いよいよお別れ、と思ったのですが、「なな」はまた奇跡のような復活を遂げました。
胸水を抜くと、体が動くようになって。体重もがぐっと減って、高血圧で目も見えなくなっていたのに、2月下旬には、なんと自分で歩いたり、階段を上り下りしたり。さらにトイレにもまた自分でいき始め……。3度目の「まさか」です。本当に驚きました。
でも正直なところ、私は「動物に医療をする」ことが、良いことなのか、悪いことなのか。さらに「どこまで」治療をすればよいのか、初めは判断がつきませんでした。
そんな私の迷いを消したのは、「なな」自身でした。
2020年の一度目の危機から復活した時、(妹の『ちっち』が、じゃあねバイバイとすぐに亡くなってしまったのに対し)「なな」はまだ生きる気だ!と感じました。その時、命尽きるまでは「医療の力を使ってでも命を繋ごう」と思ったのです。そのお手伝いはいくらでもするよというスタンスでした。主治医も親身になって『なな』を生かそうといろいろ提案してくださったので、「そこに乗ろう」と心を決めました。
そして、もうひとつ。積極的な治療をするとともに決めたことがあります。それは、「(治療以外は)すべて『なな』が望むようにしよう」ということ。
例えば、ふだんは2階の寝室で川の字で寝て「なな」に腕枕をしてあげるのですが。“今日は一階で寝たい~”と「なな」が主張したら、一階の部屋に布団を敷いて一緒に寝る。“ベランダでひなたぼっこをしたい”様子をみせたら、パソコンをベランダに持っていき、何時間でも付き合い、ご飯も食べられるようにしました。食欲がない時も、ベランダだとごはんを食べてくれました。
コロナ禍で自宅でのグランピングが流行っていましたが、我が家もそんな感じで、ターフを張って日よけをして、「なな」とのんびりベランダで過ごしていたんです。医療は飼い主に任せてもらい、行動はすべて猫任せ……。「なな」が懸命に応えてくれたので、こちらも頑張れたのだと思いますが。