財源問題大きい
鉄道・交通政策に詳しい北海道教育大学の武田泉准教授(地域交通政策論)は、「財源の問題が大きい」と語る。
「鉄道は、民間企業の私的な財産でありインフラではないというのが現在の国の考え方で、激甚災害の対象外です。さらに鉄道事業法によって、鉄道は災害で傷ついた場合は原則、鉄道事業者が全額復旧経費を負担し、その後の維持運営も行うことになっています」
被災した東鹿越-新得間の場合、復旧に総額約11億円、廃線となる富良野-新得間で老朽化した設備の維持更新には20年間で計約22億円かかると見積もられた。元々経営が苦しいJR北にとって、負担は大きい。
「そして何より富良野-新得間は、16年にJR北海道が公表した『単独で維持するのが困難な線区』の中でも、1キロ当たりの1日平均利用者数を表す『輸送密度』が200人未満の『赤線区』の一つでした。結局、国土交通省鉄道局も、この区間を復旧しても意味がないと考え、JR北海道への支援策の対象外とされ、廃止が決定に至ったのです」(武田准教授)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年2月26日号より抜粋