【1】農林水産物と油脂類など一部加工食品の国産部分と輸入部分を合わせた国内消費仕向量は粗食料(原形のまま)・飼料用・種子用・加工用・減耗量の5つに分けられているが、そのうち穀物の半数近くが飼料用(特にトウモロコシは8割近く)とした根拠、穀物の1割以上を加工用とした根拠などが不明。

【2】粗食料から純食料(食べられる状態の食料-可食部)となる割合を「歩留り」としているが、主に飼料用途のトウモロコシや加工向け大麦などは年ごとの変動が比較的激しく、摂取カロリーを中心とする成分摂取量が年による変動を起こしかねない。このような数値を使うには変動を平準化するための方法、例えば数値の固定化あるいは移動平均化などの措置が必要と思われるが、このようにしない理由は不明。

【3】「飼料自給率」を牧草・わら・発酵剤であるサイレージ・野草などの粗飼料とトウモロコシやコメの副産物であるフスマ(コメの場合は玄米を精米にすると出る粉、麦の場合は粉にする際に出る外皮部と胚芽部分でやはり粉状)、貝殻粉、人工栄養剤、抗菌剤などを混ぜたもの全体の供給量を分母とし国産を分子にして割り算、結果を26%(2021年度の例)としている。しかし、飼料は豚や鶏とでは内容が同じではない。畜産物の差を無視した一律の飼料自給率とする理由は不明であり、果たして科学的といえるか疑問。

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日本の試算方式は諸外国と違う