70代以降に入ると、夫婦の切実なテーマは健康。元気に活動できる健康寿命は男性約72歳、女性約75歳。その前後から、認知症や老老介護にいつ直面してもおかしくない。さらに、人生の晩年にさしかかり、自分らしい最期のあり方にも思いが巡るころだろう。

 以上紹介した夫婦の未来年表は、数字でとらえた平均的な姿。若い世代中心に夫婦像は多様化するばかりで、最後はそうした声を紹介したい。

 女性のためのキャリア開発講座などを開いているヒビノケイコさん(36)。学生時代から同棲を始め、大学卒業後の23歳で結婚。大阪出身だが、夫の実家がある高知県の山あいの町に06年に移住した。今は夫の両親や祖母の家のそばで自宅を構える。

 ヒビノさんの子どもも含めた家族4世代が交流し、新たな地域で暮らす日々。結婚生活と田舎暮らしの共通点を実感している。

「田舎暮らしも結婚も自立が前提ですが、お互い助け合う精神で自分とも相手とも向き合う覚悟がないといけない。しんどいことがある半面、親密な関係を築ければ喜びが大きいです」

 ヒビノさんは自らのブログ「人生は自分でデザインする。」で、日々の生活で感じたことを漫画や文章でつづってきた。夫婦の関係についてはこう考えている。

「夫と私のそれぞれに根っこや軸があり、それを大事に自分らしく生きるのが理想。一緒に何かやっても、相手に依存しすぎたり、相手のせいにしたりすると、よい方向に進まない。二人の境界線を意識し、本当に一緒にやりたいことでお互いプラスになれば、協力すればいいと思います」

 夫婦の数だけ、夫婦関係のデザインの仕方がある。同じ夫婦でも、年代によって関係の描き方が違う。二人のこれまでの関係をどう振り返り、これからどんな夫婦関係を築きますか。

(藤嶋亨)

週刊朝日  2018年9月14日号より抜粋

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