本塁打を打った後に山川が見せる「どすこい」パフォーマンス(西武時代)

FA移籍選手へのブーイングはこれまでもあるが…

 FAで移籍した選手へのブーイングはこれまでもあった。とくに西武は、涌井秀章(ロッテ中日)、岸孝之(楽天)、浅村栄斗(楽天)、森友哉(オリックス)ら主力選手が他球団にFAで移籍してきた歴史がある。FAで流出した選手は12球団最多の21人。これは育成能力が高い証でもあるが、ファンからすれば熱い想いで応援してきた選手がチームを去ることに割り切れない思いがあるだろう。上記の選手たちも登板した際や打席に立った時にブーイングが浴びせられた。これは西武ファンに限った話ではない。他球団でもFAで移籍した選手には古巣のファンからブーイングされることはある。

 ただ、山川には特別な事情がある。

 昨年のシーズン中に女性問題の不祥事が発覚し、試合に出場できない状況になった。警視庁から書類送検され、東京地検が嫌疑不十分で不起訴処分としたが、球団は公式戦無期限出場停止処分を科した。主砲を欠いたチームは貧打に苦しみ、西武は5位でシーズンを終えた。
 山川は故障者特別措置でFA権を獲得したが、ファンとしては「残留して、借りを返してほしい」という思いもあっただろう。

 あるスポーツ紙記者は「西武ファンの怒りは、退団した経緯に起因していることは間違いない」と指摘する。

「山川がFAで移籍することは数年前からある程度予測できていた。ただ、昨年は自身の不祥事が原因で全くチームに貢献できなかった。それなのにFAでソフトバンクに移籍したことを、ファンは許せないと感じたのでしょう。残りの野球人生を考えた時、新たな環境で出直したいという山川の心情も理解できなくはないのですが」

 西武ファンがブーイングを浴びせた3連戦、結果はソフトバンクの3連勝に終わった。

 両球団はこの3連戦を機に、明暗を分ける形になっている。
 西武はソフトバンク戦後も白星から遠ざかり、借金がふくれあがって最下位に低迷。一方のソフトバンクは順調に白星を重ねて首位を快走。開幕からエンジンがかからなかった山川も満塁アーチを2本放った西武戦をきっかけに復調し、本塁打5本、打点27はリーグトップだ。(いずれも4月25日現在)

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静かに見守るファンもいる