【4】さらに「飼料自給率」の計算だけは、多くの種類の飼料や原材料をTDN(可消化養分総量という)という単位に置き換えて試算している。農水省がこうした方式をとっているのは畜産物の飼料だけであり、ヒトが食べるコメや小麦、魚介類や野菜などその他には採用していない。その理由は不明だ。
畜産物・食用油・みそ・しょうゆのように原料となる生産物から二次的に作る食料のカロリーベース自給率の試算に当たっては、畜産物であれば家畜の種類ごとに、食用油であれば原料ごとに、みそやしょうゆであればその原材料である大豆・コメとそれぞれの加工形態である2次製品との間の飼料要求率(重量単位で牛肉1はトウモロコシ11など)や還元率(例えば重量単位で大豆油1は大豆5.3に相当など)を用いてカロリー換算すべきだ。なぜ飼料だけにTDNという異なる単位を計算に用いるのか。
TDNはほぼ日本でしか使われていない。自給率を出している国では飼料についてもカロリーを用いている。畜産学系大学の某教授もこの状況には疑問を呈している。
【5】農水省のホームページには、日本の食料自給率のほか、アメリカ・カナダなど11か国の自給率が「諸外国・地域の食料自給率等」として掲載されている。しかし、実はその試算方式は日本の自給率で使う試算方式とは違うことが確認された。計算方式が違えば比較すること自体に意味がない。そのようなものを発表する意図が不明。そもそもそこで示された諸外国と同じ方式による日本の食料自給率は試算しない方針だそうだが、その理由も不明である。