ブーイングで投手は投げにくい

 3連戦で気になったのは他の選手たちの表情だ。ソフトバンクだけでなく、西武の選手たちも複雑な表情を浮かべていた。

 西武OBは匿名を条件に、ブーイングについての思いを語ってくれた。

「投手は正直投げにくいでしょう。投球に集中しづらいというか。ファンの方々の心情は様々だと思うんですけど、そのエネルギーを応援に回してほしいです。西武ファンの応援って凄いんですよ。ファンの声援は大きな後押しになるし勇気をもらえる。応援のスタイルを強制はできませんが、ブーイングはもういいんじゃないですかね……」

 セ・リーグでプレーした投手OBも、ブーイングについての投手心理を話してくれた。

「色々なタイプの投手がいるので一概に言えないですが、僕は嫌ですね。ブーイングが打者に向けられると抑えなきゃいけないと余計な力が入る。その結果甘く入るかもしれない。打たれたらため息に包まれるので責任感を覚えます。ブーイングを受けた選手を抑えた時にホッとするわけではないけど、次の打者に痛打を浴びたケースが多かったように感じます」

 スタンドで観戦するすべての西武ファンがブーイングをしているわけではない。応援グッズを持ちながら複雑な表情でスタンドから静かに見守るファンもいる。西武を応援する40代女性は、こう訴える。

「ブーイングは正直嫌ですね。山川選手の打席で聞くに堪えないヤジや中指を立てている人もいました。子供に見せたくないです。確かに移籍した時は色々な感情になりましたけど、チームに貢献してくれた選手ですし憎しみはないです。西武の勝利、優勝を願って応援していますし、山川選手が三振になった時に大喜びしているのを見ると違和感を覚えます。ブーイングはもう終わりにした方がいと思います」

 27日から今期2度目の西武―ソフトバンク3連戦が、今度はソフトバンクの本拠地、ペイペイドームで開催される。西武ファンは敵地でも山川の打席で大きなブーイングを浴びせるのか。観戦のスタンスは個々の自由かもしれないが、不快に感じるファンや選手たちがいることを忘れてはいけない。

(今川秀悟)

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