日本中のあらゆる分野で人手不足が深刻化している。
物流業界では、2024年問題が深刻だと騒がれる。モノの移動だけではなく、バスの運転手の不足で、各地で路線バス廃止や減便が加速し始めた。
もっと心配なのは介護業界だ。50年度に介護士が122万人不足し、400万人の介護難民が生まれるという試算(第一生命経済研究所の星野卓也氏)があるが、これは数字だけの問題ではない。60代後半のある精神科医は、
「我々の世代は、認知症が酷くなって病院や介護施設に入らざるを得なくなったら、最後はベッドに縛りつけられたまま死ぬと思った方がいいぞ」と私に語った。今でも民間の精神科病院では、人手不足が原因で拘束を認める基準が事実上どんどん緩められているが、それを加速するしか手がないというのだ。高齢者にとっては、お先真っ暗な話だ。
地方選出の国会議員と話すと必ずと言って良いほど、地元では人手不足で農業が崩壊寸前だという話が出る。外国人労働者が少しでもいなくなったらとても存続できないと心配する。
建設、幅広い分野の製造業、飲食、宿泊、小売、ありとあらゆる分野で人が足りない。少子高齢化がその最大の原因だ。
それを克服しようとして、自民党政権下では長年少子化対策が掲げられているが、何の効果もなく、22年の出生数は初めて80万人を切り合計特殊出生率も過去最低水準となった。子供を産む年齢の女性の絶対数が激減しているので、どんなに頑張っても、出生数が増えるところまでは当面の間到達できない。