「30代は家事や育児に悩む人が多く、40~50代はこれまでの人生や夫婦関係に疑問を持つ人が増える年代。夫が転職や起業を考えたり、浮気に走ったりして夫婦仲に不和が生じる。『中年の危機』と言われます。60代は、定年した夫の言動が不満やストレスの原因となって、妻が体調を崩す『夫源病』が増えます」

 男性約31歳、女性約29歳が初婚夫婦の平均婚姻年齢。第1子は母約31歳、第2子は母約33歳が平均的な出産年齢だ。出生数を30年前と比べると、子2人の家庭の比率は大差ないが、子3人の家庭が減り、一人っ子や子どものいない家庭が大きく増えている。

 女性の35~39歳の欄をみると、出産や子育てで離職者が増える時期とわかる。夫婦がともに仕事を続けていても、保育園の送り迎えや弁当作りなどの家事で忙しい30代。二人の協力が不可欠となり、子育てできずなを深める夫婦も多い。

 一方で、中堅社員として仕事にも追われる日々で、夫婦間のいらだちやすれ違いも起きやすい。男性の30~34歳の欄をみると、離婚に要注意の年代といえる。

 立木さんの経験から、夫婦関係の問題が表面化したときはすでに修復不可能な事態も少なくない。そこに至るまでになぜ問題を解決できないのか。9割近くのカップルが恋愛結婚であることが要因の一つ、というのが立木さんの持論だ。

「お互いに、好きだよね、相性がいいよね、という思いで恋愛が始まり、結婚生活に移行する。だから、何も手を打たなくても、生活がうまくいくと思いがち。さらに、毎日顔を合わせ続けていれば、変化に気づきにくい面がある。思い込まずに、お互い相手をよく見ることが大事なのです」

 40~50代は管理職世代。やりがいが高まる一方で、仕事の責任も重い。冒頭紹介したように、若者世代の部下との意識のずれや指導の難しさを感じる時期だ。

 40代は念願のマイホーム取得期でもある。住宅ローン利用者の平均年齢は約42歳。快適なすみかを手にする一方で、2千万~3千万円のローンを背負う。同時に教育費負担も高まり、消費支出に占める比率は40代が約9%と最も高い。

 50代になれば、子が高校や大学に進学して手がかからなくなる夫婦が多い。一方で、待ち受けるのは親の介護。出産が遅かった夫婦は、子育てと介護の「ダブルケア」になる。

 ソニー生命保険と横浜国立大学大学院の相馬直子教授らは今年、ダブルケアの実態を調査した。回答者は大学生以下の子を持つ30~55歳の男女。約16%がダブルケアに現在直面していた。年代別では、男女ともに50代が最も多い。

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