松田聖子の“復活”にも期待がかかる

 そんななか、絶対に取り逃がせないのがYOASOBIである。芸能界の光と闇を描いたアニメ「推しの子」の主題歌でもある「アイドル」は今年の代表曲というだけでなく、今の日本の文化や社会をも象徴する作品。個人的な希望としては、活動縮小状態にあるアイドル・オブ・アイドル、松田聖子が復活して、これと近い時間帯で歌ってもらえたら、エモい涙が流せそうだ。

 という具合に「ジャニーズゼロ紅白」となった場合の盛り上げ方を想像してみたが――。やはり、どうしても埋まらない穴がある。番組としての一体感だ。

 ジャニーズの音楽には、歌謡曲とJポップの中間的なテイストがあり、それが「紅白」にフィットしてきた理由でもある。ドラマや映画、CMとのタイアップ曲も多く、歌の聴き方が多様化した時代でも、それなりの耳なじみ感を確保している。

 そんなジャニーズ勢がトップバッターや大トリ、司会などを務め、演歌歌手の後ろで踊り、朝ドラ大河ドラマ絡みの企画にも登場する、というかたちで、長丁場の雑然とした番組にひとつの流れをもたらしてきた。

 結局のところ、今の視聴者は好きな歌手だけつまみ食いできればというスタンス。万人ウケする歌手や曲が存在しない以上、そのつどファンとアンチが数字を上げ下げするだけで、出場者の人選による劇的な効果はそれほど期待できない。そこをなんとかつなぎとめるのが「紅白の顔」がもたらす一体感や流れなのである。

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