SOTA「理想のBE:FIRST に近づくための勝負」 あるフェスで全員が選んだ1曲とは
SHUNTO、LEO、RYOKI(写真映像部・高野楓菜)
グループとして、成長期のただ中にいる。4thシングルをリリースしたばかりのBE:FIRST。音楽やステージについて語れば、言葉の端々に彼らの情熱があふれ出る。
* * *
― 公開中のドキュメンタリー映画「BE:the ONE」は、オーディション番組「THE FIRST」から始まったBE:FIRSTの約2年間の軌跡が収められている。
RYOKI バックステージでのやり取りとライブ本番がつながっていて、どうしてそのステージングになったのか、僕たちの思いが伝わる作りになっていると思いました。制作チームがたぶん僕たちと同じ目線に立ってくれて、飾らない部分を映し出してくれた。そこが「すごい!」と思いました。BE:FIRSTが大切にしている“アーティシズムファースト”が詰まった映画だと思います。(成長を実感したかと聞かれて)志は同じで変わらずというか、僕らは継続している感じです。
RYOKI(撮影/写真映像部・高野楓菜)
LEO 2回見ました。昨日と言われても昨日という気になるし、ホームビデオ見ている感覚に近くない?
RYUHEI 面白かったし、いつものメンバーがいる感じでした。僕たちのライブにかける思いが、より伝わると思います。一緒にライブをやっているような感覚にもなるんじゃないかな。
― 劇中、SHUNTOは「“頑張る”という言葉を使うのをやめた。強制ではなく楽しみたい」と語っていた。
SHUNTO 昔は自分に「頑張れ」と強く言い聞かせていました。そのためにいろいろなことに気付けず、視野が狭くなっていた時期があった。それに気づいて、最近は「楽しんで」と言うようにしています。
JUNON 僕も人には「楽しんで」って言うかもしれない。「頑張れ」は、なんというか、硬さがあるよね。
SHUNTO そうなんだよ。
JUNON “頑張る”って自分が思うことだしね。
MANATO あそこは胸に響いたシーンです。僕もそこから「頑張れ」とは言わないようになりました。
ー 映画からは、7人の音楽愛が伝わってくる。なぜ、音楽に魅了されるのだろうか。
RYOKI 言語化するのは難しいですね。唐揚げが好きなのと同じぐらい、理由を考えたことがない。
LEO 言えても「ジューシーだから」とか「おいしいから」とかだよね。俺も寿司が好きだけどやっぱりおいしいからだし(笑)、音楽を好きになるのはすごく自然なことです。
LEO(撮影/写真映像部・高野楓菜)
RYOKI 言葉を覚えていくのと同じように、自然と音楽を好きになっていった。
RYUHEI 僕はそうだなあ、音楽はくくりがないのが面白いと思います。音楽は考え方でもあるし人間性そのものだったりする。形にとらわれない自由があるからこそ、いろいろなジャンルが生まれてきた。ある人にとっては生きがいであり、ある人にとっては表現するもの。その先にいきついたものが音楽だと思うので、その自由に音楽の楽しさがあると思っています。
MANATO、SOTA(撮影/写真映像部・高野楓菜)
― 9月13日にリリースされた4thシングル「Mainstream」では、メンバーが1から楽曲制作に携わった。カップリングの2曲にもメンバーの意志が反映されているという。
LEO 僕たちが楽曲のリファレンスを提示して、社長が大枠を作ってくれた上で、表題曲とカップリングの2曲をどの曲にするかを話し合って決めました。3曲とも僕たちがより深く関わった作品です。BE:FIRSTとして大きな意味があると思っています。
SOTA 3曲の曲調やサウンドの年代、イメージは全然違いますが、ノリやバイブスが途切れずに流れで聞けると思います。1曲聞くとそのまま他の2曲も聞けると思う。
SOTA(撮影/写真映像部・高野楓菜)
JUNON 確かに一気に聞きたくなる3曲だよね。
SHUNTO しかも3曲の順番をいろいろと変えて聞きたくなる!
SOTA そういうシングルができたから、「これだよ!」というスタートラインに立てた感覚があります。
JUNON 今後どんなジャンルの楽曲をやるかはわからないけれど、楽曲制作に深く関わることができたからこそ、より濃いライブができると思う。やりたい楽曲は時期によって変わっていきますが、自分たちが納得できる楽曲を作り続けることが大切だと思っています。
JUNON(撮影/写真映像部・高野楓菜)
LEO うん。シンプルにいい曲を作り続けていきたい。今回はシングルなので3曲ですが、やりたい曲は他にも本当にたくさんありました。
SOTA 自分の好きな音楽をメンバーとの会話の輪に投げることで、お互いの音楽に対する知識やキャパシティーが自然と増えていく。これまであまり興味がなかった音楽も好きになりました。いろんなジャンルに惹かれて、創作意欲が盛り上がっている状況です。
セットリストでも、意見を出し合い、試行錯誤を繰り返すようになった。アルバムツアーを終えた今年の春フェスから、SOTA、SHUNTO、RYOKIによるユニット曲「Spin!」を入れるなど、ギアチェンジを図っている。
JUNON 結構、自分たちで考えています。かなり長い時間をかけて話しているよね。(5月の)JAPAN JAMくらいから、自然と。
SOTA ロックフェスという場で、どの瞬間も自分たちらしさを伝えたいと思って組んでみたら、全曲「攻め」みたいな感じになったんです。この7人が観客としてステージを見ているのを想像して、一番格好いいBE:FIRSTを提示したい。自分たちの思いを自分たちに反映させている感じです。(全員に)よろしいでしょうか?
MANATO よろしいです。ばっちりです。
SHUNTO セットリストは今の僕たちにとっての自己紹介なんだよね。
RYUHEI、JUNON(撮影/写真映像部・高野楓菜)
― 7月の「INSPIRE TOKYO 2023」ではアルバム「BE:1」のリード曲「Scream」をラストに披露した。RYUHEIのアイディアだったという。
RYUHEI ライブでの爆発力が日に日に増えている実感があったので、それを最大限活かしたかった。クールだけど、ずっと燃えているような表現が好きで、「Scream」をライブの序盤や中盤ではなく最後に持ってきたら、いい意味でエネルギーを叩きつけて去って行く感覚が残せるのではないかと思った。やってみたら、すごくハマりました。
RYUHEI(撮影/写真映像部・高野楓菜)
LEO よかったよね。
RYOKI 僕は「Scream」は永遠にやっていたいぐらい大好きな曲なんです(笑)。ああいう曲をクオリティー的にもバイブス的にもしっかり担保したパフォーマンスができるグループは、なかなかいないと思う。「僕らはそれができるんだから、やった方がいいよね」という話になり、実際にやってみたら、本当に良かった。メンバーがお互いに心から讃え合っているバイブスや音楽を楽しむ姿勢が最高潮に達したところで、ライブを終えられた気がしました。
RYUHEI 音的にも、ライブ後半で「Bye-Good-Bye」や「Smile Again」といったクリアなサウンドが続いて、最後「Scream」で歪んだギターの音が響くのはインパクトがありますし、ロックの良さが詰まっていると思います。
SOTA 良い意味でライブと音源のギャップが一番ある曲かもしれない。
MANATO ちゃんとトップギアまで上げてくれるし、ちゃんと締めてくれる曲でもある。それはやってみたからわかったことです。ROCK IN JAPAN FESTIVALの「Milli-Billi」から始まるセットリストも良かったよね。
MANATO(撮影/写真映像部・高野楓菜)
SOTA そうだよね。見る側の視点で考えて、「『Milli-Billi」で登場したらかっこいい』と思ったのでやってみました。一音楽ファンとして、BE:FIRSTの7人を想像して一番かっこいいと思うものを提示するようなアプローチに変わりましたね。
JUNON 自分たちのことだけど、かなり客観視して考えてるよね。
SOTA “やっていて楽しい”ではなく、“自分たちが見てどう思うか”を念頭に置くと、自分たちが格好いいと思うものになる。他のアーティストのライブを見て、「このアーティストはここが格好いい」と思うのと同様に、自分たちが格好いいと思えるBE:FIRSTを見せていきたい。
7人組のボーイズグループ、BE:FIRST(撮影/写真映像部・高野楓菜
SHUNTO ライブを重ねると、自然とセットリストが固まってくるでしょう。でも、どんどん新しい楽曲を試すほうが次に作る曲にも良い影響があると思ったので、東京のSUMMER SONICでは僕が強く推して、初めてフェスで「Softly」(アルバム『BE:1』に収録されているMANATO、RYUHEI、JUNON、LEOによるユニット曲)をやりました。屋内のステージなのだったので、しっとりとした「Softly」は絶対に合うと思った。実は社長に「『Softly』を入れるのはどう思いますか?」と聞いたら、「別の曲を抜いて『Softly』を入れるのは今のタイミングじゃないかもしれない」と言われたんですが、「でもやりたいんです!」と(笑)。スタッフさんとも大分話し合いました。
JUNON 大分長く話し合ったよね。
SHUNTO 僕は「Softly」がやりたくて仕方なかったんです。
SOTA SHUNTOは歌わない曲だから「やりたくて」はちょっとおかしいけど(笑)。でもSHUNTOがそう思ったのも、自分が見る側になって考えた時、「BE:FIRSTがここで『Softly』をやったら格好いい」という確信が持てたからだと思うんです。だから、理想のBE:FIRSTに近づくための勝負として、「Softly」をやることはすごくいいと全員が思ったんです。僕らが何に困るって、(持ち時間の制限があるときに、セットリストから)抜く曲がないんです。
SHUNTO 決まるまでは結構紛糾しました。最終的に社長が「やらないで後悔すると、その後悔は一生残るからやってみてもいいんじゃない?」と言ってくださいました。
SHUNTO(撮影/写真映像部・高野楓菜)
MANATO サマソニはいろいろなお客さんが来るイメージがあるので、それを踏まえても「Softly」は良いと思いました。いろいろなフェスやイベントに出させていく中で、客層に対する経験値が増えていったことも大きい。
JUNON サマソニでやらなかった曲を期待してくれた方や、やった曲を聞いて気になってくれた方は、秋からのアリーナツアーに来てもらえたら嬉しいですね。
MANATO セットリストもそうですが、7人が本当に多くのことを吸収してきて、各々がBE:FIRSTになる前に培ってきたものもたくさんあって、自分たちのやりたいことを表現する時期になっているのだと思います。
RYOKI ライブを通して、グループ全体のバイブスを伝えるアベレージがとても高くなった気がしています。7人全員がどの曲でも高いパフォーマンス力を発揮できていると思う。
LEO それは今、すごく感じる。チーム全体が、いい感じだよね。
(構成 ライター 小松香里)
※AERAオンライン限定記事
AERA
2023/09/16 11:00