しき首相の最後

     まさに、逃げるような退任劇だった。菅義偉首相の自民党総裁選不出馬が報じられた3日、13時からの囲み取材では「総裁選よりもコロナ対策に専念する」とだけ語り、記者の相次ぐ質問を振り切った。この1年の菅政権とは一体何だったのか。ほぼ何も説明もせず、首相の座を放り出した菅氏とは、結局、どのような人物だったのか。官房長官時代から「天敵」として菅氏を鋭く追求してきた東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。*  *  *――急転直下の辞任劇でした。内閣支持率が危険水域に入り、「菅おろし」の声も大きくなってはいましたが、総裁選直前にこのような形で辞任するとは想定外でした。どう受け止めましたか。 世論の逆風が吹く中で総裁選モードに突入しましたが、途中までは実に菅さんらしいやり方だったと思っていました。 8月30日に下村博文政調会長に対して「(総裁選に)立候補するなら政調会長を辞任しろ」と迫り、出馬を断念させました。さらに岸田文雄前政調会長が出馬を正式表明し、「党役員を刷新する」と明言した途端に、力技で二階俊博幹事長を交代させる方針を打ち出し、総裁選の「争点隠し」を図りました。そして総裁選前に党役員人事を行って解散総選挙に打って出るという「禁じ手」のようなことまで模索していた。 どんな状況でも、人事権を行使して、なりふり構わずに自分の権力を最大限に見せるよう執着している姿は、いかにも菅さんらしいと感じていました。 ただ、リークも含めて解散総選挙の腹案がマスコミに漏れ、自民党内部から想像以上の反発が上がったあたりから、今までとは様相が違ってきました。すぐに菅さんは「今は解散できる状況ではない」と火消しに走り、小泉進次郎環境相と5日連続で会談して意見を仰ぐなど、迷走の度合いを深めているように見えました。 この状況下で、小泉さんしか進言してくれる人がいないのかと不思議に思いましたし、そうだとしたら相当な“菅離れ”が進んでいると感じました。しかし表面上は強気の姿勢を貫いていたので、総裁選から降りるという選択をしたのは驚きました。よほど、助け舟がなかったか、安倍晋三前首相や麻生太郎財務相らの「菅おろし」の圧力がすさまじかったのだろうと察します。――菅首相といえば「勝負師」「ケンカ師」などとも呼ばれ、負け戦でも勝負に出る性格であると言われています。過去の政局でも“賭け”に出たこともありますし、東京五輪開催の判断について「俺は勝負したんだ」と発言したとの報道もありました。今回はなぜ勝負に出なかったと思いますか。 選挙を戦う自民党議員にとっては、ここまで世論の支持を失っている菅さんは、「選挙の顔にはならない」というのが一致した見解だったのではないかと思います。 その一方で、ほとんど脅しに近い形で下村さんの立候補をとりやめさせたあたりから、菅さんの圧力のかけ方は常軌を逸していきました。 これまで霞ケ関の官僚たちは人事権を握られ、言う事を聞かざるを得なかったのでしょうが、自民党議員に同じことをしても、理解は得られません。周囲に圧力をかけすぎた結果、「いいかげんにしろ」と与党内での反発が広がり、菅さんを引きずり降ろそうとする圧力が想像以上に働きました。 辞任を受けて、涙していた小泉さんも「解散をしたら自民党が終わる」と菅さんに迫っていたわけで、ある意味、慕っている側近たちからも、権力維持に固執し、解散の可能性を探る菅さんに「NO」が出されていたわけです。 結果、自らの策に溺れた感がありました。外堀を埋められて自分でやれることがほとんどなくなってしまった。解散権が封じられてしまい、頼みの党役員人事も受け手が見つからずに相当難航していたようです。人事権を行使しようとしても状況を変えられない、人を従わせられないという状況は菅さんにとって相当つらかったと思います。それこそが、菅さんの権力の源泉だったわけですから。 さらに、自身の選挙区である神奈川2区でも野党候補優勢という情報が永田町で出回っているなかで、このまま解散総選挙に突っ走り、政権交代でも起こったら、政治家生命が絶たれかねないという恐怖もあったかもしれません。そんなことになるくらいなら、選挙の「顔」からは降りて総裁選を盛り上げれば、少なくとも与党には恨まれず、野党にはダメージを与えられる。自民党を政権与党として存続させるために「身を引いた」政治家として評価される可能性があると思ったのかもしれません。 いずれにせよ、人事権を行使しても状況を変えられないと悟った以上、もう自分を強くは見せられないと判断したのだと思います。――結局、菅義偉という政治家はどのような人だったと思いますか。 菅さんは権力を維持するために人事を操り、頂点まで上り詰めた人です。でも、その権力が無力化すると、予想以上に弱かった。権力に酔っていた政治家が、最後は権力に負けたということだと思います。 裏で参謀として権力を振るうことにはたけていても、日本をどうしたいのかという国家観を語れず、コロナ禍で浮き彫りになったのは、ワクチン一本打法で、市民の命を犠牲にし、五輪利権に血眼になっている菅さんの姿でした。 記者会見では、相変わらずかみ合わない質疑が続きました。そこから市民の命と健康を預かっているという覚悟は感じられませんでした。菅さんの語る言葉には、市民を思う魂が込められておらず、これほど言葉に重みがない政治家はいなかったと思います。 今、国民のためにやるべきことは、臨時国会を開いてコロナ対策の議論をすることです。それしかありません。外交的には、総裁選の最中、アフガンでの救出作戦も体制を立て直さなければいけない。当初退避予定者は、JICAや大使館の関係者含めて総勢500人と言われていましたが、日本が救出できたのは、わずか1人です。総裁選に明け暮れている裏で、多くのアフガニスタン人の命が現在もなお危険にさらされ続けているのです。 国会でもこの問題は何よりもまず議論されなければならないはずですが、菅さんは、野党から追及されるのは、選挙で不利になるからと国会を開く気配さえない。アフガンに関しても興味を示さず、五輪開催のときと同じでまさに人命軽視の政治が繰り広げられました。 こうした姿を見せられ続けた結果、菅さんがやっている政治は単なる政権維持の手段であって、市民のための政治ではなかったのだとはっきりわかってしまった。裏方の官房長官時代には、わかりづらかった菅さんの政治家としての本質的な姿勢が、首相として表に出てきてから、より鮮明にはっきりと浮かび上がってしまいました。  そして最後は、菅さんの周りからは人が次々といなくなり、市民の心も離れていった。結局は、市民のために尽くす思いがない人が政治家、ましてや首相などやってはいけなかったということに尽きると思います。 これから次の総裁選に向けての新たなレースが展開されます。忘れてはならないのは、首相を目指す人は、権力のトップに立つことを目的とせず、日本や世界に住む人々の命を預かる仕事をするのだ、という当たり前の覚悟を誰よりも深めるべきだと思います。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)

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