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LINEスタンプ、FBから料理教室…ネットで広がる副業
LINEスタンプ、FBから料理教室…ネットで広がる副業
石井眞希さん(左)は、平日は建設会社で課長として働き、休日や夜は自宅で料理教室を開く。そのほかにも、自宅でさまざまなイベントを開催中(撮影/倉田貴志) 森もり子さん作のLINEスタンプ「もっと私にかまってよ!」。なかなか返事をくれない彼氏を追い詰める(?)のにもってこい。11月にはコミックエッセイの発売も決定(撮影/倉田貴志)  ネット上の仕組みやサービスの広がりで、「趣味や特技で小金稼ぎ」が可能になった。最近の副業事情を追った。 「今日は、アップルパイを作ります」  日曜日の昼下がり。東京都世田谷区にあるマンションのキッチンに、10人が集まった。キッチンの主は1級建築士の資格を持ち、建設会社で働く石井眞希さん(47)。休日や仕事の後に、副業として自宅で料理サロンを開く「サロネーゼ」だ。  この料理サロンのテーマは「時短・簡単」。石井さんがコツや手順を解説しながら料理をして、できあがった料理をみんなで味わう。参加費が1人千円とリーズナブルなこともあって、この日の定員もすぐにいっぱいになった。  きっかけはフェイスブック。得意な料理の写真をアップしていたら、「教えてほしい」というコメントが多く寄せられた。「それなら」と自宅でサロンを開くようになって、もう4年になる。この日の生徒たち10人も、フェイスブックを通じて「石井先生」のもとに集まった。  SNSに背中を押され、気の置けない仲間を集めた石井さんのように、ネット上のサービスや仕組みを利用して副業を始める人が増えている。 「スタンプラッシュ」でにぎわう「LINE Creators Market(ラインクリエイターズマーケット)」も副業の場の一つだ。  LINEで使えるスタンプを自作して販売できるようになったのは、今年の春。これが瞬く間に広がって、約3カ月で販売総額12億円を超えるマーケットに成長した。LINEが8月に国内のスタンプクリエイター約900人に行ったアンケートによると、その約30%が会社員で、クリエイティブ業務経験のない人、デザインの勉強をしたことのない人がそれぞれ約半数に上った。  人気スタンプ「もっと私にかまってよ!」の作者、森もり子さんも、営業職の会社員からスタンプクリエイターとなって成功した人のひとりだ。  20代とおぼしき女性が腕組みをして「返事マダ?」と眉をひそめたり、スマホをいじりながら「今どこ?」と机に突っ伏したり。これが話題になって、大ヒット。売上金はLINEと折半だが、1セット40個入り100円のスタンプで、すでに約700万円に上る売上金を手にしたという。  こうなるともはや「副業」の域を超えている。実際、森さんにはスタンプのキャラクターを題材にしたコミックエッセイ出版の話が舞い込み、その制作に集中するために森さんは会社を退職した。副業だったスタンプ制作が本業になった。 ※AERA 2014年9月22日号より抜粋
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AERA 2014/09/24 07:00
テレ東・大江アナ 15歳差婚の喜びきれない事情
テレ東・大江アナ 15歳差婚の喜びきれない事情
 その夜、各所でオジサマたちの「チクショー」という叫び声が響いた、らしい。9月16日、テレビ東京の大江麻理子アナウンサー(35)が、結婚を発表した。バラエティー番組「モヤモヤさまぁ~ず2」での飾らないキャラクターで人気を博し、今や報道番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」のメーンキャスターを務める同局きっての人気アナ。そんな大江アナがお相手に選んだのは、野球選手でも同僚でもなく、年収「最低2億円」かと言われるマネックス証券社長CEOの松本大氏、御年50歳だった。  松本氏を知るマネー市場関係者が説明する。 「東大法学部卒で、官僚への道もあったはずが、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社。その後、ゴールドマン・サックス証券に進み、30歳で同社最年少で共同経営者となった。1999年には、ネット証券会社、マネックス証券を立ち上げ、いまや上場企業に成長。松本氏の保有する同社株の時価総額は85億円ほどにもなる。社外取締役や、レストランの開業など、本業以外でも幅広く活躍中です」  共著を出すなど松本氏と親交が深い、元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史氏がその人柄を語る。  「結婚は全く知りませんでしたが、連絡すると嬉しそうな声でしたよ。彼は外資系に就職し、自分で会社を立ち上げて、ハイリスク・ハイリターンな人生を歩んでいる。だからこそ、成功できたのでしょうね」  仕事で縁がある金融関係の男性は、こう評する。 「フレンドリーで、少年がそのまま大きくなったような人。会うと一発で惹きつけられますよ。たしか離婚歴があり、お子さんもいた。それなりに艶っぽい噂もある人でしたが……」  一方、15歳上の男性を射止めた大江アナも、その“オヤジキラー”っぷりは、折り紙つき。一緒に食事をしたことのある50代男性が興奮気味に話す。 「派手さがなく、服装も物腰もとにかく控えめ。自分のことはあまり話さず、こちらの話に『まぁ!』と、いい相づちをくれる“聞き上手”で、ついつい、ベラベラしゃべってたよ」  仕事も私生活も順風満帆、と思いきや、テレ東内では不穏な空気もあるとか。  「実は、7月から局内でも超極秘に大江の結婚発表の準備をしていました。発表直前に『週刊文春』に直撃されて、てんやわんや。それで急きょ発表したようです。大江がニューヨーク支局に行く前には同世代のカレシの噂があったけれど、ふたを開けたら50歳の金融関係者で、みんなびっくりですよ」(報道局スタッフ)  もろ手を挙げて祝福しにくい事情もあるという。 「経済番組のキャスターにとってご法度なのが、不倫などのスキャンダルと、金融関係者との交際。テレ東は大江を去年からニューヨーク支局に赴任させて“箔付け”をし、看板番組WBSのキャスターに抜擢。局を挙げての計画だったはずが、予想外の事態です。WBSのスポンサーは大和証券ですし、証券会社社長の妻となっては、取材先から『夫への情報収集では?』と見られかねない。現場も頭を抱えています」(同)  別の関係者もこう話す。 「大江は上層部からの覚えはめでたいが、意外にも局の女性からは敬遠されている。後輩の面倒見がいいタイプではないので、女子アナ派閥では大橋未歩のほうが圧倒的に人望が厚い。来春の改編で降板の可能性がないとは言い切れませんね」  オジサマたちもモヤモヤ、局内もモヤモヤ? ※週刊朝日 2014年10月3日号
結婚
週刊朝日 2014/09/24 07:00
多忙でも健康な人のすごい「メリハリ術」 激務の40代支える健康法
多忙でも健康な人のすごい「メリハリ術」 激務の40代支える健康法
トレーダー 村田美夏さん(44)1993年に日本長期信用銀行に入行、30歳で退職して独立。投資をきっかけに技術系ベンチャーのエコアドバンスジャパンにも参画【こだわりの食】 ハイボールお酒好き。損切りなどストレスフルな仕事も、アルコールの力を借りてえいやっと決断。いざという時のため、かばんに入れて持ち歩く【健康維持アイテム】 ひとりカラオケ最近のマイブームは妖怪ウォッチの歌。テーブルなどをどけて、振り付きで歌って踊る【これやめました】 わずらわしい人間関係ネガティブな人とは付き合わないようにしている(撮影/写真部・岡田晃奈) ドワンゴ・エンジニア 岩城進之介さん(41)2011年、ドワンゴ入社。見た目は筋肉質だが、「実はインドア派」。仕事に集中すると食事もままならないほど。「自転車通勤なら楽しく健康になれます」【こだわりの食】 3食とも野菜を食べるジャンクな食事が続いたときは、かなり意識してたくさん食べる【健康維持アイテム】 自転車自転車と、それに付けているハートレートモニター(心拍計)【これやめました】 徹夜30代前半までは平気でしていたが、翌日かなり引きずるようになってやめた(撮影/写真部・大嶋千尋) ANA・客室乗務員 臼井優江さん(42)1995年、全日本空輸入社。同僚とおいしいものを食べたり、「女子旅」をしたりしてストレス発散。「娘と一緒に短期で語学留学するのが夢」【こだわりの食】 野菜ジュースほぼ毎日飲む。一度にたくさん野菜が取れるみそ汁やポタージュスープをよく作る【健康維持アイテム】 フットマッサージャー立ち仕事なので、足のむくみ解消に【これやめました】 夜更かし深夜0時前には寝るようにしている。娘と一緒に寝てしまうこともよくある(撮影/写真部・岡田晃奈) プロボノワーカー 西山典仁さん(42)NPONPO法人サービスグラントにプロボノワーカーとして登録する。平日は会社勤務の後、約1時間をボランティア活動に充てている【こだわりの食】 酢レモンと炭酸で割ったり、ヨーグルトを入れて飲んだり、ほぼ毎日摂取するようにしている【健康維持アイテム】 バランスボール体幹を鍛えるために買った【これやめました】 気にしないストレスになるので特に気にしない。強いて言えば、週2回休肝日を設けることと、寝る2時間前は何も食べないことにしている(撮影/関口達朗) 「Ingress」は、iPhone用のアプリが今年7月にリリースされた。ゲーム内の用語は英語のみ。世界中で楽しむ人が爆発的に増えている(撮影/写真部・加藤夏子) 仕事に家庭にボランティアに。めまぐるしい日々を送る人は多い。充実した毎日のためには、健康第一!忙しい中でも体調管理するには、考え方や時間の使い方のひと工夫が大事だ。(ライター・高山敦子/編集部・高橋有紀)  飲み会が終わったあと、みんなを帰してひとりでビッグエコーに向かう。会員証を出さなくても店員は「村田さんですね」。顔パスだ。  メガハイボールを注文し、テーブルをズルズルッと移動させる。カメラの位置をチェックして、踊っても恥ずかしくない位置を確認。 「ゲラゲラポー ゲラゲラポー」  妖怪ウォッチからももクロまで、歌って踊る時間が、トレーダー村田美夏さん(44)のストレス発散タイムだ。  年間2億円稼ぎ、テレビにも出演。そのぶっ飛んだキャラクターと、東京大学経済学部を首席で卒業したという経歴で注目を集める。トレードの仕方があまりに激しいことから、ついたあだ名は「ウルフ村田」。  20代の銀行員時代は残業続きだった。不良債権処理などストレスフルな仕事も多く、金属アレルギーを発症したり、微熱が1カ月下がらないまま点滴を打って働き続けたりした。 「得意なものと苦手なものに差がありすぎるから、得意なものに特化することが、心身の健康に最も大事だと気づきました」  独立してからは、稼げるときに集中して働き、あとは流す、という働き方を心がける。 「トレードは、集中力や勝つ自信がない中途半端な状態で入ると、一気に数千万円損してしまう。それなら寝てる方がまし。調子が悪い時には抜く、というようにメリハリをつけないと」  判断力を保つため、スキマ時間にも睡眠を取る。食べると眠くなるので、仕事の合間に食事はあまり取らない。  仕事だけでなく休みもメリハリを大事にしている。1カ月休んで海外に行ったこともある。旅先では、高級ホテルにも泊まるが、タイ・バンコクのカオサン通りの安宿にも泊まる。 「安いところと高いところが好きなんです。中間にはあまり興味がない。人目を気にせず好きなことをすることで、一番リラックスできます」  健康を保つための今後の課題は、ずばり酒量だ。多額のお金が動く緊張感ある仕事のため、ついついお酒でストレス発散しがち。ストレスフリーな酒量の減らし方を目下、思案中だ。 ●自転車通勤で空を見る  多忙な人は「健康づくり」のために特化した時間をつくることが難しい。独自のストレス発散法や考え方、時間の使い方を通して、日常生活の中で体調を整えている。ドワンゴのエンジニア、岩城進之介さん(41)が活用するのは「通勤時間」だ。  自転車通勤歴はかれこれ10年になる。自宅から会社まで片道約6キロ、社屋が現在地に移転する昨年7月までは約10キロの道のり。空を見上げながら寝そべって自転車をこぐ。背もたれ付きのシートに仰向けにもたれかかった状態でペダルをこぐ「リカンベント」が愛車だ。 「自転車に乗っているときはスマホもパソコンも見ないでしょ。頭を空っぽにしてひたすらこいでいると、一切の情報から解放されて、気持ちも体も完全にリセットできる」  仕事では、ニコニコ動画のライブハウス「ニコファーレ」のイベントを企画。プロ棋士とコンピューターが戦う「将棋電王戦」のシステム開発にも携わる。一日じゅう社内にこもってパソコンと向き合うこともある。 「自転車で通勤すると朝はすっきりした頭で出社し、夜は走りながら仕事の頭を切り替えることができる。街灯と街灯の間を何回転でこげるかが、体調のバロメーターにもなっています」  仕事も趣味も体調管理も「関心のあることはとことん楽しむ」のが信条。愛車に出合ってからは、片道10キロ程度であれば自転車で出かける。  1日の最長走行記録は、東京─埼玉・長瀞間往復の約250キロ。休日には、息子(7)と娘(3)用に自転車とカートを後ろにつなげ、3人で近くの公園内をサイクリングすることもある。 「子どもと一緒に自転車でお散歩できるシステムを開発してみました(笑)」  自転車が自身の健康づくりのみならず、子どもと触れ合うツールにもなっている。 ●ワーママ国際線CA  仕事でも家庭でも分刻み生活が続くのは、全日本空輸(ANA)の客室乗務員、臼井優江さん(42)だ。  国際線、国内線と乗務をこなしながら、小学1年生の女の子を育てる。取材したこの日も、朝5時に子どもの弁当を作って出社し、羽田─小松間を往復した。月に10日前後は、子育てを1級建築士の夫やシッターに託して、海外へ。例えばパリなら2泊4日、片道12時間を超えるフライト。機内では時差に加え、重たい荷物を持ち上げるため、腰痛に悩まされる。 「とにかく基礎体力がないと、調子が出ないし、いいサービスにもつながらない。健康とスタミナだけは日ごろから維持するように心がけています」 ●娘とバレエで競う  モットーは、食べたいものを食べる。疲れたときは肉を、それ以上に野菜を。野菜ジュースはスーツケースに常備している。  いまハマっているのが、中学3年生のとき以来という「バレエ」だ。週2時間のレッスンに通い始めて3カ月になる。 「スポーツジムの単調な運動と違って、バレエは丁寧に教えてもらえるのが楽しくて、ストレス解消にも役立っています」  思いっきり汗をかき、日ごろ使わない筋肉を動かすことで、血の巡りや新陳代謝が良くなっている。同じ教室に通う娘とは、家で立ち方や動きを教え合う“良きライバル”。 「今はどちらが先にトゥシューズを履けるようになるかを競い合っているところです」  不規則な生活の中では、子どもと向き合う時間も簡単には取れない。娘は、今では仕事と家庭との両立生活を応援してくれるが、難しい時期もあった。 「私がやってこられたのも周囲の理解と協力があったから。私がいないときは主人が代わりに娘のお弁当を作ってくれて、家事も快く引き受けてくれます」  どんなに疲れて帰宅しても、娘の寝顔が臼井さんを一番元気にしてくれるという。 ●邪魔されない時間  通常の仕事に加えボランティア活動もする、プロボノワーカーの西山典仁さん(42)は、一日のうち「唯一誰にも邪魔されない時間」を健康のために使う。早朝5時に起きだし、平日は7~8キロ、休日は30キロを走り込む。小学生の頃から続ける腹筋と背筋も欠かさない。  日中は人材育成支援会社でマーケティングを担当。退社後は、そのスキルを生かして、障害者スポーツを支援するNPO法人「パラリンピックキャラバン」の立ち上げに関わる。  家庭では共働きの妻との間に2女。育児のほか、洗濯や食器洗いなどの家事も当たり前にこなす。忙しい毎日の中で目を付けた時間が早朝だった。 「2年前に子どもを保育園に送る役目が終わって、40歳という人生の節目に何かしたいなと思った。職場でも地域でも家庭でも、多様な役割を生かして、日常を輝かせることが僕ら団塊ジュニアの務め。アスリートとしても頑張ってみようかなと」  子どもの保育園時代のパパ友と一緒に走ったり、駅伝大会に出たりすることも、いいモチベーションにつながっている。  この2年間で3回のフルマラソンに挑戦。今年の東京マラソンでは2時間55分をマーク、目標の3時間を切った。走り過ぎてケガをしたこともある。いまは、体調と相談しながらバランスよく走ることを考えている。 ■記者もハマっています リアルに歩き回るゲームでダイエット効果は?  グーグルが提供する最新ゲーム「Ingress」がダイエットに効くと聞いたのは先月。ゲーム経験はゲームボーイどまりで、それほどゲーム好きではなかったが、最近運動不足だし、と思い、始めてみたら見事にハマった。  このゲーム、従来のゲームとは大きく違い、家にいても何もできない。現実世界と位置情報がリンクしている陣取りゲームなので、外に出て歩き回らないことには、何も始まらないのだ。  世界が青と緑のチームに二分されていて、どちらか好きなほうを選んだらゲーム開始だ。街を歩き回り、「ポータル」と呼ばれる、駅や神社、公園の遊具や街角のモニュメントに画面上でタッチしていく。それがポイントとなり、レベルが上がると、敵のポータルを攻撃したり、自分の陣地にしたりできる。  ポータルが密集していてプレーヤーが多く訪れる地域では、陣地は日に何度も取ったり取られたりを繰り返す。自分が取ったばかりの陣地が攻撃され、「むっ、近くに敵がいるな?」と辺りを見回すことも。狙ったポータルを目指して歩くうちに、こんな店があったのか、とリアルな新しい発見をすることも楽しみだ。  休日には予備の充電バッテリーを持って家を出て、ふと気づけば3時間。余裕があるときには、仕事のついでに会社周辺や出先でもポータルを巡回する。スニーカーをはく日が増えた。  なぜかダイエット効果はまだ出ていない。効率的にポータルを回ろうと自転車を使い始めたからだろうか。  グーグルのアカウントがあれば始められるが、個人の位置情報がかなり詳細に特定される心配があるので、始める際は専用アカウントをつくるのがオススメだ。(編集部・高橋有紀) ※AERA  2014年9月29日号
仕事健康腰痛
AERA 2014/09/22 00:00
会社員からベストセラー作家に? 時間ずらしてみた結果
会社員からベストセラー作家に? 時間ずらしてみた結果
働く時間を変える深夜残業を誇る仕事人間→朝型に変え生産性6倍永井孝尚さん(52)日本IBM時代に朝型にシフトし、仕事の効率アップ。昨年独立。今年9月に新刊『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』を出版する(撮影/写真部・植田真紗美)  毎日の生活時間は決まっている人がほとんど。でもその時間を少しずらしてみるだけで、新らしい発見ができることもある。永井孝尚(たかひさ)さん(52)は、残業三昧の生活から朝型に切り替えて、新たな人生を切り開いた。  1984年春、慶應義塾大学工学部を卒業し、日本IBMに入社した。当時はIT業界が毎年二桁成長をしていた時代で、20代の頃は、連日深夜まで残業し、忙しい時期には週2、3日は会社近くのホテルに泊まった。土日もどちらかは出勤。同僚や友人に残業自慢をしていた。ひと月の残業時間が200時間を超えたこともあった。40代半ばまでは平日は家に寝に帰るだけの毎日だった。  そんな生活を変えたきっかけは、朝のラッシュ時に通勤電車が2日連続でストップしたこと。運転再開した電車は殺人的な混雑で、乗る気も失せた。2日とも仕事が進まなかった。  翌朝、妻の勧めで勤務時間を早めてみることに。試しに始発に乗ると、通勤ラッシュから解放され、誰もいないオフィスは、思いのほか仕事がはかどった。前日にインプットした情報を頭の中で一晩寝かせたことで潜在意識が情報を整理してくれて、アイデアがわいてくるのだ。 「朝は邪魔が入らず集中できる上、アイデアが生まれやすい。夜に眠さと戦って3時間かかっていた仕事が、朝は30分で片付く。朝の生産性は夜の6倍です」  以降、午前5時半に起床し、7時に出社。始業前に2時間集中して仕事する生活が始まった。午後5時すぎに帰社するとなると、まだ働いている同僚の目が気になったが、早く出社していることをアピール。自宅でも会社のネットワークにつなげる環境を整え、同僚には「早く帰りますが、何かあれば連絡ください」と伝えた。  仕事が詰まっていない日は、朝の時間を会社近くのカフェに入り、ブログや本の執筆にあてる。内容はマーケティングについて。社内に数人しかいない認定プロフェッショナルとして、経験と知識を世の中に伝えたいと思い、2008年には自費出版本も完成。その本を足がかりに商業出版も実現し、11年に発売した『100円のコーラを1000円で売る方法』がシリーズ累計50万部のベストセラーになった。  生活を2時間早める。そんな小さな変化が、仕事の質を上げるばかりか、社外にも活躍の場を広げてくれた。永井さんは昨夏独立し、講演や研修に力を入れている。 ※AERA 2014年9月8日号より抜粋
AERA 2014/09/10 07:00
増える「息子介護」 専門家「男性は介護に対する問題意識が希薄」
増える「息子介護」 専門家「男性は介護に対する問題意識が希薄」
自治体が開く「男性介護者のつどい」 (c)朝日新聞社 @@写禁  最近、男性が「主な介護者」になるケースが増えている。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2001年の23.6%に対し、13年は31.3%(同居の場合)。3人に1人弱が男性という計算になる。 フリー編集者のDさん(51)は2年前、パーキンソン病を患う父(84)を世話してきた母(74)が体調を崩したのを機に、約30年暮らした東京を離れて、関西の実家へ帰った。  同居して以降、母は元気になったが、父は悪くなるばかり。近くに住む妹は3人の子育てに追われ、頼りにならない。父は粗相し、しょっちゅう転倒する。母一人ではとても起き上がらせられない。地元に親しい友人はなく、孤独が募る。  関西には出版社が少なく、仕事は激減し、収入は半分以下に。近ごろはタクシーの運転手なら雇ってもらえるかと、本気で考えた。 「サラリーマンで安定した収入があれば父を施設に入れられた。でも今の自分には無理。将来の展望はなく、考えたくもない」  予備校講師で独身の上村聡さん(57)は17年前、今は亡き父が脳梗塞などで重い後遺症が残り、母の手には負えないと感じて両親と同居を始めた。父は思うように体が動かぬいらつきから毎夜、罵詈雑言を発した。ショートステイを利用しようとすると、「暴れて預かれない」と追い返された。 「何度も父を殺そうと思い、自分も死にたかった。当時も仕事は続けていたが、記憶がすっぽり抜け落ちています」  職場では「あの人は介護で大変だから」と飲み会や親睦旅行に誘われなくなった。一生の趣味のはずのオーケストラを退団し、ピアノも売った。いま要介護2の母(88)を介護しながら、その束縛に苦しむ。  殺意さえ覚えるほどの過酷な家族介護の現実がある。  今年2月発売の『迫りくる「息子介護」の時代』の著者で、東京都健康長寿医療センター研究員の平山亮さんによると、男性は介護に対する問題意識が希薄で、親の健康状態を軽く見てしまう傾向があることが海外の調査でも報告されているという。 「娘ならすぐに気が付く異状にも、息子は『年を取れば、そんなもの』と思い込んで必要なケアをせず、症状を進行させてしまう。同居の息子がいるのに近所の女性が認知症に気付いた例も珍しくありません」  そこで求められるのはまず、介護する男性が独りで抱え込まず、オープンにすることだ。とりわけ職場は、社会の接点にもなり得る。  企業のワークライフバランスを支援する民間会社「wiwiw(ウィウィ)」の山極清子社長がかつて支援した企業では、全社員に「あなたは今後5年のうちに介護を担う可能性があるか」と聞いたところ、8割がイエスと答えた。待ったなしの状況だ。 「これは決して極端な例ではなく、どの企業が直面してもおかしくない。貴重な人材が介護と仕事と両立できずに大量離職する恐れがあるにもかかわらず、仕事に全力投球できない社員は邪魔と考えるところさえあるんです」  取材から見えたのは、介護する男性は実はたくさんいることだ。山極さんは「黙っていては何も変わらない。社内でも声を上げればきっと同じような状況にある人が見つかる」とアドバイスする。 「介護も仕事と同じで、自分でやるべきことと人に任せられることがある。仕事で培ったマネジメント力を生かして家族や介護従事者とプロジェクトを組み、休暇はその段取りを整えるのに使う。いかに介護支援サービス等を積極利用できるかが、離職防止の秘訣です」 ※週刊朝日  2014年9月5日号より抜粋
介護を考える
週刊朝日 2014/09/02 07:00
3人に1人弱が男性 「親の介護」に変化が…
3人に1人弱が男性 「親の介護」に変化が…
元フジテレビ解説員の安倍宏行さんと、96歳の母・美枝子さん(撮影/写真部・関口達朗) 毎週日曜日の夕食は、つかの間の親子の団欒だ(撮影/写真部・関口達朗) 「ナスの煮物、持ってきたけど食べる?」  昨秋、フジテレビを退社したジャーナリスト、安倍宏行さん(58)は毎週日曜日の夜、母の美枝子さん(96)が暮らす東京都世田谷区の介護付き有料老人ホームを訪ねる。母の好物の梅干しや梅酒を持参し、夕食をともにする。  母は昨年1月まで、近くにある自宅のマンションの別室で一人で暮らしていた。その後、心不全を患ったのを機に家の中で転んでは骨折するようになり、要介護認定を受けた。ヘルパーが週3日訪れるほか、安倍さんも出勤前に食事を届けるなどし、様子を見守った。  母は直腸脱で、おむつ交換の際、誰かが手袋をはめて直腸を押し戻す必要があったが、医療行為でヘルパーに頼めない。妻にも仕事があり、母の独居は厳しいとの判断から、施設を探した。母が気に入った新築のホームは入居一時金1千万円、月額25万円で、母が支払うことになった。入所後、リハビリとバランスの良い食事のおかげで元気になった。 「介護が始まった当初はわからないことだらけ。僕は当時、比較的自由に動ける役職だった上、介護とは関係なく早期退職の準備中でした。母に資産があったので、『僕たちに遺さず、自分の介護費に充てて』と説得できた。たまたまスムーズでしたが、『男の介護』には水先案内人が必要だと感じます」  安倍さんのように、男性が「主な介護者」になるケースが増えている。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2001年の23.6%に対し、13年は31.3%(同居の場合)。3人に1人弱が男性という計算になる。  にもかかわらず、職場では「親の介護で大変」といった訴えを耳にする機会は、少なく感じる。そこで編集部は、介護が必要な親を持つ50代以上の全国の男性500人にウェブアンケートを実施。その結果とあわせ、実際に渦中にある人たちを取材し、実態に迫ろうと試みた。  まずアンケートの回答者が介護している親は圧倒的に「母」が多く、父の2倍に上る。そして「別居」が6割強だった。  元参院事務局幹部のAさん(61)は昨年末に退職し、要支援で一人暮らしの母(88)がいる九州の実家に移り住んだ。3歳下の妻はフルタイム勤務で、65歳まで続けたいと言い、横浜の自宅に残った。 「現役時代は、実家近くにいるいとこが面倒をみてくれていたが、いつまでも頼れない。年齢的にも母はあと何年か。最後の数年は悔いが残らぬよう、親孝行したいと思ったんです」  得意の料理で食事を用意し、車で病院まで送り迎えするほか、掃除に洗濯、布団干し、草取り。田舎の生活は金がかからず、母と自分の年金で十分だ。以前は交通費は往復5万円以上かかったが、最近LCCが就航して半額以下に。 「息子の私がいると頼もしいみたい。ようやく親に恩返しができて満足です」  Aさんが介護を本格化させたのは冒頭の安倍さんと同様、退職という“人生のセカンドステージ”に入る節目だ。いずれも「元気なうちに親孝行を」という願いがかなった好例と言えるだろう。今年2月発売の『迫りくる「息子介護」の時代』の著者で、東京都健康長寿医療センター研究員の平山亮さんは、男性側の意識変化を挙げる。 「最近、血縁を重視してか、『自分の親は自分で面倒をみたい』と考える男性が増えています」 ※週刊朝日  2014年9月5日号より抜粋
介護を考える
週刊朝日 2014/08/28 11:30
家事中に救急車で運ばれ…男性が語るイクメンの今
家事中に救急車で運ばれ…男性が語るイクメンの今
討論会に参加した5人。右から経営者の青野慶久さん、研究者の田中俊之さん、政治家の保坂展人さん、NPO代表の安藤哲也さん、専業主夫の宮内崇敏さん(撮影/今村拓馬) 「イクメン」という言葉が広まって久しいが、これは世の男性にどんな影響を与えたのだろうか。経営者の青野慶久さん、研究者の田中俊之さん、NPO代表の安藤哲也さん、専業主夫の宮内崇敏さんらが、イクメンの今について語り合った。 * * * 青野慶久(サイボウズ社長):私は4年前、長男の育児休業を2週間取得しました。東証1部上場企業の社長では珍しい、とメディアも取り上げた。でもね、しょせんは「なんちゃってイクメン」。もともとまぶたが落ちるまで働きたいタイプなので、家事や育児はできるだけやりたくない。洗濯物を干しながら「今日はいい天気で気持ちいいな」と思った日は一日もなく、常にイライラしながら干している。毎日がストレスです。 田中俊之(武蔵大学助教):2014年版の男女共同参画白書は、男性を特集しています。見てください、この表紙。スーツを脱いだ男性が、フライパンを持ったスーパーマンに変身して家族を守っているイラストです。バリバリ働いて家に帰ったら家事もバリバリやるってこれ、死にますよ。イクメンって、フルタイム労働に従事し、プラス家事育児もやる男性という定義になっていますよね。 安藤哲也(ファザーリング・ジャパン代表理事):トゥー・マッチ。帰宅して夜中1時に妻が流しに残した皿を洗いながら倒れて救急車で運ばれた男性を知っています。 青野:マジですか!私はまさにスーパーマンを目指していて、妻より自分のほうが子どもに好かれているという自負がある。睡眠時間を削って働きながら子育てすることに、変なエクスタシーを感じながらやっていますよ。 田中:宮内さんみたいに「俺、仕事やめて主夫になる」と言うと、妻は「いや待って」、「百歩譲ってパートでいい?」「いやダメ待って」となる。男はフルタイム労働に従事するというハシゴが外れていないんです。イクメンというからには、稼ぐのは大前提。さらに料理はママ並み、育児も完璧。しんどいです。 安藤:そこは宮内さんが壁を破ったのでは? 宮内崇敏(専業主夫ブロガー):僕は専業主夫で、平日は終電帰りの妻が全然イクウィメンじゃない(笑)。2人の娘の面倒はほぼ僕がみています。最近はこの生活が当たり前に回っているので悩みもストレスもない。ただ、6年前に肩書を失ったとき、ストレスを感じました。大手企業に勤めていましたが、人間関係や過労が原因で体調を崩し、妻と話し合って主夫になった。女性にはよくあるケースですが、男というだけで勝手にストレスを感じたのです。それは自分の中にあった「男らしさ」と違うことをやっているからだと気づいた。 ※AERA  2014年9月1日号より抜粋
出産と子育て家事
AERA 2014/08/24 16:00
毎日湯豆腐だけで力が入らない…野々村真・俊恵夫妻の貧乏な同棲時代
毎日湯豆腐だけで力が入らない…野々村真・俊恵夫妻の貧乏な同棲時代
(※イメージ)  タレントの野々村真さんと俊恵さんの夫婦は、18歳で出会い、その交際をオープンにすることなくひそかに付き合っていたという。俊恵さんが20歳になったとき、ようやく一人暮らしが許されて、都心近くに住むようになった。 妻「引っ越したその日です。彼が傘1本持っただけでいきなりやってきたので、もうびっくり」 夫「あのときは後先考えずに、ただ夢中だったんだ」 妻「それから毎日少しずつ荷物がふえていったんです」 夫「おふくろには、青年隊の仲間のところに泊まっているとうそついて(笑)。そのころ、僕は本当に人気者だったんですよ。行くときは夜中だからいいんだけど、帰るときには、彼女のアパートの前の道は、近くの女子高生でいっぱいなんですよ。その中を顔を隠して走り抜けて、満員の通勤電車に乗って朝帰り。自宅へ帰り着くと、いつもハアーッてため息(笑)」 妻「会うのは夜中ばかりでしょう。いつか堂々とお日さまの下でデートしたいね、ってそれが夢でした」  真さんは次第に自宅に帰らなくなって、いつしか同棲状態に。そのころ、人気者とはいえ真さんの月給は3万円ほど。しかも、母親の管理下にあり、お小遣いもほんの少しだった。一方、俊恵さんはアイドルを卒業し、写真集など大人っぽい仕事が順調に増えていた。 夫「ある日、彼女の写真集が出たんです。僕はロケ先にいたんだけど、早速、本屋さんへ行ってみた。そしたら、葉っぱ2枚で胸を隠した彼女がほほ笑んでいる。その瞬間にブチ切れましたね。持っていた写真集をびりびりに破いて、積んであるのも2冊か3冊破いた。店の人が警察に電話する声でわれに返りました」 妻「同棲を始めて1、2年後でしたね」 夫「そこにあった彼女の写真集を全部買い取ることで許してもらい、落ち込んで帰って、言いましたよ。『あんな写真を撮るなんて、絶対嫌だよ。許さないよ。仕事はやめてくれ、僕が責任とるから』って」 妻「本当に焼きもち焼きね(笑)。私がほかの共演者と話しているだけでも嫌だったんでしょ」 夫「そうだよ、妻にキスシーンとか濡れ場を演じさせる映画監督なんて信じられないよ(笑)」 妻「私も仕事をやめるのはかまわなかったんですけど、それからが大変。お金がないものですから、来る日も来る日も湯豆腐。あるとき、『なんだか、俺、力が入らないんだ』って。それはそうね、いくら体によくても、毎日お豆腐しか食べてないものね(笑)」 夫「『たまには生活費入れなさいよ』『はい、すみません』の繰り返しだった」 妻「親に甘えたり、助けを求めたりできないから、生活費は本当に切り詰めましたね。月に1回お給料日の前の日だけ、それまで節約した分で焼き肉食べに行ったり。何日かに1回は居酒屋で焼き魚定食を食べましょう、とか」 夫「でも、今ふりかえると、青春時代の貧乏っていいものだと思いますね」  貧しさもつらかったが、恋人だと名乗ることを、事務所や野々村家から止められていたのがもっとつらかった。昼間に外で会うときは双方のマネジャーが同伴して4人でのデート。そして、住まいはアパートの契約更新の2年ごとに変えた。 夫「だいたい2年ごとに、芸能マスコミでうわさになったり、ファンにかぎつけられそうになるんです。だから、アパートを変えて、それでもばれそうになると、僕は実家に帰ってしばらくじっとしている」 妻「だいたい2年ごとに、結婚しようかってなるんです。ところが、『もっと仕事の足場を固めてからにしなさい』『まだ早い』と反対されては、クールダウンする。私の母からは『忍耐が大事よ』と言われてましたけど、本当に忍耐強くなったと思います」 夫「26歳のとき、さすがにもうそろそろ養っていけると、その気になったんだけど、やっぱりおふくろが、『まだまだ』(笑)。そのうち、『結婚したら家や家族に縛られるだろうから、むしろずっとこのままでいいかもしれないね』……」 妻「と思っていたら、急に義母が『あなたたちもそろそろ結婚を考えたほうがいいんじゃない。もう30歳近いんでしょう』って。えっ?ですよね(笑)」 ※週刊朝日 2014年8月29日号より抜粋
週刊朝日 2014/08/20 11:30
佐世保同級生殺人事件 キムタク髪の父、一周忌前に再婚
佐世保同級生殺人事件 キムタク髪の父、一周忌前に再婚
佐世保市内の少女Aの実家を捜索する長崎県警の捜査員 (c)朝日新聞社 @@写禁  長崎県佐世保市で少女A(16歳)が幼なじみのクラスメートを殺害し、遺体を解体した事件の衝撃が広がっている。エリート一家に育ち、東大を目指していた少女はなぜ、むごたらしい“猟奇殺人”を誕生日前日、決行したのか。その“鍵”は、最愛の母の死からわずか数カ月後、再婚した父への愛憎にあった。  少女Aは母親の死を境に、父親との関係が急速に歪み始める。 「寂しさを紛らわすためなのか、父親は若い女性と頻繁に食事するなど夜の街を出歩く機会が増えた。今年初め、お見合いで知り合ったという東京在住の30代前半の女性が佐世保に来るようになりました」(一家の知人)  親子関係は次第に悪化していく。今年1月末に開かれたスケート競技に父子で出場した際、二人は激しくぶつかったという。 「会場でAちゃんとお父さんは大げんかして、周囲の人が『何があったのか』と振り返るほどでした。Aちゃんは『足が痛い』と試合を棄権し、お父さんの言うことをまったく聞かなくなった」(知人男性)  確かに当時の報道を見ると、前日には出場していた少女Aは2日目の種目を足の故障で棄権している。  少女Aは3月、そんな父親を金属バットで殴り、負傷させる事件を起こす。 「2月にAちゃんと父親と食事した時は普通の親子関係に見えた。だが、父親への暴力が激しくなり、家族は身の危険を感じていたようです。『9月からオーストラリアへ留学する』というAちゃんにその準備のためと、一人暮らしをさせたと聞いた」(前出の一家の知人)  今年4月、少女Aは中学と一貫校の県立高に進学したが、1学期はほぼ不登校状態で、3日間しか登校していない。進学を機に、事件の現場となったマンションの一室で、一人暮らしを始めたのだ。  少女Aと入れ替わるようにやってきた、芸能関係の仕事にもかかわっているという華やかな女性と、父親は5月に結婚。地元繁華街を2人が一緒に歩く姿を周囲はとまどいの目で見ていた。 「奥さんの誕生日に合わせて結婚して、新妻のプロフィルを書いた紙を周囲に渡していた。『ピアノが得意』とか、『ソフトバンクのCMの犬の演技指導をしている』とか誇らしげに書いてありましたが、まだ前妻の一周忌も済んでいないのに早すぎではないかと、周りは心配していたんです」(前出の知人男性)  さらに、知人女性はこう語る。 「ピアノや乗馬など共通の趣味があるので交際に至ったと聞きましたが、『自分の子どもが欲しい。だから、年齢が若い子が良かった』とも言っていた。新しい奥さんとの子どもを待望していたようです」 「前妻の一周忌を終えた秋にはハウステンボスの高級ホテルで結婚式を挙げる」と妻は待ち遠しそうに知人に語っていたという。 「新しい奥さんは、家の地下にあるピアノ部屋で、何度か父親と一緒に連弾していたそうです。地下室はAちゃんの実母のリクエストでピアノ部屋にし、夫婦で連弾をしたり、実母がAちゃんにピアノを教えていた思い出の場所。Aちゃんからしたら複雑な思いだったのでは」(前出の知人)  父親はもともと活発な人物だったようで、長男の受験と同時期に10代の受験生が通う佐世保市内の学習塾に通い、11年には九州大学を受験し、入学したという。 「学内に茶髪の中年男性がいて、リアル『ブラック・プレジデント』(ワンマン企業の中年社長が大学に通うテレビドラマ)だと話題になっていた。ピアノ、トライアスロン、ゴルフのサークルに入っていて、ゴルフのスコアは100を切っているから断トツにうまかったと聞いています」(九大の学生)  多忙な弁護士業をこなしながら、サークル活動にいそしむキャンパスライフ。周囲には「若い人と交流して、自分をリフレッシュできた」と語っていたという。前出の知人女性が語る。 「茶髪にロン毛で、片目にかかるように流す髪形はキムタクにそっくり。実際、キムタクがサーファー風の髪形になった時期は本人もそうなったし、『似ていますね』と言うと喜ぶから、意識しているのでは。体も鍛えていて若々しいから、普通の50代とはかなり違いますね」  母の死後、少女Aは英語のスピーチ大会で「マイ・ファザー・イズ・エイリアン」と語り、周囲を驚かせたという。 (本誌・今西憲之、上田耕司、山岡三恵、小泉耕平、牧野めぐみ) ※週刊朝日 2014年8月15日号より抜粋
週刊朝日 2014/08/06 07:00
有馬家第16代当主「有馬家を否定した父への反発から水天宮の宮司に」
有馬家第16代当主「有馬家を否定した父への反発から水天宮の宮司に」
 直木賞作家の有馬頼義(よりちか)氏を父とする、有馬家第16代当主・有馬頼央(よりなか)氏。父への反発が今の自分の道を決めたと話す。 *  *  *  僕が大学生のときに親父が亡くなり、母から「当主として地元の久留米にあいさつしてらっしゃい」と言われました。  久留米にある有馬家の菩提寺は梅林寺です。小さいころに両親と来た記憶はありました。親父が一番奥で、母がその隣。僕は下座で、平べったい座ぶとんに普通の茶わんでお茶を出される。  あいさつに行ったときには、一番奥の席に通されました。当主しか使うことが許されない三つ巴の紋がついたぶ厚い座ぶとんに座ると、やはり三つ巴紋入りの高い台のついた茶わんが出てきました。うれしかったですね。これで本当に当主なんだと思いました。  このころから僕は、親父が否定したものを、逆に肯定しようとしました。祖父以前のことを継承できるような仕事がないかなと思っていたら、東京・日本橋にある水天宮の宮司から、「ここは有馬さんの神社だから後を継いでほしい」と言われました。そこで、神職資格をとり、最初は東京・神田明神で修行をはじめました。5年前から東京の水天宮の宮司をしています。  水天宮というのは、有馬家ととても関係が深い。久留米城下に安徳天皇と平家一門をまつっていた祠がありました。その祠に2代・忠頼が7千坪の敷地を寄進して直轄の神社にしました。これが水天宮の本宮です。9代・頼徳のときに、江戸の赤羽橋にあった上屋敷に分祀されたのが、東京の水天宮のはじまりです。   神社の社殿前にある鈴に下がっているひものことを「鈴の緒」といいます。水天宮の古くなった鈴の緒をお下がりとしてもらった妊婦さんが腹巻きとして使ったら、ことのほか安産だった。その御利益は評判になったけれども、大名の上屋敷だから入れません。そこで人々は、塀の外からおさい銭を投げ入れた。そんなにご信仰いただけるならと、有馬家は毎月5日、お参りできるように門を開きました。そこでできた言い回しが、「情けありまの水天宮」。「恐れ入谷の鬼子母神」とともに、江戸の2大流行語になりました。  維新後は、有馬家とともに下屋敷のあった日本橋に引っ越します。僕が宮司になったときの社殿は47年前に建てられたもの。耐震診断をしてもらうと、震度6で倒れるかも、ということでした。建て替えしなきゃねと話していたら、東日本大震災が起こったのです。  あの夜、無事だった社殿に、泊めてくださいっていう方もずいぶんいらっしゃいました。でも、耐震診断の結果が出ていて、いつまた大きい揺れがくるかわからないものですから、近くの小学校をご案内しました。すごくつらかったですね。だって本来、神社というのは人の心のよりどころとなるべき場所でしょ。  そんなこともありまして、去年の春から社殿の建て替えをしています。550坪の敷地全体を免震構造にします。こんなとっぴなことをする神社はほかにないでしょう。前例のないことをするのは、やっぱり有馬の血なのかなあ。  2016年に完成予定です。費用ですか……、数十億円。泣きそうです。でも、今度は何日間でも安心して避難できます。何かあれば飛び込んできてください(笑)。 (構成 本誌・横山 健) ※週刊朝日  2014年8月8日号
週刊朝日 2014/08/02 07:00
収入は働く街で決まる? IT長者は職住近接が常識
収入は働く街で決まる? IT長者は職住近接が常識
東京の都心部。付加価値の高いITベンチャーは、渋谷や恵比寿、六本木に集まる。経営者も社員も会社から徒歩圏に住んで働き、日夜、ビジネスに明け暮れている(撮影/写真部・外山俊樹) 渋谷の新たな「顔」となった「渋谷ヒカリエ」。IT界をリードする存在に成長した「DeNA」や「LINE」が入居している(撮影/朝日新聞社・遠藤真梨) (c)朝日新聞社 @@写禁 新幹線が延伸し、列島は狭くなった感じがする。 ネットでつながっているから、どこにいても働ける。 なんて思ったら大間違い。 本当に稼ぐ人たちは徒歩圏内で働き、住んでいる。(編集部・齋藤麻紀子)  渋谷駅から徒歩3分。オフィスビルの8階から見える渋谷は、一面の雑居ビル。お世辞にも眺めがいいとは言えない。34階建ての複合商業施設「渋谷ヒカリエ」の“後ろ姿”が、視界を大きく遮る。  食産業の求人サイトを運営するクックビズ(本社・大阪市)の代表、藪ノ賢次さん(34)は、そんなビルを、あえて仕事場に選んだ。2007年に大阪で創業。黒字化を機に12年、東京・恵比寿に東京オフィスを設けた。渋谷に移転したのは、事業拡大のため。社員数はこの2年で倍の50人近くにまで増えた。  藪ノさんの目には、大企業となったDeNAやLINEが入居するヒカリエが、渋谷の新たな“顔”に映る。 「シンボルの近くにいたかった。日々、ヒカリエの後頭部を見ながら、いつかあの場所に行くんだと、自分を奮い立たせているんです」  渋谷は1990年代後半、「ベンチャーの聖地」としての顔を持った。若者が次々と起業。新興市場に上場し、一夜にして億万長者になった。米国でITベンチャーが集積する「シリコンバレー」になぞらえ、「ビットバレー」と呼ばれた。その地が15年を経たいま、進化している。 ●IT企業、渋谷に再集結  IT業界の情報をブログで発信する大柴貴紀さんは言う。 「この1、2年で、ITベンチャーが再集結している」  なぜ、再集結しているのか。そこは、やはり12年に開業したヒカリエの存在が大きい。渋谷のシンボルが誕生したのだ。さらに、90年代に生まれたIT企業が“メガベンチャー”と化し、その企業を取引先とする“スモールベンチャー”が周囲に集まった。スマートフォンの普及に伴い、アプリの開発など、ベンチャーの活躍の場が、さらに広がっているのだ。  渋谷では、IT企業が徒歩圏内に集まっているから、他社の社員であっても同僚感覚で気軽に食事に誘い合う。だから、ランチも飲み会も、ビジネスの場になる。気が合えば、自社に引き抜くこともある。  80年生まれの藪ノさんは、自称「ロールキャベツ男子」。表向きはキャベツのような“草食系”で、物腰も柔らか。だが、相性を感じる人とは何度も会い、ときに熱くビジョンを語る。そのためにも、気軽に会える距離にいることが大事なのだ。 「相性を感じた人には、4度目くらいにキャベツを脱いで“肉食系”の説得をします」(藪ノさん)  商談や打ち合わせも、楽になった。渋谷のITベンチャーに勤める営業担当者(30)の移動手段は、「主に、徒歩」だ。 ●片道1時間半はツライ  クラウドソーシング大手のランサーズは1年ほど前、本社を神奈川県鎌倉市から渋谷に移した。鎌倉にはユニークなベンチャーが多く、 「鎌倉ベンチャーを盛り上げよう。目指すは、カマコンバレーだ! 渋谷に負けていられない」  という思いは強かった。でも、渋谷に移転してしまった。 「鎌倉愛」がなくなったわけではない。人材や販売網が潤沢ではないベンチャーは、同業者や大企業と連携しながら成長する。ところが、連携先が集まる渋谷までは、片道1時間半。とにかく遠いのだ。事業開発担当の山口豪志さん(30)は、 「意思決定者同士の打ち合わせがセットしにくいんです」  徒歩圏内の渋谷ならば、声を掛けて30分もあれば打ち合わせを始められる。ベンチャーの強みであるスピード感は、“スープの冷めない距離”にいることで生み出される。  ここで「あれ?」と、不思議に思う人もいるだろう。 「ITがあれば、北海道にいても、東京の会社と仕事ができるんでしょう」 「私、ノマドだけど、渋谷にいなきゃいけないの?」  確かに、ITの進歩で自宅やカフェなど、オフィス以外でも仕事ができるようになった。ただ、事業連携やM&A、資金集めのようなベンチャーの成長を支える「中枢の仕事」は、メールだけでは難しい。そこでは、やはりアナログなフェース・トゥ・フェースが基本なのだ。 ●2駅ルール、渋谷手当も  物理的な近さは、心の距離も縮める。山口さんは、東京・品川エリアにあるパナソニックの拠点へ出向くと、「何か面白い仕掛けができないか」とデジタルカメラの販売促進策を持ちかけられ、ランサーズに登録するクリエーターからカメラの外装デザインを公募する案を思いついた。会社に戻って提案書をまとめ、翌日、再び訪問。わずか1週間で企画に合意した。  パートナーが集まることで、ビジネス上のメリットが生まれる。これを経済学では「産業集積」という。例えば、トヨタ自動車の本社がある愛知県には、自動車の部品メーカーなど関連企業が集まる。愛媛県今治市では、タオルメーカーが力を合わせて「今治ブランド」を確立した。もっとも、それらが集積する目的は、コストダウンや効率化にある。産業集積を研究する中小企業基盤整備機構の柴山清彦さんは話す。 「渋谷のように、各事業者が成長しながら新たなイノベーションを生む例は、日本では珍しい」  渋谷のITベンチャーは、社員の住む家も渋谷周辺に求めている。ブログサービスなどを提供するサイバーエージェントは、勤務先から2駅圏内に住む社員の家賃を補助する「2駅ルール」をつくった。社員専用のシェアハウスを渋谷に設け、近隣に住むことを勧める。別のIT系企業も、通勤手当より安いからと、会社近くに住む社員に「渋谷手当」なる家賃補助を支給する。 ●吉野家、都内で時給に差  ランサーズで働く上野諒一さん(25)は昨年、北海道から上京した。大学院在学中にプログラミング技術を身に着けたが、北海道には生かす場が見つからなかった。いまは「移動時間がもったいない」と、会社から約2キロの場所に住んでいる。 「エンジニア同士の勉強会や、ベンチャーに入社した仲間とのランチなど、昼も夜も渋谷で過ごしています。おかげで、電車に乗る習慣がなくなりました」  将来有望な産業が、徒歩圏内で成長する。こうした現象が進んでいくとどうなるのか。  エンリコ・モレッティ著『年収は「住むところ」で決まる』(池村千秋訳、プレジデント社)の解説者、大阪大学経済学部の安田洋祐准教授は、その点について、こう指摘する。 「同じ職業であっても、住む場所によって給与は違います。一般的には、家賃などのコストが違うからと言われていますが、それだけではない。主要産業の違いも大きな要因なのです」  つまり、ITのような付加価値の高い産業が発達した地域では、そうではない産業が中心の地域よりも、相対的に給与水準が高いというのだ。末尾の「給与と労働時間の格差」の表は、東京都を100とした場合の平均給与水準を、都道府県ごとに並べたものだが、なんとなくそうした傾向が見て取れるのではないか。  同じ都内でも、給与水準の格差を見ることができる。吉野家の渋谷109前店の募集時給は、7月15日現在で1200円。一方、渋谷から電車で約40分の国分寺北口店は900円。実に1.3倍の違いがある。 ●エンジニアを囲い込み  転職サイトを運営するエン・ジャパンによると、IT産業従事者の平均年収は、この5年で約50万円上がった。需要に比べて、国内にいるエンジニアの絶対数が足りず、データ分析、ゲームやアプリの開発ができるエンジニアを、企業が年収を大幅に引き上げて引き留めようとしているという。  イノベーションを起こす可能性を秘めたエンジニアを、あの手この手で囲い込む構図は、シリコンバレーと同じ。この地に本社を置く大手IT企業には、さまざまな種類のキーボードやマウスをそろえた自販機があり、エンジニアは自分に合うものを無料で選べる。エグゼクティブ層の転職を支援するビズリーチ(本社・渋谷)の新規事業担当、森山大朗さん(35)は言う。 「シリコンバレーのイノベーションは、エンジニアの創造性から生まれる。だから企業は、福利厚生を充実させるなどして引き抜きを防いでいます。現地のエンジニアの平均年収は1200万円、という話もある」  渋谷の若者文化を支えた雑誌は、この1年で続々と休刊した。だが、15年前に生まれたITベンチャーのバトンは、81年生まれの「81世代」、リブセンスの村上太一さんなどの「86世代」へと、脈々と受け継がれている。 「え? 生まれ、昭和すか?」  渋谷にITが再集結していると話す前出の大柴さんは最近、周囲の起業家から、そう言われるようになった。平成生まれが渋谷を席巻するとき、渋谷は若者の街から「金持ちの街」に変わっているのだろうか。 ■給与と労働時間の格差 (東京=100) / 現金給与総額 / 総実労働時間 1  東京 / 100.0% / 100.0% 2  大阪 / 82.9% / 97.6% 3  愛知 / 80.8% / 98.9% 4  神奈川 / 80.8% / 93.9% 5  三重 / 76.5% / 100.0% 6  滋賀 / 76.4% / 99.3% 7  静岡 / 75.8% / 100.1% 8  栃木 / 75.0% / 101.1% 9  茨城 / 75.0% / 102.6% 10 岡山 / 74.5% / 103.8% 11 兵庫 / 73.9% / 96.4% 12 香川 / 73.5% / 104.2% 13 宮城 / 73.2% / 104.0% 14 山口 / 72.8% / 101.1% 15 福島 / 72.7% / 104.1% 16 広島 / 72.6% / 100.6% 17 群馬 / 72.5% / 102.3% 18 富山 / 72.4% / 102.3% 19 長野 / 72.2% / 101.6% 20 福岡 / 72.2% / 100.3% 21 徳島 / 72.0% / 102.1% 22 新潟 / 71.3% / 103.4% 23 千葉 / 71.2% / 94.6% 24 福井 / 70.8% / 102.4% 25 和歌山 / 70.0% / 98.4% 26 高知 / 69.8% / 100.2% 27 山梨 / 69.7% / 99.5% 28 石川 / 69.5% / 100.4% 29 埼玉 / 69.1% / 94.4% 30 京都 / 68.8% / 94.5% 31 熊本 / 67.8% / 103.8% 32 岐阜 / 67.6% / 97.8% 33 北海道 / 66.6% / 100.0% 34 愛媛 / 66.3% / 102.6% 35 島根 / 66.3% / 102.2% 36 岩手 / 66.0% / 107.0% 37 山形 / 65.2% / 106.5% 38 佐賀 / 65.2% / 103.9% 39 奈良 / 64.7% / 92.7% 40 鳥取 / 64.0% / 102.0% 41 大分 / 63.3% / 101.8% 42 長崎 / 63.2% / 102.5% 43 青森 / 62.3% / 104.5% 44 秋田 / 62.2% / 103.8% 45 鹿児島 / 61.3% / 102.4% 46 宮崎 / 60.8% / 101.8% 47 沖縄 / 59.8% / 102.2% ※厚生労働省「毎月勤労統計調査」(2012年年平均分、調査産業計、事業所規模5人以上)をもとに、アエラ作成 ※AERA  2014年7月28日号
仕事転職
AERA 2014/07/22 00:00
大人AKB48 塚本まり子が劇場公演デビュー、まゆゆからも手紙が届き「また出たい」
大人AKB48 塚本まり子が劇場公演デビュー、まゆゆからも手紙が届き「また出たい」
大人AKB48 塚本まり子が劇場公演デビュー、まゆゆからも手紙が届き「また出たい」  大人AKB48として活動し、先日新CM“パピコ 大人AKB48卒業”編も発表した塚本まり子。38回目の誕生日を迎えた7月16日 ついに劇場公演デビューを果たした。AKB48 その他のステージ写真など  この日行われたのはチーム4の【アイドルの夜明け】公演で、メンバーが鼓笛隊に扮しパフォーマンスする1曲目「アイドルの夜明け」では塚本がバトンを担当。笑顔を向けながら、その後もダンスや衣装の早替えなどをそつなくこなしていたが、4曲終えると汗と息切れが止まらない様子。手をうちわ代わりに汗を抑えようとしていたが、込山榛香の「まりりさんとお母さんは同い年」発言には、「えっ!」と思わず手を止める場面もみられた。  また、挨拶の際には「♪まりりりり、まりりりり! 恋のポケベル鳴らしちゃうぞ!」と自己紹介し、「今日は初めてです! 劇場!」と喜びをあらわに。客席からの「かわいい!」という声には、「ありがとう!」と満面の笑顔で応え、ユニット曲「片思いの対角線」ではダンスはもちろん表情でも曲の世界観を表現し、堂々とセンターを務め、「女子高生はやめられない」では一転して制服姿にぬいぐるみを手にしたキュートなパフォーマンスをお披露目した。  そしてアンコール明け、ラストの曲「アリガトウ」では感極まって目を潤ませた塚本。最後に行われた生誕祭では推しメンと公言する渡辺麻友からの手紙が読み上げられ、「一生忘れられない38歳だと思います」と喜びを口にして、「もっと練習して、また出たい」と残り少なくなってきたAKB48メンバーとしての活動にも改めて意欲を示した。 (C)AKS ◎塚本まり子のコメント(公演の中から一部抜粋)(どんな1年にしたいと聞かれて)一生忘れられない38歳だと思いますので、後悔のないAKB48を、あと少しですがやりたいと思います。どうかよろしくお願いします。 (応援してくれるファンへのメッセージとして)今日は本当にありがとうございました。本当にこの劇場に出たくて、でもなかなか踊りが覚えられなくて…。皆さんのお陰ですごく楽しくステージに立つことが出来ました。今日だけじゃなくて、まだこれからももっと練習して、また出たいと思います。頑張りますので、応援よろしくお願いします。今日はありがとうございました。 ◎渡辺麻友からの手紙まりりへ お誕生日、おめでとうございます! そして、初めての劇場公演出演も、お疲れ様でした!はじめてまりりと会ったのは、大人AKBの発表記者会見の時でした。こんなにも美しくて完璧な一般の主婦の方がいるんだなぁと、とても驚き感動したのを覚えています。沢山の記者の方、まばゆいカメラのフラッシュを前に、緊張してしまい言葉に詰まりながらも涙をこらえ一生懸命お話するまりりをすぐそばから見守っていたのが、昨日の事のようです。まりりは歳を感じさせないほどとても若くて、いつもまりりと話す時はつい同年代の子と話すような感覚で話してしまいます。親しみやすくて、仕草が一つ一つ可愛くて、美人さんで、スタイルが良くて、本当に小顔で、まりりは大人の女性として、とても憧れます!家事、育児との両立で忙しい日々の中、AKBのお仕事も誰よりも一生懸命こなすまりりを見て、私も頑張らなくちゃ! といつも奮起させられます。そんなまりりが、本当に大好きです!こうしている内にも、まりりとのお別れの時が近づいているんだと思うと本当に寂しいです。もっとまりりと一緒にいたい、といつも思います。まりりがAKB48を卒業するその日まで、同じAKBメンバーとして、一緒に頑張って行きたいですし、沢山の思い出を作って行きたいです!こんな私ですが、これからも宜しくお願いします!そして、人生の先輩として色々なことを教えてください!今日はお誕生日、本当におめでとうございました! まりりにとって素敵な1年になりますように、、、 チームB 渡辺麻友より
billboardnews 2014/07/17 00:00
もう、彼らなしでは成り立たない! 暮らしの中の外国人労働者
野嶋剛 野嶋剛
もう、彼らなしでは成り立たない! 暮らしの中の外国人労働者
「お客様が喜ぶ仕事を誇りに思う」フィリピン人メイド 田村メルスィーさん(右)この家の主婦、桜井敏江さん(56・左)は米国在住歴もあり、メイドでベネズエラ人を雇っていた。「来てくれると家が明るくなります」(撮影/高井正彦) 千葉県松戸市のカトリック松戸教会で洗礼を受けるフィリピン人夫婦の子ども。月2回タガログ語のミサが行われる(撮影/編集部・野嶋剛) 「工場の仲間と冗談を言い合うのが楽しみ」中国人技能実習生 王成行さん(右)と王イェンさん(左)受け入れ歴7年の大智鍛造所社長・大智靖志さん(中央)は「実習生はとにかく人柄重視、協調性が大事です。社員旅行にも連れていきます」(撮影/楠本涼) 「受け入れてもらうと、幸せな気持ちになる」インドネシア人介護要員 メラ・ジュリアさん(右)指導役の高梨美紀さん(左)は「彼女たちは日本人以上に上下関係を大切にしますね。資格を取るという目的意識も強いので、職場のいい刺激になります」(撮影/写真部・関口達朗) 「勝田台フルヤ歯科」では3人の日系ブラジル人が働いている。院長の古谷さんと吉田ダニエレさん(右)(撮影/編集部・野嶋剛) さまざまな現場で働き、いまの日本を支える外国人たち。 人手不足を補い、女性の社会進出を陰で助ける。 日本と自分の未来を見つめる彼らを追った。(編集部・野嶋剛)  海の見える高台にある横浜きっての高級住宅街。田村メルスィーさん(30)は、家に入るなり、2匹のゴールデンレトリバーに英語で声をかけた。 「Stay!」「Good,good」「Sit!」「Yes,you are very cute」  メルスィーさんはフィリピン・ミンドロ島の出身。勤務先のダイビングショップで日本人の夫と知り合った。2002年に結婚。横浜市内で子ども2人を育てる。フィリピン人の友人からメイドの仕事を紹介された。  派遣元の会社に登録し、ほぼ連日、横浜のどこかの家で掃除や洗濯をこなす。  フィリピン人メイドの「天性」は世界で評価される。シンガポール、香港、米国やヨーロッパでも「人気ブランド」だ。 ●日本人より割安  都内の出版社に勤める女性は週1回、フィリピン人女性に家の掃除を頼む。仕事柄夜遅いことも多く、会社の先輩から「日本人より割安」と紹介された。  午前9時から約3時間半。家全体に掃除機をかけ、台所や風呂、トイレを掃除し、シーツを替え、アイロンをかける。この間、彼女は手を休めない。  メイドを頼む以前は夜中や週末に自分でやらざるを得ず、睡眠不足でイライラしていた。 「週末に子どもの学校の行事や習い事にも出かけられる。なにより自分自身が精神的にすごくラクになりました」  メイドのフィリピン人は外交官や外資系企業幹部などの家庭で働くビザで来日しているが、空いた時間に日本人家庭でも働く。時給1500円+交通費、というのが相場だという。  雇い主の帰国後にメイドだけ日本にとどまって個人のツテで働くこともあるが、不法就労になり、盗難や連絡が取れなくなるトラブルもあるという。  安倍政権は都市圏で「メイド特区」を認め、現在は制限しているビザ発給を緩和する構えだ。家事に縛られず、社会で能力を発揮してもらうためだ。  メルスィーさんが登録する家事代行サービス会社「シェヴ」(東京都港区)は、約100人の日本人配偶者のフィリピン人スタッフを抱え、「週1回3時間1万円」という統一プランで業界をリードしてきた。メイド需要の拡大を見込み、今後はミドルクラスの共働き夫婦向けの割安型も打ち出す構えだ。同社の柳基善社長は言う。 「働き手の保護や業界のルールが明確でないので、日本は世界の模範になるよう率先して健全化に取り組むべきです」  制度上「労働」を目的に来日する唯一の外国人は技能実習生だ。最長3年で中国や東南アジアの15万人が日本で働く。 ●実習生は人柄重視  兵庫県川西市の大智鍛造所では、7年前からこの制度で中国人8人を雇い続ける。社長の大智靖志さんには忘れられない思い出がある。最初に迎えた中国人に健康診断でガンが見つかり、日本で手術を受けた。 「みんなで手分けして看病をして職場が一つになりました。実習生はとにかく人柄重視。協調性が大事です」(大智さん)  ただ、給与や長時間労働をめぐり、実習生と企業との間でトラブルが多いのも現実だ。  企業にとって実習生を抱える最大の動機はやはりコスト。不況で経営が苦しい企業ほど、残業代を渋り、給与から実費以上の家賃や食費などが引かれる。手取りが5万円以下で「時給数百円」になる悪質なケースも数多く報告されており、各地で訴訟や苦情が相次ぐ。  一方、中国でも都市部で賃金が毎年10%近くも上昇し、日本との給与格差は縮まる一方。日本での実習のメリットは少ないとの評判が広がり、人材を探すのが年々困難になっている。  そんななかで急激に増えているのがベトナム人だ。  大阪市西淀川区の「新免鉄工所」は今年4月、ブイ・ヴァン・リンさん(23)とレイ・チャー・バオ・ユイさん(26)を受け入れた。新工場に本社から人を出し、その穴を埋めてもらう。  同社にとっては初の外国人。社長の新免謙一さんは自らベトナムに足を運び、面接で選んだ2人の住居も探した。週末には神戸の中華街・南京町のベトナム料理店に連れていき、社の屋上では2人が好きな香味野菜を栽培するほどの気の使いようだ。 「礼儀正しいし、声も大きく、はきはきしていて、うちの若手にはないものを持っており、教わることも多い。(制限の)3年といわずもっといてほしい」  2人も「日本の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)など学ぶことばかり。最低でも5年はいたい」と口をそろえる。 ●試験に落ちると帰国  自民党は政府に対し、5年への延長を提言している。一方、実習制度自体には、職場の変更や柔軟な帰国ができないことから、国内外から「現代の奴隷制度」といった批判も絶えない。 「メラちゃ~ん、こっちに来てよ」「メラちゃん、元気?」  千葉県袖ケ浦市の老健施設「カトレアンホーム」で働くインドネシア人のメラ・ジュリアさん(26)は入所者の人気者だ。  南スマトラ出身。地元で看護師として救急病院で働いていたが、経済連携協定(EPA)の枠組みで11年に来日した。 「自分の発音が悪くて日本語が通じないと悔しい。でも、皆さんに受け入れてもらった感じがあると、幸せな気持ちになる」  施設の近くに部屋を借りた。来年1月に控えた介護福祉士の国家資格試験のため、ベッドからの移動、入浴や食事の世話などの仕事をこなしながら、家に帰って勉強を続ける。  インドネシアなどから、EPAの締結によって介護要員が招聘されている。メラさんのように、入所者や現場の評価は総じてかなり高い。ところが、日本人と同じ介護福祉士の国家資格の取得を義務づけているため、制度の有効活用ができているとは言いがたい。  メラさんは、母国の学校や日本の研修センターで1年以上も勉強し、3年間の施設実習で国家試験に備えるが、試験に2度落ちると帰国させられる。困窮する介護現場の「助っ人」に来てくれる彼女らに、これほど負担をかける意味があるのか疑問だ。メラさんたちも30歳を過ぎれば結婚や帰国を考えるだろう。  日本に外国人の労働者が本格的に現れたのは90年代以降。出入国管理法の改正で日系人の就労条件が緩和され、大型の工場がある地域が日系人であふれた。その半面、言葉や習慣の問題で生活や教育に支障を生む状況が広がった。 ●母語だと安心できる  医療もその一つ。千葉県佐倉市で、歯科医院を経営する古谷彰伸さん(50)は、7年ほど前に歯科助手を探していたとき、患者の日系ブラジル人女性の日本語がうまいことに驚き、「うちで働かない?」と声をかけた。口コミで「ポルトガル語が通じる歯科医院」との評判が広がり、関東一円から患者が訪れる。患者の2~3割は日系人だ。  現在、医院で働く吉田ダニエレさん(29)は日系3世。近くの工場で働いていたが、古谷さんに医院でスカウトされた。  診察室では普通にラテン系の言葉が飛び交う。ブラジル人だけではなく、ペルー、チリ、アルゼンチンなどの患者も多い。 「南米では歯科治療は保険適用がなく、治療費は固定額の前払い。患者さんには日本の保険制度との違いを説明します。母語でないとなかなかこういう話はできないので、安心してもらえるのでしょう」(ダニエレさん) ※AERA  2014年7月14日号
仕事
AERA 2014/07/07 00:00
【わたしの好きな場所】 緑を見下ろす事務所は 光源の発明と実験の場 <照明デザイナー 石井幹子さん>
【わたしの好きな場所】 緑を見下ろす事務所は 光源の発明と実験の場 <照明デザイナー 石井幹子さん>
■アイデア創出に最適の環境  2009年の祝日や記念日を彩った東京タワー50周年記念ライトアップ「ダイヤモンドヴェール」は、大きな話題となった。  東京タワー、レインボーブリッジ、世界遺産・白川郷合掌集落の夜間照明など、日本全国の「ライトアップの名所」を手がけてきた照明デザイナーの石井幹子さん。  石井さんが選んだ「好きな場所」は、新宿御苑に隣接する自身の事務所だ。建築家の香山寿夫さんが設計した建物は、竣工から約20年経ったいまでも、建築を学ぶ学生たちにとって憧れの作品。週末には、外観の写真を撮りにくる学生が後を絶たないという。  1階ロビーの写真パネルには10、11年の作品を展示。「平城宮大極殿ライトアップ」などの美しい作品が並び、「次・オフィスライティングシステム」で調光。 「1階のロビーには、ここ1、2年で手がけた作品の写真パネルや、太陽光発電を用いた公園のオブジェのミニチュアなどを展示しています。LED照明の照度や色温度が朝、昼、夕方と変わるようにコントロールされた『次・オフィスライティングシステム』を導入しているので、仕事をしていてとっても快適なんですよ」  事務所の窓越しに、四季折々に色づく新宿御苑の木々を眺めていると、心がほぐれてアイデアが湧き出してくるという。また、新しい光源を発明すると、まず屋上から新宿御苑の暗闇に向けて照射してみる。事務所は石井さんの実験の場にもなっている。 ■「賢エネ」のすすめ 1階ロビーに飾られている作品の写真パネルは年に1度更新される。  11年3月11日の震災以降、節電意識の高まりから、照明に対する風当たりは決してやさしいものではない。 「でもその一方で、震災をきっかけに家族や親子、友人との絆を強く感じた方も多いでしょう。こんなときだからこそ、あたたかな照明のもとに集って、大切な人たちとの豊かな時間を過ごしてほしいですね。  また、お年寄りのいるご家庭では、暗すぎるとさまざまな問題が出てきます。ただ照らすのではなく、家庭ごと、企業ごとに電気の使い方を考える『賢エネ』の時代が来たのだと思います」  自宅屋根には3.5kwの太陽光パネルを設置して、「自産自消」で家中の電気を賄っている。リビングやダイニングは、やわらかい間接照明。食事中にはあたたかなキャンドルの明かりをともし、テーブルを囲む。 「料理や読書などの作業をするときだけ、手元だけを照らすなどして限られた範囲を明るくする『適光適所』を実践すれば、賢エネは難しいことではありません」  石井さんの次なる挑戦は、「東京ゲートブリッジ」。お台場のレインボーブリッジのさらに沖に架かる橋の竣工は12年2月。都市を彩る優しく美しい景観がまたひとつ誕生する。 ※本コラムは「homeclub」2012年1月号のインタビュー記事を転載しています。 石井幹子(いしい もとこ) 東京藝術大学美術学部卒業。フィンランド、ドイツの照明設計事務所勤務後、石井幹子デザイン事務所設立。都市照明から建築照明、ライトパフォーマンスまで、幅広く活躍。代表作品に東京タワー、レインボーブリッジ、横浜ベイブリッジ、函館市や倉敷市などの景観照明、平城宮跡大極殿など。海外では上海ワールドフィナンシャルセンター、日独交流150周年記念イベント《平和の光のメッセージ》など。国内外で受賞多数。 その他にも住まいに関するコラムがたくさん! homeclub.misawa.co.jp/column/
dot. 2014/07/03 11:00
ダイアナ妃、カール・ルイス、そして江頭2:50
ダイアナ妃、カール・ルイス、そして江頭2:50
 故ダイアナ妃をはじめ、元陸上選手のカール・ルイス、そして、日本を代表するお笑いタレントの明石家さんま。これら国内外の"ビッグネーム"にはある共通点があります。それは本日7月1日が誕生日だということ。  そして、彼らに並んで、本日誕生日を迎える男がいます。あの、江頭2:50(以下、エガちゃん)です。  彼が世間に残したインパクトある事件は数知れず。初のレギュラー番組では、全裸で暴走してしまい広告代理店・スポンサーの逆鱗に触れ、なんと初回収録中に降板が決定。「1クールのレギュラーよりも、1回の伝説」をモットーにしているエガちゃんらしい仕事っぷりでした。  その一方、東日本大震災の時には、自ら2tトラックを運転し被災地へ。高齢者介護施設や避難所に水・生理用品などを届けるなど、新潟中越地震時に引き続き抜群の行動力を見せました。  そんな彼の、49回目の誕生日を祝って本日、ヴィレッジヴァンガード オンラインストアでは、「江頭2:50誕生祭!!」を開催しています。同ストア内では、着るだけでエガちゃんになれるオリジナルTシャツ、ウォールステッカー、お面、自由帳など関連アイテムを販売。あまりに魅力的な商品ラインナップにウェブ画面を見る目も点になります。  そうしたアイテムに並び、同ストア上で販売されているのが、エガちゃん初の撮り下し単行本『エガヨガ』。同書はタイトルが示すように「古代インドの神秘=ヨガ」との"コラボ本"です。右ページはヨガの先生が実際に「木のポーズ」「鷲のポーズ」など実用的な動きを丁寧に紹介し、左ページにはエガちゃんが「がっぺ むかつく」「お前に一言物申す!」「ドーン!!」など、独自のポーズを紹介しています。  また、同書には「奥義 真夜中のエガ」と題された期待感高まる袋とじも用意されています。ファンの方は、くれぐれも焦って開けないように注意してくださいね。
BOOKSTAND 2014/07/01 07:30
俳優・松村雄基 大映ドラマ全盛期から20年間も介護を続けていた!
俳優・松村雄基 大映ドラマ全盛期から20年間も介護を続けていた!
 80年代、テレビで人気の学園ドラマ「不良少女とよばれて」「スクール・ウォーズ」の不良役として鋭い眼光と激しいアクションで魅了した俳優・松村雄基さん(50)。実は当時、親代わりだった祖母が倒れ、その後20年間、介護が続いたという。その時の話を聞いた。 *  *  *  家庭の事情で、生まれたときから祖母と二人暮らし。自宅に生徒を集めて詩吟を教えるなど、しっかり者でかくしゃくとしていて、母親代わりに孫の私を厳しく育ててくれました。  そんな祖母が脳梗塞で倒れたのが18歳のとき。デビュー翌年で、後遺症で体の自由がきかなくなりました。家ではトイレの介助をし、アパート暮らしで風呂がなかったので、銭湯までおんぶしていきました。  まさに大映ドラマ全盛期で、スケジュールは連日ぎっしり。始発電車で撮影所に入り、仕事中は近所に暮らす叔母一家が介護し、私が終電で戻って交代する……。まさに介護と仕事を往復する日々でした。  でも、撮影現場は同年代の仲間がいっぱいいる学校みたいな雰囲気で、気分を切り替えられました。介護のせいで友達と遊べないというような不満を感じることはありませんでしたね。  やがて祖母に認知症の症状が表れてきました。介護を始めて8年目、叔母一家と同居することにしました。それでも任せきりにはせず、交代しながら介護にあたりました。  祖母は昼夜逆転していたので、夜は私がソファに横になり、祖母の話に付き合いました。介護しながらセリフを覚えた夜も幾度となくあります。    症状は少しずつ、でも確実に進んでいきました。おむつの交換はもちろん、便秘のときには便をほじくり出しました。祖母のプライドを傷つけるんじゃないかと躊躇(ちゅうちょ)することもあったけれど、やらなければ祖母がもっと苦しむ。目の前の介護に精いっぱいで、あれこれ考える余裕なんてありませんでした。  在宅介護10年目、いよいよ家族だけでは限界を感じ、特別養護老人ホームに入ってもらうことにしました。その決断を私が伝えると、祖母が言ったんです。 「いいよ。おばあちゃん、行くよ」  そのときのことを思い出すと……。本当は家や家族と離れたくなかったかもしれないのに、とっても優しい笑顔だった。  それから10年間、特養で過ごし、88歳で眠るように逝きました。穏やかな最期でした。  最近、20年にわたる祖母を介護した日々を振り返って思うんです。  まだ一緒に暮らしていたころ、夜中に二人で話していると、祖母がときどきはっきりすることがあって、「あんなことがあったね」「楽しかったね」と思い出話ができた。介護は大変だったけれど、おばあちゃんの孫としてゆっくり向き合えた時間は、私にとってはかけがえのない宝物です。 ※週刊朝日  2014年7月4日号
介護を考える
週刊朝日 2014/06/30 07:00
ワークライフ時短術 効率仕事力を磨くには?
ワークライフ時短術 効率仕事力を磨くには?
アエラが行った調査で「仕事を効率化するための具体策を取っていない」と答えた人はその理由を「やり方がわからない」(26.3%)、「忙しすぎて効率化する意欲がわかない」(17.6%)とした(撮影/伊ケ崎忍) 【スケジュール】見開き1週間の手帳。左上がクリップでとめられている(撮影/編集部・塩月由香) 手帳とタスクシートを持つ立尾さん(撮影/編集部・塩月由香) 【机、書類の整理】出勤後に前日の引き継ぎ資料を取り出す柳田さん(撮影/編集部・塩月由香) 引き出しの中は細かく仕切ってある(撮影/編集部・塩月由香) 【会議】出席者の発言の時間制限、進行役の導入も時短効果あり(写真:はてな提供) キッチンタイマーで時間管理するとスムーズだ(撮影/岡本俊浩) 【IT】グーグルの坂本さん(撮影/岡本俊浩) 「グーグルキープ」でひらめきをストックする(撮影/岡本俊浩) メールにラベルを付ける(撮影/岡本俊浩) 時間を上手にやり繰りし、仕事もプライベートも充実させる。 そんな人たちの仕事術は、どこが違っているのか。 実践するビジネスパーソンらにその方法を聞いた。(編集部・塩月由香、ライター・岡本俊浩) ●手帳に情報を集約 現状把握し時間を  オンとオフはしっかり分けるのがモットー。上司も一目置く業績をあげながら、毎週水曜は午後5時15分に定時退社し、ゴルフの打ちっぱなしに行く。  パナソニックエコソリューションズのシゴトダイエット推進室で働く立尾仁美さん(26)は、月曜の朝、週末に通勤バッグに入れたままにしていた仕事用の手帳を開く。  立尾さんは、手帳と自作のタスクシートを使い分ける。手帳は1週間の見開きタイプを使用。会議や打ち合わせは所要時間を丸や矢印で囲み、すきま時間が一目でわかるようにしている。一日の予定の上に書き込むToDoリストは、その週に達成できなかったものを金曜夕方に翌週ページに書き写す。写し終えたら、ページを繰ってクリップで左上を留める。 「何度も前のページに戻り確認していると情報に漏れが出てきます。直近1週間の見開き2ページで現状を把握します」  効率化のおかげで、フリーの時間を週に1時間は取れ、先々を考えた将来のための仕事にあてることができるようになった。手帳裏のポケットには、そうしたすきま時間で作った自作の全社分月次売上比較表がさらりと入っている。  自作のタスクシートは1案件1枚の設定。必要な期間の月間カレンダーをインターネット上からダウンロードしてA4用紙1枚にまとめ、達成までの中間目標と日付を書き入れる。打ち合わせにも持っていき、仲間に見せ、時間意識を共有する。  同じように月曜の朝、会社へ向かう雑踏の中で、KDDI系の公衆無線LAN通信会社「ワイヤ・アンド・ワイヤレス」運用本部の橋本正則さん(50)は、早足で歩きながら今日の仕事の流れを考える。  1時間の通勤時間でその日の仕事の優先順位を考え、出勤後の最初の5分で仕事の段取りを「見える化」するのが習慣だ。  常時20ほどの中長期の案件を抱えるが、タスク管理はパソコンの「メモ帳」のシート1枚に集約している。以前は課題ごとに分けて作成していたが、やがて1枚のシートに書き足すようになり、数年間続けている。毎朝、最優先の課題をカットアンドペーストして一番上に移動させ、終了したら下におろすというふうに、順番を差し替える。 「数年間追記し続けることで、同様の案件が発生したときに、前回の期間の実績や注意点を再利用できます」  仕事の効率化に詳しい知的生産研究家の永田豊志さんは、時間配分の考え方の一つとして、「特に緊急ではないが重要なもの」をいかに毎日の時間割りに落とし込んでいくかが大切と説く。例えば将来に向けた勉強や起こりうる障害に対する予防だ。 「時間が余ったらやろうと考えていたら、時間なんて絶対に余らない。自分の人生の目的に向けた準備、勉強、旅行の計画、思考する時間を確保するために、自分で自分にアポを取るんです」 ●平積み書類が提案のもと  数十人の営業マンの机が並ぶ部屋の窓側の列に、プルデンシャル生命保険で営業所長を務める柳田優木さん(33)のやや広めのブースがある。  社内で業務改善の提案数の多さで知られる柳田さんだが、机での書類の整理は、意外にも平積みOK。数々の提案のもとになるのは、「もしかしたら役に立つかもしれない案件」の資料の平積みからだ。  仕事の合間に未処理資料をぱらぱらとみて、業務後「パンドラの箱」と呼ぶ机のひとつの引き出しに、クリアファイルごと平積みに。インターネット上で気になった情報もすべてA4用紙に印刷して1案件ずつクリアファイルに入れ、「パンドラの箱」へ。  毎週月曜と木曜の夜、この資料を棚卸しして、使えるものがないか確認する。あるものはミーティング用の資料入れのボックスへ、あるものは部下に渡す資料へと姿を変える。 「最近は、紙の資料をクラウド化したり、ネット情報はお気に入りに登録したりと、いろいろ方法がある。でも自分にとっては、いったんすべての情報を同じ状態に一元化して、その中から情報を選別し、決まった場所に振り分けて保管したほうが頭の整理がつくんです」  事務効率化コンサルタントのオダギリ展子さんは、机上に書類が散乱していて整理がつかない場合、まず「自分が管理しているモノ、抱えているモノの量を減らしてみてください」と話す。業務中に机の整理をするのは周囲の目も気になるため、区割り・2段階での整理を提案する。 「まず机の右側、左側、1段目の引き出し、机の下というふうにデスク周りを7カ所に分けて、場所ごとに置かないモノを整理。次に空いたスペースを整頓、の順で。できる時にできる範囲で」 ●仲間の集合知で思考を時短  グーグルの坂本奈央さん(25)は、企業向けアプリケーション「グーグルアップス」などのセールスを担当している。中小企業が集まるセミナーでサービス説明をし、代理店と一緒にサービスの導入を企業に提案することもある。  仕事は高密度。それでも、勤務時間は一日平均7~8時間。社内外のコミュニケーションはGmailが基本だ。仕事の効率化のために坂本さんがやっているのは、「読んだら、メールにラベルをつけて分類すること」だという。  処理する仕事の優先順位は「1日以内」「数日中」「1週間以内」で分ける。仕事がクリアになるから、予定がつまっていない日はきっぱり帰れる。予定表の「グーグルカレンダー」や、複数のパソコンでデータを共有できる「グーグルドライブ」も使う。 「グーグルドライブに『仕事の痕跡』を残せば、メンバーはいつでも参考にできるし、みんなの『集合知』にアクセスできるから、思考を時短できます」  多数のビジネス書を書いてきた作家の戸田覚さんは、 「情報のリサーチは、初速が大事なんです」  たとえば、ネット検索だ。最初の30分で見つかる情報は、その後の30分で見つける情報よりも量が多く、価値が高い。作業時間をやみくもにかければよい、というわけではない。かかる時間に対する成果が落ちることもある。 ●会議の「仕分け」悩む場にしない  月曜の午前10時。「はてなブックマーク」などのネットサービスで知られるIT企業「はてな」東京オフィスに、社員が出勤してくる。出勤後に、彼らが向かうのは、デスク脇の共用スペースだ。  彼らは、立ったままテレビモニターの前に。モニターの上には、ネット回線に接続されたカメラ。画面に京都本社のスタッフたちが映し出された。 「本日の朝会を始めます」  はてなは、会議時間を短縮するため、「立ったまま会議」を続けてきた。朝の会議に30分、1時間をかける会社も珍しくないなか、全体会議は最短で5分、チーム別も5分という早業で、前営業日の仕事内容や新機能に関する報告などを発表していく。  京都本社のスタッフはこう言った。 「立ったままだから、5分でも長く感じる。会議をスピーディーに終えるためにはいい」  広報の山田聖裕さん(32)によれば、「全体連絡はオンラインでも済む。それでも、毎朝顔をつきあわせて一体感を得るという意味で、朝会の意義は大きい」という。  藤屋マネジメント研究所の藤屋伸二さんは、「仕事からではなく、時間からスタートする」という、経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を引用する。 「年収700万円の人なら時給は3500円。10人集まって1時間の会議をやったら、3万5千円にもなる。コスト意識を持つことは、損ではない」  不要なコストをカットし、もっと生産性を上げられないか。  必要な会議と、不要なそれを分けるものは、「何を」「どの程度まで決定し」「いつまでに」「どう達成するか」だ。 「会議の場で問題解決を求めて、延々と悩むケースがあります。会議は問題解決のために『意見を述べる場』であっても、『悩む場』ではない」だから、「事前に意見を準備する」ことが大事で、解決しなければ「次回に回す」「他の人の知恵を借りる」などの判断をスパッとできるようにしたい。  手間のかかる仕事がある。そのときに、どれだけの時間を残しておけるか。会議の「仕分け」が試される。 ※AERA  2014年6月30日号
仕事
AERA 2014/06/22 00:00
元TBSアナ「“女子アナ”という言葉は嫌い」
元TBSアナ「“女子アナ”という言葉は嫌い」
吉川美代子(よしかわ・みよこ)1954年、神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。77年、TBS入社。「ニュースコープ」「ニュースの森」「CBSドキュメント」など多数の報道番組のキャスターとして活躍。近年は「ウォッチ!」「朝ズバッ!」などの情報番組のコメンテーターも務めた。2014年5月末に、37年間勤めたTBSを定年退職。TBSアナウンススクールの校長を13年間務めた。6月1日から、キャスト・プラスの役員に就任。著書に『アナウンサーが教える 愛される話し方』(朝日新書)、『ラッコのいる海』(立風書房) (撮影/写真部・工藤隆太郎) 吉川美代子さん(左)と林真理子さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)  5月末でTBSを定年退社したアナウンサーの吉川美代子さん。退職直前の5月下旬に行った作家の林真理子さんとの対談では、“女子アナ”に先輩として厳しい一言を残した。 *  *  * 林:私、吉川さんがお書きになったこの本(『アナウンサーが教える愛される話し方』)を読んで、感動しちゃいましたよ。最初のころ「俺の原稿を女の声で読ませるな」って言われたんでしょう。そういう苦難の道を歩んできて、定年まできちんと勤めたわけですよね。TBSで女性の管理職は初めてだったんですか。 吉川:いま、局長なんですけど、女性で局長は初めてです。 林:TBS初の女性ニュースキャスターも吉川さんでしょう? 83年から「JNNおはようニュース&スポーツ」を担当したのですが、全国ネットのニュースを女性が読むのは、TBSでは画期的なことでしたね。 林:報道人のトップランナーとして走ってきたわけですね。 吉川:私が失敗したら「やっぱり女はダメだ」となってしまいますから、ものすごいプレッシャーでした。入社5年目に念願の報道担当になりましたが、入社当初から夢の中でも遊びにいっても、考えるのは仕事のことばかり。1日24時間、1年365日、ほんとにストイックに仕事のことしか考えてませんでしたね。 林:そういう時代を生きてきたから、「あ、読み方間違っちゃった」なんて言ってるアナウンサーを見ると……。 吉川:新人時代は週に2本くらいしか番組がなくて、ひとつの仕事に向けてコンディションを整えたり準備をしたりする時間があったんですよ。いまはテレビのバラエティーをやってラジオ番組をやって、さらに報道の深夜勤務もロケもある。しかもCSやBSの番組も担当するので、十分な準備期間がないのも事実です。ただ、それでも1日5分は時間をつくれますよね。「その5分間になんで発声練習をしないの? 新聞を読まないの?」って思うんですよ。 林:前にお目にかかったとき、「女子アナ」という言葉は大嫌いとおっしゃってましたが。 吉川:はい。「女子アナ」って呼ばれたことがないんです。 林:そんなこと言われない世代ですよね。 吉川:「女子アナ」という言葉には、意識していなくてもどこか軽く見下すような響きがあって嫌いです。「女子アナ」と呼ばれて浮かれていないで、プロとしての技術を磨いてほしいのです。 ※週刊朝日  2014年6月13日号より抜粋
働く女性
週刊朝日 2014/06/09 11:30
1200円上昇も! W杯、日本代表の勝利が日経平均も引き上げる?
1200円上昇も! W杯、日本代表の勝利が日経平均も引き上げる?
 サッカーのブラジルワールドカップ(W杯)がいよいよ6月に開幕する。日本代表は初の8強入りとなるのか。スポーツは消費を刺激する。電通総研は、前回2010年の南アフリカW杯の経済効果は3千億円にも上ると試算していたほどだ。  消費だけではない。1980年代後半から景気とスポーツの関係性を研究している三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉理事は、 「サッカーや野球など国際的な試合で日本が勝つと、日経平均株価も上がる可能性が高い」  と分析する。その理由について宅森氏は、 「日の丸を背負って戦う選手を見た人たちは、『自分も頑張らなければ』と仕事へのやる気がアップし、物事の見方も前向きになるようです。それが端的に株価にも表れるのでしょう」  と説明する。顕著だったのは97年、サッカーW杯の初出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」だ。深夜のテレビ中継にもかかわらず50%近い視聴率を記録し、日本中が熱狂した。  しかし、翌朝に飛び込んできたのは、北海道拓殖銀行の破たんのニュース。株式市場が混乱してもおかしくないほどのインパクトだが、そこはW杯の魔法だ。なんとその日の日経平均は、1200円も上昇した。  また、記憶に新しいのは12年のロンドン五輪の男子サッカー。初戦で下馬評をくつがえし強豪スペインを倒し、その翌日は123円の大幅高となったのだ。試合中継に合わせて日経平均が上下したこともある。  09年3月24日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦。日本時間の日中に行われたため、試合運びに連動して日経平均が動いた。延長戦が決まるとその日の最安値8297円27銭をつけ、その後、イチロー選手がタイムリーヒットを飛ばすなど日本チームが優勢になると株価は徐々に上昇。優勝が決まり金メダルが授与されると、その日の最高値となる8504円41銭をつけた。 ※週刊朝日 2014年5月23日号より抜粋
W杯
週刊朝日 2014/05/14 16:00
エッセイスト玉村豊男 吐血、入院を経て、金賞ワインをつくるまで
エッセイスト玉村豊男 吐血、入院を経て、金賞ワインをつくるまで
玉村豊男さん(右)抄恵子さん(左)夫妻(撮影/写真部・植田真紗美)  ワイナリー開設から3年目に洞爺湖サミットで提供されるワインを作り、5年目のものは国内コンクールの金賞受賞という快挙を達成した夫婦がいる。エッセイストの夫・豊村豊男さんと園芸家の妻・抄恵子さんだ。ワイナリーを始めた当初の苦労を聞いた。  豊男さんは仕事盛りの30代後半。多いときは月に30本もの締め切りを抱え、徹夜で原稿を仕上げることもしばしば。そんな生活を続けるうちに、体が悲鳴を上げた。徹夜明けの昼、2.5リットルもの血を吐いて、即入院。原因がわからないまま出血を繰り返して5リットル輸血した。それがもとで肝炎に感染してしまう。 夫「ちょうど42の厄年で、チェルノブイリの事故のあった年。体は動かないし、仕事も減っちゃったし、貯金もなくなって。初めて年を取ったあとのことを考えた。どうやって暮らそうかなぁと思ってたら、この人が『もうちょっと田舎に引っ越して、野菜でもつくりながらゆっくり暮らそうか』と言いだしたんです」 妻「私はその少し前に、たまたま知人に『とにかく素敵だから』と誘われて村田ユリさんという方の農園に遊びに行ったんです。そしたらお花はきれいだし、タイムやルッコラが生えてるし……ルッコラなんて東京では紀ノ国屋にしか売ってなかったのに。すっかり魅了されて、植物の手入れや畑仕事を手伝ううちに、食べたい野菜を自分で作る生活もいいなぁと」 夫「僕も時々、彼女と一緒に農園を手伝いに行くようになって。体が戻らなくて、絵を描き始めたときだったから、こうやって花を育てたり食べ物を作ったりしながら、絵を描いて暮らすのもいいなと。いつも僕は彼女についていくだけなんですよ。場所が変わったら、また別の話も書けるし(笑)」  毎週末ドライブをしながらの土地探し。当時、農地を買う場合は1500坪以上が必要で、そんな土地は不動産屋に行っても扱っていない。いい土地を見つけては地主と交渉し、2年かかって理想的な場所を手に入れた。そして二人は婚姻届も出した。 夫「さすがにここは田舎だから、二人の名前が違ったら怪しまれるだろうと」 妻「みんな『いまさら?』と、冷たい反応でしたけど(笑)」 夫「しかし、丘の上にあるこのパーッと開けた土地を見たとき、二人ともいっぺんで気に入ったよね」 妻「みんな、ここの景色は褒めてくれますね」 夫「3500坪もあるから、最初の1、2年は、草生え放題、石はごろごろしてる土地の開墾に明け暮れて大変だった。泥まみれで働いて、くたびれてワイン飲んで寝ちゃうから、原稿を書く時間もない。俺の才能はここで終わりなのかと、不安になる日もありました」 妻「私はうれしくてしょうがなかった(笑)。最高に気持ちいい生活でした」 夫「ハーブと野菜を植えたけど、まだ土地が余ってるからワイン用のブドウを植えてみて。みんな標高が高いからダメだろうと言いましたけど、どうせ道楽だからできなくてもいいやと思ってた。ところが、できたんですよ。とれたブドウは醸造を委託して自家製ワインを造りました。最初はマズかったけど、5、6回醸造する間に、どんどんまともな味になってきて」  そのころ豊男さんと付き合いのある大手酒造メーカーがワイナリーを造る計画が浮上した。間に入り長野県東部町(現東御市)に誘致しようとするが、計画は頓挫(とんざ)。ワインへの情熱だけが残り、今度はなんと豊男さん個人が営むワイナリー開設に向けて奔走し始めたが……。 夫「酒造免許の取得とか、お金の問題とか、問題は山積だったけど、一番強固なのは彼女の反対だった」 妻「玉さんはいろんなストレスが重なって、また体調を崩して入院したりしてた。人を抱えて倒れたら、もっと大変です。もうこの年でそんなことはやめて、と」 夫「僕は60歳前で、もう一回ぐらい血湧き肉踊る、先の見えない仕事をしたかった。でも1、2年は、毎日ケンカしてたね。『東京へ帰ります』『別れます』とか、『出て行きなさい』とかさ」 妻「そうね。あれだけ反対したのは初めてです」 夫「僕が初めてこの人の言うことを聞かないで、自分で何かをやろうとした、最初のことなんです」 ※週刊朝日  2014年5月9・16日号より抜粋
週刊朝日 2014/05/12 07:00
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