海外は日本よりも物価が高く、言葉の壁や文化の違いもあり、それなりに苦労はあるだろうが、何よりも賃金が高く、英語が学べる。さらには、労働時間が短く休暇も取れる。そして、セクハラ・パワハラが日本よりも少ないと言われる。

 今後、SNSで成功例が広まると、どこかの時点で、若者の大量海外流出が始まる可能性がある。若者人材空洞化の懸念が現実味を帯びてきた。

 そこで思い出したのが、ある在米の日本人経営者の話だ。

 彼によれば、日本の電気工事士、配管工などがアメリカで働けば、数千万円の年収を得られるのは確実だという。

 人手不足は日本に限ったことではない。多くの先進国で同様の問題が生じ、賃金の急上昇とインフレの原因になっている。特に、工事関係の技能工が足りないそうだ。

 ニューヨーク郊外などでは、電気や水道・下水などの故障を修理する業者が不足している。アメリカの戸建住宅は、日本よりも故障・不具合が多いという。

 ニューヨーク郊外在住の日本人の悩みは、まず、修理代が非常に高いこと。日本の数倍は当たり前。しかも、修理を頼んでも対応が遅い。これも人手不足が最大の原因だ。さらに、修理をして1年もしないうちに同じ箇所で故障が生じることがよくある。それでも、他の業者がいないので、また同じ業者に頼まざるを得ない。

 そうした業者が、年収数十万ドル(数千万円)稼いでいるという話を聞いたとき、彼らの苛立ちは頂点に達する。日本の工事業者がアメリカに来れば、もちろん、年収数千万円は固い。日本人の丁寧な仕事を見れば、引く手数多だろうという。

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外国人労働者を海外に「輸出」する?