「画像検査と病理検査の結果が一致しない場合は、再度針生検をします。それでも一致しなければ、病理医と相談のうえ、太い針を使用したり、吸引しながら採取したりする方法で、より多くの組織を採取します」
なかには画像検査の結果、「おそらく良性だが、念のため1年後にもう一度検査しましょう」と言われることがあります。
「形や大きさから良性だと考えられるけれど、変化をみるためにも1年後に再度確認したいといったケースです。がんの可能性は極めて低いけれど、たとえ1年後に確認したときにがんだとわかってもその時点で治療すれば治ると判断しているのです」
乳がんは早期に治療すれば治る確率が高く、ステージIで治療すれば5年生存率、10年生存率ともに99%を超えます。患者の希望でさらに検査をして小さながんが見つかると、「先生はがんを見落とした」と思うかもしれません。しかしそうではありません。専門医はがんがあるかどうかというよりも、治療が手遅れになるがんかどうかを判断しているのです。
それでも本人が「白黒はっきりさせないと、心配で夜も眠れない」といったケースもあります。
「組織診や細胞診をすることもできますが、しこりが小さすぎると針を刺すのが難しく、血管が近い場合は危険なこともあります。内出血や傷が残るといったリスクもあるので、通常は医師が必要性を見極めたうえで、行います。本人の強い希望がある場合は、安全にできると判断した場合のみ、組織を採取することもあります」