対策型検診は集団全体の死亡率減少を目的として実施します。超音波検査を併用することでがんの発見率は上がりますが、死亡率を減少させるかどうかは、現在のところ明らかになっていないのです。このため、超音波検査を受けるには、人間ドックなどの「任意型検診」を受けるか、自治体によっては費用の一部を自己負担し、追加の検査として受けられることもあります。
「乳がんは個別化治療が進み、がんの性質によって薬の種類など治療方法が異なります。検診も同様に乳房の性質やリスクに合わせて行う個別化検診という考えが広まりつつあります」
乳がんの5~10%は遺伝が原因と言われています。この場合、通常よりも若い年代で発症し、進行が早い傾向があるので、血縁関係が近い人の中に乳がんや卵巣がんになった人がいれば、40歳以下でも一度検査を受け、検診の頻度や方法を医師と相談しましょう。
■がんを確定する針生検 リスクもある
検診で精密検査が必要と診断された人のうち、実際に乳がんであった人の割合は4.38%(厚生労働省「平成30年度地域保健・健康増進事業報告」から)。つまり、実際にはがんではないことが多いので、落ち着いて精密検査を受けることが大切です。
近くの病院やクリニックの乳腺科を受診して、再度マンモグラフィーや超音波の検査を受けることになりますが、医師が乳がんを専門にしているかどうかは、日本乳癌学会が認定する「乳腺専門医」であることが目安になります。検査で異常がないと診断されれば、引き続き、2年に1回の検診を受けることになります。
一方、異常が確認された場合は、「細胞診」や「組織診(針生検)」で細胞を調べる病理検査に進みます。どちらもしこりに針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。細胞診は、局所麻酔の必要はありませんが、組織診はより太い針を使用するため、局所麻酔が必要です。病理検査はがんと確定するための検査ですが、100%確実ではなく、しこりが微小で針が的中しないケース、たまたまがんではない部分を採取してしまうケースなどもあります。