飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回ご紹介するのは、40代の看護師、瑞穂さんのお話です。学生時代からの長い付き合いだった愛猫「なな」は、シニア期になって何度も重篤な状態から力強く復活して瑞穂さんを驚かせ、そんな姿から動物医療に対する迷いもなくなったそうです。旅立って1年、今の心境をお聞きしました。
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先月、5月6日は「なな」の命日であり、もし生きていれば5月22日で20歳でした。
なぜはっきり誕生日がわかるかといえば、私が(お産の時に)とりあげたからです。
私は大学時代を北海道で過ごしたのですが、初冬にたまたま雌のキジ猫と出会い、「雪が降るなかで外の生活は厳しいだろう」と保護しました。それが「なな」の母猫「のの」です。(何度か外に出てしまい)春頃に「のの」のお腹が大きくなり、私の部屋でお産をしました。
生まれたのは5匹です。
母猫「のの」と雄の「なな」、妹の「ちっち」の3匹を飼うことにして、ほかの子猫は私と彼(今の夫)の実家で飼うことになりました。
「なな」は、自由な母猫や天真爛漫な妹猫とは違うキャラ。会ったことのない人の前では隠れるけど、飼い主にべったりな甘えん坊。特に離乳が早かったわけでもないのに、自分のおっぱいを吸って、モミモミしながら喉を鳴らしていたんですよ(大人になっても!)。男子だけど自分におっぱいがあると気づいて、丸まっていつも吸っているから一つだけおっぱいが大きくなっていました(笑)。
3匹いると賑やかでした。暖房の前で3匹で団子になったり、私の試験勉強を見守ってくれたり、いつも可愛い姿を見せてくれました。
看護師として勤めてからも北海道にいましたが、2015年、猫たちと共に千葉に引っ越しました。「なな」と「ちっち」が12歳の時です。国内とはいえ、3匹連れての飛行機の移動はハラハラしました。みんなが無事に新居に着いた時は、ほっとしましたね。