人生100年時代になれば、夫婦の時間も増える。仕事や子育てで手を携え、定年後はゆったりと二人の時間、となれば理想的だが、現実は甘くない。すれ違いは日々起こり、いずれ離婚に至ることも。夫婦に起こる出来事を記した未来年表をもとに、夫婦仲の寿命を延ばす方策を考えたい。
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「人生100年時代になれば、(定年期の)60歳以降の自由時間は60歳までの労働時間の2倍。この時間をどう過ごすのかが大切です。ワーク(仕事)だけでなく、社外の活動も含めて、多様な価値観を持っていたほうがよいのです」
そう話すのは、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所長の古野庸一さん。22~60歳の労働時間が約8万4千時間に対し、60~100歳の自由時間は約17万5千時間と計算。在職中から、仕事一辺倒でなく、趣味など自分の時間も充実させることが大事だと指摘する。近年は、「私生活を大切にする管理職は、そうでない人よりも仕事の成果が高い」といったワークとライフの相乗効果の研究成果も注目されているという。
「若者世代は今の50~60代と働き方の考え方が違い、仕事は生活の一部でしかありません。若者からみると、家族を大事にできない人は部下も大事にできないのでは?と考えます。管理職層も意識を変える必要があります」(古野さん)
変わる価値観の背景の一つが、家族の変容だ。
有効求人倍率が低迷した1990年代半ばから2000年代初めの就職氷河期のころ、専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転した。その後も差は開き続け、「夫は仕事、妻は家庭」という役割分担が薄れ、「夫も妻も仕事と家庭」が当たり前になった。
夫婦の関係変化はそれだけではない。平均寿命が延び、定年後の時間も増え続ける。フルムーン旅行、孫との行楽、妻や夫の介護……。苦楽を二人で乗り越えていい関係を保つ“夫婦寿命”を延ばせば、幸せな老後にもつながる。
では、どんな点に気をつけるとよいだろうか。年齢とともに変わるライフステージを、「夫婦の未来年表」にまとめた。これをもとに、よりよい関係づくりを考えたい。
「夫婦のパワーバランスはいつも同じではなく、ライフステージによって変わります。段階に応じてバランスよく移行できないと、問題が起こりがちです」
こう話すのは、夫婦問題カウンセラーの立木(たつき)ミサさん。核家族化、少子化、高齢化など夫婦を巡る環境は変わり続け、仕事と家事のバランスの悩みが増えている。相談内容も多様化したが、世代別に一定の傾向があるという。