1583年に豊臣秀吉が築城し、徳川家が再築した大阪城、1607年に加藤清正が築城し「最強の城」と呼ばれる熊本城も平山城だ。大阪城は、大阪の陣で豊臣方に勝利した徳川が、豊臣の城を破却し新たに築き直した。戦国時代の終わりを告げた城だと言っていい。熊本城は、当時の最新技術をもって完成された、近世城郭の中でも美しさと実用性を備える城。震災を乗り越え、現在も復旧が続いている。
【平城】戦乱が落ち着くと政治経済の拠点に
貿易の利便性を考え、交通の要衝に多く築城されたのが平城。平地に立ち防御力が低いため、土塁や堀に囲まれている。
平城の代表格は、やはり、徳川家康が築城を命じた名古屋城。家康は諸大名に名古屋城の公儀普請を命じた。ここでも加藤清正が築城に貢献し、精巧な設計で徳川家の威厳を示した。近代城郭の完成形と言われる。
徳川軍を二度も撃退した真田幸村が築城した上田城も平城だ。築城当時は尼ヶ淵という河原があり、川を天然の水堀としていた。徳川家と互角以上の戦いを展開し、難攻不落の城と呼ばれた。
連結複合式天守という特徴的な構造を持つ国宝・松本城、毛利輝元が築城した広島市のシンボル・広島城も平城。松本城は、現存する五重六階天守の中では日本最古とされる。広島城は戦争で倒壊したが、城跡には江戸時代以前の石垣や内堀が残っている。
【水城】防御力と物資運搬に優れる
平城に含まれるが、海や湖、川のそばに立つ城を特に水城と呼ぶ。逃走経路が確保しやすく、海運が利用された中世に発展した。
愛媛の今治城は、香川の高松城、大分の中津城と並んで日本三大水城と呼ばれ、海岸に面して建つ。五層六階の天守や白壁、海水を引き入れた堀が今も残る。夜はライトアップされ、幻想的な光景を見ることができる。
(構成 生活・文化編集部 白方美樹)