盛大に祝った18歳の誕生会(提供)
盛大に祝った18歳の誕生会(提供)

■最期の時を「なな」自身が選んだ

 昨年のゴールデンウイークが始まる前、「なな」の腎臓の数値は測りきれないほど上がっていました。

 そして5月4日、夜中についに動けなくなって、翌朝、痙攣しました。痙攣止めの薬はあげましたが、ここまでにするよ、という「なな」からの合図のように感じ、「病院にいかずこのまま看取ろう」と決めました。

 連休だったので片時も離れず、夜は夫と交代で寝て……。6日、仕事に行くためいよいよ離れなければならなくなった早朝、「なな」は息を引き取りました。連休の終わり、まるで「その時」を「なな」が自分で選んだように思えました。

 あと少しで19歳になるところだったので、そこは残念でしたが、「つくづくすごい子だ」と思いました。私が同じような闘病をしろといわれたら、できるかどうか。“あるがまま”を受け入れて命に向き合っていた「なな」の生きざまは、私の誇りです。

 約2年、みっちり「なな」の介護に費やしたので、急に時間が空いて戸惑ったのも事実です。学生時代からが側にいなかったこともないし、猫ありきで建てた家も“しーん”となって。夫と二人で「暇だねぇ」とお散歩したりもしていたのですが……。

「なな」がいなくなって一カ月後くらいに、縁あって猫を迎えることにしました。生後二カ月ほどのキジ猫3きょうだいで、名前はそれぞれ、「のの」「なな」「ちっち」から一文字ずつもらって付けたんです。

 ハイシニアの猫との生活から一転、「子猫ってこんなに大変だった?」と目が回りましたが、尊い経験を糧に、先代の子たちへの思いとともに、この1年過ごしてきました。

晩年は目も見えなくなっていた(提供)
晩年は目も見えなくなっていた(提供)

「なな」は、治療からも療法食からも解放され、今は空でおいしいものを食べて、きっと「のの」と「ちっち」と走り回っていることでしょう。

(水野マルコ)

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「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目線で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKです。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com

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