
「カフェ」で美術館を選ぶならこの3軒!加賀麩のスイーツに完売必至のサンドイッチ、オリジナル和菓子まで
東京都現代美術館は1995年の開館。木場公園の一角にあって、気軽に立ち寄れる。アート鑑賞の合間に、中庭でのんびりするのもいい
「真冬」と呼ばれる時期は過ぎたけれど、外はまだまだ寒い。そんな時期にお勧めのお出かけ先は断然、美術館だ。「アート」「芸術」なんて言われると気後れしてしまうかもしれないが、そんな必要は皆無。そもそも、美術館はいまや、高尚な芸術作品を鑑賞するためだけの場所ではなくなっている。
発売されたばかりの『改訂新版 東京ミュージアムガイド』は、誰もが知っている有名な美術館から隠れ家的なアートギャラリーまで、東京都内にある100軒ほどのアートスポットを紹介している本だが、国宝や重要文化財がみられる、現代アートが楽しめる、特定のアーティストの作品を集めている、といったところだけではなく、空間が素敵なところ、カフェが充実しているところ、といった観点でも美術館をリストアップしている。
本の発売を記念して、この記事ではカフェが注目の美術館3軒を紹介したい。
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東京都現代美術館/清澄白河
約5800点もの戦後美術を体系的に収集する東京都現代美術館。収蔵作品は「MOTコレクション」展として会期ごとにさまざまな切り口を設けて展示される。そのほか、大規模な国際展をはじめとする企画展も開催。絵画、彫刻、ファッション、建築、デザインなど現代美術を中心に幅広いジャンルの動向を紹介している。そして、アート鑑賞と合わせてチェックしてほしいのが、館内にあるおしゃれなカフェだ。
カマンベールチーズとバルサミコソースの自家製ローストポークサンドイッチは780円
アート鑑賞の余韻を楽しむなら「二階のサンドイッチ」がお勧め。"鶏のリエットと炙りベーコン"や"フライドオニオンとBBQチキン"など、こだわりの料理を贅沢にサンドした絶品サンドイッチを味わえる。店頭に並ぶのは、定番と季節商品の7~8種類ほど。人気のサンドイッチは午前中で売り切れてしまうこともあるので、気を付けて。
カフェだけの利用も可能で、イートインはもちろん、テイクアウトして中庭や公園でピクニックするのもいい。
ボックスシートの壁をよく見ると、額縁の中に自分たちの姿が映ってる!メニューの表紙が塗り絵になっているのも楽しい
しっかり食事を楽しみたいなら、ファミリー向けレストラン「100本のスプーン」へ。「コドモがオトナに憧れて、オトナがコドモゴコロを思い出す」がコンセプトのこのレストランでは、旬の食材を使った洋食メニューが楽しめる。ほぼすべてのメニューにハーフサイズがあったり、オトナもコドモも楽しめるランチコースがあったりと、コンセプトに違わぬ充実ぶり。店内はアートを楽しめる仕掛けがいっぱいで、ワクワクしながら食事ができる。
左から、農園野菜と穀物のサラダボウル1221円、オマールエビのビスクのクリームドリア1540円、ハンバーグステーキ特製デミグラスソース1782円、アイスティー539円
サントリー美術館/六本木
サントリー美術館は伝統&モダンの世界が広がる非日常空間。「生活の中の美」を基本理念に60年以上の歳月をかけて集められたコレクションは見ごたえ十分
サントリー美術館は、サントリーの二代目社長・佐治敬三が創設した美術館。1961年に丸の内で開館し、75年に赤坂へ、そして2007年に六本木の東京ミッドタウンに移転オープンした。建築家・隈研吾によって設計され、和紙やウイスキーの樽を再生利用したホワイトオークの床材など、自然のぬくもりを感じさせる素材を使用した和モダンな作りとなっている。
カフェスペースの内装にも、美術館と同じウイスキー樽を再生利用した床材や縦格子が使われている。上品な空間で味わうスイーツはまた格別
アート鑑賞の後は、美術館とひと続きになったカフェでひと休み。このカフェは、慶応元年に金沢で創業した加賀麩専門店「加賀麩不室屋」のプロデュースで、江戸時代から受け継がれてきた加賀麩の味を、"加賀麩とりどり膳"や"麩あんみつ"といった現代的なアレンジメニューで楽しめる。展覧会ごとに替わる特別メニューも人気だ。
色とりどりの加賀麩を使い、見た目も華やかな和パフェ。やさしい甘さとお麩のモチモチ食感がクセになる美味しさで、加賀棒茶との相性も抜群
山種美術館/広尾
山種美術館地下1階の広々とした展示室。ここで、企画展や特別展が開かれる。照明の工夫で、日本画の素材がよりよく鑑賞できる
山種美術館は、実業家・山﨑種二が創設した日本初の日本画専門美術館。種二が横山大観や上村松園、川合玉堂など錚々たる作家たちと交流し、蒐集した日本画がコレクションの核になっている。年に6回ほどは展覧会を開催し、日本画を通じて季節の移ろいや自然の美しさを再発見できる。
カフェの店内は、イタリアのカッシーナ・イクスシー社のインテリアで統一されている。和菓子とお抹茶のセットは1300円。和菓子はテイクアウトもできる
併設する「Cafe 椿」は、季節の和菓子や抹茶をいただける気品あふれるカフェ。和菓子は、青山の菓匠・菊家が日本画をモチーフに作る美術館オリジナルで、展覧会ごとに入れ替わる。ドリンクにもこだわりがあり、京都のスマート珈琲店のブレンドが京都以外で飲めるのはここだけ。夏には冷抹茶も楽しめる。
(構成 生活・文化編集部 清永 愛)