都会と田舎、どちらが自由?
家庭の裕福さ以外に、自由度を左右する環境の違いは、ほかに何があるでしょうか。行動遺伝学の研究でよく着目される環境が、住んでいるところが田舎か都会かの違いです。何万人もの人が密集し、人々の行き来も激しい都会と、人口が数千人程度と少なく、限られた人との付き合いが中心となる田舎とでは、行動の仕方に及ぼす遺伝と環境のかかわり方まで変わってくることが明らかにされています(これを示したミネソタ大学の研究では、人口5万人以上を都会、1万人以下を田舎としています)。
田舎と都会では、果たしてどちらが行動の自由度が大きいと思いますか。田舎はのびのびとしているし、知らない人の目も気にする必要がないから自由度が大きいのに対して、都会は人間関係も窮屈そうだし、いつもたくさんの人の目を気にしなければならないから自由度が小さいと考える人もいるでしょう。
逆に田舎では親類や昔からの知り合いばかりに囲まれているし、古くから伝わる習慣に縛られやすいし、選べる仕事も限られているし、自由に好きなものが買える大きなショッピングセンターもないし、アマゾンで買い物をしてもなかなか届かなくて不自由なのに対して、都会なら違った価値観の人が互いに干渉せずに生きていけるし、たくさんのお店や仕事の機会があるので自由度が大きいと考える人もいるでしょう。どちらの可能性もありますね。読者の皆さんはどのようにお考えですか。