3月10日、平成最後の東大と京大の合格発表があった。合格者高校ランキングの平成史に目を向けると、圧倒的な強さを誇る名門校や、新興勢力の台頭、そして低迷からの復活など、移り変わりが見えてくる。
最高峰の東大合格者ランキングを見ると、上位は開成(東京)や灘(兵庫)、麻布(東京)など私立中高一貫の男子校だ。
合格者数では開成が常にトップを独走。この30年間の平均合格者数は174人。1998年には合格者205人と、2位を100人以上も上回った。灘は平均99人、麻布は93人の合格者を出している。
ランキング上位にいながら、着々と合格者数を伸ばす高校がある。国立の筑波大附駒場(東京)だ。
筑駒は開成に合格者数で劣るが、2018年の卒業生が398人の開成は、東大合格率(卒業生に対する合格者の割合)が44%。それに対し、筑駒は卒業生が162人で、合格率は67.3%にも達する。
同校の進路指導担当者は「特に変化は感じない」というが、89年から08年までは平均88人の合格者だったのが、09年以降は平均102人に増加している。大学通信の安田賢治常務はこう見る。
「筑駒に進学する生徒のレベルが上がっている。経済的な背景があると見ています。開成と筑駒に合格したら、国立の筑駒に行く流れが出ています」
新興私学の勢いも見てとれる。目を引くのは渋谷教育学園幕張、通称・渋幕(しぶまく)だ。男女共学で83年に開校すると、1期生から東大合格者が輩出。その後、徐々に実績を伸ばし、02年に20人を超え、10年には40人を突破。12年からトップ10入りを続けている。17年には過去最高の78人が輩出した。井上一紀進路部長は「トップ10入りすることで生徒のモチベーションが高くなり、東大の受験者数も増加した」という。
同校の実績を支えるのが、自分で調べ、考えることを重視する「自調自考」教育。例えば、高1から高2の夏にかけて関心のあるテーマについて論文を執筆する。大学や職業も含めて将来のキャリアを考えるようになり、高い進学実績にもつながっているという。