ただし、日本政府が、事実上の移民受け入れに舵を切りつつある中で、実は、将来的に外国人が日本に来て働いてくれることはなくなるのではないかという懸念も強い。

 強制労働、さらには現代の奴隷制とまで言われる技能実習制度の悪評は、SNSでアジア諸国に広まっている。さらに悪いことに、円安により日本での賃金が大きく目減りしているため、外国人にとって日本は働く場所としての魅力を失っているのだ。

 先週のコラムで指摘したとおり、円安を止める力は今の日本にはもうないと考えると、外国人に選ばれない国になるという懸念は日に日に強まっていると考えなければならない。

 人手不足が解消するとしたら、円安がさらに進み、物価が急騰して消費が激減することで、モノもサービスも売れなくなり、それによって人がいらなくなるか、円安を止めるために金利を思い切り上げることで、経済活動を急激に冷やして景気後退するという二つの道しか思い浮かばない状況だ。

 さらに、その先にはもっと深刻な問題が見えてくる。

 それは、外国人が来てくれないだけでなく、日本の若者が大挙して海外に出て行き、さらにはもう帰ってこないという事態だ。

 報道されているとおり、ワーキングホリデーを活用したカナダ、オーストラリアなどへの出稼ぎが増えている。また、すでに寿司職人などの日本脱出ブームが始まり、寿司職人養成学校も大盛況だ。美容師やネイルアーティストなどの海外脱出も少しずつだが始まった。風俗業でもブームになりつつあるそうだ。

 日本人の手先の器用さや細部へのこだわり、謙虚さ、そして低賃金でも文句を言わず働くこと、遅刻・無断欠勤や薬物使用、周囲への迷惑行為が少ないことなどは、日本人には当たり前でも、海外の雇用者側には極めて魅力的な特質となる。

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若者の大量海外流出が始まる?