小林麻央さんが乳がんで亡くなって4年。小林さんは人間ドックがきっかけで乳房に腫瘤が発見されましたが、当初は「がんを疑うようなものではない」という診断を受け、その後、乳がんと判明するまでに時間がかかったといいます。乳がんでは検診を受けても「がんかどうかわからない」と診断され、はっきりせずに心配になることもありますが、その場合どう考えたらいいのでしょうか。がん研有明病院乳腺センター長の大野真司医師に聞きました。
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ほかのがんに比べて若い世代で発症しやすく、40代後半でかかる人が多い乳がん。40歳以上の女性は2年に1回、マンモグラフィー検査を受けることが推奨され、対象であれば自治体で無料、または少額でマンモグラフィー検査を受けることができます。
マンモグラフィーは、乳房のX線検査のことで、乳がんの初期症状である石灰化や小さなしこり、わずかな乳腺のひきつれなどを写し出します。このため、乳がんの早期発見に有効だと考えられています。
しかし、実際に乳がんが見つかったとき、「定期的に検診を受けていて、前回は異常がなかったのに」という人もいます。検診を受けていれば、本当に安心なのでしょうか。がん研有明病院乳腺センター長の大野真司医師は、「検診は100%ではない」と言います。
「がんがあるにも関わらず、マンモグラフィーの画像では異常が写らないことがあり、主に三つのケースが考えられます。一つは40代に多い『デンスブレスト(高濃度乳房)』の場合。乳腺の割合が高く、全体が白く写るため、同じく白く写るしこりがまぎれてしまいます。二つ目が石灰化しないタイプのがんだった場合です。乳がんの中には、石灰化しないタイプのがんもあります。三つ目は5ミリ以下の小さながんだったケースです。がんが大きくなるスピードは1年間に1.5~2倍くらい。2センチのがんが見つかったとしても2年前には小さすぎて写らなかった可能性があります」
マンモグラフィーで写らないがんを見つけるために、できることはあるのでしょうか。一つは超音波検査を併用することです。超音波検査は、手に触れる前の小さなしこりを見つけることができます。ただし、自治体で実施する住民健診などの「対策型検診」には含まれていません。