■最期の時を「なな」自身が選んだ
昨年のゴールデンウイークが始まる前、「なな」の腎臓の数値は測りきれないほど上がっていました。
そして5月4日、夜中についに動けなくなって、翌朝、痙攣しました。痙攣止めの薬はあげましたが、ここまでにするよ、という「なな」からの合図のように感じ、「病院にいかずこのまま看取ろう」と決めました。
連休だったので片時も離れず、夜は夫と交代で寝て……。6日、仕事に行くためいよいよ離れなければならなくなった早朝、「なな」は息を引き取りました。連休の終わり、まるで「その時」を「なな」が自分で選んだように思えました。
あと少しで19歳になるところだったので、そこは残念でしたが、「つくづくすごい子だ」と思いました。私が同じような闘病をしろといわれたら、できるかどうか。“あるがまま”を受け入れて命に向き合っていた「なな」の生きざまは、私の誇りです。
約2年、みっちり「なな」の介護に費やしたので、急に時間が空いて戸惑ったのも事実です。学生時代から猫が側にいなかったこともないし、猫ありきで建てた家も“しーん”となって。夫と二人で「暇だねぇ」とお散歩したりもしていたのですが……。
「なな」がいなくなって一カ月後くらいに、縁あって猫を迎えることにしました。生後二カ月ほどのキジ猫3きょうだいで、名前はそれぞれ、「のの」「なな」「ちっち」から一文字ずつもらって付けたんです。
ハイシニアの猫との生活から一転、「子猫ってこんなに大変だった?」と目が回りましたが、尊い経験を糧に、先代の子たちへの思いとともに、この1年過ごしてきました。
「なな」は、治療からも療法食からも解放され、今は空でおいしいものを食べて、きっと「のの」と「ちっち」と走り回っていることでしょう。
(水野マルコ)
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