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 親の収入が子どもの学力に与える影響は、残念ながら確実にある。金銭的に豊かなほど、お金を使う自由度があがり、勉強好きな子どもは知的活動にそれを費やし、そうでない子どもはそれ以外のところに費やす。多くの“環境”に触れた結果、“遺伝的素質”が十分に発揮される。一方経済的に恵まれていない家庭の子どもは、選べる環境にあまり自由度がない。すると親がどんな“環境”をつくったかが大きく影響を与える。限られた収入を子どもの教育に使うか、親が遊ぶために使うかで、子どもの成績も大きく違ってくるということだ。このように行動遺伝学者の安藤寿康氏は分析する。同氏の新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して紹介し、行動遺伝学の視点からみた“社会における自由”を考える。

【図】遺伝と環境が子どもに与える影響はこちら

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「自由な社会」が突きつける過酷さ

 自由で平等で民主的な社会は、私たちの誰もが望ましい社会のあり方だと考えているでしょう。人類の歴史は、エジプトの奴隷制のような、専制的で個人が国家や共同体のために犠牲になることもやむなしとする社会から、この世に生を受けた誰もが、一人ひとりの希望や意思が尊重される社会へと進歩してきていると、私たちは(少なくとも私は)信じています。だからこそ、ウクライナに侵攻するロシアや、軍事と国家統制によって国民を支配しようとする中国や北朝鮮のような政治形態の国を、時代遅れの困った国だと思っています。

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遺伝的な差異を増幅させるもの