
「病気」に関する記事一覧




心臓病の手術数を増やした病院 コロナ禍でも前年比136%の理由とは?
コロナ禍でも心臓病やがんなど、コロナ以外の病気に罹患する人はおり、手術を必要とする患者も多い。週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2022」では、全国の病院に対して独自に調査を実施し、回答結果をもとに手術数の多い病院のランキングを掲載している。今回の調査は、コロナの感染が拡大した2020年の手術数を集計した。2020年の心臓病の心カテーテル治療数が全国13位(関東6位)、心臓病の外科的手術数が全国2位(関東1位)になった川崎幸病院(川崎市)は、コロナの状況下でも2019年から手術数を伸ばしている。手術数が増えた理由と、コロナ禍の変化について、同院循環器内科主任部長の桃原哲也医師に聞いた。


追いつかないのは倫理観か、リテラシーか、医師のマインドか ゲノム解析の課題を宮野悟特任教授が語る
診察や治療におけるデジタル技術の発展と並んで期待されているのが、ビッグデータの活用だ。患者の電子カルテや検査画像から得られた診療データ、ゲノムなどのデータ、最新研究によるデータなどをどう病気の診断や治療、健康増進に結びつけるかが、いまや喫緊の課題となっている。週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』で取材した宮野悟特任教授(東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター・センター長)に、話を聞いた。 * * * 2020年4月に誕生した、東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター(東京都千代田区)。ソサエティ5.0時代の新しい医歯学研究・医療・教育をデータサイエンスの面で支援することを目的に設立された。膨大なバイオメディカルデータを扱える人材を育成し、創薬や新しい治療戦略につなげることを目指している。 同センターのトップに就くのが、宮野悟特任教授。「医療データのデジタル化は世界的な潮流で、世界中のどこでも行われている。一方で、それをどう利活用していくかが、最もハードルが高く、課題だ」と指摘する。それを解決すべく、東京医科歯科大学では現在いくつかのワーキンググループで議論がなされ、具体的なプランが練られているという 宮野特任教授はゲノム研究の第一人者として、まさにバイオメディカルデータを扱ってきた一人だ。現状ではどんな状況になっているのだろうか。 「わが国ではゲノムのデータ活用に関しては、院内かつ特定のものに限って扱うことができるようになっています。実際に2年前から始まっているのが、『エキスパートパネル』です。これは、がんに関係する特定の遺伝子を調べることで創薬や治療法の選択を決めるもので、がん診療連携拠点病院などで始まっています。今、厚生労働省は全ゲノム解析に基づく医療を全速力で進めています」
特集special feature



日本は医療AI後進国! コロナ禍で開発が加速した世界に追いつくには? 東京慈恵会医科大学・中田医師が解説
AI(人工知能)医療で一歩も二歩も先を行っているのが画像診断の分野だ。CTやMRIといった医用画像機器の劇的な進歩で、1回で何千枚という画像が撮影できるようになり、さらに3D画像に落とし込むことも医療現場では行われ始めている。そんななかで、人間の目ではこれまで見つけられなかった微細な画像の変化を検出したり、病変の見落としをなくしたりといった技術の医療現場での普及が、現実味を帯びている。週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』で取材した(東京慈恵会医科大学放射線医学講座准教授・人工知能医学研究部部長)に、話を聞いた。 * * * 人工知能計算用のパソコンを自作してAI研究を行う、東京慈恵会医科大学(東京都港区)准教授で人工知能医学研究部部長の中田典生医師は、AIの台頭についてこう説明する。 「AIと一口に言っても実ははいくつかのレベルがあり、一般的な人工知能、機械学習、ディープラーニングなどに分かれています。このうち最も高度なディープラーニングは、我々人間の視覚野をシミュレーションしたもの。目に入った情報を脳で受け止める、その仕組みを応用したものです」 AIが画像診断などに強いのはそのためで、画像処理や車の自動運転などに見られるように、視覚野の部分においては、人間と機械では情報処理力に圧倒的な差が生じており、その点では確実に人間からAIに置き換わっている。 一方で、中田医師はAI医療に関しては俯瞰した見方をしている。ごく簡単に言えば、「社会のAI実装があってこそ、医療のAI実装が可能になる」という視点だ。背景にあるのは、“AI技術はどの産業においても、使われているアルゴリズムが基本的に一緒”というもの。産業界でのAI化が進むほど、それを応用したAI医療機器が病院にも入ってくるという構図だ。


