「共同親権」が成立した後に、続々と「共同親権の問題点」を伝えるニュースが流れました。

 審議前には、ほとんど報道しなかったのにです。

 これなんか政府への忖度じゃないかと僕は思っています。政府が進めようとしている法案の問題点は、なるべく取り上げない、という考えです。だからこそ、法律が成立した後に、「じつは、こんなに問題のある法律なんです」と後から言うしかないのだろうと思っているのです。

 報道に対して、政府や政治家から文句が来た、という事実がちらほらと知られるようになりました。テレビ局の偉い人が、政府の顔色をうかがえばうかがうほど、テレビはどんどんつまらなくなって、テレビ離れは進んでいくと、僕は哀しい気持ちになっています。

 テレビとネットは敵対するものではなく、テレビはまだまだ可能性に溢れていると思っています。

 大河ドラマ朝ドラは、ネットで大きな話題になります。いい意味でも悪い意味でも、まだまだ、テレビが国民の意思を形成していると思っています。

 そのためには、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」できるテレビになればいいなあと思っているのです。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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