農水省のカロリーベース食料自給率は、16項目の食料群を対象に、国民1人が口を通して摂取した食料(経口食料)が持つカロリーをはじき出し、次いでこれを消費(供給)と国産とに分け、2021年を例に取ると、食べたとする食料群の合計2265キロカロリーのうち国産部分を860キロカロリー、これを割り算して38%とするものである。

 16項目の食料群とは、コメ・小麦・豆類などの穀物・野菜や果物・肉類や牛乳などの畜産物・魚介類・砂糖類・油脂類・みそなど日本人の日常的な食生活を反映したものだ。

 こういってしまうと簡単のように見えるが、実際は、農水省のホームページの説明をいくら読んでも、その計算プロセスと結果はわからないほど手が込んでいる。本書が農水省の食料自給率担当官に何度も問い合わせたところ、とても丁寧に説明いただいた。担当者としてできる範囲の回答をいただいたと思うが、なお不明な点が残った。

 以下、大きく5つの疑問を挙げるが、やや専門的で細かい部分になるので、いずれも数字の根拠となる説明がないということだけ理解していただければよいと思う。

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果たして科学的といえるか