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“最強”韓国を追い越す日も? 世界ランクの推移で見る「日本女子ゴルフ界の盛衰」
世界ランクの上位を長期にわたって維持した宮里藍
現地時間9日までカリフォルニア州のペブルビーチGLで行われていた海外女子メジャーの全米女子オープンは、1打差単独トップで出た畑岡奈紗に優勝の期待がかかったが、4位タイでホールアウト。海外メジャー初Vを逃した。
畑岡は、前半こそイーブンパーで折り返したが、後半に入ると4つのボギーを叩き失速。この日は1バーディ、5ボギーの4オーバー76としスコアメイクに苦労した。結果的には、優勝したアリセン・コープス(米)に6打差をつけられる通算3アンダー。最終日最終組というメジャー制覇には絶好のチャンスだったが、快挙達成はお預けとなった。
2017年から米女子ツアーに参戦している畑岡は、今季がツアー7年目。これまで2018年のツアー初勝利から勝ち星を積み重ね、昨年までツアー通算6勝を挙げている。2021年の全米女子オープンでは、当時19歳だった笹生優花とプレーオフを争い2位と大健闘。2016年に日本女子オープンで国内メジャー史上初となるアマチュア優勝の偉業を成し遂げた実力の通り、ルーキーシーズンからトッププロとしての活躍を見せている。
今季も優勝こそないが、今回の4位タイを含めてトップ10入りは4回。ポイントレースの「レース to CMEグローブ」では、今季好調で2位の古江彩佳、同16位の笹生には遅れをとっているが、日本勢3番手の同18位と安定した成績を収めている。
畑岡のハイレベルなプレーぶりは世界ランキングを見ても分かる。畑岡が米女子ツアーに参戦してからの年末における世界ランキングを見てみると、2017年以外は、全てトップ10入り(2018年7位、2019年6位、2020年7位、2021年6位、2022年10位)。今年の3月27日からトップ10を逃しているが、この調子をキープできれば、早期のトップ10復帰の可能性も十分だろう。
そんな畑岡が数年にわたり上位につけている女子ゴルフの世界ランキングは、2006年2月からスタートした。米女子ツアーや国内女子ツアー、欧州女子ツアー、韓国女子ツアーなど世界の12ツアーにおける成績をランキング化したもので、今では男子同様に女子プロたちの実力をはかる上で、欠かせないツールとなっている。
このランキングで、畑岡が、2018年以降、常にベスト10にいるのは快挙と言える。というのも、過去のランキングを眺めてみると、日本選手で長期にわたって畑岡のようにトップ10以内をキープしたり、そこに返り咲いたりしている選手が少ないから。男子以上に新陳代謝が激しい女子ツアーにおいて、トップのレベルを維持するということがどれほど厳しいのか、ということがこのランキングを見るだけでもわかる。
2006年に世界ランクが始まった当初、日本勢のトップは宮里藍だった。2005年に女子ワールドカップで北田瑠衣と優勝すると、2006年から米ツアーに本格参戦。この年は世界ランク6位で終えた。因みに同9位には同年の国内賞金女王になった大山志保がランクインしている。
宮里が、次に世界ランクトップ10で年越ししたのは2009年だった。この年はエビアンマスターズで米ツアー初優勝を達成。国内でもSANKYOレディースで優勝するなど第8位で2010年を迎えることになった。
そして2010年は、ホンダPTT LPGAタイランドとHSBC女子チャンピオンズで連勝するなど米ツアー5勝を記録。6月には世界ランキング1位に君臨した。その後の宮里は、2011年、2012年も世界ランクトップ10をキープ。同じ2012年には宮里美香も同10位でシーズンを終えた。
しかしその後の日本勢は、2018年に畑岡がベスト10入りを果たすまで、5年間にわたってトップ10以内で年越しした選手はゼロ。獲得できるポイント数が多い米女子ツアーで活躍した日本勢がいなかったことが要因となっている。
世界ランキングにおける日本勢の盛衰は、トップ100を見るとより鮮明だ。例えば2014年のトップ100人選手は14名だったが、これが2015年11人、2016年10人、2017年10人、2018年11人と低迷。しかし、2019年に14人がトップ100に収まり復調すると、2020年も13人、2021年も16名が名を連ねた。
一方、朴仁妃や申ジエ、コ・ジンヨンなど数々の世界ランクNo.1を生み出してきた韓国は、2014年のトップ100入りが39名。この数字はこれ以前、以降とあまり変わっておらず、2021年に30名、2022年に31名とやや減少した程度となっている。
また2014年にトップ100に18名いた米国勢は、その後、20名前後が続き昨年は2位のネリー・コルダを筆頭に18名。韓国勢ほどの人数はいないが、ゴルフ大国らしく安定してトッププロが輩出されているようだ。
そんな中、昨年の日本勢はトップ100に20名が食い込んだ。これは韓国に次ぐ数。今年は7月10日現在で17位の古江、19位の畑岡を筆頭に16名とややその数を落としているが、ランキングは毎週更新されるだけに、年末になるとこの数も変わって再び韓国に続く人数となる可能性も十分にあるだろう。
同日現在の韓国と米国のベスト100入りのプレーヤーは、それぞれ30名と19名。3強の中で、今後はどのくらいの日本勢が世界ランクトップ100にランクインするのだろうか。
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2023/07/14 17:30