
「ハンオシ」倉科カナは田中みな実、松本まりかに並ぶ“あざとさ職人”?
カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「婚姻届に判を捺(お)しただけですが」(TBS系 火曜22:00~)をウォッチした。
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祖母の店のため500万円を借りた代わりに、百瀬柊(ももせしゅう=坂口健太郎)との偽装結婚を承諾した大加戸明葉(おおかどあきは=清野菜名)。
契約結婚モノといえば、ガッキー(新垣結衣)と星野源がリアルに結婚しちゃった「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ」という偉大なる先がけがあるんだが。自ら柳の下にドジョウを狩りに行くTBSなんである。
さて「逃げ恥」が「ムズキュン」ならば、本作は公式アカウントによれば「ふいキュン」。不意をつかれてキュンするんだって。もはや人類は、「キュン」のために無理しすぎじゃないだろうか。
なんせ柊が偽装結婚を申し込んだ理由が謎。それは自分の兄・旭(前野朋哉)の妻・美晴(倉科カナ)のことを好きだから。「不毛な恋の隠れみの」としての結婚、それは一生彼女を想(おも)い続けるため。
いや、意味わからん。別に独身でもいいじゃん、勝手に想い続けてろや。などと、口からだだ漏れた暴言を再び押し戻す要素、それが倉科カナだ。
いやどうですか、兄嫁が倉科カナ。もう厄介。なんたってあざとさがナチュラル、天然、気づいたらあざとい。
倉科と共に「あざと三羽ガラス」(今適当に名づけました)である田中みな実のあざとさはプロフェッショナル。職人。TPOわきまえるし、たぶん男より自分が好き。
残る一人は、松本まりか。闇が深そうなのでとりあえず塩を撒(ま)け。だが倉科カナのあざとさは防ぎようがない。「ふいキュン」ならぬ「ふいカナ」。
兄嫁(幼なじみでもある)なのにやたら距離が近い。柊の結婚のお祝い会では、嫁の前で彼をよしよし。真っ先に酔っぱらってグッタリ。
そりゃ偽装嫁・明葉は「おんぶしてあげなよ」と、柊に勧めずにはいられない。そして美晴は手作りスコーンを携え、嫁の居ぬ間に家に上がり込む。
イラスト/カトリーヌあやこ
ジャムの瓶のフタを柊が開けてみせると「おお~柊くんすご~い! 旦那さんがいるとこういう時助かるよね」。お前の旦那じゃねーわ。「あれ? そう言うと柊くんが私の旦那さんみたいかぁ」
もうやめて、ナチュラルボーンあざとい。次から次へと押し寄せる倉科カナの兄嫁トラップ。
わかった柊、こんなのがそばにいたら偽装でもなんでもしておかないと精神が崩壊しそう。偽装結婚・その理由、兄嫁が倉科カナだから。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など※週刊朝日 2021年11月26日号