3月末、この中の一つ、JR北海道・根室線の富良野(北海道富良野市)-新得(同新得町)間の約82キロが廃線となり、バス転換する。この区間の東鹿越(ひがししかごえ、同南富良野町)-新得の約42キロが、16年の台風で被災し、バスで代行していた。
沿線には、テレビドラマ「北の国から」で登場した布部駅(同富良野市)がある。ドラマの初回で東京から富良野に移住してきた黒板五郎と、小学生の兄妹・純と蛍の3人を、草太兄ちゃんが出迎えるシーンが撮影された駅だ。他にも周辺には、大規模スキー場やラベンダーで有名な美瑛町など道内屈指の観光地が集まっている。
地元の男性(35)は嘆く。
「やはり、気持ち的には、残しておいてほしかった。観光だけでなく、僕たち地元の人も利用していますから」
なぜ、被災した鉄道がそのまま廃線への道をたどるのか。
鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、「状況によっては新設と変わらない時間と費用がかかる点にある」と指摘する。
例えば、JR九州・肥薩線の八代(熊本県八代市)-吉松(鹿児島県湧水町)間の約87キロ。20年7月の豪雨で不通となっていたが昨年暮れ、33年度までに、途中の八代-人吉(熊本県人吉市)間の復旧を目指す方針が示された。
「鉄道が10年間遮断されていたらその間に別の移動手段を使わねば生活できず、復旧した時に肥薩線に戻ってくる利用者が現れるかどうか、また戻ったとしても限られるでしょう。そうすると結果的に鉄路は廃線し、線路跡をBRTで活用する方法になると思います」(松本さん)